ハミルトン・ ノーウッド 分類Hamilton-Norwood Scale |仙台
AGAの進行度を、
去年の写真と見比べて、生え際が上がった気がする。あるいは、人に言われて初めてつむじが気になり出した。そう感じ始めたとき、いま自分がどのあたりにいるのかを測る物差しがあります。
「AGAの進行度」「薄毛のレベル」「何段階目か」と呼ばれているものは、診療の場ではハミルトン・ノーウッド分類という共通の物差しで表しています。1型から7型まであり、数字が大きいほど進んだ状態です。
このページでは、まずご自身がどの型にあたるかを見分けられるようにしたうえで、型が分かったあとに何が言えて、何が言えないのかまでをご説明します。
このページで分かること
この記事の目次
1. 自分がどの段階(型)かを見分ける
まず全体像です。頭を上から見た図で、上が額、下が後頭部にあたります。

進行の順に並べたものであり、必ずこの順で進むという意味ではありません。止まる位置は人によって違います。
見るところは3つだけです
この分類は、次の3か所の組み合わせで決まります。順に確かめてください。
- ① 生え際の形。左右のこめかみに三角形の切れ込みができているか、そしてそれがどこまで後ろへ及んでいるか
- ② 頭頂部(つむじの周り)。地肌が見える部分ができているか、その広さはどれくらいか
- ③ ①と②のあいだ。前と頭頂部のあいだに、毛の帯が残っているか。この帯が細くなり、やがて消えることで、番号が上がっていきます
1型から3型までは①だけで決まります(ただし3型頭頂部タイプは②も合わせて見ます)。4型から先は、①②③の3つを見ます。
頭頂部は、自分では見えません
生え際は鏡で見えますが、頭頂部はどうやっても直接は見えません。ご自身で確かめてみたい場合は、こんな方法もあります。
- 合わせ鏡。洗面台の鏡に背を向けて立ち、手鏡で後頭部を映してみる
- スマートフォンのインカメラ。頭の上にかざして撮る。動画にして頭を少し動かすと分かりやすくなります
もっとも、ご自身で見えなくても差し支えありません。受診いただければ、拡大した画像を一緒にご覧いただきながら、これからどう進めるかをご相談します。
そのうえで、あとで比べるつもりで撮っておかれるなら、同じ場所・同じ明るさ・同じ分け目・乾いた状態と決めておいてください。このうちどれかが違うだけで、見え方は大きく変わります。
暗い場所なら地肌は目立ちますし、濡れた髪は必ず薄く見えるものです。10章でも触れますが、この「条件をそろえた1枚」が、あとでいちばん役に立ちます。
2. 1型〜7型・3型頭頂部タイプの見分け方
各型の定義です。図をご覧いただき、詳しい説明は開いてお読みください。
1型TYPE I生え際の後退はない、またはごくわずか
前頭部から側頭部にかけての生え際に、後退がないか、あってもごくわずかな状態です。思春期のころの生え際がほぼそのまま保たれています。
なお、成人になる過程で生え際がわずかに上がることは誰にでも起こります。この段階では、薄毛としては扱いません。
2型TYPE II生え際の左右に三角形の後退。多くは左右対称
左右のこめかみに、三角形の後退が現れます。多くは左右対称に進みます。日常語で「M字が出てきた」と言われるのは、たいていこの段階です。
ただし、この後退がどこまで後ろへ及んでいるかで2型と3型が分かれます。境目には具体的な基準があります。カードのすぐ下でご説明します。
3型TYPE IIIこめかみの後退が深い。ここからが「薄毛」
こめかみの後退が深くなり、その部分は地肌が出ているか、ごく薄くしか毛がない状態になります。左右対称であることがほとんどです。
Norwoodはここを「薄毛と呼べる最小限の段階」と定めました(参考文献1)。つまり2型と3型のあいだに、薄毛かどうかの線が引かれています。
3型 頭頂部タイプTYPE III VERTEX生え際は3型まで。頭頂部から先に薄くなる
生え際よりも頭頂部から先に薄くなるタイプです。前の後退は3型を超えません。日常語で「つむじハゲ」「O字」と呼ばれるのがこれにあたります。
生え際が保たれているぶん、鏡では気づきにくく、人に指摘されて初めて分かることも少なくありません。年齢が上がるほど多く見られます。
4型TYPE IV生え際も頭頂部も進むが、あいだに毛の帯が残る
生え際の後退が3型より進み、頭頂部にも地肌の見える部分ができます。ただし2か所のあいだに、しっかりした毛の帯(ブリッジ)が残っています。この帯は左右の側頭部の毛とつながったままです。
4型から先は、この帯がどうなっているかで型が決まります。
5型TYPE Vあいだの帯が細くなり、まばらになる
前と頭頂部の脱毛がそれぞれ広がり、あいだの帯が細く、まばらになります。まだ2か所は分かれていますが、境目ははっきりしません。
残っている側頭部と後頭部の毛が、上から見ると馬蹄(ばてい)形(馬のひづめのようなU字の形)に見えはじめるのも、この段階からです。
6型TYPE VIあいだの帯が消え、前と頭頂部がつながる
あいだの帯が消え、前頭部と頭頂部の脱毛が一続きになります。横と後ろへの広がりも大きくなります。まばらな毛が残ることはありますが、覆う力はありません。
7型TYPE VII側頭部と後頭部に、馬蹄形の細い帯だけが残る
この分類でもっとも進んだ段階です。耳の上から後頭部にかけて、馬蹄形の細い帯だけが残ります。残った毛も細くなっていることが多くみられます。
2型と3型の境目には、はっきりした基準があります
2型か3型かは、医師のあいだでも判断が分かれるところです。Norwoodは、この境目に具体的な基準を置きました。

Norwood(1975)の基準です。Hamilton(1951)の原典では3cmでした。
左右の耳の穴を結んだ線を思い浮かべ、そこから額のほうへ2cm。こめかみの切れ込みがこの線より前で止まっていれば2型、この線を越えて後ろへ及んでいれば3型です(参考文献1)。
あわせて、3型の定義には「その部分は地肌が出ているか、ごく薄くしか毛がない」という条件も入っています。深さと、毛が残っているかどうか。この2つで見ます。
「M字」「O字」「U字」は、どの型にあたるのか
日常でよく使われる呼び方と、この分類の対応はおおよそ次のとおりです。
3. 頭頂部が薄くならず、生え際だけが下がるタイプ
ここまでの1型〜7型に、うまく当てはまらない進み方があります。NorwoodはこれをType A変異型として、標準の型とは別に定義しました。

左が標準型(4型)、右がType A変異型。標準型の4型にあたる進み方で、4A型と呼ばれます。同じくらい進んでいても、進み方が違います。
切れ込みを作らない、というのが目印です
主な特徴は2つです(参考文献1)。
- こめかみに切れ込みを作らず、生え際が一様に後ろへ下がります。前頭部の中央に毛が島のように残ることがありません
- 頭頂部だけが先に薄くなることはありません。生え際が後ろへ進んだ結果として、頭頂部に届きます
ほかに、補助的な目印もあります。ひとつは、脱毛した範囲にまばらな毛が散らばって残りやすいこと。もうひとつは、側頭部と後頭部に残る馬蹄形の毛が、標準型より幅広く残ることです。
Norwoodは、この進み方をする方は全体の3%程度と報告しています(参考文献1)。数としては多くありませんが、「M字にはなっていないのに生え際が上がっている」と感じている方は、こちらの進み方をしている可能性があります。
4. この先、進むのでしょうか
型が分かると、次に気になるのは「これは進むのか」「どのくらいの速さで進むのか」だと思います。
型の番号は進み方の順路を示したものであって、時間の予測ではありません。3型の方が1年後に4型になるとは限りませんし、何年も同じ位置にとどまる方もいらっしゃいます。
ですので診察でも、いつまでにどう変わるかという見通しは申し上げていません。誰にでも確実に効く薬がない以上、時期をお約束することはできないからです。そのぶん、始めてからの経過を一緒に見ていきます。
何もしなかった場合の、5年間
それでも、何もしない場合の全体的な傾向は分かっています。薬を使わない群を5年間追跡した研究では、あらかじめ決めた範囲で数えた毛が239本減り、毛の密度は26.3%低下しました。写真を見比べた判定でも、5年後に75%の方が「悪化した」と評価されています(参考文献3)。
この数字は、裏を返せば4人に1人は5年後も悪化と判定されていないということでもあります。全員が7型まで進むわけではありません。ただ、集団として見れば時間とともに減っていく方向にある、というのがこの研究の示すところです。
5. 何型かが分かっても、効き方までは分かりません
ここが、このページでいちばんお伝えしたいところです。
薄毛の進行度と、治療に対する反応は、必ずしも一致しません。3型の方でなかなか改善に難渋することもありますし、5型・6型で予想以上に反応することもあります。
正直なところ、かなり進行している方については、HARG+(ハーグプラス)療法をやる価値があるのかどうか、考えなくてはいけないのではないか、と以前は思っていました。ところが、やってみると意外と反応がある。そのため今は、ある程度進行している場合でも、期待の持ち方を十分にご説明したうえで治療を行うようにしています。
逆に、進行が軽くても難渋することがあります。理由がはっきりしないことも多いのですが、喫煙されている方は時間がかかる印象があります。
もともと、予測のために作られた分類ではありません
型と治療への反応が一致しないことは、薄毛の治療を難しくしている一因でもあります。型は「いまどこにいるか」を表す物差しであって、「これから何が起きるか」を予測する物差しとして作られたわけではないからです。もともとは、植毛手術が広まるなかで「どの範囲にどれだけ移植するか」を医師どうしが同じ言葉で話せるようにするために作られた分類でした(参考文献1)。
ですので、型が分かっても「では自分にはこの治療が効く」とまでは言えません。効いているかどうかは、始めてから経過を見て判断していくことになります。この見きわめ方については、AGA治療が効かないと感じる5つの理由に詳しくまとめています。
とはいえ、型が何の役にも立たないわけではありません。どの段階から治療を始めるかを考えるときの指標にはなります。進行がほとんどない段階のほうが、期待できることは多くなります。だからといって進んだ段階で打つ手がなくなるわけではないのは、6章のとおりです。
6. 早い段階で始めることの意味
効き方が読めないなら、早く始める意味はどこにあるのか。ここは毛穴の中で起きていることから考えると分かりやすくなります。
毛包が小さくなる、という変化です
拡大して見ると、同じ範囲に太い毛と細い毛が混ざっています。この細いほうは、もともと細いのではなく、太かった毛が置き換わったものです。毛を作る器官(毛包)が小さくなるために起こり、ミニチュア化と呼びます。
この変化は、毛が生え変わるたびに少しずつ細くなっていくのではなく、あるとき一段まとめて細くなると考えられています。そして1回の毛の生え変わりで元に戻りうることも報告されています(参考文献4)。
戻る余地は、数えて確かめられています
頭皮の組織を12か月あけて2回採取した研究では、治療を受けた群で太い毛が15.5本から20.9本に増え、太い毛と細い毛の比率も改善していました(参考文献5)。26名の小さな研究ですが、細くなっている段階の毛包には、まだ戻る余地があるということです。
一方で、4章でご覧いただいたとおり、何もしなければ毛は減っていく方向にあります。早く始めたほうがよいのは、効きが強いからではなく、戻せる余地のある毛がまだ残っているからです。
進んだ段階でも、考えられることは残っています
では5型・6型まで進んだら手遅れかというと、そうではありません。進行がかなり進んできたからといって、すべてお手上げということもない、というのがいまの考えです。選べる手段の組み合わせは変わりますが、残っている毛をどう保つか、細くなっている毛にどう働きかけるか、という考え方に軸が移ります。
どの段階であっても、まず頭皮を拡大して、いま何が起きているかを確かめるところから始めます。
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7. 何を手がかりに治療を選ぶか
5章と矛盾するように聞こえるかもしれないので、軸を整理しておきます。治療への反応は型では決まりません。ただし、選べる手段の幅は、いまどれだけ毛が残っているかで変わります。反応と選択肢は別の話です。
初診でうかがっていること
実際の診察では、型そのものより先に、こういったことをうかがっています。
- 何が気になっているのか。薄くなったことなのか、抜け毛が増えたことなのか。かゆみなど、ほかに気になる症状はないか
- いつごろからか。ここ数週間なのか、数か月なのか、数年前から少しずつ進んでいるのか。急に始まったのか、徐々にか
- 抜けた毛は、太いか細いか。短いか長いか。本数だけでなく、抜けている毛そのものについてうかがいます
- 頭皮の状態と、これまでの手当て。脂っぽいか乾燥しているか、かゆみはあるか。市販の育毛剤を使っていたか、ほかの医療機関で治療を受けていたか
- 髪と頭皮の扱い方。シャンプーは1日に何回か、何日に1回か。パーマやヘアカラーの頻度、ドライヤーの使い方
- 体の側のこと。睡眠時間、食事の摂り方、喫煙と飲酒、ストレスの程度、これまでの大きな病気、ご家族に同じような方がいらっしゃるか
細かく分けると20項目ほどになります。多いと思われるかもしれませんが、この中に手がかりが混じっていることが少なくありません。そのうえで頭皮を拡大して、毛の太さがどれくらいそろっているかを一緒に確認します。
当院でご案内している治療
飲む薬と、頭皮に直接入れる方法があります。当院でご案内しているのは次のとおりです。
- AGA内服薬(フィナステリド・デュタステリド)
- HARG+(ハーグプラス)療法
- 毛髪再生ペプチド療法/PDRN療法
- 女性向けのパントガール(内服)・パントスチン(外用)
順序についてひとつ。当院に来られる方は、すでに内服を始めている方か、内服は避けたいと思っている方がほとんどです。ですので、まず注入から始めることが多く、そのうえで内服の併用をお勧めしています。
治療名を覚えてから来ていただく必要はありません。ご希望がなければ、頭皮を診たうえでこちらからご提案します。逆に、調べてきて試したいものがあれば、それをうかがいます。全体像は薄毛治療(AGA)のページにまとめています。
8. この物差しが当てはまらないとき
女性には、この分類を使いません
ハミルトン・ノーウッド分類は、男性型の脱毛だけを対象に作られています。女性の薄毛には Ludwig(ルードヴィッヒ)分類を使います。
違いは、どこを測るかです。Norwoodは「生え際そのもの」がどこまで後退したかを見ます。Ludwigは「生え際から1〜3cm後ろ」を前の縁として、そこから内側の分け目がどれだけ広がったかを見ます(参考文献6)。女性の薄毛では前の生え際が保たれることが多いため、物差しを当てる場所そのものが違うのです。
Ludwig自身、女性が男性型のパターンをとる場合を「例外的に観察される」と位置づけました。そのうえで、そちらはHamiltonの分類に従えばよいとしています(参考文献6)。
女性で生え際が後退するときは、別に考えます
女性で生え際の後退をともなう場合は、ホルモンの状態を含めて確認したほうがよいことがあります。体毛が濃くなる、にきび、月経の乱れ。こうした変化が重なっているときや、閉経後に急に始まったときは、婦人科や内分泌の受診をお勧めすることがあります(参考文献7)。女性の薄毛については女性の薄毛(女性型脱毛症・FPHL)のページにまとめています。
そもそもAGAではない脱毛のことがあります
次のような場合は、そもそもこの分類の話ではありません。無理に型を当てはめようとすると、かえって遠回りになります。
- 急に、短期間で抜けた(この分類は年単位でゆっくり進む変化を表しています)
- まだらに、円く抜けている
- 地肌に赤み・かゆみ・鱗屑(フケのような皮のむけ)がある
- 後頭部や側頭部も一緒に薄くなっている
こういう場合は、型を決めても先に進みません。AGAだと思ったまま市販の育毛剤を続けて、別の原因への対応が遅れるほうが問題になります。頭皮を拡大して見れば、毛の細さのばらつき方や地肌の状態から見当はつきます。そのうえで、これからどう進めるかを決めていきます。
9. この分類はどこから来たか
名前は2人の研究者に由来します。
解剖学者 James B. Hamilton(1951年)
James B. Hamilton は米国の解剖学者です。薄毛が進むには男性ホルモンと遺伝的な素因の両方がそろって初めて進むことを、一連の研究で示した人でもあります。この理解はいまも変わっていません。1951年には300名を超える男性を調べ、脱毛の形をI型からVIII型までの8段階に整理しました(参考文献2)。
皮膚科医 O’Tar Norwood(1975年)
O’Tar Norwood は米国の皮膚科医で、植毛手術を手がけていました。1975年、白人男性1,000名を調べたうえでHamiltonの分類を見直します。8段階を7段階に整理し、Type A変異型を新たに加えました(参考文献1)。2型と3型を分ける2cmの基準も、このときNorwoodが定めたものです。Hamiltonの原典では3cmでした。
いま世界で使われているのはNorwoodの7段階のほうで、2人の名前を並べて「ハミルトン・ノーウッド分類」と呼ばれています。
10. この分類は万能ではありません
ここまでこの分類でご説明してきましたが、それほど精密なものではありません。診察では使います。使ったうえで、限界も書いておきます。
基準はあるのに、実際にはあまり測られていません
2章でご紹介したとおり、2型と3型を分ける2cmの基準は明確に定められています。それでも、皮膚科医7名と専攻医16名の計23名が同じ写真43枚を分類した研究では、評価者どうしの一致は十分ではありませんでした。別に選んだ56枚を、同じ評価者が3か月あけて2回判定した検証でも、再現性は低いという結果でした(参考文献10)。
理由は、その研究のやり方そのものに現れています。評価者は写真をイラストの一覧と見比べて分類しており、誰も定規を当てていません。実際の診療でも、多くは同じように目で判定されています。
白人男性1,000名をもとに作られた物差しです
Norwoodの分類は、白人男性1,000名の調査から作られました(参考文献1)。では日本人にそのまま当てはまるのか、という問いが残ります。
これについては日本人での実測があります。男性型脱毛症の日本人56名を3年間追った研究で、毛の太さは1年あたり平均1.1マイクロメートルずつ減っていました。一方、細い毛の占める割合の増え方は白人で報告されている値より低く、著者らは日本人の進行は白人より遅いと考えられる、と述べています(参考文献8)。
分類そのものにも、日本人を対象にしたものがあります。1953年にOgataが日本人男性を調べ、15の亜型を6型に整理しました。この体系は白人男性をもとにした分類とはやや異なる、と指摘されています(参考文献9)。ただし70年以上前の報告なので、いまの日本人にそのまま当てはまるかどうかは別の話です。この分類が白人を基準に作られているという事実だけ、頭の片隅に置いておいてください。
迷ったときは、実際に測ります
当院では、2型か3型かで迷う場合、メジャーを当てて実測します。ただ、それでも決めきれないことがあります。迷うときのポイントは、そこに残っている細くなった毛をどう数えるかだからです。どのくらい薄くなったら3型で、どのくらい残っていれば2型なのか。ここは状況次第、としか言えません。
型ではなく、ご自身の経過を見ます
こう書くと分類そのものを否定しているように読めるかもしれませんが、そうではありません。型は、いまの評価です。人と比べるには大まかすぎますが、去年のご自身と比べるぶんには足ります。
ですので当院では、型を言い当てることよりも、できる限り同じ条件で撮った記録を見比べていきます。デジタルカメラで撮影し、初めのころの画像と今の画像を並べて、一緒に見ます。1章で触れた「同じ場所・同じ明るさ・同じ分け目・乾いた状態」が効いてくるのは、このためです。
そのうえで申し上げると、最終的にはご自身の実感のほうが大きいとも思っています。画像で差が出ていても、ご本人が変わったと感じられなければ意味は薄い。そこは承知したうえで、記録を並べています。
よくある質問(FAQ)
分類について
ハミルトン・ノーウッド分類とは何ですか?
男性型脱毛症の進み方を、脱毛の形と範囲によって1型から7型に分けた物差しです。番号が大きいほど進んだ状態を指します。1951年にHamiltonが8段階で提唱し、1975年にNorwoodが7段階に整理しました(参考文献1・2)。
世界でもっとも広く使われている分類で、治療の効果を評価する研究でも共通の指標として用いられています。当院でも、まずこの分類で現在地を確認するところから診察を始めます。
AGAの7段階とは、どのような段階ですか?
1型は生え際の後退がほとんどない状態、2型は左右のこめかみに三角形の後退が現れた状態、3型はその後退が深くなり「薄毛」と呼べる最小限に達した状態です。
4型では頭頂部にも薄い部分ができ、あいだに毛の帯が残ります。5型でその帯が細くまばらになり、6型で帯が消えて前と頭頂部がつながります。7型では側頭部と後頭部に馬蹄形の細い帯だけが残ります。
これに加えて、生え際の後退は3型までで頭頂部から先に薄くなる3型頭頂部タイプがあります。図つきの説明は2章をご覧ください。
ノーウッドスケールとは何ですか。ハミルトン・ノーウッド分類との違いは?
同じものを指しています。1951年にHamiltonが提唱した分類を、1975年にNorwoodが見直して7段階に整理しました。そのため「ノーウッドスケール」「ノーウッド分類」「ハミルトン・ノーウッド分類」「ノーウッド・ハミルトン分類」はいずれも同じ分類の呼び名です。
現在使われている7段階はNorwoodのものですが、もとを作ったHamiltonの名前を残して2人の名前で呼ばれています。
ハミルトン・ノーウッド分類の写真はありますか?
このページでは、1型から7型までを頭の上から見た図を掲載しています(2章)。型ごとの図もそれぞれ用意しました。生え際の形・頭頂部・そのあいだの帯という、判定に必要な3か所が1枚で見えるように、上から見た向きで作図しています。
なお写真でご自身の状態を記録される場合は、同じ場所・同じ明るさ・同じ分け目・乾いた状態をそろえてください。条件が違うと、変化があったのかどうかが分からなくなります。
自分の型の判定について
2型と3型の見分けがつきません。
M字ですが、何型にあたりますか?
日常語の「M字」は、こめかみの三角形の切れ込みを指していることが多く、おおむね2型から3型にあたります。切れ込みがどこまで後ろへ及んでいるかで、2型か3型かが分かれます。
なお、こめかみに切れ込みを作らずに生え際が一様に後ろへ下がるタイプもあります(Type A変異型)。「M字ではないのに生え際が上がっている」という方は、3章をご覧ください。
進行と治療について
いまの型から、この先どこまで進むか分かりますか?
型の番号は進み方の順路を示したもので、時間の予測ではありません。何年も同じ位置にとどまる方もいらっしゃいます。
全体的な傾向としては、薬を使わない群を5年間追跡した研究で、毛の密度が26.3%低下し、写真判定で75%の方が悪化と評価されています(参考文献3)。裏を返せば4人に1人は5年後も悪化と判定されていません。全員が7型まで進むわけではありません。
進んだ段階だと、もう手遅れでしょうか。
選べる手段の組み合わせは変わりますが、考えられることが無くなるわけではありません。残っている毛をどう保つか、細くなっている毛にどう働きかけるか、という考え方に軸が移ります。
どの段階であっても、まず頭皮を拡大して、いま何が起きているかを確かめるところから始めます。そのうえで、これからの進め方を一緒に決めていきます。
何型かが分かれば、効く治療も決まりますか?
進行度と治療への反応は、必ずしも一致しません。型は「いまどこにいるか」を表す物差しであって、「これから何が起きるか」を予測するために作られたものではないからです。
効いているかどうかは、始めてから経過を見て判断していくことになります。見きわめ方はAGA治療が効かないと感じる5つの理由にまとめています。
女性の場合・受診について
女性ですが、この分類は使えますか?
女性には使いません。ハミルトン・ノーウッド分類は男性型の脱毛のための物差しです。女性の薄毛にはLudwig分類という別の物差しを使います。Norwoodが「生え際そのもの」の後退を見るのに対し、Ludwigは「生え際から1〜3cm後ろ」を前の縁として、分け目の広がりを見ます(参考文献6)。
女性で生え際の後退をともなう場合は、ホルモンの状態を含めて確認したほうがよいことがあります(参考文献7)。詳しくは8章と女性の薄毛(女性型脱毛症・FPHL)のページをご覧ください。
受診すると、何をしますか?
まず、いつごろから気になり始めたか、この1年で変わった実感があるかをうかがいます。そのうえで頭皮を拡大した画像を一緒にご覧いただきながら、毛の太さがどれくらいそろっているかを確認します。髪の量を見ているだけでは、ここは分かりません。
そこから、これからの進め方をご提案します。初診料は3,300円(税込)で、カウンセリングを含めて1時間ほどお時間をいただいています。
薄毛の治療に保険は使えますか?
当院では保険診療を行っておりません。AGA(男性型脱毛症)やFPHL(女性型脱毛症)の治療は国内では公的医療保険の対象外とされており、どの医療機関でも自費診療になります。
なお、円形脱毛症のように保険の対象となる脱毛症もあります。その場合は、保険診療に対応している医療機関の受診をお勧めしています。
参考文献
分類の原典
1男性型脱毛症の分類と発生頻度
要約:
現在使われているハミルトン・ノーウッド分類の原典です。著者のO’Tar Norwoodは皮膚科医で、植毛手術を手がけていました。白人成人男性1,000名を調査し、年齢別の発生頻度もあわせて報告しています。
抄録では、分類を作った目的が明記されています。植毛手術が広まるにつれて、広く受け入れられ、正確で、再現できる分類基準が必要になったためです。手術の成否は対象の選び方に大きく左右されるため、男性型脱毛症を正しく理解することが欠かせない、と述べられています。
本ページでは、1型〜7型と3型頭頂部タイプの定義、2型と3型を分ける2cmの基準、Type A変異型の定義とその割合、分類が作られた目的の根拠として参照しています。
2ヒトにおける脱毛のパターン(型と発生頻度)
要約:
分類のもとになったHamiltonの論文です。著者のJames B. Hamiltonは米国の解剖学者で、当時 State University of New York の解剖学教室に所属していました。300名を超える男性を調べ、脱毛の形をI型からVIII型までの8段階と、いくつかの亜型に整理しています。
本ページでは、分類の由来、Hamiltonが8段階で提唱したこと、および原典の基準が3cmであったことの根拠として参照しています。
3男性型脱毛症の進行(プラセボ群における5年間の観察)
要約:
薬を使わない群(プラセボ群)を5年間追跡した観察研究です。2つの臨床試験のデータをまとめ、毛髪数の実測、写真の専門家判定、医師の評価、本人の自己評価という4つの指標で経過を見ています。
4つの指標すべてで進行が認められました。5年後、対象部位の毛は239本減り、毛の密度は26.3%低下しました。写真判定では、5年後に75%の方が悪化と評価されています。
本ページでは、何もしない場合の全体的な傾向の根拠として参照しています。同時にこの数字は、4人に1人は5年後も悪化と判定されていないことも示しています。
毛包の変化について
4男性型脱毛症における毛包のミニチュア化の機序
要約:
AGAでは毛包が縮み、太い毛から細く短い毛へと置き換わっていきます(ミニチュア化)。従来はこれが毛の生え変わりを何度も重ねながら少しずつ進むと考えられてきましたが、著者は計算上その説明では時間がかかりすぎることを指摘しています。
そのうえで、ミニチュア化は大きな一段の変化として起こり、しかも1回の毛の生え変わりで元に戻りうるという考え方を提示しています。治療に反応した方の組織所見がその裏づけとして挙げられています。
本ページでは、細くなっている段階の毛包には戻る余地がある、という記述の根拠として参照しています。
5頭皮生検の水平切片による毛包数の計測(ミニチュア化の回復の測定)
要約:
18〜41歳の男性26名について、頭皮の組織を12か月あけて2回採取し、水平に薄く切った切片で毛包を数えた研究です。判定者には割り付けを伏せています。
治療を受けた群では太い毛が15.5本から20.9本へ増え、細くなった毛は26.7本から23.6本へ減りました。太い毛と細い毛の比率も改善し、著者らはミニチュア化の一部が元に戻ったことを示すものと述べています。
本ページでは、細くなった毛包の変化が実際に測られていることの根拠として参照しています。26名と規模の小さい研究であり、どなたにも同じ変化が起きることを示すものではありません。
女性の分類について
6女性に生じる男性型脱毛症(一般型脱毛症)の病型分類
要約:
女性の薄毛に用いるLudwig分類の原典です。468名の女性を観察し、3段階に整理しています。いずれの段階も「生え際から1〜3cm後ろ」を前の縁とする範囲で評価し、前の生え際が保たれることを要点としています。
また、女性で例外的に観察される男性型のパターンについては、Hamiltonの分類、またはEbling と Rook による修正版に従って分類できると述べています。
本ページでは、女性にハミルトン・ノーウッド分類を使わない理由、および物差しを当てる場所が違うという記述の根拠として参照しています。
7アンドロゲン産生腫瘍による男性型パターンの女性型脱毛症
要約:
女性の薄毛では通常、両側の頭頂部で毛の密度が下がる一方、前方の生え際は保たれるのが特徴です。しかし生え際の後退をともなって現れることがあり、その場合はホルモンの状態を考慮し、体毛が濃くなる・にきび・月経不順といった徴候を併せて確認することが重要である、と述べられています。とくに閉経後の女性で急に発症した場合には注意が必要とされています。
2例の症例報告で、いずれも背景にあった疾患の治療により改善しています。
本ページでは、女性で生え際が後退してきた場合に他科の受診をお勧めすることがある、という記述の根拠として参照しています。
日本人での進み方について
8日本人の男性型脱毛症における毛髪径の進行性の減少
要約:
男性型脱毛症の日本人56名について、毛髪の太さの変化を3年間追跡した研究です(京都大学)。
毛の平均の太さは毎年有意に減り、その幅は1年あたり平均1.1マイクロメートルです。細い毛(軟毛)の占める割合は3年で3.6%増えましたが、この増え方は白人で報告されている値より低いものでした。また太さの分布を見ると、20代では95マイクロメートル、50代では45マイクロメートルにピークがあり、3年のあいだにピークが細いほうへ移っていました。
著者らは、日本人の男性型脱毛症の進行は白人より遅いと考えられると述べています。あわせて、太さ60マイクロメートル超の毛が占める割合が、進行や治療効果を見るうえで感度のよい指標になるとしています。
本ページでは、この分類が白人男性をもとに作られていることに触れる箇所で、日本人での進み方の根拠として参照しています。
分類の系譜と信頼性について
9パターン脱毛症の分類レビュー
要約:
男女のパターン脱毛症について、これまでに提唱された分類を横断的にまとめた総説です。Beek(1950)からHamilton(1951)、Ogata(1953)、Setty(1970)、Norwood(1975)を経て、BASP分類(2007)に至る系譜が、それぞれの定義とともに整理されています。
このうちOgata(1953)は日本人男性を調査し、15の亜型を6型に整理しました。総説の著者は、この分類体系が白人男性をもとにした分類体系とはやや異なっており、日本人男性のパターン脱毛症の進み方が白人とは異なる可能性を示唆していると述べています。
本ページでは、分類の系譜、および日本人男性向けの分類が別に存在することの根拠として参照しています。
10ハミルトン・ノーウッド分類の信頼性
要約:
皮膚科医7名と皮膚科の専攻医16名が、男性の頭部を撮影した43枚の写真をハミルトン・ノーウッド分類で判定した研究です。評価者どうしの一致は十分ではありませんでした(級内相関係数0.63〜0.68)。皮膚科医と専攻医のあいだに大きな差はありませんでした。
続いて8名が56枚の写真を3か月あけて2回判定したところ、同じ人が同じ写真を見たときの再現性も低いという結果でした。著者らは、段階の数を減らせば一致度は上がるが、そうすると大まかな分類にしかならないと述べています。
なお、この研究で評価者は写真をイラストの一覧と見比べて判定しており、計測は行っていません。本ページでは、基準はあるものの実際には目視で判定されていることの根拠として参照しています。
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監修者情報(医師紹介)

監修医師:佐藤 雅樹
ソララクリニック 院長
専門分野:美容皮膚科
2000年 順天堂大学医学部卒。順天堂大学医学部形成外科入局。 大学医学部付属病院等を経て、都内美容皮膚科クリニックにてレーザー治療の研鑽を積む。2011年3月 ソララクリニック開院 院長就任。2022年 医療法人 松柴会 理事長就任。日本美容皮膚科学会 日本形成外科学会 日本抗加齢医学会 日本レーザー医学会 点滴療法研究会 日本医療毛髪再生研究会他所属。
様々な医療レーザー機器に精通し、2011年ルビーフラクショナル搭載機器を日本初導入。各種エネルギーベースの医療機器を併用する複合治療に積極的に取り組む.
※当院の治療はすべて自由診療(保険適用外)です。標準的な費用は各ページの料金表または料金表ページをご覧ください。治療に伴うリスク・副作用は診察時にもご説明します。
最終更新日
薄毛治療の全体像・料金・リスク・副作用・禁忌、および未承認の医薬品・医療機器に関する情報(国内の承認医薬品の有無・諸外国における安全性情報など)は薄毛治療(AGA)のページにまとめています。当院の治療はすべて自由診療(保険適用外)で、保険診療は行っておりません。