ルビーフラクショナル徹底比較Comparison

ピコ・窒素プラズマ・ヘリオス785、

4機種を当院がどう使い分けているか

まずは要点だけ知りたい方へ

シミ取りレーザーには 「どれが一番か」ではなく「どこで分担するか」 が選択の軸になります。当院は症状に応じて4機種を使い分けています。

  • 1台のレーザーで全種類のシミには対応できません ── 波長・原理で得意領域が大きく異なります
  • 症状ごとに最適な機器が異なるため、当院は4機種を組み合わせ ── 一機種では届かない領域までカバーします
  • お悩みと肌の状況に応じて5パターンで治療方針を組み立てます ── 全体的なシミ/広範囲の薄いシミ/肝斑混在/ADM/くすみ・キメ・毛穴
  • 肝斑混在は「順序」が重要 ── まず肝斑をコントロールし、その後シミ治療へ
  • IPLは現在不採用 ── フラクショナル方式のレーザーで肌質全般の改善も得られると分かってきたため

気になるところから読むなら:

症状別 ── あなたのシミならどの機種から始めるか

原理の違い ── 光熱・光音響・プラズマ熱再生

ダウンタイム・PIHリスクで見る違い

まずは肌診断を予約する

この記事の目次

  1. 1. シミ取りレーザーは「どれが一番か」ではなく「どこで分担するか」
  2. 2. 5機種比較早見表 ── 各機種の詳細はリンク先で
    1. 各機種の詳細ページ
  3. 3. 原理の違い ── 光熱・光音響・プラズマ熱再生
    1. ルビーレーザー(694nm/ナノ秒、当院では「ルビーフラクショナル」として運用)── 光熱効果
    2. ピコ秒レーザー ── 光音響効果(波長で使い分け)
    3. 窒素プラズマ(ネオジェン PSR Evo)── プラズマ熱再生
    4. IPL(光治療)── 多波長光
  4. 4. ダウンタイム・PIHリスクで見る違い
    1. なぜPIHリスクを重視するのか ── 日本人皮膚の特性
    2. スポット照射のPIHリスクが「高」とされる理由
    3. ヘリオス785 PICO ── 被覆材なしでスポット照射が可能な低PIH波長
  5. 5. 1回で取れる?何回必要? ── 即効性と積層性のトレードオフ
  6. 6. 適応するシミ・しないシミ ── 3軸で整理する
    1. 各特性に対する第一選択機種
  7. 7. 症状起点フロー ── あなたのシミならどの機種から始めるか
    1. パターン①:全体的にシミがあり、部分的に大きめのシミが混在する
    2. パターン②:広範囲にある細かいシミがメイン
    3. パターン③:肝斑が混在する
    4. パターン④:ADM(真皮メラニン)── 段階的に移行
    5. パターン⑤:くすみ・キメ・毛穴が主訴
  8. 8. 当院の4機種体制 ── シミの状態に応じた使い分けの全体像
  9. 9. IPL(光治療)を当院で採用していない判断軸
  10. 10. 当院の診療哲学 ── 「必要に応じて揃えた結果」の4機種
  11. 11. 関連ページ
    1. 各機種の詳細ページ
    2. 関連する解説ページ
  12. 12. よくあるご質問
  13. 13. 参考文献

1. シミ取りレーザーは「どれが一番か」ではなく「どこで分担するか」

「シミ取りレーザーで一番効くのはどれですか?」とご相談いただくことがあります。しかし結論からお伝えすると、すべてのシミに対して一番効く一台は存在しません。シミは「種類」「深さ」「大きさ」「肝斑の混在の有無」などで性質が変わるため、それぞれに適した波長・照射方式の機器を選び分ける必要があるからです。

当院では現在、ルビーフラクショナル/ヘリオス785 PICO/PQX(ピコ秒レーザー)/窒素プラズマ(ネオジェン PSR Evo)の4機種を使い分けています。これは「複数台揃えること」が目的ではなく、シミの種類ごとに突き詰めて治療法を考えた結果、それぞれに応じた機器が必要になってきたためです。

本ページは 4機種の「違い」と「使い分け」に焦点を絞った比較ページです。各機種の治療経過・回数・料金などの詳細は、それぞれの個別ページに譲ります。「自分のシミにはどの機種が合うのか」「なぜ当院はこの機器構成になっているのか」を理解いただくための全体像の把握にお役立てください。

2. 5機種比較早見表 ── 各機種の詳細はリンク先で

当院で使用している4機種に、参考として IPL(光治療)を加えた5機種の概要を一覧にまとめます。原理・適応・ダウンタイム・PIHリスク・当院での位置づけの観点で整理していますので、ここを起点に「自分のシミと近そうな機種」の詳細ページへ進んでください。

機器 原理 主な適応 ダウンタイム PIHリスク 当院での位置づけ
ルビーフラクショナル
(694nm/ナノ秒)
光熱効果+点状照射 シミ・そばかす・ADM/面で広がる悩み 赤み1日 極めて低 主軸
ヘリオス785 PICO
(785nm/ピコ秒)
深部光音響+ハイブリッド照射 シミ・くすみ・ADM・肝斑にも対応 数時間〜1日 極めて低 シミ+肌質改善の柱
PQX
(532/1064nm/ピコ秒)
光音響効果(波長で使い分け) 532:表在性の比較的大きなシミ/1064:ピコトーニング 532:テープ2週間/1064:赤み数時間 532:高/1064:低 スポット除去・ピコトーニング
窒素プラズマ
(ネオジェン PSR Evo)
プラズマ熱再生(色素非依存) 肝斑・くすみ・キメ・小じわ・毛穴 ゼロ〜数日 ほぼなし 肝斑コントロール/肌育成
IPL(光治療) 多波長光 —(当院では使用せず) 現在不採用

📌 治療回数の考え方について

機種ごとに治療回数の目安は異なります。ただし、シミの種類・濃さ・個人差により最適な回数は変動するため、回数を機械的に決めるのではなく、診察ごとに肌の状態を確認しながらご提案しています。各機種の回数の考え方の詳細は、個別ページをご参照ください。

各機種の詳細ページ

本ページでは各機種の「違い」と「使い分け」に焦点を絞ります。治療経過・適応の詳細・料金・症例については、それぞれの個別ページをご参照ください。

ルビーフラクショナル ── 当院シミ治療の主軸

ヘリオス785 PICO ── 被覆材不要の785nmピコレーザー

PQX(ピコ秒レーザー) ── スポット照射・ピコトーニング

窒素プラズマ(ネオジェン PSR Evo) ── 肝斑コントロール・肌育成

『3. 原理の違い』以降では、これらの機種の「物理的な違い」「ダウンタイムの違い」「使い分け方」について、章ごとに掘り下げていきます。

3. 原理の違い ── 光熱・光音響・プラズマ熱再生

ここまで挙げた5機種(当院の4機種と、参考としてのIPL)は、メラニン色素や肌組織に対する「作用の仕方」が大きく3系統に分かれます。「光熱効果」「光音響効果」「プラズマ熱再生」です。この物理的な違いが、適応や使い分けの根本にあります。

ルビーレーザー(694nm/ナノ秒、当院では「ルビーフラクショナル」として運用)── 光熱効果

ルビーレーザーは 694nm の波長を持ち、メラニン色素に強く吸収されます。ナノ秒(10億分の1秒)のパルスでメラニンに熱を与え、色素を蒸散させる「光熱効果」が基本原理です。

ルビーフラクショナルは、この強力な光熱効果を「面」ではなく 点状(フラクショナル)に分割して照射することで、周辺組織への熱拡散を抑え、ダウンタイム短縮とPIHリスク低減を実現しています。

ピコ秒レーザー ── 光音響効果(波長で使い分け)

ピコ秒レーザーは ピコ秒(1兆分の1秒)という極短パルスで照射するため、熱が発生する前に「衝撃波(光音響効果)」だけでメラニンを粉砕します。熱拡散が少ないため周辺組織を温存できるのが大きな特徴です。

ピコ秒レーザーは 波長によって到達する深さと適応が異なるのが特徴で、当院ではこの波長違いを使い分けています。

532nm(PQXスポット照射)── 表在のはっきりしたシミに

表在性のはっきりした、比較的大きなシミに使用します。薄いシミにも一定の効果が得られます。

波長的にメラニン吸収が強い一方で、ヘモグロビンへの吸収も強く、血管周囲の炎症性サイトカイン放出を介して PIH(炎症後色素沈着)が起こりやすい性質を持ちます。ピコ秒化によりこのリスクは大きく低下しましたが、絶対的なリスクは残るため、被覆材(テープ)は2週間程度必要です。

785nm(ヘリオス785 PICO)── 被覆材不要・低PIHの安全域

メラニンへの吸光度が 1064nmの3〜5倍と高く、血管(ヘモグロビン)への反応が劇的に低い波長です。当院では「全体照射+低出力スポット照射」の ハイブリッド照射 で運用しており、被覆材不要でスポット照射が可能になっています。

※ヘリオス785 PICO でスポット単独治療は行わず、必ず全体照射に付随する形で実施します。

532nm スポットと比較して PIH 発生確率が極端に低く、色黒の方やデリケートな肌質の方にも対応可能です。複数回の治療が必要です。

1064nm(ピコトーニング)── 低出力で広範囲にトーンを整える

深部に到達する波長を、あえて低出力で広範囲に照射する治療です。

高出力で組織ごと破壊するのではなく、メラニンの塊である メラノソーム に対して衝撃波で細かく 粉砕(フラグメント化) し、肌の代謝による排出を促進することで、肌全体のトーンを徐々に整えていきます。

低出力で熱拡散も少ないため、炎症を起こしやすい肝斑のような病態にも比較的安全に応用できる治療です。

窒素プラズマ(ネオジェン PSR Evo)── プラズマ熱再生

窒素プラズマは、窒素ガスをプラズマ化して肌に微小な熱刺激を与えることで、肌全体の再生を促す機器です。色素には反応しないのが他のレーザーとの大きな違いです。

肝斑は刺激に弱い病態で、メラニンを高出力で破壊する治療では、その刺激で炎症が強く起こり悪化につながりかねません。色素に反応しない窒素プラズマであれば、こうした炎症リスクを抑えながら肌全体を整えることが可能です。

IPL(光治療)── 多波長光

IPLは 500〜1200nm程度の多波長光をフィルタで切り出して照射する機器です。シミだけでなく、赤み・毛細血管拡張・くすみ・肌質改善など 複数の症状を一度に扱えるのが特徴です。

その反面、メラニンへの作用の選択性は単一波長レーザーと比べると低くなります。IPL の特性詳細と、当院で IPL を採用していない理由は 『9. IPL(光治療)を当院で採用していない判断軸』で詳述します。

波長別の皮膚への到達深度とメラニン吸光度(v6) 波長と皮膚への到達深度・メラニン吸光度 MELANIN ABSORBANCE メラニン吸光度 532nm = 100 を基準にした相対値 532nm 100 694nm 41 785nm 27 1064nm 10 出典:Jacques SL. Phys Med Biol. 2013;58:R37-61 / μa,mel(λ) = 6.6×10¹¹ × λ⁻³·³³ PENETRATION DEPTH 到達深度(治療有効領域・目安) 表皮 真皮乳頭層 真皮網状層 皮下 0 0.2 0.8 2.0 3.5mm 532 PQX KTP 532nm 〜0.2mm 694 ルビーフラクショナル 694nm 〜0.8mm 785 ヘリオス 785nm 〜1.3mm 1064 PQX Nd:YAG 1064nm 〜3.0mm ADM が住む層 (真皮乳頭層・参考) 数値は治療有効領域の目安。実際の到達はパルス幅・出力・肌色などで変動します
波長別の到達深度と吸光度(v6 スマホ版) 波長と到達深度・メラニン吸光度 MELANIN ABSORBANCE 532 = 100 基準 532 100 694 41 785 27 1064 10 出典:Jacques SL. Phys Med Biol. 2013 PENETRATION DEPTH 治療有効領域・目安 表皮 真皮乳頭 真皮網状 皮下 0 0.2 0.8 2.0 3.5 532 PQX KTP 〜0.2mm 694 ルビー フラクショナル 〜0.8mm 785 ヘリオス 〜1.3mm 1064 Nd:YAG 〜3.0mm ADM 層 数値は治療有効領域の目安。実際の到達は条件で変動

4. ダウンタイム・PIHリスクで見る違い

ダウンタイム(赤み・腫れ・被覆材の必要期間)とPIH(炎症後色素沈着)のリスクは、機種選びにおいて 仕事や予定との両立、そして 「治療したのに余計にシミが濃く見える」状態を避けるという意味で、非常に重要な比較軸です。

機器 ダウンタイム PIHリスク 備考
ルビーフラクショナル 赤み1日 極めて低 当院実績で2,000分の1以下
ヘリオス785 PICO 数時間〜1日 極めて低 被覆材不要。532スポットと比較してPIH極端に低い(末尾参考文献参照)
窒素プラズマ ゼロ〜数日 ほぼなし 色素非依存のため
PQXスポット照射(532nm) テープ2週間 ルビーフラクショナル比で相対的に高い
PQXピコトーニング(1064nm) 赤み数時間 低出力照射のため
IPL(光治療) 数日のかさぶた 条件次第

なぜPIHリスクを重視するのか ── 日本人皮膚の特性

日本人の肌は世界的な皮膚科学の分類で スキンタイプIII〜IV に属し、白人の肌(タイプI〜II)と比べてメラニンの活性が高いため、炎症が起きた後に色素沈着(PIH)が残りやすい特徴があります。

「シミを取りに行ったのに、別の色素沈着が新しく出てしまった」という状況を避けるためにも、PIHリスクの低い機種を選び、機種ごとのリスクの違いを踏まえた治療設計が重要になります。

スポット照射のPIHリスクが「高」とされる理由

PQXスポット照射のPIHリスクを 「高」 としているのは、あくまで相対的な評価です。当院のルビーフラクショナル治療では、PIHの発生率は実績で 2,000分の1以下 に抑えられています。

これに対してスポット照射は、メラニンに対して熱エネルギーが一点集中するため、ピコレーザー化で 絶対的なリスクは下がっているものの、ルビーフラクショナルとの比較では 相対的に高くなります

ヘリオス785 PICO ── 被覆材なしでスポット照射が可能な低PIH波長

ヘリオス785 PICOが「ダウンタイム数時間〜1日/PIHリスク極めて低」を実現できているのは、『3. 原理の違い』で述べた通り、785nm 波長そのものがヘモグロビン反応が低くPIHを起こしにくい性質を持つためです。

アジア人を対象としたPIHおよび治療効果に関する研究でも、その安全性は報告されています(末尾参考文献参照)。色黒の方やデリケートな肌質の方でも、症状に応じて治療選択肢に入れられる機種です。

5. 1回で取れる?何回必要? ── 即効性と積層性のトレードオフ

「1回でどこまで取れますか?」というご質問は多くいただきます。シミ取りレーザーは、機種ごとに 「即効性」(少ない回数で目に見える変化を出すか)と 「積層性」(複数回の治療を重ねて徐々に整えていくか)の方向性が異なります。

機器 性質 イメージ
PQXスポット照射(532nm) 即効型 濃く境界明瞭な「点」のシミを少ない回数で除去(広範囲には不向き)
ルビーフラクショナル
ヘリオス785 PICO
PQXピコトーニング(1064nm)
積層型 ダウンタイムを抑えながら、広範囲の面を月単位で少しずつ整える
窒素プラズマ 肌育型 継続的な照射で肌そのものの状態を底上げする

スポット照射は、多くの場合 1〜2回で「点」のシミを除去できる即効性が強みです(シミの大きさや濃さによっては追加治療が必要になることもあります)。一方で被覆材2週間のダウンタイムを伴うため、顔全体のような広範囲を一度に処理するのには向きません(広い範囲に被覆材を貼り続けることになるためです)。

これに対してルビーフラクショナル・ヘリオス785 PICO・ピコトーニングは、ダウンタイムを抑えながら広範囲を少しずつ治療していけるため、面で広がるシミを月単位で徐々に薄くしていくような治療設計が可能になります。

窒素プラズマはこれらとも性質が異なり、シミ「除去」というより 肌全体を整えながら育てていく方向性を持ちます。

「即効性を優先するか」「ダウンタイムを抑えて少しずつ整えるか」 ── どちらが優れているという話ではなく、シミの種類とご自身のライフスタイルに合わせて選ぶべき軸です。それぞれの治療回数の考え方は、各機種の個別ページをご参照ください。

6. 適応するシミ・しないシミ ── 3軸で整理する

シミは単一の症状ではなく、複数の特性が組み合わさっています。当院では、シミを 3つの軸で整理して機種を選んでいます。

  • 深さの軸:表在性(表皮)/真皮性(ADM等の深部)
  • 範囲の軸:単発/面で広がっている
  • 肝斑要素:背景に肝斑があるか否か

📌 もう1つの大切な軸 ── ダウンタイム許容度

これら3軸に加えて、患者様ご自身の ダウンタイム許容度(テープを貼れる日数があるか、赤みが残ってもよいか)も、実際の機種選択では大きな比重を持ちます。各機種のダウンタイム比較は『4. ダウンタイム・PIH リスクで見る違い』をご参照ください。

深さ×範囲の2軸マトリクスと肝斑要素(v6) 深さ × 範囲 で見る機種マトリクス + 肝斑要素ありの場合の追加方針 単 発 表 在 表皮〜真皮浅層 真 皮 深部・ADM領域 ADM境界(真皮乳頭層) PQX 532 スポット ヘリオス785 スポット ルビースポット(厚みあり時) ルビーフラクショナル ヘリオス785 全体照射 単発の真皮病変は 少ない (基本は面で広がる) 第一段 ルビーフラクショナル 中段 ヘリオス785 ハイブリッド 深部 PQX 1064 フラクショナル ⚠ MELASMA 肝斑要素ありの場合 優先:肝斑改善集中プラン / 窒素プラズマ(色素に反応せず低刺激) 注意:高出力スポット系は炎症で肝斑悪化のリスクあり 第一選択の出発点。実際の組み立ては診察ごとに調整します
深さ×範囲の2軸マトリクスと肝斑要素(v6 スマホ版) 深さ × 範囲 で見る機種マトリクス + 肝斑要素ありの場合の追加方針 単 発 ADM境界 PQX 532 スポット ヘリオス785 スポット ルビースポット (厚みあり時) ルビー フラクショナル ヘリオス785 全体照射 単発の真皮病変は 少ない (基本は面で広がる) 第一段 ルビー フラクショナル 中段 ヘリオス785 ハイブリッド 深部 PQX 1064 フラクショナル ⚠ MELASMA 肝斑要素ありの場合 優先:肝斑改善集中プラン /窒素プラズマ (色素に反応せず低刺激) 注意:高出力スポット系は 炎症で肝斑悪化のリスク 第一選択の出発点。診察ごとに調整します

各特性に対する第一選択機種

特性 第一選択機種
表在 × 単発の大きめシミ PQXスポット照射/ヘリオス785 PICO ※1
表在 × 面で広がる薄〜中等度シミ ルビーフラクショナル/ヘリオス785 PICO
真皮性(ADMなど) ルビーフラクショナル → ヘリオス785 PICO(フラクショナル+スポットのハイブリッド)と、深さに応じて段階的に移行 ※2
肝斑要素あり 肝斑改善集中プランまたは窒素プラズマを優先
くすみ・キメ・毛穴主訴 窒素プラズマ/ヘリオス785 PICO

補足

※1 厚みのある単発シミに対しては「ルビースポット」(ナノ秒ルビーレーザーのフルビーム照射)を用いる場合もあります。

※2 ADM・太田母斑など真皮メラニンの治療では、さらに深部の治療が必要な場合に PQXフラクショナル(1064nm)を使用することがあります。詳細はADM詳細ページをご参照ください。

このマトリクスは絶対的なルールではなく、第一選択の出発点です。実際の治療設計は、診察ごとの肌の状態・経過・患者様のライフスタイルを踏まえて調整していきます。具体的な症状別の治療フローは、続く『7. 症状起点フロー』で詳しく扱います。

7. 症状起点フロー ── あなたのシミならどの機種から始めるか

ここまでは「機種の違い」を物理・特性の側から整理してきました。本章では 症状側から逆引きして、「自分のシミならどの機種から始めるか/どう組み合わせていくか」を、代表的な5パターンで整理します。

📷 全治療共通 ── VISIAでの肌画像確認

当院では、以下5パターンに共通の流れとして、毎回の照射前にVISIAで顔の肌画像を撮影・確認しています。前回からの経過や肌状態の変化、特に肝斑要素の悪化兆候がないかを診察し、その上で治療内容を判断・調整します。

パターン①:全体的にシミがあり、部分的に大きめのシミが混在する

もっとも多いパターンです。メインシナリオは、ルビーフラクショナル または ヘリオス785 PICO で全体照射を進めながら、治療経過を見て可能なタイミングで 大きめのシミに対するスポット照射を企画していく流れになります。

スポット照射は被覆材を貼ることで生活に影響するイベントとなるため、タイミング調整が必要です。

個別事情ごとの分岐

・被覆材を貼ることが難しい方は、進捗を見ながら、大きなシミも取れてくるようならそのまま継続。残ってくるようであれば、ご相談の上でスポット照射を企画します。

・「まず一箇所大きなシミを取ってから、全体治療を考えたい」というご希望の方は、スポット照射が先になる場合もあります。

パターン②:広範囲にある細かいシミがメイン

ルビーフラクショナル または ヘリオス785 PICO で治療を進めていきます。複数回の治療を月単位で重ねていく中で、シミの密度が下がる・肌全体のトーンが整うといった変化を実感される方が多くなります。

具体的な回数の目安や累積カバー率の考え方は、ルビーフラクショナルページ「治療回数の考え方」をご参照ください。

シミの治療がある程度進んだ段階で、全体のトーンアップを目的に窒素プラズマを併用すると、肌全体が整っていきます。

パターン③:肝斑が混在する

第一選択は 「肝斑改善集中プラン」です。集中プランが選択できないケースでは、まず 窒素プラズマ治療を先行して肝斑をコントロールし、残ったシミに対してルビーフラクショナルまたはヘリオス785 PICOを投入していきます。順序が逆だと肝斑が刺激されて悪化する懸念があります。

VISIA上で肝斑が軽度のケースでは、月ごとに窒素プラズマとルビーフラクショナルを 交互に 行う場合もあります。肝斑混在ケースでは、冒頭で述べたVISIAでの肝斑悪化兆候のチェックが特に重要な意味を持ちます。

パターン④:ADM(真皮メラニン)── 段階的に移行

まず ルビーフラクショナル で治療を開始します(浅いメラニンへの反応が良いため第一選択)。

浅層の色素が除去できた段階で、必要に応じて ヘリオス785 PICO(フラクショナル+スポットのハイブリッド照射)に移行します。さらに深部の治療が必要な場合は、PQXフラクショナル(1064nm)を使用することもあります(詳細は 『6. 適応するシミ・しないシミ』の注釈※2 とADM詳細ページをご参照ください)。

波長進達度に応じた段階的な使い分けです。

パターン⑤:くすみ・キメ・毛穴が主訴

主訴がもともとシミではなく、くすみ・キメ・毛穴である場合は 窒素プラズマ または ヘリオス785 PICO を使用します。

また、ルビーフラクショナル治療中に主訴がシミからくすみ・キメ・毛穴に移行したような場合も、窒素プラズマやヘリオス785 PICOへの移行を提案することが多くなります。ただし、患者様がルビーフラクショナルでの治療継続を好まれるケースも多く、そのまま継続する場合も少なくありません。

あなたのシミに合う治療を3問で判定する症状起点フロー あなたのシミに合う治療を 3問で判定 全治療共通:照射前にドクターがVISIAで肌状態と肝斑の兆候を確認します ご相談時の判定フロー Q1. 主訴はどちら? シミ系/くすみ・キメ・毛穴 くすみ系 PATTERN 05 くすみ・キメ・毛穴 窒素プラズマ または ヘリオス785 肌質感がメインのお悩みの方 シミ系 Q2. 肝斑要素はある? VISIAで肝斑像をチェック ⚠ あり PATTERN 03 ⚠ 肝斑が混在 肝斑改善 集中プラン 代替:窒素プラズマ → ルビーフラクショナル / ヘリオス785 ※順序を間違えると肝斑悪化の懸念 なし Q3. ADM(深層性のシミ)? 後天性真皮メラノサイトーシス あり PATTERN 04 ADM(深層性のシミ) ルビーフラクショナル(浅層)から開始 → ヘリオス785 → 必要に応じ PQX 1064nm 違う ★ PATTERN 01 + 02 最も多いケース ── シミが主訴の中心パターン FIRST CHOICE(全パターン共通) ルビーフラクショナル または ヘリオス785 で 全体照射 NEXT STEP(次の一手は2通り) 大きめのシミも混在 スポット照射追加 細かいシミのみ 窒素プラズマでトーンUP
あなたのシミに合う治療を三つの問いで判定 ── タップで詳細フローを開く

↑ タップで詳細な判定フローを別タブで開きます

8. 当院の4機種体制 ── シミの状態に応じた使い分けの全体像

ここまで章ごとに整理してきた内容を、当院の4機種体制の全体像として一覧化します。

機器 主な役割 第一選択となるシーン
ルビーフラクショナル 面で広がるシミの基本治療 広範囲の細かいシミ、薄〜中等度のシミ全般、ADM治療の初手
ヘリオス785 PICO シミ+肌質改善を低ダウンタイムで ダウンタイムを抑えたい方、色黒・デリケート肌の方、ADM治療の第2段階
PQX(532/1064) スポット除去・ピコトーニング 大きめ単発シミの除去、トーンアップ、深部ADM治療(注釈※2参照)
窒素プラズマ(ネオジェン PSR Evo) 肝斑コントロール・肌育成 肝斑混在ケース、くすみ・キメ・毛穴主訴、シミ治療後の仕上げ
当院4機種の役割マップ(v6) 当院4機種の役割マップ シミの状態に応じた使い分けの全体像 DEVICE 01 ★ ルビーフラクショナル 面で広がるシミの 基本治療 FIRST CHOICE ・広範囲の細かいシミ ・薄〜中等度のシミ ・ADM治療の初手 DEVICE 02 ヘリオス785 シミ+肌質改善を 低ダウンタイムで FIRST CHOICE ・ダウンタイム抑制 ・色黒・デリケート肌 ・ADM治療の第2段階 DEVICE 03 PQX (532/1064) スポット除去・ ピコトーニング FIRST CHOICE ・大きめ単発シミ除去 ・トーンアップ ・深部ADM治療 DEVICE 04 窒素プラズマ (ネオジェン) 肝斑コントロール・ 肌育成 FIRST CHOICE ・肝斑混在ケース ・くすみ・キメ・毛穴 ・シミ治療後の仕上げ ★ = 中心となる基本治療機種/実際の機種選択は診察ごとに判断します
当院4機種の役割マップ(v6 スマホ版) 当院4機種の役割マップ シミの状態に応じた使い分けの全体像 DEVICE 01 ★ ルビーフラクショナル 面で広がるシミの 基本治療 FIRST CHOICE ・広範囲の細かいシミ ・薄〜中等度のシミ ・ADM治療の初手 DEVICE 02 ヘリオス785 シミ+肌質改善を 低ダウンタイムで FIRST CHOICE ・ダウンタイム抑制 ・色黒・デリケート肌 ・ADM治療の第2段階 DEVICE 03 PQX (532/1064) スポット除去・ ピコトーニング FIRST CHOICE ・大きめ単発シミ除去 ・トーンアップ ・深部ADM治療 DEVICE 04 窒素プラズマ (ネオジェン) 肝斑コントロール・ 肌育成 FIRST CHOICE ・肝斑混在ケース ・くすみ・キメ・毛穴 ・シミ治療後の仕上げ ★ = 中心となる基本治療機種/実際の選択は診察ごとに判断

この4機種体制は、最初から多機種を揃えるありきで構築したものではありません。シミの種類を ひとつひとつ突き詰めて治療法を考えていった結果、それぞれに最適な機器が必要になったという積み重ねで、現在の構成になっています。続く『9. IPL(光治療)を当院で採用していない判断軸』では、現在採用していないIPL(光治療)について、当院の判断軸をお伝えします。

9. IPL(光治療)を当院で採用していない判断軸

IPL(Intense Pulsed Light、光治療)は、500〜1200nm程度の多波長光をフィルタで切り出して照射する機器で、シミ・赤み・毛細血管拡張・肌質改善など 複数の主訴を一度に扱えるのが大きな利点です。

一方で、メラニンへの選択性は単一波長レーザーと比べると低く、高出力では熱拡散による熱傷リスクが上がる面もあります。

当院では 長年、複数台のIPL機器を使用してきました。しかし、ルビーフラクショナルなどのフラクショナル方式のシミ取りレーザー機器では、シミだけでなく 赤みや毛穴の改善にも一定の効果 が得られることが分かってきました。

さらに、肌の張り・しわ・肌質全般の改善まで見られるようになっています。

IPLが対応していた領域の多くを、当院ではフラクショナルレーザーと窒素プラズマで満たせる構成となったため、IPLの使用を終了するに至りました。

これはあくまで 当院の機器構成上の判断であり、IPLという機器そのものを否定するものではありません。IPLには独自の利点があり、状況によっては第一選択となる機器です。

10. 当院の診療哲学 ── 「必要に応じて揃えた結果」の4機種

シミには、表在性のはっきりした単発シミから、面で広がる薄いシミ、肝斑、ADM、くすみ・キメ・毛穴の主訴まで、実に様々な種類があります。それぞれに応じた治療法を突き詰めていくと、ひとつの機器ですべてをカバーすることは難しいことが見えてきます。

当院の4機種体制は、複数台揃えることを目指して構築したものではなく、シミの一つひとつに最適な治療を提供しようとした結果、それぞれに応じた機器を順に揃えてきたというものです。各機種は当院の中で明確な役割を持ち、患者様一人ひとりのシミの状態に応じて、最も適した形で組み合わされています。

11. 関連ページ

各機種の詳細ページ

本ページで触れた各機種の治療経過・適応の詳細・料金・症例については、それぞれの個別ページをご参照ください。

ルビーフラクショナル

ヘリオス785 PICO

PQX(ピコ秒レーザー)

窒素プラズマ(ネオジェン PSR Evo)

関連する解説ページ

シミ取り・シミ治療総合ガイド ── シミの種類・診断・治療方針の全体像

肝斑改善集中プラン・肝斑治療 ── 肝斑が混在するケースの集中治療

ADM詳細ページ ── 真皮メラニンの治療について

ピコスポット・ルビースポット照射の詳細

12. よくあるご質問

シミ取りレーザーの選び方や治療の進め方について、ご来院前に多くいただくご質問をまとめました。気になる項目をタップして、回答をご確認ください。

loader-image

すべてのシミに対して一番効く一台は存在しません。シミの種類・深さ・大きさ・肝斑の有無によって適した機器が変わるため、当院では「症状に応じて使い分ける」アプローチを取っています。

本ページの「症状起点フロー」(H2-7)で、シミのタイプ別に第一選択となる機種をご案内していますので、ご自身の状況に近いパターンをご参照ください。

ルビーフラクショナル(694nm/ナノ秒)は「熱でメラニンを蒸散させる」光熱効果、ピコレーザー(HELIOS 785 PICO・PQXなど)は「衝撃波でメラニンを粉砕する」光音響効果と、原理そのものが異なります。

ピコは熱拡散が少ないためPIH(炎症後色素沈着)リスクを抑えやすく、波長によって到達する深さや適応も変わります。

詳細は本ページ「3. 原理の違い」をご参照ください。

いいえ、ピコレーザー1台ですべての種類のシミに対応することはできません。ピコレーザーは 波長の違いによって、シミ治療における得意領域が大きく変わります。

当院ではPQX(532/1064nm)とHELIOS 785 PICO(785nm)の 2台のピコレーザーを併用しており、532nmは表在のメラニンへの強い反応785nmはメラニン吸光度を保ちながらPIH(炎症後色素沈着)を起こしにくい安全域1064nmは深部到達性とトーニング、と波長ごとの強みを活かして使い分けています。

さらに、原理の異なる ルビーフラクショナル(光熱効果による面治療)窒素プラズマ(色素非依存の肌育成)も組み合わせることで、ピコだけでは届かない領域までカバーできる体制をとっています。

「シミ取りレーザー」というとピコスポット照射やルビーフラクショナルが思い浮かびやすいかと思いますが、肝斑がある場合、これらをいきなり受けていただくことは、強い刺激で肝斑を悪化させる可能性があるため、難しいことが多くなります。

当院ではまず「肝斑改善集中プラン」または「窒素プラズマ治療」で肝斑をコントロールし、その後で残ったシミに対してルビーフラクショナルやHELIOS 785 PICOを投入する流れになります。

毎回照射前にVISIAで肌画像を確認し、肝斑悪化の兆候がないかチェックした上で治療を進めます。

当院の機種ではHELIOS 785 PICO(ダウンタイム数時間〜1日、被覆材不要)と窒素プラズマ(ゼロ〜数日)が、ダウンタイムを特に抑えやすい機種です。

ルビーフラクショナルも赤み1日程度で、日常生活への影響は比較的軽度です。一方、PQXスポット照射は被覆材を2週間貼る必要があるため、お仕事やイベントの予定との調整が必要になります。

詳細は本ページ「4. ダウンタイム・PIHリスク」をご参照ください。

はい、特にHELIOS 785 PICOは785nm波長の特性により、色黒の方やデリケートな肌質の方にもご検討いただける機種です。メラニンへの吸光度が高い一方で血管反応が低く、PIH(炎症後色素沈着)リスクを抑えた治療が可能です。

実際の適応については、カウンセリングで肌の状態を診察した上でご提案いたします。

当院では、ルビーフラクショナルと窒素プラズマ、ルビーフラクショナルとHELIOS 785 PICOといった機種を、全体照射として同時に併用することは基本的にありません

状況に応じて機種を「切り替え」ながら治療を進めていきます。ただし、全体照射の後に大きめのシミへ部分的にスポット照射を追加するといった、部分的な併用を行う場合はあります。

切り替えや併用の可能性については、初回カウンセリングで事前にご説明します。

あります。たとえばADMの治療では、ルビーフラクショナルから始めて、浅層の色素が除去できた段階でHELIOS 785 PICOに移行することがあります。

また、目立つシミがあらかた片付いた後などには、さらに上を目指す目的で窒素プラズマやHELIOS 785 PICOへの移行をご提案することもあります。

毎回の診察でVISIAを用いて経過を確認し、最適なタイミングで切り替えをご提案します。

当院では長年、複数台のIPL機器を使用してきました。しかし、ルビーフラクショナルなどフラクショナル方式のシミ取りレーザー機器で、シミだけでなく赤みや毛穴、肌の張り・しわ・肌質全般の改善まで見られることが分かってきたため、IPLが対応していた領域の多くをこれらの機器で満たせる構成となり、IPLの使用を終了しました。

IPL機器そのものを否定するものではありません。

まずVISIAで肌画像を撮影し、シミの種類・深さ・範囲・肝斑要素の有無などを総合的に診察します。

その上で、患者様のお悩み・ご希望・ダウンタイム許容度(テープを貼れる日数があるか等)・ライフスタイルを伺いながら、最適な機種と治療の進め方をご提案します。

本ページの「7. 症状起点フロー」が、実際のご提案の基本骨格になっています。

13. 参考文献

本ページの内容は、海外の医学雑誌に掲載された研究論文などを参照して作成しています。論文の詳細にご興味のある方は、以下の各文献をご確認ください。

loader-image

原題: A Systematic Review of Picosecond Laser in Dermatology: Evidence and Recommendations.

出典: Lasers Surg Med. 53(1):9-49 (2020)

DOI: 10.1002/lsm.23244

要約:

本研究は、皮膚科領域におけるピコ秒レーザーの臨床適応について、2019年11月までの英語文献を包括的に検索した77研究のシステマティックレビューです。各適応領域における治療効果と推奨を、エビデンスレベル別に整理しています。

良性色素病変はLevel I〜IV、肌の若返りはLevel II、肝斑はLevel II、瘢痕治療はLevel II〜III、タトゥー除去はLevel Iのエビデンスがあると評価されています。ピコ秒レーザーは皮膚科の幅広い適応症に対して、安全かつ効果的な治療モダリティであると結論づけられています。

本ページでは、ピコ秒レーザーが波長や照射モードを使い分けることで多様なシミに対応できる優れた機器である一方、1台で全種類のシミに対応できるわけではないことの根拠として参照しています。

原題: Efficacy of 694-nm Q-switched ruby fractional laser treatment of melasma in female Korean patients.

出典: Dermatol Surg. 37(8):1133-1140 (2011)

DOI: 10.1111/j.1524-4725.2011.02018.x

要約:

本研究は、肝斑をもつ韓国人女性15名を対象に、694nm Q-スイッチルビーレーザー(QSRL)の低出力フラクショナル照射を6回(2週間隔)施行した臨床研究です。各セッション前と最終治療4・16週後にMASIスコアと色彩計による色素強度を独立評価しました。

平均MASIスコアは治療前 15.1±3.3 から最終治療16週後 10.6±3.9 へ低下し、色素の明度(L値)も 56.6±3.5 から 59.9±2.8 へ改善しました。低出力フラクショナルQSRLの複数回照射は、真皮型・混合型肝斑に対する有効な治療戦略となりうることが示されています。

本ページでは、ルビーフラクショナルが点状(フラクショナル)照射により、肝斑のようなコントロールが難しい色素病変にも応用可能であることの根拠として参照しています。

原題: Prospective study of removing solar lentigines in Asians using a novel dual-wavelength and dual-pulse width picosecond laser.

出典: Lasers Surg Med. 50(8):851-858 (2018)

DOI: 10.1002/lsm.22820

要約:

本研究は、アジア人スキンタイプIII〜IVの女性20名(平均53.7歳)を対象に、532nm/750ピコ秒のデュアル波長・デュアルパルス幅ピコ秒Nd:YAGレーザー(フルエンス0.35±0.06 J/cm²、スポットサイズ3〜4mm)で顔面の老人性色素斑43病変を治療した前向き試験です。

単回照射で40病変(93.02%)が75%以上のクリアランスを達成し、追加治療を要したのは3病変(6.98%)のみでした。PIH(炎症後色素沈着)の発生は4.65%の病変にとどまり、組織学的にも従来のQ-スイッチレーザーよりも周辺組織への損傷が抑えられていることが確認されました。アジア人の暗色皮膚における532nmピコ秒レーザーの安全性を初めて組織学的に示した研究です。

本ページでは、PQXスポット照射(532nm)がピコ秒化により絶対的なPIHリスクが低減していることの根拠として参照しています。

原題: Treatment of facial pigmented disorders with a 785-nm picosecond Ti:sapphire laser in Asians: A report of three cases.

出典: Dermatol Ther. 35(12):e15919 (2022)

DOI: 10.1111/dth.15919

要約:

本研究は、シミ・肝斑・そばかすを含む顔面色素病変をもつ韓国人3名を対象に、785nmピコ秒Ti:sapphireレーザー(フラクショナル・非フラクショナル両方のハンドピース)を用いた治療を施行した臨床研究です。

全症例で3〜4回の治療後にシミ・肝斑・そばかすの明らかな改善が確認され、炎症後色素沈着(PIH)や低色素沈着といった有害事象は一切認められませんでした。色素病変全般に対して、有色人種の皮膚でも有効かつ安全な治療選択肢となりうることが示されています。

本ページでは、HELIOS 785 PICOがアジア人スキンタイプ III〜IV の方でも、PIHリスクを抑えて使用できることの根拠として参照しています。

原題: Successful treatment of ephelides in Asian skin using the picosecond 785-nm laser.

出典: J Cosmet Dermatol. 19(8):1990-1992 (2020)

DOI: 10.1111/jocd.13260

要約:

本研究は、頬・鼻のそばかすをもつアジア人2名を対象に、785nmピコ秒レーザーを用いて治療を行った症例報告です。照射条件は1.2〜1.3 J/cm²、スポットサイズ3mmで施行されました。

単回のレーザー治療後、両症例とも明らかな改善が確認されました。紅斑・水疱・色素沈着といった合併症は認められず、アジア人皮膚に対する785nmピコ秒レーザーのそばかす治療として、初めての症例報告となりました。

本ページでは、HELIOS 785 PICOが少ない回数でそばかすへの効果を発揮でき、かつ合併症が起こりにくい治療であることの根拠として参照しています。

原題: The Efficacy and Safety of 785-nm Picosecond Titanium:Sapphire Laser on Melasma in Asians.

出典: Ann Dermatol. 37(6):408-410 (2025)

DOI: 10.5021/ad.24.133

要約:

本研究は、顔面肝斑をもつアジア人18名(韓国人、平均44.4歳)を対象に、785nmピコ秒Ti:sapphireレーザー(HeliosIV®、パルス幅600ピコ秒、DOEフラクショナルハンドピース)による治療を10回(2週間隔)施行した前向き臨床試験です。Mexameterによるメラニン指数・紅斑指数の客観評価と、独立した皮膚科医2名による画像評価を、ベースライン・10週目・22週目に実施しました。

22週目時点でメラニン指数はベースラインから 18.77%減少(p<0.001)、紅斑指数も 7.12%減少(p=0.001)と統計的有意な改善が確認されました。全18名中16名(88.9%)が中等度以上の改善を示し、無変化例はゼロ。治療関連の有害事象は認められず、局所麻酔なしで治療可能な疼痛レベルでした。アジア人の肝斑に対する785nmピコ秒レーザーの有効性・安全性を前向きに評価した、世界初の臨床試験となっています。

本ページでは、HELIOS 785 PICOがアジア人スキンタイプ III〜IV の方の肝斑治療において、PIHリスクを抑えつつ有効性が得られる根拠として参照しています。

原題: Effect of Intense Pulsed Light versus Intradermal Tranexamic Acid for the Management of Melasma.

出典: J Coll Physicians Surg Pak. 34(5):522-526 (2024)

DOI: 10.29271/jcpsp.2024.05.522

要約:

本研究は、南アジア人(パキスタン)の肝斑患者62名(20〜50歳)を対象に、IPL(560nmフィルタ使用)と真皮内トラネキサム酸(TXA)注射を比較した断面解析研究です。Group A(32名)にIPL、Group B(30名)に真皮内TXAをそれぞれ4回の治療セッションで施行し、modified MASIスコア(mMASI)で評価しました。

治療後、IPLグループは mMASIスコアが 57.1%減少TXAグループは42.2%減少を示し、IPL治療がより優れた改善を示しました(p=0.0034)。両治療とも肝斑を有効に改善することが確認されており、IPLが肝斑治療において選択肢となりうる治療であることが示されています。

本ページでは、IPL(光治療)が肝斑をはじめとする色素病変に対して有効な機器であり、当院でIPLを採用していないのは機器そのものの否定ではなく、当院の機器構成上の判断であることの中立的な根拠として参照しています。

ご予約・お問い合わせはこちら

ソララクリニック

お電話でのご予約
022-722-7090
お問い合わせフォームはこちら

ご予約は電話にて承っております。
フォームからはご相談・ご質問を受け付けています。

※「HPの記事を見た」とお伝えいただけるとスムーズです

監修者情報(医師紹介)

監修医師 佐藤雅樹(仙台 ソララクリニック院長)

監修医師:佐藤 雅樹 (さとう まさき)

ソララクリニック 院長

専門分野:美容皮膚科

2000年 順天堂大学医学部卒。順天堂大学医学部形成外科入局。 大学医学部付属病院等を経て、都内美容皮膚科クリニックにてレーザー治療の研鑽を積む。2011年3月 ソララクリニック開院 院長就任。2022年 医療法人 松柴会 理事長就任。日本美容皮膚科学会 日本形成外科学会 日本抗加齢医学会 日本レーザー医学会 点滴療法研究会 日本医療毛髪再生研究会他所属。 
様々な医療レーザー機器に精通し、2011年ルビーフラクショナル搭載機器を日本初導入。各種エネルギーベースの医療機器を併用する複合治療に積極的に取り組む.

医師紹介

 初めて受診される皆様へ

最終更新日

ご質問・案内はこちら