学会出席とレーザートーニング

2015年4月14日

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年度が変わり4月からは学会が続きます。先週京都の学会に出席してきました。知見を広めるためには、定期的に幅広い分野の情報を得る努力が必要なのだと いつも考えています。

最近のトピックであるピコ秒レーザーが2機種展示されていたため、大変興味深く見学させて頂きました。大変興味深いものでしたが、当院にとっては時期尚早と思わざるを得ず また 現状の適応が非常に限られているため、エイジングケアなどに適応範囲が広がることを祈る次第です。

レーザートーニングに関する討論

レーザートーニングという治療法を知ってらっしゃる方も多いと思います。もはや「肝斑専用レーザー治療」というような認識さえも与えられているようになっている治療法です。レーザートーニングが 今回大きく注目を浴びました。

レーザートーニングは 是か非か

レーザートーニングは 現在以下の様な定義の治療法となっています。

Qスイッチレーザーを低出力で照射することで 肝斑を始めとする様々な色素斑の改善を促す治療法

レーザートーニングは 肝斑治療で一定の改善効果が得られている報告が多数寄せられている反面 副作用も報告されるようになってきました。そのため肝斑治療に本当に効果的なのか このような疑問が呈されるようになったのです。

安易なレーザートーニングに苦言

レーザートーニングは 従来のロングパルスレーザーを低出力照射することで得られた美肌効果の延長線上にある治療法だと考えていますが、このレーザートーニングは一手段であるにもかかわらず、「この照射さえ行えば肝斑が治る!!」 というような半ば強引な形で行われるようになってきたことに 疑問が呈されました。

レーザートーニングを(議論は必要であるが)完全否定するものではなく 条件が重要であるということです。

レーザートーニングを行う条件

レーザートーニングは 議論の余地が有るにせよ 適切な条件で行うべきです。今回の討論では概ね以下の様な内容となっています。

医師が照射をする

肝斑にレーザートーニングを行う施設が多数派である中で 発表されている先生方は (当然でも有るのですが)ご自身で照射されています。肌状態を観察しながら その反応を見極めながら治療するわけですので、医師以外の人間が照射することは否定されていました。

十分な知識のないものに 微妙な加減を必要とする照射を任せることは 倫理的にも問題となるのでしょう。

トラネキサム酸の内服・外用を併用する

肝斑治療では トラネキサム酸の内服をベースとすることが必須条件と考えています。今回の討論の中でも トラネキサム酸の内服を前提としていることが発表されている先生方の施設では 前提とされているようです。しかしながら トラネキサム酸の内服をどうしてもしていただけない肝斑の方に どのような提案ができるかということで レーザートーニングは良い選択肢の一つ となりますが、 併用を必要条件として考える必要があります。

医師以外が照射する施設への苦言

レーザートーニングは 一部の施設では ほぼ万能の治療法として位置づけられていることもあります。レーザートーニングさえ行えば肝斑が改善する というように薦められることも有るでしょう。しかし 実際には内服外用剤を基本とした上で 適切な診察の上照射を行うことで より良い効果が得られるものと考えたほうが良いのです。

討論では 医師以外が照射するような施設で副作用が起きていることを危惧する 提言がありました。あまり知識の十分でないスタッフにレーザートーニングをさせる様なことは 肝斑だけでなく様々な改善効果が期待できるこの方法の発展を阻害するものでも有ることでしょう。

レーザートーニング自身の再現性の問題も 興味深く拝聴させて頂きました。

まとめ

当院で行なっている 肝斑改善集中プランは レーザートーニングとトラネキサム酸を主軸として形成しています。常に肌状態の変化を診つつ 肝斑を少しずつ改善させるという点において適当であると考えています。肝斑改善は時間のかかるものですが、継続しやすい形といえるのではないでしょうか。

また、レーザートーニングは 肝斑だけでなく 炎症後色素沈着の改善などにも効果的であり 一概に否定されるものでもありません。再現性の問題はありますが、低出力照射のメリットを活かすことが重要だと思います。

また、レーザーの中空照射を行う際に どのような出力変化になるのか ということも議論の中にありました。レーザーと聞くと どこまでも一定の幅で出て行くと思われる方も多いと思いますが、実際は収束し拡散します。

多数のYAGレーザーでは 機種によりますが 焦点が照射目標よりも遠くにあるため、 少し距離をつけると出力的には上がっていきます(focused beam)。ただし ハンドピースより前に焦点を設けている機種の場合には弱まります。また、ハンドピース内でcollimated beam(平行ビーム) を形成する機種もあるなど、使用する機器によって様々です。