授乳中の局所麻酔(表面麻酔)について

公開:2013年11月28日

更新:2019年8月31日

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最近は、問い合わせでいただくメールのアドレスの間違いも無く 順調に返信ができていましたが、久々に 問い合わせの返答メールが 数通帰ってきました 😥 。 こちらの設定が悪いのか良くわかりません。通常でも 返信までにお時間を頂いておりますので、メールが届かなかった方は再度ご連絡いただけると助かります。

その中で、重複する質問がありました。よく質問される点でもあります。

> 授乳中なのですが、麻酔できますか?

A 基本的には可能ですが

ヒアルロン酸注入や,ニキビ痕の治療の際には、表面麻酔(塗る麻酔)を使用します。塗るだけで痛みを緩和できますので、このような場合には必須です。
表面麻酔薬が、母乳にどのように影響を与えてしまうのかという点に対して、大変心配だと思います。

表面麻酔は 塗布部位のみを麻酔することができる「局所麻酔」の一種(キシロカイン)です。治療部位のみに麻酔をするだけの量を使用しますので、作用が全身に広がることはなく作用時間も短いため、母乳への影響はないといわれています。

通常 母親がお薬を服用すると、ほとんどの薬は微量ながら母乳へ移行することがわかっています。しかし 母乳へ移行するが、その量は極めて少ない ということもわかっています。

局所麻酔で行う場合では、他の部位に効かせる程の量を注入するわけではないため、全身に回ったとすれば かなり薄まってしまうことになります。そのため、他の部位への影響はほとんど無視してもよい程です。
更に母乳への移行は 一般的に胎盤経由よりも更に少量であり、麻酔薬が母乳へ移行する量はますます少なく 乳児への影響は殆ど無いと考えれています。

医師の考え方によって異なりますが、通常の薬剤では授乳を制限されることはまれです。

生後3ヶ月を過ぎていれば、母乳の影響はほとんどありません。
生後3ヶ月未満の場合でも、5~6時間を過ぎれば母乳の影響は無いと考えてよいでしょう。

結論として、局所麻酔薬の使用が授乳を制限する必要は基本的にない と考えられています。
念のため 5~6時間 開けていただければ良いです。

授乳期での薬の使用が気になる場合は、治療前に授乳をすませるか、あらかじめ搾乳しておいた母乳や一時的に粉ミルクに変えて与えてください。

それでも心配な場合は、離乳後に改めて検討されることをお勧めします。

薬剤によっては、授乳が制限されます。

母乳からの栄養を踏まえると 断乳を行うことのデメリットが大きいため、実際の使用で授乳を制限されることは減少してきています。
断乳が必要な薬剤は、母乳へ大量に移行してしまうものや 胎児への影響がわかっているものです。アスピリンなどの解熱鎮痛薬,テトラサイクリン等一部の抗生物質 精神神経用薬の一部 抗癌剤 免疫抑制剤等の場合には、断乳を行う必要があります。これらの薬剤を内服されている方は、安易に自己判断せず、担当の先生と相談の上断乳,授乳継続の判断をされることが良いです。

妊娠と薬情報センターのホームページには、授乳可能な薬剤、適さない薬剤の表が掲載されています。こちらを参照ください。