ニキビが 治らない時 Persistent Acne|仙台
皮膚科で治療を
皮膚科には年単位で通い、処方された薬もきちんと使っている。それでも、ニキビが思うように良くならない。
当院のニキビ外来には、こうした方がよくお越しになります。
保険診療の皮膚科で受けられる標準的な治療は、多くの方に効く第一選択です。まだ受診していない方は、まず保険診療の皮膚科を受診してください。このページでは、標準的な治療を続けても良くならないときに見直したいことと、その先の選択肢をまとめました。
このページの要点
- 標準的な治療をきちんと続けても良くならないニキビは、珍しくありません。米国皮膚科学会のガイドラインも、標準的な治療で効果が不十分な場合を想定しています。
- 塗り薬は、約3か月(12週)続けてから効き目を判断します。抗菌薬(抗生物質)は、日本皮膚科学会のガイドラインで、急性期の約3か月までにとどめるのが目安です。
- 長く治らないときは、マラセチア毛包炎や酒さなど、ニキビ以外のものが混ざっていないかも見ておきます。
- 当院では、「ニキビができづらい肌」「ニキビができても早く治る肌」の獲得を狙います。
この記事の目次
きちんと治療を続けても治らないのは、珍しいことですか
珍しいことではありません。ニキビは何年も続くことの多い病気で、標準的な治療を正しく続けていても、なかなか収まらないことがあります。
当院にお越しになる方
当院を調べて、ニキビの治療を希望して来られる方のうち、長い間、例えば中学生のころから10年以上にわたってニキビが収まらない方は、割としっかり皮膚科に定期的に通院されていることが少なくありません。
塗り薬をきちんと塗れていない方も一定数いらっしゃいますが、多くの場合、当院まで来られる方は、年単位で同じクリニックにしっかり通っておられます。にもかかわらず、コントロールがうまくいっていません。
結果として抗菌薬を長く続けている方もいらっしゃいますが、多くは、いまの保険診療で行われている、ガイドラインに沿った治療を受けてこられた方だと思います。しっかり続けてこられたにもかかわらず、うまく収まらないことが多いように思います。
初診では、何歳ごろからニキビが出ているか、皮膚科に何年通ってこられたか、使ってきたお薬、ほかのクリニックなどで受けた治療、日々のスキンケアなどを伺います。
20代、30代まで続くこともあります
ニキビは10代で終わるとは限りません。これまでの研究をまとめた報告(系統的レビュー)では、ニキビが20代まで続く人は約64%、30代まで続く人は約43%とされています(参考文献1)。お一人おひとりが何歳で落ち着くかまではわかりませんが、大人になってから続いていても、おかしなことではありません。
ガイドラインも、良くならない場合を想定しています
米国皮膚科学会が2024年に出したガイドラインは、標準的な飲み薬や塗り薬で効果が不十分なニキビについても、推奨を示しています。そこで強く推奨されているのが、経口イソトレチノイン(飲み薬)です(参考文献2)。
ただし米国では、この薬は胎児への影響が大きいことから、iPLEDGEという厳格な安全管理の仕組みのもとで処方されています。妊娠中に飲むことを防ぐための仕組みで、欧州などにも同じような制度があります(参考文献3)。
日本ではこの薬は承認されておらず、保険診療では使えません。こうした安全管理の仕組みもありません。
当院では、飲んでいるあいだの血液検査や遮光、妊娠の回避、気分の変化をやめたあとまで追い続け、最悪の事態を防ぎきる管理は提供できないと判断し、扱っておりません。詳しくは、経口イソトレチノインを当院で扱っていない理由をご覧ください。
ガイドラインが、標準的な治療で良くならない場合を想定しているように、収まらなかったのは、続け方が足りなかったからとは限りません。
治らないと感じたとき、まず何を見直せばよいですか
ニキビが治らないと感じたときにまず見直したいのは、塗り薬を続けた期間、塗り方、抗菌薬を使っている期間、良くなった後の続け方の4点です。どれも、いまの治療をやめる前に確かめられることです。
塗り薬を続けた期間
塗り薬の効き目は、約3か月(12週)を目安に判断します。503名の臨床試験でも、効き目を評価する時点は12週に置かれていました(参考文献4)。1か月で変化がなくても、判断するにはまだ早いことが多いと考えてください。期間の考え方は、思春期のニキビ治療のページでも詳しくご説明しています。
塗る範囲と、続けにくいとき
毛穴の詰まりに働く塗り薬(アダパレンや過酸化ベンゾイル)は、気になるところだけでなく、ニキビのできる範囲に塗るのが基本です。目に見えるニキビに加えて、これから出てくるものも毛穴の段階で抑える薬だからです。
使い始めの乾燥やヒリつきで、途中からやめてしまう方もいます。ニキビの治療が続かない理由として多いのは、副作用と年齢の若さ、次いで塗り忘れや飲み忘れだと報告されています(参考文献5)。
続けにくいときは、やめてしまう前に、処方を受けた皮膚科でご相談ください。塗る量や回数、薬の種類を変えることで、続けられる場合があります。
抗菌薬を使っている期間
日本皮膚科学会のガイドラインは、抗菌薬(抗生物質)を使うのを、炎症の強い急性期の約3か月までとしています。その後は、過酸化ベンゾイルやアダパレンなどで良い状態を保つ「維持期」に移るよう勧めています。抗菌薬が効きにくい菌を増やさないためです(参考文献6)。
国内の皮膚科13施設で調べた研究では、抗菌薬を使っている方から採れたアクネ菌で、使っていない方より、効きにくい(耐性の)菌の割合が高くなっていました。塗り薬の抗菌薬としてよく使われるクリンダマイシンが効きにくい菌は、24歳以上の方や、中等症から重症の方から多く見つかっています(参考文献7)。
抗菌薬で反応が乏しい理由としては、飲み忘れなどのほかに、菌の耐性、別の菌による毛包炎、皮脂の多さが挙げられています(参考文献8)。抗菌薬が半年、1年と続いているときは、見直しの合図と考えてください。ご自身の判断でやめず、処方を受けた医師とご相談ください。
以前は、マクロライド系の抗菌薬を少量で長く飲み続ける方法がとられることもありました。当院でも2010年のブログでご紹介しましたが、抗菌薬の期間を区切るいまのガイドラインの考え方とは合わないため、現在は行っていません。
良くなった後の続け方
良くなったところで薬をすべてやめると、数か月のうちにまた増えてくることがあります。
良くなった後にアダパレンを塗るかどうかで、16週後の結果を比べた試験があります。対象は、飲み薬の抗菌薬を中心とした治療で、ニキビの数が半分以下になった重症の方です。改善を保てていた方は、アダパレンを塗った群で75%、薬の成分を含まない基剤を塗った群で54%でした(参考文献9)。
当院まで来られる方の多くは、期間・塗り方・抗菌薬・良くなった後の続け方の4点を押さえても収まらなかった方です。
ご予約・お問い合わせ
ニキビ以外のものが混ざっていることはありますか
あります。ニキビの薬で良くならないもののなかには、別の菌や別の病気によるものも含まれます。見た目が似ているので、見分けは診察で行います。
次のようなことに心当たりがあれば、受診のときにお伝えください。
菌によるもの
- 1〜2mmほどの形のそろった小さなブツブツが、額から生え際や背中に出て、かゆみがある
マラセチア毛包炎(皮膚にいるカビの仲間による、毛穴の炎症)かもしれません。米国の1施設で21歳以下の110例を振り返った研究では、マラセチア毛包炎と診断された方の75%を超える方が、その直前に抗菌薬でニキビの治療を受けていました(参考文献10)。 - 抗菌薬を長く使っているのに、膿をもった発疹が減らない
ニキビとは別の菌(グラム陰性桿菌)による毛包炎も、抗菌薬が効きにくい理由のひとつとされています(参考文献8)。
ニキビに似た皮膚の病気
- 頬や鼻の赤みが続き、ほてりやすい
酒さの可能性があります。日本皮膚科学会のガイドラインも、ニキビとの見分けが必要で、治療も異なる病気として扱っています(参考文献6)。詳しくは酒さ・赤ら顔のページをご覧ください。 - ステロイドの塗り薬を使っていた口の周りに、赤いブツブツが続く
口囲皮膚炎や酒さ様皮膚炎が考えられます。口囲皮膚炎では、ステロイドの塗り薬の誤った使い方が、最も根拠の強い原因とされています(参考文献11)。酒さ様皮膚炎のページもあわせてご覧ください。
薬やホルモンによるもの
- 大人になってから急に、形のそろった発疹が、いつもと違う場所に出てきた
飲み薬などによる発疹のことがあります。ステロイドの飲み薬や、精神や神経に働く薬などで起こり、普通のニキビの治療が効きにくいのが特徴とされています(参考文献12)。新しく使い始めた薬があれば、お知らせください。 - 女性で、生理が不規則になってきた、体毛が濃くなってきた
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)など、ホルモンの病気の症状としてニキビが出ることがあります(参考文献13)。診察でお聞かせください。多嚢胞性卵巣症候群が疑われるときは、婦人科での検査をお勧めしています。
どれに当たるかを、ご自身で見分ける必要はありません。気になることを書き留めて、診察のときにお見せください。
当院では、何を確かめて、どこから始めますか
当院では、どの治療から始めるかを決め打ちにはせず、受診された時点の肌の状態とこれまでの治療を診察で確かめてから決めます。
診察で見ていること
主に見ているのは、次の4点です。
- 炎症の強さと、しこりがあるか
- ニキビ跡(凹みや赤み)ができ始めていないか
- 年齢と性別、生理の周期との関わり
- これまでの治療(使ってきた薬と期間、ほかで受けてきた治療)
ニキビ跡は、早めに見ておきたいところです。ニキビで皮膚科を受診した1,972名を、120名の医師が診た報告があります。43%に跡があり、ニキビの重さや、発症から最初の有効な治療までの期間、再発を繰り返すことなどが、跡と関係していました(参考文献14)。
跡ができ始めている方とは、炎症を抑えた後に跡の治療へ進む時期も含めてご相談します。
これまでの治療については、お薬手帳をお持ちください。どのような薬を、どのくらいの期間使ってきたかが、次の一手を決める手がかりになります。当院ではVISIAで肌の分析を行い、目に見えていない段階も含めて状態を確認してから、治療をご提案しています。
始めることが多い治療
当院の治療は、レーザーや窒素プラズマの照射で、皮脂腺やアクネ菌、炎症に、肌の側から直接働きかけるものが中心です。始めることが多いのは、標準プログラムか、窒素プラズマによる治療です。大人の女性では、抗アンドロゲン療法も考えますが、飲み薬を使わずに、照射などの治療だけで進めることもできます。
- ニキビ治療標準プログラム:アクネ菌に働く青い光のレーザーや、毛穴や皮脂腺に熱を届けるレーザーなどを、肌の状態に合わせて医師が選んで組み合わせる治療です。
- 窒素プラズマによる重症ニキビの治療:ある程度のダウンタイム(赤みや薄いかさぶた)を許容していただき、重いニキビを抑えにいく治療です。
- 抗アンドロゲン療法:男性ホルモンの働きを抑える飲み薬(スピロノラクトン)を、ほかの治療と組み合わせて使います。低用量ピルを併用することもあります。
特別なご希望がない限り、肌の状態を診断したうえで適切な治療法を医師が選択しますので、治療名がわからなくてもご心配はいりません。標準プログラムのレーザーや窒素プラズマの照射は、医師が行います。
治療の中身と料金は、ニキビ治療専門外来のページと料金表にまとめています(抗アンドロゲン療法の料金は、抗アンドロゲン療法のページにあります)。主なリスク・副作用は、このページの最後にまとめています。
当院でのニキビの治療は、どのように進みますか
初診の日に治療法をご提案し、症状を抑えている期間に肌質を整えていきます。
初診の日のこと
初診の日は、診察と肌画像分析をもとに、適した治療法をご提案します。施術は原則として別の日です。その日に治療を決めていただく必要はありません。これまでの治療の経過によっては、保険診療をそのまま続けることをお勧めする場合もあります。
いまお使いのお薬について
当院の治療を始めても、いまのお薬がすべて要らなくなるわけではありません。照射と重なると刺激が強く出るお薬もあるため、初診でお薬手帳を拝見し、続けるもの、照射の前後で間隔をあけるもの、しばらく休むものを一緒に決めます。中止や再開はご自身で決めずに、お薬手帳ごとお持ちください。
漢方薬など、皮膚科で処方されているお薬は、当院でお出しすると自由診療になり、ご負担が大きくなります。できるだけ、そのまま皮膚科で続けていただくようお勧めしています。
始めてから1〜2か月のあいだ
始めて1〜2か月ほどは、ニキビが不安定になることがあります。治療への反応でニキビが悪化したように見えたり、飲み薬によっては体調に響いたりする場合もあります。
不安になりやすい時期なので、できれば間隔を詰めて通っていただけるように計画を立てます。標準プログラムでは、はじめの1〜2か月は週1回ほど、落ち着いてきたら月1回ほどが目安です。遠方の方など、通うのが難しい場合は、ご相談のうえで決めていきます。
落ち着くまでの期間と、その後
落ち着くまでの早さは人によってさまざまですが、6か月ほどはかかるとお考えください。長年コントロールが難しかった方では、日々のスキンケアとの兼ね合いもあって、時間がかかることが少なくありません。1年以上になることもあります。
その間は、受診のたびに肌の状態と治療の進み具合を精査して、必要があれば治療法を修正します。飲み薬(抗アンドロゲン療法など)を当院で併用している方は、肌が落ち着いてきた段階で、少しずつ減らしていきます。
ニキビを抑えられるようになった後は、肌質を改善し、肌を安定させることに専念します。見かけ上はニキビが落ち着いていても、ニキビのできやすい素因はまだ残っていると考えているためです。その後は、定期的に通院していただいて良い状態を保つか、スキンケアで保てるようであれば、スキンケア中心に移していきます。
当院のニキビ外来の目標は、できるだけ早くニキビをコントロールし、ニキビができづらく、できても早く治る肌にしていくことです。最終的には、飲み薬に頼らず、塗り薬や照射など肌に直接行う治療(局所治療)だけでコントロールできる状態を目指します。
ご予約・お問い合わせ
年代・部位・季節ごとのご案内
年代や部位、崩れやすい季節によって、気をつけるところも治療も違ってきます。それぞれのページで詳しくご説明しています。
- 10代の方:思春期のニキビ治療(保険診療の標準的な治療から当院の治療へ進むまでを、段階ごとにまとめています)
- 20代以降で、あごやフェイスラインに繰り返す方:大人ニキビの治療
- 背中や胸元の方:背中・デコルテのニキビ治療
- 毎年同じ季節に崩れる方:ニキビが増えやすい時期
- 同じところに繰り返しできる方、潰しても治らない方:ニキビ圧出
思春期から続いて20代以降になった方には、このページの内容が当てはまります。大人ニキビの治療のページもあわせてご覧ください。
よくある質問
治らないニキビについて、診察でよくいただくご質問をまとめました。
治らない理由について
ニキビが治らないのはなぜですか?
ニキビは、正しく治療していても何年も続くことのある病気だからです。そのうえで、塗り薬を続けた期間や塗る範囲、抗菌薬の使い方、良くなった後の続け方に、見直せるところが残っている場合もあります。
マラセチア毛包炎や酒さなど、ニキビに似た別のものの場合もあります。
ニキビが1か月以上治らないのはなぜですか?
塗り薬は、効き目が出てくるまでに時間がかかるためです。効き目は約3か月(12週)を目安に見ます。
同じところに硬いしこりが何週間も続くときは、跡が残りやすい状態です。様子を見ずに、早めに皮膚科でご相談ください。
何年もニキビが治らないのはなぜですか?
ニキビは、大人になっても続く人の多い病気です。良くなったところで薬をすべてやめて、また増えてくることもあります。
いまの治療を続けても良くならないときは、ニキビ以外のものが混ざっていないかを確かめたうえで、次の一手を考えます。
30歳でニキビが治らないのはなぜですか?
ニキビは30代まで続くこともあり、大人のニキビには、ホルモンや生活の変化も関わるためです。女性では、生理の周期とも関わります。
思春期から続いている場合はこのページが、大人になってから出てきた場合は大人ニキビの治療のページが参考になります。
薬について
抗菌薬(抗生物質)を何か月も飲んでいます。続けて大丈夫ですか?
3か月を大きく超えて続けることは、勧められていません。日本皮膚科学会のガイドラインは急性期の約3か月までを目安としていて、抗菌薬を使っている方では、効きにくい菌が見つかる割合も高くなっています。
やめるかどうかはご自身で決めずに、維持期の薬への切り替えを、処方を受けた医師にご相談ください。
塗り薬がヒリヒリして続けられないときは、どうすればよいですか?
使い始めによく起こる反応です。やめる前に、量や回数を減らせないか、保湿剤の使い方とあわせて、処方を受けた皮膚科でご相談ください。
こちらで治療を始めたら、いまの薬はやめるのですか?
すべてをやめるわけではありません。そのまま続けるお薬もあれば、照射の日の前後だけ控えるお薬、しばらくお休みするお薬もあります。
初診でお薬手帳を拝見して決めますので、それまでは、いまのお薬をそのままお使いください。
そのほか
ニキビを潰しても治らないのはなぜですか?
潰して取り除けるのは、いまあるものだけで、同じ毛穴からまた作られる流れは止まらないためです。自分で潰すと、跡も残りやすくなります。
圧出の考え方は、ニキビ圧出のページで詳しくご説明しています。
参考文献
このページの説明は、私の診療での実感に加えて、国内外の研究をもとにしています。根拠にした文献を下にまとめました。タイトルをタップすると、どんな研究なのか、このページのどこを支えているのかをご覧いただけます。
ニキビが続くこととガイドライン
1ニキビの疫学(系統的レビュー)
要約:
ニキビの有病率や原因について、2011年11月までの疫学研究をまとめた系統的レビューです。中等症から重症のニキビは若い人の約20%にみられ、重さは思春期の成熟度と相関していました。ニキビは、20代まで約64%、30代まで約43%で続くとまとめています。
本ページでは、ニキビが20代・30代まで続くことは珍しくないという記述の根拠として参照しています。お一人おひとりが何歳で落ち着くかを予測するものではありません。
2ニキビの診療ガイドライン(米国皮膚科学会・2024年)
要約:
9歳以上のニキビを対象に、系統的レビューとGRADEという方法で根拠の確かさを評価し、18項目の推奨と5項目の良い診療の目安を示したガイドラインです。過酸化ベンゾイル、塗り薬のレチノイド、塗り薬の抗菌薬、内服のドキシサイクリンを強く推奨しています。重症のニキビ、心理的な負担や跡のあるニキビ、標準的な内服・外用の治療で効果が不十分なニキビには、経口イソトレチノインを強く推奨しています。全身に使う抗菌薬を控えめにすることも、良い診療の目安に挙げています。
本ページでは、標準的な治療で効果が不十分な場合をガイドラインが想定しているという記述の根拠として参照しています。
3イソトレチノインの妊娠を防ぐための管理の仕組み:4つの大陸の比較(総説)
要約:
イソトレチノインは胎児への影響(催奇形性)が大きいため、妊娠中に飲むことを防ぐ管理の仕組みが各国で設けられてきました。オーストラリア、欧州、シンガポール、ニュージーランド、米国の仕組みを比べた総説です。米国のiPLEDGEや欧州のPregnancy Prevention Programのような厳格な仕組みも、それだけでは妊娠中に飲んでしまうことを減らせない可能性があるとし、確実な避妊についての説明を重視すべきだとしています。
本ページでは、米国では厳格な安全管理の仕組みのもとで処方されているという記述の根拠として参照しています。
効き目の判断と続け方
4中等症・重症の炎症性ニキビに対する、アダパレンと過酸化ベンゾイルの配合ゲルの効果:ランダム化二重盲検比較試験
要約:
中等症から重症の炎症性ニキビの503名を、アダパレン0.3%の配合ゲル(217名)、アダパレン0.1%の配合ゲル(217名)、成分を含まない基剤(69名)に分け、1日1回、12週間塗った試験です。効き目は12週の時点で評価され、0.3%の配合ゲルの群では、肌がきれい、またはほぼきれいになり、しかも重さの評価が2段階以上良くなった方の割合は33.7%(基剤だけでは11.0%)、炎症のあるニキビの数の減り方は68.7%(同39.2%)でした。国内で承認されている配合ゲルは、アダパレン0.1%のものです。
本ページでは、塗り薬の効き目を評価する時点が12週に置かれているという記述の根拠として参照しています。「12週で効かなければ効かない」と示したものではありません。
5ニキビ治療のアドヒアランス(指示どおりに使えているか):系統的レビュー
要約:
ニキビの薬を指示どおりに使えているかを調べたランダム化比較試験を、1978年から2013年6月まで集めて分析した系統的レビューです。自己申告での遵守率は、飲み薬で76.3%、塗り薬で75.8%でした。続けられない理由として多かったのは、副作用と年齢の若さで、次いで忘れることでした。測り方の弱い研究が多いことも、著者自身が指摘しています。
本ページでは、ニキビの治療が続かない理由についての記述の根拠として参照しています。
抗菌薬と維持期
6日本皮膚科学会「尋常性痤瘡治療ガイドライン2017」
要約:
日本で使える薬と治療をもとにした、日本皮膚科学会のニキビ治療のガイドライン(2017年版)の英語版です。炎症の強い急性期には、抗菌薬だけの治療より、過酸化ベンゾイルを含む配合剤などの併用を強く勧めています。急性期の抗菌薬は約3か月までにとどめ、その後の維持期には過酸化ベンゾイル、アダパレン、その配合ゲルを勧めています。抗菌薬が効きにくいアクネ菌を出さないためです。酒さは、ニキビとの見分けが必要で、治療も異なる病気として扱っています。
本ページでは、抗菌薬を使う期間の目安と維持期の考え方、酒さとの見分けについての記述の根拠として参照しています。
7クリンダマイシンが効きにくいアクネ菌を持つニキビの方の特徴:日本の多施設研究
要約:
国内の皮膚科13施設で、ニキビの方264名から検体を集め、164名から採れたアクネ菌164株を調べた研究です。テトラサイクリン系、マクロライド系、クリンダマイシンが効きにくい菌の割合は、ニキビの治療で抗菌薬を使っている方から採れた菌で、使っていない方より高くなっていました。クリンダマイシンが効きにくい菌は、24歳以上の方や、中等症から重症の方から多く見つかっています。
本ページでは、抗菌薬を使っている方では抗菌薬が効きにくい菌が見つかる割合が高いという記述の根拠として参照しています。使った期間の長さとの関係を直接調べたものではありません。
8ニキビの抗菌療法:内服の抗菌薬の選び方と使い方(総説)
要約:
ニキビに使う内服の抗菌薬の選び方と使い方をまとめた総説です。抗菌薬への反応が乏しい理由として、指示どおりに飲めていないこと、期間が足りないこと、グラム陰性桿菌による毛包炎、アクネ菌の耐性、皮脂の多さを挙げています。
本ページでは、抗菌薬で反応が乏しい理由と、別の菌による毛包炎についての記述の根拠として参照しています。この総説が勧めている使用期間(平均6か月)は、現在の日本のガイドライン(約3か月まで)とは異なります。
9ニキビの維持療法としてのアダパレン0.1%ゲル:ランダム化比較試験
要約:
内服の抗菌薬(ドキシサイクリン)にアダパレンか基剤を組み合わせた12週の治療で、ニキビの数が治療前の半分以下になった重症のニキビの253名を、アダパレン0.1%ゲルを塗る群と、成分を含まない基剤を塗る群に分け、16週間続けた試験です。米国の34施設で行われました。改善(ニキビの数が治療前の半分以下)を保てていた方は、アダパレンの群で75%、基剤の群で54%でした。
本ページでは、良くなった後も維持期の治療を続けることで、良い状態を保ちやすいという記述の根拠として参照しています。
ニキビ以外のもの
10マラセチア(癜風菌)毛包炎:110例の振り返り
要約:
米国の1施設で2010〜2015年に診断された、0〜21歳のマラセチア毛包炎110例を振り返った研究です。75%を超える方が、直前に抗菌薬でニキビの治療を受けていました。記録のあった方の65%にかゆみがあり、1〜2mmの形のそろったブツブツが、額から生え際、背中の上のほうに出ていました。多くは抗真菌薬で良くなっています。
本ページでは、マラセチア毛包炎と診断された方の多くが、直前に抗菌薬でニキビの治療を受けていたという記述の根拠として参照しています。21歳以下の方を対象にした研究です。
11口囲皮膚炎:診断、考えられている原因、治療(系統的レビュー)
要約:
口囲皮膚炎についての文献をまとめた系統的レビューです。ニキビに似た発疹が口の周りなどに出る病気で、原因として最も根拠が強かったのは、ステロイドの塗り薬の誤った使い方でした。治療は、まだ十分に比べられていないとしています。
本ページでは、口の周りの赤いブツブツとステロイドの塗り薬との関わりについての記述の根拠として参照しています。
12薬によるニキビに似た発疹(総説)
要約:
薬によるニキビの特徴をまとめた総説です。形がそろっている、皮脂の多い場所以外にも出る、ニキビの出やすい年齢から外れて出る、普通のニキビの治療が効きにくい、最近始めた薬がある、といった特徴を挙げています。原因になる薬として、ステロイド、精神や神経に働く薬、結核の薬、免疫に働く薬、がんの分子標的薬などが挙げられています。
本ページでは、飲み薬などによるニキビに似た発疹の特徴についての記述の根拠として参照しています。
13多嚢胞性卵巣症候群:皮膚科医のための総説(第1部 診断と症状)
要約:
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、生殖年齢の女性に多い内分泌の病気です。皮膚には、黒色表皮腫、多毛、ニキビ、脱毛といった症状が出ることがあり、皮膚科医がその診断や治療に関わることが多いと述べています。
本ページでは、ホルモンの病気の症状としてニキビが出ることがあるという記述の根拠として参照しています。
ニキビ跡
14米国の皮膚科を受診した方での、ニキビ跡の頻度と関係する要因
要約:
ニキビで皮膚科を受診した1,972名を、120名の医師が調べた前向きの研究です。43%にニキビ跡がありました。跡のある方の69%は、受診の時点では軽症から中等症でした。ニキビの重さ、発症から最初の有効な治療までの期間、再発を繰り返すこと、男性であることが、跡ができやすいことと関係していました。
本ページでは、ニキビ跡を早めに見ておきたい理由についての記述の根拠として参照しています。関係を示した研究で、治療を早めれば跡を防げることを確かめたものではありません。
なお当院の治療はすべて自由診療(保険適用外)で、保険診療は行っておりません。ニキビ(尋常性ざ瘡)や、このページで挙げたニキビ以外の病気の多くは、保険診療の対象となるものです。保険での治療をご希望の場合は、保険診療に対応している医療機関の受診をお勧めしています。
ニキビ治療の内容と費用は、ニキビ治療専門外来のページにまとめています。
当院のニキビの治療の主なリスク・副作用
- 標準プログラム:照射後の赤み・ほてり・痛み(多くは当日から数日)、かさぶた・皮むけ・乾燥、炎症後の色素沈着。まれに水疱・瘢痕。ウィッシュプロを使うときは、しばらくニキビが増えたように見えることがあります。
- 窒素プラズマ:出力を上げる照射では、一時的なブラウンチェンジ(薄く細かいかさぶた)と皮むけ(3日〜1週間ほど)。ほかに赤み・かゆみ・やけど・色素沈着。
- 抗アンドロゲン療法(スピロノラクトン):乳房の張りや痛み、月経の乱れ、血液中のカリウムの上昇(定期的に血液検査を行います)など。妊娠中・授乳中の方、妊娠を希望される方には行いません。服用中は避妊をお願いしています。
- 低用量ピルを併用する場合:静脈血栓症の頻度がわずかに上がるため、血液検査(Dダイマー)を行っています。喫煙されている方、前兆のある片頭痛がある方、血栓症の既往やご家族歴のある方、肥満のある方は、必ずお知らせください。ふくらはぎの痛みや腫れ、強い頭痛、息苦しさ、胸の痛みなどが出た場合は、服用を中止してご連絡ください。
ほかの治療のリスク・副作用は、ニキビ治療専門外来のページにまとめています。
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監修者情報(医師紹介)

監修医師:佐藤 雅樹
ソララクリニック 院長
専門分野:美容皮膚科
2000年 順天堂大学医学部卒。順天堂大学医学部形成外科入局。 大学医学部付属病院等を経て、都内美容皮膚科クリニックにてレーザー治療の研鑽を積む。2011年3月 ソララクリニック開院 院長就任。2022年 医療法人 松柴会 理事長就任。日本美容皮膚科学会 日本形成外科学会 日本抗加齢医学会 日本レーザー医学会 点滴療法研究会 日本医療毛髪再生研究会他所属。
様々な医療レーザー機器に精通し、2011年3月にルビーフラクショナル搭載機器を導入し、15年以上この治療を続けている。各種エネルギーベースの医療機器を併用する複合治療に積極的に取り組む。
※当院の治療はすべて自由診療(保険適用外)です。標準的な費用は各ページの料金表または料金表ページをご覧ください。治療に伴うリスク・副作用は診察時にもご説明します。
最終更新日
執筆・監修