肌の バリアと乾燥Skin Barrier
保湿しているのに乾く理由と、
化粧水もクリームも欠かさないのに、夕方には頬がつっぱる。冬になると、口の周りが粉をふく。スキンケアを十分にしているのに乾燥が治まらない、皮脂は多いのに頬は乾く、というお悩みはとても多いものです。
肌のうるおいを保っているのは、いちばん外側にある角層です。乾燥は、水分が足りないというより、水分を保つ角層のしくみが崩れた状態だと思います。ですから、水分を足す前に、まず崩している原因を減らすことを考えます。その原因として、いちばん身近なのが毎日の洗顔です。
「もはや芸術的と思わせる洗顔テクニックを(人知れず)見せていただけることもあります。これだけ真剣にケアをしているのに、『手を抜いてください』とお願いすることは、少々心苦しく思います。」2014年に、このサイトに書いた一節です。乾燥が続くときは、その丁寧な洗顔が、かえって肌の負担になっていることがあります。研究を読み直した今も、ここは変わりません。院長 佐藤 雅樹
2014年と2015年の記事「肌の乾燥対策でエイジングケア」「梅雨の時期は肌が潤っている…?」は、このページにまとめ直しました。
このページのポイント
- 肌のバリア機能の中心は、いちばん外側の角層です。細胞のすき間を埋める脂質(セラミドなど)、細胞の中で水を抱える天然保湿因子、何層にも重なったつくりが、水分を逃がしません
- 保湿しているのに乾くときは、保湿の量より、水分を保つしくみのほうに原因があることが多いと考えています。しくみを崩す原因は、洗いすぎ・こすりすぎ、乾いた空気、年齢です
- 研究では、角層の脂質は年齢とともに少なくなり、冬にも大きく減っていました。仙台の1月の平均的な外気を、水分を足さずに20℃まで暖めると、湿度は計算上20%前後まで下がります
- 皮脂の量と角層の水分は別のものです。べたつくのに乾く「インナードライ」は医学の言葉ではありませんが、皮脂は多いのに水分が足りない状態を指して使われます
- 洗顔は、皮脂を取りきらず膜一枚残るくらいでよいと考えています。お湯は32℃前後、泡をのせて、こすらない。乾燥が気になる方は、朝はぬるま湯だけでもかまいません
- 乾燥が続くときは、肌画像分析(VISIA)でキメや赤みを確かめ、洗い方の見直しと治療の進め方を決めます
保湿しているのに乾く理由が知りたい方は乾燥肌の章、皮脂が多いのに乾く方はインナードライの章、洗い方を見直したい方は洗顔の章をご覧ください。
この記事の目次
肌のバリア機能とは? 角層の「レンガと漆喰」
肌のバリア機能とは、体の水分を外へ逃がさず、外からの刺激や異物を入れない働きのことです。その中心にあるのは、表皮のいちばん外側の角層です(参考文献1)。
角層は、平たくなった細胞(角質細胞。ふだん「角質」と呼ばれているもの)が何層にも重なってできています。細胞と細胞のすき間を埋めているのは、セラミド・コレステロール・脂肪酸などの脂質です。
細胞をレンガ、脂質を漆喰に見立てて、「レンガと漆喰」のつくりといわれます。顔の角層は、細胞が9層ほど重なっただけの薄い層です(肌のターンオーバーのページ)。
水分を保つ、角層のしくみ
角層が水分を保つしくみは、大きく分けて3種類あります(参考文献2)。
角層が水分を保つ、3種類のしくみ
- すき間の脂質:細胞のすき間に、セラミドなどの脂質が層をつくって並び、水を通しにくくしています
- 重なったつくり:水は、何層にも重なった細胞のあいだを縫うように進むしかなく、外へ出るまでの道のりが長くなります
- 天然保湿因子:細胞の中で水を抱える、小さな成分の集まりです。主な成分のアミノ酸は、フィラグリンというたんぱく質が分解されてできます
こうしたしくみが育つのにも、角層の水分が欠かせません。細胞を包む膜が丈夫になるのも、脂質が整うのも、天然保湿因子がつくられるのも、角層の水分に左右されます(参考文献2)。乾いた角層では、うるおいを保つしくみそのものが育ちにくくなり、乾燥が乾燥を呼ぶことになると思います。
皮脂膜は、角層の上の薄い膜
角層の表面は、皮脂と汗が混ざってできた薄い膜(皮脂膜)で覆われています。水分を逃がさない働きの中心は、その下の角層の中の脂質です。毎日の洗顔で、まず落ちるのは表面の皮脂膜です。皮脂膜まで落としきってしまうと、角層の水分は蒸発しやすくなると考えています。そこで洗顔では、「膜一枚」を残すようにお勧めしています。
乾燥肌はなぜ起こる? 保湿しているのに乾く理由
乾燥肌は、角層が水分を保てなくなった状態です。肌の表面からは、いつも少しずつ水分が蒸発しています。この量を経皮水分蒸散量といい、研究では水分の逃げやすさの目安として測られます。角層のしくみが崩れると、この蒸発が増え、角層の水分が減っていきます。
化粧水で水分を足しても、角層が水分を保つしくみが崩れたままなら、水分はまた逃げていきます。保湿しているのに乾くときは、まず、そのしくみを崩している原因がないかを考えます。
保つしくみを崩す、主な原因
- 洗いすぎ・こすりすぎ:洗浄成分や摩擦で、脂質や天然保湿因子まで落ちる
- 乾いた空気:冬の外気、暖房、エアコンの風
- 年齢:角層の脂質が減り、崩れたときに戻りにくくなる
かゆみ・赤み・湿疹を伴う乾燥には、皮膚の病気が隠れていることもあります。そのときは、早めに皮膚科を受診してください。
乾いた肌では、角層のはがれ方も乱れます。古い角質がうまくはがれずに残り、粉をふいたように見えたり、キメ(肌の表面の細かな凹凸)が粗くなって、肌がくすんで見えたりします。はがれ方の乱れは肌のターンオーバーのページ、キメとくすみの関係は顔のくすみのページで詳しく書いています。
年齢とともに乾きやすくなるのはなぜ?
年齢とともに、角層の脂質、なかでもセラミドが減っていきます。そのうえ、バリアがいったん崩れると、元に戻るまでに時間がかかるようになります。
英国の研究所が、白人女性の顔・手・脚の角層から脂質を採って測った研究では、年齢とともに主な脂質がそろって減り、特にセラミドの減り方がはっきりしていました(参考文献3)。健康な65名の前腕で角層のセラミドを測った研究でも、年齢とともに減っていました(参考文献4)。
80歳以上の人と20〜30歳の人の前腕で、バリアを比べた研究があります。ふだん肌から逃げていく水分の量は、高齢の人のほうがむしろ少ないくらいでした(参考文献5)。
ところが、テープで角層をはがしていくと、80歳以上の人は少ない回数でバリアが崩れました。崩れた後の戻りも遅く、アセトンで角層の脂質を落とした実験では、24時間後の回復の度合いが、20〜30歳の人の50%に対して15%にとどまりました(参考文献5)。ふだんの肌を測るだけでは衰えを見誤る、と著者らは述べています。
年齢を重ねた肌では、洗いすぎや乾いた空気で一度崩れたバリアが、なかなか戻りません。同じ洗い方を続けていても、若いころより乾きやすくなるのは、このためだと思います。
年齢による乾燥と肌の老化は、「鶏が先か卵が先か」の関係にあると思います。年をとると乾きやすくなり、その乾燥がまた肌の老化を進める、という意味です。年齢による老化と、日光による老化(光老化)の違いは、光老化のページで詳しく書いています。

冬の仙台で肌が乾くのはなぜ?
冬の外気は冷たく、もともと含んでいる水分の量が少ないため、暖房で暖めると部屋の湿度が大きく下がります。仙台の1月は、平均気温2.0℃・平均湿度66%です(気象庁、1991〜2020年の平年値)。
外の湿度は66%とそれほど低くありませんが、この外気を、水分を足さずに20℃まで暖めると、湿度は計算上20%前後になります。1月の空気に含まれる水分の量は、8月(平均24.4℃・81%)の5分の1ほどです。
乾いた空気は、短い時間でも角層に影響します。資生堂の研究所の研究者らは、湿度の低い環境で3時間・6時間過ごしてもらう実験をしています。頬と前腕の角層の水分が減り、表面のキメの形も変わっていました(参考文献6)。
冬には、角層の脂質も減ります。年齢の章で紹介した英国の研究では、顔・手・脚のどの場所でも、角層の脂質が春や夏より冬に大きく減っていました(参考文献3)。
仙台を含むアジアの5都市で、各都市およそ100名の女性の顔を夏と冬に測った研究(参考文献7)でも、全体として、冬には肌の表面のうるおいが下がり、水分が逃げやすくなっていました。
仙台では、ついこの前まで除湿機を使っていたのに、すぐに加湿器が要るようになります。こうした季節の急な変わり目は、肌にとっても負担です。
乾燥が気になる季節は、加湿器で部屋の湿度を上げる、エアコンの風が顔に直接当たらないようにする、といった工夫も役に立ちます。部屋の湿度は、40%を下回らないくらいを目安にしてください。事務所などの建物の基準(建築物衛生法)でも、湿度は40〜70%とされています。
9月の中旬には、加湿器を用意しておくことをお勧めしています。その時期から動かしてほしい、という意味ではありません。湿度を測って加湿を自動で調節してくれるタイプの加湿器を置いておけば、思いがけず湿度が下がった日にも、早く気づいて柔軟に対応してくれるからです。湿度を測れない加湿器では、この使い方はできません。

冬の顔に、保湿クリームを塗り続けると
仙台にある東北大学皮膚科の研究グループは、寒く乾燥した冬には、顔の角層の働きが夏より落ち、軽い炎症も起きていることを報告しています。そのうえで、若い女性16名の顔の片側にだけ、保湿クリームを1日2回、6週間塗ってもらう試験をしました(参考文献8)。
塗った側は、塗らない側より肌の表面のうるおいが多く、水分も逃げにくくなっていました。炎症の目印や、細胞を包む膜が固まりきっていない角層の細胞も減っていました。
「インナードライ」とは? 皮脂が多いのに乾く肌
インナードライとは、多くの場合、皮脂が多いのに角層の水分が足りていない状態を指して使われる言葉です。医学の言葉ではなく、化粧品から広まりました。
2015年の記事では、「『インナードライ肌』とは、皮脂の分泌量が多いのにもかかわらず、角質(内部)に十分に水分が保持できない(乾燥している)状態のことを指します。水分を保持するために皮脂が分泌されるのです。(≒脂性乾燥肌)」と説明していました。
皮脂の量と、角層の水分は別のもの
皮脂が多いのに乾くことは、珍しくありません。タイの研究グループが女性62名の顔を測ったところ、自分をオイリー肌だと思っている人は、乾燥肌だと思っている人より、皮脂が顔の場所や測り方によって1.6〜2.1倍多かったのに、角層の水分はむしろ低めでした。皮脂の多い人ほど、角層の水分は少ない傾向もみられました(参考文献9)。
べたつくからといって、角層がうるおっているとは限りません。皮脂を落とすことばかりに気をとられると、角層の水分まで失いやすくなります。

皮脂の多い額や鼻は控えめに、乾きやすい頬や口の周りは多めに、と塗る量を変えるとよいでしょう。べたつきが気になる男性の方は、「男性の方へ、基本のスキンケア」のページもご覧ください。
湿度の高い季節は、乾燥に気づきにくい
梅雨の時期は、湿度が高く、汗や皮脂も増えるため、肌がうるおっているように感じやすくなります。私はこれを「錯覚」と呼んでいます。べたつきが気になって洗顔を強めたり、クリームをやめて化粧水だけにしたりすると、角層の水分はかえって失われていきます。
なかには、乾いた角層を皮脂で補おうとしているかのように、皮脂が増えて見える方もいらっしゃいます。この流れは、次の章でご説明します。
乾燥・敏感・べたつきが重なるのはなぜ? 負のスパイラル
皮脂が気になって洗いすぎると、角層が水分を保てなくなり、刺激にも弱くなります。それでもべたつきは気になるので、また洗う。この悪循環を、2014年の記事では「負のスパイラル」と書いています。
「乾燥肌で敏感肌です。」という方がいらっしゃいます。更に加えて「オイリー肌です」という方もいます。別に矛盾しているわけではありません。2014年の院長の記事「肌の乾燥対策でエイジングケア」より
図の2と3の段階には、次のような研究があります。刺激の強い洗浄成分は、角層のたんぱく質や脂質を傷め、洗った後のつっぱりや乾燥につながります(参考文献10)。ナイロンタオルでこすって洗い続けると、天然保湿因子が減り、水分が逃げやすくなっていました(参考文献11)。
角層をくり返しはがすと、表皮は下の層で細胞づくりを急ぎ、核が残ったままの角層の細胞が出てくることがあります。こうした角層は水分を保ちにくく、刺激にも弱いと考えられています。詳しい流れは、ターンオーバーのページに書きました。
乾いた角層を補おうとして皮脂が増える、という最後の段階は、以前から記事に書いてきた私の考えです。
乾燥しているのに、ニキビができるとき
乾燥する季節に、ニキビが増える方もいらっしゃいます。赤みがあり、皮脂が多いのに乾燥するニキビ肌も、このスパイラルに入っていることが多いように思います。はがれやすくなった角質が皮脂と混ざり、毛穴をふさぐこともあります。
ニキビのある36名と、ない29名を比べた新潟大学の研究では、ニキビのある肌で角層のセラミドが少なく、水分を保つ働きも落ちていました(参考文献12)。ニキビができる流れは「ニキビができる仕組み」のページ、大人のニキビの治療は大人ニキビのページでご案内しています。
抜け出す一歩は、洗顔の見直し
自宅でできることとして、まず試していただきたいのが洗顔の見直しです。具体的な洗い方は、次の章でご紹介します。
乾燥肌の洗顔はどうする? 落としすぎない洗い方
肌が乾くときにまず見直したいのは、洗浄力・回数・お湯の温度・こする力の4点です。洗浄力は、皮脂を取りきらず膜一枚残るくらいが目安です。朝は、洗顔料を使わずにぬるま湯で流すだけでもかまいません。お湯は32℃前後にし、泡をのせてこすらずに洗います。
洗顔・クレンジングは、言ってみればピーリングの一種です。2014年の記事にも、そう書きました。汚れを落とすとき、角層の一部、皮脂膜、天然保湿因子も一緒に取り除いているからです。ゴシゴシとこする癖があれば、なおさらです。
| 見直すこと | 目安 | 理由 |
|---|---|---|
| 洗浄力 | 皮脂を取りきらず、 |
刺激の強い 参考文献10 |
| 回数 | 乾燥が |
洗浄料で 参考文献13 |
| お湯の |
32℃前後 |
温度が 参考文献14 |
| こする力 | 泡をのせて |
ナイロンタオルで 参考文献11 |
膜一枚残るくらいの洗浄力でよい
洗顔する時には、サッパリ皮脂を全て取り切るのではなく、膜一枚残っている程度の洗浄力で良い。2013年の院長の記事「赤みがあり皮脂が多く乾燥するニキビ肌の治療」より
洗い上がりに、少ししっとり感が残るくらいでよいと思います。
洗浄料の種類によっても違います。ユニリーバの研究者らが研究をまとめた論文(総説)によれば、洗浄成分は種類によって、角層のたんぱく質との結びつき方が大きく違い、強く結びつくものほど刺激が出やすいとされています(参考文献10)。
同じ総説は、pH10のアルカリ性の液が、洗浄成分を含まなくても角層を膨らませることから、肌に近い弱酸性〜中性の洗浄料のほうが傷めにくい可能性がある、とも述べています(参考文献10)。
4種類の石けんで前腕を洗い比べた試験もあります。アルカリ性の石けんでは肌のpHが上がり、赤みもグリセリン入りやクリーム入りの石けんより強く出ました。どの洗浄料でも、1回洗っただけで、水分は逃げやすくなっていました。著者らは、弱酸性の合成洗浄料のような、やさしい洗浄成分のものは肌を傷めにくいとまとめています(参考文献13)。
洗い方を見直す合図
- 洗った後に、顔がつっぱる
- 口の周りや頬が、粉をふく
- 化粧水がしみる、ひりつく
こうした変化は、洗浄力が強すぎるか、回数が多すぎるサインです。まずは朝の洗顔から、軽くしてみてください。
朝は、ぬるま湯だけでもよい
乾燥が気になるうちは、洗顔料は夜のメイク落としのときだけで足ります。乾燥肌・敏感肌に悩む方には、以前から、朝はぬるま湯で洗う程度にとどめるようお勧めしてきました。
洗顔をやめてしまえばよい、と考える方もいらっしゃいます。ただ、いきなりやめても、皮脂腺はそれに合わせてくれません。急ブレーキは効かないので、べたつきに耐えられなくなり、元の洗い方に戻ってしまいます。
朝だけぬるま湯にする、洗顔料を少しやさしいものに替えるなど、少しずつ変えていくのがこつです。
お湯は32℃前後、ぬるいと感じるくらい
お湯の温度は、手で触れてぬるいと感じるくらいの、32℃前後をお勧めしています。熱いお湯は、洗浄成分の刺激を強めます。それに、皮脂も落ちやすくなると思います。
イタリアの大学の皮膚科が、10名の前腕に、洗浄成分の液を4℃・20℃・40℃で4日間塗って比べています。温度が高いほど、刺激は強く出ていました(参考文献14)。日常の洗顔より刺激の強い条件での実験ですが、同じ洗浄成分でも、温度しだいで肌への刺激が変わることがわかります。

泡をのせて、こすらない
洗顔料はよく泡立て、泡をのせて転がすように洗います。指で肌をこすらず、泡を動かすだけで十分です。すすいだ後は、タオルを押し当てて水気を取ります。
こする洗い方の影響は、研究にも表れています。京都大学皮膚科の研究グループは、6名に、片方の前腕は石けんとナイロンタオルで、もう片方は石けんだけで、1日2回、2週間洗ってもらいました。ナイロンタオルの側では、水分が逃げやすくなり、天然保湿因子も減っていました(参考文献11)。
人数の少ない、前腕での実験です。それでも、体の中でも角層の薄い顔は、こすらないに越したことはありません。
メイク落としは、なじませて待つ
メイク落としは、メイクとなじませてから少し待ち、浮いてきたところで洗い流します。落ちにくいからといって、こすって落とさないことです。こすることは、肝斑を悪くする要因にもなると考えられています。
顔に軽いアトピー性皮膚炎のある女性35名が、こする力が少なくて済むメイク落としに4週間替えた試験があります。乾燥・かさつき・赤み・かゆみが減っていました(参考文献15)。化粧品メーカーの研究者が、使う前と後を比べたものです。
落とす力の弱いものでこすり続けるより、こすらずに落とせるものを選ぶほうが、肌への負担は少なくてすむと思います。
洗顔料は落としすぎないもの、メイク落としはこすらずに落とせるもの、と分けて選んでください。クレンジングの「乳化」については、メイク落としで差がつく「乳化」の正しい知識で詳しくご紹介しています。
保湿剤は何をしている?
保湿剤の成分は、働きで大きく3種類に分けられます(参考文献16)。
保湿剤の3種類の働き
- 水分を抱える:グリセリン、ヒアルロン酸、尿素など。周りの水分を引き寄せます
- 水分を逃がさない:ワセリンなど。表面を覆って、水分の蒸発を防ぎます
- すき間を埋める:セラミドや脂肪酸などの脂質。角層になじんで、漆喰の役をします
お手持ちの保湿剤にどの働きの成分が入っているかは、成分の表示を見るとわかります。
化粧水で足した水分は、そのままでは逃げていきます。最後に、水分を逃がさない働きのある、油分を含むクリームなどで閉じるのが基本です。洗顔の後は、時間をあけずに保湿します。
冬の顔に保湿クリームを塗り続けた側で、うるおいが多く、水分も逃げにくくなっていたことは、冬の仙台の章の東北大学の試験(参考文献8)でご紹介しました。
乾燥による皮膚の病気には、医師が処方する保湿剤もあります。
乾燥が続くときは、肌を診て進め方を決めます
仙台市青葉区の美容皮膚科、ソララクリニックでは、乾燥肌やキメの乱れ、洗いすぎによる赤みなど、肌のバリアに関わるご相談をお受けしています。
肌画像分析(VISIA)では、キメの乱れや赤みなど、角層の乱れが見た目に表れたところを確かめられます。角層がはがれかけている様子も、VISIAの拡大画像でご一緒に見ていただけます。肌画像分析について詳しくは、肌診断機器の紹介のページをご覧ください。
撮影した画像を見ながら、今の肌で何が起きているのかをご説明し、洗い方の見直しと治療の進め方をご提案します。治療の組み立て方は、美肌治療・肌育のページで紹介しています。
乾いて敏感になっているときは、まず肌を落ち着かせることから始めます。ピーリングなど角質を取る治療は、そのうえで、肌の状態を診ながら強さと間隔を決めています(肌のターンオーバーのページ)。
初診の日に治療の計画を立て、治療は原則として次回から始めます。初診料は、VISIA肌画像分析の費用を含めて3,300円(税込)です。
ご予約はお電話で承っています。診療時間は10時〜18時30分(水曜定休)、場所は仙台駅西口から徒歩約5分です。
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よくあるご質問
乾燥肌は、何が不足しているのですか?
足りなくなっているのは、角層の中で水分を保つ成分です。細胞のすき間を埋めるセラミドなどの脂質や、細胞の中の天然保湿因子が減ると、水分が逃げやすくなります。脂質は年齢とともに、また冬に減り、洗いすぎでも傷みます。
化粧水で水分を足しても、これらが減ったままでは、うるおいは長続きしません。
保湿しているのに、すぐ乾くのはなぜですか?
化粧水で足した水分を、角層が保てなくなっているためです。角層が水分を保つしくみを崩す原因が、毎日続いていることが多いと思います。洗浄力の強い洗顔料、洗う回数、熱いお湯、こすり洗いを、順に見直してみてください。
冬は、暖房で部屋の湿度も下がるので、加湿もあわせて考えてください。
化粧水だけでは、保湿になりませんか?
化粧水だけだと、足した水分は時間とともにまた蒸発していきます。乾燥が続いている肌なら、なおのことです。化粧水の後に、クリームなど油分を含むものを重ねてください。
インナードライは、医学的にはどういう状態ですか?
化粧品から広まった言葉で、医学の言葉ではありません。皮脂は多いのに、角層の水分が足りない状態を指して使われることが多いようです。
タイで62名の女性の顔を調べた研究でも、皮脂の多い人ほど、角層の水分は低めでした。べたつくことと、うるおっていることは、分けて考えてください。
インナードライかどうかは、どうすればわかりますか?
べたつくかどうかだけでは見分けられません。皮脂が多いのに、洗った後に顔がつっぱる、口の周りや頬が粉をふく、化粧水がしみるといった変化があれば、角層が乾いてバリアが弱っていると思ってよいでしょう。
そのときは、皮脂を取りきらず膜一枚残るくらいの洗顔に変え、洗った後は保湿をしてください。
洗顔は、1日に何回がよいですか?
肌の調子がよいときは、朝晩の洗顔で問題ありません。乾燥が気になる方は、夜のメイク落としのときだけ洗顔料を使い、朝はぬるま湯ですすぐ程度でもかまいません。
変えるときは、朝だけぬるま湯にしてみる、といった小さなことから始めてください。
肌断食(洗顔料や保湿をやめること)は、乾燥によいですか?
保湿までやめる肌断食は、お勧めしていません。洗顔は落としすぎないように見直し、保湿は続けてください。
洗顔料を急にやめても、皮脂の出る量はすぐには減りません。べたつきに耐えられず、元の洗い方に戻ってしまうことが多いと思います。
洗顔のお湯は、何度くらいがよいですか?
32℃前後、手で触れてぬるいと感じるくらいが目安です。寒い季節は熱めのお湯を使いたくなりますが、熱いお湯は、洗浄成分による刺激を強めます。洗浄成分の液を10名の前腕に塗って比べた研究でも、液の温度が高いほど、刺激が強く出ていました。また、熱いお湯だと、皮脂も落ちやすくなると思います。
セラミドは、年齢とともに減りますか?
減ると報告されています。顔・手・脚の角層の脂質を測った研究では、年齢とともにセラミドを中心に脂質が減っていました。季節では、春や夏より冬に大きく減っていました。
年齢を重ねた肌は、一度崩れたバリアが戻るのにも時間がかかります。洗いすぎを避けることは、若いころ以上に大切になります。
冬に顔が粉をふくのは、なぜですか?
乾いた空気で角層の水分が減ると、ふだんは目に見えないほど少しずつはがれる古い角質が、目に見えるかたまりになってはがれるためです。仙台の1月の外気(平年値)を、加湿せずに暖房で20℃にすると、部屋の湿度は計算上20%前後になります。
粉をふいた角質は無理にはがさず、保湿を続けてください。
皮脂が多い肌でも、保湿は必要ですか?
必要です。皮脂の量と角層の水分は別のもので、皮脂が多くても、角層が乾いていることがあります。べたつきやすいところは軽めに、乾きやすいところはしっかり、と場所によって量を変えてもかまいません。
洗顔やメイク落としのとき、こすらないほうがよいのはなぜですか?
こすると、角層の天然保湿因子が減り、水分が逃げやすくなるからです。6名の前腕を、石けんとナイロンタオルで2週間洗ってもらった研究で、そうした変化がみられました。
顔の角層は、体の中でも薄いほうです。泡をのせて、手でやさしく転がすように洗ってください。メイク落としも、なじませて浮かせてから洗い流し、こすって落とさないようにしてください。
乾燥がなかなかよくならないときは、どうすればよいですか?
かゆみや赤み、湿疹、ひび割れを伴うときは、皮膚の病気が隠れていることもあるので、早めに皮膚科を受診してください。
キメの乱れやくすみなど、見た目の変化が気になるときは、美容皮膚科でもご相談いただけます。仙台市青葉区のソララクリニックでは、医師が肌を診察し、肌画像分析(VISIA)の画像をもとに、スキンケアの見直しと治療の組み立てをご一緒に考えます。治療は、原則として初診の次の回から始めます。
参考文献
1皮膚のバリアのしくみ(総説)
要約:
本総説は、ドイツのキール大学皮膚科の研究者らが、皮膚が病原体や化学的・物理的な刺激を防ぎ、水分がむやみに失われないようにするバリアのしくみと、皮膚の病気でそれがどう乱れるかをまとめたものです。
物理的なバリアは主に角層にあり、たんぱく質に富む角質細胞と、細胞のすき間の脂質に富む部分からなると述べています。すき間の脂質は、セラミド・遊離脂肪酸・コレステロールで、表皮の細胞の中でつくられてから、すき間へ送り出されます。生きた表皮の細胞どうしの結合も、バリアの一部を担っています。
本ページでは、肌のバリアの中心が角層にあること、角層が細胞とすき間の脂質からなることの根拠として参照しています。
2角層の保湿とバリアの働き(総説)
要約:
本総説は、英国の研究者らが、角層が水分を保つしくみについての知見をまとめたものです(第一著者の所属は民間のコンサルティング会社です)。
角層が水分を保つには、主に3種類の要素が関わると述べています。細胞のすき間に層をつくって並ぶ脂質が水の通り抜けを防ぐこと、何層にも重なった細胞のあいだを水が曲がりくねって進むため道のりが長くなること、そして細胞の中でフィラグリンというたんぱく質が分解されてできる、水に溶ける小さな成分の集まり(天然保湿因子)が水を抱えることです。細胞を包む膜が丈夫になる過程、脂質が整う過程、天然保湿因子がつくられる過程はいずれも角層の水分の影響を受け、環境の変化でこれらが乱れると、乾いて粉をふいた肌になるとしています。
本ページでは、角層が水分を保つしくみ(すき間の脂質・重なったつくり・天然保湿因子)と、そのしくみが育つのにも角層の水分が必要なことの根拠として参照しています。
3年齢と季節による、角層の脂質の変化
要約:
本研究は、英国ユニリーバの研究所の研究者らが、年齢の異なる白人女性の顔・手・脚の3か所から、テープで角層を採り、セラミド・コレステロール・脂肪酸の量と組成を測ったものです。季節による違いも、同じ3か所で調べています。
年齢とともに、主な脂質はいずれも有意に減っており、特にセラミドの減り方が目立ちました。また、どの場所でも、角層の脂質は春や夏に比べて冬に大きく減っていました。著者らは、すき間の脂質が減ることが、年をとった肌、特に冬の肌でバリアが乱れやすく、乾燥しやすいことにつながっていると考えています。
本ページでは、顔を含む角層の脂質(特にセラミド)が年齢とともに減ること、冬に大きく減ることの根拠として参照しています。
4角層のセラミドの量と、年齢・アトピー性皮膚炎
要約:
本研究は、花王の研究所の研究者らが中心となり、前腕から採った角層のセラミドの量を、健康な人とアトピー性皮膚炎の人で比べたものです。
健康な65名では、角層のセラミドの量が、年齢とともに有意に減っていました。アトピー性皮膚炎の人では、同じ年齢の健康な人に比べて、皮疹のあるところだけでなく、皮疹のないところでもセラミドが少なくなっていました。著者らは、角層のセラミドが足りないことが、アトピー性皮膚炎の乾いた肌を招く要因になっているのではないかと考えています。
本ページでは、角層のセラミドが年齢とともに減ることの根拠として参照しています。測ったのは前腕で、顔ではありません。
5高齢の人の皮膚のバリア(壊れやすさと戻りにくさ)
要約:
本研究は、米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究者らが、20〜30歳の人と80歳以上の人の皮膚のバリアを比べ、あわせて年をとったマウスでも調べたものです。
ふだんの水分の逃げやすさ(経皮水分蒸散量)は、高齢の人のほうがむしろ低めでした。ところが、テープで角層をはがしていくと、高齢の人は少ない回数(平均18回、若い人は31回)でバリアが崩れました。崩れた後の回復も、アセトンで脂質を落とした場合とテープではがした場合のどちらでも遅れていました。アセトンの実験では、24時間後の回復の度合いが、若い人の50%に対して、高齢の人は15%にとどまり、その後も遅れが続きました。角層の脂質の総量が約30%少なかったのは、年をとったマウスでの結果です。著者らは、ふだんの状態を測るだけでは、年をとった肌のバリアの衰えを見誤ると述べています。
本ページでは、年齢を重ねた肌のバリアが、ふだんは保たれて見えても壊れやすく、戻りにくいことの根拠として参照しています。人でバリアの働きを測ったのは、いずれも前腕の内側です。参加したのは80歳以上の6名と、20〜30歳の15名でした。
6乾いた空気にさらされた肌の変化
要約:
本研究は、資生堂の研究所の研究者らが、健康な人の前腕の内側と頬を、湿度の低い環境に3時間・6時間さらし、その前後で角層の水分、水分の逃げ方、皮膚の表面の形を調べたものです。
どちらの場所でも、3時間後と6時間後には角層の水分が有意に減り、6時間後には水分の逃げ方も変わっていました。皮膚の表面の型を取って調べると、前腕でも頬でも、表面の凹凸を表す数値が変わっていました。著者らは、短い時間でも乾いた環境にさらされると、肌のキメが乱れ、細かいしわにつながる可能性があると考えています。
本ページでは、乾いた空気に数時間いるだけで、頬の角層の水分が減り、表面のキメが変わることの根拠として参照しています。
7アジアの5都市で比べた、夏と冬の顔の肌(仙台を含む)
要約:
本研究は、ハルビンと上海(中国)、ニューデリー(インド)、ソウル(韓国)、仙台の5都市で、各都市およそ100名、14〜75歳の女性の顔を、夏と冬に調べた多施設の研究です。皮膚科医が頬を診察し、額と頬を機器で測っています。筆頭著者は、ジョンソン・エンド・ジョンソン(中国)の研究者です。
機器で測ると、冬は夏に比べて、肌の表面のうるおいとメラニンの値が下がり、水分の逃げやすさ(経皮水分蒸散量)、肌のpH、赤み、皮脂の量が上がっていました。皮膚科医の診察では、キメの粗さ、しわ、色素沈着、シミの程度は、冬のほうが全体に軽くなっていました。著者らは、冬の低い気温と湿度に対して、アジアのさまざまな都市に住む女性の顔の肌が幅広い変化を示し、いくつもの測定値が悪くなっていたとまとめています。
本ページでは、仙台を含むアジアの都市で、冬には顔の肌の表面のうるおいが下がり、水分が逃げやすくなっていたことの根拠として参照しています。抄録には都市ごとの結果が示されていないため、5都市を合わせた結果として紹介しています。
8冬の顔の肌に、保湿クリームを6週間塗った半顔の試験(東北大学)
要約:
本研究は、東北大学皮膚科の研究グループが、乾燥して寒い冬には、顔の角層の働きが夏よりずっと落ち、軽い炎症が起きているという以前の結果をもとに、保湿クリームでその変化が改善するかを調べたものです。
若い女性16名の顔の片側にだけ、保湿クリームを1日2回、6週間塗り、もう片側を比べる側としました。試験の前は、水分の逃げやすさが高めで、バリアが弱っていることがうかがえました。塗った側では、肌の表面のうるおいが有意に多く、水分の逃げやすさは低くなり、炎症の目印となるたんぱく質の比と、膜の未熟な細胞も減っていました。
本ページでは、冬の顔の角層の働きが落ちていること、保湿を続けることで、顔の角層のうるおいとバリアの指標がよくなることの根拠として参照しています。
9顔の皮脂の量と、角層の水分(オイリー肌と乾燥肌)
要約:
本研究は、タイのチュラロンコン大学などの研究者らが、自分の肌をオイリー肌、または乾燥肌だと考えている健康なタイ人女性62名の顔の何か所かで、皮脂の量、毛穴の大きさ、角層の水分を測り、比べたものです。
オイリー肌だと考えている人は、乾燥肌だと考えている人に比べて、皮脂の量が1.6〜2.1倍多くなっていました。一方、角層の水分は、乾燥肌だと考えている人のほうが有意に高く、皮脂の量と角層の水分には、有意な逆向きの相関がみられました。毛穴の大きさは、2群で違いがありませんでした。
本ページでは、皮脂が多いことと、角層に水分があることは別であり、皮脂の多い人の角層の水分がむしろ低いことがあることの根拠として参照しています。1回の測定で比べた研究で、皮脂が水分を減らす、あるいは乾燥が皮脂を増やすという原因と結果を示したものではありません。
10洗浄料が角層のバリアに与える影響(総説)
要約:
本総説は、ユニリーバの研究開発部門の研究者らが、洗浄料が肌のバリアに与える影響と、肌にやさしい洗浄の技術についてまとめたものです。
刺激の強い洗浄成分は、肌のたんぱく質や脂質を傷め、洗った後のつっぱり、乾燥、バリアの乱れ、刺激、かゆみにつながると述べています。洗浄成分の種類によって、肌のたんぱく質との結びつき方が大きく違うこと、また、pH10の液は洗浄成分を含まなくても角層を膨らませ、脂質の性質を変えることから、肌に近いpH5.5前後の中性〜弱酸性の洗浄料のほうが、肌を傷めにくい可能性があるとしています。
本ページでは、洗浄成分の種類によって、角層のたんぱく質との結びつき方が違うこと、刺激の強い洗浄成分が角層のたんぱく質と脂質を傷め、洗った後のつっぱりや乾燥につながること、pH10のアルカリ性の液が洗浄成分を含まなくても角層を膨らませること、肌に近い弱酸性〜中性の洗浄料のほうが傷めにくい可能性があることの根拠として参照しています。洗浄料を製造する企業の研究者による総説です。
11こすって洗うことによる、角層の天然保湿因子の変化(京都大学)
要約:
本研究は、京都大学皮膚科の研究グループが、ナイロンタオルでこすって洗うような、くり返しの摩擦が角層に与える影響を、光を使って皮膚の成分を測る方法(ラマン分光法)で調べたものです。
健康な6名に、片方の前腕を石けんとナイロンタオルで1日2回、2週間洗ってもらい、もう片方の前腕は同じ回数、石けんだけで洗ってもらいました。ナイロンタオルで洗った側では、水分の逃げやすさ(経皮水分蒸散量)が有意に増え、天然保湿因子と、その成分であるセリンや乳酸が減っていました。
本ページでは、こすって洗うと天然保湿因子が減り、水分が逃げやすくなることの根拠として参照しています。人数が少なく、測ったのは前腕です。
12ニキビのある肌の、角層の脂質とバリア(新潟大学)
要約:
本研究は、新潟大学皮膚科の研究者らが、ニキビのある36名とニキビのない29名で、皮脂の出る量、角層の脂質、角層が水分を保つ働き(経皮水分蒸散量など)を比べたものです。
皮脂の出る量が多かったのは中等度のニキビの人だけで、軽いニキビの人はニキビのない人と違いがありませんでした。角層の脂質のうち、セラミドなどのスフィンゴ脂質は、軽いニキビでも中等度のニキビでも少なくなっていましたが、ほかの脂質には違いがありませんでした。ニキビのある人では、スフィンゴ脂質が少ないほど、水分を保つ働きが落ちていました。著者らは、セラミドが少ないことによるバリアの乱れが、毛穴の内側で角質が厚くなりすぎること(過角化)を通じて、ニキビのもと(面皰)ができることに関わっている可能性があると考えています。
本ページでは、ニキビのある肌で角層のセラミドが少なく、水分を保つ働きが落ちていることがあるという根拠として参照しています。1回の測定で比べた研究で、セラミドの不足がニキビの原因だと示したものではありません。
134種類の石けんで前腕を洗った比較
要約:
本研究は、イランのテヘラン医科大学などの研究者らが、アルカリ性の石けん、クリーム入りの石けん、グリセリン入りの石けん、弱酸性の合成洗浄料(シンデット)の4種類を、健康な人15名ずつの4群に割り当て、比べたものです。参加者は、自宅で左の前腕を1日4回以上、7日間洗いました。
どの群でも、1回目に洗った後から、水分の逃げやすさ(経皮水分蒸散量)が有意に増えていました。アルカリ性の石けんでは、肌のpHがどの時点でも大きく上がり、赤みもグリセリン入り・クリーム入りの石けんより強く出ました。弱酸性の合成洗浄料だけは、最後の時点でpHが下がっていました。著者らは、やさしい洗浄成分を使った新しい世代の洗浄料は、肌を傷めにくいとしています。
本ページでは、アルカリ性の石けんで肌のpHが上がり、赤みもグリセリン入り・クリーム入りの石けんより強く出たこと、1回洗うだけでも水分が逃げやすくなること、弱酸性の洗浄料は肌を傷めにくいと著者らがまとめていることの根拠として参照しています。4群に割り当てて比べた試験で、どの石けんかを伏せる手順(目隠し)はとっていません。測ったのは前腕です。
14お湯の温度と、洗浄成分による皮膚の刺激
要約:
本研究は、イタリアのパヴィア大学皮膚科の研究者らが、洗うときの水の温度が、洗浄成分による皮膚の刺激にどう影響するかを調べたものです。
男女10名の前腕の内側に4か所の区画をつくり、5%の洗浄成分(ラウリル硫酸ナトリウム)の液を、4℃・20℃・40℃の3通りの温度で1日1回、4日間塗りました。1か所は何も塗らない区画としました。5日目に、水分の逃げやすさ、赤み、うるおい、角層のはがれやすさなどを測ったところ、液の温度による違いは有意で、温度が高いほど皮膚の傷みが大きく、温度と刺激の強さのあいだには、統計的にはっきりした相関がありました。
本ページでは、同じ洗浄成分でも、お湯の温度が高いほど肌への刺激が強くなることの根拠として参照しています。日常の洗顔より刺激の強い条件での、前腕での実験です。
15メイク落としでこすることと、アトピー性皮膚炎の肌
要約:
本研究は、花王の研究者らと国内のクリニックが、アトピー性皮膚炎のある人がメイクを落とすときに肌をこする影響を調べたものです。
顔に軽いアトピー性皮膚炎の症状がある女性35名に、ふだんのメイク落としの代わりに、落とす力がより強く、こする力が少なくて済むクレンジングオイルを4週間使ってもらいました。ほかのスキンケアは変えていません。4週間後には、乾燥、かさつき、刺激、赤み、かゆみが有意に減り、角層の水分を保つ力が上がり、水分の逃げやすさは下がっていました。もともと落とす力の弱いメイク落としを使っていた人ほど、改善が大きくなっていました。著者らは、落とす力の弱いメイク落としを使うために、強くこすって肌を悪くしている人が多いのではないかと考えています。
本ページでは、メイク落としのときにこすらないことが、肌の負担を減らすことにつながる根拠として参照しています。オイルを勧める趣旨ではありません。比べる群を置かない試験で、メーカーの研究者による報告です。
16保湿剤がバリアを支えるしくみ(総説)
要約:
本総説は、米国のイリノイ大学などの皮膚科の研究者らが、肌のバリアの働きと、保湿剤がそれを支えるしくみを整理したものです。
肌のバリアを、物理・化学・微生物・免疫の4層の働きで説明しています。保湿剤のうち、表面を覆うもの(オクルーシブ)は角層の表面をふさぎ、水分を抱えるもの(ヒューメクタント)は真皮から表皮へ水分を引き寄せ、すき間を埋めるもの(エモリエント)は角層になじんで、物理的なバリアを強めるとしています。保湿剤で水分の逃げやすさが改善することは、いくつもの研究で示されていると述べています。
本ページでは、保湿剤の働きを、水分を抱える・水分を逃がさない・すき間を埋めるの3種類に分けて説明する根拠として参照しています。
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監修者情報(医師紹介)

監修医師:佐藤 雅樹
ソララクリニック 院長
専門分野:美容皮膚科
2000年 順天堂大学医学部卒。順天堂大学医学部形成外科入局。 大学医学部付属病院等を経て、都内美容皮膚科クリニックにてレーザー治療の研鑽を積む。2011年3月 ソララクリニック開院 院長就任。2022年 医療法人 松柴会 理事長就任。日本美容皮膚科学会 日本形成外科学会 日本抗加齢医学会 日本レーザー医学会 点滴療法研究会 日本医療毛髪再生研究会他所属。
様々な医療レーザー機器に精通し、2011年3月にルビーフラクショナル搭載機器を導入し、15年以上この治療を続けている。各種エネルギーベースの医療機器を併用する複合治療に積極的に取り組む。
※当院の治療はすべて自由診療(保険適用外)です。標準的な費用は各ページの料金表または料金表ページをご覧ください。治療に伴うリスク・副作用は診察時にもご説明します。
最終更新日
自由診療についての情報開示
医療広告ガイドライン(厚生労働省)が定める限定解除の要件にそって、次の4点を掲載しています。当院は保険診療を行っておりません。
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このページは、肌のバリアと乾燥のしくみ、洗顔と保湿についての解説で、特定の治療をご案内するものではありません。本文で触れた治療(ピーリングなど)の内容と費用は、それぞれの治療のページと料金表でご案内しています。初診料は3,300円(税込・VISIA肌画像分析を含む)。回数と間隔は肌の状態によって異なり、診察の際にご説明します。
4. 主なリスク・副作用
治療の種類によって異なります。ピーリングでは、赤み・ひりつき・皮むけ・乾燥などが起こることがあります。各治療のリスク・副作用は、それぞれの治療のページと、診察の際にご説明します。
アトピー性皮膚炎などの皮膚の病気や、ニキビは、保険診療の対象となる病気です。なお当院では保険診療を行っておりません。保険での治療をご希望の場合は、保険診療に対応している医療機関の受診をお勧めしています。