初期脱毛は いつまで 続くのかInitial Shedding |仙台
やめる前に、
薄毛の治療を始めて、しばらく経ったころ。洗髪のときに指にからむ毛が、始める前より明らかに多い。枕にも残っている。治すために始めたはずなのに、逆に進んでいるように見える。
使い始めに抜け毛が増えるこの現象を、初期脱毛と呼びます。シェディング反応と呼ばれることもあります。休んでいた毛包が動き出すとき、毛穴に残っていた古い毛が押し出される。そう考えられています。
やめるかどうかを決める前に、確かめられることがあります。
このページでは、初期脱毛について分かっていることと、探しても裏づけが出てこなかったことを分けてご説明します。そのうえで、ご自身で確かめられることをまとめました。
このページの要点
この記事の目次
1. 治療を始めたのに、抜け毛が増えた
初期脱毛とは、薄毛の治療を始めた後の一時期に、抜け毛が一時的に増える現象です。髪が新しく減っているわけではありません。いずれ抜けるはずだった毛の、抜ける順番が早まっているのだと考えられています。
外用のミノキシジルでよく知られていますが、毛の生え変わりの周期に働きかける治療なら、原理としてはどれにも起こりえます。
休んでいた毛が、新しい毛に押し出されています
髪には生え変わりの周期があります。
- 成長期:伸び続ける時期。2〜6年
- 退行期:成長が鈍っていく時期。2週間ほど
- 休止期:次の毛を準備しながら休む時期。3〜4か月ほど
休止期のあいだ、毛穴には役目を終えた古い毛が残ったままになっています。
男性型・女性型の脱毛では、成長期が短くなり、太く育ちきる前に抜ける毛が増えていきます。治療は、短くなった周期をもう一度伸ばす方向に働きます。
休んでいた毛包が動き出せば、毛穴を塞いでいた古い毛は押し出されます。この入れ替わりが、使い始めに抜け毛が増えて見える理由です。
薄毛が進んだ時と、見分けがつきません
治療が効き始めて、古い毛が押し出されているとき。治療が追いつかず、薄毛のほうが進んでいるとき。鏡の前では、どちらも「抜け毛が増えた」としか見えません。
しかも治療は、届いた毛包から順に動き出します。うまくいっているときほど、抜け毛がまとまって出るわけです。
この時期の抜け毛の量だけを見て、ご自身で良し悪しを判断するのは難しくなります。
抜けているのは、これから抜けるはずだった毛です
初期脱毛で抜ける毛は、治療によって新しく傷んだ毛ではありません。すでに休止期に入り、いずれ抜けることが決まっていた毛です。
本来なら数か月かけてばらばらに抜けていくものが、治療をきっかけに同じ時期へ集まります。まとまって抜ける分、量が目立ちます。

同じ量の砂でも、落ちる速さが違えば見え方は変わります。初期脱毛で抜けているのは、いずれ抜けるはずだった毛です。
この期間に地肌が透けて見えても、そのまま進み続けるとは限りません。見え方には個人差があり、もともとの毛の量や進行の程度によっても違います。
なお、休止期の毛がまとまって抜けるという形は、休止期脱毛症でも起こります(参考文献4)。抜け方だけでは区別がつかないため、見分け方を4章に書きました。
2. いつ始まり、いつ終わるのか
外用ミノキシジルの研究では、抜け毛の一時的な増加が認められたのは最初の12週間でした。
外用ミノキシジルを24週間使った男性型脱毛症の方49名について、4週ごとに抜け毛を数えた研究の結果です(参考文献1)。
初期脱毛の時期を直接測った研究として、私が見つけられたのはこの1件です。
もう1点、知っておくと役に立つ結果があります。2%の製剤を使った方のほうが、5%を使った方より、増加の続く期間が長かったのです。濃度を下げれば軽く早く済む、という向きの結果ではありませんでした。
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監修:佐藤雅樹(ソララクリニック院長)
探しても裏づけが出てこなかったこと
初期脱毛については、広く説明されているのに一次資料に行き当たらない事柄がいくつもあります。あちこちで言い直すより、ここで一度まとめておきます。
裏づけが見つからなかったこと
- いつ始まるか ── 開始からの週数を測った報告
- いつ終わるか ── 「◯週間で収まる」の裏づけ
- どのくらい抜けるか ── 「1日◯本まで正常」の線引き
- 飲み薬でも起きるか ── フィナステリド・デュタステリドで直接測った報告
見つからなかったものは、このページに書いていません。以降の章も同じです。
よく「1〜3か月で終わります」と説明されます。49名の研究が示しているのは「最初の12週間のうちに増加が観察された」というところまでで、12週で必ず終わるという意味ではありません。断定はできません。
飲み薬でも起きるのでしょうか
フィナステリドやデュタステリドを飲み始めると初期脱毛が起きる。多くの場所でそう説明されています。それが心配で飲み始められない、というご相談を受けます。
探してみましたが、飲み薬の使い始めに抜け毛を数えた研究は出てきませんでした。
かわりに、12週の時点を見る
初期脱毛が起きるとすれば、まさに12週前後です。その時点で毛の本数を数えている試験がありますが、減ったという報告はありません(参考文献2)。もう1件の試験でも、有害事象の数と重症度は、薬を飲まなかった群を含めて各群で同等でした(参考文献3)。
「飲み薬では必ず初期脱毛が起きる」と思って、飲み始めをためらう根拠は、いまのところありません。
ただし、男性を対象とした試験です
どちらも男性を対象とした試験です。フィナステリド・デュタステリドは女性は服用できません(薄毛治療のページ)。また、内服には性機能に関する症状などの副作用が報告されており、当院では定期的な経過観察を行っています。
この2件で分かること、分からないこと
いずれも数百人を集めた試験で、平均を見た結果です。実際に抜け毛が増えたと感じられた方の経験を、この数字が否定するわけではありません。どちらも決まった範囲の毛を数える方法で、抜けた毛そのものは数えていないからです。
飲み薬にはもうひとつ、ミノキシジルの内服があります。こちらは当院では行っておりません。報告されている頻度と当院の考え方はFAQで扱っています。
3か月を過ぎても収まらないとき
治療を始めて3か月を過ぎても抜け毛の増加が収まらないなら、一度ご相談ください。初期脱毛が長引いているだけのこともありますが、別の原因が重なっていないかを、この時点で確かめておいたほうが安全です。
思い出していただきたいことが、もうひとつあります。抜け毛が増えたのは、治療を始める前からではありませんか。時期が前後していれば、初期脱毛では説明がつきません。
どのくらい抜けるのか
「1日◯本までなら正常」という線引きを、このページには書いていません。上に挙げたとおり、その数字を測って確かめた研究に行き当たらなかったためです。1日の抜け毛の量については抜け毛の原因のページで、実際に数えた研究をもとに扱っています。
初期脱毛かどうかを見分けるには、本数よりいつから始まったかと頭皮がどうなっているかが効きます。次の章で、その確かめ方をご説明します。
3. やめるべきか、続けるべきか
使い始めの抜け毛に驚いて、そこで中止する。いちばんもったいない選び方だと考えています。
2章の49名の研究では、増え方が大きかった方ほど、その後の改善の程度も大きいという関連が示されました(参考文献1)。
使い始めの抜け毛は、やめる理由ではなく、続けてみる理由になりうる。この研究から読み取れるのは、そこまでです。
49名を後ろ向きに調べた研究なので、増えれば必ず効くとまでは言えません。増えなかった方が効いていない、という話でもありません。
抜け毛がひどいと感じたとき、やめる前に確かめられる4点
続けるかどうかを決める前に、ご自身で確かめられることがあります。診察でも、同じところから見ていきます。
| 確かめること | 初期脱毛らしいとき | 別の原因を考えるとき |
|---|---|---|
| 始めて何週目か | 数週間〜3か月 | 始める前から増えていた/半年以上たっている |
| 抜けた毛の太さ | 細い毛が混じる | 太い毛ばかりがまとまって抜ける |
| 頭皮の状態 | 赤み・かゆみなし | 赤み・かゆみ・フケがある |
| 使い方 | 決めた量と範囲で続いている | 以前の薬をやめた/飲み忘れ・塗り忘れが多い |
※2章のとおり、始まる時期・続く期間を直接測った研究は見つかっていません。この表は、診察での見方を目安として整理したものです。当てはまり方には個人差があり、これだけで診断が決まるものではありません。
ご自身で確かめられること、確かめようがないこと
4点のうち3点は、ご自身で確かめられます。治療を始めた日は、さかのぼれば分かります。頭皮の赤みやかゆみは、鏡と手で。塗った量と飲み忘れは、ご自身がいちばんよく知っています。
抜けた毛の太さだけは事情が違います。抜けた毛を明るいところで見れば見当はつきますが、そろっているかどうかまでは分かりません。拡大して、部位ごとに見比べる必要があります。
使い方について、ひとこと
塗る量が足りない、髪の上から塗っていて頭皮に届いていない、飲み忘れが週の半分に及んでいる。こうした状態は「効かない」のではなく、まだ十分に試せていない状態です。
私は、きちんと使えていないことを責めたいわけではありません。仕事や生活のなかで毎日続けるのは、思っているより難しいものです。続けやすい形に変えられないかを一緒に考えたいので、うかがっています。
「別の原因を考えるとき」に当てはまったら
「別の原因を考えるとき」の側に当てはまるものがあれば、続けるかどうかを決める前にご相談ください。初期脱毛ではない別のことが起きているなら、対処そのものが変わります。何が起きていそうかは4章にまとめました。
当院では、始めたら半年から1年は見ます
治療を始めたら、半年から1年は続けて見ていくという進め方をとっています。
3か月では、治療が効いているかどうかをまだ判断できません。この時期に見るのは、抜け毛の量が落ち着いてきたかどうかです。時期ごとの見方はAGA治療が効かないと感じる5つの理由の3章で扱っています。
それでも不安なときは、やめる前に一度ご相談ください。自己判断でやめてしまうと、効いていたのかどうかが分からないまま終わってしまいます。
続けにくい事情があるなら、そこから相談させてください。5章に、当院が診察で何を確かめているかをまとめました。
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4. これは初期脱毛ではないかもしれない、というサイン
使い始めの抜け毛が、すべて初期脱毛とは限りません。別のことが起きているのに初期脱毛だと思って様子を見ていると、対処が遅れます。次のような場合は、一度確かめたほうが安全です。
以前使っていたお薬を、やめていませんか
この取り違えは、実際に当院で起きています。当院で薄毛の治療を始めるときに、それまでご自身で使っていたミノキシジルの内服を、お知らせなくやめてしまう方がいらっしゃいます。
ミノキシジルは、続けているあいだ効いている薬です。やめれば、時間をかけて元の状態へ戻っていきます。そのときに増える抜け毛は、新しく始めた治療の初期脱毛ではありません。やめたことによる抜け毛です。
見分けはつかないのに、対処は変わります
抜け方だけを見ていると区別がつきません。けれども、原因が違えば、次にすべきことも変わります。初期脱毛なら、いま始めた治療をそのまま続けます。中止による抜け毛なら、やめた薬をどうするかから考え直します。

よく似ていても、開く錠は違います。抜け方が同じでも、原因が違えば次にすべきことは変わります。
これまで使っていたお薬・サプリメントは、やめたものも含めて必ずお知らせください。言いにくいことでも構いません。分かっているのといないのとでは、経過の読み方がまったく変わります。
急に、頭全体からまとまって抜ける
短期間に頭全体から抜けるときは、休止期脱毛症の可能性があります(参考文献4)。出産・大きな病気・手術・強い負担のかかった出来事など、数か月前のきっかけに思い当たることはないでしょうか。
ここが紛らわしいところで、きっかけと抜け毛のあいだには数か月の間が空きます。休止期が3〜4か月ありますから、原因になった出来事はもう過ぎていて、記憶からも遠のいています。
そこへちょうど治療を始めていると、時期が重なって初期脱毛に見えます。詳しくは抜け毛の原因のページをご覧ください。
分け目や頭頂部が、先に薄くなってきた
抜け毛が増えるより先に、分け目の地肌が目立つ、頭頂部が透けて見える。こうした変化が続いているなら、女性の薄毛(女性型脱毛症・FPHL)が背景にあることがあります。見分け方は女性の薄毛のページとびまん性脱毛症のページで扱っています。
境目のはっきりした、円い脱毛
丸く抜けるときは、円形脱毛症を考えます。円形脱毛症は保険適用の対象となる疾患です。当院では保険診療を行っておりません。保険での治療をご希望の場合は、保険診療に対応している医療機関の受診をお勧めしています。
頭皮に赤み・かゆみ・フケがある
外用剤が肌に合わずにかぶれている、あるいは頭皮の皮脂や菌のバランスが崩れていることがあります。この場合は、抜け毛より先に頭皮のほうを整える必要があります。頭皮のフケ・かゆみのページをご覧ください。
判断に迷うときは 薄毛治療のページ もあわせてご覧ください
5. 当院ではどう見ているか
診察で確かめるのは、3章の4点と同じところです。違うのは、そのうち抜けた毛の太さだけが、ご自身では確かめようがないという点にあります。
同じ場所・同じ明るさで撮った写真でも、毛が細くなっているかどうかまでは写りません。頭皮を拡大して、部位ごとに見比べるしかない部分です。何をどう見ているかはAGA治療が効かないと感じる5つの理由の6章に書きました。
経過を追うより、先に手を打つ
診察では、その瞬間の頭皮しか見ることができません。いま生えている毛は見えます。けれどもそれが以前より減ってきたところなのか、もともとこの量なのか。その場では判断がつきません。もともと毛が多く、抜ける本数も多い。そういう場合もあります。

いまの長さだけでは、削り始めなのか、使い込んだ末なのかは分かりません。
「いまは大丈夫」は、答えになっていません
かといって「いまは進んでいないようです」とお伝えして様子を見ていただくのは、判断としては正しくても、心配してお越しになった方への答えにはなっていません。これから進むかもしれない、という不安に対して、何もしなかったことになります。
当院では、進んでしまう前の段階から、予防的に内服・外用を考えます。要らないことをする、という意味ではありません。
その瞬間の所見だけで「まだ大丈夫」と決められない以上、先に手を打っておくほうが理にかなっている。そういう考え方です。
初期脱毛の時期も、同じ考え方です
様子を見る時期というより、いま何が起きているかを確かめる時期だと考えています。
お知らせいただきたいこと
ご来院のとき、次の3点をお知らせいただけると、経過の読み方がはっきりします。
- 治療を始めた日と、抜け毛が増えたと感じた時期。おおよそで構いません
- いま使っているお薬・サプリメント。当院以外で入手されたものも含めて
- 最近やめたお薬・サプリメント。4章のとおり、やめたことによる抜け毛は初期脱毛と見分けがつきません
決めてからお越しいただく必要はありません。いま使っているものと、以前使っていたものをお知らせいただければ、そこから一緒に考えます。
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よくある質問(FAQ)
初期脱毛について、実際によくいただくご質問をまとめました。
時期と量について
初期脱毛は、いつからいつまで続きますか?
初期脱毛では、どのくらい抜けますか。何本くらいが目安ですか?
本数の目安は、このページでお示ししていません。「1日◯本まで」の線を引いた研究に行き当たらなかったためです(2章)。1日にどのくらい抜けるものかは、抜け毛の原因のページで実測をご紹介しています。
数えるより、3章の4点を確かめるほうが早く見当がつきます。
初期脱毛でスカスカになりますか?
初期脱毛で抜けているのは、すでに休止期に入っていて、いずれ抜けることが決まっていた毛と考えられています。その入れ替わりが同じ時期に集中するため、一時的に地肌が目立つことがあります。
どのくらい目立つかは、人によってかなり違います。
急に頭全体からまとまって抜けるとき、地肌に赤みがあるとき。別の原因が重なっていることがあります。自己判断で様子を見ず、ご相談ください。
初期脱毛で抜ける毛に、特徴はありますか?
休止期に入っていた毛が押し出されて抜けるため、細い毛が混じりやすいという特徴があります。逆に、太くしっかりした毛がまとまって抜けているときは、別の原因を考えます。
とはいえ、毛の太さをご自身で見分けるのは難しいものです。当院では頭皮を拡大して、部位ごとの太さのそろい方を確認しています。
効き方との関係
初期脱毛が起きないと、効いていないということですか?
初期脱毛が怖いので、量を減らして使ってもよいですか?
薬と副作用について
初期脱毛は副作用ですか?
薬を使ったことで起きる変化という意味では、副作用の一種として扱われます。
もっとも、毛が傷んで抜けているのではなく、生え変わりの周期が動き出したことによる入れ替わりと考えられています。皮膚の炎症やかぶれとは性質が異なります。
外用剤で起こりうる頭皮のかゆみ・赤み・かぶれについては、薄毛治療のページのリスク・副作用・禁忌の章で扱っています。
フィナステリドやデュタステリドでも初期脱毛は起きますか?
使い始めの抜け毛の増加を直接測って報告した研究に、私は行き当たっていません。そのうえで、416名を対象とした試験では12週の時点で毛髪数が測られていて、減っていませんでした(参考文献2)。917名を対象とした試験でも、有害事象の数と重症度はプラセボを含む各群で同等でした(参考文献3)。
「飲み薬では必ず初期脱毛が起きる」と思って飲み始めをためらう根拠は、いまのところ見当たりません。
ただし、どちらも男性を対象とした試験です。フィナステリド・デュタステリドを女性は服用できません。内服の副作用については薄毛治療のページにまとめています。
いずれも数百人の平均を見た結果ですから、お一人ずつの実感まで否定できるものではありません。経緯は2章で詳しくご説明しています。
ミノキシジルの飲み薬でも初期脱毛は起きますか。副作用は大丈夫ですか?
当院では、ミノキシジルの内服による治療は行っておりません。日本皮膚科学会の診療ガイドラインで「行うべきではない」とされているためです(根拠は薄毛治療のページ)。内服のミノキシジルは、日本では脱毛症の治療薬として承認されていません。
低用量の内服についての総説では、一時的な抜け毛が16〜22%、多毛が24%、軽いむくみが2%と報告されています。総説自体は、適切な管理のもとであれば有望な選択肢だと結論しています(参考文献5)。
判断が分かれているのは、心臓の周りに水がたまること(心嚢液貯留)です。米国の有害事象報告の解析では、1日1.25mg以下でも報告が偏って多く、1日2.5mg以下では心臓に持病のある方でその偏りがさらに大きくなっていました(参考文献6)。いっぽう大規模なコホート研究では、関連は認められていません(参考文献7)。まだ決着していません。
髪のために、どこまでを引き受けるか。当院が内服を行っていないのは、その線の引き方の問題です。有望だという評価は、髪が増えるかどうかについてのもの。決着していないほうは、心臓に関わる話です。髪のために、そちらまで引き受けていただく必要はないと考えています。
個人輸入などで内服を使われている方へ。抜け毛より先に、動悸・むくみ・顔や体の毛が濃くなるといった変化が出ていないかをご確認ください。当てはまれば、自己判断で続けずご相談ください。内服をやめたことによる抜け毛は、初期脱毛と取り違えられやすいところです(4章)。
参考文献
1ミノキシジル外用後の一時的な抜け毛増加は存在するか、また治療効果を予測するか
要約:
男性型脱毛症の49名に2%または5%のミノキシジル外用を24週間行い、4週ごとに抜け毛の本数を記録した後ろ向き研究です。
最初の12週間に、抜け毛の一時的な増加が認められました。この増加は、2%を使った群のほうが5%を使った群より長く続きました。増加の程度とBASP分類の改善のあいだには、2%群・5%群のいずれでも有意な関連が認められました。一方、トリコスコピー所見の改善との相関が認められたのは5%群のみで、2%群では認められませんでした。
2章「いつ始まり、いつ終わるのか」と3章の中心にある研究です。49名の後ろ向き研究であり、抜け毛が増えれば必ず効果があるという因果を示すものではありません。
2男性型脱毛症の治療における2種類の5α還元酵素阻害の重要性 ── デュタステリドとフィナステリドの無作為化プラセボ対照試験
要約:
21〜45歳の男性型脱毛症の方416名を、デュタステリド(0.05・0.1・0.5・2.5mg)、フィナステリド5mg、プラセボの各群に無作為に割りつけ、24週間観察した試験です。
デュタステリドは用量に応じて対象部位の毛髪数をプラセボより増加させ、2.5mgは12週と24週の両方の時点でフィナステリドより良好でした。頭皮および血中のジヒドロテストステロンは用量に応じて低下しました。
初期脱毛が起こるとされる12週前後に毛髪数が測られていて、減っていなかった。2章「飲み薬でも起きるのでしょうか」の土台です。なお、この試験が測ったのは決まった範囲の毛髪数であって、抜けた毛の本数ではありません。初期脱毛そのものを評価した研究ではない点にご注意ください。
3デュタステリドの用量別・フィナステリド・プラセボを比較した男性型脱毛症の無作為化比較試験
要約:
20〜50歳の男性型脱毛症の方917名を、デュタステリド(0.02・0.1・0.5mg)、フィナステリド1mg、プラセボの各群に無作為に割りつけ、24週間観察した第III相試験です。日本の医療機関も参加しています。
デュタステリドは用量に応じて毛髪数と毛の太さを増加させ、0.5mgは24週の時点でフィナステリドおよびプラセボより有意に良好でした。有害事象の数と重症度は、プラセボを含む各群で同等でした。
飲み薬で使い始めに抜け毛が増えるなら、有害事象として差が出るはずです。その差が各群で認められていない点を、2章「飲み薬でも起きるのでしょうか」で引いています。なお、この試験も初期脱毛を評価項目に含めてはいません。
4休止期脱毛症 ── 文献レビュー
要約:
休止期脱毛症についての総説です。薬剤・外傷・精神的および身体的な負担が誘因となること、毛周期の変化が機序として提唱されていること、急性と慢性の病型があることが整理されています。
休止期の毛がまとまって抜けるという形は、初期脱毛と共通します。1章の説明と、4章「急に、頭全体からまとまって抜ける」の拠りどころです。
5脱毛症治療における内服ミノキシジル ── リスク・利益・推奨
要約:
低用量ミノキシジル内服についての総説です。報告されている有害事象として、用量に応じた多毛が24%、一時的な抜け毛が16〜22%、軽度の末梢性浮腫が2%と整理されています。心嚢液貯留などの重篤な合併症は、脱毛症に用いる用量ではまれとされています。
国際的なデルファイ合意による標準用量として、女性は1日1.25mgから、男性は1日2.5mgからの開始が挙げられ、禁忌として心膜疾患・コントロール不良の高血圧・妊娠が挙げられています。著者らは、適切な管理下であれば有望な治療選択肢であると結論しています。
FAQ「ミノキシジルの飲み薬でも初期脱毛は起きますか」で、報告されている頻度の出どころとして引いています。なお当院では、ミノキシジルの内服による治療は行っておりません。
6低用量ミノキシジル内服と有害事象 ── FDA有害事象報告データベースの解析(心嚢液貯留に着目して)
要約:
米国FDAの有害事象報告データベース(FAERS)を用いて、低用量ミノキシジル内服と有害事象の報告の偏り(報告オッズ比)を解析した研究です。
1日1.25mg以下の用量でも心嚢液貯留の報告が偏って多く(報告オッズ比16.41)、1日2.5mg以下では、心臓の障害がない場合の報告オッズ比が5.34であったのに対し、心臓の障害がある場合は49.42でした。
なお「生命を脅かす」転帰との有意な関連が出たのは、1日10mg以下まで範囲を広げたときだけで、それより少ない用量では有意ではありませんでした。著者らは、より安全性のデータが揃うまで、有効な範囲で最も少ない用量(1日5mg以下)を用いることを勧めています。
同じFAQのなかで、心臓への影響がまだ議論の途上にあることを示すために引いています。FAERSは自発的な報告を集めたデータベースで、実際に使用した人数(分母)が分かりません。したがって発生率を示すものではなく、因果関係を示すものでもありません。著者ら自身も、注意を促すための知見であると述べています。
7低用量ミノキシジル内服と心嚢液貯留に関連は認められない ── 大規模後ろ向きコホート研究
要約:
瘢痕を伴わない脱毛症の方を対象とした大規模な後ろ向きコホート研究です。診療データベースを用い、低用量ミノキシジル内服を使用した群と使用しなかった群を比較しています。
両群のあいだに、心嚢液貯留の発生に関連は認められませんでした。参考文献6とは反対向きの結果です。
同じFAQで、参考文献6と並べて挙げました。相反する報告があり、まだ決着していないことを示すためです。両方を並べてお示しするのは、どちらか一方だけでは判断の材料にならないためです。
※掲載した文献は、いずれも治療の一般的な考え方を示すものであり、お一人おひとりの結果を保証するものではありません。効果やリスクの現れ方には個人差があります。
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監修者情報(医師紹介)

監修医師:佐藤 雅樹 (さとう まさき)
ソララクリニック 院長
専門分野:美容皮膚科
2000年 順天堂大学医学部卒。順天堂大学医学部形成外科入局。 大学医学部付属病院等を経て、都内美容皮膚科クリニックにてレーザー治療の研鑽を積む。2011年3月 ソララクリニック開院 院長就任。2022年 医療法人 松柴会 理事長就任。日本美容皮膚科学会 日本形成外科学会 日本抗加齢医学会 日本レーザー医学会 点滴療法研究会 日本医療毛髪再生研究会他所属。
様々な医療レーザー機器に精通し、2011年ルビーフラクショナル搭載機器を日本初導入。各種エネルギーベースの医療機器を併用する複合治療に積極的に取り組む.
※当院の治療はすべて自由診療(保険適用外)です。標準的な費用は各ページの料金表または料金表ページをご覧ください。治療に伴うリスク・副作用は診察時にもご説明します。
最終更新日
薄毛治療の全体像・料金・リスク・副作用・禁忌、および未承認の医薬品・医療機器に関する情報(国内の承認医薬品の有無・諸外国における安全性情報など)は薄毛治療(AGA)のページにまとめています。当院の治療はすべて自由診療(保険適用外)で、保険診療は行っておりません。