ルビーレーザーとYAGレーザーの違いについて

2013年3月27日

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> 初めて質問させて頂きます。
> ルビーレーザーはYAGレーザーよりも性能が悪いので、ルビーレーザーがYAGレーザーよりもシミが取れるわけはないと書いているブログを読みました。心配になって調べてたらそちらでは両方使っているので、どのように考えているのか教えて下さい。

QスイッチルビーレーザーとQスイッチNdYAGレーザーの違いについて 調べられていらっしゃるのですね。(以下Nd-YAG=YAG)
どちらも工業用から医療機器に転用されてきたものであるということを ご理解ください。

単純に言えば、3準位系のレーザーであるQスイッチルビーレーザー と 4準位系のQスイッチYAGレーザーでは、出力では、4準位の方が高くなります。効率も良いです。以上から、出力の取り出しやすさ、より高出力のレーザーを取りだせるのは、当然YAGレーザーです。

レーザーとしては、当然YAGの方が 効率が良く高出力で出せるものですから、こちらが、高性能です。間違い無いです。

事実 工業,研究機関では、YAGレーザーが多く使用され、ルビーレーザーは、もはや医療系それもシミ(ほくろ)の治療のみでしか 使用されていないものとなっているようです。

では、何故 Qスイッチルビーレーザーが、現在でも使用されているのでしょう。
別に 技術が進んでいるのにも関わらず 古い先生方が固執しているから、と言うことではありません。

対象が 「肌のシミ」 となった場合に、話が変わってきます。
現実問題として、使用感からすると、通常のシミの治療では、YAGよりも ルビーレーザーの方が 効果が高い印象です。調度良いといったほうが良いのでしょうか。

皮膚のシミを相手にしていますから、かなりの高出力を要求されることはありませんので、出力として、YAGレーザーの方が高出力を出すことは可能でしょうが、シミの場合には、一般的な医療用Qスイッチルビーレーザーでも 遜色なく出せる程度の出力で治療が行われます。問題となるとすれば、YAGレーザーでは、1秒間に10発程照射*(10Hz) することができたりしますが、ルビーレーザーでは、速く打てる機種でも 1秒間に2発程(2Hz)しか出ませんので、時間はかかるように感じるでしょうが、シミを照射するわけですから、マシンガンのように照射することもありません。*(医療用の場合 工業用では100Hz等もあるようですが、医療用では手に余ります。)

ルビーレーザーが、YAGレーザーよりも 都合が良いと考えられる点は、パルス幅です(性能が高いという意味では必ずしもありません)。レーザーが照射されている時間です。Qスイッチという機能で非常に短い時間(光が数メートル進むほどの時間)で、大きなエネルギー量を照射し、治療効果を得るのですが、このレーザーが照射されている時間「非常に短い時間」がパルス幅です。(雑な説明ですいません。)

YAGレーザーは、性能も高いので、照射の際に 6~8ns(ナノ秒) という非常に短い時間で照射されます。

それに対して、ルビーレーザーは、 20~40ns という時間で照射されます。ちなみに 同様のQスイッチレーザーでは、アレキサンドライトレーザーも有り、コレは50~100ns です。

上記3種類のレーザーで、同一量のエネルギーを使用した場合には、単位時間あたりに使用されるエネルギー量は、当然YAGレーザーが一番強くなるのですが、「シミの治療」と考えた場合 短すぎて 肌への影響が強すぎることが出てきます。皮膚表面のシミの場合には、半波長532nmを使用しますが、色素沈着のリスクは、ほかの2種と比較すると大きくなってきます。ルビーレーザーの694nmぐらい少し長めのほうが 少々マイルドに効いてくれているのだと思います。

ルビーレーザーでは、20~40nsであることが、シミの反応には、調度良い ということなのだと思います。因みにQスイッチアレキサンドライトレーザーは、以前は、100ns以上時間がかかるので、切れが悪いと言われていましたが、現在出てきている機種は、50nsと短くなってきたことで、評価が上昇してきています。波長の差によって 治療効果も変わりますが、Qスイッチレーザーとして、より大きな要素はパルス幅による差なのだと思います。パルス幅が短すぎても長すぎても良くないのでしょう。

回答として良いかどうかわかりませんが、 Qスイッチルビーレーザーは、レーザーとしての性能はYAGレーザーよりも劣るが、シミの治療には調度良かった。」から使用されている。ということになります。

うちのクリニックでは、少々贅沢をさせていただいており、QスイッチYAGレーザーとQスイッチルビーレーザーを使用させていただいてます。これは もっぱら2種類のパルス幅のQスイッチレーザーを使用したいからです。 QスイッチYAGレーザーは別名タトゥーレーザーというぐらい 刺青除去には欠かせない機種です。半波長の532nmでは、赤の治療もできます。ルビーもあるので、緑の治療には欠かせません。色によってレーザーを使い分けると、より取りやすくなります。1秒間に10発出るYAGレーザーは タトゥー除去で、ルビーレーザーとは比べ物にならないぐらい 高速で治療ができます。