シミと肝斑を同時に治療できますか?
回答:
肝斑と他のシミを同時に治療することは可能ですが、肝斑の重症度によって最適な治療の進め方が異なります。肝斑は皮膚の慢性的な炎症が関与する特殊なしみで、状態によっては通常のシミ取りレーザーを強く当てると悪化してしまうことがあるためです。
以下に当院での基本的な方針をまとめます。
まず肝斑の状態を見極める:
肝斑の濃さ・範囲を診断し、同時治療が安全かどうか判断します。肝斑の症状が軽度であれば他のシミと並行して治療できる場合がありますが、中等度~重度の場合は先に肝斑を改善させる治療を優先する必要があります。
肝斑が強いまま通常のシミ取り治療(強いレーザー照射など)を行うと肝斑がさらに濃くなる恐れが高いためです。
肝斑が軽度の場合(シミとの同時治療)
肝斑の症状がごく軽い場合や潜在的な程度に留まる場合には、他のシミ・ソバカスと同時並行で治療することも可能です。
当院ではこのようなケースでは、しみ全体にアプローチできるルビーフラクショナルレーザーを最初から使用し、必要に応じて窒素プラズマ治療も組み合わせて施術を行います。
ルビーフラクショナルは皮膚に細かな点状のレーザーを照射する方法で、施術後すぐメイクも可能なほどダウンタイムが短いのが特徴です。肝斑を悪化させないよう低出力で慎重に照射しつつ、トラネキサム酸内服など肝斑対策も併用して炎症を抑えます。
なお当院では現在、IPL(光治療,光フェイシャル)は行っておらず、その代替及び発展形として、効果と安全性の高いルビーフラクショナルレーザーによるシミ治療を採用しています。
肝斑が中等度~重度の場合(肝斑治療を優先)
肝斑の症状が濃く範囲も広い重症例では、まずは肝斑自体を集中的に治療・コントロールしてからシミ取りを行う方針となります。
当院では肝斑治療に特化した「肝斑改善集中プラン」を用意しています。週1回ペースの低出力ピコレーザートーニングとトラネキサム酸の肌への直接浸透+内服・外用療法により、肝斑の炎症を鎮めつつメラニンの排出を促す集中的プログラムです。
従来は肝斑の改善に1~3年かかると言われましたが、この集中プランでは約半年程度での肝斑コントロールを目指します。
窒素プラズマ治療は、このプランへの通院が難しい場合や、プランだけでは不十分なシビアな肝斑に対して代替・追加で選択することがある治療です。
肝斑治療中は再発予防のため紫外線対策や摩擦を避けるスキンケアが特に重要で、処方された内服薬・外用薬も忘れず継続していただきます。
肝斑を抑えた後のシミ治療
肝斑の炎症が落ち着き状態が安定したら、残っている他のシミ・ソバカスの治療に移行します。
主にルビーフラクショナルレーザーを用いて色素斑を一つひとつ丁寧に除去していきます。場合によっては肌質改善やくすみ軽減・肝斑抑制を目的に窒素プラズマ治療も併用し、肌全体のトーンアップを図ります。
施術にあたっては、肝斑が再燃しないよう肌状態を慎重に見極めながら出力や照射範囲を調整します。
一見遠回りに感じられるかもしれませんが、肝斑をしっかりコントロールしてからシミ取りを行うこの段階的アプローチが、結果的にはトラブルを防ぎ最短で効果を出す近道になります。
※当院サイトの「シミ治療総合ページ」では、肝斑改善集中プランを含むシミ治療の詳しい内容をご紹介していますので、ぜひご参照ください。もし肝斑と他のシミ治療についてご不明な点がありましたら、お気軽にご相談ください。
監修者情報(医師紹介)

監修医師:佐藤 雅樹 (さとう まさき)
ソララクリニック 院長
専門分野:美容皮膚科
2000年 順天堂大学医学部卒。順天堂大学医学部形成外科入局。 大学医学部付属病院等を経て、都内美容皮膚科クリニックにてレーザー治療の研鑽を積む。2011年3月 ソララクリニック開院 院長就任。2022年 医療法人 松柴会 理事長就任。日本美容皮膚科学会 日本形成外科学会 日本抗加齢医学会 日本レーザー医学会 点滴療法研究会 日本医療毛髪再生研究会他所属。
様々な医療レーザー機器に精通し、2011年ルビーフラクショナル搭載機器を日本初導入。各種エネルギーベースの医療機器を併用する複合治療に積極的に取り組む.
最終更新日