シミと肝斑を同時に治療できますか?
> 両頬に肝斑としみとそばかすがあります
> 出産後辺りから肝斑とシミが濃くなりはじめました。
> 肝斑とシミそばかすは同時に治療したいのです。
> 目立つしみを先にとりあえずとって頂く形でも構いません。
> 治療日数と、治療後の副作用はどのようなものでしょうか
肝斑としみ・ソバカスの同時治療は可能でしょうか?
肝斑とシミ・そばかすの治療をご検討されていらっしゃるのですね。
まず 肝斑の状態を診させていただいたからでなければ 同時に治療が可能かどうかをお伝えすることは困難です。
肝斑の症状が強い場合には まず肝斑を先に改善させておく必要が有るためです。
肝斑はなぜ出るのでしょうか
肝斑は 30~40代頃から見られやすく ホルモンからの影響が強いと言われています。
しかし、肝斑を理解するには 皮膚表面での慢性炎症に伴う色素沈着と考えたほうが良いのです。
何らかの原因(紫外線や摩擦など)で皮膚のケラチノサイトが刺激され プラスミンというメラノサイトを活性化させる因子が増えます。メラノサイトが活性化することで、メラニンが増産され、肝斑の症状が出てきます。
肌画像診断装置で分析すると より20代でも見られることが多く 男性でもスキンケアを行う人が増えたおかげで 男性にも見られることがあります。
日々のスキンケアで 擦ることが多いような場合に 悪化する傾向があります。
そのため、皮膚表面で慢性炎症が起きているところに その他のしみがある場合 通常のシミを取るような出力で治療すると その炎症は更に強くなるため、肝斑が悪化することが知られています。
肝斑とシミ・ソバカスが混在するときの治療法
肝斑の治療と 所謂シミの治療は 相反するものなのです。
- 肝斑には強い刺激は厳禁です。炎症が原因ですから、強いレーザーや光治療を行うと悪化する場合があります。
- それに対して シミ・ソバカスは強いレーザー・光治療が必要です。
そこで、肝斑の症状が強い場合には 肝斑をコントロールする治療を先行して行ない 炎症を鎮め、
その後通常のシミの治療へと移行したほうが、遠回りのように見えて トラブル回避としても重要な方法なのです。
トラネキサム酸の内服は鉄則
肝斑を含むシミの治療の場合に重要な点は トラネキサム酸の内服をしっかり行うことです。
トラネキサム酸は「抗プラスミン薬」と言われ プラスミンを阻害して、メラニンをつくるための情報伝達をブロックすることができます。この作用は 肝斑の改善のみならず 肌で起きる様々な微細な炎症も軽減してくれる効果があり、美白効果が期待できます。
トラネキサム酸の内服をベースとしてしっかり行うことが 他の治療に大きく反映してくれます。
肝斑コントロールに「肝斑改善集中プラン」
肝斑のコントロールには 通常当院では 肝斑改善集中プランを用いて治療を勧めます。炎症を鎮めつつ メラニン排出を少しずつ行ないます。
日々のスキンケアで擦ることが 悪化要素ですので、スキンケアの改善も必須です。
相互協力で治療を進めていく事が重要なのです。
シミ全般はルビーフラクショナルで対応
肝斑の症状がコントロールできたら 残ったシミの治療へと移ります。
ルビーフラクショナルを主に使用しています。
所謂シミとりレーザーを 細かいドット状に分割し 照射を行うことで 赤みなどのダウンタイムを最小限度に留めつつ 光治療を超える効果を発揮します。
加えて治療後の回復を補助するため ヒアルロン酸導入を併用します。
肝斑が軽度なら ルビーフラクショナルで初めから治療も可能な場合も
肝斑の症状が軽度な場合 ルビーフラクショナルで初めから治療を行うことも可能です。
この場合には トラネキサム酸の内服やヒアルロン酸導入を併用することになりますが、
現時点では この形での治療がベターでしょう。
肝斑・シミが混在する際に必要な治療期間はどのくらい?
この質問はよく頂くものですが、シミ肝斑の症状は 個人毎に大きく異なり一概にお伝えすることができません。
また ゴールをどのように設定するのか によっても 治療期間は変わってきます。
治療開始時の症状は 皆さん異なります。
治療期間は その症状 何処まで改善を希望されるか に依存します。
肝斑が非常に軽度で シミもそれほど多くないような場合には 半年ほどで目処が立つ場合も多いのですが、
肝斑の症状も強く シミも多いような場合には 長期に及ぶことになります。
どの程度までの改善をご希望されるのか
また、どの程度までの改善をご希望されるかによっても期間は大きく変わってきます。
ある程度の改善で満足していただけるのであれば比較的短期間でしょうが、シミを根絶したいと考えられていらっしゃるのであれば、その期間は長期に及びます。
治療に伴うトラブル
治療に伴うトラブルとして よくある例としては 前述のトラネキサム酸内服を 継続していただけない場合に 最も多く見られるように思います。
皮膚表面での炎症を軽減してくれる効果が有る反面 単体での効果が見えるまでには時間がかかるために 効果がないと自己判断で中止される場合も散見されます。
この場合 内服しているものと思って照射をしてしまうと 場合によって 肝斑が悪化してしまうことも考えられるのです。
内服の継続を その都度お願いしているところです。
その他 考えられる副作用としては レーザーを使用する宿命として 火傷や随伴する色素沈着などの可能性はあります。
まとめ
肝斑がある場合 他のシミ・ソバカスが混在することは常です。しみを先に取って欲しいと言われることは多いのですが、無理な場合も多いため、まず肝斑の治療を優先し その後シミの治療へと移行します。
遠回りのように見えて このプロセスを経たほうが 結果としての最短距離だと思います。