サブシジョン・マイクロサブシジョンSubcision / Micro-Subcision|仙台

ニキビ跡の癒着を剥離し 陥凹の改善を促します。

レーザー治療を重ねてきたのに、頬の凹みだけが残っている。光の当たり方によって、凹凸がはっきり見える。そうしたご相談は少なくありません。

表面をいくら入れ替えても平らにならない凹みは、皮膚の下から何かに引っ張られていることがあります。その「引っ張っているもの」を切り離す施術が、サブシジョンです。

ソララクリニック(仙台市青葉区)では、針を使わずレーザー圧・ガス圧で行うミラジェット・イノジェクターを中心に、必要に応じてカニューレを用いる方法を加えています。いずれもサブシジョンで、違うのはやり方と、届く層です。

このページの要点

  • サブシジョンは、凹みを下方向へ引き込んでいる線維性の癒着を切り離す施術です。
  • サブシジョンにはやり方が複数あります。当院の中心は針を使わないミラジェット・イノジェクターで、癒着が深く強固なところにだけカニューレを用いる方法を加えます。
  • 「マイクロサブシジョン」は後からついた呼び名で、行っているのはサブシジョンそのものです。
  • 治療間隔は最短でも2か月はあけます(それ以上あいても問題はありません)。実際には2〜3か月に1回のペースで受けられる方がほとんどです。
  • ダウンタイムの実体は内出血ではなく挿入跡・注入跡の回復で、3日〜1週間程度です。
  • 再癒着は防げません。ヒアルロン酸は、再癒着までの時間を稼ぐために併用します。

この記事の目次

  1. サブシジョンとは
    1. 当院で用いる3通りの方法
  2. 癒着のある層と、凹みの大きさで方法を選ぶ
    1. 凹みを引っ張っているものは、どの深さにあるか
    2. サブシジョンは「何で行うか」で剥がせるものが変わります
    3. ミラジェット Forte MIRAJET
    4. イノジェクター INNOJECTOR
    5. カニューレによるサブシジョンを加えるとき
    6. ニキビ跡の型で見たときの向き・不向き
    7. 必要なところに限って行う
    8. 皮下を剥がしただけでは変わらない凹み
    9. 「サブシジョンは効果がない」と言われるのはなぜか
    10. ご自身で確かめる方法
  3. 治療の実際 ── サブシジョンを行うときの流れ
    1. 所要時間と麻酔
    2. 癒着を切離する
    3. 必要に応じて熱を加える
    4. ヒアルロン酸などの注入材を併用する
  4. 再癒着は防げるのか
    1. 「戻る」と「元どおりになる」は違います
  5. 回数・治療間隔と、効果が出るまでの時間
    1. 何回必要か
    2. 治療間隔
    3. 効果はいつごろから出るか
  6. ダウンタイム・内出血・腫れ・しこり
    1. ダウンタイムの実体は「挿入跡・注入跡の回復」
    2. 内出血はかなり少ない
    3. 腫れ
    4. しこり
  7. 併用する治療
    1. なぜ組み合わせる必要があるのか
    2. 用いる機器と順序
  8. 施術料
    1. サブシジョン
    2. マイクロサブシジョン
    3. 追加料金
    4. 顔全体の治療をお考えの場合
  9. よくあるご質問
  10. 参考文献
  11. リスク・副作用・禁忌
    1. 主なリスク・副作用
    2. 治療をお受けいただけない場合
  12. 自由診療・未承認機器等について

サブシジョンとは

サブシジョン(subcision)は、ニキビ跡の凹みを下方向へ引き込んでいる線維性の癒着を、皮膚を切開せずに内側から切り離す施術です。癒着が外れることで凹みの底が持ち上がり、その後に起こるコラーゲンの造成によって、凹凸がなだらかになっていくことを期待します。

「切らない(incisionless)皮下手術」として1995年に名づけられた手技で、当初は先端に刃のついた注射針を皮下に通し、その縁で癒着を切離する方法でした。現在は、先の丸いカニューレ(鈍針)や、針を使わずに剥離を行う機器へと広がっています。

ニキビ跡の治療で必要になること

  1. 肌を少しずつ入れ替える
  2. 真皮層のコラーゲン増生を促す
  3. 真皮〜皮下で引き込まれている結合織を処理する(=サブシジョン)

1と2にあたる治療は以前から広く行われてきましたが、3にあたるサブシジョンは、古典的な手法でありながら日本ではあまり受け入れられなかった経緯があります。近年になって、針を使わずに、より浅い深さの癒着を剥離できる機器(「マイクロサブシジョン」と呼ばれることがあります)が登場し、扱える範囲が広がりました。

当院で用いる3通りの方法

方法 剥がし方 一度に扱える量・範囲 向いている凹み
ミラジェット 点で、こまかく 微量・高速(レーザー圧)
出力と重ね打ちで調整
細かい凹み・微細な癒着
イノジェクター 面で、まとめて 1回50〜200μLを渦巻き状に注入
当院の常用は150μL
中〜大程度の凹み
カニューレによる
サブシジョン
皮下に入って、線を切る 挿入口から複数方向へ剥離 脂肪の萎縮を伴う大きなローリング型

違いは、どこを、どう剥がすかです。ミラジェットの繊細さと、イノジェクターの広がりは別の性質であって、どちらが優れているという関係ではありません。カニューレは、皮下の強固な癒着に対して加えます。

どの方法を使うかは、肌の状態を診たうえで医師が判断します。機器名がわからなくてもご心配はいりません。

癒着のある層と、凹みの大きさで方法を選ぶ

ここがこのページで最もお伝えしたい部分です。サブシジョンで結果が変わるのは、器具の新しさではなく、癒着のある層に合った方法を選べているかどうかだと考えています。

当院で日常的に行っているのは、針を使わずレーザー圧・ガス圧で行うサブシジョン(ミラジェット・イノジェクター)です。カニューレを用いる方法は、それでは届かない深さの癒着に対して加えます。

→ 横にスライドしてご覧いただけます

癒着のある層と、届く方法皮膚の断面を2つ並べた図です。左は癒着が真皮の中で完結している場合で、真皮の中に届く方法(ミラジェット・イノジェクター)が対応します。右は皮下脂肪や筋膜との間に癒着がある場合で、カニューレによるサブシジョンが対応します。凹みを引っ張っているものは、どの深さにあるか同じ「ニキビ跡の凹み」でも、癒着のある層によって届く方法が変わりますPATTERN 01真皮の中で完結している癒着ここより下には癒着がないMETHODミラジェット / イノジェクター真皮の中の癒着に届く。出力で深さを設定しますPATTERN 02皮下脂肪・筋膜との癒着筋膜まで引き込まれているMETHODカニューレによるサブシジョン皮下脂肪・筋膜との癒着に届く。必要な範囲に限って行います表皮真皮皮下脂肪筋膜※ 実際の凹みは複数の型が混ざり合っています。どの方法を用いるかは診察のうえで医師が判断します。
図1: 凹みを引き込んでいる癒着が、真皮の中で完結しているか、皮下脂肪・筋膜にまで及んでいるかで、届く方法が変わる
監修:佐藤雅樹(ソララクリニック院長)

凹みを引っ張っているものは、どの深さにあるか

ニキビ跡の凹みは、真皮の組織が失われただけのものもあれば、皮膚の下にできた線維性のひきつれによって、下方向へ引き込まれているものもあります。この「引き込み」がどの深さで起きているかは、一様ではありません。

  • 真皮の中で完結している癒着 ── 皮膚の厚みの範囲内にとどまるもの
  • 皮下脂肪や筋膜との間にできた癒着 ── 皮膚より深いところから引っ張っているもの

この違いが、そのまま方法の選択につながります。深いところの癒着には深いところへ届く方法を、浅いところの癒着には浅いところで働く方法を選ぶ、という考え方です。

サブシジョンは「何で行うか」で剥がせるものが変わります

サブシジョンは、もともと刃のついた注射針で皮下の癒着を切り離す手技として始まりました。その後、先の丸いカニューレや、針をまったく使わずにガス圧・レーザー圧で皮膚の中に剥離を起こす機器へと広がっています。

ここは誤解されやすいところです

イノジェクターやミラジェットで行っていることは、サブシジョンそのものです。「マイクロサブシジョン」という呼び名は、これらの機器が登場したあとについたもので、院長がサブシジョンを始めた頃にはまだ存在しませんでした。針で行うか、カニューレで行うか、ガス圧やレーザー圧で行うか──サブシジョンの「やり方」の違いであって、別の治療ではありません。

そして、やり方が違えば剥がせるものが変わります。当院で日常的に行っているのは、針を使わずにレーザー圧・ガス圧で行う次の2機種です。

この2機種で、ほとんどのニキビ跡の凹みに対して剥離を行えるようになりました。

ミラジェット Forte MIRAJET

ミラジェット Forte(サブシジョンに用いる機器)本体レーザー圧で薬液を加速させ、細かいところ・微細な癒着を剥がすのに向いた方法です。

  • レーザー圧で薬液を 音速を超える速さまで加速し、マイクロジェットとして送り込む
  • 微量・高速のため、こまかい範囲を一点ずつ扱える
  • 出力の設定と重ね打ち(スタッキング)によって、硬い瘢痕にも働きかけられる
  • 皮膚へのマイクロダメージが線維芽細胞を刺激し、コラーゲン・エラスチンの造成を促す

一点ずつ狙える反面、広い面を一度に剥がすには向きません。そこはイノジェクターが受け持ちます。

ミラジェット Forte のページへ

イノジェクター INNOJECTOR

イノジェクターが皮膚内へ薬液を高圧で噴射するところを示した図ガス圧で薬液を渦巻き状に送り込み、広い範囲をまとめて剥がすのに向いた方法です。

  • 注入孔の直径 100μm/噴射速度 180m/秒
  • 1回の注入量は 50〜200μL を調整可能(当院の常用は 150μL
  • 薬液を渦巻き状に広げるため、一度に扱える範囲が広い
  • 出力の設定で働く深さを変えられるため、浅い癒着から深い癒着まで、同じ機器で扱えます(詳しくは参考文献をご覧ください)

面でまとめて扱える反面、一点だけを細かく狙う用途には向きません。そこはミラジェットが受け持ちます。なお、同じ機構を持つ機器は限られます。

イノジェクター のページへ

いずれも、剥離によって平坦化した部位へ各種レーザーを照射することで、周囲との均一化を図れる点が利点です。剥離と肌の入れ替えを同じ日のうちに重ねられるため、治療の効率が上がります。

2機種の関係は、優劣ではなく剥がし方の違いです。点で細かく剥がすのか、面でまとめて剥がすのか。

そして実際には、ほとんどの場合、両方を使います。ニキビ跡は一つひとつ状態が違い、同じ顔の中に深い凹みも浅い凹みも混ざっているのが普通だからです。どちらをどれだけ使うかが、凹みの状態と剥がす部位によって変わります。

当院のニキビ跡治療プログラム(S+・A+・B+)も、この2機種を両方使うことを前提に組み立てています。

カニューレによるサブシジョンを加えるとき

ガス圧・レーザー圧では届かない深さに癒着がある場合に、カニューレを用いる方法を加えます。すべての方に行うものではありません。

カニューレを用いる方法が本当に必要なケースは、以前よりだいぶ減りました。ミラジェットにイノジェクターを加えられるようになったことで、大半の凹みはこの2機種で剥離まで対応できるようになったためです。それでも届かない深さに癒着が残っている場合に、カニューレを用いる方法を加えます。

働く範囲

カニューレによるサブシジョンは、皮下脂肪や筋膜との癒着を伴う引き込みに働きます。とくに脂肪の萎縮までを伴う大きなローリング型の凹みでは、受け持ちどころのはっきりした方法になります。皮膚より深いところにある癒着を剥がし、下から支えを取り戻すという考え方になります。

逆に言えば、この方法が働く範囲は皮膚より深いところです。凹みの原因が皮膚の中にとどまっている場合、いくら皮下を丁寧に剥がしても、引っ張っている本体には触れていないことになります。

ニキビ跡の型で見たときの向き・不向き

ニキビ跡の凹みは、形によって大きく3種類に分けられます。型によって癒着のある場所の傾向が変わるため、主役になる方法と、行う順序も変わります。次の図が、当院での組み立て方の全体像です。

→ 横にスライドしてご覧いただけます

型ごとの組み合わせと順序アイスピック型・ボックスカー型・ローリング型のそれぞれについて、サブシジョンとの相性と、実際に用いる機器の順序を示した図です。カニューレによるサブシジョンは、ローリング型で癒着が強固な部分にのみ用います。型ごとに、何をどの順序で組み合わせるか同じ「ニキビ跡の凹み」でも、型によって主役になる方法と順序が変わりますTYPE 01アイスピック型ice pick真皮の底直径 2mm 未満針で刺したような細く深い穴サブシジョンとの相性細く深く落ち込んだ形のため、剥離しても持ち上がりにくい型です実際の進め方1Er:YAGレーザーを瘢痕孔の内部へ管状の構造を縦方向に再構築します2マイクロサブシジョン挙上を助ける範囲で併用します※ パンチ切除は、傷あとがかえって大きく  なりうるため、基本的に選びませんTYPE 02ボックスカー型boxcar真皮の底直径 1.5〜4mm 程度縁がはっきりし、壁が垂直サブシジョンとの相性持ち上がる型ですが、縁の段差が残りやすい形です実際の進め方1イノジェクター全体を大まかに持ち上げます2ミラジェット残った細かい凹凸を拾います※ 垂直に切り立った壁は、削らない方針ですTYPE 03ローリング型rolling真皮の底直径 4mm 以上縁が不明瞭でうねる起伏サブシジョンとの相性皮下の癒着が引き込んでいる、剥離の適応がはっきりした型です実際の進め方1イノジェクター広い範囲をまとめて剥離します2ミラジェット残った細かい凹凸を拾います3カニューレによるサブシジョン限定癒着が強固な部分にだけ行いますいずれの型でも、Fotonaフラクショナル・PQXフラクショナルによる肌の入れ替えを同じ日に並行して行いますカニューレによるサブシジョンを用いるのは、ローリング型のなかでも癒着が強固な部分に限られます※ 実際の凹みは複数の型が混ざり合っているのが普通です。ご自身で見分けていただく必要はありません。どの方法を用いるかは診察のうえで医師が判断します。
図2: ニキビ跡の型ごとに、何をどの順序で組み合わせるか
監修:佐藤雅樹(ソララクリニック院長)

図に補足すると、それぞれ理由があります。

アイスピック型

サブシジョンが主役にならないのは、細く深く落ち込んだ形が、周囲を剥がしても持ち上がる構造になっていないためです。そこで瘢痕孔の内部そのものに働きかけます。パンチ切除という選択肢もありますが、傷あとがかえって大きく残りうるため、当院では基本的に選んでいません。

ボックスカー型

剥離で持ち上がる型です。イノジェクターで全体を大まかに持ち上げ、残った細かい凹凸をミラジェットで拾う、という進め方をします。凹みが浅い場合は、ミラジェットだけで足りることもあります。

一方、垂直に切り立った縁を削って平らにする方法は、かえって大きな傷あととして残ることが多いため、当院では行っていません。削るのではなく、少しずつ入れ替えて柔らかくしていくほうが、境目がなだらかになっていきます。

ローリング型

この型でだけカニューレが登場するのは、皮下の癒着が引き込んでいることがはっきりしている型だからです。それでもまず広い範囲をイノジェクターで剥離し、残った細かい凹凸をミラジェットで拾います。そのうえで癒着が強固なところにだけカニューレを加えます。カニューレを用いるのは、こうした場面に限られます。

ただし、実際の凹みはこれらの型が混ざり合っているのが普通です。同じ顔の中に、深い癒着によるものと、皮膚の中で完結しているものが同居しています。だからこそ、ひとつの方法だけで通すのではなく、場所ごとに使い分ける必要が出てきます。

必要なところに限って行う

当院では、カニューレによるサブシジョンを必要な範囲に限って行っています。顔全体に広く行うことはしません。理由は2点あります。

ひとつは、範囲を限ることでダウンタイムが軽くなることです。剥離する面積が広がるほど、腫れも回復にかかる日数も増えます。効果が期待できる場所に絞れば、その負担を減らせます。

もうひとつは、部位によっては適さないことです。たとえば眉間は、解剖学的にカニューレを進めることが難しく、注意を要する部位です。こうした場所では、イノジェクターやミラジェットのほうが安全に扱えます。

サブシジョンをすべての凹みに適用できる方法と考えてしまうと、本来なら別の方法を選ぶべき場所まで同じ手技で行うことになります。どこに使い、どこには使わないかを決めることが、この施術では治療そのものと同じくらい大切です。

皮下を剥がしただけでは変わらない凹み

引き込みが皮膚の中で完結している凹みがあります。この場合、皮下をどれだけ丁寧に剥離しても、凹みを引っ張っている本体には触れていないことになります。

施術の直後は、腫れによって凹みが浅くなったように見えることがあります。ただし、その見え方は腫れが引くとともに戻ります。深いところに癒着がない凹みに皮下の剥離だけを行っても、変化を感じにくいのはこのためです。

「サブシジョンは効果がない」と言われるのはなぜか

結論から申し上げると、効果が出ない施術なのではなく、癒着のある層と、選んだ方法の届く層が合っていないと変化が出にくい、ということだと考えています。

原因① 癒着のある層と、選んだ方法が合っていない

真皮の中で完結している凹みに、皮下の剥離だけを行った場合を考えてみてください。施術直後は腫れで平らに見えますが、腫れが引けば元の見え方に戻ります。受けた側からすれば「効果がなかった」となりますが、起きていることは層の選択のずれです。

原因② 瘢痕が硬く、伸びてくれない

凹みの硬さも結果を左右します。癒着を剥がしても十分に持ち上がらないことがあり、多くは上部の瘢痕組織が硬く、伸びてくれないことに起因します。せっかく持ち上がっても、その形のまま盛り上がってしまうこともあります。この場合は、各種フラクショナル機器で瘢痕部位を少しずつ入れ替え、柔らかくしてから行うほうが効率よく進みます。

層が合っているか。瘢痕が伸びる硬さか。この2点が揃っていれば、サブシジョンは凹みに対して力を発揮します。逆にどちらかが外れていると、手技そのものは正しくても変化として現れにくくなります。

ご自身で確かめる方法

簡単な目安があります。凹みを指で左右に伸展させてみて、広がる・平らになるようであれば、サブシジョンの効果が期待できます。伸ばしても形が変わらない場合は、瘢痕そのものが硬い可能性があり、先に肌の入れ替えを進めるほうがよいと考えられます。

ただし、実際の凹みは複数の型が混ざり合っているのが普通です。ご自身で見分けていただく必要はありません。診察のうえで医師が判断します。

治療の実際 ── サブシジョンを行うときの流れ

この章は、カニューレによるサブシジョンを単独で行う場合の説明です。実際には、ニキビ跡治療プログラムの中で、必要に応じて同日に組み合わせて行うことがほとんどです。

所要時間と麻酔

サブシジョン単独の場合、1回あたりの治療時間は治療範囲によりますが、30分〜1時間程度です。治療範囲に応じて表面麻酔を30分行い、そのうえで局所麻酔(注射の麻酔)を追加します。麻酔をしたうえで行いますので、施術中の痛みは強いものではありません。

癒着を切離する

カニューレの先端で、凹みを引き込んでいる線維性の癒着を切り離すところを示した断面図

凹みを下方へ引き込んでいる線維を、カニューレの先端で切り離します

皮膚の陥凹部は、線維組織によって下方へ引き込まれています。麻酔のあと、専用のカニューレを挿入し、癒着している部分を先端の形状によって切り離します。カニューレの太さは、状態に応じて20G〜23Gを使い分けます。細いほど挿入時の負担は小さくなりますが、剥離する力は太いほうが得やすくなるため、凹みの状態を見て選びます。

挿入する場所の考え方

挿入する場所にも、考え方があります。

  • できる限り目立ちにくい場所を選ぶ
  • 左右で挿入口がそろわないようにする
  • 必要に応じて挿入口を複数設定し、複数の方向から剥離する

1か所の挿入口から一方向に剥がすだけでは、凹みを引っ張っている線維に届かないことがあります。線維は一方向に並んでいるとは限らないためです。どこから入り、どの向きに進めるかを設計することが、この施術の実際です。

挿入口を左右対称にしない理由は、万が一跡が残った場合に、左右そろっていると目につきやすくなるためです。細かい点ですが、こうした積み重ねが仕上がりに関わってきます。

必要に応じて熱を加える

癒着を剥離したあと、必要に応じて高周波で熱を加えるところを示した断面図

剥離した場所に、必要に応じて高周波による熱を加えます

皮膚深層の癒着を剥離すると、引き込みが軽くなります。その場所に、必要に応じて高周波(RF)を発生させ、熱の影響を与えます。この作用によってコラーゲンの増生が促され、陥凹部位の改善が期待できます。

従来、皮下の剥離を行うには針やワイヤースカルペルなどを用いるほかなく、剥離と加熱を同時に行うことはできませんでした。剥離した直後の場所に熱を加えられることは、この方法の利点のひとつです。

ヒアルロン酸などの注入材を併用する

剥離してできた空間にヒアルロン酸などの注入材を充填するところを示した断面図

剥離してできた空間に、必要に応じて注入材を充填します

剥離を行うことで陥凹は軽くなります。そのうえで、足りないボリュームを補う目的と、再癒着までの時間を確保する目的で、ヒアルロン酸などの充填を必要に応じて行います。この「時間を確保する」という考え方については、次の章で詳しくご説明します。

再癒着は防げるのか

再癒着を「防ぐ」ことはできません。

人の皮膚には、元に戻ろうとする力が非常に強くはたらきます。ヒアルロン酸を注入しても、癒着は徐々に戻っていきます。とくにカニューレによるサブシジョンでは皮下を剥離するため、注入したヒアルロン酸がその場に十分にとどまり続けること自体が難しいのが実際のところです。

では、なぜヒアルロン酸を併用するのか。目的は再癒着を防ぐことではなく、再癒着までの時間を稼ぐことにあります。剥がれた状態が保たれている間にコラーゲンの造成が進み、その分だけ凹みが浅くなることを期待しています。

「戻る」と「元どおりになる」は違います

癒着が戻ると聞くと、治療前の状態にそのまま帰ってしまうように思われるかもしれません。ただし、剥がれている期間に造成されたコラーゲンは残ります。そのため、戻ったとしても以前と同じ深さまで戻るわけではありません。

1回ごとに少しずつ浅くしていき、それを積み重ねていく。複数回に分けて行うのは、この積み重ねのためです。逆に言えば、1回で完成させようとする治療ではないということでもあります。

「ヒアルロン酸を入れれば元に戻らない」という説明を目にすることがありますが、皮膚の性質を考えるとそうはなりません。一度で終わる治療ではないことを、はじめにお伝えしています。期待の持ち方を最初に共有しておくほうが、経過を一緒に見ていくうえで納得しやすいと考えているためです。

回数・治療間隔と、効果が出るまでの時間

何回必要か

必要な回数は、凹みの状態と、どこまで改善させたいかによって変わります。ニキビ跡を完全になかったことにするのは、非常に難しいのが実際です。また、サブシジョンだけですべてを改善させることも難しく、肌の入れ替えを行う治療との組み合わせが前提になります。

そのため当院では、回数を先に決めるのではなく、経過を見ながら次の一手を判断していく形をとっています。同じ「5回」でも、深い凹みが数か所ある方と、浅い凹みが広く散らばっている方では、その5回の中身がまったく違うものになるためです。

治療間隔

ペース 最短でも2か月はあけます。回復のための期間がどうしても必要になるためです。実際には、2〜3か月に1回のペースで受けられている方がほとんどです。

これは「2か月ごとに受けていただく」という意味ではありません。次を行うまでに最低限あけていただく期間で、それ以上あいても差し支えありません。

間隔をあける理由は、剥離した部位が落ち着き、コラーゲンの造成が進むまでに時間がかかるためです。前回の変化が出きらないうちに次を重ねても、どこまで効いたのかが判断できず、必要のない範囲まで行うことになりかねません。変化を見てから次を決めるために、間隔が要ります。

効果はいつごろから出るか

サブシジョンの変化は、皮膚の創傷治癒の機転に沿って現れます。そのため数か月の時間がかかります。コラーゲンが造成され、凹みが浅くなっていくまでには、それだけの期間が必要になるとお考えください。

ただし、癒着が解除された直後からの改善も、見えないわけではありません。引き込みが外れることによる変化と、時間をかけて進む変化の2種類があると考えていただくとわかりやすいかもしれません。前者は比較的早く、後者は数か月かけて現れます。

なお、施術直後の「平らになった」という見え方には、腫れによるものも含まれます。本当の変化を判断するのは、腫れが引いてからになります。

ダウンタイム・内出血・腫れ・しこり

ダウンタイムについては、実際より重く伝わっていることがあるように感じています。順にご説明します。

ダウンタイムの実体は「挿入跡・注入跡の回復」

ミラジェット・イノジェクターの場合、注入跡が回復するまでに3日程度をみていただきます。カニューレによるサブシジョンでも、挿入跡の回復に数日程度です。いずれも3日〜1週間程度とお考えいただくのが実際に近いところです。

内出血はかなり少ない

内出血は、実際にはあまり見られません。カニューレは先端の丸い鈍針であるため、血管を傷つけにくいという性質があります。マイクロサブシジョン機器でも同様に、内出血はかなり少なくなっています。

先の鈍い器具を用いるという考え方は、報告のうえでも支持されています。先端を丸くしたブレードによるサブシジョンを行った18例の報告では、圧痛・眼窩周囲の斑状出血・腫脹がみられた例はあったものの、いずれも施術後1週間以内に完全に消失し、6か月後の観察でも持続する色素変化やしこりは認められませんでした。

ただし、内出血が起きた場合には、引くまでに1〜3週間かかることがあります。起きる頻度は高くありませんが、起きたときには時間がかかる、という性質のものです。大切なご予定がある場合は、余裕をみて日程をご相談ください。

腫れ

腫れが出た場合も、ピークは3〜4日程度です。当院ではマイクロサブシジョンが中心になるため、長引くことは多くありません。前の章でお伝えしたとおり、カニューレによるサブシジョンを必要な範囲に限っていることも、腫れを抑えることにつながっています。

剥離した面積と腫れの程度は連動します。広く剥がせば、それだけ腫れます。効果が期待できる場所に絞るという方針は、仕上がりのためだけでなく、日常生活への影響を小さくするためのものでもあります。

しこり

しこりが残ることは、あまり見られません。内出血が起きた場合に、その部分が一時的に硬く感じられることがありますが、その場合は経過をみていきます。気になる状態が続くようでしたら、次回の診察時にお申し出ください。

併用する治療

サブシジョンは、単独で完結する治療ではありません。肌の置換を促す治療と組み合わせることが前提になります。

なぜ組み合わせる必要があるのか

瘢痕組織が硬いままだと、下から持ち上げても十分に伸びず、戻りやすくなります。せっかく癒着を剥がしても、上の皮膚が硬ければ平らになりきりません。

そこで各種フラクショナル機器で瘢痕部位を少しずつ入れ替え、柔らかくぼかしていきます。柔らかくなった状態でサブシジョンを行うほうが、効率よく進みます。この段階を踏むことで、相乗効果が十分に得られます。

逆に、肌の入れ替えだけを続けても、深い引き込みがある凹みは平らになりにくいままです。表面からの働きかけと、深部からの働きかけの両輪が要る、というのが当院の考え方です。

用いる機器と順序

当院では、肌の入れ替えにFotonaフラクショナルPQXフラクショナルを用いています。あわせて、高出力プラズマや超音波機器のソフウェーブを組み合わせることもあります。どのプログラムでどれを使うかは、ニキビ跡治療のページでご説明しています。

施術の順序については、基本的にすべて同日に行います。どの順で行うかは、使用する機器の特性に応じて前後します。剥離を先に行ったほうがよい場合もあれば、先に肌を入れ替えてから剥離に移るほうが適している場合もあり、その日の目的によって組み立てます。

ニキビ跡治療は、剥離と肌の入れ替えの、どちらか一方だけでは十分になりません。当院では両方を組み合わせたプログラムを、ダウンタイム別にご用意しています。

ニキビ跡治療プログラム

施術料

サブシジョン

サブシジョンの料金は、基本料金区画数の合計で計算されます。ニキビ跡治療プログラム(S+/A+/B+)と同時に行う場合、基本料金は不要です。

サブシジョン 回数 料金
基本料金
ニキビ跡治療プログラム(S+/A+/B+)
と同時の場合は不要です。
1回 33,000
1区画
(2cm✕2cmまたは、4cm2以内)
1回 +38,500
  • ヒアルロン酸他消耗品を含みます。
  • ご希望部位によっては サブシジョン(RF)の適応外となることがあります。
  • ヒアルロン酸の追加が必要な場合 追加料金がかかります。
  • 区画は、分割されない連続する面と定義します。

マイクロサブシジョン

マイクロサブシジョン 回数 部位 料金
イノジェクター 1回 両頬 77,000
ミラジェット 77,000
ミラジェットでは、カートリッジ(消耗品)購入いただきます。
※目安は3回程ですが、出力・頻度によって変わります。
33,000

追加料金

追加ヒアルロン酸 1ml 88,000円

顔全体の治療をお考えの場合

顔全体にカニューレによるサブシジョンを行うことは適していません。顔全体の治療が必要な場合は、ニキビ跡治療プログラムのB+(全顔 110,000円/3か月以内に再度施術を受けられる場合 104,500円)を選択することが多くなります。

当院の治療はすべて自由診療(保険適用外)で、保険診療は行っておりません。

よくあるご質問

loader-image

1回で終わる治療ではありません。皮膚には元に戻ろうとする力が強くはたらくため、癒着を剥離しても徐々に戻っていきます。そのため複数回に分けて行い、そのつど少しずつ浅くしていく形になります。ニキビ跡を完全になかったことにするのは非常に難しく、サブシジョンだけですべてを改善させることも難しいのが実際です。肌の入れ替えを行う治療と組み合わせて進めます。

凹みの状態と、どこまで改善させたいかによって変わります。回数を先に決めるのではなく、経過を見ながら次の一手を判断していく形をとっています。治療の間隔は最短でも2か月はあけ(それ以上あいても差し支えありません)、実際には2〜3か月に1回のペースで受けられている方がほとんどです。

サブシジョンの変化は皮膚の創傷治癒の機転に沿って現れるため、数か月の時間がかかります。コラーゲンが造成され、凹みが浅くなっていくまでにはそれだけの期間が必要になるとお考えください。ただし、癒着が解除された直後からの改善も見えないわけではありません。

多くの場合、3日〜1週間程度です。ダウンタイムの実体は内出血ではなく、挿入跡・注入跡が回復するまでの期間になります。ミラジェット・イノジェクターでは注入跡の回復に3日程度、カニューレによるサブシジョンでも挿入跡の回復に数日程度をみていただきます。腫れが出た場合も、ピークは3〜4日程度です。

内出血は、実際にはあまり見られません。カニューレは先端の丸い鈍針であるため、血管を傷つけにくいという性質があります。マイクロサブシジョン機器でも同様に、内出血はかなり少なくなっています。ただし、内出血が起きた場合には引くまでに1〜3週間かかることがあります。起きる頻度は高くありませんが、起きたときには時間がかかる性質のものですので、大切なご予定がある場合は余裕をみて日程をご相談ください。

しこりが残ることは、あまり見られません。内出血が起きた場合に、その部分が一時的に硬く感じられることがありますが、その場合は経過をみていきます。

皮膚には元に戻ろうとする力が強くはたらくため、剥離した癒着は徐々に戻っていきます。ただし、剥がれている間にコラーゲンの造成が進みますので、戻ったとしても以前と同じ深さまで戻るわけではありません。この「少しずつ浅くしていく」積み重ねが、複数回に分けて行う理由です。

再癒着を防ぐことはできません。ヒアルロン酸を注入しても、癒着は徐々に戻っていきます。とくにカニューレによるサブシジョンでは皮下を剥離するため、注入したヒアルロン酸がその場に十分にとどまり続けること自体が難しいのが実際です。ヒアルロン酸を併用する目的は、再癒着を防ぐことではなく、再癒着までの時間を稼ぐことにあります。その間にコラーゲンの造成が進み、その分だけ凹みが浅くなることを期待しています。

部位によって、適した方法が変わります。眉間は解剖学的にカニューレを進めることが難しく、注意を要する部位です。こうした場所では、針を使わずに皮膚内の剥離を行うイノジェクターやミラジェットのほうが安全に扱えます。当院がカニューレによるサブシジョンを必要な範囲に限って行っているのは、こうした理由からです。

麻酔を行います。治療範囲に応じて表面麻酔を30分行い、そのうえで局所麻酔(注射の麻酔)を追加します。麻酔をしたうえで行いますので、施術中の痛みは強いものではありません。

顔全体にカニューレによるサブシジョンを行うことは適していません。顔全体の治療が必要な場合は、ニキビ跡治療プログラムのB+(全顔 110,000円/3か月以内に再度施術を受けられる場合 104,500円)を選択することが多くなります。サブシジョンを部分的に行う場合は、基本料金33,000円に1区画(2cm×2cmまたは4cm²以内)ごとの38,500円が加わります。ニキビ跡治療プログラムと同時に行う場合、基本料金は不要です。

「サブシジョン」と呼ばれる施術でも、用いる器具によって届く層が異なります。刃のついた針、先の丸いカニューレ、針を使わない空圧やレーザー圧の機器では、剥離できる深さも、起こりやすい反応も変わります。ダウンタイムや回数の説明が施設によって違って見えるのは、前提としている器具が異なるためであることが少なくありません。当ページの記載は、当院で用いている器具を前提としたものです。

目的が違うため、どちらが優れているという関係ではありません。はたらきかける場所が別だとお考えいただくのが近いです。

ダーマペンのように微細な針で皮膚に小さな傷をつくる治療は、治る過程でコラーゲンの造成を促すもので、主に皮膚の表層から真皮の上のほうにはたらきます。一方サブシジョンは、凹みを下方向へ引き込んでいる癒着そのものを切り離す施術で、はたらく場所は真皮の中から皮下になります。

引き込みのある凹みは、表面だけを入れ替えても平らになりにくいことがあります。逆に、癒着を切り離しても表面の瘢痕が硬いままでは、なだらかになりにくくなります。当院がサブシジョンと各種フラクショナルレーザーを同じ日に組み合わせているのは、表面からと深部からの両方が必要になるためです。

どちらを選ぶかではなく、どう組み合わせるかとお考えいただくのがよいと思います。当院では、肌の入れ替えにあたる部分をFotonaフラクショナルPQXフラクショナルが担い、必要に応じて高出力プラズマやソフウェーブを組み合わせます。組み合わせ方はニキビ跡治療のページでご説明しています。

当院の治療はすべて自由診療(保険適用外)で、保険診療は行っておりません。

参考文献

当ページの作成に当たり参考にした論文・資料をまとめています。ご参考になれば幸甚です。

loader-image

原題: Orentreich DS, Orentreich N. Subcutaneous incisionless (subcision) surgery for the correction of depressed scars and wrinkles

出典: Dermatol Surg. 1995;21(6):543-549.

PMID: 7773602DOI: 10.1111/j.1524-4725.1995.tb00259.x

要約:

「サブシジョン(Subcision)」という語を定めた原著です。刃のついた注射針を皮膚に刺入し、その縁で陥凹の下の皮下組織を切離するという手技を提示しました。皮膚を切開しないことから「切らない皮下手術」と位置づけられています。凹みが持ち上がるのは、癒着が解除される作用に加えて、その後の正常な創傷治癒の過程で結合組織が形成されるためであると説明されています。

原題: Goodman GJ. Therapeutic undermining of scars (Subcision)

出典: Australas J Dermatol. 2001;42(2):114-117.

PMID: 11309034DOI: 10.1046/j.1440-0960.2001.00492.x

要約:

陥凹性の萎縮性瘢痕をもつ2例に対して、真皮の剥離のみを治療として行い、輪郭の異常が改善した経過を報告しています。いずれも1回の施術で対応できた症例でした。手技の総説も併載されています。

原題: Barikbin B, Akbari Z, Yousefi M, Dowlati Y. Blunt Blade Subcision: An Evolution in the Treatment of Atrophic Acne Scars

出典: Dermatol Surg. 2017;43 Suppl 1:S57-S63.

PMID: 26885836DOI: 10.1097/DSS.0000000000000650

要約:

先端が丸く、縁が徐々に細くなる金属ブレードを用いたサブシジョンを18例に行った報告です。中等度から著明な改善が15例(83.3%)で得られました。圧痛・眼窩周囲の斑状出血・腫脹が一部にみられましたが、いずれも施術後1週間以内に完全に消失しています。6か月後の最終観察時点で、持続する色素変化やしこりは認められませんでした。先の鋭い器具ではなく鈍な器具を用いる意義を示した報告です。

原題: Seok J, Oh CT, Kwon HJ, et al. Investigating skin penetration depth and shape following needle-free injection at different pressures: A cadaveric study

出典: Lasers Surg Med. 2016;48(6):624-628.

PMID: 27075398DOI: 10.1002/lsm.22517

要約:

ニードルフリー注入器(INNOJECTOR)を用い、ヒト屍体の頬に色素またはラテックスを注入して到達深度を検証したものです。ノズル径100μm、噴射速度180m/秒。6気圧では深さ2.3mm、8.5気圧では8.9mmに達し、圧を高くするほど注入孔の面積は小さく、到達する深さは深くなることが示されました。組織学的には、6気圧で表在性筋膜(SMAS)の層まで達しています。注入の設定によって働きかける層を変えられることを示した研究です。

※本研究の注入量0.2mLは本機の調整幅(50〜200μL)の上限にあたります。当院の常用は150μLで、その設定における到達深度は本研究では検証されていません。また8.5気圧の条件はニキビ跡治療で用いる設定ではありません。

原題: Kwon TR, Seok J, Jang JH, et al. Needle-free jet injection of hyaluronic acid improves skin remodeling in a mouse model

出典: Eur J Pharm Biopharm. 2016;105:69-74.

PMID: 27257030DOI: 10.1016/j.ejpb.2016.05.014

要約:

同じくINNOJECTORを用い、マウスの皮膚にヒアルロン酸を高圧で注入した実験です。真皮の厚みの増加とコラーゲン産生の増加が確認されました。作用の機序として、真皮の肥厚、創傷治癒過程の惹起、ビメンチンとコラーゲン合成の活性化が関与している可能性が示されています。

原題: Pravangsuk J, Udompataikul M, Cheyasak N, Kamanamool N. Comparison of Normal Saline Injection with Pneumatic Injector to Subcision for the Treatment of Atrophic Acne Scars

出典: J Clin Aesthet Dermatol. 2021;14(5):50-55.

PMID: 34188750

要約:

中等症から重症の萎縮性ざ瘡瘢痕をもつ18例に対し、顔の片側を空圧注入器による生理食塩水注入で、もう片側を注射針によるサブシジョンで治療した左右比較試験です。ボックスカー型とローリング型の瘢痕について、12週の観察期間を通じて径・体積ともに両側で改善しましたが、2つの方法のあいだに統計学的な有意差は認められませんでした。副反応は空圧注入のほうが少なく報告されています。

※18例の検討であり、「差が認められなかった」ことは同等性が証明されたことを意味しません。

原題: Kaminaka C, Sakata M, Nishiguchi M, et al. Clinical evaluation of needle-free electronic pneumatic hyaluronic acid injection treatment for facial atrophic acne scars: A prospective, randomized comparative trial

出典: J Dermatol. 2023;50(8):971-981.

PMID: 37208833DOI: 10.1111/1346-8138.16830

要約:

日本人30例を対象とした左右比較のランダム化試験です。1か月間隔で3回の施術を行い、最終施術から3か月後に評価したところ、治療側の48.3%が改善基準を満たしました(対照側は0%)。3次元画像解析でも、瘢痕の面積・深さ・最大深度に有意差が認められています。ローリング型がボックスカー型・アイスピック型に比べて大きく改善した点が報告されています。

原題: Bekkers VZ, Bik L, van Huijstee JC, et al. Efficacy and safety of needle-free jet injector-assisted intralesional treatments in dermatology—a systematic review

出典: Drug Deliv Transl Res. 2023;13(6):1584-1599.

PMID: 36884194DOI: 10.1007/s13346-023-01295-x

要約:

皮膚科領域におけるニードルフリー空圧注入の有効性と安全性を検討したシステマティックレビューです。37報・1,911例が対象で、瘢痕(ケロイド・肥厚性瘢痕・萎縮性瘢痕・熱傷瘢痕)を扱った報告が最も多く含まれています。重篤な有害事象の報告はなく、忍容性は良好でした。ただし組み入れられた研究の質は総じて低く、さらに検出力の高いランダム化比較試験が必要であると結論づけています。

原題: Rho NK, Kim HJ, Kim HS, Lee W. Needle-Free Jet Injection of Poly-(Lactic Acid) for Atrophic Acne Scars: Literature Review and Report of Clinical Cases

出典: J Clin Med. 2024;13(2):440.

PMID: 38256575DOI: 10.3390/jcm13020440

要約:

萎縮性ざ瘡瘢痕に対するポリ乳酸の注入について、既存の報告を整理したうえで、ニードルフリー注入器を用いた臨床例を提示した論文です。ジェットを生み出す機構の違い(空圧式・レーザー式など)についても整理されています。屍体皮膚を用いた組織学的検討では、注入された粒子が真皮の各層に均等に分布することが確認されました。

---

原題: Randomized clinical trial of CO₂ LASER pinpoint irradiation technique versus chemical reconstruction of skin scars (CROSS) in treating ice pick acne scars

出典: J Cosmet Laser Ther. 2013;16(1):8-13

PMID: 24131091DOI: 10.3109/14764172.2013.854633

要約:

アイスピック型のニキビ跡をもつ患者を2群に分け、片方には炭酸ガスレーザーを瘢痕孔に絞って照射する方法を、もう片方にはTCA CROSS(高濃度の酸を凹みの中だけに置く方法)を行った比較試験です。3週間隔で4回、3か月の追跡が行われました。

瘢痕の重症度スコア・瘢痕評価スケールのいずれでも、局所照射を行った群のほうが良好な結果が報告されています。重い有害事象はみられませんでした。

※ 本研究で用いられたのは炭酸ガス(CO₂)レーザーです。当院がアイスピック型に対して行っているのは、パルス幅を延長したEr:YAGレーザーによる瘢痕孔内部への局所照射で、機種は異なります。ここでは「瘢痕孔の内部に絞って照射する」という考え方の裏づけとして引用しています。

原題: Which type of atrophic acne scar (ice-pick, boxcar, or rolling) responds to nonablative fractional laser therapy?

出典: Dermatol Surg. 2014;40(3):288-300

PMID: 24447255DOI: 10.1111/dsu.12428

要約:

35例に対して1,540nmのフラクショナルレーザーを6回行い、凹みを型ごとに数えて評価した研究です。

51%以上の改善が得られた割合は、ボックスカー型52.9%、ローリング型43.1%、アイスピック型25.9%で、アイスピック型が最も反応しにくいという結果でした。表面から働きかける治療だけではアイスピック型に届きにくいことを示しています。

原題: Efficacy and safety of erbium-doped yttrium aluminium garnet fractional resurfacing laser for treatment of facial acne scars

出典: Indian J Dermatol Venereol Leprol. 2013;79(2):193-8

PMID: 23442457DOI: 10.4103/0378-6323.107635

要約:

25例にEr:YAG(2,940nm)フラクショナルレーザーを1か月間隔で4回行った研究です。96%で一定の改善がみられました。

ただし改善の程度は型によって差があり、ローリング型と浅いボックスカー型では、アイスピック型や深いボックスカー型より有意に良好でした。型ごとに手を変える必要があることの裏づけになります。

原題: A cross-sectional pilot study evaluating the histopathology of atrophic acne scars with a focus on the vertical depth of ice pick, boxcar, and rolling scars and its implications in skin of colour

出典: Indian J Dermatol Venereol Leprol. 2026;92(1):14-21

PMID: 40826840DOI: 10.25259/IJDVL_506_2025

要約:

萎縮性ざ瘡瘢痕49か所を生検し、型ごとの深さを実測した研究です。平均の深さはアイスピック型1,933μm、ボックスカー型1,328μm、ローリング型1,357μmで、アイスピック型はボックスカー型より有意に深いという結果でした(p=0.02)。

いずれの型でも、瘢痕の中では毛包脂腺が失われ、コラーゲンの配列が乱れ、弾性線維が減っていました。凹みの底に届かせるために、機器がどの深さまで働く必要があるかを考えるうえでの基礎データになります。

リスク・副作用・禁忌

主なリスク・副作用

  • 皮膚深層から皮下を剥離するため、術後の腫れ・内出血が起こることがあります。
  • 高周波を用いる場合、皮膚を下層から加熱するため、表面まで赤みや熱傷が生じる可能性があります。皮膚表面の皮むけが起きることもあります。
  • 内出血が起きた場合、その部分が一時的に硬く感じられることがあります。
  • 色素沈着が生じることがあります。
  • 剥離した部位が十分に持ち上がらない、あるいは持ち上がった形のまま盛り上がることがあります。

皮膚を下層から強力に加熱できる機器を用いるということは、その作用の裏返しとして表面への影響も起こりうる、ということでもあります。出力や範囲は、肌の状態を診たうえで調整します。

治療をお受けいただけない場合

  • 抗凝固剤を使用中の方
  • 妊娠中の方
  • ケロイドになりやすい方

また、現在ニキビがある方の場合は、肌の状況次第ですが、ニキビの治療を優先したほうがよいと判断できる場合には、その方針をお勧めしています。炎症が続いている状態で跡の治療を進めても、新しい跡ができてしまうためです。

お薬を服用中の方、これまでに皮膚の治療で強い反応が出たことのある方は、診察の際にお知らせください。

ニキビ治療専門外来

自由診療・未承認機器等について

当ページでご紹介している治療はすべて自由診療(保険適用外)です。効果の程度・必要な回数・ダウンタイムは、凹みの深さや広がり、肌の状態によってお一人おひとり異なります。

未承認の医療機器について

当院で使用する治療機器には、国内の医薬品医療機器等法(薬機法)上の承認を受けている機器と、承認を受けていない機器があります。未承認の機器は医師の責任のもと個人輸入等により入手しており、同一・類似の効能をもつ国内承認機器が存在する場合もあります。これらは海外等で使用実績がありますが、国内の公的機関による有効性・安全性の評価を受けたものではありません。

未承認医薬品等に関する情報(入手経路・国内の承認機器の有無・諸外国における安全性に係る情報など)は、各機器のページでご案内しています。

ミラジェット Forte / 高圧イノジェクター

ご予約・お問い合わせはこちら

ソララクリニック

お電話でのご予約
022-722-7090
お問い合わせフォームはこちら

ご予約は電話にて承っております。
フォームからはご相談・ご質問を受け付けています。

※「HPの記事を見た」とお伝えいただけるとスムーズです

監修者情報(医師紹介)

監修医師 佐藤雅樹(仙台 ソララクリニック院長)

監修医師:佐藤 雅樹 (さとう まさき)

ソララクリニック 院長

専門分野:美容皮膚科

2000年 順天堂大学医学部卒。順天堂大学医学部形成外科入局。 大学医学部付属病院等を経て、都内美容皮膚科クリニックにてレーザー治療の研鑽を積む。2011年3月 ソララクリニック開院 院長就任。2022年 医療法人 松柴会 理事長就任。日本美容皮膚科学会 日本形成外科学会 日本抗加齢医学会 日本レーザー医学会 点滴療法研究会 日本医療毛髪再生研究会他所属。 
様々な医療レーザー機器に精通し、2011年ルビーフラクショナル搭載機器を日本初導入。各種エネルギーベースの医療機器を併用する複合治療に積極的に取り組む.

医師紹介

 初めて受診される皆様へ

※当院の治療はすべて自由診療(保険適用外)です。標準的な費用は各ページの料金表または料金表ページをご覧ください。治療に伴うリスク・副作用は診察時にもご説明します。

最終更新日

ご質問・案内はこちら