日本毛髪科学協会 東北支部研究会で学んだこと

2014年12月27日

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第1講 演題 「皮膚のケア」
講師 東北大学名誉教授 田上 八郎先生
皮膚の存在目的

私たちの正常な身体は、ポリエチレンのラップに似た100分の1〜2㎜程度の薄い膜[角質層]で覆われています。
角質層細胞同士の間にはセラミドなどの細胞間脂質が緊密に挟まっていて、バターを塗ったパンが何層にも重なったような状態になり毒物や微生物、ばい菌が体内へ侵入するのを防いでいます。また、体内の水分が抜けていかないようにする働きや滑らかにして見た目を健やかにする働きも持っています。ケガやカブレ、微生物の刺激による脂漏性皮膚炎などで皮膚が病的状態なると、この働き[バリア機能と水分保持機能]は悪くなります。ステロイドは炎症を抑える薬剤ですが、内服や外用で肌が薄くなりバリア機能を低下させる副作用があります。使い続けるとステロイド酒さや、TLR2という物質を発現させ、ニキビ菌の刺激反応を増加させるステロイドニキビを引き起こすことがあるので、目的の皮膚炎が治まったらすぐにやめることが大切です。角質層の層数は身体の部位によって違い【頬10±3 額9±1 頭12±2 背13±3 腕16±4 手掌50±1 足底55±14】となっており、角質層のターンオーバーは顔で10日、体幹や四肢で2週間程度です。

第2講 演題 「髪の『健康診断』の試験法ができました」
講師 毛髪科学協会前理事 岡谷 吉雄先生

従来は毛髪の健康状態を調べるために毛の表面を観察する「表面測定」を使用していました。抜けた毛髪の毛元から20cmまでの5cm間隔の場所を走査型電子顕微鏡(SEM)を使って表面観察するものです。かつてはキューティクルのめくれや断毛・枝毛、マトリックス溶失などはっきりした損傷が容易に見ることができ、表面の観察で充分健康状態が分かりました。しかし現在は、髪の表面を保護するトリートメント剤や、髪を傷めないパーマ剤ブリーチ剤が普及されてきたため、この表面測定の限りでは損傷が認められず一見健康な毛髪に見えるのです。しかし、本当に健康なのでしょうか?そこで今回開発された方法が、毛髪の「断面測定」です。毛元から20cmまで毛髪を5cm間隔でカットし、同じく電子顕微鏡を使って断面のキューティクル積層枚数を測定するものです。5cmで8枚、10cmで6枚、15㎝で4枚、20cmで2枚などの結果が得られます。
この結果をグラフに表わしてダメージ係数を出し5つにランク分けすることで、最適なケア方法や健康に伸ばせる長さをお伝えすることができます。
時間も費用もかかるのでまだまだ改良の余地がある出来たばかりの試験方法ですが、悩んでいる方への対策の一つになってくれるかもしれません。

感想
普段聞けない先生方の意見を聞くことができ、あっというまの3時間でした。老人の肌は物質が入りにくく刺激を受けにくいがその分水分保持力も弱く乾燥しやすい。保湿にはグリセリン入りのクリームや尿素入りのクリームが良い。光老化にはレチノールがすごく良いが過敏反応が起きやすいので自分に合った濃度のものを探しましょうなどなど。肌表面の傷は二週間でバリア機能が復活するという実験結果などもとても興味深かったです。毛髪診断士の講習会は美容師さんや鍼灸師さん、看護師さんなど様々な業種の方が集まります。毛髪の問題をいろんな分野から考えることで将来はより多くの人が理想の毛髪を手に入れられるようになれたらと思います。