鶏鳴狗盗

2009年3月1日

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鶏鳴狗盗(けいめいくとう)

今の中国の戦国時代の後期に賢明な人がたくさんいました。
その中でも斉(せい)の孟嘗君(もうしょうくん)、趙(ちょう)の平原君(へいげんくん)、魏(ぎ)の信陵君(しんりょうくん)、楚(そ)の春申君(しゅんしんくん)は特に有名な人たちです。
これらの人々は数千人ものたくさんの有能な人たちを食客(しょっかく)として招いていたのですが、孟嘗君の所には犯罪者や一見何の取柄も無いような人もいました。
しかし、孟嘗君はこれらの人々の身分や身なりを気にせず、皆同じもてなしをしていました。

さて、賢人と名高い孟嘗君の名前を聞きつけた秦の昭王は、彼を自分の国の宰相(さいしょう)に任命しました。
しかし、孟嘗君は斉王の一族だったので、秦に危険な事が起こるかもしれないと昭王に忠告する者がいました。
それを聞いた昭王はそのとおりだと思い、孟嘗君を監禁して後で殺してしまおうと思いました。

孟嘗君は、何とか逃げ出せないものかと昭王の愛している女性に使者を送って助けてくれるよう頼みました。
すると、その女性は、「白狐の毛皮のコートをくれるのなら助けてあげますよ。」と言いました。
孟嘗君はその毛皮のコートを以前持っていたのですが、秦の宰相に呼ばれたときに昭王に献上してしまっていました。
困った孟嘗君は、食客たちに相談しましたが、だれも良い考えが浮かびませんでした。
すると、席の後ろの方に座っていた盗みの上手な人が「私にまかせて下さい。」と言いました。

そして、夜になるとその男は狗(いぬ)のように素早く宮中の蔵にある毛皮を盗み出しました。
その毛皮を女性に届けて、昭王にとりなしてもらった結果、孟嘗君は約束どおり釈放されました。
逃げ出した孟嘗君たちは、手形を偽造し、名前も変えて函谷関(かんこくかん)という関所までたどり着きました。
しかし、夜中だったので関所は閉まっていて通る事が出来ません。
そのころ昭王は、孟嘗君を釈放した事を後悔し、後を追って来ていました。

関所では、朝に一番鳥が鳴いたら旅人を通す事になっていて、追っ手が来るのではと心配していた孟嘗君は、このままでは捕まってしまうと思っていました。
すると、やはり食客の中に鶏の鳴きまねが上手な人がいて、鳴きまねをしてみると近所の鶏が一斉に鳴き始めました。
鶏が鳴いたので関所のお役人は孟嘗君たちを通してくれました。

その後すぐに昭王の追っ手が来ましたが、すでに関所を出てしまったので追うのをあきらめました。

孟嘗君がこの2人の男の人を食客に迎え入れたとき、他の人たちは理由がわからなかったのですが、彼らの力で助かったので、皆孟嘗君の人を見る目に感心したのです。

どんな人がどんなときに役に立つのかわからないし、1つでも他人より優れている所があるというのはすばらしいと言う事ですね。