肌のハリと コラーゲンSkin Firmness
ハリが失われるしくみと、
頬に触れたときの弾むような手応えが、弱くなってきた。笑った後の跡が、なかなか消えない。診察でよくうかがう、肌のハリのお悩みです。
ハリは表皮の下の真皮で生まれます。真皮のコラーゲンの網が少しずつ減って傷み、網をつくる細胞も働きにくくなると、ハリは失われていきます。そこには、年齢を重ねることと、日差しを浴び続けてきたことの両方が関わっています。
このページでは、真皮で起きていることを研究とあわせてご説明し、「肌育」と呼ばれる治療が何を育てているのかを考えます。
「活性化した細胞が、コラーゲン等重要な肌の構成要素を産生することで、皮膚の再生が促進されてきます。このような流れで効果が出現してきますから、少し遅れて効果が見えてくることになります。」2012年に、このサイトに書いた一節です。肌育の治療は、肌が自分でコラーゲンをつくる力に働きかけるので、新しいコラーゲンによる変化を感じるまでには、少し時間がかかります。その間に肌の中で何が起きているのかを、知っておいていただきたいと思います。院長 佐藤 雅樹
2010年の記事「肌のタルミを改善する二つの方法」は、このページにまとめ直しました。
このページのポイント
- 肌のハリは、真皮のコラーゲンの網が肌を内側から張って支えることで生まれます。網をつくり、整えているのは線維芽細胞です
- コラーゲンは年齢とともに減り、弾力の落ち方は、腕や背中より顔で大きいと報告されています。顔では日差しによる老化(光老化)も重なるので、毎日の紫外線対策が土台になります
- 年をとった真皮では、コラーゲンが断片になり、線維芽細胞がつかまる足場を失って、引っ張られなくなります。すると、コラーゲンをつくる量が減って分解する酵素が増え、老化が次の老化を呼ぶ悪循環になります
- 年をとった肌の線維芽細胞も、働ける環境が整えば、新しいコラーゲンをつくれると報告されています。治療では、この新しいコラーゲンを育てることで、ハリの改善を目指します
- 皮膚のコラーゲンは入れ替わりがとても遅く、半分が入れ替わるまでの時間(半減期)は約15年と推定されています。治療の後、新しいコラーゲンは数週間から数か月かけてつくられるので、肌の変化も月単位です
- 肌育は、肌が自分で新しいコラーゲンをつくる反応を促す治療です。傷を治す反応を引き出す道(熱や微細な傷を使う治療)と、成分で育つ力を後押しする道があります
- 当院では、窒素プラズマを主体に、月に一度のペースで、半年、一年という単位で少しずつ肌を整えていきます
ハリが戻りにくい理由を知りたい方は、悪循環の章へ。肌育の考え方は肌育の章、飲む・塗るコラーゲンについてはコラーゲンとレチノールの章をご覧ください。通い方と初診の流れは、「ハリが気になるときは、どう進める?」でご案内しています。
この記事の目次
肌のハリは何で決まる? 真皮のコラーゲンの網
肌のハリは、表皮の下にある真皮のコラーゲンの網で決まります。真皮では、コラーゲンの線維が束になって縦横に編み込まれ、肌を内側から張って支えています。
この網をつくり、古くなったところを分解しながら整えているのが、真皮の中に点在する線維芽細胞です。真皮には、コラーゲンのほかに、伸び縮みするエラスチン(弾性線維)や、線維のすき間を満たすヒアルロン酸などがあり、その多くも線維芽細胞がつくっています(参考文献1)。
「ハリ」と「弾力」は、少し違います
ここでは、引っ張られても伸びにくいことを「ハリ」、伸びた後に元へ戻る力を「弾力」と呼び分けます。研究では、小さな筒の中に肌を吸い上げ、どれだけ伸びるか、吸うのをやめた後にどれだけ戻るかを測って(参考文献2)、ハリや弾力を数字にしています。
年齢とともに、真皮では何が変わる?
年齢とともに真皮のコラーゲンは減り、弾力も落ちていきます。変わり方は、体の場所や日差しをどれだけ浴びてきたかによって違います。
多くの健康な人の前腕で皮膚のコラーゲンの量を測ると、年齢とともに減り、どの年代でも女性のほうが少なくなっていました(参考文献3)。
顔は弾力が落ちやすい場所のようです。韓国の20〜75歳の女性96名で顔・上腕・背中を比べると、弾力の指標の変わり方は、上腕や背中より顔で大きくなっていました(参考文献2)。
顔の変化には日差しの影響も加わります。6〜84歳の人の皮膚を顕微鏡で調べた研究では、日に当たらない皮膚のコラーゲンにはっきりした変化が出たのは、80代に入ってからでした。ところが日に当たる皮膚では、Ⅰ型コラーゲンの染まる濃さ(量の目安)が、10歳未満で82.5%、80代で53.2%と、年代を追って下がっていました(参考文献4)。
顔の真皮の変化の多くは、日差しによる老化(光老化)と重なっていると私は見ています。日差しの影響は光老化のページで詳しく書いています。

皮膚は薄くなる?(菲薄化)
年齢とともに皮膚が薄くなる(菲薄化する)かどうかは、体の場所によって研究の結果が分かれます。真皮の中身が変わっていくことは、研究で一貫しています。
フランスの化粧品会社の研究所(参考文献5)は、142名の女性の前腕を超音波で調べました。皮膚の厚さは60〜70歳ごろまでほぼ一定で、その後薄くなっていました。著者らは、皮膚の厚さより、真皮の浅い層に暗く映る帯の厚さのほうが、老化をよく表す目印になると述べています。
デンマークで18〜94歳の90名を20MHzの超音波で調べた研究(参考文献6)では、額とお尻の皮膚は年齢とともにむしろ厚くなり、前腕と足首では薄くなっていました。厚さと年齢の間に決まった関係は見られませんでした。
2014年の記事では、「肌やせ」(皮膚の菲薄化)を取り上げました。そのときには次のように書きました。
年齢を重ねていくうちに、細胞が衰えていき、皮膚を構成するコラーゲン、エラスチンなどが十分に作れなくなっていきます。細胞の老化にともなって十分に作れなくなってきたことで、皮膚は薄くなっていきます。2014年の院長の記事「肌を若返らせるエイジングケア・老化対策」より
今読み返すと、真皮の中身が年齢とともに変わっていくという点は、デンマークの超音波の研究の結果とも合っています(参考文献6)。皮膚が薄くなるという点は、前腕の60〜70歳ごろより後には当てはまりますが(参考文献5)、顔で調べられた額は、むしろ厚くなっていました(参考文献6)。
年をとった真皮では、コラーゲンが減るだけでなく、残ったコラーゲンも断片になっていきます。これが進むと、高齢の方に見られる、薄くもろい皮膚につながると考えられています(参考文献1)。そのしくみを次の章でご説明します。
なぜハリは戻りにくい? 線維芽細胞がしぼむ悪循環
ハリが戻りにくいのは、年をとった真皮で、コラーゲンをつくる線維芽細胞が働きにくくなっているためです。米国ミシガン大学のグループ(参考文献1)は、これを、老化が次の老化を呼ぶ悪循環だと説明しています。
悪循環の4段階
- 網が切れる:コラーゲンが分解酵素で切られ、断片が残る
- 足場を失う:線維芽細胞が断片にうまくつかまることができず、引っ張られなくなる
- 細胞がしぼむ:引っ張られない細胞は丸くしぼみ、コラーゲンを少なく、分解酵素を多くつくる
- 網がさらに傷む:分解がつくる量を上回り、網は細く、まばらになっていく
若い真皮では線維芽細胞が周りのコラーゲンにしっかりつかまり、平たく引き伸ばされています(参考文献1)。細胞はこの引っ張られる力を受けることで、コラーゲンをつくる量と分解する量のつり合いを保っています。
若い人と80歳以上の人を比べた研究
ミシガン大学のグループ(参考文献7)は、日に当たらない腰の皮膚で、18〜29歳の人と80歳以上の人を比べました。組織の中にあるコラーゲンのもと(Ⅰ型プロコラーゲン)は、80歳以上の人では68%も少なかったのです。
顕微鏡で見ると、線維芽細胞の表面のうち、コラーゲンの線維に接している割合は、若い人の78%に対して、80歳以上の人では58%でした(参考文献7)。著者らは、細胞の広がり方も小さいことから、細胞を引っ張る力が弱まっていると見ています。
この研究で、細胞を取り出して同じ条件で育てると、80歳以上の人の細胞がつくるコラーゲンのもとは、若い人より約3割少なくなっていました。
著者らは、80歳以上の人のコラーゲンづくりの減り幅を、以前の研究から約75%とし、その内訳を見積もっています。約45%分は細胞そのものの衰え(細胞の数が減ることと、細胞ごとのつくる力が落ちること)、残りの約30%分は、引っ張られなくなったことなどによるものです。
日差しで傷んだ肌では、引っ張られなくなることのほうが主な理由だろう、とも述べています(参考文献7)。
同じグループは総説(参考文献1)で、80歳以上の人の細胞でも、つくる力はそれほど落ちていないと見ています。年をとった肌の線維芽細胞も、断片になった足場から離すと、新しいコラーゲンをつくる力を十分に残している、というのです。
そうだとすると、日差しを浴びてきた顔の肌では、細胞の衰えより、働ける環境を失っていることのほうが大きいのでしょう。環境のほうなら、治療で外から手を打つことができる、と私は考えています。
新しいコラーゲンができると
総説によると、傷んでいない新しいコラーゲンができると、線維芽細胞は再びそこにつかまって引っ張られます。すると、つくる働きと分解する働きのつり合いが戻り、老化の進みがゆるやかになるとされています(参考文献1)。肌育の治療では、この新しいコラーゲンをつくることを目指します。
コラーゲンは、どのくらいで入れ替わる?
皮膚のコラーゲンはとてもゆっくり入れ替わります。半分が入れ替わるまでの時間を半減期といいます。オランダの研究所などの研究(参考文献8)では、皮膚のコラーゲンの半減期は約15年と推定されています。

この研究(参考文献8)は、アミノ酸の形が年月とともに少しずつ変わることを利用して、コラーゲンが体の中にとどまってきた時間を見積もったものです。関節の軟骨のコラーゲンは、さらに長く、約117年と推定されています。
入れ替わりの遅いコラーゲンには、糖と結びついてできる物質(AGEs)が、年齢とともにたまっていきます(参考文献8)。たんぱく質が糖と結びつくこと(糖化)は、肌が黄色っぽくくすむ「黄ぐすみ」にも関わっています(黄ぐすみのページ)。当院では、皮膚にたまったAGEsを測る体内糖化度検査を、体内バランスチェックの中で行っています。
半減期の約15年は、ふだんのコラーゲンの入れ替わりの推定です。治療の後の肌の変化は、これとは別のしくみで起こります。肌に熱などの刺激が加わると、それをきっかけに、数週間から数か月かけて新しいコラーゲンがつくられていきます(参考文献9)。
つくられたコラーゲンは、治療をやめてもすぐに消えるものではないと、以前の記事にも書きました。半減期が年単位という推定とも、矛盾しないと思います。炭酸ガスレーザーの研究(参考文献9)でも、治療の後のつくり直しは、半年以上続いていました。
治療でできたコラーゲンが何年残るかまでは、よくわかっていません。
肌育は、何を育てている?
このページでいう肌育は、肌が自分で新しいコラーゲンをつくる反応を促す治療です。育てているのは、真皮の新しいコラーゲンの網と、それをつくる線維芽細胞が働ける環境です。
冒頭でお知らせした2010年の記事では、「色々異論があるところかもしれませんが、ざっくりと分けてみます」と前置きして、切らずに肌を引き締める方法を、2通りに分けました。熱でコラーゲンを変性させて縮め、新しいコラーゲンに入れ替わらせる方法と、肌の再生能力を高めて、コラーゲンなどをつくり直させる方法です。
熱で縮むことは、「肉を焼くと、徐々に収縮が起きていきます」とたとえました。
今の治療に置き換えると、傷を治す反応を引き出す道(熱や微細な傷を使う治療)と、成分で育つ力を後押しする道になります。
当時は、熱で縮める方法は縮む分の手応えが早く、再生能力を高める方法は時間がかかるものの、つくられたものが残っている間は効果が続く、と考えていました。そこで、両方の長所を組み合わせることを勧めていました。
この考えは、今も変わりません。

傷を治す反応を引き出す治療
熱や、目に見えないほどの微細な傷を肌に加えると、肌はそれを治そうとして、新しいコラーゲンをつくります。熱で真皮を温める機器、微細な穴をあけるレーザー、細い針などは、いずれもこの反応を利用しています。
光老化した前腕の皮膚を炭酸ガスレーザーで薄く削り、その後を追った研究(参考文献9)では、細胞どうしの合図になる物質が、コラーゲンが変わり始めるより前か、ほぼ同じころに増えていました。コラーゲンをつくる指令は21日目に最も多くなり、その後も、少なくとも6か月は多い状態を保っていました。
当院で美肌治療の中心にしている窒素プラズマ(ネオジェン PSR Evo)も、熱を使うこちらの治療です。窒素ガスに高周波のエネルギーを与えてプラズマにし、その熱で、肌の表面から真皮の浅いところまでを温めます(参考文献10)。
米国の研究(参考文献10)では、8名の顔全体に、低めの出力(1.2〜1.8ジュール)の窒素プラズマを3週ごとに3回照射し、最後の照射から90日後に、6名の組織を調べています。表皮のすぐ下に新しいコラーゲンの帯ができていて、深さは平均72.3µm(0.07mmほど)でした。しわは最後の照射から3か月後、医師の評価で37%改善していました。
人数が少なく、比べる群を置いていない研究です。当院の肌質改善の照射はこの研究より低い出力で行っています。
この米国の研究で使われた機器は、ポートレートPSRです。その後、ネオジェン SPA、ネオジェン PSR と機種が続き、いま当院で使っているネオジェン PSR Evo になっています。
FDA(米国食品医薬品局)への届け出では、ネオジェン PSR のシステムとポートレートPSRは、操作画面とソフトウェア、外装のほかは同じ技術とされています。私もポートレートPSRを使っていましたが、しくみは変わっていません。
タイで行われた試験(参考文献11)は、目の周りに小じわのある18名の片側だけに窒素プラズマを3週ごとに3回照射し、照射しなかった側と比べたものです。試験を始めてから14週あまりの時点で、照射した側では、しわの評価も、肌の表面の凹凸を測る機器の数値も、照射しなかった側よりよくなっていました。
育つ力を、成分で後押しする治療
成分の治療では、肌の中に成分を届けて、線維芽細胞がまた働き出すのを助けます。細い針で注入する方法や、機器を使って肌に届ける方法があります。世間で「肌育注射」と呼ばれている、成分を注入する治療も、この道に含まれます。
前の章で見たように、年をとった真皮でコラーゲンがつくられにくくなる理由は、線維芽細胞そのものの衰えと、断片になった足場で細胞が引っ張られなくなることの2点です(参考文献7)。成分の治療は、このどちらか、あるいは両方に働きかけるものと考えると、わかりやすいと思います。
成分で後押しする、2種類の働きかけ
- 足場を整える:真皮を内側から支え、線維芽細胞が再び引っ張られる環境をつくる
- 細胞に合図を送る:線維芽細胞に働きかけて、コラーゲンをつくる力を高める
足場の役割はミシガン大学のグループが調べています。平均74歳の11名で、日差しで傷んだ前腕の真皮に、しわやくぼみを埋める充填剤として使われるヒアルロン酸のジェル(架橋ヒアルロン酸)を注入し、比べるために、別の場所には生理食塩水を入れました。
注入から4週後と13週後、ジェルの周りではコラーゲンが増え、コラーゲンをつくる指令も増えていました。周りの線維芽細胞は引き伸ばされた形をしていました(参考文献12)。
ところが、取り出して育てた線維芽細胞は、このジェルにくっつきませんでした(参考文献12)。著者らは、ジェルの成分そのものが細胞を刺激したとは考えにくく、ジェルが真皮を内側から押し広げて細胞が引っ張られたことがきっかけだろう、としています。
引っ張られない細胞はしぼむ、という悪循環の話を、ちょうど裏返した結果です。腕で行われた研究ですが、真皮を内側から支える成分を顔に使うとき、私はいつもこのしくみを頭に置いています。
細胞に合図を送る働きは、塗る成分のレチノールでも調べられています。詳しくは塗るレチノールの項でご紹介します。
注入や導入に使う成分にはいくつもの種類があり、肌の中での作用のしかたも、通う間隔も、成分ごとに違います。当院で行っている成分の治療と、それぞれの注意点は、美肌治療・肌育のページの「治療の役割マップ」でご案内しています。
成分の治療では、細胞が働き出してからコラーゲンがつくられるまでに時間がかかります。冒頭の「少し遅れて効果が見えてくる」は、この道の治療について書いたものです。
2通りの道は組み合わせて使うこともできます。傷を治す反応でコラーゲンをつくるきっかけを与え、成分で細胞を支える、という使い方です。当院の窒素プラズマの治療でも、照射の後に、成分を肌に届ける導入を組み合わせています。
変化を感じるまでの時間
肌育は、月に一度のペースで続けながら、少しずつ肌を整えていく治療です。1回ごとの変化は小さく、半年、一年という単位で確かめていきます。

どのくらい続けるとよいかは、肌の状態によって大きく違います。肌画像分析(VISIA)の画像や見た目、手で触れたときの変化から、肌が十分に整ったと判断できたところで、その状態を保つために、1〜3か月に一度のメンテナンスへ移ります。
このページでご紹介した研究の多くは、限られた期間で結果をまとめるために、少ない回数で評価したものです。実際の回数は診察のたびに肌を見て決めています。
真皮の様子は、超音波で見える?
肌の表面からは見えない真皮の様子を、研究では、高い周波数の超音波で皮膚の断面を画像にして調べています。画像からは、皮膚の厚さや真皮の映り方がわかります(参考文献5・6)。
健康な真皮は超音波をよく反射して、画像では明るく映ります。日差しを長く浴びてきた肌では、表皮のすぐ下に、超音波をあまり反射しない黒い帯が見えることがあり、研究ではSLEBと呼ばれています。subepidermal low echogenic band の頭文字で、「表皮の下の、反射の弱い帯」という意味です。
デンマークの研究者(参考文献13)は、この帯を、真皮の浅いところでエラスチンが変性したもの(エラストーシス)と、むくみが映ったものだろうとしています。18〜57歳の55名の前腕を調べたこの研究では、黒い帯の見られる人の割合は年齢とともに増えましたが、若い人にも帯は見られました。
日に当たる場所では、真皮の上の層の映り方が、年齢とともに暗くなることも報告されています(参考文献6)。
当院にも、20MHzの高周波超音波で皮膚の断面を画像にできる機器(DermaLab)があり、皮膚の厚さなども測ることができます。

治療の進め方は、診察で見た目と、手で触れたときのハリを確かめ、肌画像分析(VISIA)の画像と合わせて決めています。肌診断の機器について詳しくは、肌診断機器の紹介のページをご覧ください。
飲む・塗るコラーゲン、レチノールは?
飲むコラーゲンは研究の結果が分かれていて、塗るコラーゲンは、肌の表面をうるおすためのものです。塗るレチノールは少し違い、高齢の人の腕でコラーゲンのもとが増えていました。
飲むコラーゲン
飲むコラーゲン(加水分解コラーゲン)の比較試験をまとめて分析した研究は、2通りの結論に分かれています。2021年の分析(参考文献14)は19件の試験(1,125名)を対象にしたもので、偽薬(プラセボ)と比べて、うるおい・弾力・しわが改善していました。
しかし、2025年の分析(参考文献15)は、23件の試験(1,474名)を、資金の出どころと研究の質で分けて調べました。全体では改善していたものの、製薬会社などの資金を受けていない研究に限ると、差はありませんでした。
質の高い研究に限っても、うるおい・弾力・しわのいずれにも差は出ていません。著者らは、肌の老化の予防や治療に使う根拠は、今のところないと結論しています(参考文献15)。
真皮のコラーゲンは肌の中の線維芽細胞がつくるものです(参考文献1)。お使いになるかどうかは、こうした研究の状況を知ったうえで、ご自身で決めていただければと思います。
塗るコラーゲン
化粧品のコラーゲンを塗っても、それがそのまま真皮のコラーゲンの網に加わるわけではありません。
肌の表面には外からの物質を通しにくいバリアがあります(肌のバリアと乾燥のページ)。分子の重さがおよそ500ダルトンより大きいものは、塗っても皮膚を通り抜けられない、という目安があります(参考文献17)。真皮の網をつくっているコラーゲンは、この目安よりはるかに大きな分子で、線維芽細胞がつくって並べるものです。
化粧品のコラーゲンは、肌の表面のうるおいを保つもの、と考えておくのがよいでしょう。

塗るレチノール
レチノール(ビタミンA)は、塗る成分の中でも研究の多いものです。
米国の試験(参考文献16)では、平均87歳の36名の腕の左右に、0.4%のレチノールのローションと、レチノールを含まないローションを24週間塗り分けました。レチノールを塗った側では細かいしわが改善していました。
レチノールを塗った側の組織を調べた一部の人(4〜6名)では、水分を抱える成分(グリコサミノグリカン)と、コラーゲンのもとが増えていました。調べたのは高齢の人の腕で、顔ではありません(参考文献16)。
ハリが気になるときは、どう進める?
仙台市青葉区の美容皮膚科、ソララクリニックでは、ハリの低下や小じわ、肌のゆるみなど、真皮に関わるご相談をお受けし、肌育の治療を行っています。
まず、診察と肌画像分析(VISIA)で今の肌の状態を確かめ、そのうえで、治療の組み合わせと通い方をご提案します。
基本は窒素プラズマで、月に一度のペースで通っていただきながら、肌の状態に合わせて、ほかの機器や成分の治療を組み合わせます。どの治療がどんな役割を持つかは、美肌治療・肌育のページにある「治療の役割マップ」にまとめています。
顔のたるみには皮膚の下の組織の変化も関わります。たるみそのものについては、たるみ治療のページをご覧ください。
初診の日に治療の計画を立て、治療は原則として次回から始めます。初診料は、VISIA肌画像分析の費用を含めて3,300円(税込)です。治療の費用は料金表でご案内しています。
ご予約はお電話で承っています。診療時間は10時〜18時30分(水曜定休)、場所は仙台駅西口から徒歩約5分です。
ご予約・お問い合わせ
よくあるご質問
肌のハリは取り戻せますか?
年齢による変化をすべて元に戻すことはできませんが、今の肌から少しずつ整えていくことはできると考えています。
米国ミシガン大学の研究では、80歳以上の人の線維芽細胞も、皮膚から取り出して育てると、若い人の7割ほどのコラーゲンのもとをつくっていました。同じグループは、細胞の力の衰えに加えて、断片になったコラーゲンの中で細胞が働きにくくなっていることも大きい、と考えています。
紫外線対策をしながら、熱や微細な傷を使う治療や、成分の治療を、月単位で重ねていきます。
肌のハリのために、毎日できることはありますか?
毎日の紫外線対策が何より大切です。日差しを浴びると、そのたびに肌の中でコラーゲンを分解する酵素が増えます。日焼け止めは季節を問わず使ってください。紫外線と肌の老化については、光老化のページをご覧ください。
皮膚は年齢とともに薄くなりますか?
体の場所によって違います。フランスで142名の女性の前腕を調べた研究では、皮膚の厚さは60〜70歳ごろまであまり変わらず、その後に薄くなっていました。しかし、デンマークで18〜94歳の90名を調べると、額やお尻の皮膚は、年をとるにつれてむしろ厚くなっていました。
年齢とともにはっきり変わるのは、厚さより、コラーゲンなど真皮の中身のほうです。
ステロイドの塗り薬を長く使ったことで皮膚が薄くなるのは、年齢による変化とは別のしくみです(酒さ様皮膚炎のページ)。
薄くなった皮膚は、厚くできますか?
このページでご紹介した治療の研究は、皮膚の厚さではなく、真皮の中に新しいコラーゲンができるかどうかを調べています。
顔に窒素プラズマを照射した米国の研究では、表皮の下の浅いところにコラーゲンが新しくできていました。この研究の出力は、当院の肌質改善の照射より高めです。塗るレチノールでも、高齢の人の腕に24週間続けたところ、組織を調べた一部の人でコラーゲンのもとが増えていました。
当院では、新しいコラーゲンがつくられる反応を促す治療で、真皮の中身を整えていきます。
コラーゲンのサプリメントは、肌のハリに効果がありますか?
研究の結果が分かれています。2021年に19件の試験をまとめた分析では、うるおいや弾力が改善していました。しかし2025年の分析(23件)では、製薬会社などから資金を受けていない試験に絞っても、質の高い試験に絞っても、はっきりした差はありませんでした。
試してみるかどうかは、こうした結果を踏まえてお決めください。
コラーゲン入りの化粧品で、真皮のコラーゲンは増えますか?
塗ったコラーゲンが、真皮に届いて肌のコラーゲンになることは、ほとんどないでしょう。肌は外からの物質を通しにくいつくりで、真皮のコラーゲンは、肌の中の細胞がつくるものだからです。化粧品のコラーゲンは、肌の表面をうるおす目的で使われています。
肌育とは何ですか?
肌育は医学の用語ではなく、美容医療で使われている言葉です。このページでは、肌の中で新しいコラーゲンがつくられるように、肌自身の働きを引き出す治療を、肌育と呼んでいます。
熱や微細な傷を加えて、肌が治ろうとする反応を引き出す方法と、成分を届けて、育つ力を後押しする方法の2通りがあります。世間でいう「肌育注射」は、成分を届けるほうに入ります。
肌育の治療は、どのくらいで変化を感じますか?
肌の中では、治療の後、数週間から数か月かけてコラーゲンがつくられていくので、変化は少し遅れて表れます。月に一度通っていただき、半年、一年の単位で変化を見ていきます。
続ける期間は肌の状態で大きく違うので、診察で肌を見ながらご相談します。
肌育の治療は、何回くらい受ければよいですか?
決まった回数はなく、肌の状態しだいです。月に一度のペースで通っていただき、十分に改善したところで、1〜3か月に一度のメンテナンスに切り替えます。集中して整える時期は、月に2回のこともあります。
研究で行われた回数は、限られた期間で結果を確かめるためのもので、実際の治療の回数の目安ではありません。
治療をやめると、元に戻りますか?
つくられたコラーゲンが、治療をやめてすぐに消えてしまうことはないと思います。皮膚のコラーゲンは、半減期が約15年と推定されるほど、ゆっくり入れ替わるからです。治療でつくられた分がどのくらい残るかは、まだはっきりしていません。年齢や日差しによる老化は、その後も進みます。
肌が十分に整った後は、1〜3か月に一度のメンテナンスで、その状態を保つことをお勧めしています。
窒素プラズマのダウンタイムはどのくらいですか?
目的に合わせて出力を調整しています。肌質の改善を目的とした照射では、ダウンタイムはほとんどありません(赤みが出ても、当日〜翌日ほどで落ち着くことが多いです)。ニキビやニキビ跡、毛穴などで出力を上げるときは、薄く細かいかさぶた(ブラウンチェンジ)と皮むけが、3日〜1週間ほど続きます。
顔全体に照射した米国の研究(1.2〜1.8ジュール)では、参加した人が感じたダウンタイム(皮むけや赤み)は、1回目の照射の後で平均9日ほどでした。この強さは、当院でニキビの治療に使う出力と同じくらいです。
どの出力で行うかは、肌の状態とご予定をうかがって決めます。
ハリが気になるときは、どこに相談すればよいですか?
美容皮膚科でご相談いただけます。仙台市青葉区のソララクリニックでは、医師が肌を診察し、肌画像分析(VISIA)の画像を見ながら、窒素プラズマを主体にした肌育の治療の組み立てを、ご一緒に考えます。治療は原則として初診の次の回から始めます。
参考文献
1老化した真皮の悪循環と、新しいコラーゲンをつくらせる治療(総説)
要約:
本総説は、米国ミシガン大学の研究グループが、年をとった真皮で起きている変化と、それに対する治療の考え方をまとめたものです。
年をとった真皮では、コラーゲンが分解酵素によって断片になり、コラーゲンをつくって整える線維芽細胞が、断片にうまくつかまることができなくなります。引っ張られなくなった細胞はしぼみ、コラーゲンを少なく、分解酵素を多くつくるため、変化が自ら続いていく悪循環になり、高齢の方に見られる薄くもろい皮膚につながると述べています。一方で、年をとった肌の線維芽細胞も、断片になった足場から取り出すと新しいコラーゲンをつくる力を十分に残しており、80歳以上の人の細胞でも、つくる力の低下は大きくなかったと紹介しています。そのうえで、傷んでいない新しいコラーゲンをつくらせる治療(レチノイン酸の外用、炭酸ガスレーザーによるリサーフェシング、架橋ヒアルロン酸の真皮内注入など)で線維芽細胞が再び引っ張られると、つくる働きと分解する働きのつり合いが戻り、老化の進みがゆるやかになると考えています。
本ページでは、線維芽細胞がコラーゲンの網をつくって整えていること、悪循環のしくみ、年をとった肌の細胞もつくる力を残していること、新しいコラーゲンができると老化の進みがゆるやかになるという考え方の根拠として参照しています。
2年齢と体の場所による、肌の弾力の違い
要約:
本研究は、韓国のソウル大学盆唐(ブンダン)病院の皮膚科の研究者らが、20〜75歳の健康な女性96名の顔・上腕・背中で、肌を小さな筒に吸い上げて伸び方と戻り方を測る機器(吸引式の測定器)を使い、弾力の年齢による変化と、場所による違いを調べたものです。
年齢とともに、弾力を表すいくつもの指標が変化していて、その変化は上腕や背中より顔で大きくなっていました。特に、顔で戻る力を表す指標が、年齢とともに大きく下がっていました。
本ページでは、研究で肌のハリや弾力を測る方法と、弾力の年齢による変化が顔で大きいことの根拠として参照しています。
3年齢・性別と、皮膚の厚さ・コラーゲンの量
要約:
本研究は、多くの健康な人の前腕の皮膚で、コラーゲンの量、真皮の厚さ、コラーゲンの密度を測り、今後の研究の基準となる値としてまとめたものです。
皮膚のコラーゲンは年齢とともに減り、どの年齢でも女性のほうが少なくなっていました。コラーゲンの量と真皮の厚さには直接の関係がありましたが、病気によってはコラーゲンの密度が変わるため、厚さだけでコラーゲンの量を推し量るには限界がある、とも述べています。
本ページでは、皮膚のコラーゲンが年齢とともに減り、どの年齢でも女性のほうが少ないことの根拠として参照しています。
4日に当たる皮膚と当たらない皮膚の、コラーゲン・エラスチンの比較
要約:
本研究は、6〜84歳の健康な人から採った83検体で、日に当たる皮膚と当たらない皮膚の表皮・コラーゲン・エラスチンを、組織の染色と電子顕微鏡で比べたものです。
日に当たらない皮膚では、Ⅰ型・Ⅲ型コラーゲンの染まり方が変わったのは80代になってからでしたが、日に当たる皮膚では、10歳未満の82.5%・80.4%から80代の53.2%・44.1%へと下がっていました。顔の皮膚では、40代以降、コラーゲン線維の並びが乱れて見えました。エラスチンは、日に当たらない皮膚では年齢とともに減り、日に当たる皮膚では増えていて、顔では形の崩れたエラスチンが、失われたコラーゲンの場所を埋めているように見えたと述べています。
本ページでは、日に当たらない皮膚ではコラーゲンの変化が80代以降にはっきりする一方、日に当たる皮膚では年代を追って減っていくことの根拠として参照しています。
5超音波の画像で見る、皮膚の老化
要約:
本研究は、フランスの化粧品会社(ロレアル)の研究所の研究者らが、開発した超音波の画像の技術で、142名の女性の前腕(内側と外側)の皮膚を調べたものです。
皮膚の厚さは、60〜70歳ごろまではほぼ一定で、その後薄くなっていました(原文は「60歳代まで」という書き方です)。画像では、真皮の浅い層に暗く映る帯と、その下の明るく映る層が見え、暗い帯は乳幼児ではほとんどなく、年齢とともに厚くなって、高齢の人では皮膚の厚さの約75%を占めていました。著者らは、この暗い帯を細かく密なコラーゲンの網の層と解釈し、帯の厚さのほうが、皮膚の厚さより真皮の老化を敏感に映す目印になると述べています。この帯が何を映しているかについては、その後、エラスチンの変性やむくみによるものとする解釈も出されています(参考文献13)。
本ページでは、前腕の皮膚の厚さが60〜70歳ごろまではほぼ一定で、その後薄くなることと、厚さより真皮の浅い層の変化のほうが老化をよく映すことの根拠として参照しています。
6超音波で見る、年齢による老化と光老化(皮膚の映り方と厚さ)
要約:
本研究は、デンマークのコペンハーゲン大学の皮膚科の研究者らが、18〜94歳の90名(男性29名・女性61名)で、日差しの当たり方の違う場所(前腕の外側と内側、額、足首)と、日に当たらないお尻の皮膚を、20MHzの超音波で調べたものです。
よく日に当たる場所(前腕の外側・額)では、真皮の上の層の映り方が、年齢とともに暗くなっていました。日差しの当たり方が中程度の場所(前腕の内側・足首)では変わらず、お尻ではむしろ明るくなっていました。真皮の下の層は、どの場所でも年齢とともに明るくなっていました。皮膚の厚さは、額とお尻では年齢とともに厚くなり、手足では薄くなっていて、厚さと年齢に一般的な関係は見られませんでした。
本ページでは、皮膚の厚さの年齢による変化が場所によって分かれることと、日に当たる場所で真皮の上の層の映り方が年齢とともに暗くなることの根拠として参照しています。
7年をとった皮膚で、コラーゲンがつくられにくくなる理由
要約:
本研究は、米国ミシガン大学の研究者らが、日に当たらない腰の皮膚で、18〜29歳の人と80歳以上の人を比べ、年をとった皮膚でコラーゲンがつくられにくくなる理由を調べたものです。
組織の中のコラーゲンのもと(Ⅰ型プロコラーゲン)は、80歳以上の人で68%少なくなっていました(各6名)。取り出した線維芽細胞を同じ条件で育てると、80歳以上の人の細胞がつくる量は、若い人の82ng/mLに対して56ng/mLでした(各8名から採った細胞)。顕微鏡で見ると、線維芽細胞の表面のうちコラーゲンの線維に接している割合は78%に対して58%で、細胞の広がり方も小さく、細胞が受ける引っ張る力が弱まっていると考えられました。著者らは、以前の研究で約75%と見積もった減少のうち、約45%分は線維芽細胞の数と働きの衰えで、残りの約30%分は引っ張る力が弱まったことなどで説明できると見積もっています。日差しで傷んだ肌では引っ張る力の低下が主な理由とみられるのに対し、年齢による老化では、2点ある理由の一方だとしています。
本ページでは、年をとった皮膚でコラーゲンがつくられにくくなる理由が、細胞そのものの衰えと、引っ張られなくなることの2点にあることと、日差しで傷んだ肌では後者が主な理由とみられることの根拠として参照しています。
8コラーゲンの入れ替わりの速さと、糖化した物質のたまり方
要約:
本研究は、オランダの研究所などの研究者らが、関節の軟骨と皮膚のコラーゲンで、糖と結びついてできる物質(AGEs)の量と、たんぱく質が体の中にとどまってきた時間の目安(アミノ酸の一種のアスパラギン酸の形の変化)を、年齢の異なる人で測ったものです。
AGEsも、とどまってきた時間の目安も、軟骨と皮膚のどちらのコラーゲンでも年齢とともに直線的に増えていました。とどまってきた時間の目安の増え方から、軟骨のコラーゲンの半減期は117年、皮膚のコラーゲンは15年と推定しています。著者らは、入れ替わりの遅いコラーゲンほどAGEsがたまりやすいことを、初めて実験で示したと述べています。
本ページでは、皮膚のコラーゲンの入れ替わりが年単位の遅さであることと、入れ替わりの遅いコラーゲンにAGEsがたまっていくことの根拠として参照しています。
9炭酸ガスレーザーの後に、真皮がつくり直される流れ
要約:
本研究は、米国ミシガン大学の研究者らが、光老化した前腕のある48〜76歳の28名で、前腕の一部を炭酸ガスレーザーで削り、その後の組織を時間を追って調べたものです。
Ⅰ型・Ⅲ型のコラーゲンをつくる指令(mRNA)は、21日目にそれぞれ治療前の7.5倍と8.9倍で最も多くなり、少なくとも6か月は多いままでした。これに先立って、またはこれと並んで、細胞どうしの合図になる物質(サイトカイン)が増え、コラーゲンを分解する酵素も大きく増えていました。エラスチンの材料なども、数週間遅れて増えていました。著者らは、レーザーの後の変化は、よく整った、再現性の高い傷を治す反応として進むと述べています。
本ページでは、熱や傷を加えた後、肌の中で新しいコラーゲンがつくられていく時間の流れの根拠として参照しています。
10窒素プラズマを低めの出力でくり返した、顔全体の治療
要約:
本研究は、米国の皮膚科クリニックの研究者らが、8名の顔全体に、窒素プラズマ(窒素ガスに高周波のエネルギーを与えてプラズマにし、その熱を肌に伝える方式)を低めの出力(1.2〜1.8ジュール)で3週ごとに3回照射し、その経過を調べたものです。6名では、治療前と最後の照射から90日後に、上唇の組織を採って比べています。
3か月後、しわは医師の評価で37%改善し、本人の評価では顔全体の見た目が68%改善していました。組織では、表皮のすぐ下に新しいコラーゲンの帯ができていて、深さは平均72.3µmでした。本人が感じたダウンタイム(皮むけと赤み)は、1回目が平均9日、2回目が4日、3回目が5日で、赤みは平均6日続きました。1名に一時的な色素沈着が出ましたが30日後には消えていて、傷跡や色が抜けることはありませんでした。人数が少なく、比べる群を置いていない研究です。
この研究で使われた機器はポートレートPSRです。当院のネオジェン PSR Evo は、その後のネオジェン SPA、ネオジェン PSR に続く機種です。米国FDAへの届け出(K132754、2013年)では、ネオジェン PSR のシステム(NeoGen PSR System)は、ポートレートPSRと比べて、操作画面・ソフトウェア・外装を除き、同じ技術の機器とされています。本ページでは、窒素プラズマで表皮のすぐ下に新しいコラーゲンができることの根拠として参照しています。
11窒素プラズマによる、目の周りの小じわの治療(片側だけの比較試験)
要約:
本研究は、タイのシーナカリンウィロート大学などの研究者らが、目の周りに軽度〜中等度の小じわのある18名で、片側だけに窒素プラズマを3週ごとに3回照射し、照射しなかった反対側と比べた、ランダム化比較試験です。評価する人には、どちらが照射した側かを伏せています。
試験を始めてから14週あまりの時点で、照射した側では、しわの評価、肌の表面の凹凸を測る機器の数値、メラニンの指標が、照射しなかった側より改善していて、満足度も高くなっていました。短期の副作用は、赤み、皮むけ、一時的な色素沈着、かゆみ、乾燥でした。要旨には、使った機器の名前は書かれていません。
本ページでは、窒素プラズマを3週ごとに3回照射した後、目の周りの小じわが、照射しなかった側より改善したことの根拠として参照しています。
12真皮を内側から押し広げると、新しいコラーゲンがつくられる
要約:
本研究は、米国ミシガン大学の研究者らが、日差しで傷んだ前腕の皮膚のある健康な11名(平均74歳)で、真皮に、しわやくぼみを埋める充填剤として使われるヒアルロン酸のジェル(架橋ヒアルロン酸)と、比べるための生理食塩水を注入し、4週後と13週後の組織を調べたものです。
ジェルを注入した側では、ジェルの周りにコラーゲンが増え、Ⅰ型・Ⅲ型のコラーゲンをつくる指令や、コラーゲンづくりを促す成長因子も増えていました。ジェルの周りの線維芽細胞は引き伸ばされた形で、コラーゲンを盛んにつくる状態にありました。一方、取り出して育てた線維芽細胞はジェルにくっつかず、ジェルそのものが直接細胞を刺激しているわけではないと考えられました。著者らは、ジェルが真皮を押し広げ、線維芽細胞が引き伸ばされたことが、コラーゲンづくりを促したのではないかと考えています。
本ページでは、ジェルを注入した真皮で、引き伸ばされた形の線維芽細胞と新しいコラーゲンが見られたこと(引き伸ばされたことがきっかけという点は著者らの考え)の根拠として参照しています。ヒアルロン酸の注入を勧める趣旨ではありません。
13年齢による、真皮の超音波の映り方の変化(表皮の下の黒い帯)
要約:
本研究は、デンマークのコペンハーゲン大学の皮膚科の研究者が、18〜57歳の55名の前腕で、高い周波数の超音波の画像に見られる、表皮のすぐ下の反射の弱い帯(SLEB:subepidermal low echogenic band)を調べたものです。
SLEBは光老化した肌に見られ、真皮の浅い層のエラスチンの変性(エラストーシス)とむくみが、超音波の画像に表れたものだろうと説明しています。SLEBが見られる人の割合は年齢とともに増えましたが、若い人にも見られました。表皮のすぐ下の映り方そのものは年齢と関係がありませんでしたが、真皮の上の層と下の層の映り方の比は、年齢とともに直線的に変わっていました。
本ページでは、超音波で見える表皮の下の黒い帯が何を映しているかについての著者の説明と、その帯が若い人にも見られることの根拠として参照しています。
14飲むコラーゲンの試験をまとめた分析(2021年)
要約:
本研究は、ブラジルの大学の研究者らが、飲む加水分解コラーゲンの効果を調べたランダム化・二重盲検の比較試験を集めて、まとめて分析したもの(系統的レビューとメタ分析)です。19件の試験、20〜70歳の1,125名(95%が女性)が対象でした。
まとめた分析では、偽薬(プラセボ)と比べて、肌のうるおい・弾力・しわが改善していました。著者らは、90日間の摂取で、しわが減り、弾力とうるおいが改善すると結論しています。
本ページでは、飲むコラーゲンの研究に、肌のうるおいや弾力の改善を報告するまとめがあることの根拠として参照しています。
15飲むコラーゲンの試験を、資金の出どころと質で分けた分析(2025年)
要約:
本研究は、韓国の国立がんセンターなどの研究者らが、コラーゲンのサプリメントの効果を調べたランダム化比較試験を集め、資金の出どころと研究の質で分けて分析したもの(系統的レビューとメタ分析)です。23件の試験、1,474名が対象でした。
23件すべてをまとめると、うるおい・弾力・しわは改善していました。ところが、製薬会社などから資金を受けていない研究に限ると、いずれにも効果は見られず、資金を受けた研究では効果が見られていました。質の高い研究に限ると、すべての項目で差がありませんでした。著者らは、現時点では、肌の老化の予防や治療にコラーゲンのサプリメントを使うことを支える臨床的な根拠はないと結論しています。
本ページでは、飲むコラーゲンの研究の結果が、資金の出どころや研究の質によって分かれることの根拠として参照しています。
16塗るレチノールによる、年をとった腕の皮膚の変化
要約:
本研究は、米国ミシガン大学の研究者らが、高齢者施設に住む36名(平均87歳)の腕で、0.4%のレチノールのローションと、レチノールを含まないローションを左右に分けて、研究スタッフが週3回まで、24週間塗った、ランダム化・二重盲検の比較試験です。
24週後、レチノールを塗った側では、細かいしわの評価が、塗らなかった側より改善していました。組織を調べた一部の人では、水分を多く抱えるグリコサミノグリカン(6名)と、Ⅰ型プロコラーゲン(4名)が増えていました。著者らは、こうした変化がしわの改善につながったと考えています。
本ページでは、塗るレチノールで、高齢の人の腕の皮膚のコラーゲンのもとが増えたことの根拠として参照しています。顔での結果を示したものではありません。
17皮膚を通る物質の大きさの目安(500ダルトン)
要約:
本総説は、オランダのアムステルダム大学の皮膚科の研究者らが、皮膚から吸収される化学物質や薬の、分子の大きさについて論じたものです。
皮膚は多くの分子が入るのを防いでいて、その主な壁は角層だと考えられています。著者らは、皮膚から吸収されるには、分子の重さ(分子量)がおよそ500ダルトンより小さい必要があり、それより大きい分子は角層を通れないと述べています。その根拠として、よく知られた接触アレルギーの原因物質のほぼすべてや、よく使われる塗り薬、貼り薬に使われている薬が、500ダルトンより小さいことを挙げています。
本ページでは、塗ったコラーゲンが、そのまま真皮に届きにくいことの根拠として参照しています。分子の大きさの目安を論じた総説で、コラーゲンそのものを塗って調べた研究ではありません。
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監修者情報(医師紹介)

監修医師:佐藤 雅樹
ソララクリニック 院長
専門分野:美容皮膚科
2000年 順天堂大学医学部卒。順天堂大学医学部形成外科入局。 大学医学部付属病院等を経て、都内美容皮膚科クリニックにてレーザー治療の研鑽を積む。2011年3月 ソララクリニック開院 院長就任。2022年 医療法人 松柴会 理事長就任。日本美容皮膚科学会 日本形成外科学会 日本抗加齢医学会 日本レーザー医学会 点滴療法研究会 日本医療毛髪再生研究会他所属。
様々な医療レーザー機器に精通し、2011年3月にルビーフラクショナル搭載機器を導入し、15年以上この治療を続けている。各種エネルギーベースの医療機器を併用する複合治療に積極的に取り組む。
※当院の治療はすべて自由診療(保険適用外)です。標準的な費用は各ページの料金表または料金表ページをご覧ください。治療に伴うリスク・副作用は診察時にもご説明します。
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自由診療についての情報開示
医療広告ガイドライン(厚生労働省)が定める限定解除の要件にそって、次の4点を掲載しています。当院は保険診療を行っておりません。
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3. 治療内容・費用・回数
このページは、肌のハリと真皮のコラーゲンについての解説です。本文で触れた窒素プラズマ(ネオジェン PSR Evo)は、1回44,000円(税込)です。肌質の改善では、月に1回ほどのペースが多く、集中して整える時期は月に1〜2回、整った後は1〜3か月に1回ほどです。ほかの治療との組み合わせの費用は料金表、そのほかの治療の内容は美肌治療・肌育のページでご案内しています。初診料は3,300円(税込・VISIA肌画像分析を含む)。回数と間隔は肌の状態によって異なり、診察の際にご説明します。
4. 主なリスク・副作用
窒素プラズマの、肌質の改善を目的とした照射では、ダウンタイムはほとんどありません(赤みが出ても、当日〜翌日ほどで落ち着くことが多いです)。ニキビ・ニキビ跡・毛穴などで出力を上げる照射では、一時的なブラウンチェンジ(薄く細かいかさぶた)と皮むけ(3日〜1週間ほど)が起こります。ほかに、赤み・かゆみ・やけど・色素沈着が起こることがあります。熱や微細な傷で肌の修復を促すほかの治療では赤み・腫れ・一時的な色素沈着、注入による治療では内出血・腫れなどが起こることがあります。各治療のリスク・副作用は、それぞれの治療のページと、診察の際にご説明します。