サブシジョンRF

サブシジョン(=Subcision)とは 皮下に癒着がある部位を剥離する方法です。

サブシジョンRFは 皮膚深層~皮下より ニキビ跡の陥凹に伴う 瘢痕部分を剥離し 高周波(RF)で周囲を加熱 コラーゲン増生を促進させることで にきび跡の改善を促します。更に一連の施術で ヒアルロン酸などの充填剤を併用することが出来ます。これによって 瘢痕部位の再癒着を軽減。治療効果をさらに高めることが出来ます。

陥凹で引き込まれる線維組織をカットする。

ニキビ跡治療では下記の対策を複合的に行う必要があります。

  1. 肌を少しずつ入れ替えを行う
  2. 真皮層のコラーゲン増生を促進させる
  3. 真皮~皮下で引きこまれている結合織を処理する

1.2の治療は多くなされていましたが、3は古典的な手法の一つでありながら 日本ではあまり受け入れられなかった経緯があります。

サブシジョン・RFでの治療の実際

サブシジョンRFは 上記2と3 加熱と剥離を同時に行うことが出来ます。今までサブシジョン(皮下剥離)を行なうためには 針・ワイヤースカルペル等で行なうしかありませんでしたし 同時に加熱は出来ませんでした。

サブシジョンRFは 治療部位を麻酔し 専用カニューラを挿入したのち、以下のように治療を進めていきます。

癒着をカット

癒着をカット

皮膚の陥凹部は 線維組織によって下部に引き込まれています。そこで癒着している下部を 特殊な形状の先端でカットしリリースします。

高周波で熱を加えます。

RF照射

皮膚深層の癒着を剥離することで 引き込まれが軽減されます。その場所で 必要に応じて高周波を発生させ熱影響を与えます。この作用で コラーゲン増生が促進され陥凹部位の改善が期待できます。

ヒアルロン酸などの注入材を併用

注入 フィラー注入

剥離を行なうことで 陥凹の症状は軽減されます。さらに 再癒着を軽減しつつ足りないボリュームを足す目的で ヒアルロン酸等の充填を必要に応じて行ないます。新たにコラーゲン増生が得られる間の維持にもこのような方法は 必要になります。

万能ではない。しかし幅広い適応性。

サブシジョン(RF)によるニキビ跡治療は 残念ながら万能な方法ではありません。にきび跡の形や硬さによって その効果は左右されます。

にきび跡の形

サブシジョンの図

にきび跡には大きく3種類あります。

  1. アイスピックスカー: キリで穿ったようなニキビ跡  真皮を超えていることも多い
  2. ボックスカー: 底が平坦で 丸め  浅いものと深いもので分けることが多い。
  3. ローリングスカー: 底面が筋膜などに癒着していたりして 波打っているようにみえる

1のアイスピックスカーは 牽引部位を剥がすことができると思いますが、サブシジョンの効果はあまり高くありません。

2のボックスカーは、中程度~大きなものが対象となります。細かいボックスカーはフラクショナルアブレーション。

3番のローリングスカーには一番効果的と考えられています。筋膜との癒着を剥がし、引き込まれている部位を改善させることがで可能です。

にきび跡の硬さ

サブシジョンで けん引する瘢痕組織を剥離しても十分に引き上がらない場合があります。多くの場合は、上部のにきび跡の瘢痕組織が固く 伸展してくれないことに起因します。せっかく持ち上がっても その形で盛り上がることになったりします。

サブシジョンを行えば何でも解決するわけではなく にきび跡の硬さを取り除いて上げる必要があります。

そこで重要になる治療法が 各種フラクショナル機器です。瘢痕部位を少しずつ入れ替えていくことで にきび跡を柔らかくぼかしていってくれます。この段階で 必要であればサブシジョンを行うことで、効率よく治療を進めていくことが出来ます。相乗効果が十分得られる方法です。

にきび跡を指で伸展させて 広がる 平らになる ようでしたら サブシジョンの効果が期待できます。

治療間隔

皮膚は元の形に戻ろうとする力があります。そのため複数回必要となります。
サブシジョンRFは 瘢痕部位を剥離し、必要に応じて熱影響を同時に与えることが出来る機器ですが、その作用が強いため、数ヶ月に1度のペースで必要に応じて行ないます。

リスク

皮膚深層~皮下を剥離しますので、術後の腫れ・内出血があります。

皮膚を下層から強力に加熱することができる機器ですので、表面まで赤みや熱傷が起きる場合も考えられます。皮膚表面の皮剥けなどが起きることがあります。強力な効果があることの裏返しの作用とも言えます。

フラクショナルアブレーションとの併用

サブシジョン(RF)のニキビ跡治療は 単体で完結するようなものではなく 複合的な治療が その効力を発揮します。ニキビ跡治療の主体はあくまでフラクショナル機器です。その効果を高める目的で使用する形が 適切な方法と考えています。

なんでもサブシジョン(RF)を行えば良い というものではなく 初めにフラクショナルアブレーションで肌の置換を行ない ある程度の改善を見てから適宜使用することが良いと考えています。

施術料

サブシジョン・サブシジョンRF

2cm✕2cm 1回 38,500円
5cm✕5cm 1回 77,000円
広範囲
(5cm✕5cm 2部位程)
1回 110,000円
  • ヒアルロン酸他消耗品を含みます。
  • 2cm✕2cm 5cm✕5cm は一続きの領域を指します。分割はできません。
  • 「広範囲」は5cm✕5cmの範囲が2箇所程を指します。治療範囲についてはご相談いただければと思います。
  • ご希望部位によっては サブシジョン(RF)の適応外となることがあります。
  • ヒアルロン酸の追加が必要な場合 追加料金がかかります。

追加料金

追加ヒアルロン酸 1ml 88,000円
ACRS療法 作成費用 88,000円
1回 88,000円
プロファイロ 1回 154,000円

 

参考文献(作成中)

Orentreich DS, Orentreich N. Subcutaneous incisionless (subcision) surgery for the correction of depressed scars and wrinkles. Dermatol Surg. 1995;21(6):543-549

Goodman GJ. Therapeutic undermining of scars (Subcision). Australas J Dermatol. 2001;42(2):114-117.

Barikbin B, Akbari Z, Yousefi M, Dowlati Y. Blunt blade Subcision: an evolution in the treatment of atrophic acne scars. Dermatol Surg. 2016; 43: S57- S63.