ルードヴィッヒ分類Ludwig Classification |仙台

分け目の広がりから、いまの段階を読みます

分け目が広がってきた気がする。以前は気にならなかったのに、鏡に映る地肌が目につく。ドライヤーのあと、髪を分け直しても線が細くならない。

女性の薄毛は、この分け目のあたりから見えてきます。その進み具合を段階で表したのが、ルードヴィッヒ分類(Ludwig分類)です。男性のハミルトン・ノーウッド分類にあたります。

このページでは、この段階が何を見ているのか、そしてそこから分かること・分からないことをご説明します。図をご覧いただければ、ご自身がどのあたりかは見当がつきます。そこから先、I度かII度かを決めきる必要はありません。分け目は、自分では上から見られない場所だからです。

このページの要点

  • Ludwig分類は、分け目を中心に地肌がどこまで見えるかで女性型脱毛症を3段階に分けます(参考文献1
  • どの段階でも、生え際から1〜3cmほどの帯は残ります。女性型では生え際の線そのものは保たれます(参考文献1参考文献2
  • 分け目は、自分では上から見られない場所です。だから、決めきるのは診察の役目です(2章
  • この3段階に収まらない形もあります。35名を調べた報告では、8名が3段階のどれにも当てはまりませんでした(4章
  • 段階が分かっても、効き方までは分かりません。もともと治療の効果を予測するために作られた分類ではないからです(4章

段階の中身を知りたい方は1章から、ご自身の見方を知りたい方は2章からお読みいただいても構いません。

1. ルードヴィッヒ分類とは

ルードヴィッヒ分類とは、女性型脱毛症の進み具合を、分け目を中心とした地肌の見え方で3段階に分ける物差しです。1977年に発表され、いまも女性の薄毛で最も広く使われています(参考文献1参考文献4)。

I度・II度・III度

区切りは、分け目のあたりの地肌がどこまで見えるようになっているかです。

  • I度:分け目のあたりの毛が薄くなってくる段階
  • II度:同じ範囲の薄さが、はっきりしてくる段階
  • III度:その範囲の地肌が、広く見えるようになる段階

頭部を上から見た模式図。Ludwig分類のI度・II度・III度が並び、分け目を中心とした薄い範囲が段階的に広がる。いずれの段階でも生え際から1〜3cmほどの帯は残る

Ludwig分類の3段階を上から見た模式図です。分け目を中心とした範囲が段階的に広がります。破線より前が、どの段階でも残る帯です。進み方の段階を表したもので、治療の前後を比べたものではありません。見え方には個人差があります。

数字が大きいほど、範囲が広く見えているということです。見ているのは地肌で、抜けた毛の本数とは別のものです。1日にどのくらい抜けるものかは抜け毛の原因のページで扱っています。

どの段階でも、生え際の帯は残ります

どの段階にも共通しているのは、生え際から1〜3cmほどの帯が残るという点です(参考文献1)。上の図で、破線より前にあたる部分です。

女性型脱毛症では、生え際の線そのものは保たれます。皮膚科と内分泌の合同委員会の報告も、前の生え際はおおむね保たれると述べています(参考文献2)。前から見ると以前と変わらないのに、分け目を見ると広がっている。この形になるのはそのためです。

「何cm以上なら」という基準はありません

分け目の幅には、「ここからが薄毛」という決まった線がありません。もともとの毛量や髪質に幅があるためです。

この3段階も同じで、「分け目が何cm以上ならII度」といった数値の線引きを持ちません。地肌がどこまで見えるようになっているか、という見え方で区切ります。

ですから同じ方を見ても、I度とII度のあいだで判断が分かれることはあります。目の粗い分け方です。

手がかりになるのは、幅より変化です

以前と同じ分け方をしているのに地肌が見えるようになった。分け直しても線が細くならない。幅そのものより、こうした変化のほうが当てになります。

それでも段階が使われ続けているのは、分けておけば診察室で同じ言葉が使えるからだと思います。細かく見る器械は別にあり、診察ではそちらも合わせて使います(2章)。

この段階が表しているのは「程度」だけです

Ludwig分類が表しているのは、どこまで進んでいるかという程度だけです。

どちらの方向へ広がるかというは、別に分けて考えます。この点は3章でご説明します。

2. どこを見るのか

ここからは、ご自身で見るときの話です。

ご自身で段階まで決めていただく必要はありません。

分け目は、自分では上から見られません

正面の鏡では、いちばん見たい範囲がちょうど視野から外れます。合わせ鏡にしても、角度と明るさが毎回変わります。

そして、周りの方もなかなか言いません。美容室でもはっきり指摘されることはまずありませんし、ご家族でも言いにくいものです。ご自身で気づくまでに時間がかかるのは、そのためです。

判定には、これだけの手数がかかります

閉経後の女性178名を調べた研究では、6方向から撮影した標準化写真と頭皮の拡大観察で評価したうえ、皮膚科医3名が全員の写真を見直して確認しています参考文献3)。

研究の場でも、これだけの手数をかけています。洗面所の鏡で一目見て決まるものではありません。

ご自身で記録を残すなら

それでも様子を残しておきたい、という方はいらっしゃいます。その場合に大事なのは、撮り方をそろえることです。178名の研究がわざわざ「標準化した」写真を使っているのは、条件がずれると比べられなくなるからです。

場所と明かりと分け方をそろえて、真上から撮ってください。そして比べるのは3か月以上あけてからにしてください。髪の生え変わりは年単位で進みますので、1〜2週間おきに撮っても、その日の乾き方の違いしか写りません。

ご自身で見るなら、ここまでで十分です

  • 分け目の地肌が、以前より見えるようになったか
  • 前から見た生え際の線は、変わっていないか
  • 後頭部や側頭部と比べて、頭頂部だけが薄いか

いずれも「はい」に近ければ、女性型脱毛症の見え方に近づきます。

当院では、太さのばらつきを見ています

診察では、頭皮を拡大して毛の太さのそろい方を確認します。同じ範囲の中に太い毛と細い毛が混じっているかどうかが手がかりになるためです。段階の判定は、そこから先の話になります。

詳しくは女性の薄毛のページの「当院の診かた」でご説明しています。

3. どちらの方向へ広がるか

程度とは別に、どちらの方向へ広がるかにも型があります。皮膚科と内分泌の合同委員会の報告は、典型的な広がり方として次の形を挙げています参考文献2)。

頭部を上から見た模式図。左は分け目から外へ楕円形に広がる形、右は前へ行くほど幅が広くなるクリスマスツリー型

広がり方の型を上から見た模式図です。どちらも生え際の線そのものは保たれます。見え方には個人差があり、治療の前後を比べたものではありません。

① 分け目から、外へ広がっていく形

頭頂部の分け目を中心に、外へ向かって広がります。上から見ると、楕円形に地肌が透けて見えます。

Ludwig分類がそのまま当てはまるのが、この形です。

② 前のほうが、より強く出る形

同じく分け目が広がるのですが、後ろより前のほうで幅が広くなります。分け目の線をたどると、後頭部側では細く、前へ行くほど広がっていく。その形からクリスマスツリー型と呼ばれます(参考文献2参考文献5)。

この形では、生え際のすぐ内側まで薄さが届くことがあります。ただし生え際そのものの線は保たれます。

生え際やこめかみが後退してくる場合は、別に考えます

総説によっては、上の形に加えてこめかみの後退をともなう形を挙げているものもあります(参考文献5)。左右のこめかみが三角に切れ込む、男性型に近い見え方です。

生え際の線そのものが下がってくる場合もあります。女性にこうした形が出ることはありますが、どちらもLudwig分類では見ません。男性型の脱毛には別の分類を使うように、と原典が書き添えているためです(5章)。

数としてはまれです。4章で挙げる35名の報告でも、男性型だったのは1名でした。

なお、生え際が後退する脱毛症は女性型のほかにもあります。見分け方は女性の薄毛のページの「女性型脱毛症ではないこともあります」にまとめました。

 自分がどちらの形か迷うときは 女性の薄毛のページ もあわせてご覧ください

4. 段階が分かっても、効き方までは分かりません

ご自身の段階が分かると、次に知りたくなるのは「では、どうなるのか」だと思います。この分類は、そこまでは答えてくれません。

予測のために作られた分類ではありません

原典が掲げた目的は、早期の診断でした(参考文献1)。治療の効き方や、この先どこまで進むかを言い当てる道具として、原典は想定していません。成り立ちは5章でご説明します。

ですから「II度だからこの治療が効く」という言い方は、この分類からは出てきません。当院でも、段階だけを見て治療を決めることはしていません。

3段階に収まらない方がいます

脱毛を主訴に受診した女性35名を、順に診察・検査した報告があります。Ludwig分類で分けられたのは、I度16名・II度10名・III度1名の計27名。残る8名は、クリスマスツリー型が6名、前頭から頭頂にかけての形が1名、男性型が1名でした(参考文献6)。

35名のうち8名が、3段階のどれにも当てはまりませんでした。小さな報告ですが、実際の診察でも同じことが起こります。

分類は、ほかにもあります

女性の薄毛の分類は、ほかにもいくつか提案されてきました。分類法を整理した総説は、どの分類にも限界があると述べています(参考文献4)。

たとえば Olsen の分類は、段階ではなく始まった年齢(早く始まったか、遅く始まったか)と、アンドロゲンが多いかどうかで分けます(参考文献7)。同じ状態を、まったく別の切り口で見ているわけです。

どれかが正しいというより、見たいものによって使い分けています。

木製の折りたたみ尺・真鍮のコンパス・真鍮の分度器が横に並んだ線画イラスト。測り方の異なる道具が並んでいる

物差しは、測りたいものに合わせて選びます。女性の薄毛の分類も、Ludwig のものだけが使われているわけではありません。

では、何を手がかりにするのか

当院が実際に見ているのは、段階よりも毛の太さのばらつきと、これまでの経過です(2章)。同じ範囲に太い毛と細い毛が混じっていれば、いま変化の途中にあると考えます。

あわせて、いつごろから気になり始めたか、産後や閉経といった節目と重なっていないか、頭皮に赤みやかゆみがないかをうかがいます。段階だけでは、この見分けはつきません。

段階は、話を始めるための共通の言葉だとお考えください。そこから先は、頭皮を見て決めます。

5. この分類のはじまり

1977年に Ludwig が英国の皮膚科学誌 British Journal of Dermatology に発表した論文が原典です(参考文献1)。

論文は、こんな一文から始まります

女性のこの脱毛は、一般に信じられているよりずっと多い。それにもかかわらず、いまだにまれなものと考えられている。男性の脱毛とは臨床像も、そこに至る経過も違うからである。Ludwig E(1977)/筆者訳

50年近く前の指摘ですが、いまも同じことを感じます。男性の薄毛の話は目にしますが、女性のものは情報が少ないままです。診察室でもよくうかがいます。

早期に見つけるために作られました

原典は、この分類を作った目的をはっきり書いています。早期の診断を容易にするためです(参考文献1)。格付けのためではありません。気づくための道具として出発しました。

Ludwig はこの変化を「まばらになること(rarefaction)」と表現しています(参考文献7)。抜け落ちるのではなく、密度が下がっていく。女性型の見え方をよく言い当てた言葉だと思います。

開いた古い綴じ本に真鍮の万年筆と虫眼鏡が置かれた線画イラスト。ページは白紙で文字は入っていない

1977年に書かれた論文が、いまも女性の薄毛を診るときの土台になっています。

「早く見つけたい」という動機

原典は、なぜ早期の診断が望ましいのかも書いています。当時としては抗アンドロゲンによる治療の可能性があったからです(参考文献1)。

つまり1977年の時点で、すでに「見つかれば手はある。だから早く見つけたい」という考え方になっていました。いま女性に用いる手立ては当時とは異なりますが、動機のほうは変わっていません。6章でご説明する当院の考え方も、ここから続いています。

題名には、いまは使わない呼び名が入っています

原典の題名にある「男性ホルモン型脱毛」は、原語では androgenetic alopecia です。この呼び名はいまでは使われません。女性ではアンドロゲンの関与がはっきりしない方も多いためで、代わりに FPHL(女性型脱毛症)が使われます(参考文献2)。

呼び名の移り変わりについては女性の薄毛のページにまとめました。分類そのものは、名前が変わったあとも使われ続けています

女性型のためだけに作られています

原典には、断りが添えられています。例外的にみられる男性型の脱毛については、Hamilton の分類、あるいは Ebling と Rook による修正版を使うように、と(参考文献1)。

この3段階は、はじめから女性型の広がり方だけを対象にしています。男性の薄毛に当てはめることも、女性の生え際の後退に当てはめることも、原典が想定していません。男性の分類についてはハミルトン・ノーウッド分類のページでご説明しています。

6. 軽い段階のうちに、という考え方

段階を知る意味があるとすれば、いまが早い時期かどうかの見当がつくことだと思います。

女性型脱毛症のある方の7割強は、いちばん軽い段階でした

タイで、50〜65歳の健康な閉経後の女性178名を、6方向の標準化写真と頭皮の拡大観察で評価した研究があります。女性型脱毛症は52.2%に認められました(参考文献3)。

重症度の内訳を見ると、次のようになっています。

I度(いちばん軽い) 73.2%
II度 22.6%
III度 4.3%

ここが、手を打ちやすいところです

進んでからでは、回復に時間も労力もかかります。軽い段階であれば、いまの状態を保ちやすくなります。

当院が予防的な考え方をとるのは、このためです。診察では、その瞬間の頭皮しか見られません。次にお会いするまでの数か月に何が起きるかは、その場では分かりません。ですから経過を見てから決めるより、先に内服や外用を考えるほうがよいと考えています。

そして始めたら、半年から1年は続けて見ます。髪の生え変わりの周期がそれだけの長さなので、判断がつくまでにもそれくらいかかります。

治療の中身について

どの治療をどう組み合わせるかは、段階だけでは決まりません。年齢、始まった時期、頭皮の状態、これまでに試されたことを合わせて考えます。

当院でご案内している内服・外用・注入治療については女性の薄毛のページに、薄毛治療の全体像・料金・リスクについては薄毛治療(AGA)のページにまとめています。よくいただくご質問はこのページのFAQにもまとめました。

いつ、見せていただくとよいか

目安は、ご自身が気になった時点です。分け目の地肌が以前より見えるようになった、髪をまとめたときのボリュームが変わった。そう感じた時点で、すでに何らかの変化が始まっていることが多いためです。

逆に、抜け毛が増えるのを待つ必要はありません。女性型脱毛症は、毛が細くなることで進むためです。抜け毛が目立たないまま分け目だけが広がっていく方は、めずらしくありません。

分け目が気になり始めた段階で、一度見せていただければと思います。

よくある質問(FAQ)

ルードヴィッヒ分類について、実際によくいただくご質問をまとめました。

段階の見方について

自分がどの段階か、鏡や写真で分かりますか?

当たりをつけるところまではできますが、段階を決めるのは難しいと思います。程度の判定には、拡大して見る必要があるためです(2章)。

研究の場でも、6方向からの標準化写真と頭皮の拡大観察を行い、皮膚科医3名が写真を見直して確認しています(参考文献3)。

ご自身では、分け目の地肌が以前より見えるか、前から見た生え際が変わっていないか。そこを見ていただければ十分です。

分け目が広いのですが、これは薄毛ということですか?

分け目の幅には、「ここからが薄毛」という決まった線がありません。もともとの毛量や髪質に幅がありますし、Ludwig分類が見ているのも幅ではなく地肌の見え方だからです。

幅ではなく、変化のほうを見てください。以前と同じ分け方で地肌が見えるようになったかどうかです(1章)。

なお、いつも同じところで分けていると、その部分だけ負担がかかることもあります。判断がつかないときは一度ご相談ください。

何度も測って、進み具合を追ったほうがよいですか?

短い間隔で段階を測り直すことは、お勧めしていません。髪の生え変わりの周期は年単位で、数週間では動きが見えないためです。

段階を追うことより、始めた治療を半年から1年続けてから見比べるほうが確かだと考えています(6章)。

ご自身で記録を残される場合も、比べるのは3か月以上あけてからにしてください(2章)。

ほかの分類との違い

ハミルトン・ノーウッド分類とは、何が違うのですか?

見ている場所が違います。ハミルトン・ノーウッド分類は男性の薄毛を1型〜7型で表すもので、生え際の後退と頭頂部を手がかりにします。Ludwig分類は分け目を中心とした地肌の見え方だけを見ます。

Ludwig の原典は、例外的にみられる男性型の脱毛には Hamilton の分類(または Ebling と Rook による修正版)を使うようにと書き添えています(参考文献1)。使い分けが前提になっているということです。

男性の分類についてはハミルトン・ノーウッド分類のページでご説明しています。

クリスマスツリー型と言われました。ふつうの女性型とは違うのですか?

同じ女性型脱毛症の、広がり方の型です。別の病気として扱うものではありません。皮膚科と内分泌の合同委員会の報告も、典型的な広がり方としてこの形を挙げています(参考文献2)。

分け目の線をたどったとき、後頭部側で細く前へ行くほど広がる形を指します。この形でも、生え際の線そのものは保たれます3章)。

治療との関係

I度と言われました。治療は必要でしょうか?

段階だけでは決まりません。年齢や経過、頭皮の状態も合わせて考えます。

そのうえで当院の考え方を申し上げると、軽い段階は手を打ちやすい時期です。閉経後の女性178名の研究でも、女性型脱毛症のある方の73.2%がI度でした(参考文献3)。よくある状態です。

当院が早めに考えることをお勧めする理由は6章に書きました。

段階が進んでいると、もう手遅れですか?

そうとは限りません。女性型脱毛症は、毛穴が残ったまま毛が細くなっている状態だからです。毛穴が瘢痕になって消えてしまう種類の脱毛症とは、ここが違います。詳しくは女性の薄毛のページにまとめました。

ただし、進んだ段階のほうが時間も労力もかかります。どこまで戻せるかをお約束することはできません。実際にどう進めるかは、頭皮を見せていただいてからのご相談になります。

段階が分かれば、どの治療が効くか分かりますか?

分かりません。Ludwig分類は、治療の効き方を予測するために作られた分類ではないためです。原典が掲げた目的は早期の診断でした(参考文献14章)。

分類法を整理した総説も、これまでに提案されてきた分類の多くにそれぞれ限界があると述べています(参考文献4)。

段階は、話を始めるための共通の言葉です(4章)。

参考文献

1女性にみられる男性ホルモン型脱毛(一般的な脱毛)の病型分類

原題: Classification of the types of androgenetic alopecia (common baldness) occurring in the female sex

著者: Ludwig E

出典: Br J Dermatol. 97(3):247-254 (1977)

DOI: 10.1111/j.1365-2133.1977.tb15179.x

要約:

本ページで扱う分類の原典です。冒頭で「女性のこの脱毛は一般に信じられているよりずっと多いが、いまだにまれなものと考えられている。男性の脱毛とは臨床像も、そこに至る経過も違うからである」と述べ、そのうえで女性型の段階分類を提示しています。

分類を作った目的は、早期の診断を容易にすることだと明記されています。また、女性に例外的にみられる男性型の脱毛については Hamilton の分類、あるいは Ebling と Rook による修正版を用いるようにと書き添えられています。

いずれの段階でも、生え際から1〜3cmの帯が保たれることを分類の要点としています。

1章・5章・4章の土台です。治療効果の予測を目的とした分類ではないという4章の記述は、この原典の目的の記載に基づいています。

2女性型脱毛症とアンドロゲン過剰についての多分野合同委員会報告

原題: Female Pattern Hair Loss and Androgen Excess: A Report From the Multidisciplinary Androgen Excess and PCOS Committee

著者: Carmina E, Azziz R, Bergfeld W, et al.(Olsen E を含む)

出典: J Clin Endocrinol Metab. 104(7):2875-2891 (2019)

DOI: 10.1210/jc.2018-02548

要約:

皮膚科・内分泌・生殖内分泌の専門家からなる合同委員会が、2017年12月までの査読論文を評価してまとめた報告です。

女性型脱毛症を「頭皮中央部の毛髪密度が低下し、前の生え際は概してよく保たれるもの」と定義し、典型的な広がり方として、頭皮中央部から遠心状に広がる形と、前方が強く出るクリスマスツリー型を挙げています。名称についても androgenetic alopecia を避け FPHL を用いるべきだとしています。

1章の「生え際の帯は残る」と3章の広がり方の拠りどころです。

3閉経後女性における女性型脱毛症の有病率(横断研究)

原題: Prevalence of female pattern hair loss in postmenopausal women: a cross-sectional study

著者: Chaikittisilpa S, Rattanasirisin N, Panchaprateep R, et al.

出典: Menopause. 29(4):415-420 (2022)

DOI: 10.1097/GME.0000000000001927

要約:

50〜65歳の健康な閉経後女性200名を募り、6方向すべてからの標準化写真とトリコスコピーでLudwig分類による評価を行い、皮膚科医3名が全員の写真を見直して確認した横断研究です。実際に評価されたのは178名でした。

女性型脱毛症の有病率は52.2%。重症度の内訳はI度73.2%・II度22.6%・III度4.3%でした。年齢・閉経からの年数・BMIが関連し、年齢と家族歴で調整するとBMI 25以上のみが有意でした。

2章「判定は本来こういう作業です」と6章の中心にある研究です。タイの単一施設で行われた横断研究であり、日本人女性でそのまま同じ割合になるとは限りません。

4パターン脱毛症の分類レビュー

原題: Classifications of Patterned Hair Loss: A Review

著者: Gupta M, Mysore V

出典: J Cutan Aesthet Surg. 9(1):3-12 (2016)

DOI: 10.4103/0974-2077.178536

要約:

男女のパターン脱毛症について提案されてきた分類法を、MEDLINE と EMBASE の検索をもとに整理した総説です。生え際の後退だけを見る単純なものから、頭皮と毛髪の形態・動態を組み合わせた多因子型のものまで並べています。

既存の分類の多くには、それぞれ限界があると述べられています。そのうえで、現在最も広く使われているのは男性でHamilton-Norwood、女性でLudwigであると整理しています。

4章「分類は、ほかにもあります」の拠りどころです。

5女性型脱毛症

原題: Female pattern hair loss

著者: Herskovitz I, Tosti A

出典: Int J Endocrinol Metab. 11(4):e9860 (2013)

DOI: 10.5812/ijem.9860

要約:

女性型脱毛症の見え方・鑑別・治療を扱った総説です。見え方を3種類に整理しています。(A) 前の生え際が保たれたまま頭頂部がびまん性に薄くなる形(Ludwig型)、(B) 前方ほど幅が広く三角形に見えるクリスマスツリー型、(C) こめかみの後退をともなう形(Hamilton型)です。

鑑別すべきものとして、慢性休止期脱毛症・化学療法後の永久脱毛・潜伏型円形脱毛症・前頭線維化性脱毛症を挙げ、それぞれの見分け方を述べています。

3章の広がり方と、4章「3段階に収まらない方がいます」の背景にあたります。

6インドにおける女性の男性ホルモン型脱毛

原題: Androgenic alopecia in women: an Indian perspective

著者: Sehgal VN, Srivastava G, Aggarwal AK, Midha R

出典: Skinmed. 11(6):332-340 (2013)

PubMed: PMID 24517037

要約:

脱毛を主訴に連続して受診した女性35名について、問診・診察・毛髪牽引試験・トリコグラム・頭皮生検を行い、LudwigとNorwoodの両方の分類で当てはめを試みた報告です。

Ludwig分類ではI度16名・II度10名・III度1名。そのほかにクリスマスツリー型が6名、前頭から頭頂にかけての形が1名、男性型が1名でした。

4章「3段階に収まらない方がいます」で引いています。35名という小規模な単一施設の報告であり、割合をそのまま一般化できるものではありません。「3段階に入らない方が一定数いる」という点だけを読み取っています。

7女性の脱毛

原題: Hair loss in women

著者: Camacho-Martínez FM

出典: Semin Cutan Med Surg. 28(1):19-32 (2009)

DOI: 10.1016/j.sder.2009.01.001

要約:

女性の脱毛を、分類・診断・治療にわたって整理した総説です。Ludwig がこの過程を「まばらになること(rarefaction)」と呼んだこと、女性にみられる男性型(FAGA.M)は Ebling または Hamilton-Norwood の分類で細分すべきとされること、より新しい Olsen の分類が早発型・遅発型という発症年齢の軸で分けていることが述べられています。

5章の「rarefaction」と、4章「分類は、ほかにもあります」で引いています。治療に関する記載は当院の方針と一致しない部分があり、本ページでは分類に関する記述のみを参照しています。

※掲載した文献は、いずれも治療の一般的な考え方を示すものであり、お一人おひとりの結果を保証するものではありません。効果やリスクの現れ方には個人差があります。

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監修者情報(医師紹介)

監修医師 佐藤雅樹(仙台 ソララクリニック院長)

監修医師:佐藤 雅樹 (さとう まさき)

ソララクリニック 院長

専門分野:美容皮膚科

2000年 順天堂大学医学部卒。順天堂大学医学部形成外科入局。 大学医学部付属病院等を経て、都内美容皮膚科クリニックにてレーザー治療の研鑽を積む。2011年3月 ソララクリニック開院 院長就任。2022年 医療法人 松柴会 理事長就任。日本美容皮膚科学会 日本形成外科学会 日本抗加齢医学会 日本レーザー医学会 点滴療法研究会 日本医療毛髪再生研究会他所属。 
様々な医療レーザー機器に精通し、2011年ルビーフラクショナル搭載機器を日本初導入。各種エネルギーベースの医療機器を併用する複合治療に積極的に取り組む.

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薄毛治療の全体像・料金・リスク・副作用・禁忌、および未承認の医薬品・医療機器に関する情報(国内の承認医薬品の有無・諸外国における安全性情報など)は薄毛治療(AGA)のページにまとめています。当院の治療はすべて自由診療(保険適用外)で、保険診療は行っておりません。