ADM後天性真皮メラノサイトーシス
真皮層にできた
丁寧な診察が必要です
Acquired dermal melanocytosis
後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)を御存知ですか?
と聞かれても困ると思いますが、しみ(アザ)の一種です。
ルビーフラクショナルは、日常生活への影響を最小限に留め、被覆材を基本必要としないなど、ADM治療に最適な治療法と言えます。
この記事の目次
後天性真皮メラノサイトーシス ADMとは
額の両端、頬骨部、鼻翼部などに、直径1-3 mmのおよそ灰褐色の色素斑が、幾つかまとまって出現する アザの一種です。両側性遅発性太田母斑様色素斑 と呼ばれることもあります。
皮膚の深いところ(真皮層)でメラニンが存在しているため、やや暗めの黒~茶色に見えます。
真皮層には、本来メラニンを作る細胞「メラノサイト」は、存在しないはずですが、何らかの原因で メラニンを作り始めてしまうことでADMは起きてきます。真皮層は、表皮と違い 新しくなるまでに時間がかかる部位ですから、そのままで薄くなってくるというものでもありません。
通常の後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)の治療法
後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)は、斑点状に出現するやや暗めの茶色~青に見える痣(アザ)の一種です。主に 両頬やこめかみ、額や小鼻などに出現します。
通常のシミは、皮膚の表層にありますが、 ADMは、本来メラニンを作る細胞がいないはずの真皮層と呼ばれる皮膚の奥で、メラニンを作る細胞がなぜか出現し、メラニンを作ってしまいます。
皮膚の奥に原因があるため、深くまで治療ができるレーザーを使用する必要があります。
一般的に行われている治療法では、ピコレーザーを使用したとしても、1回のみの照射で取れることは先ず無く、複数回の照射が必要となります。
通常の照射では、レーザーを照射後、一定期間被覆をして、皮膚の回復を促す必要があります。
肝斑との鑑別が問題となることも
ADMの好発部位は、肝斑の好発部位でもあります。
そのため、肝斑と同居していることも多く、肝斑と鑑別が必要なことがあります。
ここで問題となることは、ADMと肝斑では、治療方法に大きな違いがあることです。
ADMは強力なレーザー照射で皮膚の奥の病巣まで到達させます。
逆に強力なレーザー照射は、肝斑を悪化させてしまいます。
そこで、通常は肝斑の治療を優先して行います。ある程度肝斑のコントロールがついた段階で、ADM治療に移行します。
典型的なADMは、実際のところは、鑑別も問題ありませんが、紛らわしい場合もあります。そのため、肌画像診断装置を用いて 肌状態を分析し、治療計画を立てます。
※ 肌画像診断装置で、シミの状態を分析します。
一番の問題は、被覆をしなければいけないこと
ADMの治療ではレーザーが必要であることを理解していただけたと思いますが、全く問題がないわけではありません。
ADMは、真皮層という深い部位にメラニンを作る細胞が存在するため、レーザー照射を複数回行う必要が有ることです。
何よりも、一番の問題となることは、ADM(後天性真皮メラノサイトシス)の治療で、レーザーを照射した後、テープなり,ガーゼ保護なり、被覆材の使用をしなければいけないので、治療を躊躇される方も多かったのです。
さらに、通常のレーザー治療では、炎症後色素沈着の発生が、一定割合で起きます。
これらが治療に二の足を踏む原因となり、光治療にシミ治療の主体が移行した大きな理由と言えます。
通常のレーザー治療の問題点
- 深い部位にターゲットがあるため レーザー照射を 複数回行わなければいけない
- 炎症後色素沈着が一定確率で出現する。
- 治療のたびに 2~3週間程被覆材で 治療部位を保護しなければいけない
ルビーフラクショナルは、ADM治療に最適。
通常のADMの治療では、レーザー照射が何度も必要となりますが、その都度一定確率で炎症後色素沈着の出現や、比較的長期の被覆が必要でした。
この点からADMの治療自身を躊躇される方も多かったのです。
上記の理由で、治療が進まないこともありましたが、新たな選択肢が出て来ました。
ルビーフラクショナルです。
ルビーフラクショナルは、被覆材を必要としません。
ルビーフラクショナルは、ルビーレーザーに初めて「分割照射」を取り入れました。
皮膚へのダメージが軽減され、被覆材を使用しなくても、炎症後色素沈着の可能性をかなりのところまで、抑えこむことが可能となりました。
当院では現在、ADMに対してルビーフラクショナルを第一選択としています。
確かにフラクショナル=分割照射となるわけなので、治療回数は増加します。
しかし、
- 被覆材を基本必要としない
- 色素沈着リスクが極端に減少
- 高い安全性
- 照射後早期にメイクが出来てしまう 等
生活に与える負荷の軽減は計り知れないものと言えます。
治療期間を短縮
ルビーフラクショナルでの後天性真皮メラノサイトーシス治療では、結果として治療回数は増えてしまいますが、最短で1か月に1回のペースでの治療が可能です。
通常の照射では3か月~6か月程の間隔をあけて照射しなければいけませんし、その間の色素沈着からの回復を待たなければいけませんが、ルビーフラクショナルではそのようなリスクも殆ど稀と言っても良い状況です。
月1回ペースで治療が行えるため、結果として 通常のレーザー治療よりも短い期間で 終えることも可能となりました。
照射後のケアも楽です。
通常の照射では 被覆材で覆わなければいけないとか、炎症後色素沈着の回復を待たなければいけない 等のこともありましたが、ルビーフラクショナルは、被覆材で覆う必要もありませんし、赤みも1日程でほぼ引いてしまいます。
日常生活への影響を最小限度に留めることが可能です。
ADM治療は、ルビーフラクショナルの登場で QOLが大幅に改善しました。
ルビーフラクショナルで全体照射ができるため、ADMだけでなく ほかのシミも並行して治療ができます。
ルビーフラクショナル Ruby Fractional
強力なシミ取り効果とIPL並みの気軽さを併せ持つ理想的な形
ルビーフラクショナルは、照射後からメイクが出来るだけでなく 被覆材を必要とせず、色素沈着などのリスクも大幅に軽減。
ルビーレーザーならではのシミ治療のキレの良さと、光治療の簡便さを兼ね備えた治療を提供することができ、且つ ADM治療のハードルを大幅に引き下げることに成功しています。
監修者情報
佐藤 雅樹 ( さとうまさき)
美容皮膚科 ソララクリニック 院長
2000年 順天堂大学医学部卒。順天堂大学医学部形成外科入局。 大学医学部付属病院等を経て、都内美容皮膚科クリニックにてレーザー治療の研鑽を積む。2011年3月 ソララクリニック開院 院長就任。2022年 医療法人 松柴会 理事長就任。日本美容皮膚科学会 日本形成外科学会 日本抗加齢医学会 日本レーザー医学会 点滴療法研究会 日本医療毛髪再生研究会他所属。
様々な医療レーザー機器に精通し、2011年アジア地区でルビーフラクショナル搭載機器を初導入。各種エネルギーベースの医療機器を併用する複合治療に積極的に取り組む.