赤ら顔・毛細血管拡張症|原因・治療を医師が解説
「最近、頬や鼻のあたりが赤い気がする」「化粧でカバーしているけれど、すっぴんになると気になる」——そんな違和感を抱えている方は、決して少なくありません。
実は、「赤ら顔」という病名は存在しません。顔が赤く見える状態の総称であり、その背景には毛細血管拡張症・酒さ・酒さ様皮膚炎・薬剤性紅斑・体質的な顔面紅潮など、原因の異なる複数の状態が含まれています。
原因によって治療のアプローチは大きく変わります。このページでは、赤ら顔として現れる主な原因疾患と、それぞれの見極め方・当院で行っている治療方針を、医師の立場から解説します。診察を受けるかどうか迷われている方の、判断の手がかりになれば幸いです。

この記事の目次
赤ら顔とは──症状の見え方と医学的な位置づけ
まずは「赤ら顔」という言葉が指している状態を整理し、なぜ赤く見えるのかという仕組みから順を追って見ていきます。
そもそも「赤ら顔」とは何か
症状名であり、病名ではない
「赤ら顔」は医学用語ではありません。顔(特に頬・鼻・額・あご)が他の部位より赤く見える状態の総称です。
一時的な紅潮(緊張や入浴後に赤くなり、しばらくすると引くもの)から、ほぼ常に赤みが残るもの、毛細血管が透けて見えるもの、ニキビ様の発疹を伴うものまで、見え方も背景もさまざまです。
診察現場でよくある誤解
「赤ら顔として相談されたが、よく聞いてみると慢性炎症性疾患の酒さだった」「外用薬の長期使用に伴う酒さ様皮膚炎だった」というケースが少なくありません。
原因によって治療法が変わるため、まずは「何が原因で赤く見えているのか」を見極めることが出発点になります。
なぜ顔は赤く見えるのか
皮膚の構造と毛細血管の位置
皮膚は外側から表皮・真皮・皮下組織の3層に分かれ、毛細血管は主に真皮の上層に網の目状に分布しています。
顔が赤く見えるのは、この毛細血管を流れる赤血球が、何らかの要因で血管内に滞留したり、毛細血管そのものが拡張・増生したりするためです。
血流のスピードと赤みの関係
意外かもしれませんが、血流が良い状態というのは、実はあまり赤く見えません。血流のスピードが遅くなり、単位面積あたりの赤血球量が増えると、皮膚表面から赤さが目立つようになります。
お酒を飲むと一時的に顔が赤くなるのも、血管拡張で血流速度が落ちることによる現象です。
逆に言えば、慢性的な赤みの背景には、「血管が拡張している」「血管そのものが増えている」「血管周囲の炎症で血流が悪くなっている」のいずれか、あるいは複数が組み合わさっている可能性があります。
赤ら顔の主な原因と分類
赤ら顔として現れる症状の背景には、いくつかの異なる原因疾患があります。原因によって、適切な治療と日常で注意すべき点が異なります。

毛細血管拡張症
どんな状態か
真皮上層の毛細血管が拡張・増生し、肉眼で透けて見える状態です。頬や鼻翼・小鼻のまわりに赤い線状や面状の血管が見えるのが典型で、温度差や入浴後に目立ちやすくなります。
背景になる要因
背景には体質や日光ダメージの蓄積、加齢、長期にわたる外用ステロイドの影響などがあるとされます。このページでは毛細血管拡張症の治療を中心に詳述します。
酒さ(しゅさ)
どんな病気か
顔の中央部に持続的な赤みやほてり、毛細血管の拡張、ニキビ様の発疹(丘疹・膿疱)が現れる慢性の炎症性皮膚疾患です。30〜50代の女性に比較的多く、世界的には成人の約5%が罹患しているという報告もあります。
トリガーとコントロール
紫外線・気温差・アルコール・刺激物・ストレスなどで悪化を繰り返す病気で、コントロールしていく病気として継続的な治療が必要になります。
酒さによる赤ら顔の症状・治療法は 酒さの治療ページ で詳しく解説しています
酒さ様皮膚炎(ステロイド酒さ)
外用ステロイドの長期使用に伴う状態
外用ステロイドを顔に長期間使用したあとに生じる、酒さに似た赤み・ほてり・小さなブツブツの状態です。
中止時のリバウンドに注意
ステロイドを急に止めると一時的に強く悪化する「リバウンド」が知られており、自己判断での中止はおすすめできません。専門医の指導のもとで段階的に減量していく必要があります。
ステロイド酒さの治療は 酒さ様皮膚炎の治療ページ をご覧ください
薬剤性・接触性などの紅斑
降圧薬や血管拡張薬、ホルモン製剤などの内服薬、化粧品やスキンケア成分への接触反応によって、顔に赤みが続くことがあります。
原因物質を特定して中止・避けることで改善するケースが多い一方、長期化するとほかの紅斑性疾患と区別がつきにくくなることもあります。
加齢・体質・遺伝による顔面紅潮
紅潮しやすい体質(フラッシャー)、更年期に伴うホットフラッシュ、加齢による真皮の菲薄化で毛細血管が透けやすくなった状態など、明確な疾患ではないものの「赤く見える」要因はいくつかあります。
日常生活への影響が大きい場合や、見た目の悩みが強い場合には、対症的な治療で改善を図れることもあります。
このように、赤ら顔の背景は一様ではありません。当院では問診・所見・トリガーの聴取を踏まえて、まずどの原因に近いかを見極めたうえで治療プランをご提案しています。
赤ら顔と酒さの違いを整理する
混同されやすい「赤ら顔」と「酒さ」。両者の関係を、できるだけシンプルに整理してみます。

「症状」と「疾患」の違い
「赤ら顔」は症状名です。咳や発熱と同じく、複数の原因によって起こりうる現象を指す言葉と考えていただくと整理しやすいかもしれません。
一方「酒さ」は疾患名であり、慢性的な炎症や血管反応の異常といった病態を持つ、ひとつの病気です。
「赤ら顔の原因のひとつに酒さがある」という関係になります。
セルフチェックでは見分けがつきにくい理由
毛細血管拡張症と酒さは、見た目だけでは区別が難しいことが少なくありません。両者は併存することも多く、毛細血管拡張は酒さの代表的な症状のひとつでもあります。
一方で、酒さに特徴的な「ほてり(フラッシング)の繰り返し」「ニキビ様の丘疹・膿疱」「化粧水がしみる感覚」「眼の異物感」などは、毛細血管拡張症単独ではあまり見られません。
当院での見極め方
診察では、いつから・どのような状況で赤くなるか、化粧品や洗顔への反応、ステロイド外用の使用歴、内服薬の有無、家族歴などを丁寧に伺います。
そのうえで、肌の状態を観察しながら、毛細血管拡張症・酒さ・酒さ様皮膚炎・他の要因のいずれが主体かを総合的に判断します。
明確に分けにくい中間例も多く、その場合は「炎症のコントロール」と「拡張した血管へのアプローチ」を組み合わせる方針をとることがあります。
受診の目安とセルフチェック
受診すべきか迷う方のために、目安となるチェック項目をまとめました。
自分でできる初期チェック項目
- 頬や鼻の赤みが、3か月以上ほぼ毎日続いている
- 気温差・運動・入浴・飲酒などで赤みやほてりが強く出る
- 赤みのある部分にニキビのような丘疹や膿疱が繰り返し出る
- 化粧水・乳液など、これまで使っていたスキンケアがしみる
- 頬や小鼻に細い血管が透けて見える
- ステロイド外用薬を顔に長期間使ってきた経緯がある
- 赤みが気になって人前に出るのがつらい、化粧で隠している
上記のうち1つでも当てはまり、生活への影響を感じる場合は、皮膚科や美容皮膚科へご相談いただくことをおすすめします。
こんな症状があれば医療機関へ
以下のような場合は、早めの受診が望ましいと考えられます。
- 赤みや膿疱が急速に広がっている
- 目の異物感・充血を伴う(眼型酒さの可能性)
- 強い痛みやかゆみがある
- 外用ステロイドを止めると赤みやブツブツが大きく悪化する
受診時に伝えるとスムーズな情報
診察の精度を上げるため、可能であれば次の情報を整理していらしてください。
- 赤みが出始めた時期、悪化したきっかけ
- これまでに試した治療や市販薬・スキンケア
- 外用ステロイドの使用歴(部位・期間・強さ)
- 現在内服中のお薬(特に降圧薬・血管拡張薬・ホルモン剤)
- 食事・飲酒・喫煙・運動・睡眠などの生活習慣
なぜ「治す」だけではなく「コントロールしていく」考え方が必要なのか
赤ら顔・毛細血管拡張症の治療は、「一度の治療で終わり」ではありません。なぜ複数回の治療が必要なのか、血管側のメカニズムから順番に整理してみます。
拡張した血管をつぶす:見えている血管への直接アプローチ
レーザーによる選択的破壊の原理
赤く見えている毛細血管そのものに対しては、レーザーや光治療で赤血球が吸収しやすい波長を選んで照射し、血管を選択的に破壊していくアプローチが基本になります。
なぜ1回では完了しにくいのか
毛細血管は単純な1本線ではなく、複雑に網目状につながっています。一部を破壊しても、ほかの経路を通じて血流が回復してしまうため、1回の治療で完了させることは難しいのが実情です。
一度に強く照射すれば良いわけではなく、過度な出力は皮膚の陥凹や色素変化のリスクを増やします。

新しい血管が作られないようにする:再発抑制と原因への介入
血管が増えてしまった理由を考える
拡張した毛細血管が「なぜ作られたのか」を考えると、皮膚の血流を確保するために、結果として弱い血管が増えてしまった、と理解できる場面が少なくありません。
肌の土台を整えるアプローチ
だとすれば、表皮〜真皮の状態そのものを整え、血管が無理に増えなくてもよい肌にしていくことが、再発抑制という意味で大切になります。
当院ではこの観点から、生活習慣の見直し・スキンケアの最適化・必要に応じた外用や内服・コラーゲンや血流を意識した治療(PDLLA注入、エクソソーム療法など)を、見えている血管への治療と組み合わせてご提案することがあります。
だから治療は複数回・継続的なアプローチが必要になります
以上をまとめると、赤ら顔・毛細血管拡張症は、「見えている血管を減らす」と「血管が増えにくい肌に戻していく」の二方向から、複数回にわたって取り組む病態です。
一度の治療で完結する病気ではなく、症状を抑えながら肌のコンディションを整えていくことを目指せる病気、と捉えていただくのが現実に近いと考えています。
何回必要か、どの治療を組み合わせるかは、症状や肌質によって個人差があります。実際に診察させていただいたうえで、ご一緒に治療プランを立てていきます。
赤ら顔の治療方法
原因と症状の組み合わせによって、治療プランは変わります。当院で組み合わせている主な選択肢を、生活習慣・外用内服・レーザー・注入の順にご紹介します。
治療の基本方針(原因に応じた使い分け)
原因主体に応じた優先順位
毛細血管拡張症が主体ならレーザー・光治療と肌コンディションの整備が中心になります。酒さ要素が強ければ外用や内服で炎症をコントロールしながら血管にアプローチします。
ステロイド酒さがある場合は、まず外用の整理が優先されます。
複数の選択肢を組み合わせる
当院では、複数のレーザー・エネルギー機器と外用・内服・注入治療の選択肢を組み合わせ、症状や肌質、ライフスタイル、ご予算に合わせて柔軟にプランを調整しています。
生活習慣・スキンケアの基本
どの治療を選ぶ場合でも、以下のような生活面のケアが土台になります。
- 紫外線対策:日焼け止めの毎日使用。SPF/PA だけでなく、肌に合うテクスチャーで継続できるものを選ぶ
- 温度差を緩やかに:寒暖差・サウナ・長湯・熱いシャワーは赤みを誘発しやすいので、無理のない範囲で調整する
- 摩擦・刺激を減らす:洗顔や拭き取りは押さえるように行う。タオルでゴシゴシしない
- スキンケアはシンプルに:高刺激のピーリングや角質ケアは控えめに。新しい化粧品はパッチテストを推奨
- トリガーの記録:赤みが強く出た日と直前の食事・気温・睡眠・ストレスを書き留めると、自分の傾向が見えてきます
食事・栄養の見直し
注意したい食事のトリガー
食事と赤ら顔の関係について、決定的な「これを食べれば改善する」というエビデンスは確立されていません。
一方で、アルコール・辛味の強い香辛料・温度の高い飲食物・ヒスタミンを多く含む食品(熟成チーズ、加工肉、発酵食品の一部など)は、血管拡張やフラッシングを誘発する要因として古くから知られています。
「食べてはいけない」ではなく、自分にとってのトリガーを見つけて控えめにする程度の付き合い方が現実的です。
栄養面のサポート
亜鉛・オメガ3脂肪酸・食物繊維などが肌や腸内環境のコンディションに寄与する可能性が議論されていますが、サプリメントに依存するよりは、日常の食事のバランスを整えることをまずはおすすめしています。
外用薬・内服薬による治療
炎症や酒さ要素がある場合、まず外用や内服で炎症をコントロールします。代表的な選択肢は次のとおりです。
- メトロニダゾール外用:抗炎症作用と抗微生物作用を併せ持つ外用薬で、酒さの紅斑・丘疹に広く用いられます
- イベルメクチン外用:酒さの病態にDemodex(顔ダニ)の関与が示唆されており、その駆虫作用と抗炎症作用を期待して用いる外用薬です
- ブリモニジン外用:α2-アドレナリン受容体作動薬として真皮の血管を選択的に収縮させ、持続性の紅斑を一時的に和らげることが期待される外用薬です。海外では酒さの紅斑コントロール目的で使用されています
- トラネキサム酸(内服・外用):プラスミン阻害による抗炎症作用に加え、メラニン産生・血管反応への作用も報告されており、酒さの紅斑や色素沈着への対応として用いられます
- テトラサイクリン系内服(ドキシサイクリンなど):抗炎症作用を期待して、酒さの中等症以上で短〜中期的に用いることがあります
いずれも、長期的な使用や副作用の可能性があるため、漫然と続けるのではなく、定期的に効果を見直しながら使うことを大切にしています。
各薬剤の副作用・注意事項は ページ末尾の「リスク・副作用と当院の診療方針について」 をご覧ください
レーザー・光治療
毛細血管拡張症や酒さの紅斑・血管拡張に対しては、波長と血管の太さ・深さに応じて、複数のエネルギー機器を使い分けます。当院では窒素プラズマを主軸に、症状や部位に応じて以下のレーザーを組み合わせています。
窒素プラズマ(当院主軸)
当院の赤ら顔治療における中心的な選択肢です。皮膚表面に均一にエネルギーを伝えることで、表在性の紅斑や毛細血管拡張に対して幅広く対応できる治療です。
450nm 青色レーザー(Blue Laser)
オキシヘモグロビンへの吸収特性を持ち、メラニンへの吸収も活かせる比較的新しい選択肢です。表在性のfacial telangiectasiaに対する有効性が報告されており、症状や部位に応じて活用しています。
ロングパルスNd:YAGレーザー
1064nmの長波長で、やや深い位置の血管や口囲・小鼻の細い血管に適応されることがあります。
機器の使い分けの考え方
波長・パルス幅・出力・冷却などの設定を症状に合わせて細かく調整しながら行います。
「どの機種がベストか」というよりも、「同じ患者さんでも部位によって機種を切り替える」と考えていただくとわかりやすいかもしれません。
※ 当院では現在、IPL(フォトフェイシャル)およびパルス色素レーザー(PDL)は取り扱っておりません。
マイクロボトックス・PDLLA注入などの選択肢
マイクロボトックス(皮内ボツリヌス毒素)
近年、海外を中心に、酒さの持続性紅斑・フラッシングに対して皮内ボツリヌス毒素(マイクロボトックス)注入の有効性を示す報告が増えています。
神経血管成分への作用を介して紅斑やほてりを抑えることが期待されており、複数のメタアナリシスで一定の有効性が示唆されています。
PDLLA・エクソソーム療法
コラーゲン産生を促すPDLLA(ポリ-L-乳酸/ジュベルック)注入や、血流・コラーゲン環境の改善を狙ったエクソソーム療法などの選択肢もあります。
これらは「血管をつぶす」治療というよりも、「血管が無理に増えなくてもよい肌の土台をつくる」という観点からのアプローチです。
ミラジェットによるドラッグデリバリー
当院では、いずれもレーザー駆動型のドラッグデリバリー機器(ミラジェット)を使用し、薬剤を高密度・高効率に届ける方法で実施しています。
関連ページ:
- ミラジェット Forte(ドラッグデリバリー機器の詳細)
- エクソソーム療法(治療内容の詳細)
| カテゴリ | 治療 | 主に向く症状 | 役割 |
|---|---|---|---|
| 外用・内服 | メトロニダゾール/イベルメクチン外用 | 酒さの紅斑・丘疹 | 炎症コントロールの土台 |
| ブリモニジン外用 | 持続性の紅斑 | 血管収縮による即時的な赤み軽減 | |
| トラネキサム酸(内服・外用)/テトラサイクリン系内服 | 炎症・色素沈着・中等症以上の酒さ | 抗炎症と全身的サポート | |
| レーザー・エネルギー機器 | 窒素プラズマ(当院主軸) | 表在性の紅斑・毛細血管拡張 | 赤ら顔治療の中核 |
| 450nm Blue Laser | 表在性の毛細血管拡張、面状紅斑 | 部位や質感に応じた使い分け | |
| ロングパルスNd:YAG | やや深部の血管、口囲・小鼻の細い血管 | 深さの異なる血管への補完 | |
| 注入治療 (ミラジェット使用) |
マイクロボトックス/PDLLA(ジュベルック)/エクソソーム療法 | 持続性紅斑・フラッシング・肌コンディション | 血管が増えにくい土台づくり |
※ どの治療をどのように組み合わせるかは、症状・肌質・ライフスタイル・ご予算をふまえて診察の上ご提案します。「効果が高い順」ではなく、「役割の違うものを組み合わせる」とお考えください。
※ 注入治療のリスクや適応外使用に関する詳細は、ページ末尾の「リスク・副作用と当院の診療方針について」をご覧ください。
知っておきたい赤ら顔の周辺知識
診察ではなかなか伝えきれない、赤ら顔・酒さの「周辺」のお話をご紹介します。直接の治療ではありませんが、ご自身の体や生活を見直すヒントになれば幸いです。
腸と肌のつながり:gut-skin axisと食事の影響
研究で示されている関連
近年、酒さの病態に腸内環境(gut microbiome)が関与している可能性が、複数の研究で議論されるようになってきました。
酒さ患者では、健常者に比べてSIBO(小腸内細菌異常増殖)やヘリコバクター・ピロリ感染、過敏性腸症候群(IBS)、炎症性腸疾患(IBD)の頻度が高めに報告されています。これらの治療を行うことで皮膚症状にも変化がみられたとの観察研究もあります。
過剰な期待は禁物、しかし無視もできない
「腸を整えれば赤ら顔が治る」と単純に言えるほど話は簡単ではありません。
とはいえ、便通の不調や胃腸の不快感を放置せず、必要に応じて消化器内科とも連携しながら全身を見ていくことには、それ相応の意味があると考えています。
食事との付き合い方
食事については、アルコール・辛味の強い食品・ヒスタミンを多く含む食品が一時的なフラッシングを誘発しやすいことが知られています。
一方で、亜鉛・オメガ3脂肪酸・食物繊維をバランスよく含む食事は、肌や腸内のコンディションに有利に働く可能性があるとされます。
「これだけ食べれば良い」というものではなく、ご自身のトリガーを把握しながら、無理のない範囲で食生活を整えることをおすすめします。
赤ら顔・酒さは全身の状態と関係していると報告されています
心血管リスクとの相関データ
酒さ患者を対象としたメタアナリシスでは、健常者に比べて収縮期/拡張期血圧、総コレステロール、LDLコレステロール、CRP(炎症マーカー)、心外膜脂肪厚がやや高めに出る傾向や、高血圧・インスリン抵抗性の頻度が高めであることが報告されています。
これらは「亜臨床的(自覚症状はないが検査値に表れる)な心血管リスク因子の上昇」と表現されています。
誤解しないでいただきたいこと
誤解のないようにお伝えしておくと、これは「赤ら顔があるから心臓病になる」「酒さの治療で心臓病が予防できる」という意味ではありません。
あくまでも「皮膚に出ている赤みは、全身の血管・代謝・炎症の状態とまったく無関係ではない可能性がある」という、研究レベルでの示唆です。
当院の考え方
当院としては、赤ら顔の治療をきっかけに、血圧・脂質・睡眠・喫煙・運動習慣など、全身の健康にも目を向けていただく機会になればと考えています。
気になる項目があれば、必要に応じてかかりつけ医での健診や内科受診もおすすめしています。
これらの知見はあくまで研究報告であり、個人差も大きい領域です。ご自身に当てはめて判断する際は、診察の場で具体的にご相談ください。
治療の流れと注意点
初診から継続フォローまでの流れを、簡単にご説明します。
初診〜治療プラン作成
初診ではまず、症状の経過・トリガー・既往・スキンケア・内服薬などを丁寧に伺ったうえで、肌の状態を観察します。
診察結果をもとに、「どの治療を、どのくらいの間隔で、どのくらい続けるか」をご相談しながら治療プランを立てていきます。
施術後・治療間期のケア
レーザー治療では、施術直後に赤みやヒリヒリ感が出ることがあり、症状や部位によっては数日のダウンタイムを見込んでいただくことがあります。
日焼け対策とこすらないスキンケアは、治療と治療の間の期間にも引き続き重要です。
個人差と安全面のご相談
外用・内服・注入治療には、それぞれ固有の副作用やリスクがあります。妊娠・授乳中の方、持病で内服中の方、眼の症状が強い方などは、安全面を優先して治療内容を調整する必要があります。
経過には個人差があり、変化の感じ方や時期もお一人おひとり異なります。気になる変化があった際は、無理をせず早めにご相談ください。
赤ら顔・毛細血管拡張症の料金
治療内容や回数の組み合わせは個別にご提案するため、下記は参考価格です。実際の費用は診察時にお伝えします。
| カテゴリ | 治療 | 部位 | 1回 | 再施術時 |
|---|---|---|---|---|
| レーザー・ エネルギー機器 |
レーザー治療 各種 +ヒアルロン酸導入(TA) |
顔全体 | 69,300 | 2か月以内 67,100 |
| 鼻〜頬 | 47,300 | 2か月以内 46,200 |
||
| 毛細血管拡張 | 鼻周囲など | 33,000〜 | ||
| 注入治療 (ミラジェット使用) |
エクソソーム療法 | 顔全体 | 94,600 | 3か月以内 89,100 |
| PDLLA(ジュベルック) | 顔全体 | 99,000 | 3か月以内 93,500 |
|
| マイクロボトックス | 顔全体 | 99,000 | 3か月以内 93,500 |
|
| ジュベルック+マイクロボトックス | 顔全体 | 121,000 | 3か月以内 115,500 |
※ 表示は税込価格です。
※ 「再施術時」料金は、各表記の期間内(レーザー:2か月以内、注入:3か月以内)に同じ治療を続けて受けていただいた場合の料金です。
※ 注入治療(ミラジェット使用)には別途カートリッジ(消耗品)33,000円のご購入が必要です。
治療共通の注意事項・適応外使用の方針については ページ末尾の「リスク・副作用と当院の診療方針について」 をご確認ください
仙台で赤ら顔の治療をお考えの方へ
仙台・宮城エリアで赤ら顔の治療をお考えの方へ、当院の取り組みをご紹介します。
これまで「他院でレーザーを受けたが赤みが戻ってきた」「酒さと言われたがどう付き合えば良いか分からない」「ステロイドを長く使っていて、止め方が不安」といったご相談を多くいただいてきました。
当院では、見えている血管へのレーザー治療と、再発を抑える土台づくり(生活習慣・スキンケア・必要な外用や内服・必要に応じた注入治療)を組み合わせ、症状を抑えながら肌のコンディションを整えていくことを目指せる治療プランを、お一人おひとりの状況にあわせてご提案しています。
通院の頻度や費用面についても、無理のない範囲で続けられる組み立てを大切にしています。気になる症状があれば、まずはご相談ください。
よくある質問
赤ら顔と酒さはどう違うのですか?
「赤ら顔」は症状名、「酒さ」は疾患名のひとつです。赤ら顔として現れる原因にはいくつかあり、その中に酒さも含まれます。診察で原因を見極めたうえで治療プランを立てます。
毛細血管拡張症は自然に治りますか?
毛細血管拡張症は、自然に消退することは多くないとされています。レーザー・光治療で見えている血管に選択的にアプローチし、生活習慣のケアと組み合わせていくのが一般的な対応です。
レーザー治療で治るのですか?効果はどのくらい持続しますか?
「治る」よりも「コントロールしていく」治療です。毛細血管は網目状につながっているため1回の治療で完了させることは難しく、複数回の治療が必要になります。効果の持続には個人差があり、定期的なメンテナンスをおすすめする場合があります。
化粧でカバーする以外の方法はありますか?
当院では窒素プラズマや各種レーザー、外用薬・内服薬、注入治療(マイクロボトックス・PDLLA・エクソソーム療法)などを症状に合わせて組み合わせ、症状を抑えながら肌のコンディションを整えていくことを目指す治療を提案しています。
子供や若年者の赤ら顔にも治療できますか?
年齢や症状によって適応が変わります。実際に診察させていただいたうえで、安全に行える方法をご相談します。
妊娠中・授乳中の治療は可能ですか?
妊娠中・授乳中は安全面を優先し、治療内容を制限・調整させていただきます。診察時に状況を伺ったうえで、無理のない範囲のケアをご提案します。
ステロイドを長く使ってきましたが、急に止めても大丈夫ですか?
急な中止は強いリバウンドを引き起こす可能性があります。専門医の指導のもとで段階的に減量していく方が安全です。詳しい治療方針は 酒さ様皮膚炎の治療ページ をご覧ください。
食事や生活で気をつけることはありますか?
アルコール・辛味の強い食品・温度の高い飲食物・ヒスタミンを多く含む食品(熟成チーズ、加工肉、発酵食品の一部など)が一時的なフラッシングを誘発しやすいことが知られています。「食べてはいけない」ではなく、ご自身のトリガーを見つけて控えめにする付き合い方が現実的です。
参考文献
PWS と毛細血管拡張症に対する 450nm Blue Laser の治療成績
原題: Blue Laser (450 nm) in the Treatment of Port Wine Stains and Telangiectasia
出典: J Clin Med 2021;10(6):1258(Szymańczyk J, et al.)
DOI: 10.3390/jcm10061258
要約:
本研究は、450nm 高出力青色レーザーを Port Wine Stain(22例)と毛細血管拡張症(9例、うち顔面6例)に施行し、その有効性と安全性を検証した臨床報告です。
顔面毛細血管拡張症 6例ではすべての症例で改善が報告され、表在性血管病変への新たな選択肢として位置付けられました。当院で用いている 450nm Blue Laser の臨床的根拠のひとつです。
酒さに対するレーザー・エネルギー機器治療のシステマティックレビューとネットワークメタアナリシス
原題: Laser and energy-based devices for treating rosacea: A systematic review and network meta-analysis
出典: J Dtsch Dermatol Ges 2025;24(1):24-32(Nguyen L, et al.)
DOI: 10.1111/ddg.15961
要約:
本論文は、酒さの紅斑・毛細血管拡張に対する各種レーザーおよびエネルギーデバイスの有効性と安全性を、25のランダム化比較試験(RCT)に基づいてネットワークメタアナリシスで比較した網羅的レビューです。
患者満足度・紅斑改善・毛細血管拡張改善・有害事象の各指標について各デバイスの相対的位置付けが整理されました。レーザー・エネルギー機器の治療選択肢を組み合わせる根拠を提示する重要なエビデンスです。
酒さの紅斑に対する皮内ボツリヌス毒素注入のスコーピングレビューとメタアナリシス
原題: Intradermal injection of botulinum toxin for erythema in rosacea: A scoping review and meta-analysis
出典: Indian J Dermatol Venereol Leprol 2025;91(4):448-454(Yeh MC, et al.)
要約:
本論文は、酒さの持続性紅斑に対する皮内ボツリヌス毒素(マイクロボトックス)注入の有効性と安全性を、7研究167症例に基づいてメタアナリシスで検証したスコーピングレビューです。
治療1か月後・2か月後・3か月後のいずれの時点でも紅斑の改善が報告され、0.02ml/site 未満の少量注入では筋麻痺の副作用が認められず安全性が確認されています。マイクロボトックスを当院で取り扱う臨床的根拠のひとつです。
酒さと皮膚・腸内マイクロバイオームのシステマティックレビュー
原題: Rosacea and the Microbiome: A Systematic Review
出典: Dermatol Ther (Heidelb) 2021;11(1):1-12(Daou H, et al.)
DOI: 10.1007/s13555-020-00460-1
要約:
本論文は、酒さの病態に皮膚マイクロバイオームと腸内マイクロバイオームの両方が関与する可能性を、既報の文献を網羅的に整理したシステマティックレビューです。
SIBO(小腸内細菌異常増殖)、過敏性腸症候群(IBS)、炎症性腸疾患(IBD)、ヘリコバクター・ピロリ感染と酒さの関連が整理され、「gut-skin axis(腸-肌軸)」という概念の根拠となる重要な知見を提供しています。
酒さの消化器併存疾患と腸-肌軸(gut-skin axis)の総説
原題: Rosacea, Germs, and Bowels: A Review on Gastrointestinal Comorbidities and Gut-Skin Axis of Rosacea
出典: Adv Ther 2021;38(3):1415-1424(Wang FY, Chi CC.)
DOI: 10.1007/s12325-021-01624-x
要約:
本論文は、酒さと消化器疾患(炎症性腸疾患、セリアック病、過敏性腸症候群、胃食道逆流症、H. pylori 感染、SIBO)の関連を整理し、それらを「gut-skin axis(腸-肌軸)」の枠組みで解説した総説です。
共通する遺伝・免疫・微生物因子が背景にあり、SIBO や H. pylori の除菌療法が酒さの長期寛解に寄与した事例も紹介されています。皮膚症状の治療において全身を見ることの重要性を示唆しています。
酒さ患者の心血管リスクと併存疾患のシステマティックレビューとメタアナリシス
原題: Cardiovascular Risk and Comorbidities in Patients with Rosacea: A Systematic Review and Meta-analysis
出典: Acta Derm Venereol 2020;100:adv00300(Tsai TY, et al.)
要約:
本論文は、12の研究(合計 40,752例の酒さ患者)のデータを統合し、酒さ患者の心血管リスクと併存疾患を評価したシステマティックレビュー+メタアナリシスです。
酒さ患者は対照群に比べて収縮期/拡張期血圧、総コレステロール、LDLコレステロール、CRP、心外膜脂肪厚が有意に高く、高血圧(OR 1.20)、インスリン抵抗性(OR 2.34)の発生率も高いことが報告されました。皮膚症状の背後にある「亜臨床的な心血管リスク」を示す重要な知見です。
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監修者情報(医師紹介)

監修医師:佐藤 雅樹 (さとう まさき)
ソララクリニック 院長
専門分野:美容皮膚科
2000年 順天堂大学医学部卒。順天堂大学医学部形成外科入局。 大学医学部付属病院等を経て、都内美容皮膚科クリニックにてレーザー治療の研鑽を積む。2011年3月 ソララクリニック開院 院長就任。2022年 医療法人 松柴会 理事長就任。日本美容皮膚科学会 日本形成外科学会 日本抗加齢医学会 日本レーザー医学会 点滴療法研究会 日本医療毛髪再生研究会他所属。
様々な医療レーザー機器に精通し、2011年ルビーフラクショナル搭載機器を日本初導入。各種エネルギーベースの医療機器を併用する複合治療に積極的に取り組む.
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リスク・副作用と当院の診療方針について
当院での赤ら顔・毛細血管拡張症の治療を受けていただく前に、共通して知っておいていただきたいリスク・副作用と、当院の診療方針について整理しています。
治療共通の注意点
- 経過・効果の現れ方には個人差があります
- 妊娠中・授乳中の方、持病で内服中の方、眼の症状が強い方は、安全面を優先して治療内容を調整します
- 気になる症状や変化があった際は、自己判断で中止せず、早めにご相談ください
レーザー・エネルギー機器のリスクと副作用
- 施術直後の赤み・ヒリヒリ感・軽度の腫れ
- 症状や部位によっては数日のダウンタイム
- 過度な出力で、まれに色素沈着・色素脱失・皮膚陥凹が生じる可能性
- 治療前後の日焼け対策を怠ると、色素沈着リスクが上がります
注入治療(マイクロボトックス・PDLLA・エクソソーム)のリスクと副作用
- 注入部位の内出血・腫れ・違和感
- 効果の発現時期・持続期間には個人差があります
- マイクロボトックスでは、神経血管成分への作用に伴う一時的な表情の違和感が出ることがあります
- 感染リスクは極めてまれですが、ゼロではありません
外用薬・内服薬の注意
- メトロニダゾール外用:使用初期に刺激感が出ることがあります
- イベルメクチン外用:使用初期に一時的な悪化(Demodex死滅に伴う反応)が出ることがあります
- ブリモニジン外用:使用後に一時的な反跳性の紅斑(reactive erythema)や、刺激感・接触性皮膚炎が報告されています
- トラネキサム酸(内服):消化器症状が出ることがあります。血栓症の既往がある方や経口避妊薬服用中の方は使用に注意が必要です
- テトラサイクリン系内服:光線過敏、消化器症状、長期投与の制限があります
保険・適応に関する当院の方針
当院での診療はすべて保険適用外の自費診療となります。これには、保険適用のある外用薬を含むすべての治療が含まれます。
イベルメクチン外用・ブリモニジン外用・マイクロボトックス・PDLLA(ジュベルック)注入は、国内で酒さ・赤ら顔に対する保険適用や薬事承認を受けたものではありません。トラネキサム酸内服も、肝斑などへの適応はあるものの、酒さ・赤ら顔に対しては適応外の使用となります。
当院ではこれらを「適応外使用」としてご提案する場面がありますが、その判断は次のような根拠に基づいています。
- 海外の臨床研究や複数のシステマティックレビュー・メタアナリシスで、酒さや顔面紅斑に対する有効性・安全性が報告されていること
- 欧米の皮膚科ガイドラインで、これらの治療が選択肢のひとつとして位置付けられていること
- 保険適用の標準治療では十分な改善が得られなかった症例において、追加の選択肢としての価値が認められていること
適応外使用の医薬品・治療をご提案する場合は、効果・副作用・代替治療の選択肢について、診察時に個別にご説明したうえで、患者さんご自身のご判断をいただいています。
更新履歴
2026-05-04 全面リニューアル(旧 /akaragao/ より移行、本文構造を全面再構成。階層を /nayami/akaragao/ に変更)