NAD+点滴療法NAD+ IV therapy
認知機能向上・若返り・健康維持の
最新の若返り治療として注目される「NMN点滴療法」に続き、NAD+点滴療法が「NMNを超える若返り治療」として大きな注目を集めています。
NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)は全細胞に存在する補酵素であり、身体の若返り効果だけでなく、認知機能や記憶力・集中力を高める「脳の若返り」に特に効果的とされています。
本記事ではNAD+点滴療法の基礎知識や期待できる効果、治療の詳細から、よくある質問までを詳しく解説します。
この記事の目次
NAD+とは何か?

NAD+は「ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド」の略称で、ビタミンB3(ナイアシン)から体内で生成される補酵素です。
すべての生きた細胞に存在し、細胞内で栄養素をエネルギー(ATP)に変換する代謝に不可欠な役割を担っています。
また、NAD+はDNA修復や遺伝子発現調節など長寿・健康維持に関わる多くの重要な酵素の補因子でもあり、そのため「アンチエイジング分子」とも呼ばれています。
NAD+が十分に存在することは細胞のエネルギー産生や代謝、遺伝情報の保護に欠かせず、健康寿命を延ばす上で極めて重要だと考えられています。
NAD+レベルは加齢とともに低下する
人間の体内でNAD+量は10代後半でピークに達し、その後年齢とともに徐々に減少していきます。
30代になるとNAD+の消費が生産を上回り始め、40代でピーク時の約半分、60代ではピーク時の25%程度にまで低下すると報告されています。
実際、加齢に伴うNAD+レベル低下はヒト臓器や血中でも観察されており、高齢マウスの半数以上の組織でNAD+が有意に減少していたとの研究もあります。
(一部組織では顕著な低下が見られないとの報告もあり、個人差や臓器差はあるものの、概ね加齢とNAD+減少には関連が認められています)

NAD+の減少が老化現象を促進する
NAD+は長寿遺伝子と呼ばれるサーチュイン酵素の働きにも必要不可欠であり、NAD+が不足するとサーチュインの活性低下によって細胞の老化が進行すると考えられます。
実際にNAD+が枯渇すると細胞内のミトコンドリア機能が低下し、ATP産生(エネルギー産生)が十分行えなくなります。
その結果、身体の各臓器(膵臓、骨格筋、肝臓、皮膚、脂肪組織、脳など)の損傷修復能力が衰え、身体的・精神的なパフォーマンス低下や疲労感、物忘れや集中力低下(いわゆる認知機能の低下)といった老化現象が現れてきます。
加齢に伴うDNA損傷蓄積や慢性炎症の亢進もNAD+減少と関係しており、慢性的なNAD+低下が老化の様々な側面を引き起こす中心的要因になりうると指摘されています。
NAD+不足が関連する主な疾患
NAD+レベルの低下は単なる老化現象に留まらず、様々な疾患の発症・進行にも関与すると考えられています。
近年の研究から、NAD+欠乏は神経変性疾患や代謝疾患、心疾患、がんなど多岐にわたる疾患リスクと関連することが示唆されています。
例えば加齢関連疾患の代表であるアルツハイマー型認知症では、脳内のNAD+不足が神経細胞のエネルギー代謝低下や炎症を引き起こし認知機能を悪化させる可能性があります。
実際、アルツハイマー病患者にNADH(NAD+の補酵素型)を投与した臨床試験では、約8割の患者で認知機能スコアの改善が見られ、副作用も報告されなかったとの結果があります。
またパーキンソン病のモデル研究や患者試験でも、NAD+前駆体の投与により細胞内のエネルギー産生が改善し神経細胞の機能維持に寄与する可能性が示唆されています。
そのほか、2型糖尿病や肥満などの代謝疾患でもNAD+低下がインスリン抵抗性を悪化させることが分かっており、NAD+前駆体の投与でインスリン感受性が改善したとの報告もあります。
このようにNAD+は私たちの健康と深く関わっており、その維持・増加がアンチエイジングや疾病予防・改善の新たな戦略として期待されているのです。
NAD+点滴療法とは(NMN点滴との違い)
NAD+点滴療法とは、不足しがちなNAD+を点滴により直接体内に補充するアンチエイジング治療です。
ビタミン剤などのサプリメント経口摂取とは異なり、点滴でNAD+を直接血中に投与することで消化管で分解・損失されることなく高濃度のNAD+を全身に行き渡らせることができます。
近年注目されるNMN点滴療法(体内でNAD+に変換される前駆体を点滴)と比較して、NAD+点滴はよりダイレクトに効果を発現しやすいとされています。
実際、NMNの場合は体内でNAD+に変換されるプロセスが必要ですが、NAD+点滴では初めから有効な形で補充されるため、効果の実感が早く強い傾向があります。
もっとも、NAD+分子は大きく細胞膜を通過しにくいため、高濃度をゆっくり時間をかけて投与する必要があります。
例えば200mgのNAD+点滴で約1~2時間、400mgでは3~4時間ほどかけて点滴します。一方、NMN点滴はより短時間で済む利点があります。
したがって「忙しくて長時間の点滴は難しいがマイルドな全身改善をしたい」という方にはNMN点滴が適していますが、「脳の若返り・認知機能向上など高い効果を望み十分な時間を取れる」方にはNAD+点滴療法がより適した選択肢と言えるでしょう。
NAD+点滴で期待できる効果
- 疲労回復・エネルギーレベルの向上
細胞でのATP産生が促進され、慢性的な倦怠感が軽減します。 - 記憶力の向上・精神機能の改善
脳細胞のエネルギー代謝が高まり、物忘れや集中力低下が改善します。 - 痛みや炎症の軽減
NAD+の抗炎症作用により関節痛や筋肉痛、炎症症状が和らぐ可能性があります。
 - 運動後の回復促進
損傷細胞の修復や炎症軽減効果でケガや激しい運動からの回復が早まるとされています。 - 持久力・身体パフォーマンスの向上
ミトコンドリア機能改善により持久力が増し、トレーニング効果も高まります。 - 肌や全身の若々しさ向上
細胞レベルでの代謝が活性化し、肌のターンオーバーや新陳代謝が改善。アンチエイジング効果につながります。 - 気分の改善
脳内神経伝達物質の生成やエネルギー産生が促されることで心身のストレス耐性が高まり、前向きな気分が増す傾向があります。 - 不安や抑うつ感の軽減
NAD+点滴後に「頭のモヤが晴れる」「気分が安定する」といった報告も多く、実際の研究ではNAD+点滴療法により不安感や抑うつ症状が有意に軽減したとの結果もあります。 
このようにNAD+点滴療法は全身のエネルギーアップから脳機能・メンタル面の改善、アンチエイジングまで幅広い恩恵が期待できる施術です。
特に次に述べる「脳への効果」はNAD+点滴ならではの大きな特長です。
脳機能への効果 「認知機能の改善」

NAD+点滴療法は「頭の中の霧が晴れたようにクリアになった」と表現されるほど、脳への作用を実感する声が多い治療法です。
実年齢以上に物忘れが増えたり注意力が散漫になる「ブレインフォグ(脳の霧)」と呼ばれる状態は、現代人によく見られる悩みです。
NAD+点滴はこのような脳のエネルギー代謝低下による認知機能低下症状を改善し、全体的な脳パフォーマンスを高める効果が期待できます。実際、NAD+を投与された動物実験では認知機能(学習・記憶)の改善や神経炎症の軽減が確認されており、ヒトでもNAD+前駆体の投与により認知症患者の症状改善が報告されています。
NAD+点滴によってニューロン(神経細胞)の機能が活性化し、シナプス可塑性(神経ネットワークの柔軟性)が高まることで脳の可動域が広がり、思考力・判断力が向上すると考えられます。
ブレインフォグ(脳の霧)の解消
「ブレインフォグ」とは頭にモヤがかかったように感じる状態で、集中力低下や物忘れ、思考の遅れなどの症状を指します。
原因は睡眠不足やストレス、慢性疲労、コロナ後遺症、更年期、うつ病など様々ですが、根底には脳内エネルギー不足や炎症、酸化ストレスが関与すると言われます。
NAD+点滴療法は脳細胞のミトコンドリア機能を高め、炎症や酸化ストレスを抑制することでブレインフォグを劇的に改善するとされています。
実際、NAD+点滴を受けた後に「頭がシャキッと冴えて視界が開けた感じがする」という声は多く、集中力や思考のキレが回復することで仕事の効率が上がったという報告もあります。NAD+点滴による精神的な明晰さの向上は、認知症予防のみならず日々の生活の質(QOL)向上にも大きく寄与すると期待されています。
さらに、NAD+点滴による気分改善効果も見逃せません。脳内の神経伝達物質合成や自律神経のバランス調整にNAD+が関与しているため、点滴後には不安感の軽減や睡眠の質向上といった精神症状の改善が見られるケースもあります。あるパイロット研究ではNAD+点滴療法を受けた被験者で不安・抑うつスコアが有意に低下し、依存症患者の禁断症状(イライラや落ち込み)の緩和にも寄与したと報告されています。
このようにNAD+点滴療法は「脳の栄養ドリンク」とも言える存在で、ブレインフォグに悩む現代人にとって即効性のある救世主となり得るでしょう。
こういう方に特におすすめ
NAD+点滴療法は基本的に老若男女問わず幅広い方に有用ですが、特に次のようなお悩みをお持ちの方には強くおすすめできます。
- 慢性的な疲労感や倦怠感に悩んでいる 
朝起きても疲れが抜けない、常にだるさを感じる方
 - 集中力の低下や頭のぼんやり感(ブレインフォグ)がある
会議や勉強で集中が続かず、物忘れも増えたと感じる方。
 - 年齢とともに活力や気力が衰えてきた 
最近昔よりも疲れやすく、気力・活力の低下を実感している中高年の方。
 - アンチエイジングや病気予防に関心が高い
将来の認知症予防や老化の進行抑制に積極的に取り組みたい方。
 - スポーツや仕事のパフォーマンスを上げたい健康な方
アスリートやハードワーカーで、持久力向上やリカバリー促進による更なる高みを目指す方。
 
上記に当てはまる方は、NAD+点滴療法が最適な選択肢となり得ます。
NAD+点滴を継続して受けている方々からは、「疲れにくくなった」「朝の目覚めが良い」「集中力が続くようになった」といった声が多く寄せられており、人生の質を底上げしてくれる施術として高い満足度を得ています。
体内のNAD+レベルを補充・最適化することで上記の悩みが大幅に改善し、さらに思わぬ健康上のメリットが得られる可能性も期待できます。
様々な疾患への応用可能性
NAD+点滴療法は、健康な人のアンチエイジング目的だけでなく特定の病気や症状の改善にも役立つ可能性があります。現在までにNAD+の有効性が示唆されている主な疾患・症状には次のようなものがあります。
- アルツハイマー病・認知症
 - 脳内NAD+増加による神経保護作用で、認知機能低下の進行抑制が期待(※NADH投与でAD患者の認知機能が改善した報告あり)
 - パーキンソン病
 - ミトコンドリア機能改善と神経変性抑制により症状緩和の可能性(※NR投与試験で安全性と運動症状の軽減が示唆)。
 - うつ病・不安障害
 - 脳内エネルギー代謝と神経伝達調整による気分改善(※NAD+関連酵素の異常がうつ病患者で確認され、治療ターゲットになる可能性)
 - 慢性疲労症候群(CFS)
 - 細胞エネルギー不足が指摘されるCFSではNAD+補充が有効とする見解あり(※NADH経口投与で症状改善が見られたとのパイロット研究あり)
 - 心疾患(心不全・虚血性心疾患)
 - 心筋細胞でNAD+不足を補い代謝改善、心機能維持に寄与する可能性。
 - 糖尿病・メタボリック症候群
 - NAD+が糖代謝を司る酵素の補因子であるため、補充によりインスリン抵抗性改善・炎症軽減が期待。
 - 線維筋痛症
 - エネルギー代謝改善と神経伝達正常化による疼痛閾値の上昇が期待され研究中。
 - 多発性硬化症(MS)
 - ミエリン鞘の維持や神経保護作用から、進行抑制への可能性が模索されています。
 
以上のように、NAD+補充療法は非常に幅広い疾患領域への応用可能性を秘めています。
ただし現時点では研究段階のものも多く、確立した治療法とは言えません。疾患治療としてNAD+点滴を行う場合は、主治医とよく相談の上で補完代替療法的位置付けで試みるのが望ましいでしょう。
いずれにせよ、NAD+点滴療法は予防的観点でも「将来の病気発症リスクを下げる潜在力がある」と期待されており、健康なうちから取り入れる価値のある先端医療と言えます。
NAD+点滴療法の詳細
治療ペースの目安
NAD+点滴療法は定期的に継続して受けることで持続的な効果が期待できる治療です。
1回の点滴でも何らかの効果を実感できますが、健康維持や老化予防、慢性疲労の解消が目的の場合は1~4週間に1度のペースで継続することが推奨されます。
実際には月に1回または隔週に1回受けられる方が多く、ライフスタイルに合わせて頻度を調整できます。例えば「初月は毎週、その後は月1回」といったスケジュールで、まず集中的にNAD+レベルを高めてから維持していく方法も効果的です。
症状や目的に応じて医師と相談しながら適切な頻度を決めましょう。
特に疲労感が強い方や認知機能低下が気になる方は、最初の数回は間隔を詰めて受けることで早期に効果を引き出し、その後は月1程度で維持するケースが多いです。
定期的なNAD+補充は細胞の寿命延長や損傷蓄積の抑制につながり、長期的な健康増進効果も期待できます。
NAD+点滴の所要時間
NAD+点滴はゆっくり時間をかけて投与する必要があるため、所要時間は投与量によって異なります。
200mgの場合:約1~2時間かけてゆっくり点滴します。
400mgの場合:約3~4時間ほど要します。
比較として、NMN点滴療法では同量でももっと短時間で済むのに対し、NAD+点滴は時間がかかります。しかしその分直接的かつ高濃度な効果発現が期待できます。
点滴中はリクライニングチェアでリラックスしながら休んでいただき、読書や音楽を聴くなどして過ごす方がほとんどです。
点滴速度は体調に合わせて調節可能であり、途中で胸の違和感や頭痛、息苦しさなどが出た場合は速度を落とすことでたちまち改善します。医療スタッフが常に様子を確認しながら施術しますのでご安心ください。
「長時間拘束されるのは難しい」という方向けに、NAD+を手軽に補充できる「NAD+ショット」(皮下注射)も用意しています(後述)。ご自身のライフスタイルや目的に応じて適切な方法を選択できますので、まずはお気軽にご相談ください。
料金
当院でNAD+点滴療法を受けていただく際の費用は以下の通りです。(※税込表示)
| NAD+点滴 | 料金 | 3週間以内 | 
|---|---|---|
| 200mg | 69,300 | 66,000 | 
| 400mg | 110,000 | 102,300 | 
NAD+ショット(皮下注射)
「点滴の時間を取るのが難しい」「まずは低容量で試したい」という方向けに、NAD+を皮下投与する簡易メニュー(NAD+ショット)もございます。
皮下注射のため点滴より短時間で完了します。吸収効率は点滴より劣るものの、忙しい方やお試し希望の方には適したオプションです。
| NAD+皮下注射 | 料金 | 3週間以内 | 
|---|---|---|
| 100mg | 59,500 | 55,000 | 
最先端のNAD+点滴療法は、科学的なエビデンスの蓄積とともに急速に注目度を高めています。「脳の霧が晴れ、体が内側から若返る」その実感を、ぜひ多くの方に体験していただきたいと思います。
NAD+がもたらす新次元のアンチエイジング効果で、毎日のパフォーマンスと将来の健康寿命を飛躍的に向上させましょう。
よくある質問 FAQ
NAD+点滴療法に関するよくある質問をまとめました。
ご参考になれば幸いです。
NAD+点滴療法とはどのような治療ですか?
NAD+(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)という補酵素を点滴で体内に直接補充するアンチエイジング療法です。
加齢などで減少したNAD+を高濃度に補うことで、細胞レベルでのエネルギー産生を高め、全身の機能改善や老化予防効果をもたらします。
特に疲労回復や認知機能の向上、若返り効果が期待でき、エネルギッシュで冴えた毎日をサポートする先端治療です。
NAD+とNMNの違いは何ですか?
NMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)は体内でNAD+に変換される物質(前駆体)です。NMN点滴は間接的にNAD+を増やす方法で、比較的短時間で施術できる利点があります。
一方、NAD+点滴は最初からNAD+そのものを補充するためダイレクトに効果を発揮しますが、分子が大きくゆっくり投与する必要があるため施術時間が長くなります。
それぞれメリットが異なるため、「時間をかけてもしっかり効果を実感したい方」はNAD+点滴を、「忙しいので手軽に試したい方」はNMN点滴を選ぶなど、ご希望に合わせて使い分けると良いでしょう。
どんな効果が期待できますか?
主な効果は以下の通りです。
(1)疲労の回復・体力向上:細胞のATP産生が高まり慢性疲労が軽減。
(2)集中力・記憶力アップ:脳エネルギー代謝が促進され思考力が冴える。
(3)代謝の改善:細胞レベルで代謝が活性化し、太りにくくなる可能性。
(4)肌の若返り:新陳代謝向上により肌のハリ・艶が増す。
(5)気分の安定:神経伝達物質のバランスが整い、不安感や落ち込みが和らぐ、等々。
個人差はありますが、NAD+点滴は全身と脳の両面からコンディションを底上げしてくれる治療です。
効果はいつ頃実感できますか?
早い方ですと施術当日から「体が軽い」「頭がスッキリした」と実感されます。
一般的には翌日~数日以内に「疲れにくくなった」「集中力が続く」「寝起きが良い」などの変化を感じるケースが多いです。
効果の現れ方は体質や状態によりますが、回数を重ねるごとに蓄積的に改善を実感できるでしょう。
初回は劇的な変化を感じなくても、継続することである日「そういえば最近疲れが残らない」と効果を実感する方もいます。
どのくらいの頻度で続ける必要がありますか?
目的にもよりますが、1~4週間に1回程度の頻度をおすすめしています。
例えばアンチエイジングや健康維持目的なら月1回、疲労や認知機能低下が気になる場合は月2~4回(週1ペース)などです。
一度に大量に入れても体内で代謝・消費されますので、定期的な補充で効果を維持することが大切です。
ライフスタイルに合わせ無理のない頻度で構いませんので、継続することで着実に体質改善につながります。
副作用や安全性は大丈夫でしょうか?
概ね安全性の高い施術です。
NAD+はもともと体内に存在する物質であり、適切な範囲での補充では深刻な副作用は報告されていません。
ただし点滴中に一時的な胸の圧迫感や頭痛、動悸が生じることがありますが、これは投与速度を調整することで速やかに改善します。
また注射部位が内出血したり、施術後に一時的にだるさを感じる場合もありますが自然に収まります。
当院では施術中常に状態観察を行い、安全第一で対応しておりますのでご安心ください。
誰でも受けられますか?
基本的に健康な成人であれば受けていただけます。
ただし、現在何らかの疾患で治療中の方、妊娠中・授乳中の方、進行中のがんがある方、NAD+製剤にアレルギーのある方などは施術を受けられない場合があります。
事前の問診・診察で医師が確認いたしますので、該当する懸念がある方は必ずお申し出ください。
また未成年の方への施術は安全性確立の観点からお断りしております。
他の治療やサプリメントとの併用は可能ですか?
はい、併用可能です。
NAD+点滴療法は基本的に体内補充型の施術であり、他の美容点滴(ビタミンCやグルタチオンなど)や、内服のNMN・ビタミンサプリメントとも併用できます。
例えば高濃度ビタミンC点滴で抗酸化ケアをしながらNAD+点滴で細胞エネルギーを上げるといった組み合わせも有効です。
ただし同日に複数の点滴を受ける場合は体への負担を考慮し、医師の指示に従ってください。
サプリメントも特に制限はありませんが、ナイアシン(ビタミンB3)を高用量で摂取している場合はNAD+点滴の効果に影響する可能性がありますのでご相談ください。
【重要:ビタミンB3(ナイアシン/ナイアシンアミド)を高用量で服用中の方へ】
- NAD+点滴の前後24〜48時間は高用量B3、とくにナイアシンアミド(ニコチンアミド)の摂取を控えてください。
 - 理由:ナイアシンアミドはSIRT(サーチュイン)やPARPなどのNAD⁺依存酵素を阻害し得ること、またNNMT→MeNAM経路でメチル基(SAM)を消費し、MeNAMとして排泄が増える可能性があるため、点滴で狙う細胞内シグナルの最適化や持続性を損なうおそれがあります。
 - 現在B3を治療目的で服用している方は、用量・タイミングを事前にご相談ください。自己判断での継続/中断はいずれもおすすめしません。
 - この注意は機序・薬理に基づく安全側の運用です。高用量B3が「NAD⁺点滴の臨床効果を直接下げた」とする比較試験は現時点で限定的です。迷ったら、止める前にまずご連絡ください。
 
詳細は本ページ下部の参考文献をご覧ください。
体に良いもの同士でも、タイミングが悪いと本末転倒です。安全第一で最適なやり方を、一緒に調整しましょう。
保険は適用されますか?
いいえ、自由診療(保険適用外)になります。
NAD+点滴療法で使用する製剤は日本では未承認医薬品であり、公的医療保険は使えません。そのため費用は全額自己負担となります。
当院では効果を実感していただくための割引プラン(一定期間内のリピート割引等)もご用意しておりますので、お気軽にご相談ください。
なぜ日本で未承認なのですか?安全性に問題があるのでしょうか?
A. 未承認=危険という意味ではありません。
NAD+点滴療法が日本で未承認なのは、単に新しい先端治療であり国が承認するための十分なデータがまだ揃っていないためです。
海外では一部クリニックで広く行われており、現時点で重大な問題は報告されていません。むしろ多くのエビデンスが蓄積されつつあり、研究結果によっては将来公式に認められる可能性もあります(海外では米国FDAが一部条件下で臨床試験を承認した例もあります)。
当院では信頼できるルートで製剤を輸入し、安全管理を徹底した上で提供しておりますのでご安心ください。
点滴ではなく経口サプリではダメですか?
A. 経口サプリ(NMNカプセルやナイアシンサプリなど)でもNAD+の前駆物質を摂取できますが、吸収率や体内有効濃度の点で点滴には及びません。
経口摂取では消化管で分解・排泄されるロスが大きく、血中NAD+レベルを点滴ほど高めることは難しいのです。
点滴療法は消化管を介さず直接有効成分を届けるため、即効性と高濃度維持に優れています。
ただしサプリは手軽に続けられる利点がありますので、「日常はサプリで補い、定期的に点滴で一気にチャージ」という併用も効果的です。
目的やご予算に合わせて最適な方法をご提案します。
将来的に認知症予防になりますか?
A. 認知症発症リスクの低減が期待できる可能性はあります。
NAD+は脳のエネルギー代謝やDNA修復に関与し、アルツハイマー病など認知症の病態進行を抑制しうると考えられています。
実際マウス研究ではNAD+前駆体の投与で認知機能低下が改善したり病理変化が軽減したとの報告があります。人間でもNAD+前駆体の臨床試験が進行中で、初期結果ではNAD+レベル上昇に伴う認知機能スコアの改善が示唆されています。
まだ確証段階ではありませんが、「脳の老化予防策の一つ」としてNAD+補充療法は有望視されています。
少なくともNAD+点滴で脳の健康度を高めておくことは、将来的な認知症リスク軽減につながる可能性が十分あるでしょう。
参考文献
当ページを作成するにあたり参考にした文献です。
ご参考になれば幸いです。
NAD+代謝と加齢に伴う細胞プロセスでの役割
原題: NAD+ metabolism and its roles in cellular processes during ageing
出典: Nature Reviews Molecular Cell Biology, 22(2):119–141 (2021)
DOI: 10.1038/s41580-020-00313-x
要約: NAD+は細胞のエネルギー代謝に不可欠な補酵素であり、またサーチュインやPARPなど多数の酵素の基質として働く。本総説では、NAD+が代謝経路、DNA修復、クロマチン制御、細胞老化、免疫など多岐にわたる細胞機能を直接・間接に調節することを解説している。
加齢とともに多種の生物で組織内NAD+レベルが減少し、それが認知機能低下、がん、代謝疾患、筋萎縮など様々な老年性疾患に関与することが示されている。
動物モデルではNAD+を回復させるとこれら加齢関連疾患の進行が抑制・改善されることから、NAD+代謝を標的とした介入は健康寿命延伸の有望な戦略となり得る。
一方で、ヒトで安全かつ効果的にNAD+を増加させる方法や、NAD+が老化生物学に与える影響の詳細など未解明の点も多く、今後の研究が必要である。
総じて本稿は、NAD+減少が老化の分子基盤に深く関与し、そのレベル回復がアンチエイジング医療に有望であることを示唆している。
老化の進行と加齢関連慢性疾患の予防におけるNAD+の中心的役割:NAD+調節戦略
原題: The Central Role of the NAD+ Molecule in the Development of Aging and the Prevention of Chronic Age-Related Diseases: Strategies for NAD+ Modulation
出典: International Journal of Molecular Sciences, 24(3):2959 (2023)
DOI: 10.3390/ijms24032959
要約: NAD+は解糖系やTCA回路、酸化的リン酸化といった代謝経路の酸化還元反応に関わる補酵素であり、サーチュインやPARPなど多くの酵素の基質でもある。
細胞内NAD+濃度がわずかに減少するだけでも、これらNAD+依存酵素のシグナル伝達は大きく変化する。
加齢に伴い細胞内NAD+は減少し、それが代謝機能の低下や炎症亢進を通じて老化関連疾患(神経変性、代謝疾患、心血管疾患など)の発症・進行に寄与すると考えられている。
一方、NAD+の生合成を促進したり分解を抑制したりしてNAD+量を増やすことは有益な効果をもたらし得る。
本レビューでは、老化の進行や加齢関連疾患の予防におけるNAD+の役割を整理し、NAD+レベルを操作する様々な戦略(前駆体補充、酵素阻害など)を紹介している。
NAD+を介した介入策は抗老化や寿命延長に寄与する可能性があり、健康長寿を実現するための分子基盤とその応用法について議論している。
NAD+増加による老化および加齢性疾患への治療的可能性
原題: Therapeutic potential of boosting NAD+ in aging and age-related diseases
出典: Translational Medicine of Aging, 2:30–37 (2018)
DOI: 10.1016/j.tma.2018.08.003
要約: 加齢に伴うNAD+減少に着目し、NAD+を増加させることが老化関連疾患を緩和し得るかを総括したレビューである。
ビタミンB3誘導体やNMN・NRなどNAD+前駆体の投与により、老化マウスや疾患モデルでエネルギー代謝の改善、炎症や酸化ストレスの軽減、ミトコンドリア機能の向上など有益な効果が数多く報告されている。
本稿はこうしたin vivoエビデンスを整理し、NAD+ブースト療法が代謝疾患、神経変性疾患、心血管疾患など幅広い領域で有望なことを示している。
またヒトを対象とした初期臨床研究の動向にも触れ、NAD+前駆体の補給が安全に加齢現象を遅らせる可能性について議論している。
結論として、NAD+レベルを高める戦略はアンチエイジング医療の有力な候補であり、今後さらなる臨床的検証が期待される。
神経変性疾患の病態生理と治療におけるNAD+代謝の示唆
原題: Implications of NAD metabolism in pathophysiology and therapeutics for neurodegenerative diseases
出典: Nutritional Neuroscience, 24(5):371–383 (2021)
DOI: 10.1080/1028415X.2019.1637504
要約: 本論文はNAD+代謝の変化がアルツハイマー病やパーキンソン病など神経変性疾患の発症・進行に与える影響を概説している。
NAD+は脳内でエネルギー産生やシグナル伝達に不可欠であり、その減少はミトコンドリア機能障害、炎症惹起、DNA修復低下などを通じて神経細胞の脆弱性を高める。
著者らは、神経変性疾患患者やモデル動物で観察されるNAD+枯渇のデータを紹介し、NAD+前駆体の投与や分解酵素阻害によるNAD+補充が神経変性の徴候を改善する可能性を示す研究を検討している。
例えばNAD+を増加させる介入は、神経細胞の代謝を活性化しシナプス機能や認知機能を保護する効果が報告されている。
以上の知見から、NAD+代謝経路を標的とした治療(サプリメント投与など)は将来的に認知症や神経変性疾患の進行を遅らせる新たなアプローチになり得ると結論づけている。
再生医療におけるNAD+の役割
原題: The Role of NAD+ in Regenerative Medicine
出典: Plastic and Reconstructive Surgery, 150(4 Suppl):41S–48S (2022)
DOI: 10.1097/PRS.0000000000009673
要約: 本稿では、細胞の若返りや組織再生においてNAD+が果たす重要な役割について概説している。
NAD+は細胞内エネルギー産生とDNA修復を支える分子であり、その充分な存在が幹細胞の機能維持や組織の修復力に寄与する。
加齢や慢性疾患でNAD+レベルが低下すると再生能力も損なわれるため、NAD+を補充または産生を促進することが組織修復を促す戦略として注目されている。
本論文は、創傷治癒や神経再生のモデルにおけるNAD+前駆体投与の効果、NAD+とサーチュイン遺伝子との関係、炎症制御への影響など、再生医療の文脈で明らかになった知見を紹介している。
総合的に、NAD+水準の是正は細胞老化の抑制や組織の再生力向上につながり得ることから、アンチエイジングや再生医療の分野でNAD+経路を標的とした介入が有望であると示唆している。
6時間NAD+静脈点滴中のヒト血漿・尿NAD+メタボローム変動に関する予備的研究
原題: A Pilot Study Investigating Changes in the Human Plasma and Urine NAD+ Metabolome During a 6 Hour Intravenous Infusion of NAD+
出典: Frontiers in Aging Neuroscience, 11:257 (2019)
要約: 健康な成人男性を対象に、NAD+を6時間静脈内投与した際の血中および尿中NAD+代謝産物の動態を調べた初めての臨床研究である。
8名にNAD+点滴(3 μmol/分)を行い経時的に解析した結果、投与開始後2時間までは血漿中のNAD+濃度および主な代謝物(ニコチンアミド等)に有意な変動は見られなかったが、その後徐々に上昇し始め、点滴終了時(6時間)に初めて顕著な増加が確認された。
一方、尿中では6時間時点でNAD+およびMeNAM(1-メチルニコチンアミド)の排泄増加が検出されたが、ニコチンアミドの尿中濃度上昇は認められなかった。
以上から、通常速度で点滴されたNAD+は初期2時間は速やかに全身から消失・利用され、一定時間経過後に代謝産物として蓄積・排泄されることが示唆された。
このパイロット研究はIV投与されたNAD+の薬物動態を初めて明らかにし、高用量NAD+点滴療法の生体内処理や代謝経路を理解する上で重要な知見を提供している。
また、これは高用量ビタミンB3併用時に、同じ経路が過剰に働く可能性が十分に示唆される。併用する際には影響を避けるために十分な時間(前後24~48時間ほど)を空けるべきと考えられる。
慢性脳低灌流モデルにおけるNAD+の認知機能改善・抗炎症作用(Sirt1/PGC-1α経路を介した機序)
原題: NAD+ improves cognitive function and reduces neuroinflammation by ameliorating mitochondrial damage and decreasing ROS production in chronic cerebral hypoperfusion models through Sirt1/PGC-1α pathway
出典: Journal of Neuroinflammation, 18:207 (2021)
DOI: 10.1186/s12974-021-02250-8
要約: 慢性脳低灌流(脳の持続的な血流低下)モデルラットにおいて、NAD+投与が認知機能障害と神経炎症を改善する効果を検証した研究。
ラットの両側頸動脈を結紮して血流不足による認知症モデルを作製し、8週間にわたりNAD+を腹腔内投与したところ、迷路試験などで低下していた学習・記憶能力が有意に向上した。
また脳組織を解析した結果、NAD+投与群ではミクログリア活性化に伴う炎症性サイトカイン(TNF-αやIL-1β等)の産生が抑制され、神経細胞のアポトーシス指標が減少した。
メカニズム解析では、低灌流ストレスで低下していたNAD+依存性脱アセチル酵素Sirt1および転写共役因子PGC-1αの発現がNAD+投与により回復し、ミトコンドリアの損傷軽減と酸化ストレス産生抑制に寄与していることが示された。
以上より、外因性NAD+の補充はエネルギー代謝経路の活性化を通じて脳内の炎症と酸化障害を緩和し、血流低下による認知機能障害を改善し得ることが明らかとなった。
これはNAD+を用いた点滴療法が脳血管性認知症などの治療に有望な可能性を示す結果である。
ラットモデルにおいて外因性NAD+投与は心筋虚血再灌流障害に対し顕著な心保護効果を示す
原題: Exogenous NAD(+) administration significantly protects against myocardial ischemia/reperfusion injury in rat model
出典: American Journal of Translational Research, 8(8):3342–3350 (2016)
DOI: N/A(PMID: 27648125)
要約: 心筋梗塞治療で避けられない再灌流障害に対し、NAD+投与が心筋を保護しうるかを検証したラット実験である。
ラット心臓の虚血再灌流モデルにおいて、再灌流開始前にNAD+(10~20 mg/kg体重)を静脈投与したところ、投与していない群に比べ心筋梗塞サイズが有意に縮小し、最大用量では梗塞面積が約85%も減少した。
またNAD+投与群では、虚血再灌流に伴い増加する心筋細胞アポトーシスが大幅に抑制され、生存因子Bcl-XLの発現維持とアポトーシスタンパク質(TUNEL陽性細胞、Bax、活性型カスパーゼ-3)の減少が認められた。
さらに抗酸化酵素SODの活性低下も軽減されていた。
以上の結果から、外因性NAD+の投与は再灌流による細胞死と酸化ストレスを抑えることで心筋障害を著しく軽減しうることが示された。
NAD+補充療法は急性心筋梗塞の再灌流障害を緩和し得る有望な治療アプローチとなり得る。
ヒト組織における酸化ストレスおよびNAD+代謝の加齢に伴う変化
原題: Age-Associated Changes in Oxidative Stress and NAD+ Metabolism in Human Tissue
出典: PLOS ONE, 7(7):e42357 (2012)
DOI: 10.1371/journal.pone.0042357
要約: ヒトの加齢に伴うNAD+代謝変化と酸化的ダメージとの関連を解析した研究である。
0~77歳の患者皮膚組織を分析したところ、年齢が上昇するにつれDNA損傷が蓄積し、PARP(DNA修復酵素)の過剰活性化が顕著となり、それに伴い組織中のNAD+レベルが有意に低下していることが明らかになった。
特に思春期以降の男性では加齢とともにNAD+濃度が急激に減少し(相関係数r≈–0.7)、サーチュイン(SIRT1)活性も低下していた。女性でも同様の傾向がみられるが男性ほど顕著ではなかった。
さらに脂質過酸化の指標やDNA損傷量とNAD+濃度との間には負の相関が認められ、酸化ストレス増大→PARP活性化→NAD+枯渇という連鎖が加齢において進行する可能性が示唆された。
以上より、加齢によるNAD+の枯渇はエネルギー産生やDNA修復能の低下を招き老化促進に寄与しうると結論づけている。本研究は、NAD+レベル維持が老化抑制に重要であることを定量的に示した点で意義深い。
NAD+低下は加齢時に核‐ミトコンドリア間コミュニケーションを攪乱する偽低酸素状態を誘導する
原題: Declining NAD+ induces a pseudohypoxic state disrupting nuclear-mitochondrial communication during aging
出典: Cell, 155(7):1624–1638 (2013)
DOI: 10.1016/j.cell.2013.11.037
要約: 老化に伴うNAD+減少が細胞内の核とミトコンドリア間の情報伝達不全を引き起こすことを示した画期的な研究である。
著者らは加齢マウスで核内NAD+が減少し、これによりPGC-1α/β経路とは独立した代償的応答として細胞が“疑似低酸素”状態になることを発見した。この状態では若い個体に比べミトコンドリアの機能関連遺伝子の発現が低下し、エネルギー産生効率が落ちていた。
興味深いことに、老齢マウスにNAD+前駆体を投与して低下したNAD+レベルを回復させると、核とミトコンドリア間の遺伝子発現ネットワークが若齢時のように再活性化し、ミトコンドリア機能が改善することが示された。
つまり加齢に伴うNAD+枯渇が細胞の代謝コミュニケーション障害(ミトコンドリアの活力低下)を招く一因であり、NAD+を補充することで老化による代謝機能低下をリバースできる可能性が示唆された。
本研究は、NAD+減少が老化の原因である「核-ミトコンドリア間不和」をもたらすことを明らかにし、NAD+補充療法が抗老化効果を持つ分子メカニズムを示した。
長期的なニコチンアミドモノヌクレオチド投与はマウスの加齢に伴う生理機能低下を緩和する
原題: Long-Term Administration of Nicotinamide Mononucleotide Mitigates Age-Associated Physiological Decline in Mice
出典: Cell Metabolism, 24(6):795–806 (2016)
DOI: 10.1016/j.cmet.2016.09.013
要約: NAD+前駆体であるニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)を長期間投与した際の抗老化効果を検証した研究である。
12か月齢(中年期)のマウスにNMNを1年間持続投与したところ、対照群に比べ加齢に伴う体重増加の抑制、エネルギー代謝の改善、インスリン感受性の向上が認められた。
さらに視力低下や骨密度減少、活動量低下など老化マーカーの悪化もNMN投与群では緩やかで、若いマウスに近い機能が維持された。
加齢に伴う肝臓や脂肪組織の遺伝子発現変化もNMNにより若年型に近づき、組織のミトコンドリア機能や炎症状態が改善していたことが報告された。
副作用は認められず、安全に投与継続できた点も重要である。
以上より、体内NAD+を増やすNMN投与は加齢による種々の生理機能低下を緩和しうることが示された。
本研究は、NAD+ブースト療法が哺乳類の健康寿命延伸に寄与し得ることを実証した先駆的な成果であり、NMN点滴療法の有効性を裏付ける科学的根拠となっている。
NAD+中間体:NMNとNRの生物学および治療上の可能性
原題: NAD+ Intermediates: The Biology and Therapeutic Potential of NMN and NR
出典: Cell Metabolism, 27(3):513–528 (2018)
DOI: 10.1016/j.cmet.2018.01.014
要約: NAD+の主要な前駆体であるNMN(ニコチンアミドモノヌクレオチド)とNR(ニコチンアミドリボシド)に関する包括的レビューである。
ここ数年の研究で、NMNとNRは経口や注射で投与すると体内で速やかにNAD+に変換され、組織NAD+レベルを効果的に引き上げることが明らかとなった。
NMNは肥満マウスの耐糖能改善や脂質代謝是正、骨格筋のミトコンドリア機能向上など、多彩な抗老化効果を示し(Yoshinoら2011年やGomesら2013年の研究より)、NRも心不全モデルでの心筋保護作用や老人マウスの筋機能改善効果が報告されている。
本稿ではNMN/NRの生合成経路や細胞内取り込みメカニズムにも触れつつ、これら前駆体の動物モデルにおける有効性と安全性データを整理している。
NMNとNRはいずれも毒性が低く長期投与に耐え得ること、サーチュイン活性化を介した抗老化作用が期待できることが強調されている。
最後に、現在進行中のヒト臨床試験についても言及し、NAD+前駆体療法が将来的に加齢関連疾患の予防・治療に応用できる可能性を示唆している。
脳の老化と神経変性疾患におけるNAD
原題: NAD+ in Brain Aging and Neurodegenerative Disorders
出典: Cell Metabolism, 30(4):630–655 (2019)
DOI: 10.1016/j.cmet.2019.09.001
要約: 老化脳および神経変性疾患におけるNAD+の役割を網羅的にレビューした論文である。
NAD+はニューロンの生存やシナプス機能維持に不可欠な代謝分子であり、加齢に伴うNAD+低下は脳内でエネルギー産生低下やDNA修復障害を招いて神経細胞の脆弱性を高めると考えられる。
実際、アルツハイマー病やパーキンソン病などの患者脳ではNAD+消費酵素の過剰活性化やNAD+合成低下が報告されており、脳内NAD+枯渇が疾患進行と相関している。
本稿では、NAD+を補充またはNAD+分解経路を抑制する介入(例:前駆体投与、CD38阻害など)が動物モデルで軒並み神経変性の指標を改善した多数の研究を紹介している。
具体的には、NAD+前駆体の投与によってミトコンドリア機能が改善し、アミロイドβやαシヌクレインなど有害タンパク質の蓄積や神経炎症が軽減され、認知機能が保たれる効果が示されている。
総合すると、NAD+の枯渇は脳老化と神経変性の重要なドライバーであり、NAD+レベルを回復させることは脳の老化予防や神経変性疾患の進行抑制に寄与し得ると結論付けられている。
老化におけるNAD+:分子機構と臨床応用の展望
原題: NAD+ in aging: molecular mechanisms and translational opportunities
出典: Trends in Molecular Medicine, 22(7):545–557 (2016)
DOI: 10.1016/j.molmed.2016.05.008
要約: 加齢に伴うNAD+の変動メカニズムと、それを標的とした抗老化介入の可能性を論じたレビュー論文である。
Sir2(サーチュイン)遺伝子の発見から10年余りのNAD+研究の知見をまとめ、老化過程でNAD+生合成経路(NAMPTなど)の低下やNAD+消費酵素(CD38やPARP)の活性化によってNAD+恒常性が崩れることを解説している。
また、カロリー制限や運動でNAD+が増加しサーチュインが活性化することで寿命延長効果が得られる現象や、ナイアシン(ビタミンB3)投与や前駆体NMN/NR補給による代謝改善効果など、NAD+を介した抗老化作用のエビデンスを紹介している。
著者らは、NAD+前駆体サプリメントのヒトへの応用可能性にも言及し、早期臨床試験では良好な安全性が示されつつあること、さらにCD38阻害剤等の薬理学的介入も将来的に有望であると述べている。
総括として、NAD+は老化制御の中心に位置する分子であり、そのレベル調節を通じた介入(サプリメントや薬剤)は加齢関連疾患の予防・治療において大きな転機となり得る、と結論付けている。
ナイアシンアミドはin vitroではSIRT1を阻害するが、細胞内では刺激し得る
原題:Nicotinamide is an inhibitor of SIRT1 in vitro, but can be a stimulator in cells
出典:Cellular and Molecular Life Sciences. 74(18): 3347–3362 (2017)
要約:ビタミンB₃の一種であるナイアシンアミド(ニコチンアミド、NAM)は、NAD⁺依存性脱アセチル酵素サーチュイン(SIRT)に対しフィードバック阻害作用を持つことが知られている。
高濃度NAM添加によるSIRT1活性への影響が、試験管内試験と細胞内環境で異なる理由を検討した結果、NAM添加直後にはSIRT1が阻害されるが、その後細胞内NAD⁺濃度の上昇に伴いSIRT1活性が再び高まることが示唆された。
※NAM(ナイアシンアミド・ビタミンB3)は一過的にSIRTを抑制するが、長期的にはサルベージ経路の活性化を通じてサーチュイン活性をむしろ刺激する可能性があり、点滴併用時の解釈には注意が必要である。
過剰なニコチンアミドは正常血圧者および高血圧者においてメチル化を介したカテコールアミン分解を阻害する
原題:Excess nicotinamide inhibits methylation-mediated degradation of catecholamines in normotensives and hypertensives
出典:Hypertension Research. 35: 180–185 (2012)
要約:ヒトにナイアシンアミド100mgを負荷し代謝への影響を検証。
負荷後5時間で血漿中のMeNAMとノルエピネフリンが有意に上昇し、代謝産物(メタネフリン、ベタイン)は低下。正常血圧群ではホモシステインも有意に増加した。
結果として高NAM摂取によりメチル基プールが消費され、高ホモシステイン血症や交感神経活性化リスクが高まると結論づけた。
※これはNAD⁺点滴と併用時にメチル基消耗や排泄経路が加速し得ることを示唆する。
ニコチンアミドの供給源が培養細胞・マウス・ヒトにおける代謝運命を左右する
原題:Source of nicotinamide governs its metabolic fate in cultured cells, mice, and humans
出典:Cell Reports. 42(3): 112218 (2023)
DOI:10.1016/j.celrep.2023.112218
要約:安定同位体トレーサー試験により、外因性NAM(ニコチンアミド)は主にMeNAM(1-メチルニコチンアミド)として排泄され、内因性NAMはNAD⁺再利用に回ることが示された。
外部から高用量供給されたNAMはNAD⁺合成経路が飽和するとNNMT経路に流れ込みやすく、MeNAM排泄とメチル基消費を強める。
※NAD⁺点滴と高用量NAM(ナイアシンアミド・ビタミンB3)の併用は、この排泄経路の“ショートカット”を促進するリスクがあると考えられる。
注意事項
NAD+点滴療法は比較的安全な施術とされていますが、以下の注意点をご理解ください。
- 下記にあてはまる方は症状や体調により医師の判断でお断りをする場合があります。
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- 現在治療中の疾患がある方
 - NAD+点滴に対する既知のアレルギー疾患をお持ちの方
 - 妊娠中・授乳中の方
 - がん治療を受けられている方
 
事前の診察で医師が総合的に判断いたします。
 - 予想される副作用・リスク
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- 注射部位の疼痛・内出血・腫れ
 - 点滴中の一時的な胸の締め付け感・頭痛・息切れなど
 
これらは点滴速度を落とすことで速やかに改善します。万一強い不調を感じた際はすぐスタッフにお申し出ください。
 - 未承認医薬品等であることの明示、入手経路等の明示
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この治療法で用いられる医薬品・医療機器は国内においては薬機法上の承認を受けていません。医師等の個人輸入により適切な輸入許可を得ています。日本では、未承認医療機器を、医師の責任において使用することができます。
*承認を受けていない医薬品・医療機器について「個人輸入において注意すべき医薬品等について」のページをご確認ください。 - 国内の承認医薬品等の有無の明示
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本治療に使用できる同一の性能を有する他の国内承認医薬品はありません。
 
以上の点を踏まえ、当院では事前に十分なカウンセリングを行い、安全に配慮してNAD+点滴療法を提供しております。
何か不安な点や疑問があれば遠慮なくお問い合わせください。
監修者情報(医師紹介)

監修医師:佐藤 雅樹 (さとう まさき)
ソララクリニック 院長
専門分野:美容皮膚科
2000年 順天堂大学医学部卒。順天堂大学医学部形成外科入局。 大学医学部付属病院等を経て、都内美容皮膚科クリニックにてレーザー治療の研鑽を積む。2011年3月 ソララクリニック開院 院長就任。2022年 医療法人 松柴会 理事長就任。日本美容皮膚科学会 日本形成外科学会 日本抗加齢医学会 日本レーザー医学会 点滴療法研究会 日本医療毛髪再生研究会他所属。 
様々な医療レーザー機器に精通し、2011年ルビーフラクショナル搭載機器を日本初導入。各種エネルギーベースの医療機器を併用する複合治療に積極的に取り組む.
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