にきびの治療 バイオフィルム②

公開:2010年12月14日

更新:2011年2月26日

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ニキビの治療に必要な点は、

この3点が必要となります。

バイオフィルムを破壊しニキビ菌の繁殖を抑える治療の一つが 抗生物質の長期少量投与療法です。

抗生物質の意外な作用

抗生物質を使用してニキビの治療を行うということは、通常行われる治療法の一つです。しかしながら、ある程度の期間内服治療を受けたが、あまり良くならなかったり、やめるとすぐ出来てくるなどということが起きてしまい、抗生物質の種類をどんどん変えていくことが見受けられます。ニキビ菌がバイオフィルムを形成しているわけですから、すぐに効果が出てくるというわけにはいきません。また、通常抗生剤の長期投与は耐性菌の発生に繋がるなど、あまり長く使用することは好まれません。そのために、「抗生物質をいろいろ試したけど、全く効かない」「抗生物質を長く使用するのはいけない!」と言われてしまうことの原因となります。

ところが、にきびの治療には、マクロライド系抗生物質の少量長期投与が行われます。これはマクロライド系抗生物質が持つ独特な作用を期待して行われるためです。

マクロライド系抗生物質 様々な作用があります。

マクロライド系抗生物質は、細菌を殺すのではなく、菌の活性を抑制させる作用(静菌作用)をもった毒性の低い抗生物質なのですが、通常の抗生物質のイメージ以上に様々な効果があります。

アクネ菌が活発化している状態を抑制して、あまり増えないようにしてあげる効果(静菌作用)があります。それのみであれば、殺菌作用のあるもっと強い抗生物質を使用したほうがよいということになりますが、(集簇性ざ瘡の様に、炎症をとにかくも抑えなければいけない場合には使用することもあります。)

実は、治まった後も、マクロライド系抗生物質を使用していきます。それも長期間使用します。

これは、菌を抑えることだけを目標としていないからです。

「長期少量投与療法」は、直接的な抗菌作用を目的とせず、少量の服用を長期間続ける治療法

この抗生物質が持つ作用の一つ、抗炎症作用(腫れを抑えていく作用)が指摘されています。長期投与を行う一つの理由が、炎症を抑えつつ肌状態の回復を促せることを期待するためです。抗生物質が白血球の遊走作用を抑えることで、過度の炎症が出ることを抑えて症状を軽減してくれます。ニキビは炎症が過度に限定された領域(密閉された毛穴)で起きてくるために周囲の組織を破壊してしまい、にきび跡になりますので、この反応を軽減させる効果は、大変有用です。

そして、バイオフィルム破壊作用です。この作用があるからマクロライド系抗生物質のが使用されていると言って過言ではありません。このバイオフィルムが抗生物質などの攻撃を跳ね返してしまい、ニキビの難治化,慢性化につながっていきます。バイオフィルムを破壊するためには、長期間の投与が必要なようです。細菌を守っているバイオフィルムを破壊しなければ話が進まないことはご理解いただけると思います。

つまり、薬が効いている時はバイオフィルムの中にじっと隠れて、治ったと思わせておいて、

ほとぼりが冷めた頃に「それっ」とばかりにバイオフィルムの中から出てきて暴れ回ることが起こるのです。

その他に 細菌の密度によって爆発的に増殖する作用を抑制 等など、様々な作用を持ちます。上記の理由によって、一般的な常識では考えられない期間の投与が必要になってしまいます。

さらに、マクロライド系抗生物質の一つである ロキシスロマイシン(ルリッド) は消化管にもやさしいです。


ニキビに対する 抗生物質の使用についての説明でした。

もちろん難治性のニキビは、この治療のみでは難しいものですから、

など、ニキビができる元の治療を並行して行っていく必要あることは言うまでもありません。