ニキビが 増えやすい 時期 Seasonal Acne|仙台
変わり目の速さに、
夏が終わり、朝晩の空気が変わってくると、ニキビが増える方が出てきます。治療を続けている方でも、同じころに肌の調子が崩れることがあります。通院されている方や、新しく来られる方を見ていると、ニキビが増えたり落ち着いたりするタイミングは、皆さんおおむね重なっています。大きな山は、秋と春の2回です。
2011年の秋、温度と湿度の変化が大きいときには「皮膚が対応しきれずに、ニキビの発生へとつながっているように見えます」とブログに書きました。その見方は、いまも変わっていません。
気象庁が公開している仙台の観測値から、気温と空気中の水分量が1年のうちいつ大きく変わるのかを計算し、当院で見ているニキビの波と並べてみました。
このページの要点
- 当院で診ている方のニキビは、9月中旬から10月上旬にいちばん増え、3月から5月ごろにも増えます。
- 湿度と気温が大きく変わることが、ニキビの悪化の原因のひとつだと考えています。仙台では、9月中旬から10月上旬と4月下旬から5月中旬に空気中の水分量が大きく動き、当院で見ているニキビの山と重なります。
- 秋の山に向けて、9月半ばごろ、寝室に湿度計付きの加湿器を用意していただくようお勧めしています。
- 増えやすい時期は、変わり目の前に備えるための目安です。1年を通してニキビが続いている方は、季節を待たずにご相談ください。
この記事の目次
ニキビが増えるのは何月ですか
当院では、秋の9月中旬から10月上旬と、春の3月から5月ごろに、ニキビが増える方が多くなります。山は秋のほうが大きく、どちらも年によって多少前後します。このほか、2月、梅雨入りの6月、10月半ばから11月にかけても、増える方がいます。人によっては、春や秋の山だけでなく、こうした小さな山の時期に崩れることもあります。
ニキビの治療を希望して来られる方が増えるのも、秋と春の山の時期です。
秋の山
9月から10月は、湿度の変化が激しく、大きい時期です。そうした時期にあたるためか、ニキビが増える方がいます。この時期は、ニキビの増え方が1年でいちばんはっきり出るタイミングだと思います。2012年9月25日のブログにも、「急に涼しくなってきています。乾燥する季節へ急速に進みそうな感じがします」と書いていました。
春の山
春の山は、秋ほど大きくはありません。ニキビのできやすい方は、湿度や気温の変化に敏感です。変化に肌が追従できずに、ニキビができやすくなるのではないかと考えています。
波の出方
変わり目のあいだにも、小さな波があります。途中で肌の状態とのバランスがいったん取れるのか、ニキビが減ることもあり、全員が同じように増えるわけではありません。その後、湿度のバランスがまた崩れれば、ニキビは増えてきます。変わり目の途中で、一時的によく見えるときもあります。
治療を進めていくと、季節の変わり目に悪化するときの幅は、だんだん狭くなっていくことが多いと感じています。
空気の変化と重ねると
秋の山は、仙台の空気中の水分量の変化が大きい9月中旬から10月上旬に重なります。春に水分量の変化が大きくなるのは4月下旬から5月中旬で、当院の春の山(3月から5月ごろ)でいえば後半です。
図1 秋の山の帯の真下で、棒が高くなっています
気温も加えるとどう変わるのか、2026年の秋はどうだったのかは、「仙台の気温と湿度で、時期を調べました」でご説明します。
仙台の気温と湿度で、時期を調べました
仙台の冬の湿度は、平年値で60%台です。数字だけ見ると、それほど乾いていないように思えます。ところが空気中の水分量で比べると、1月下旬から2月上旬は1立方メートルあたり3.5〜3.6グラムしかありません。8月上旬の18.6グラムの、5分の1ほどです。
天気予報で見る湿度(相対湿度)は、その気温の空気が含むことのできる水分のうち、いま何割を含んでいるかを表した数字です。同じ水分量でも、気温が下がれば湿度の数字は上がります。
肌から水分が逃げていく勢いは、肌と空気との水分の差によって大きく変わります。そこで、ここからは湿度の数字ではなく、空気中の水分量で比べます。
2026年の秋
空気中の水分量は、8月の終わりから下がり始めました。9月のあいだは平年よりゆるやかで、9月の終わりから10月の初めにかけて一気に下がっています。
図2 太い線と破線の開きが、平年との違いです
9月28日には1立方メートルあたり16.8グラムあった水分量が、10月3日には8.1グラムと、5日で半分以下になりました。10日ごとの平均で見ても、9月下旬の14.4グラムが10月上旬には10.3グラムと、平年の同じ時期の3倍を超える下がり方でした。10月3日のあとも、戻ったり下がったりを繰り返しています。
2024年と2025年は、10月の半ばまで空気が湿った年でした。水分量の7日間の平均が15グラムから12グラムまで下がるのに、2024年は18日、2025年は19日かかっています。2026年は1週間でした。2016年以降の11年で、ほかに1週間で下がったのは2019年だけです。
時期は年によって少しずつずれます。2016年から2025年の毎日の値で、水分量の下がり幅が最大になった10日間を探すと、10年のうち7年は9月中旬から10月上旬です。早い年は8月、遅い年は10月中旬で、2026年は9月下旬です。
季節の流れと日ごとの揺れ
平年値の10日ごとの増減(季節の流れ)で見ると、水分量は8月上旬をピークに下がり始めます。9月中旬は、10日で2.1グラムと、1年でいちばん速く乾く時期です。
毎日の値で、前の日からの動きを平均したもの(日ごとの揺れ)も、9月中旬から10月上旬と、4月下旬から5月中旬に山があります。秋のほうは、季節の流れの山とも重なります。
図3 下の段の色の付いた棒が、春と秋で揺れの大きい時期です
乾く日と気温が下がる日
前の日より水分量が2グラム以上減った日は、1年あたり9月(5.8日)と10月(5.6日)がいちばん多く、そのうち同じ日に気温も下がった日も、ほかの月より多くなります。5月も4.9日ありますが、気温も下がった日は半分に届きません。
図4 棒の下の濃い色の部分が、同じ日に気温も下がった日です
気温の変わり方
気温も同じように見ると、季節の流れでは、4月に10日で約2℃ずつ上がります。秋は9月中旬から12月上旬まで、10日で2℃前後ずつ下がり続けます。日ごとの揺れが大きいのは、3月から4月と、11月中旬から12月上旬です。
寒暖差(最高気温と最低気温の差)が10℃以上の日は、3月から5月には1か月に13〜14日あります。10月は8日、11月は10日です。
水分量の2つの動きに、気温の2つの動きも合わせると、山は9月中旬と4月下旬に来ます(図5)。秋は気温の下がり方と日ごとの揺れが冬の入り口まで続くので、11月まで高めです。
図5 気温も加えると、春のいちばん高い棒が5月上旬から4月下旬に移ります
2月中旬と6月下旬には、小さな山があります。6月下旬は梅雨入り(東北南部の平年は6月12日ごろ)の少し後で、水分量が10日で1.4グラムずつ増えていく時期です。2月中旬は、日ごとの気温の揺れが一時的に大きくなります。どちらも、当院でニキビが増える方がいるころです。
時期ごとの一覧
| 時期 | ニキビの波(当院) | 同じ時期の仙台の空気 |
|---|---|---|
| 9月中旬〜10月上旬 | 1年でいちばん大きな山 | 水分量の下がり方が最も速い。乾いて気温も下がる日も多い |
| 10月半ば〜11月 | 増える方がいる | 気温が10日で約2℃ずつ下がり続ける |
| 2月 | 増える方がいる | 2月中旬に、前の日との気温の差が一時的に大きい |
| 3〜5月ごろ | 秋に次ぐ山 | 気温が速く上がり、寒暖差の大きい日が多い。4月下旬〜5月中旬は水分量の揺れも大きい |
| 6月 | 増える方がいる | 梅雨入りのころ。水分量が速く増える |
当院の波は私の診療での実感で、ニキビの数を気象と照らし合わせたものではありません。それでも、増える時期と空気が大きく変わる時期は、だいたい同じころです。
ニキビは、暑すぎる・寒すぎるといった気温そのものや、ストレス、スキンケアの変化でも増えることがあります。それらはいったん置いて、湿度と気温の「変化」に注目しました。変化に肌がついていけないことが、ニキビの悪化の原因のひとつだと私は考えています。それを示した論文はまだなく、診療から出てきた見立てです。
気温の動き(図6・図7)
気温と水分量は1年を通してほぼ一緒に動きますが、春は気温が先に上がります。
図6 9月は、下がり方が速いわりに、日ごとの揺れは小さい月です
図7 右上ほど暖かく湿っていく時期、左下ほど冷えて乾いていく時期です
図7の点は右上がりに並び、相関係数は0.91です。水分量の増え方がいちばん大きくなるのは、気温より遅れて6月下旬です。
試算のしかた
使ったデータと、水分量の出し方、図や日数の数え方をまとめました。
平年の動きは、気象庁の仙台の旬別平年値(1991〜2020年)から出しています。旬は、各月の1〜10日(上旬)、11〜20日(中旬)、21日〜月末(下旬)です。2016〜2025年と、2026年7月1日〜10月13日は、毎日の平均気温・最高気温・最低気温・平均湿度を使いました。空気中の水分量(絶対湿度)は、気温と湿度から計算しています。途中で出す蒸気圧は、気象庁の月別平年値にある蒸気圧とほぼ一致しました(差は0.3ヘクトパスカル以内)。
季節の流れは、平年値の前後の旬の差を2で割った、10日あたりの変化です。日ごとの揺れは、毎日の値と前の日の値との差の大きさを、旬ごとに平均したものです。図1と図5は、増える向きも減る向きも変化の大きさとして扱い、それぞれの値を最大の旬が100になるようにそろえて、同じ重みで平均しています。
年ごとの比較では、毎日の水分量を前後3日ずつならした7日間の平均を使い、8月から11月のうちで10日間の下がり幅が最大になった時期を探しました。図2の太い線と、15グラム・12グラムを下回った日の数え方には、その日までの7日間の平均を使っています。
「気温も下がった日」は、1日の平均気温が前の日より低かった日です。2グラムは、水分量が下がった日のうち、下がり方の大きいほうから4分の1ほどにあたります。3グラム・4グラムで数えても、9月・10月と5月が多いことは変わりません。
「2グラム以上」「寒暖差10℃以上」といった区切りや、図1・図5の作り方は、変化の大きさを比べるために決めたもので、医学的な基準ではありません。値はいずれも屋外のもので、暖房や加湿で変わる部屋の中の空気とは別です。
出典:気象庁ホームページ(https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/index.php)
気象庁「過去の気象データ検索」の仙台の旬別平年値・日別値を加工して作成
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変わり目に肌の中で起きていること
まわりの空気が乾いているほど、肌の水分は外へ逃げやすくなります(図8)。
図8 点は空気中の水分、矢印は肌から逃げていく水分の勢いのイメージです
ニキビのある肌のバリア
ニキビのある肌では、角層の細胞どうしをつなぐ脂(セラミド)が少なく、水分が逃げやすくなっています。角層のセラミドを1年かけて追った研究(参考文献1)では、ニキビのない肌との差が、冬に大きく開いていました。
思春期の男性を1年間、毎月測った報告もあります。こちらでも、ニキビのある肌は一年中水分を保ちにくく、冬にはバリアの働きの低下も見られました(参考文献2)。
ニキビができる前の段階には、乾燥があると私は見ています。乾燥からニキビができるまでの流れは、ニキビができる仕組みのページで詳しくご説明しています。
湿った空気から、急に乾いた空気へ
急な変化そのものは、マウスで調べられています(参考文献3)。湿度80%を超える環境で飼っていたマウスを、湿度10%未満の環境へ一気に移すと、肌から逃げる水分が2日のうちに6〜7倍に増えました。7日のうちには元に戻っています。
湿度40〜70%の普通の環境から同じように移したマウスでは、増えていません。湿った環境に慣れていた肌が、急な乾燥についていけなかったのでしょう。
反対に、乾いた環境で2週間過ごしたマウスの肌は、水分をかえって逃がしにくくなっていました(参考文献4)。時間をかければ、少なくともマウスの肌は乾燥に合わせて変わっていきます。
湿った後に乾くという順番は、仙台の夏から秋と同じです。ただ、湿度80%から10%未満という差は、仙台の季節の変化よりはるかに大きく、この実験はゆっくり乾かした場合とも比べていません。気温や湿度の変わる速さとニキビの関係を人で直接調べた研究も、PubMedで探した範囲では見つかりませんでした(2026年10月時点)。
ニキビに限らない季節の肌の変化
ニキビのない方でも、ニキビの山と同じころには肌が荒れやすいように思います。
仙台を含むアジアの5都市で、女性の顔の肌を夏と冬に比べた研究では、冬は肌の水分が少なく、水分が逃げやすく、赤みも強いという結果でした(参考文献5)。寒さと乾燥が肌のバリアの働きを全体に弱めることは、皮膚炎の研究をまとめた総説(参考文献6)にも書かれています。
全国の電話調査では、半数以上の方が自分の肌を「やや敏感」か「とても敏感」と答え、そうした方ほど、気温の変化などで肌に反応が出やすいと感じていました(参考文献7)。
変わり目の前の備え
ニキビの増え方と、その前の備えを1年の流れで描くと、図9のようになります。
図9 増えやすいのは秋と春ですが、それ以外の時期に増える方もいます
寝室の加湿
当院では9月半ばごろになると、通院中の方へ、湿度を計測できるタイプの加湿器を、せめて寝室には準備するようお伝えしています。湿度は気づかないうちに徐々に下がっていくので、気づいたころには肌にダメージが蓄積しています。下がっていくところが目に見えれば、加湿器に水を足すだけで、ある程度は加湿できます。
ここ数年は、10月ごろまで湿度の高い年もあり、少しやりすぎかと思うこともありました。ただ2026年のように、9月の終わりに一気に乾く年もあります。ニキビのできやすい肌の方には、特にこうした対策が必要になると思います。
平年の1月下旬の仙台の外の空気(1立方メートルあたり約3.6グラム)を、水分を足さずに20℃まで暖めると、湿度は約20%になる計算です。実際の部屋では、人の呼吸や炊事で出る水分が加わります。男子学生16名を対象にした実験では、湿度30%の部屋でも、目や肌が乾きました(参考文献12)。
寝室の湿度は、40〜60%ほどを目安にしてください。
保湿をためらいがちな方へ
ニキビで悩んでいる方は、初めのうち、保湿剤を使うのをためらうことが多くあります。塗るとニキビが増えるのではないか、と心配されるためです。季節に合わせて保湿剤を使い分けるのも、慣れないうちは難しいものです。部屋を加湿して空気の乾きを和らげておくと、保湿に慣れるまでの助けになると考えています。
加湿器を使っていても、ニキビのある肌に保湿は必要です。油分の少ない保湿剤の選び方は、大人ニキビのページにまとめています。
季節で説明がつくのはどこまでか
何でも季節のせいにしてしまうと、ほかの原因を見落とすことがあります。
調査ごとの違い
本人に尋ねた調査では、インドの病院(参考文献8)で、ニキビが季節で変わると答えた方が約半数でした。そのうち半数を超える方が夏に悪くなると答え、汗と湿気を理由に挙げています。ミュンヘンの大学の皮膚科では、冬に悪くなる方、夏に悪くなる方、変わらない方が、ほぼ3分の1ずつに分かれました(参考文献9)。
受診や診断の数で見ると、スペイン全国の皮膚科医の記録では、寒い時期のほうがニキビの診断が多くなっています(参考文献10)。重慶(中国)の病院では、寒すぎる日の後も、暑すぎる日の後も、数日のうちにニキビの受診が増えました(参考文献11)。
季節で変わるという報告は多いものの、どの季節に悪くなるかは、土地の気候や調べ方で違います。
季節と一緒に変わるもの
空気のほかにも、春は新年度の生活の変化、夏は汗や日焼けなど、肌の調子に重なってくるものがあります。背中のニキビと汗の関係は、背中・デコルテのニキビのページに詳しく書きました。

琥珀色の石が、季節の変わり目にあたります
受診のタイミングは、季節によって偏ることがあります。スペインの調査の著者も、時期によって受診する人が違う可能性を挙げていました。
ただ当院では、すでに通院している方の肌も、同じ時期に調子を崩します。山の時期かどうかは、通院中の方の肌の様子も合わせて見ています。
季節は、あくまで一因
1年を通して、同じようにニキビが出ていると感じている方も多くいらっしゃいます。いつもたくさん出ていると、季節によって増えた、減ったという違いは実感しにくいものです。ここに挙げたのは、ニキビが増えたり減ったりしやすい時期の目安です。変わり目の前の予防に役立てていただければと思います。
ニキビが続いているときは、山の時期を待たずにご相談ください。当院ではVISIAで肌の分析を行い、目に見えていない段階も含めて状態を確認してから、治療をご提案しています。特別なご希望がない限り、肌の状態を診断したうえで適切な治療法を医師が選択しますので、治療名がわからなくてもご心配はいりません。
当院のニキビ治療については、ニキビ治療専門外来のページをご覧ください。
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よくある質問
季節とニキビについて、診察でよくいただくご質問をまとめました。
時期について
ニキビができやすい月はいつですか?
いちばん多いのは秋の9月中旬から10月上旬で、春の3月から5月ごろがそれに次ぎます。ほかの時期に増える方もいて、時期は年によって少し前後します。
季節の変わり目に、ニキビが増えるのはなぜですか?
空気の急な変化に、肌が慣れきれないためだと考えています。秋はとくに、湿った夏から乾いた冬へ、空気が短いあいだに入れ替わります。ほかに、ストレスやスキンケアの変化が重なることもあります。
マウスでは、湿った環境から急に乾いた環境へ移すと、肌のバリアが一時的に乱れます。人のニキビで調べた研究は、まだ見当たりません。
備えについて
加湿器は、いつから使えばよいですか?
9月半ばごろには、寝室に用意しておくことをお勧めしています。仙台では、9月半ばから10月初めにかけて、空気が一気に乾く年が多いためです。
湿度計が付いたものなら、部屋が乾き始めたことに気づけます。使い始めるのは、それからで構いません。
寝室の湿度は、どのくらいを目安にすればよいですか?
40〜60%ほどが目安です。上げすぎると、結露やカビのもとになります。冬に加湿をせずに暖房だけをつけると、部屋の湿度は20%前後まで下がることがあります。
ニキビがあっても、保湿はしたほうがよいですか?
はい。ニキビのある肌は、夏でも冬でも水分を保ちにくくなっています。保湿を控えると、かえって乾燥が進みやすくなります。
油分が気になる方は、さっぱりした保湿剤から始めて構いません。乾く季節には、加湿器も一緒にお使いください。
治療と受診について
治療を続けていても、季節の変わり目には悪化しますか?
崩れることはあります。ただ、治療を続けている方では、変わり目の崩れが小さく済むことが多いと感じています。
毎年同じ時期にニキビが増えます。受診したほうがよいですか?
はい、時期にかかわらずご相談ください。毎年同じころに増えるとわかっていれば、その少し前から加湿や保湿で備えておくこともできます。
増え始めた時期や、去年の同じころの様子を教えていただけると、診察の助けになります。
仙台以外に住んでいても、同じ時期に増えますか?
ここでの試算は、仙台の観測値を使っています。空気が急に変わる時期は、地域の気候によって前後します。
お住まいの地域でも、朝晩の空気が冷え込んで乾き始めたら、加湿や保湿を見直してみてください。
参考文献
このページの説明は、私の診療での実感に加えて、国内外の研究をもとにしています。根拠にした文献を下にまとめました。タイトルをタップすると、どんな研究なのか、このページのどこを支えているのかをご覧いただけます。
ニキビのある肌と季節
1角層セラミドの季節変動と、ニキビにおけるバリア機能の障害
要約:
質量分析で角層のセラミドを283種類に分けて測り、ニキビのある肌とない肌を1年にわたって比べた研究です。著者の一部は化粧品メーカーの研究所に所属しています。
ニキビのある肌では全体としてセラミドが少なく、特にCER[NH]・CER[AH]と呼ばれる種類や、アシルセラミドが減っていました。この差は冬に目立ちました。肌から逃げる水分の量も健常な肌より多く、その差は夏には一部戻っていました。
本ページでは、ニキビのある肌が水分を逃がしやすく、その差が冬に開くという記述の根拠として参照しています。
2ニキビのある顔の肌とない顔の肌の、季節による変化
要約:
ニキビのある思春期の男性7名と、ない10名を、1年間毎月測った研究です。皮脂・肌の水分・肌から逃げる水分の量・肌の菌などを調べ、季節ごとにまとめています。参考文献1と著者の一部が共通しています。
肌から逃げる水分の量は、ニキビのある群で季節を問わず多くなっていました。肌の水分はどちらの群も冬より夏と秋に多く、冬は皮脂が少なく、バリアの働きも下がっていました。なお期間中、ニキビの程度そのものは、どちらの群でも有意には増えていません。
本ページでは、ニキビのある肌が季節を問わず水分を逃がしやすく、冬にバリアの働きが下がるという記述の根拠として参照しています。
急な乾燥と肌のバリア
3環境の湿度が急に下がると、肌のバリアの恒常性が乱れる
要約:
毛のないマウスを、湿度80%を超える環境、または湿度40〜70%の普通の環境で飼った後、湿度10%未満の環境へ移して、肌から逃げる水分の量を測った研究です。
湿った環境から移したマウスでは、2日のうちに6〜7倍に増え、7日のうちに元に戻りました。普通の環境から移したマウスでは増えていません。著者らは、湿度の急な低下がバリアの異常を起こし、皮膚の病気の起こりやすさや重さに関わりうると述べています。
本ページでは、湿った環境に慣れた肌が急な乾燥で一時的に乱れるという記述の根拠として参照しています。ゆっくり乾かした場合と比べた実験ではなく、人のニキビで確かめたものでもありません。
4乾燥した環境に置くと、表皮のバリア機能が強まる
要約:
毛のないマウスを、湿度80%を超える環境と10%未満の環境で2週間飼い、肌の状態を比べた研究です。
乾いた環境で飼ったマウスでは、肌から逃げる水分が31%少なく、角層が厚くなり、バリアの働きが強まっていました。傷をつけた後のバリアの回復も、乾いた環境で過ごしたマウスのほうが速くなっていました。
本ページでは、時間をかければ、少なくともマウスの肌は乾燥に合わせて変わっていくという記述の根拠として参照しています。慣れるまでに何日かかるかは測られていません。
ニキビのない肌と季節
5アジア各地の顔の肌を目視と機器で評価した研究:季節の影響
要約:
中国のハルビンと上海、インドのニューデリー、韓国のソウル、そして仙台に住む女性各約100名(14〜75歳)の顔の肌を、夏と冬に評価した研究です。筆頭著者は化粧品メーカーの所属です。
機器の測定では、冬は肌表面の水分とメラニンの値が低く、肌から逃げる水分の量、pH、赤み、皮脂の量の値が高くなっていました。皮膚科医の目視では、ざらつきやしわ、色素沈着は冬のほうが軽く評価されています。著者らは、低温・低湿度の冬に多くの指標が悪くなると結論づけています。
本ページでは、仙台を含む地域で、冬に肌の水分が減り赤みが増えるという記述の根拠として参照しています。
6環境の湿度と温度が、皮膚のバリア機能と皮膚炎に与える影響
要約:
寒い季節に肌が乾いてかゆくなる仕組みについて、これまでの研究をまとめた総説です。絶対湿度・相対湿度・露点といった気象の用語も整理しています。
低湿度と低温は、肌のバリアの働きを全体に下げ、こすれなどの刺激に弱くし、刺激物やアレルギーのもとに反応しやすくすると結論づけています。寒く乾いた天候は、アトピー性皮膚炎が悪化するリスクも上げるとまとめています。
本ページでは、寒さと乾燥が肌のバリアの働きを弱めるという記述の根拠として参照しています。主に皮膚炎についての文献です。
7日本人の敏感肌の評価
要約:
全国から偏りなく選んだ18歳以上の方に、電話で肌の敏感さを尋ねた調査です。
自分の肌を「やや敏感」「とても敏感」と答えたのは、男性の52.84%、女性の55.98%でした。寒さ・暑さ・乾いた空気・気温の変化などで、発疹やちくちく感が出るかを尋ねると、敏感肌と答えた方ほど「はい」と答える割合が高くなっていました。
本ページでは、ニキビのない方でも、気温の変化などで肌に反応が出ると感じる方が多いという記述の根拠として参照しています。
ニキビの季節変動の調査
8ニキビの季節変動:俗説か事実か
要約:
ニューデリーの病院で、ニキビのある452名に季節による変化を尋ねた研究です。
季節で変わると答えたのは229名(50.7%)で、そのうち56.3%が夏に悪化すると答えました。夏に悪化した方の約8割は、理由に汗と湿度の上昇を挙げています。著者らは、欧米で言われてきた「冬に悪化し夏に良くなる」とは逆の結果で、この地域では高温・多湿・発汗が影響していると考えています。
本ページでは、季節で変わると答える方が約半数いること、暑く湿った地域では夏の悪化を訴える方が多いことの根拠として参照しています。
9ニキビの重さの季節変動
要約:
ミュンヘン工科大学の皮膚科で、ニキビのある139名に、季節によって重さが変わるかを尋ねた研究です。
冬に悪化すると答えた方、夏に悪化すると答えた方、変わらないと答えた方が、それぞれ約3分の1でした。
本ページでは、季節の向きが人によって分かれることの根拠として参照しています。
10皮膚科の診断は、暑い時期と寒い時期で変わるか:スペイン2016年の全国調査から
要約:
スペイン全国から無作為に選ばれた皮膚科医が、寒い時期と暑い時期にそれぞれ3日ずつ記録した10,999件の診断を比べた研究です。
ニキビは寒い時期に多く記録されていました。著者らは、こうした差は病気そのものによる可能性も、時期によって受診する人が違う可能性もあると述べています。
本ページでは、受診や診断の季節差が悪化の季節差と同じとは限らないという記述の根拠として参照しています。
11体感温度が適温から外れると、ニキビのリスクが上がる:多施設の時系列研究
要約:
中国・重慶の複数の病院で、2015〜2019年の日ごとのニキビの外来受診数と、体感温度との関係を調べた研究です。
寒い日には、その日から7日後までを合わせた受診のリスクが1.34倍に、暑い日には、その日から3日後までを合わせて1.17倍になりました。25歳未満の方と男性で、影響が大きく出ていました。
本ページでは、寒すぎても暑すぎても数日のうちにニキビの受診が増えるという記述の根拠として参照しています。数えているのは受診の数で、ニキビの重さではありません。
部屋の湿度
12低い相対湿度に対する、体と感覚の反応
要約:
健康な男子学生16名に、気温25℃のまま湿度10%・30%・50%の部屋で過ごしてもらい、目・鼻・肌などの反応を比べた実験です。九州の大学で行われました。
湿度は皮脂腺の働きや血圧には影響しませんでしたが、30%の条件で目と肌が乾き、10%では鼻の粘膜も乾きました。著者らは、目と肌の乾燥を避けるには、湿度を30%より高く保つ必要があると結論づけています。
本ページでは、暖房をつけた冬の部屋の湿度を考えるときの根拠として参照しています。
なお当院の治療はすべて自由診療(保険適用外)で、保険診療は行っておりません。ニキビ(尋常性ざ瘡)は保険診療の対象となる病気ですので、保険での治療をご希望の場合は、保険診療に対応している医療機関の受診をお勧めしています。
ニキビ治療の内容・費用・リスク・副作用については、ニキビ治療専門外来のページにまとめています。
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監修者情報(医師紹介)

監修医師:佐藤 雅樹
ソララクリニック 院長
専門分野:美容皮膚科
2000年 順天堂大学医学部卒。順天堂大学医学部形成外科入局。 大学医学部付属病院等を経て、都内美容皮膚科クリニックにてレーザー治療の研鑽を積む。2011年3月 ソララクリニック開院 院長就任。2022年 医療法人 松柴会 理事長就任。日本美容皮膚科学会 日本形成外科学会 日本抗加齢医学会 日本レーザー医学会 点滴療法研究会 日本医療毛髪再生研究会他所属。
様々な医療レーザー機器に精通し、2011年3月にルビーフラクショナル搭載機器を導入し、15年以上この治療を続けている。各種エネルギーベースの医療機器を併用する複合治療に積極的に取り組む。
※当院の治療はすべて自由診療(保険適用外)です。標準的な費用は各ページの料金表または料金表ページをご覧ください。治療に伴うリスク・副作用は診察時にもご説明します。
最終更新日
執筆・監修