ピコトーニングの誤解と肝斑治療の最適化Pico Toning

何度受けても肝斑が薄くなりきらない…
その理由と、出力で押さない当院の対処

レーザートーニングを受けていて、「ある程度は薄くなったけれど、そこで頭打ちになり、これ以上シミが取れない」——肝斑でよくあるお悩みです。これにはちゃんと理由があります。

レーザートーニングは、色素をつくる細胞(メラノサイト)を壊す治療ではなく、メラニンの粒を分割して少しずつ薄くしていく治療です。“取り去る(除去)”のではなく、“全体のトーンを薄く・明るくする”治療なので、ある程度のところで頭打ちになりやすいのです。かといって、強い出力で“壊しにいく”のは、肝斑ではかえって逆効果になりがちです。

ただ、これはトーニングが「効かない」という意味ではありません。なお、当院のトーニングはすべてピコ秒レーザーで行う、いわゆるピコトーニングです。肌への負担が少なく、くり返し使える長所のある治療です。大切なのは“使い方”。このページでは、トーニングの仕組みと長所、頭打ちが起きる理由、そして当院での対処(当て方の工夫や組み合わせ)まで順にご説明します。

まずは要点だけ知りたい方へ

  • レーザートーニングは、色素の粒(メラノソーム)を細かく分割して排出を促す治療。メラノサイトごと壊す一般的なシミ取りと違い、低出力・低刺激で顔全体に行えるのが大きな長所です。
  • 低出力ゆえダウンタイムが軽く、刺激で悪化しやすい肝斑にも取り入れやすい治療です。
  • 一方で、単体では薄くなりきらない・再発することもあり、「これ一つで完結」ではありません。
  • 効果を急いで出力を上げすぎると、炎症や色素沈着、まれに白斑(色が抜ける状態)につながることがあります。
  • 当院では、出力に頼らず当て方を工夫し、真皮へのアプローチ(低出力の窒素プラズマ等)や内服・遮光を組み合わせて、単体に頼らない設計にしています。

気になるところから読むなら:

なぜ薄くなりきらないのか──理由を見る

当院での対処を見る

レーザートーニングの作用機序の比較イラスト。左は高出力で色素細胞ごと壊すイメージ、右は低出力で色素の粒だけを砕き細胞は温存するイメージ。色素細胞は表皮の基底層に描かれている。
レーザートーニングの作用機序 ── 色素の「粒」を分割する
レーザートーニングは色素を“取り去る”のではなく、肌にやさしく“薄くしていく”治療。低刺激でくり返せるため、刺激で悪化しやすい肝斑にも取り入れやすいのが長所です。

この記事の目次

  1. レーザートーニングとは——「メラノソームのセグメント化」という考え方
    1. 色素の“粒”を細かくして、押し出す
    2. 一般的な“シミ取り”との違い=低出力でできる
    3. なぜ“粒だけ”を壊せるのか(ざっくりした仕組み)
    4. 「低出力でできる」ことが、そのままメリットになる
    5. レーザートーニングとピコトーニング
  2. 肝斑とは——そして、なぜトーニングが向くのか
    1. 肝斑は「ただのシミ」とは少し違う
    2. だからこそ「やさしく薄くする」トーニングが向いている
  3. なぜ薄くならないのか——続ける前に知っておきたいこと
    1. ある程度で頭打ちになります(“取りきる”治療ではありません)
    2. 新しい機種に変えても、戻りやすさはあまり変わりません
    3. 効かないからと出力を上げると、かえって悪化することがあります
    4. 長く・強く当て続けると、白斑のリスクがあります
  4. 当院での工夫——出力に頼らない組み立て
    1. 出力ではなく、「当て方」と「組み合わせ」で考える
    2. 少し長いパルス(マイクロ秒/Frac3)——当て方の幅を広げる
    3. 表皮だけでなく「真皮」にも働きかける
    4. トーニングで届かないときは、低出力の窒素プラズマへ
    5. 点状照射という選択肢——当院のヘリオス785(785nmピコ秒レーザー)
    6. 土台を整える(遮光・やさしいケア・内服)
    7. まとめ:一つに頼らず、組み立てる
  5. 受ける前に知っておきたいこと(痛み・ダウンタイム・リスク)
    1. 痛み・ダウンタイムは比較的軽めです
    2. 続け方は「回数」より「肌の様子」で
    3. 受ける前の注意
    4. リスク・副作用(必ずご確認ください)
  6. よくあるご質問(FAQ)
  7. 参考文献
  8. 未承認医療機器について(薬機法上の表記)

レーザートーニングとは——「メラノソームのセグメント化」という考え方

色素の“粒”を細かくして、押し出す

レーザートーニングは、低い出力のレーザーを顔全体にやさしく“面”で照射する治療です。その本体は、メラニン色素のかたまり(メラノソーム)をレーザーのエネルギーで細かく分割(セグメント化)し、肌の生まれ変わりに乗せて少しずつ外へ排出させること——いわば「色素の粒を小さくして、押し出しやすくする」ことにあります。

一般的な“シミ取り”との違い=低出力でできる

ここがレーザートーニングの大きな特徴であり、長所です。濃いシミを狙う一般的なシミ取りレーザー(スポット照射)は、高い出力で、色素をつくる細胞(メラノサイト)ごと一気に壊します。一方レーザートーニングは、メラノサイトを壊すのではなく、その中の色素の粒を分割するだけ。だから高い出力を必要とせず、低出力でやさしく行えるのです。

組織を詳しく調べた研究でも、トーニングはメラニンの粒を選択的に壊しつつ、表皮や細胞そのものへの傷害は最小限にとどまることが示されています(Omi 2012)。つまりレーザートーニングは、シミを“取り去る(除去する)”治療というより、メラニンを減らして肌全体のトーンを薄く・明るくしていく治療だといえます。

なぜ“粒だけ”を壊せるのか(ざっくりした仕組み)

レーザートーニングが「細胞を壊さずに色素の粒だけを分割できる」のには、レーザーならではの理由があります。

  • 狙った色素だけに効かせる(選択的光熱融解):レーザーの光は、特定の色——ここではメラニン——に選んで吸収される性質があります。だから周りの組織を傷つけにくく、色素のかたまりをねらって作用させられます。
  • 熱がこもる前に終わらせる(熱緩和時間):色素の粒が熱を逃がすよりも短い“一瞬”でエネルギーを当てるため、熱が周囲に広がる前に、メラノソームの中だけで作用が完結します。これが、やけどのような広い熱ダメージを避けられる理由です。
  • 熱だけでなく“衝撃”でも砕く(光音響作用):ごく短いパルスのレーザーは、熱に加えて、細かな衝撃波のような働きでも色素の粒を物理的に砕くのを助けます。

これらが組み合わさることで、メラノサイト(色素をつくる細胞)を壊すような高い出力を使わずに、メラノソーム(色素の粒)だけをやさしく分割できるのです。仕組みのより詳しい解説は、当院の「選択的光熱分解(融解)理論と最新レーザー」のページでご紹介しています。

「低出力でできる」ことが、そのままメリットになる

低出力で行えることは、患者さんにとっての具体的なメリットにつながります。

  • 顔全体にやさしく照射できる(点ではなく面で、色ムラごと整える)
  • ダウンタイムがごく軽い(強いかさぶたや長い赤みが出にくい)
  • 刺激で悪化しやすい肝斑にも取り入れやすい(強く壊すのではなく、やさしく薄くする)

肝斑は強い刺激でかえって悪化することがあるため、「壊す」より「やさしく薄くする」というトーニングの発想は、肝斑ととても相性のよい治療です。レーザートーニングが肝斑治療で広く使われているのは、この“低出力・低刺激でくり返せる”という長所があるからです。

レーザートーニングとピコトーニング

「レーザートーニング」は特定の機器の名前ではなく、低出力のレーザーを面で均一に照射する手法の総称です。当院のトーニングはすべてピコ秒レーザーで行っており、これがいわゆる「ピコトーニング」にあたります。使用機器はPQXピコレーザー(1064nm)とヘリオス785 PICOの2機種です。当院のピコ秒レーザー治療の全体像はピコレーザー総合ページにまとめています。

(このあと、肝斑そのものの性質と「なぜトーニングが向くのか」、そして「どこに限界があり、当院ではどう対策しているか」を順に見ていきます。)

肝斑とは——そして、なぜトーニングが向くのか

肝斑は「ただのシミ」とは少し違う

肝斑は、紫外線で点々とできる日光性色素斑(いわゆる老人性のシミ)とは性質が少し異なります。主な引き金(トリガー)は、紫外線(や可視光)・女性ホルモンの変動・体質(遺伝)と考えられています。

そこに、日常的なスキンケアに伴う摩擦などの慢性的な刺激が増悪因子として重なることで、肝斑が悪化したり長引いたりする——と考えると分かりやすいと思います。

くり返す刺激が、炎症と赤み(血管)を呼びます

こうした刺激がくり返されると、肌では慢性的な炎症が起こり、それにともなって微細な血管が増える(血管の増生)といった変化も一緒に生じてきます。

近年は、肝斑を単なる色素の増加ではなく、こうした炎症・血管・基底膜のゆるみ・光老化(肌の老化)の変化を背景に、色素が“作られ続ける”状態として理解する見方が主流になってきました(Espósito 2022/Ali 2025/Ogbechie-Godec 2017/Miao 2025)。

肝斑の肌の断面イラスト。上の表皮の基底層に色素(メラニン)があり、下の真皮に慢性的な炎症と増えた毛細血管が広がる。
肝斑は、表面の色素(表皮)だけの問題ではありません
その奥の炎症・血管(真皮)も関わっているため、表皮の色素を薄くするだけでは追いつきにくいのが特徴です。

あなたのせいではありません

ただし、これは「あなたのスキンケアが悪い」という話ではありません。肝斑は体質やホルモンの影響も大きいため、必要以上にご自身を責める必要はありません。大切なのは、強くこすらないやさしいケアを心がけることと、治療の側でも「炎症を抑える」「肌を急かさない」という視点を持つことです。

だからこそ「やさしく薄くする」トーニングが向いている

肝斑は、強い刺激を加えるとかえって炎症が燃え上がり、悪化してしまうことがあります。濃いシミを一気に壊すような高出力の治療が肝斑に不向きなことが多いのは、このためです。

その点、レーザートーニングは先ほどご説明したとおり、低出力でメラノソーム(色素の粒)をやさしく分割していく治療です。肌への刺激を抑えながら顔全体の色ムラに少しずつ働きかけられるため、「炎症で悪化しやすい」という肝斑の弱点と相性がよく、肝斑治療の“入り口”として広く使われています。

肝斑の成り立ち(くり返す刺激と炎症)を踏まえると、レーザートーニングの「低刺激でくり返せる」という長所が活きてきます。ただ、相性がよいといっても万能ではありません。次は、続ける前に知っておきたい点をお話しします。

なぜ薄くならないのか——続ける前に知っておきたいこと

長所のある治療ですが、続けるうえで知っておきたい点がいくつかあります。

ある程度で頭打ちになります(“取りきる”治療ではありません)

レーザートーニングは、色素の粒を少しずつ分割して薄くしていく治療で、1回でシミを消すものではありません。回数を重ねると肌のトーンは明るくなっていきますが、先ほどお話ししたとおり、色素をつくる細胞そのものは壊さないため、ある程度のところで頭打ちになり、「これ以上は取りきれない」という状態になりやすいのが特徴です。

強く壊せば取れる、というわけでもありません

では、メラノサイトを強く壊せば取りきれるのかというと、そうではありません。肝斑では、強い刺激がかえって炎症を呼び、白斑や悪化につながりやすいからです。

むしろ肝斑は、表皮の色素だけの問題ではなく、その奥で色素が“作られ続ける”土台(炎症や真皮の変化)があるため、表皮をいくら薄くしても追いつかない、という面もあります。

「回数が足りない」のではなく、「頼りすぎ」が問題です

実際、70回・100回と続けても、中途半端に薄くなったところで止まってしまい、ご相談に来られる方もいます。研究でも、トーニング単体での肝斑治療は効果が安定しにくく、いったん薄くなっても戻ってしまうことが少なくないと報告されています(Lee 2022/Aurangabadkar 2019)。これは「回数が足りない」というより、トーニングだけに頼ること自体に限界がある、と考えたほうが実情に合っています。

レーザートーニングの効果が回数とともに頭打ちになることを示す模式グラフ。最初は薄くなるが、色素細胞は残るためある程度で頭打ちになる。
レーザートーニングの効果は、ある程度で頭打ちになります
回数を重ねると最初は薄くなりますが、色素細胞は残るため、ある程度のところで「これ以上は薄くなりにくい」状態になりやすいのが特徴です。

新しい機種に変えても、戻りやすさはあまり変わりません

「ナノ秒より新しいピコ秒のほうがよく効くのでは」とよく聞かれます。ただ、肝斑を左右の顔で直接比べた試験では、ピコ秒とナノ秒で効果も戻りやすさ(再発)もほとんど差がなく、はっきり違ったのは痛みや治療後の赤みでした(ナノ秒のほうが痛みを感じやすい)(Feng & Huang 2022)。 むしろ実績が厚いのは、従来のナノ秒です

研究全体を見渡すと、むしろ裏づけが多いのは、従来からある低出力のQスイッチNd:YAG(ナノ秒)のほうです。複数のメタ解析でも、低出力QスイッチNd:YAGは肝斑への効果が安定して示されている一方、ピコ秒は対照と比べてはっきりした上乗せを示せなかったと報告されています(Ma 2023/Liu 2021/Aljoaib 2026)。

つまり、直接比べればほぼ互角で、研究の蓄積ではナノ秒のほうが裏づけが厚い、という関係です。いずれにしても「新しいほどよく効く」とは限らず、大切なのは機種そのものよりも、出力や当て方、ほかの治療との組み合わせだということです。

効かないからと出力を上げると、かえって悪化することがあります

表皮の色素を扱うトーニングは、本来それほど高い出力を必要としません。それでも「もっと早く効かせたい」と出力を上げたり、無理に効かせようとすると、一時的に薄くなってもそこで頭打ちになり、炎症を招いて色素沈着(炎症後色素沈着=PIH)やリバウンドにつながることがあります(Lee 2022/Choi 2014)。

肝斑は炎症で悪化しやすい色素なので、力任せの設定とは相性がよくありません。

長く・強く当て続けると、白斑のリスクがあります

照射を長く繰り返し、累積するエネルギーが大きくなりすぎると、肌の色がまだらに抜ける「白斑(低色素斑)」が起こることがあります(Lee 2022/Choi 2014)。色素を作るメラノサイトが、くり返す刺激で疲れてメラニンを作れなくなることが一因と考えられています。

いったん白斑が出ると元に戻すのは簡単ではないので、「効かないから」と回数や出力を増やし続けるのは避けたいところです。 「効いている感じ」と「肌にやさしい」は、別ものです

気をつけたいのは、仕上がりが同じように見えても、肌の内部で起きているダメージは同じとは限らない、という点です。複数のレーザーを比べた研究では、見た目の改善はほぼ同じでも、組織のダメージは機種や設定でかなり違っていました(ある波長のピコ秒では最小限、別の設定では広い範囲に及ぶ、など)(Liu 2025)。「効いている感じ」と「肌にやさしい」は、必ずしも同じではないのです。

こうして見ると、トーニングをうまく使う鍵は「出力で押す」ことではなく、当て方を工夫したり、ほかの治療と組み合わせたりすることにあります。次に、当院での工夫を紹介します。


当院での工夫——出力に頼らない組み立て

出力ではなく、「当て方」と「組み合わせ」で考える

トーニングそのもの(短いパルス=ピコ秒・ナノ秒で色素の粒を分割する治療)は、ここまで見てきたとおりです。当院のトーニング(ピコトーニング)は、300ピコ秒という非常に短いパルス幅で照射できるピコ秒レーザーPQX(国内承認機器)で行っています。

パルスが短いほどメラニンを物理的に砕く力(光音響的な作用)が働きやすく、熱の負担を抑えながら効率よく分割することが期待できます。 大切なのは、どの機種を使うにせよ、それだけに頼らないこと。効かないからと出力を上げるのではなく、当て方を工夫し、状況に応じてほかの手と組み合わせます。頭打ちを感じたときの進め方は、おおまかに次の順序です。

  1. まず「当て方」と「土台」を見直す:出力を上げずに、パルス幅など当て方を調整します。あわせて、遮光・やさしいケア・内服で肝斑の土台(炎症や血管)を整えます。
  2. それでも足りなければ「真皮」へ:低出力の窒素プラズマやフラクショナルのヘリオス785などを、肌の状態に応じて組み合わせます。

機器はメラニンへの反応がおだやかな1064nm(PQX)から開始し、肝斑改善の進捗や肌の慣れ(忍容性)に応じてヘリオス785への切り替えを検討します。

以下、それぞれの中身です。

少し長いパルス(マイクロ秒/Frac3)——当て方の幅を広げる

工夫のひとつが、パルス幅(光を当てる時間の長さ)を少し変えることです。当院では、パルス幅を約300〜1600マイクロ秒の範囲で変えられるNd:YAG(フォトナのFrac3)も使っています。低フルエンスのトーニングにマイクロ秒域のパルスを組み合わせると、肝斑で改善や再発の抑えが報告されています(Choi 2014/Hai 2021〔350マイクロ秒〕/Greywal 2021〔650マイクロ秒〕/Wu 2025)。

複数のパルス幅・モードを組み合わせる多段階のフォトナNd:YAGプロトコルでも、肝斑が長期的に改善したという報告があります(Ocampo 2021)。マイクロ秒域のパルスは、肌全体を強く温め続ける長いパルスとは違い、比較的低刺激のまま当て方の幅を広げられます(くわしくはFRAC3のページへ)。

(Frac3〔フォトナ〕も国内未承認の医療機器です。薬機法上の表記はページ末尾の「未承認医療機器について」にまとめています。)

表皮だけでなく「真皮」にも働きかける

先ほど触れたとおり、肝斑には真皮の血管や基底膜のゆるみ、線維芽細胞の変化も関わっています。だとすれば、表皮の色素を薄くするだけでなく、その土台である真皮の環境を整えることにも意味があります。実際、トーニング単体よりも、真皮に働きかける治療などを組み合わせたほうが、全体として成績がよい傾向が報告されています(Cassiano 2022)。真皮へのアプローチには、たとえば次のような選択肢があります。

  • ニードルRF(フラクショナル高周波):低出力のトーニングに併用することで上乗せが報告され、真皮の環境を整えて肝斑が悪化しにくい状態に近づける可能性が示されています(併用での限定的な報告。Kwon 2018/Tan 2021)。
  • HIFU(高密度焦点式超音波):もともとは真皮を引き締める治療ですが、その真皮への働きかけを通じて肝斑が改善したという報告もあり、応用が広がってきています。ただし現時点でははっきりした差を示すには至っておらず、今後の研究が待たれます(Vachiramon 2019/2017)。

なお、当院で現在行っている真皮へのアプローチは、低出力の窒素プラズマとフラクショナルのヘリオス785です。ニードルRFやHIFUは一般的な選択肢としてご紹介するもので、今後の導入を検討しています。

トーニングで届かないときは、低出力の窒素プラズマへ

当院では、レーザートーニングで十分な手応えが得られないときに、真皮の改善も期待して、低出力の窒素プラズマ治療に切り替えることがあります。肝斑のように慢性的な炎症をともなう状態では、細かな赤み(炎症性の毛細血管拡張)を併せ持っていることが多く、窒素プラズマではその赤みも一緒に整っていくように感じています。

外用薬(ハイドロキノン)に低出力の窒素プラズマを合わせた小規模な比較試験でも、外用だけより色素の改善が上回り、肌のバリアを傷めずに行えたと報告されています(Yousefi 2023)。ただし規模の小さい報告で、効果をお約束できるものではなく、当院の治療方針・経験としてお伝えするものです。

(窒素プラズマ治療器は国内未承認の医療機器です。薬機法上の表記はページ末尾の「未承認医療機器について」にまとめています。)

点状照射という選択肢——当院のヘリオス785(785nmピコ秒レーザー)

レーザートーニングは面(フルビーム)で照射するため、その分だけ肌への負担も広がります。もし点状(フラクショナル)に照射できれば、負担を抑えながら真皮にも刺激を届けられるのでは、という考え方があります。

実際、点状に照射するフラクショナルのピコ秒レーザーでは、光による細かな衝撃(光音響的な作用)が真皮に伝わってコラーゲンの作り替えを促し、メラニンが取り込み(貪食)で処理される様子が確認されています(Liu 2023/Lin 2024)。

当院では、この考え方を治療に取り入れられる機器として、ヘリオス785(785nmのピコ秒レーザー)を導入しています。785nmのピコ秒レーザーはフラクショナル照射にも対応し、肝斑を含む色素のお悩みに応用できます。

アジア人の肌を対象とした報告では、フラクショナル照射を含む785nmピコ秒レーザーで肝斑・そばかす・しみが改善し、目立った副作用(炎症後の色素沈着や白斑)は認められなかったとされています(Hong 2022/Choi 2025/Chung 2019)。ただし、いずれも症例報告や小規模の検討が中心です。

また、ヘリオス785は波長が785nmで、トーニングで使うNd:YAG(1064nm)とは、メラニンへの吸収特性や光が届く深さが異なります。そのため「トーニングとどちらが優れているか」と単純に比べられるものではなく、波長の違う“別の選択肢”として捉えるのが正確です。

フラクショナルで真皮にも働きかけたいときの一手として、肌の状態に合わせて使い分けています。 (ヘリオス785のくわしい説明はこちらをご覧ください。ヘリオス785も国内未承認の医療機器です。薬機法上の表記はページ末尾にまとめています。)

レーザーの届く深さを比べた肌の断面イラスト。左は面トーニングで幅広い光が表皮を中心に浅く届く。右はフラクショナルピコで細い光の柱が点状に真皮の深くまで届く。色素細胞は表皮の基底層に描かれている。
面のトーニングと、点のフラクショナルピコ ── 届く深さの違い
トーニングは面で表皮を中心に、ヘリオス785のフラクショナルは点で真皮まで。波長(1064nm/785nm)も届く深さも違う“別の選択肢”として、肌の状態に合わせて使い分けます。

土台を整える(遮光・やさしいケア・内服)

色素そのものへの治療だけでなく、肝斑の土台となる炎症や血管(赤み)をしずめる視点も大切にしています。具体的には、日々の遮光、こすらないやさしいスキンケア、そして内服(トラネキサム酸など)の組み合わせです(くわしくはトラネキサム酸の使い方のページをご覧ください)。これらで肝斑が治るというより、再発しにくい状態に近づけるための土台づくりです。

まとめ:一つに頼らず、組み立てる

レーザートーニングは「低刺激でくり返せる」よい治療ですが、単体に頼り切らないことが大切です。出力で押すのではなく当て方を工夫し、必要に応じて真皮へのアプローチや内服・遮光を組み合わせる。この“組み立て”こそが、白斑などのリスクを避けながら肝斑とうまく付き合っていく近道だと考えています(Lee 2022/Ogbechie-Godec 2017/Cassiano 2022)。

仙台の当院では、この「ピコトーニング+炎症を抑える(鎮静)」という組み立てを、肝斑改善集中プランとしてご提供しています。 なお、各機器の特徴や使い分けのより詳しい比較は、ルビーフラクショナル徹底比較のページにまとめています。

受ける前に知っておきたいこと(痛み・ダウンタイム・リスク)

痛み・ダウンタイムは比較的軽めです

低出力で行うため、強い痛みやかさぶたは出にくい治療です。施術中は、軽い熱感やパチパチとした刺激を感じる程度のことが多く、麻酔は通常必要ありません。

直後に軽い赤みやほてりが出ることがありますが、多くは数時間〜1日ほどで落ち着きます。当日からメイクや洗顔、日常生活はふだんどおりできることが多いです(感じ方や経過には個人差があります)。

また、照射後はお肌の再構築が進むぶん、乾燥しやすくなります。ふだんより念入りな保湿を心がけてください。

続け方は「回数」より「肌の様子」で

トーニングは、間隔をあけて複数回くり返していく治療です。ただし、適切な回数や間隔は肌の状態によって変わるため、「何回で取りきる」と数字を目標にせず、経過を見ながら医師と相談して決めていくのが安心です。

良くなったあとも、肝斑はぶり返しやすいため、遮光や内服などのケアを続けることが大切です。頭打ちや悪化のサインが出たときは、出力を上げて押すのではなく、当て方や組み合わせを見直します。

「肌の様子」をどう見ているかは 肝斑の効果判定の考え方

受ける前の注意

  • 強い日焼けの直後は避け、ふだんから遮光を心がけてください。
  • 妊娠中・授乳中は、ホルモンの影響もあるため時期を相談しましょう。
  • 光線過敏のある方や、服用中のお薬・既往がある方は、事前にお知らせください。

リスク・副作用(必ずご確認ください)

どんな治療にも、メリットだけでなくリスクがあります。レーザートーニングで起こりうるものとして、次の点があります。

  • 一時的な赤み・ほてり・乾燥
  • 炎症後色素沈着(PIH)や、肝斑の悪化・再燃(とくに強い設定や過度な頻度で起こりやすい)
  • 長期・高頻度の照射による白斑(色が抜けた状態)
  • 効果には個人差があり、薄くなっても再発することがあります

これらのリスクを抑えるために、当院では出力で“押す”のではなく、当て方の工夫やほかの治療との組み合わせ、遮光・内服で設計しています。気になる症状があれば、早めにご相談ください。

よくあるご質問(FAQ)

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レーザートーニングは、低出力のレーザーを面で均一に照射する手法の総称です。ピコ秒レーザーで行うものが「ピコトーニング」で、当院(仙台)のトーニングはPQXピコレーザーとヘリオス785 PICOによるピコトーニングです。料金はどちらの機器でも全顔22,000円(税込)です。

レーザートーニングは色素を“取り去る”のではなく、少しずつ薄くしていく治療なので、ある程度のところで頭打ちになりやすい性質があります。

適切な回数や間隔は肌の状態によって変わるため、「何回で取りきる」と数字で決まるものではありません。間隔をあけて複数回くり返しながら、経過を見て医師と相談して調整します。良くなったあとも、肝斑はぶり返しやすいので、遮光やケアの継続が大切です。

肝斑では、ピコ秒とナノ秒で効果や戻りやすさに大きな差はなく、はっきり違うのは主に痛みです。「新しいほどよく効く」とは限らず、大切なのは機種よりも、出力・当て方・ほかの治療との組み合わせです。

出力を上げて無理に効かせようとすると、一時的に薄くなってもそこで頭打ちになり、かえって炎症や色素沈着、まれに白斑を招くことがあります。肝斑は炎症で悪化しやすいため、出力で“押す”より、当て方や組み合わせで工夫します。

長期にわたり高い頻度でくり返すと、まれに白斑が起こることがあります。累積するエネルギーを上げすぎない、間隔を十分にあける、といった配慮で予防します。気になる変化があれば、早めにご相談ください。

完治をお約束できる治療ではありません。肝斑は再燃しやすいため、トーニング単体ではなく、ほかの治療や内服・遮光を組み合わせて、良い状態を保っていく“管理”の考え方が現実的です。

低出力で行うため、痛みやダウンタイムは比較的軽めで、麻酔は通常必要ありません。直後に軽い赤みが出ることがありますが、多くは数時間〜1日ほどで落ち着きます。照射後は乾燥しやすいので、保湿を心がけてください(感じ方には個人差があります)。

同じトーニングをただ続けるより、いちど方針を見直すことをおすすめします。出力や当て方、真皮へのアプローチ(低出力の窒素プラズマ・フラクショナルのヘリオス785など)、内服・遮光の組み合わせを、肌の状態に合わせて検討します。

ホルモンの影響もあるため、時期について相談が必要です。一般に、この時期の積極的な肝斑治療は慎重に判断します。まずはご相談ください。


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監修者情報(医師紹介)

監修医師 佐藤雅樹(仙台 ソララクリニック院長)

監修医師:佐藤 雅樹 (さとう まさき)

ソララクリニック 院長

専門分野:美容皮膚科

2000年 順天堂大学医学部卒。順天堂大学医学部形成外科入局。 大学医学部付属病院等を経て、都内美容皮膚科クリニックにてレーザー治療の研鑽を積む。2011年3月 ソララクリニック開院 院長就任。2022年 医療法人 松柴会 理事長就任。日本美容皮膚科学会 日本形成外科学会 日本抗加齢医学会 日本レーザー医学会 点滴療法研究会 日本医療毛髪再生研究会他所属。 
様々な医療レーザー機器に精通し、2011年ルビーフラクショナル搭載機器を日本初導入。各種エネルギーベースの医療機器を併用する複合治療に積極的に取り組む.

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参考文献

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肝斑が単なる色素の増加ではなく、慢性的な炎症・血管・光老化を背景に色素が作られ続ける状態であることを示す文献群です。

肝斑のアップデート Part I:病態(総説)

Espósito ACC, Cassiano DP, da Silva CN, et al. Update on Melasma-Part I: Pathogenesis. Dermatol Ther (Heidelb). 2022;12(9):1967-1988. doi:10.1007/s13555-022-00779-x

要約:肝斑の病態を総説。紫外線・ホルモン・遺伝に加え、基底膜の破綻・血管増生・炎症など、表皮を超えた要因が関与すると整理しています。本ページの「肝斑はただのシミと違う」という捉え方の根拠です。

肝斑の発症機序の解説(総説)

Ali L, Al Niaimi F. Pathogenesis of Melasma Explained. Int J Dermatol. 2025;64(7):1201-1212. doi:10.1111/ijd.17718

要約:色素細胞の活動亢進だけでなく、慢性的な刺激・炎症・血管・線維芽細胞など多くの要因が肝斑の持続に関わると整理した、最新の総説です。

肝斑の包括的レビュー

Ogbechie-Godec OA, Elbuluk N. Melasma: an Up-to-Date Comprehensive Review. Dermatol Ther (Heidelb). 2017;7(3):305-318. doi:10.1007/s13555-017-0194-1

要約:誘因・病態から各治療までを整理し、単独の治療よりも複数の治療や遮光を組み合わせることの大切さを示しています。

肝斑=皮膚微小環境の慢性炎症性疾患という捉え直し(総説)

Miao F, Wan J, Zhou Y, et al. Unraveling Melasma: From Epidermal Pigmentation to Microenvironmental Dysregulation. Biology (Basel). 2025;14(10):1402. doi:10.3390/biology14101402

要約:病変部にCD4陽性T細胞・マクロファージ・肥満細胞の浸潤、IL-17・COX-2の上昇、日光弾性線維症・基底膜破綻・血管増生がみられ、老化した線維芽細胞が色素を促すと整理。肝斑を「孤立した色素異常ではなく、慢性炎症性の状態」と位置づけます。本ページ中心の捉え方の根拠です。

トーニングが「メラノサイトを壊さず、色素の粒だけを分割する」治療であること、単体では頭打ち・再発しやすく、攻めた設定では白斑のリスクがあることを示す文献群です。

QスイッチNd:YAGトーニングとQスイッチルビーの肝斑比較(超微形態研究)

Omi T, Yamashita R, Kawana S, et al. Low Fluence Q-Switched Nd:YAG Laser Toning and Q-Switched Ruby Laser in the Treatment of Melasma: A Comparative Split-Face Ultrastructural Study. Laser Ther. 2012;21(1):15-21. doi:10.5978/islsm.12-OR-03

要約:電子顕微鏡での観察で、トーニングはメラニンの顆粒を選択的に壊す一方、表皮や細胞そのものの傷害は最小限(subcellular selective photothermolysis)でした。「細胞を壊さず粒だけを分割する」機序の根拠です。

低フルエンスQスイッチNd:YAGによる肝斑治療のシステマティックレビュー

Lee YS, Lee YJ, Lee JM, et al. The Low-Fluence Q-Switched Nd:YAG Laser Treatment for Melasma: A Systematic Review. Medicina (Kaunas). 2022;58(7):936. doi:10.3390/medicina58070936

要約:一定の効果はあるものの長期成績の裏づけが乏しく再発も多いこと、攻めた使い方では炎症・色素沈着・白斑のリスクがあることを整理。「単体では頭打ち・戻りやすい」「出力を上げると悪化・白斑」の根拠です。

肝斑・後天性真皮メラノーシスに対するQスイッチレーザーの最適化(総説)

Aurangabadkar SJ. Optimizing Q-switched lasers for melasma and acquired dermal melanoses. Indian J Dermatol Venereol Leprol. 2019;85(1):10-17. doi:10.4103/ijdvl.IJDVL_1086_16

要約:白斑を避けるために、累積エネルギーを抑える・間隔をあける・dual toningを用いる、といった考え方を示しています。「白斑を避ける当て方」の根拠です。

ピコとナノで効果・再発に大きな差はなく、研究の蓄積ではナノ秒(低フルエンスQスイッチNd:YAG)の裏づけが厚いこと、見た目が同じでも組織ダメージは設定で違うことを示す文献群です。

肝斑に対するピコ秒 vs ナノ秒 Nd:YAG 1064nmの左右顔ランダム化比較試験

Feng J, Huang L. Comparison of Picosecond and Nanosecond Nd:YAG 1064-nm Lasers in the Treatment of Melasma: A Split-Face Randomized Clinical Trial. Plast Reconstr Surg. 2022;151(4):772-777. doi:10.1097/PRS.0000000000009994

要約:18名の左右顔比較で、効果も再発(ともに12.5%)も差がなく、ナノ秒のほうが痛みが強い結果でした(P=0.007)。「機種を変えても効果・戻りやすさは同等、違いは主に痛み」の根拠です。

肝斑レーザー療法のシステマティックレビュー・ネットワークメタ解析

Ma W, Gao Q, Liu J, et al. Efficacy and safety of laser-related therapy for melasma: A systematic review and network meta-analysis. J Cosmet Dermatol. 2023;22(11):2910-2924. doi:10.1111/jocd.16006

要約:39件のRCT・1394例の解析で、QスイッチNd:YAG+外用が肝斑への効果で総合上位でした。「ナノ秒QSNDは実績が厚い」の根拠です。

肝斑治療の効果比較:ネットワークメタ解析

Liu Y, Wu S, Wu H, et al. Comparison of the Efficacy of Melasma Treatments: A Network Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials. Front Med (Lausanne). 2021;8:713554. doi:10.3389/fmed.2021.713554

要約:59件のRCTの解析で、光治療機器の中ではQスイッチNd:YAG(1064nm)が効果上位、ピコ秒は下位でした。

肝斑へのレーザー治療:システマティックレビュー・メタ解析

Aljoaib NN, Baltoyour A, Al-Sharif M, et al. Efficacy and Safety of Laser-Based Therapies for Melasma: A Systematic Review and Meta-Analysis. Cureus. 2026;18(3):e106154. doi:10.7759/cureus.106154

要約:52件の研究の解析で、低フルエンスQスイッチNd:YAGはMASIを有意に改善した一方、ピコ秒は対照に対して有意な上乗せを示せませんでした。「直接対決は互角でも蓄積はナノ秒に分がある」の根拠です。

730/532/694nmレーザーによる色素病変のランダム化比較試験

Liu L, Che Q, Zhou Z, et al. 730-nm, 532-nm and 694-nm laser in the treatment of freckles and solar lentigines (A randomized clinical trial). Lasers Med Sci. 2025;40(1):309. doi:10.1007/s10103-025-04562-0

要約:そばかす・日光性色素斑で、臨床効果はほぼ同等でも、組織のダメージ(基底層の空胞変性)は波長・設定で大きく異なりました。「見た目が同じでも肌へのダメージは設定で違う」の根拠です。

「出力を上げる」のではなく、より長いパルス幅(マイクロ秒域)を組み合わせる工夫が、肝斑で改善や再発の抑えにつながりうることを示す文献群です。

低フルエンスQスイッチ+ロングパルスNd:YAGのdual modeと単独の肝斑比較

Choi CP, Yim SM, Seo SH, et al. Retrospective analysis of melasma treatment using a dual mode of low-fluence Q-switched and long-pulse Nd:YAG laser vs. low-fluence Q-switched Nd:YAG laser monotherapy. J Cosmet Laser Ther. 2014;17(1):2-8. doi:10.3109/14764172.2014.957217

要約:低フルエンスQスイッチ単独と、これにロングパルスを加えたdual modeを比較。併用群は有害事象を増やさず改善が上乗せされました。「出力でなくパルス幅を足す/白斑回避」の根拠です。

ピコ+マイクロ秒のdual toningによる難治性肝斑の治療

Hai L, Phuong B, Ha L, et al. Dual Toning Method with the Combination of Picosecond and Microsecond Nd:YAG in Refractory Melasma Unresponsive to Picosecond Alone. J Cutan Aesthet Surg. 2021;14(1):101-106. doi:10.4103/JCAS.JCAS_30_20

要約:ピコ秒単独で反応が乏しかった難治性肝斑20例に、マイクロ秒(350µs)のdual toningを追加すると改善し(合計約40%)、副作用なく行えました。

650マイクロ秒パルス1064nm Nd:YAGによる肝斑治療の臨床評価

Greywal T, Ortiz A. Treating melasma with the 1064 nm Nd:YAG laser with a 650-microsecond pulse duration: A clinical evaluation. J Cosmet Dermatol. 2021;20(12):3889-3892. doi:10.1111/jocd.14558

要約:10例で、痛み・ダウンタイムが少なく、全肌タイプで比較的安全に行えたとされ、マイクロ秒域の低刺激な当て方の一例です。

低フルエンス+マイクロ秒パルスのdual modeによる肝斑治療(左右顔RCT)

Wu X, Cen Q, Lin X, et al. Novel melasma therapy using combined low fluence and microsecond pulse Q switched 1064 nm neodymium doped yttrium aluminium garnet laser. Sci Rep. 2025;15(1):24596. doi:10.1038/s41598-025-10129-4

要約:28例の左右顔比較で、1〜3か月でMASIが有意に低下し、3か月時点での再発抑制が示唆されました。「マイクロ秒併用で改善・再発を抑える」の根拠です。

多段階フォトナNd:YAGプロトコルによる肝斑治療(記述的コホート)

Ocampo JCV, Ocampo SV, Vélez NC, et al. New Protocol for Long-Term Results With a Multi-Pulse Nd:YAG Laser for Melasma Treatment: A Descriptive Cohort Study. J Drugs Dermatol. 2021;20(2):150-154. doi:10.36849/JDD.1221

要約:複数のパルス幅・モードを組み合わせる多段階プロトコルで真皮・混合型肝斑20例を治療。優70%+良25%、6・12か月の追跡で良好・安全でした。「複数のパルス幅を組み合わせる」の根拠です。

表皮だけでなく真皮の環境を整える手立て(併用療法・RF・HIFU・窒素プラズマ)に関する文献群です。RF・HIFUは一般的な選択肢として示すもので、当院では現状、真皮アプローチとして低出力の窒素プラズマとヘリオス785を用いています。

肝斑のアップデート Part II:治療(総説)

Cassiano DP, Espósito ACC, da Silva CN, et al. Update on Melasma-Part II: Treatment. Dermatol Ther (Heidelb). 2022;12(9):1989-2012. doi:10.1007/s13555-022-00780-4

要約:肝斑治療の最新総説。外用・内服・機器を体系的に整理し、単独よりも併用が概して良好であることを示します。「単体でなく組み合わせる」の根拠です。

低フルエンスQスイッチNd:YAG+フラクショナルマイクロニードルRFの肝斑併用

Kwon HH, Choi SC, Jung JY, et al. Combined treatment of melasma involving low-fluence Q-switched Nd:YAG laser and fractional microneedling radiofrequency. J Dermatolog Treat. 2018;30(4):352-356. doi:10.1080/09546634.2018.1516858

要約:RFを併用すると単独より有効で、RFが真皮の環境を整えて悪化因子を相殺しうると報告。真皮アプローチ(RF)併用の根拠です(当院では一般的な選択肢として紹介)。

ラジオ波マイクロニードリングの包括的レビュー

Tan MG, Jo CE, Chapas A, et al. Radiofrequency Microneedling: A Comprehensive and Critical Review. Dermatol Surg. 2021;47(6):755-761. doi:10.1097/DSS.0000000000002972

要約:真皮のリモデリングは緩徐かつ進行性であること、安全性とともに適応・限界を整理しています。「真皮の作り替えには時間がかかる」の根拠です。

アジア人の肝斑に対するHIFUの有効性・安全性(左右顔比較)

Vachiramon V, Iamsumang W, Chanasumon N, et al. A study of efficacy and safety of high-intensity focused ultrasound for the treatment of melasma in Asians: A single-blinded, randomized, split-face, pilot study. J Cosmet Dermatol. 2019;19(2):375-381. doi:10.1111/jocd.13044

要約:HIFU側で改善傾向はみられたものの有意差には至らず、補助的な位置づけと結論しました。「HIFUは補助的・有意差は不十分」の根拠です。

Fitzpatrick III–IVのUV誘発色素沈着に対する非侵襲HIFU

Vachiramon V, Jurairattanaporn N, Harnchoowong S, et al. Non-invasive high-intensity focused ultrasound for UV-induced hyperpigmentation in Fitzpatrick skin types III and IV: a prospective, randomized, controlled, evaluator-blinded trial. Lasers Med Sci. 2017;33(2):361-367. doi:10.1007/s10103-017-2393-5

要約:肌タイプによって結果が分かれ、HIFUの色素への効果が一定でないことを示します。

ハイドロキノン4%+窒素プラズマ vs 単独の肝斑左右顔比較

Yousefi M, Hadian K, Babossalam S, et al. Split-face comparison of hydroquinone 4% plus nitrogen plasma vs. hydroquinone 4% alone in the treatment of melasma. Lasers Med Sci. 2023;38(1):113. doi:10.1007/s10103-023-03757-7

要約:両側に外用、片側のみ低出力の窒素プラズマを併用。追跡時の改善は併用側が大きく(48.1% vs 33.0%)、角層を傷めず行えました。ただし小規模で、確認的な研究が必要です。「トーニングで届かないとき低出力プラズマを併用」の根拠です。

面ではなく点状(フラクショナル)に当てるピコ秒レーザーの真皮への働きと、785nmピコ秒レーザー(ヘリオス785)の色素病変への応用に関する文献群です。

フラクショナルピコ秒Nd:YAGの作用機序(高調波顕微鏡)

Liu C, Wu PJ, Chia SH, et al. Characterization of picosecond laser-induced optical breakdown using harmonic generation microscopy. Lasers Surg Med. 2023;55(6):561-567. doi:10.1002/lsm.23664

要約:フラクショナルピコ秒1064nm Nd:YAGで、衝撃波が真皮乳頭層に伝わり、コラーゲンの変化(新生)が起こる様子を可視化。「フラクショナルピコの光音響的作用が真皮を作り替える」機序の根拠です。

ピコ秒レーザーによるLIOBと真皮型色素への応用

Lin YJ, Wu BQ, Chang CC, et al. Laser-induced optical breakdown is a prior strategy for acquired melanin-increased disorder in dermal layer. Lasers Med Sci. 2024;39(1):216. doi:10.1007/s10103-024-04170-4

要約:回折レンズアレイ併用のピコ秒で、多光子イオン化によりメラニンを貪食・アポトーシスで処理しつつ真皮リモデリングを促すとし、真皮型色素の改善例を示します。

785nmピコ秒Ti:sapphireレーザーによるアジア人の色素病変治療(3例)

Hong JK, Koh YG, Li K, et al. Treatment of facial pigmented disorders with a 785-nm picosecond Ti:sapphire laser in Asians: A report of three cases. Dermatol Ther. 2022;35(12):e15919. doi:10.1111/dth.15919

要約:フラクショナル照射を含む785nmピコ秒で、そばかす・日光性色素斑・肝斑が3〜4回で改善し、炎症後色素沈着や白斑は認めませんでした。「ヘリオス785のフラクショナル肝斑応用」の根拠です(小規模)。

785nmピコ秒Ti:sapphireレーザーのアジア人肝斑への有効性・安全性

Choi MS, Kim D, Yeom K, et al. The Efficacy and Safety of 785-nm Picosecond Titanium:Sapphire Laser on Melasma in Asians. Ann Dermatol. 2025;37(6):408-410. doi:10.5021/ad.24.133

要約:785nmピコ秒レーザーを肝斑に用いた有効性・安全性の報告で、「785nm×肝斑」の根拠です(小規模)。

785nmピコ秒レーザーによるアジア人のそばかす治療

Chung HJ, McGee JS, Lee SJ. Successful treatment of ephelides in Asian skin using the picosecond 785-nm laser. J Cosmet Dermatol. 2019;19(8):1990-1992. doi:10.1111/jocd.13260

要約:1回の照射で明らかな改善が得られ、合併症なく安全だったと報告。「785nmピコのアジア人色素病変への安全性」の根拠です。


未承認医療機器について(薬機法上の表記)

本ページでご紹介した治療のうち、次の医療機器は国内において医薬品医療機器等法(薬機法)上の承認を受けていません(PQX〔ピコ秒レーザー〕は国内承認機器です)。承認を受けていない医薬品・医療機器については「個人輸入において注意すべき医薬品等について」のページもあわせてご確認ください。各機器とも、医師の責任のもとで入手し使用しています。

窒素プラズマ治療器(NEOGEN)

国内では薬機法上の承認を受けていません。国内に同様の機器は存在しないため、医師のライセンス下で個人輸入し使用しています。

潜在的副作用
熱傷・色素沈着・一時的なブラウンチェンジ・皮剥け・発赤・掻痒感
海外における承認取得情報
FDA 2013年12月12日(K132754)/CE/Health Canada/KFDA/SFDA その他
製造元
Energist(英)

ヘリオス785(785nm ピコ秒レーザー)

国内では薬機法上の承認を受けていません。国内に同様の機器は存在しないため、医師のライセンス下で個人輸入し使用しています。

潜在的副作用
発赤・腫れ・点状出血・痛み・かさぶた・一時的な色素沈着・色素脱失・(まれに)水疱・瘢痕
海外における承認取得情報
FDA 2022年(HELIOS IV-785、皮膚科・形成外科)/CE
製造元
LASEROPTEK(韓国)

Frac3(フォトナ Nd:YAG のモード)

国内では薬機法上の承認を受けていません。国内に同様の機器は存在しないため、医師のライセンス下で個人輸入し使用しています。

潜在的副作用
発赤・腫れ・紫斑・痛み・色素沈着・(まれに)水疱・熱傷・瘢痕
海外における承認取得情報
本体Nd:YAG(Fotona Dynamisファミリー)としてFDA 510(k)/CE(Frac3はその照射モード)
製造元
Fotona(スロベニア、SP Dynamis)

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