5-ALA点滴療法5-ALA IV therapy
認知機能・エネルギー産生・
5-ALA(5-アミノレブリン酸)点滴療法は、加齢とともに低下しやすい5-ALAを直接補うことで、ミトコンドリア機能をサポートするエイジングケア点滴治療です。
エネルギー産生や認知機能、体調の維持を内側から支えることで、疲れにくいからだづくりやエイジングケアに役立つことが期待されます。
この記事の目次
このような方におすすめ
5-ALA点滴療法は、以下のようなニーズやお悩みをお持ちの方に特に適しています。
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慢性的な疲労・エネルギー不足を感じる
ミトコンドリアを活性化しATP産生を増やすことで、身体的・精神的な疲労回復を促します。
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老化予防やアンチエイジングを目指す方
抗酸化作用により細胞ダメージを軽減し、加齢による代謝低下の改善や老化現象の抑制が期待できます。
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認知機能や記憶力の低下が気になる
5-ALAは脳のエネルギー代謝を支えるヘム合成を促し、動物研究では記憶力の向上が報告されています。認知症予防や脳機能サポートに関心のある方に適します。
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免疫力を高め体調を整えたい
免疫細胞の過剰な炎症反応を抑制し、アレルギー症状や感染症への抵抗力をサポートする可能性があります。
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睡眠の質やメンタルバランスを改善したい方
エネルギー不足や疲労感の軽減によって気分が安定し、睡眠の質向上が期待できます。ストレス緩和や自律神経の調整にもつながります。
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他の点滴療法(NMN/NAD+点滴など)と併用して総合的に体調管理したい方
5-ALA点滴はNMN点滴などと作用経路が異なるため補完的に働き、組み合わせることで一層の効果向上が見込まれます(後述)。
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以上のように、エネルギー不足からくる様々な不調や加齢のお悩みに対し、細胞レベルからアプローチできるのが5-ALA点滴療法の魅力です。
5-ALA点滴とは?
5-ALA点滴は、体内で作られるアミノ酸「5-アミノレブリン酸 (5-ALA)」を点滴によって直接補給し、細胞のエネルギー産生を高める治療法です。
5-ALAは通常、食事や体内合成でわずかに供給されていますが、加齢やストレスで不足すると考えられます。
点滴により効率よく全身へ届けることで、ミトコンドリア機能の向上を図ります。
5-ALAとは?

ファイブアラ、またはファイブエーエルエーと読みます。
5-ALA(5-Aminolevulinic Acid、5-アミノレブリン酸)は体内で作られるアミノ酸の一種で、エネルギー産生や酸素利用、解毒に関わる重要な役割を果たします。
加齢に伴い5-ALAの生成能力は低下し、その不足は細胞のエネルギー代謝低下や老化促進の一因となり得ると考えられています。
5-ALAはヒトを含むほぼ全ての生物が体内で少量生成している天然アミノ酸の一種です。
5-ALAはヘム合成の出発物質
通常のタンパク質を構成する20種類のアミノ酸とは異なり、ヘム合成系(ポルフィリン経路)の出発物質として働く特別な分子です。
ヘムとは血液中のヘモグロビンや細胞内酵素の構成成分で、以下のように生命維持に重要な役割を持ちます。
- 酸素運搬(ヘモグロビン)
ヘムは赤血球中のヘモグロビンの中心成分で、肺から全身へ酸素を運ぶのに不可欠です。 - エネルギー産生(シトクロム)
ミトコンドリア内の電子伝達系酵素(シトクロム群、特に複合体IVのシトクロムcオキシダーゼ)にヘムが必要で、ここでATP(細胞エネルギー)が大量に産生されます。 - 解毒(P450酵素)
肝臓の薬物代謝酵素であるシトクロムP450にもヘムが含まれ、体内の有害物質や老廃物の分解・解毒に関与します。 - 抗酸化防御(カタラーゼ等)
活性酸素を分解する酵素の構成要素として細胞を酸化ストレスから守ります。
このようにヘムは生命活動に欠かせない物質であり、その元となる5-ALAもまた健康維持に不可欠な基礎物質です。
特にミトコンドリアでのATP産生に直結することから、「細胞のエネルギー工場を動かす燃料」とも言えます。
5-ALA自体は直接的な効果を持つというより、ヘムの産生を増やすことで間接的に多彩な生理作用を発揮します。
加齢で5-ALA産生量は低下
体内でつくられる5-ALAの量は、生涯を通じて一定ではありません。

研究では、ヘム合成の最初のステップを担うALA合成酵素の活性が、若い時期をピークとして加齢とともに低下していくことが報告されています。
加齢とともに中年期以降は徐々に低下し、高齢期では若い頃と比べて大きく低下するデータから、ミトコンドリア機能の低下やエネルギー産生効率の低下に関わっている可能性が指摘されています。
こうした「5-ALA不足」は、年齢とともに疲れやすい・回復が遅い・集中力が続かないといった変化の一因になり得ると考えられています。
そのため、加齢によって低下していく5-ALAを点滴という形で直接補うことで、ミトコンドリアの働きをサポートし、エネルギー産生を助けることが期待できます。
5-ALA点滴が細胞のエンジンを活性化する仕組み

5-ALA点滴の最大の特徴は、細胞内の“エンジン”であるミトコンドリアを活性化できることです。
前述の通り、5-ALAはミトコンドリア内でヘムを生成し、それが電子伝達系(特に複合体IV:シトクロムcオキシダーゼ)の働きを高めます。
実際、動物実験では5-ALA投与によりミトコンドリア酵素の活性が1.5倍以上に高まり、ATP(細胞エネルギー)量も増加したと報告されています。
ミトコンドリア機能が向上すると細胞一つひとつのエネルギー産生効率が上がり、全身の臓器や組織のパフォーマンスが底上げされます。
経口は非効率。点滴は短時間で血中濃度を上昇できる
また、5-ALAは経口摂取の場合、肝臓で一部が代謝され減少してしまう(プロトポルフィリンへの変換など)性質があります。
点滴療法では静脈から直接有効成分を投与するため初回通過効果を回避でき、体内利用効率を高めて短時間で血中濃度を上げられる利点があります。点滴により十分な5-ALAが供給されると、短時間でヘム合成が促進されてミトコンドリア呼吸が活発化し、疲労感の軽減や代謝アップにつながると考えられます。
5-ALAは、ヘム合成促進で体全体を底上げする
さらに、ヘム合成の促進は他の生理機能にも波及します。
例えば
- ヘモグロビン産生増加による全身への酸素供給効率アップ
- P450酵素活性化による肝機能サポート(アルコールや有害物質の分解促進)
- カタラーゼ増加による抗酸化防御の強化など、
多面的な効果が期待できます。
このように5-ALA点滴は細胞レベルでエネルギー環境を整え、“からだ全体を底上げ”する治療といえます。
NMN・NAD点滴とはどう違うのか?
近年話題のNMN点滴(ニコチンアミドモノヌクレオチド)やNAD+点滴も、ミトコンドリア活性やアンチエイジングを目的とした点滴療法です。
作用・メカニズムの違い
NMN/NAD+点滴
加齢で減少する補酵素NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)を体内に補充し、エネルギー代謝やDNA修復酵素(サーチュイン)などの働きを高めます。
NAD+はミトコンドリアの電子伝達系(複合体I~III)で電子供与体として不可欠であり、十分なNAD+があることでATP産生の効率が上がります。
5-ALA点滴
NAD+とは異なる経路でミトコンドリア機能を支援します。
5-ALAはヘムの前駆体として電子伝達系の最終段階(複合体IV)を強化し、細胞呼吸によるATP生成量を向上させます。
またNAD+同様に加齢で体内合成が衰える物質であり、外部補給によって加齢に伴うミトコンドリア機能低下を是正する狙いがあります。
POINT
- NMN/NAD+点滴はエネルギー産生の「燃料」である補酵素を補給
- 5-ALA点滴はエネルギー産生装置そのもの(ミトコンドリア内酵素)を増強する
という違いがあります。
どちらもミトコンドリアを活性化してアンチエイジング効果をもたらす点で共通しており、アプローチが補完的です。
併用による相乗効果
5-ALAとNMN/NAD+は作用経路が異なるため、同時に受けることで相互に不足を補い合い、より幅広いエネルギー代謝のサポートが期待できます。
5-ALA+NMNの併用では、ミトコンドリア呼吸鎖の構成要素(ヘム)と、エネルギー産生に必要な補酵素(NAD+)の両方を支えることができるため、細胞エネルギー代謝の効率的な改善や、より包括的なエイジングケアにつながる可能性があります。
実際、多くの専門クリニックでNMN点滴と5-ALA点滴を並行して行うケースが増えており、「両輪」でミトコンドリア機能を最大限に引き出すアプローチが注目されています。
(※NMNは体内でNAD+に変換される物質です。NAD+そのものを点滴投与する方法もありますが、いずれにせよ最終的にNAD+濃度を上げる点で同類の治療と捉えています。本記事ではNMN点滴とNAD点滴をまとめて言及しています。)
5-ALA点滴で期待できる効果
5-ALA点滴療法で期待される主な効果を挙げ、それぞれの特徴を解説します。
細胞の基礎代謝を高めることで、身体機能から脳機能まで幅広いメリットが得られる点が特徴です。
全身の活力向上(疲労回復・パフォーマンスアップ)
ミトコンドリアでのATP産生量が増えることで、身体的なスタミナ増強や筋力・持久力の向上が期待できます。
疲れやすさの改善や倦怠感の解消により、日常生活の活動レベルが上がります。
実際、一回の点滴でも「体が軽くなった」「寝起きが良い」といった即効性を感じるケースもありますが、定期継続により慢性的なエネルギー不足の根本改善を図ります。
抗酸化作用によるエイジングケア
5-ALAで増加したヘムは抗酸化酵素の働きを高め、過剰な活性酸素(フリーラジカル)を除去します。
その結果、細胞の酸化ダメージ蓄積を防ぎ、シミ・シワなど老化現象の予防や生活習慣病リスクの低減にに役立つ可能性があります。
抗酸化力が高まることで、紫外線やストレスによる細胞老化のスピードを緩やかにし、内側から若々しさを保つサポートとなります。
免疫機能の調整・強化
5-ALAには免疫バランスを整える作用も報告されています。
過剰な炎症反応や自己免疫的な暴走を抑制しつつ、必要な免疫機能は維持または向上させることで、アレルギー症状の緩和や感染症予防に寄与する可能性があります。
例えばLPS(細菌毒素)刺激に対する炎症マーカーの反応を穏やかにする効果や、白血球・抗体産生の増加といった現象が動物モデルで示唆されています。
この免疫調節作用により「風邪をひきにくくなった」「花粉症の症状が軽減した」といった声も報告されています。
認知機能・記憶力の改善
最近の研究で特に注目されているのが、5-ALAの神経・認知機能への効果です。
5-ALAは脳内でもエネルギー産生と神経伝達に関与しており、動物実験では5-ALA投与によって空間認識記憶や学習能力が改善したとの報告があります。
この作用は、5-ALAが海馬(記憶中枢)のシナプス可塑性を高め、長期増強(LTP)を促進することによると考察されています。
エネルギー不足は脳の認知機能低下や物忘れに繋がるため、5-ALA点滴で脳細胞の代謝を支えることは認知症予防や集中力アップにつながる可能性があります。
実際、中高年の方で「物覚えが良くなった」「頭が冴える感じがする」といった感想もいただいており、今後ヒトでの大規模臨床研究が期待されています。
なお、NAD+を増やすNMN点滴も認知機能改善に有用とされますが、5-ALA点滴は別の角度から脳エネルギー代謝を支援するため、NMN・NAD+と併用すれば脳への包括的サポートが可能です。
睡眠の質向上・精神安定
エネルギー産生の向上と自律神経への好影響から、睡眠改善やストレス緩和も期待できます。
5-ALA点滴後に「夜よく眠れるようになった」「目覚めが爽快」といった声が聞かれるのは、細胞レベルでの疲労回復により睡眠の深さが増すためと考えられます。
また疲労が取れることで日中の気分も安定し、イライラや落ち込みの軽減につながるケースもあります。
エネルギーとメンタルは密接に関連しているため、5-ALAで体調が整うことで精神面の安定や意欲向上といった波及効果も得られるのです。
解毒・代謝サポート
5-ALA由来のヘムは肝臓の解毒酵素P450の補因子であり、有害物質の分解処理能力アップに寄与します。
アルコール代謝や薬物代謝の効率が向上し、二日酔い症状の軽減や肝機能サポート効果が期待できます。
また、一部の研究では5-ALAサプリメントが糖代謝や脂質代謝を改善しうることも示唆されています。代謝機能が整うことで、太りにくい体づくりや生活習慣病リスクの軽減にも寄与することが期待できます。
総じて5-ALA点滴は身体の代謝エンジン全般をチューンナップすることで、健康的なコンディション維持を後押しします。
このように、5-ALA点滴療法は細胞レベルの包括的な健康効果が期待できる点が大きな特徴です。特に「脳の元気」と「身体の元気」を同時に底上げできる点で他の単一目的の治療と一線を画し、予防医療・アンチエイジングの有力な選択肢として注目されています。
(※効果には個人差があり、感じられる体感も人によって異なります。上記はあくまで期待される作用の一覧で、全ての方にこれらの効果が保障されるわけではない点ご了承ください。)
治療の流れ・頻度

5-ALA点滴にかかる時間は30分ほど。
ゆっくり体内に入れていきます。
点滴中は、リクライニングチェアでリラックスしてお過ごしいただけます。
終了後は特に安静の必要はなく、そのままご帰宅可能です(※初回は少し院内で休憩いただく場合があります)。
治療ペースの目安
1回の点滴でも効果は期待できますが、持続的な改善のためには定期的な施術をお勧めします。
目的別の頻度目安は以下の通りです。
健康維持・アンチエイジング目的
月1~2回ペースが推奨。
細胞のターンオーバーやミトコンドリアのライフサイクルに合わせ、月数回の投与で効果の積み重ねを図ります。
比較的若い方や予防的な目的であれば月1回でも十分ですが、より高いアンチエイジング効果を狙う場合は隔週程度が理想です。
慢性疲労・体調不良の改善目的
初めの1~2か月は週1回ペースで集中的に行い、その後月2回程度に減らすプランがおすすめです。
蓄積した疲労をリセットしつつ、定期メンテナンスで良好な状態をキープします。
認知機能サポート目的
脳機能維持には継続が重要なため、月2回以上を継続すると良いでしょう。例えば毎週または隔週で点滴し、3か月程度続けてみて効果を評価します。
NAD+・NMN点滴等と交互に受けるのも一案です。
集中ケア(イベント前の活力アップ等)
大事な試合や仕事の前、旅行前などにスポット的に1回受けるだけでも、一時的な疲労回復・コンディション向上に役立ちます。即効性を期待して前日~数日前に施術すると良いでしょう。
(※上記は一般的な目安です。個人の体調や基礎疾患により最適な頻度は異なりますので、医師と相談の上でスケジュールを決定します。)
5-ALA点滴 料金
当院で5-ALA点滴療法を受けていただく際の費用は以下の通りです。(※税込表示)
| 料金 | 3週間以内 | |
|---|---|---|
| 100mg | 49,500 | 44,000 |
| 200mg | 99,000 | 88,000 |
※50mgでは効果が不十分なため、当院では100mg~としています。
よくある質問(FAQ)
5-ALAとは何ですか?
5-ALA(5-aminolevulinic acid、5-アミノレブリン酸)は私たちの体内で微量ながら作られているアミノ酸の一種です。
通常のアミノ酸とは異なり、エネルギー産生に重要な「ヘム」の材料になる物質で、生物の細胞活動を根底で支えています。例えばヘモグロビンやミトコンドリア酵素の生成に関与し、酸素運搬やATP産生になくてはならない成分です。
食品では醤油・味噌・赤ワインなどの発酵食品にごく微量含まれますが、年齢とともに体内産生が減ることが知られています。5-ALA点滴はこの物質を直接補給し、全身の細胞機能を底上げするアンチエイジング療法です。
5-ALA点滴はどのように働くのですか?
ミトコンドリアの働きを高め細胞レベルで活力を与えることが、5-ALA点滴の作用です。
点滴された5-ALAは各細胞に取り込まれ、ミトコンドリア内でヘムの合成に使われます。ヘムが増えると、ミトコンドリアの電子伝達系(特に複合体IV)の酵素活性が高まり、ATPという細胞エネルギーの生産量が増加します。
その結果、全身の臓器・組織がエネルギー不足の状態から解放され、疲労回復や臓器機能の改善につながります。加えて、ヘムは酸素運搬や解毒酵素の構成成分でもあるため、酸素供給効率アップや抗酸化・解毒作用の強化といった副次的効果も発揮します。
要するに、5-ALA点滴は細胞のエンジンに燃料を補給し回転数を上げることで、体全体を元気にする治療といえるでしょう。
NAD点滴やNMN点滴との違いは何ですか?
作用するターゲットが異なります。
NAD+/NMN点滴は加齢で減少する「補酵素NAD+」を補うことで、エネルギー代謝や遺伝子修復酵素を活性化する治療です。
一方、5-ALA点滴はエネルギー産生装置である「ミトコンドリア酵素(ヘムタンパク質)」を増強するアプローチです。
どちらも最終的にはATP産生を促進しアンチエイジングに寄与しますが、NAD+点滴がエネルギー産生の材料(燃料)を補給するのに対し、5-ALA点滴はエネルギー産生装置そのものをチューンナップするイメージです。
原理の違いから、効果の実感にも若干の差があります。例えばNAD+点滴は脳の冴えや代謝アップなど全身的な活力向上を感じやすく、5-ALA点滴は筋持久力や回復力の向上、睡眠の質改善など身体感覚としての変化を感じやすい傾向があります。
ただし個人差も大きいため、両方試してみて自分に合う施術を選ぶのも良いでしょう(もちろん併用も可能です)。
NAD点滴やNMN点滴と同時に受けると相乗効果はありますか?
はい、併用により相補的な作用が期待できます。
NAD/NMNと5-ALAは、それぞれ異なる側面からミトコンドリア機能をサポートします。 NAD/NMNはエネルギー産生に必要な補酵素を、5-ALAはミトコンドリア酵素(ヘムタンパク質)を支えるため、 同時にケアすることでエネルギー代謝をより効率的に整えやすくなると考えられます。
実際、当院でもNMN点滴と5-ALA点滴を組み合わせて受けられる方が増えていますが、 感じ方には個人差があります。負担を避けるため、初回は別日でそれぞれの効果を確認してから、 徐々に併用を検討していく方法もおすすめです。
ご興味があれば医師にご相談ください。
5-ALA点滴に副作用や注意点はありますか?
比較的安全な施術ですが、軽度の副作用が起こる可能性があります。
主な副作用として報告されているのは、一過性の低血圧やめまい、軽い吐き気・眠気などです。点滴中または直後に血圧が下がりふらつくことがありますが、通常は安静にしていれば数分で改善します。また、ごくまれに下痢や頭痛、女性では月経痛の悪化が見られた例もあります。点滴部位に痛み・赤みが出たり血管痛を感じることもありますが、一時的なものです。
万一強い気分不快や異変を感じた場合は、直ぐにスタッフが対応いたします。ご安心ください。
サプリメントや食品からの摂取ではなく、なぜ5-ALAを点滴で受ける必要があるのでしょうか?
5-ALA点滴は、サプリメントや食品から摂取する場合に比べて効率よく有効成分を体内に届ける方法です。
口から摂取した場合、多くの5-ALAが消化管を通過する際に肝臓で分解されてしまい、全身に巡る量が限られてしまいます。
一方で点滴ならば血管へ直接5-ALAを投与できるため、消化によるロスなく十分な量を全身に行き渡らせることが可能です。
実際、食品だけで必要な量の5-ALAを摂るのは難しく、例えば約2mgの5-ALAを摂取するにはホウレン草なら12kg、ワインなら1リットルも必要とされています。
このため、より確かな効果を実感したい方には点滴による摂取が推奨されています(※効果には個人差があります)。
5-ALA点滴はNMN点滴や高濃度ビタミンC点滴など、他の点滴療法と併用できますか?
はい、他の点滴療法と併用することも可能です。
実際にNMN点滴やエクソソームなどと組み合わせて受けられている方もおり、適切な医師の管理の下で安全に施術を組み合わせることができます。
5-ALAはミトコンドリアを活性化して即効的にエネルギー産生を高める作用が、NMNには細胞レベルで老化を抑制・修復する作用が期待されるため、 併用することで互いの効果を補完し合えると言われています。
特に、5-ALAとNMNを組み合わせることで「今すぐ元気になりたい」というニーズと「将来的な若返り・健康寿命の延伸」という二つの目的を同時に目指すことも可能とされています。
高濃度ビタミンC点滴など他の点滴とも基本的に併用可能ですが、ご自身の体調や目的に合わせて医師と相談し、無理のない範囲で適切なタイミング・頻度で受けることが大切です。
5-ALA点滴を受ける当日、食事や服薬、生活面で注意すべきことはありますか?
点滴当日は特に厳格な制限はなく、普段通りお食事や水分補給をしていただいて構いません。
ただし、空腹や脱水の状態で点滴を受けるとまれに気分が悪くなることがありますので、事前に軽めの食事を摂り十分に水分を取っておくと安心です。
常用薬がある場合も基本的には普段通り服用していただけますが、心配な薬がある場合は事前に医師にお知らせください。
生活面でも特別な制限はありませんが、当日はあまり無理をせずリラックスして過ごされることをおすすめします。
5-ALA点滴を受けた当日、入浴や飲酒、運動はしても大丈夫でしょうか?
シャワーや短時間の入浴などは施術当日から可能です。
ただし、点滴を受けた日は激しい運動や大量の飲酒は控えていただいた方が無難です。
点滴を受けた後は、普段よりもアルコールが飲めてしまう(飲酒量が増える)状態になりがちです。アルコールは体への負担となる可能性があるため、当日はできるだけ飲酒をお控えいただく方が安心です。
運動も普段より強度を高めがちになりやすく、体に負担をかけてしまう事もあります。ご自身の体調を見ながら過ごすようにしましょう。
万一、点滴部位に違和感がある場合は、入浴も含め無理をせず安静にして経過を見ることをおすすめします。
5-ALA点滴は何歳くらいから始めるのが効果的でしょうか?
体内で5-ALAが生成される量は十代後半(17~20歳前後)をピークに加齢とともに減少し続け、40代でピーク時の半分以下、50歳前後では約5分の1程度にまで低下すると言われています。
そのため、一般的には加齢による活力低下を感じ始める40代前後から始めると効果を実感しやすいケースが多いようです。
もっとも、明確に「○歳からでないと始めてはいけない」という決まりがあるわけではありません。 30代後半で疲れやすさを自覚して予防目的で始める方もいらっしゃいますし、ご高齢の方でも体調に留意しながら受けることができます。
結局のところ、ご自身の健康状態や目的に合わせて医師と相談し、適切なタイミングで始めることが大切です(※効果の現れ方には個人差があります)。
受けられない方・注意が必要な方
妊娠中・授乳中の方は、安全性データが十分でないため施術できません。また、鉄欠乏症(貧血が重度の方)やポルフィリン症※の持病がある方も原則不可となります。(※ポルフィリン症はヘム合成酵素の異常による疾患で、ALA投与により症状が悪化する恐れがあります。)重篤な肝障害・腎障害のある方も事前に必ず医師に申し出てください。その他のご病気や常用薬によって制限がある場合もございますので、カウンセリング時に医師が詳しく確認いたします。
総じて、5-ALA点滴は高い安全性を持つ治療ですが、体調に不安がある場合は無理せず医師に相談しながら受けていただくことが大切です。適切な頻度・容量で行えば副作用のリスクはごく低く、多くの方に安心して継続いただいております。
当院(仙台)で5-ALA点滴を受けるメリット
全国的にアンチエイジング点滴療法を行う医療機関が増えていますが、当院で5-ALA点滴を受けることには以下のようなメリットがあります。
最先端の治療提供
当院ではアンチエイジング医療に精通した医師が在籍し、国内外の最新研究に基づいた治療を提供しています。5-ALA点滴についても科学的エビデンスを踏まえ、安全かつ効果的な用量・頻度で施術します。総合的に健康状態を評価し、お一人おひとりに最適なプランを提案できるのが強みです。
充実した併用療法とオーダーメイドケア
当院は5-ALA点滴だけでなく、NMN点滴や高濃度ビタミンC点滴など多彩な先進療法を取り揃えています。必要に応じて併用療法による相乗効果を最大化し、患者様の目標(疲労回復・美容・認知サポート等)に合わせたオーダーメイドの施術プログラムを組むことが可能です。他の治療との組み合わせについてもお気軽にご相談ください。
安心・快適な施術環境
施術はプライバシーに配慮したリラックス空間で行い、経験豊富な看護スタッフが丁寧に対応いたします。点滴製剤は厳選した高品質なものを使用し、院内感染対策や衛生管理も万全です。仙台駅からアクセスしやすい立地にあり、忙しい方でも通いやすい環境です。アフターフォロー体制も整えており、施術後の体調変化や疑問にも医師・スタッフが親身に対応いたします。
当院は地域の皆様の健康寿命延伸に貢献すべく、先端治療を積極的に取り入れております。5-ALA点滴療法についても仙台エリアでいち早く導入し、多くの実績を積んでまいりました。「いつまでも元気で若々しく過ごしたい」という思いをお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。専門スタッフ一同、安心して治療を受けられるよう全力でサポートいたします。
まとめ
5-ALA点滴療法は、生命活動に欠かせない物質5-ALAを補うことで細胞レベルから活力を引き出す革新的なアンチエイジング治療です。
ミトコンドリアのエネルギー産生を高めることで、疲労回復・体力向上、脳機能サポート、免疫調整、抗酸化による若返りなど多岐にわたる効果が期待できます。
特に認知機能の向上や老化抑制といった領域で注目されており、最新の研究がその可能性を示しています。加齢とともに低下する5-ALAを外部から補給する本治療は、まさに「細胞のエンジンに再び火を入れる」ようなアプローチであり、健康寿命を延ばしたい方にとって心強い選択肢となるでしょう。
安全性も高く、月に1~数回の点滴で無理なく継続できる点滴療法です。他のNMN点滴などとも組み合わせて総合的なアンチエイジングケアが可能ですので、興味のある方はお気軽に当院までご相談ください。
科学に裏付けられた先端医療で、“いつまでも元気で若々しい自分”を一緒に目指しましょう。
監修医師:佐藤 雅樹 (さとう まさき) ソララクリニック 院長 専門分野:美容皮膚科 2000年 順天堂大学医学部卒。順天堂大学医学部形成外科入局。 大学医学部付属病院等を経て、都内美容皮膚科クリニックにてレーザー治療の研鑽を積む。2011年3月 ソララクリニック開院 院長就任。2022年 医療法人 松柴会 理事長就任。日本美容皮膚科学会 日本形成外科学会 日本抗加齢医学会 日本レーザー医学会 点滴療法研究会 日本医療毛髪再生研究会他所属。 最終更新日 監修者情報(医師紹介)

様々な医療レーザー機器に精通し、2011年ルビーフラクショナル搭載機器を日本初導入。各種エネルギーベースの医療機器を併用する複合治療に積極的に取り組む.
参考文献
当ページを作成するにあたり参考にした文献です。
ご参考になれば幸いです。
マウス肝臓における5-ALAがシトクロムcオキシダーゼ活性に及ぼす効果
原題: The effect of 5-aminolevulinic acid on cytochrome c oxidase activity in mouse liver
出典: BMC Research Notes 4:66 (2011)
要約: マウスを用いた基礎研究。
5-ALAを投与した群では肝臓ミトコンドリア内のシトクロムcオキシダーゼ(呼吸鎖複合体IV)の活性が有意に上昇したことを報告している。シトクロムcオキシダーゼはATP産生に不可欠な酵素であり、その活性化は細胞レベルのエネルギー産生能力向上を意味する。
この結果は、5-ALAが生体内でヘム合成を促進しミトコンドリア呼吸機能を高める可能性を示唆する。エネルギー代謝改善による抗疲労・抗加齢効果のメカニズム解明につながる知見である。
5-ALA摂取は軽度高血糖者において空腹時および食後血糖を低減する
原題: 5-Aminolevulinic acid, a precursor of heme, reduces both fasting and postprandial glucose levels in mildly hyperglycemic subjects
出典: Nutrition 29(7-8):1030-1036 (2013)
DOI: 10.1016/j.nut.2013.02.008
要約: 軽度の高血糖(いわゆる境界型糖尿病)に該当する成人に対し、5-ALAと鉄剤のサプリメントを摂取させた無作為化二重盲検プラセボ対照試験。
12週間の継続投与により、5-ALA群ではプラセボ群に比べ空腹時血糖値と食後2時間血糖値が有意に低下した。またインスリン抵抗性の指標にも改善傾向が認められ、5-ALAの代謝改善効果が示唆された。
副作用は報告されておらず、安全に糖代謝指標を改善しうるサプリメントとして5-ALAの有用性を支持する結果となっている。
糖尿病予防や血糖コントロール改善への応用可能性が示された意義ある研究である。
プレ糖尿病者における5-ALAサプリメント摂取と血糖値・HbA1cとの関係
原題: Use of the dietary supplement 5-aminolevulinic acid (5-ALA) and its relationship with glucose levels and hemoglobin A1C among individuals with prediabetes
出典: Clinical and Translational Science 5(4):314-320 (2012)
DOI: 10.1111/j.1752-8062.2012.00419.x
要約: ハワイ大学による研究で、プレ糖尿病(境界型糖尿病)の成人を対象に5-ALA含有サプリメントの使用状況と血糖コントロール指標との関連を解析したもの。
観察研究の結果、5-ALAサプリを摂取していた群は非摂取群に比べ空腹時血糖やHbA1cが低い傾向が認められた。また5-ALA摂取期間が長いほどHbA1c改善幅が大きい関連も示唆された。
因果関係の証明には至らないものの、5-ALAの継続摂取が血糖管理に寄与している可能性を示すエビデンスである。
予防医学的観点から、生活習慣改善の一環としての5-ALA補給の有用性を示唆する結果といえる。
5-ALAと鉄の補給が高齢女性の運動効率と歩行トレーニング成績に与える影響
原題: Impact of 5-aminolevulinic acid with iron supplementation on exercise efficiency and home-based walking training achievement in older women
出典: Journal of Applied Physiology 120(1):87-96 (2016)
DOI: 10.1152/japplphysiol.00582.2015
要約: 信州大学能勢教授らの研究グループによるランダム化クロスオーバー試験。
インターバル速歩トレーニングを1年以上継続中の高齢女性10名を対象に、5-ALAとクエン酸第一鉄ナトリウム(SFC)を含むサプリメントとプラセボを各7日間ずつ投与し、運動負荷試験時の生理指標と自発的運動量の変化を比較した。
結果、5-ALA+SFC摂取期間ではプラセボ期間に比べ運動時の酸素消費量と二酸化炭素排出量が約10%以上低減し、血中乳酸値の上昇も有意に抑制された。また被験者が自宅で行う速歩トレーニングの実施日数・強度・時間が大幅に増加(それぞれ42%、102%、69%増)した。
以上より、5-ALA+鉄補給が高齢女性の運動効率を向上させ、持久的運動能力を高めることが示された。
ミトコンドリア機能改善による筋持久力向上を実証した注目すべき研究である。
5-ALAがアルツハイマー病マウスモデルの脳ミトコンドリア活性を促進する
原題: Facilitation of brain mitochondrial activity by 5-aminolevulinic acid in a mouse model of Alzheimer’s disease
出典: Nutritional Neuroscience 20(8):538-546 (2017)
DOI: 10.1080/1028415X.2016.1190624
要約: アルツハイマー型認知症モデルマウス(APP/PS1二重トランスジェニックマウス)を用いた前臨床研究。
5-ALA投与群と非投与群で比較したところ、5-ALA投与によりマウスの脳内でシトクロムcオキシダーゼ活性やATP産生量が増加し、ミトコンドリア機能が亢進したことを確認した。また認知機能テストでは、5-ALA群のマウスは対照群に比べ成績が向上する傾向が見られた。
アルツハイマー病では脳エネルギー代謝の低下が一因とされるが、本研究は5-ALA補給が脳内エネルギー代謝を改善し、神経細胞機能を保護する可能性を示唆している。
将来的な認知症予防・治療への5-ALA応用に向けた基礎的エビデンスとして意義深い。
5-ALAリン酸塩経口投与による疲労感と怒り・敵意の軽減:ランダム化二重盲検プラセボ対照並行研究
原題: Reduction of fatigue and anger-hostility by the oral administration of 5-aminolevulinic acid phosphate: a randomized, double-blind, placebo-controlled, parallel study
出典: Scientific Reports 10:16004 (2020)
DOI: 10.1038/s41598-020-72763-4
要約: 慢性的な身体的疲労を自覚する健常成人70名を対象に、5-ALAリン酸塩(1日50mg)またはプラセボを8週間摂取させた臨床試験。
結果、5-ALA群ではプラセボ群に比べ全体的な疲労感および仕事関連の疲労感が有意に減少した。また心理評価尺度(POMS2)において怒り・敵意スコアが有意低下し、活力や気力の指標もプラセボに比べ改善傾向を示した。
抑うつ感や総合気分障害スコアも5-ALA群のみで有意改善しており、疲労だけでなく気分面の向上効果も確認された。
以上より経口5-ALAの継続摂取は、安全に慢性疲労の自覚症状とネガティブな感情を軽減しうることが示された。
現代人の慢性的疲労対策や、QOL改善における5-ALA活用の可能性を裏付けるエビデンスである。
中高年プレ糖尿病者における5-ALA摂取と気分・対処能力の関係
原題: The relationship of 5-aminolevulinic acid on mood and coping ability in prediabetic middle aged and older adults
出典: Geriatrics (Basel) 3(4):17 (2018)
DOI: 10.3390/geriatrics3040017
要約: プレ糖尿病の中高年者を対象に、5-ALAサプリメント摂取が心理面に与える影響を検討した研究。
プラセボ対照試験の結果、5-ALA群では主観的な気分指標(活気、安定性など)が改善し、ストレスへの対処能力が向上したと報告された。
具体的には、5-ALAを8週間摂取した参加者はプラセボ群に比べ、自己評価による落ち込みや不安感の軽減、問題対処スキルの向上がみられたという。血糖値や代謝指標にも若干の改善傾向があり、身体面と心理面の両方にポジティブな変化が生じている。
プレ糖尿病世代はメンタル不調も抱えやすいが、本研究は5-ALAが肉体的健康だけでなく精神的ウェルビーイングにも良い影響を与える可能性を示唆している。ただしサンプル数が小さいため、更なる研究による確認が望まれる。
加齢男性性腺機能低下症候群(LOH)患者に対する5-ALAの有効性と安全性:予備研究
原題: Efficacy and Safety of 5-Aminolevulinic Acid for Patients with Symptoms of Late-Onset Hypogonadism: A Preliminary Study
出典: World Journal of Men’s Health 40(2):456-464 (2022)
DOI: 10.5534/wjmh.210048
要約: 加齢による男性ホルモン低下(LOH症候群)に伴う諸症状(倦怠感、性欲低下、抑うつ傾向など)を持つ中高年男性に、5-ALAサプリメントを8週間投与した予備的臨床試験。
介入後、参加者の自己評価スコア(AMSスコア)において全体症状スコアの有意な改善が認められた。特に身体的症状(疲労感や筋力低下)および性的症状(勃起機能や性欲)に改善傾向が顕著で、心理的症状(イライラ、不眠等)も一部軽減が見られた。また血中テストステロン値にも上昇傾向が報告されている。
安全性については重大な副作用は発生せず、肝機能値等にも有意な変化はなかった。
以上より5-ALA補給はLOH症候群の症状緩和に有効かつ安全な補助療法となり得る可能性が示唆された。ただし被験者数が少ない予備研究であるため、今後プラセボ対照試験などで効果の検証が必要と結論付けている。
ALAのSARS-CoV-2オミクロン変異株に対する抗ウイルス効果
原題: 5-Aminolevulinic acid antiviral efficacy against SARS-CoV-2 omicron variant in vitro
出典: Tropical Medicine and Health 50(1):30 (2022)
DOI: 10.1186/s41182-022-00422-7
要約: 長崎大学などの研究チームによる実験で、培養細胞を用いて5-ALAおよび5-ALA+クエン酸第一鉄ナトリウム(SFC)の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する抗ウイルス効果を検証した。
武漢株やアルファ株など既存株に対し既に効果を確認した上で、オミクロン株について評価したところ、5-ALA単独および5-ALA+SFCはいずれもウイルス感染を有意に抑制した。半数阻害濃度(IC50)は5-ALA単独で329μM、5-ALA+SFCで191μMと見積もられ、これは培養系においてウイルスの増殖が大幅に減少することを意味する。
「in vitro」での結果ではあるが、5-ALAはウイルスの複製過程に干渉する可能性が示唆され、著者らは抗コロナウイルス薬の候補になり得ると述べている。
ただし臨床応用にはさらなる検証が必要であり、現時点では補完的療法の域を出ない。とはいえ、抗ウイルス作用という新たな作用メカニズムが明らかになったことで、感染症対策サプリメントとしての5-ALAにも注目が集まっている。
健常者における5-ALAリン酸塩と鉄の併用経口投与の安全性:オープンラベル試験
原題: Safety of Oral Administration of 5-Aminolevulinic Acid Phosphate Combined with Ferrous Iron in Healthy Subjects: An Open-Label Trial
出典: Scientia Pharmaceutica 93(1):5 (2025)
要約: 健康な成人22名(男女各11名)を対象に、5-ALAリン酸塩250mgと鉄(クエン酸第一鉄ナトリウム15mgとして)を4週間連日経口投与し、安全性を評価したシングルアーム試験。
血液検査・尿検査・問診によるモニタリングの結果、試験物質に起因する有害事象や臨床的に問題となる変化は認められなかった。副次的な変化として血清鉄濃度が軽度〜中等度上昇したが一過性であり、有害な影響はなかった。
過去の複数の臨床研究をレビューしても、5-ALA 200mg/日×12週、50mg/日×12週、COVID-19患者に対する高用量投与など、いずれの場合も重篤な副作用は確認されていないことも示された。
以上より、健康成人において通常市販量を大きく上回る高用量の5-ALA+鉄を一定期間摂取しても安全性に問題がないことが示された。5-ALAは急性間欠性ポルフィリア患者への注意が必要とされるものの、一般集団での短期・中期投与は良好な安全プロファイルを有すると結論付けられている。
δ-アミノレブリン酸合成酵素:加齢ラットの各組織における活性の調節
原題: delta-Aminolevulinic acid synthetase: regulation of activity in various tissues of the aging rat
出典: Archives of Biochemistry and Biophysics 191(2):792-797 (1978)
DOI: 10.1016/0003-9861(78)90421-6
要約: 加齢ラットにおけるALA合成酵素(ALAS)活性を、肝臓・心臓・腎臓など複数組織で比較検討した基礎研究。
老齢ラットでは若齢ラットに比べ、肝臓や心臓を中心にALAS活性が有意に低下していることが示された。
これは加齢に伴いヘム合成能が低下することを示す重要なエビデンスであり、加齢によるエネルギー代謝低下やミトコンドリア機能障害の一因として、5-ALA(およびALAS)の減少が関与し得る可能性を示唆している。
ヘム欠乏は加齢に伴うミトコンドリアおよび神経の衰退の一因である可能性
原題: Heme deficiency may be a factor in the mitochondrial and neuronal decay of aging
出典: Proceedings of the National Academy of Sciences of the USA 99(23):14807-14812 (2002)
要約: ヘム合成の低下が神経細胞およびミトコンドリア機能に与える影響を検討した研究。
ヘム合成阻害により培養神経細胞でミトコンドリア複合体IVの減少とアポトーシスが誘導され、アルツハイマー病患者の神経変性に類似した変化が観察された。
著者らは、加齢に伴うヘム(ひいてはALA)不足がミトコンドリア機能低下および神経変性の一因となる可能性を指摘し、ヘム/ALA代謝の維持が老化抑制に重要であると結論付けている。
糖尿病治療薬の安全性と作用機序:5-アミノレブリン酸(5-ALA)との比較
原題: Safety and Mode of Action of Diabetes Medications in Comparison with 5-Aminolevulinic Acid (5-ALA)
出典: Journal of Diabetes Research 2019:4267357 (2019)
DOI: 10.1155/2019/4267357
要約: 糖尿病治療薬と5-ALAの作用機序と安全性を比較した総説。
従来の経口血糖降下薬とは異なり、5-ALAはミトコンドリア機能とヘム合成を介して代謝を改善し得る点が整理されている。加齢や生活習慣により体内のALA生成量が低下し、それがミトコンドリア機能低下やインスリン抵抗性など代謝異常の一因となる可能性が紹介された。
また、境界型糖尿病や2型糖尿病患者での臨床研究において、5-ALA補給が血糖指標やインスリン感受性の改善に寄与し得ることもまとめられている。
全体として、5-ALAは比較的安全性が高く、代謝改善の新たな選択肢となり得ることが示唆される。
欠乏から治療へ:ALAS1破綻による全身性影響と5-ALAの保護的役割
原題: From Deficiency to Therapy: Systemic Consequences of ALAS1 Disruption and the Protective Role of 5-ALA
出典: Life (Basel) 15(8):1259 (2025)
DOI: 10.3390/life15081259
要約: ALA合成酵素1(ALAS1)の部分的な欠損が生体にもたらす影響と、5-ALA補充による改善効果を論じた最新のレビュー。
ALAS1遺伝子が半量のマウスは加齢に類似した代謝障害(インスリン抵抗性・サルコペニア)や免疫機能低下を呈するが、5-ALA投与によりミトコンドリア機能や代謝指標の改善、免疫機能の回復が確認されたことが紹介されている。
著者らは、加齢に伴うヘム/ALA合成能力の低下が老化現象を促進し得ると指摘するとともに、5-ALA補充が健康寿命延伸の一助となる可能性を提起している。
マウスにおける5-ALA長期投与による抗疲労作用
原題: Antifatigue Effects of 5-Aminolevulinic Acid Chronic Treatment on Mice
出典: Life 15(9):1465 (2025)
DOI: 10.3390/life15091465
要約: マウスを用いた前臨床研究。
8週間の5-ALA投与後、水浸による慢性疲労モデルを作製して疲労度を評価した。
その結果、5-ALA投与群ではトレッドミル走行距離が延長し、抗疲労作用が確認された。さらに、疲労誘発で生じる低血糖および前頭前野におけるノルアドレナリン代謝率の低下が5-ALA投与で改善した。
5-ALAの抗疲労効果は、中枢(前頭前野ノルアドレナリン神経系)と末梢(脂肪組織からのエネルギー産生促進)の両面から疲労を軽減する仕組みである可能性を示唆している。
5-アミノレブリン酸の摂取が酸化・抗酸化バランスと有酸素能力に及ぼす影響
原題: The Impact of 5-Aminolevulinic Acid Supplementation on Redox Balance and Aerobic Capacity
出典: International Journal of Molecular Sciences 25(2):988 (2024)
DOI: 10.3390/ijms25020988
要約: 健常成人を対象とした臨床研究。
高強度の有酸素運動試験において、5-ALAリン酸塩と鉄を含むサプリメント摂取群は、対照群に比べ抗酸化能の指標が有意に高く、運動による酸化ストレスのマイナス影響が軽減された。
一方、運動適応に必要な生理的酸化刺激(トレーニング効果のきっかけ)は維持されており、5-ALAは「必要なストレスは残しつつ過剰な酸化ダメージを抑える」性質を持つ可能性が示された。
スポーツやリハビリテーションにおいて、パフォーマンス維持と疲労軽減の両立を図る補助的栄養戦略として5-ALAが有望であることを示唆している。
光線力学療法における5-アミノレブリン酸経口投与と静脈投与の比較
原題: Oral versus intravenous administration of 5-aminolaevulinic acid for photodynamic therapy
出典: British Journal of Cancer 68(1):41-51 (1993)
DOI: 10.1038/bjc.1993.284
要約: 光線力学療法における5-ALAの投与経路の違いを検証した研究。
ラットを用いた実験では、静脈投与は経口投与と比較してより低用量で消化管粘膜に十分なプロトポルフィリンIX(PpIX)蓄積をもたらし、標的組織への選択的集積が得られることが示された。
ヒトの予備試験においても、経口投与後4〜6時間で消化管腫瘍に正常組織以上のPpIX蓄積が観察された。
経口投与は簡便で安全性も高い一方、静脈投与は用量効率が高い可能性があり、治療目的や患者背景に応じて投与経路を選択する重要性が示唆された。
点滴(静脈投与)によるALA投与が全身への効率的な分布をもたらし得ることを裏付ける基礎的エビデンスである。