尿失禁治療インティマウェーブ
尿漏れ改善
くしゃみやジャンプで思わず尿モレ…産後や更年期の女性に多いこのお悩みを、切らずに解決できる治療があります。
仙台のソララクリニックでは、服を着たまま30分座るだけで骨盤底筋を強化する最新機器『スターフォーマーPro(インティマウェーブ)』による尿失禁治療を行っています。
- 骨盤底筋群だけでなく背筋+腹筋も同時に強化
- 仙骨神経・膀胱神経を同時に刺激し神経機能を調整
- 男女関わらず 腹圧性尿失禁 切迫性尿失禁を治療可能です。
この記事の目次
30分座るだけで尿漏れ治療
インティマウェーブは、椅子に座るだけで骨盤底と体幹に「超最大収縮」を誘発するHITS™(高出力磁気)を用いた非侵襲治療です。骨盤底筋の強化と仙骨・陰部神経領域の調整を同時に狙い、短時間で効率的にトレーニングを行います。
服を着たまま 30分座るだけで 骨盤底筋群強化+神経機能調整で 尿失禁改善を促します。
骨盤底筋強化+神経機能調整で尿失禁を改善
インティマウェーブ治療では、骨盤底と背中の筋肉の両方を刺激して、骨盤底筋の引き締め強化、神経機能の調整を行います。
腰痛やフレイル対策だけでなく、あらゆるタイプの男性または女性の尿失禁・尿漏れおよび便失禁、頻尿などを治療することが可能です。
- 尿漏れ・腹圧性尿失禁・切迫性尿失禁
- 過活動膀胱・低活動膀胱
- 頻尿
- 排尿後尿滴下
- 便失禁
- 骨盤臓器脱
- 前立腺摘出手術後のリハビリ
- 勃起不全・ED
- 慢性腰痛症
- フレイル
上記のような症状の改善が期待できます。
また、症状は出ていなくとも骨盤周りや腹筋・背筋の筋力を鍛えたい方にもお勧めします。
コラム①:コアマッスル強化のメリット
尿失禁治療として注目されるスターフォーマー(インティマウェーブ)は、骨盤底筋だけでなく腹筋や背筋など「コアマッスル」を同時に鍛える特徴があります。
コアマッスルの強化は以下のような全身的メリットにつながります:
- 姿勢改善による腰痛・肩こりの軽減
- 体幹の安定性向上で転倒リスクの低下
- 代謝アップによるダイエット補助効果
- 呼吸機能の改善
尿漏れの改善を目的に治療を始められた方でも、日常生活全体の快適さが向上するケースが少なくありません。
コラム②:ダイエット点滴との併用効果
当院では、スターフォーマー治療をダイエット点滴と組み合わせて受けられる方もいらっしゃいます。
骨盤底筋トレーニングにより体幹を強化することで、基礎代謝が高まり点滴による代謝サポート効果も相乗的に発揮されます。実際に「減量が進みやすくなった」「体が軽く感じる」といった感想も多く寄せられています。
「尿失禁改善」と「ボディメイク」を同時にサポートできる点は、スターフォーマーならではの特長です。
インティマウェーブ治療が対象とする尿失禁の種類
骨盤底筋が衰えて来ると、尿漏れ(尿失禁)が起きやすくなってきます。
スターフォーマープロのHITS療法による磁気刺激は、骨盤底筋肉を強化し機能を正常化へと促し、腹圧性尿失禁を改善させていきます。
主に骨盤神経の変調が原因の切迫性尿失禁に対しては、骨盤底からの磁気が主に陰部神経を、背面からの磁気は主に仙骨神経を刺激し、症状を改善すべく、しっかりとアプローチできるのが特徴です。
ご自身がどちらに当てはまるのか分からなくても、簡単な質問にお答えいただいくことで最適な治療コースをお勧めします。
腹圧性尿失禁 SUI
女性の正常な身体では、おなかに強い力(腹圧)がかかった場合、「骨盤底筋」という筋肉が膀胱と尿道を支えることで、尿道が締まり、尿漏れを防いでいます。
腹圧性尿失禁は、骨盤底筋が弱まり、腹圧の上昇する動き(ランニング、笑い、くしゃみ、重い物を持ち上げる等)の際に尿道を締めきれず 尿漏れを起こす症状です。
インティマウェーブは 骨盤底筋群だけでなく背筋・腹筋も同時に鍛え 腹圧性尿失禁の症状改善を促します。
切迫性尿失禁UUI
力を入れていないのに漏れる トイレに駆け込もうとして間に合わない等、急に我慢出来ないような尿意が起こり(尿意切迫感) 尿漏れが起こる症状を指します。
脳と膀胱で命令伝達がうまくいかず 脳の命令を待たずに膀胱が勝手に収縮を始めてしまうため、強い尿意・尿漏れが起きてしまいます。(過活動性膀胱)
インティマウェーブは 仙骨神経叢と陰部神経叢に働きかけ 膀胱の活動を正常化に促します。
頻尿・夜間頻尿
「頻尿」は過度に排尿の回数が増加した状態。頻尿は常にトイレのことを心配しなければならない不安感から 外出を控えるなどして日常生活にまで支障をきたし、生活の質QOLを大きく低下させてしまいます。
夜間に排尿のために1回以上起きてしまう症状を「夜間頻尿」と言います。悩んでいる人は約4500万人とも言われ、加齢とともに増加します。夜間頻尿になると慢性的な睡眠不足を引き起こし、集中力低下 転倒リスクも増加します。
インティマウェーブは、膀胱周りの筋肉や神経系に働きかけ、膀胱の活動を調整する効果が期待できます。
過活動膀胱や低活動膀胱・残尿量の増加による頻尿などに適応があり、比較的少ない回数の治療で効果が実感できる症状です。
産後ケア(産後の尿漏れ)
出産後は、骨盤底筋や支持組織への負荷、分娩による神経への影響、体幹機能の低下などが重なり、 腹圧性尿失禁(SUI)や切迫性尿失禁(UUI)が起きやすくなります。日常生活や睡眠、気分にも影響し得るため、早期のケアがQOL維持に有用です。
こんな方におすすめ
- 産後のくしゃみ・笑い・抱っこで尿が漏れる(SUI)
- 急な尿意でトイレまで間に合わない(UUI)、頻尿・夜間頻尿がつらい
- 体幹の弱さ(腹直筋離開を含む)や腰痛があり、骨盤底とコアをまとめて鍛えたい
※ 個別のご病歴(手術歴・金属インプラント・電子機器・持病など)によっては施術できない場合があります。 「治療前の注意点」をご確認のうえご相談ください。
治療費 インティマウェーブ
インティマウェーブは、服を着たまま 骨盤底筋・背筋を強化し 神経機能調整を同時に促すことで 尿漏れ・尿失禁治療を行います。
ご希望に応じて、腹部も同時に治療可能です。(施術料に含みます)
1回30分の治療を8回(週2回・4週)を1クールとしています。
通常、2クールをまず行うことをお勧めしています。
その後は、症状に合わせて 週2回~月1回のペースで、継続されると良いでしょう。
定期的に行うことで、その効果をより高めることができます。
料金 | 3週以内 | 1週以内 | |
---|---|---|---|
1回 | 22,000 | 16,500 | 9,900 |
※ 点滴と併用される方は、9,900円になります。
よくある質問 FAQ
インティマウェーブによる尿失禁治療についてのよくある質問をまとめました。ご参考になれば幸いです。
インティマウェーブとはどのような治療ですか?
高強度テスラ磁気刺激技術(HITS™)を搭載した「スターフォーマープロ」という椅子型機器に座るだけで、骨盤底筋や腹筋・背筋に5万回分の筋収縮を起こし鍛える最先端の治療法です。
電気ではなく磁気による刺激で深部筋までアプローチでき、尿失禁(尿漏れ)や頻尿の症状改善が期待できます。産後や加齢で衰えた筋肉を切らずに強化できる、安全な非侵襲的治療です。
HITS療法とは何ですか?
HITS療法(High‑Intensity Tesla Stimulation)は、Fotona社の椅子型デバイスStarFormer® IntimaWave®で用いられる高出力磁気刺激法です。
交番磁場パルスを座面・背面の内蔵アプリケータから体内へ与え、衣服の上から骨盤底筋と腰背部の筋群に不随意かつ強い筋収縮を起こさせ、筋力強化と神経機能の調整を図ります。
電極を貼る電気刺激(EMS)ではなく磁気刺激なので、皮膚抵抗や痛覚刺激の影響を受けにくく、深部の運動神経・筋まで届きやすいのが特長です(患者さんは着衣のまま座るだけです)。
作用機序は物理学の電磁誘導(ファラデーの法則)。
高速で変化する磁場が体内に微小な渦電流を発生させ、骨盤底の運動神経を脱分極させて反射的(随意を超える)筋収縮=“超最大収縮”を連続的に誘発します。これにより、従来の骨盤底筋トレーニング(PFMT)では鍛えにくい深部筋や、表面電気刺激では届きにくい仙骨・陰部神経領域まで効率的に刺激できます。
本当に30分座っているだけで効果があるのでしょうか?
はい、あります。
インティマウェーブは高出力の磁気パルスにより、自分では鍛えにくいインナーマッスルまで一度に収縮運動を促します。
通常の筋トレでは不可能な毎秒数十回の収縮を連続で行えるため、30分で骨盤底筋を集中的にトレーニングできます。
海外の臨床研究でも6回程度の施術で尿失禁スコアが約50~60%改善しており、座るだけでも十分な効果が実証されています。
痛みはありますか?服は脱ぐ必要がありますか?
痛みはほとんどありません。
治療中は骨盤周りの筋肉が収縮する独特の感覚がありますが、電気刺激のEMSと異なり皮膚表面のピリピリした痛みは生じません。
施術は服を着たまま行い、ズボンの上から椅子に座るだけでOKです。着替えや麻酔も不要なのでリラックスして受けていただけます。
副作用や体への悪影響はありますか?
大きな副作用は報告されていません。
一時的な筋肉痛やだるさ、ごくまれに軽い知覚異常が起こる場合がありますが、通常は数日以内に改善します。
またペースメーカー装着中の方や妊娠中の方など、一部受けられない条件があります(ページ下部に注意事項を記載)。それ以外の方にとって、安全性の高い治療法です。
何回くらい通えば効果が出ますか?
個人差はありますが、1回30分の施術を週2回ペースで4週間(計8回)行うのを1クールとしています。多くの場合2クール(16回)で症状の明確な改善を実感されます。症状によっては、3クール以上必要な場合もあります。
軽度の尿漏れであれば1クールでも効果を感じる方もいますが、2クールはしっかり行ったほうが良いと思います。その後は症状に応じて月1~2回程度のメンテナンス施術を継続すると、効果が長持ちします。
治療効果はどれくらい持続しますか?
こちらも個人差がありますが、基本的に筋力が維持される限り効果は持続します。
尿失禁の程度が軽減した後も、先述のように月1回程度の施術を続けることで筋力維持・再発予防に役立ちます。
何もしないと数ヶ月~1年程度で筋力が元に戻る可能性もあるため、定期的なケアがおすすめです。
費用はどのくらいかかりますか?保険適用されますか?
自由診療のため保険適用外です。
尿失禁治療は治療サイクルを高めたほうが効果的であるため、頻度に応じて料金設定を行なっております。
- 通常料金 22,000円(税込み)
- 3週間以内 16,500円
- 1週間以内 9,900円
- 点滴療法と併用される場合には、9,900円になります。
妊娠中・出産直後でも受けられますか?
妊娠中の方は受けられません。
強い磁力が胎児に与える影響は未確認のため、安全のため控えていただいています。出産直後(産褥期)の方も、まずは体力回復を優先してください。
一方、今後妊娠を考えている方が産前に施術を受けることは問題ありません。実際に出産経験のある女性でも多く受けており、産後の尿漏れ予防・改善に役立ったケースもあります。
高齢者でも効果はありますか?男性も受けられますか?
はい、どちらも可能です。
インティマウェーブは加齢による筋力低下や神経機能の乱れにもアプローチするため、ご高齢の方でも一定の効果が期待できます。個人差があるため効果実感に時間がかかる場合もありますが、腰痛改善やフレイル予防目的で利用される高齢患者様もいらっしゃいます。
また治療は性別を問いません。男性の腹圧性尿失禁(前立腺術後の尿漏れ等)や切迫性尿失禁、さらに骨盤底の筋力強化による勃起不全改善など、男性にも有用とされています。
インティマウェーブとインティマレーザーの違いは?他の治療法と比べてどうですか?
名前は似ていますが、
インティマウェーブ=磁気刺激による骨盤底筋トレーニングであるのに対し、
インティマレーザー=膣や尿道周囲にレーザー照射して組織を引き締める治療です。
当院で扱うインティマウェーブは身体の外から筋肉に働きかける非侵襲的手法で、特に筋力低下が原因の尿漏れに適しています。一方、インティマレーザー(Fotona社のレーザー治療)は膣粘膜のコラーゲン収縮によって尿道周囲組織を強化し、軽度の尿漏れに効果があります。
症状により向き不向きがありますが、インティマウェーブは男性にも適用でき、便失禁やED、腰痛など幅広い効果が期待できる点が大きな特徴です。また従来の骨盤底筋体操(ケーゲル体操)や低周波EMSに比べても、短時間で深部まで効率良く鍛えられる優れた方法です。
治療前の注意点・治療の受けられない患者様
次の状態の方は、スターフォーマー治療がお受けいただけません。事前にスタッフまでお知らせください。
- 妊娠中
- がん
- てんかん
- 完全な筋肉挫滅
- 活動性肺疾患
- 子宮内膜症
- 開放創
- 心臓不整脈
- 直近の手術歴
- 心臓ペースメーカー
- 投薬ポンプ
- 強磁性金属で作られたインプラント
- 埋め込み式補聴器を装着中
※ 頭部、胸部領域、入れ墨で覆われた領域の治療は避けてください。
治療後の注意点
スターフォーマーの治療後には、まれに以下の副反応がおこることが報告されていますが、いずれも一過性で短期間です。
- 治療中/治療後の不快感/筋肉痛
- 倦怠感
- 筋肉の炎症
- 知覚異常
- 生理不順(生理が予定よりも早くくる)
- 腸症状
参考文献
本ページを作成する際に参考にした文献集です。
専門的な内容になりますが、治療の有効性・安全性についてのエビデンスとして参考にしてください。
非侵襲的高強度焦点式電磁場機器による尿失禁治療と生活の質改善の安全性と有効性
原題:Safety and Efficacy of a Non-Invasive High-Intensity Focused Electromagnetic Field (HIFEM) Device for Treatment of Urinary Incontinence and Enhancement of Quality of Life
出典:Lasers in Surgery and Medicine, 2019. 51(9), pp.760–766
要約: 尿失禁による生活への支障を軽減する目的で、骨盤底筋を強化する非侵襲的治療として高強度焦点式電磁場(HIFEM)技術の有効性と安全性を検証した研究です。
平均年齢55歳(±13)の女性75名(腹圧性・切迫性・混合性尿失禁)が対象となり、28分間のHIFEM治療を週2回、合計6回実施しました。主要評価項目として国際コンチネンス学会質問票(ICIQ-SF)スコアと1日のパッド使用枚数を治療後および3か月後に測定しています。
治療終了時点で81%の患者が症状の有意な改善を報告し、ICIQ-SFスコアは治療前から平均49.9%改善しました(6回終了時)。この改善効果は3か月後には64.4%に拡大し(いずれも p<0.001)、特に混合性尿失禁患者で最大約70%の顕著な改善が得られました。1日あたりの吸収パッド使用量も治療後に平均43.8%減少し、3か月後には53.7%減少しています(p<0.001)。
治療に伴う疼痛やダウンタイム、副作用は報告されず、患者の約70%で性的欲求の向上や排尿制御の改善といった付随効果も認められました。
本研究は、6回のHIFEM治療によって尿失禁症状が安全かつ効果的に軽減し、ICIQ-SFスコアの改善とパッド使用量の減少を通じて患者のQOLが向上することを示しています。
経産婦における骨盤底筋および尿失禁治療に対する高強度焦点式電磁療法と電気刺激の効果の比較研究:治療後データの分析
原題:A Comparative Study on the Effects of High-Intensity Focused Electromagnetic Technology and Electrostimulation for the Treatment of Pelvic Floor Muscles and Urinary Incontinence in Parous Women: Analysis of Posttreatment Data
出典:Female Pelvic Medicine & Reconstructive Surgery, 2021. 27(4), pp.269–273
DOI:10.1097/SPV.0000000000000807
要約: 骨盤底筋の弱体化による尿失禁への非侵襲的治療法として、HIFEM技術(高強度焦点式電磁刺激)の短期効果を、従来の骨盤底筋電気刺激療法と比較検討した研究です。
経産婦95名を対象に、HIFEM群(n=50)、電気刺激群(n=25)、対照群(経過観察のみ、n=20)に分け、HIFEM群には週2–3回・計10回の椅子型HIFEM治療(1回28分)、電気刺激群には低周波骨盤底電気刺激を自宅で隔日・計10回行いました。
治療前後で三次元経会陰超音波による骨盤底筋の解剖学的評価(骨盤底裂孔の径や面積)およびPelvic Floor Disability Index-20(PFDI-20)質問票による症状評価、尿失禁の主観的改善度を比較しています。
治療後の骨盤底筋の超音波所見では、HIFEM群のみで有意な改善(裂孔前後径・左右径および開口面積の縮小)が認められ、電気刺激群では有意差がみられませんでした。
症状面でもHIFEM群は電気刺激群より優れており、PFDI-20スコアの改善率はHIFEM群で52%に達したのに対し、電気刺激群では18%にとどまりました(HIFEM vs 電気刺激, p<0.001)。
また治療後に尿漏れ症状が残存した患者の割合はHIFEM群で大幅に減少し、電気刺激群と比べ漏出頻度の主観的改善が顕著でした。
研究の結論として、HIFEM療法は短期的に骨盤底筋機能を改善し尿失禁症状を軽減する上で有効かつ電気刺激より優れており、骨盤底筋弱化に伴う尿失禁の新たな治療オプションになり得ると報告されています。
尿失禁治療におけるHIFEM骨盤底刺激装置と骨盤底筋運動の比較:無作為化試験
原題:Randomized Trial of HIFEM Pelvic Floor Stimulation Device Compared with Pelvic Floor Exercises for Treatment of Urinary Incontinence
出典:Journal of Women’s Health Care, 2023. 12(9), p.680
DOI:10.35248/2167-0420.23.12.680
要約: HIFEM技術による骨盤底筋刺激療法(エムセラ椅子型デバイス)の有効性を、従来の骨盤底筋トレーニング(Kegel運動+バイオフィードバック)と比較した多施設共同の無作為化試験です。
27~66歳の女性計38名(腹圧性・切迫性・混合性尿失禁患者)を対象に、HIFEM治療群または骨盤底筋運動群に無作為に割り付けました。いずれの群も3週間で計6回の治療セッション(HIFEM群: 椅子に座位で28分間の骨盤底筋高強度電磁刺激×週2回、運動群: 理学療法士指導下での骨盤底筋トレーニング×週2回)を受け、治療後1・3・6・9・12か月に追跡評価を行いました。
主要評価には尿失禁による生活の質質問票(ICIQ-LUTSqol)、尿失禁症状の短縮評価(UDI-6)、1日あたりのパッド使用量、患者満足度アンケートなどを用いています。
6か月後のICIQ-LUTSqolスコアは、HIFEM群でベースライン比-15.2点(35%改善)と有意に改善したのに対し、運動群では-5.1点(13%改善)で有意差を認めませんでした。HIFEM群の効果は12か月後でもベースライン比24%の改善が持続しましたが、運動群は3%の悪化となりベースライン水準へほぼ逆戻りしました。
切迫症状に関する指標でも、12か月後までにHIFEM群は32%の改善を示したのに対し運動群は5%に留まりました。治療1年後に尿漏れの頻度が減少したと自己申告した割合はHIFEM群86%で、運動群の71%を上回りました。
また1日あたりのパッド使用枚数減少もHIFEM群で平均-1.7枚と、運動群の-1.0枚より大きくなりました。これらの差異は統計的にも有意であり、HIFEM療法が従来の骨盤底筋訓練より持続的な有効性を示す結果となりました。
著者らは、HIFEM療法が少なくとも1年間は女性の排尿コントロールとQOLを安全に改善し得る有望な非侵襲的治療であると結論付けています。
高強度テスラ刺激(HITS)療法が骨盤底筋の筋電図に与える影響と臨床的意義
原題:The effect of high-intensity TESLA stimulation (HITS) therapy on pelvic floor electromyography (EMG) and potential clinical implications for use.
出典:European Journal of Obstetrics & Gynecology and Reproductive Biology, 2025; 307: 247–251.
DOI:10.1016/j.ejogrb.2025.02.007
要約:高強度テスラ磁場刺激(HITS™)を用いた非侵襲的治療が骨盤底筋(PFM)に与える効果を検討した前向き研究。9名に対しHITSチェアで週2回、計8~10回の30分セッションを行い、治療前後の筋電図活動を測定した。
全例で骨盤底筋活動が有意に増強し、特に持久収縮と最大随意収縮で顕著な改善(p=0.0003, p=0.0002)。副作用はなく、安全性も確認された。HITSはSUIや骨盤臓器脱などに有用な治療オプションとなり得る。
高強度集束電磁エネルギー治療は女性の尿失禁に効果的か?
原題:Is the High-Intensity Focused Electromagnetic Energy an Effective Treatment for Urinary Incontinence in Women?
出典:Therapeutics and Clinical Risk Management, 2024; 20: 811–816.
要約:女性35名に対しHIFEM治療(28分×週2回×3週, 計6回)を実施。評価はICIQ-SFとパッド使用枚数。治療直後および1か月後に効果を測定。
ICIQ-SFは平均約60%改善、パッド使用枚数も大幅に減少。副作用は報告されず、安全性良好。HIFEMはSUI/MUI女性に対して有効かつ安全な非侵襲的治療と結論づけられた。
高強度集束電磁技術による女性の腹圧性尿失禁治療への効果
原題:Effect of High-Intensity Focused Electromagnetic Technology in the Treatment of Female Stress Urinary Incontinence.
出典:Biomedicines, 2024; 12(12): 2883.
DOI:10.3390/biomedicines12122883
要約:女性SUI患者20例にHIFEM治療を6回施行。客観的指標(パッドテスト, 尿流動態検査)と主観的指標(ICIQ-SF等)で評価。
尿漏れ量は著明に減少し、ICIQ-SFも大幅改善。最大尿道閉鎖圧も上昇し、骨盤底機能の強化が確認された。非侵襲的治療として有望。
女性尿失禁におけるHIFEM療法:システマティックレビューとメタアナリシス
原題:Noninvasive High-Intensity Focused Electromagnetic Therapy in Women With Urinary Incontinence: A Systematic Review and Meta-Analysis.
出典:Neurourology and Urodynamics, 2025; 44(2): 424–433.
要約:7件の研究を解析。HIFEM群は対照群より尿失禁エピソードを有意に減少(-4.1回/日)し、ICIQ-SFも平均-3.03改善。
QOLも改善傾向を示し、安全性に問題なし。ただし研究の異質性があり、さらなる大規模RCTが必要と結論づけられた。
経産婦のストレス性および混合性尿失禁に対するHIFEM™療法:症例シリーズ研究
原題:The HIFEM™ Treatment of Stress and Mixed Urinary Incontinence in Parous Women: A Case Series Study
出典:Uro (MDPI), 2025. 5(2), 9
要約: 経産婦(膣分娩歴のある女性)の腹圧性尿失禁(SUI)および混合性尿失禁(MUI)に対し、HIFEM™技術を用いた非侵襲的骨盤底筋刺激療法の有効性と安全性を検証した症例系列研究です。
平均年齢54歳(±16)の女性19名(SUI 13名、MUI 6名)を対象に、BTL社Emsella椅子を用いた骨盤底HIFEM治療(1回28分間のセッションを3~4日おきに計6回)を実施し、治療前後で国際尿失禁質問票短縮版(ICIQ-UI SF)スコアの変化、および治療の快適さ・満足度に関するアンケート結果を分析しました。
ベースライン時のICIQ-UI SF平均スコアは7.9点でしたが、6回の治療終了後には平均4.7点まで低下し、スコアは50.6%の有意な改善を示しました(p<0.001)。
ICIQ-6(自己報告による失禁の程度)で0点=完全に失禁がなくなったと回答した被験者が全体の21%に上り、一定割合の患者で完全な禁制を達成しています。
また、「トイレに行く前に漏れる」タイプの切迫性症状を訴える患者は治療後に40%減少し、咳やくしゃみで漏れる患者は治療後に半減しました。
治療は全般に忍容性が高く、有害事象の発生も報告されていません。以上より、本症例シリーズではHIFEM療法によって経産婦のSUI/MUI症状が大きく改善し、ICIQスコアの有意な低下とともに約5割の症状軽減が得られ、多くの患者で完全な禁制や漏出エピソードの減少が確認されました。
HIFEMによる骨盤底筋アプローチは、侵襲の少ない有効な尿失禁治療オプションとなり得ることが示唆されています。
尿失禁を伴う膀胱瘤(Grade2)に対するEMSella療法と前膣壁縫縮術の前向き比較研究:効果と成績
原題:Prospective Comparative Study of EMSella Therapy and Surgical Anterior Colporrhaphy for Urinary Incontinence: Outcomes and Efficacy
出典:Healthcare (Basel), 2025,1(8), 864
DOI:10.3390/healthcare13080864
要約: 骨盤臓器脱を伴う尿失禁患者に対し、非侵襲的HIFEM治療と従来の外科的修復術の有効性を直接比較した前向き臨床研究です。
対象はGrade2の膀胱瘤(中等度の膀胱脱)による尿失禁を有する女性100名で、希望や適応に応じて外科的前膣壁縫縮術(経膣的膀胱挙上術)群45名と、非侵襲的EMSella骨盤底刺激療法群55名に振り分けました。治療効果は、膀胱脱の解剖学的改善(POP-Qステージ)、膀胱機能の正常化率、1年後の再発率、尿失禁症状によるQOL指標(PFDI-20およびPFIQ-7スコア)の変化、患者満足度、副合併症発生率、社会復帰までの期間など多面的に評価しました。
1年後の結果では、解剖学的治癒(膀胱脱ステージ0達成例)の割合は手術群で88%と、EMSella群の64%を有意に上回りました。
また膀胱機能の正常化率(尿失禁の消失または顕著な改善)も手術群72%、EMSella群55%と手術の方が高く(p=0.04)、1年以内の再発率は手術群14%に対しEMSella群31%で手術群が有意に低く抑えられました(p=0.03)。
一方、リカバリーの速さや安全性の面では非侵襲治療が勝り、EMSella群では91%の患者が治療後1週間以内に日常生活に復帰でき、手術群より社会復帰が早期でした。
両群とも尿失禁に伴うQOLスコア(PFDI-20, PFIQ-7)は有意に改善しましたが、その改善度合いは手術群の方が大きい傾向がみられました。またEMSella群では術後合併症としての感染症例が少なく、性交痛(性交時痛)も皆無で、安全性プロファイルが良好でした。
結論として、本研究は中等度膀胱瘤に伴う尿失禁管理において、前膣壁縫縮術が解剖学的修復と長期転帰の点で優れるものの、EMSellaによるHIFEM療法は侵襲がなく回復が速い安全な代替策となり得ることを示しました。
患者の重症度や希望に応じて、侵襲的手術と非侵襲的磁気刺激療法を適切に選択・併用する個別化治療の重要性が強調されています。
監修者情報(医師紹介)
監修医師:佐藤 雅樹 (さとう まさき)
ソララクリニック 院長
専門分野:美容皮膚科
2000年 順天堂大学医学部卒。順天堂大学医学部形成外科入局。 大学医学部付属病院等を経て、都内美容皮膚科クリニックにてレーザー治療の研鑽を積む。2011年3月 ソララクリニック開院 院長就任。2022年 医療法人 松柴会 理事長就任。日本美容皮膚科学会 日本形成外科学会 日本抗加齢医学会 日本レーザー医学会 点滴療法研究会 日本医療毛髪再生研究会他所属。
様々な医療レーザー機器に精通し、2011年ルビーフラクショナル搭載機器を日本初導入。各種エネルギーベースの医療機器を併用する複合治療に積極的に取り組む.
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