唇のシミ・口唇メラノーシス仙台で「唇のシミ治療」はレーザー専門のソララクリニックへ
医師照射×最新シミ治療×詳細分析で
唇にできる黒や茶色のシミは、顔の印象を左右するため悩まれる方も多いでしょう。
唇のシミ(口唇メラノーシス)は自然に消えにくい色素沈着ですが、最新の治療法により安全かつ効果的に改善することが可能です。30〜40代の女性にも多いこのお悩み、本ページでは原因から治療法までわかりやすく解説します。
もう「唇に何か付いている」と言われません。唇本来の明るさを取り戻し、自信の持てる笑顔へと導きます。
この記事の目次
唇のシミ(口唇メラノーシス)とは?
唇のシミとは、唇に生じる茶色〜黒色の色素沈着のことで、医学的には「口唇メラノーシス」や「口唇色素斑」などと呼ばれます。
サイズは直径1cm以下程度の平坦なシミで、1つの場合もあれば複数散在することもあります。特に下唇によく見られ、20代の若い女性に多く発症することが報告されています。
この唇のシミは基本的に良性(がんではない)の後天的な色素沈着であり、健康上の問題を直接引き起こすものではありません。しかし、見た目の印象に影響するため美容的な悩みとなりやすく、口紅でも隠しづらいことから治療を希望される方が増えています。
慢性的な刺激や炎症によるメラニン沈着が要因
唇のシミの主な原因は、慢性的な刺激や炎症によるメラニン沈着だと考えられています。
具体的には、長期間にわたる唇の炎症(口唇炎)やリップクリーム・口紅などの頻繁な使用、唇の乾燥・摩擦、紫外線曝露などが挙げられます。
106例の患者を調査した研究では、約80%に長期の口唇炎やリップ製品の使用歴が認められ、約半数はアトピー性皮膚炎など唇の慢性炎症を伴っていました。こうした刺激により唇のメラノサイトが活性化し、メラニンが過剰産生・沈着することでシミが形成されると考えられます。
また喫煙も要因の一つで、タバコの熱や刺激によるいわゆる「スモーカーズリップ」で唇が黒ずむことがあります。まれに遺伝性の症候群(例:Peutz-Jeghers症候群やLaugier-Hunziker症候群)で唇に多数のシミが現れる場合もありますが、一般的には基礎疾患のない良性の色素斑であることがほとんどです。
口唇メラノーシス(唇シミ)の認知度は、一般的に低いです。
唇のシミは一見ほくろ(黒子)やソバカスと紛らわしいため、正確に認識されていないことも少なくありません。「唇に突然ほくろができた」と思っていたら、実は口唇メラノーシスだった。というケースもあります。
基本的に良性とはいえ、悪性黒色腫(メラノーマ)との鑑別が重要な場合もあります。唇の悪性黒色腫は稀ですが、色調や形状が不規則な場合は専門医によるダーモスコピー(拡大検査)で確認し、必要に応じて生検することもあります。
しかし、典型的な口唇メラノーシスは境界がはっきりした均一な茶褐色斑で、急激に大きくなったり痛みを伴うことはありません。また、口唇メラノーシス自体が皮膚がんに変化することは非常に稀ですが、心配な場合は早めに皮膚科で相談すると安心でしょう。
唇のシミの種類:「点状型」と「びまん型」
唇のシミ(口唇メラノーシス)には、大きく「点状型」と「びまん型」の2タイプがあります。これは日本皮膚科学会雑誌に報告された分類で、シミの形態によるものです。
それぞれの特徴と治療アプローチは以下のとおりです。
点状型(スポット型)
唇に類円形の茶色〜黒色の小さな斑点が一つ、あるいは数個散らばってできるタイプです。いわば「唇のソバカス」や「唇のほくろ」のように見える状態で、境界が比較的はっきりしたスポット状の色素斑です。
大きさは数ミリ程度のものが多く、個数も数個以内に留まることが一般的です。
⇒治療アプローチ
点状型の場合、シミ一つ一つをQスイッチルビーレーザーによるスポット照射で除去します(詳細は後述)。個々の斑点にピンポイントでレーザーを当てることでメラニンを破壊し、短期間でシミを薄くします。
一度に複数のスポットをまとめて治療することも可能です。唇は血流が豊富で治癒が早いため多数の斑点でも一度の施術で対応できるのが利点です。
びまん型(広範囲型)
唇全体、または一部が淡い褐色〜暗褐色にくすんで見えるタイプです。
境界が明瞭ではなく、唇の表面に広がるように、または縁取っているように色素沈着が生じます。リップメイクをしても下地の色黒さが透けて気になる、といった状態になることが多いです。
慢性的な炎症や摩擦で唇全体のメラニン産生が亢進した場合にみられ、色味としては青黒っぽく見えることもあります。
⇒治療アプローチ
びまん型の場合、唇の広い範囲にわたる色調のムラを、少しずつ改善するアプローチが有効です。そこで活躍するのが、ルビーフラクショナルレーザーという治療法です(詳細は後述)。
広範囲にパワフルに照射できつつも、一度に照射する箇所を微細な点の集合に間引くことで、ダウンタイムを軽減しながら徐々に色素を薄くしていきます。一度の施術で劇的に真っ白になるわけではありませんが、数回の施術を重ねることで少しずつトーンアップしていく安全策と言えます。
上記2タイプは混在するケースもありますが、主治医がシミの分布や濃さを見極め、最適なレーザーを選択します。次章から、それぞれの治療法について詳しく説明します。
点状型の治療:ルビースポットレーザー照射
点状型の唇のシミに対しては、Qスイッチルビーレーザーによるスポット照射での治療を行います。
Qスイッチルビーレーザー(波長694nm)は、シミの原因であるメラニン色素に選択的に吸収される光を超短時間(ナノ秒)照射できるレーザーです。そのため、周囲の皮膚組織へのダメージを抑えながらメラニン顆粒だけを破壊することができます。
特にルビーレーザーの694nmという波長はメラニンへの吸収率が非常に高く、ヘモグロビン(血液)への吸収が少ない特性があり、血流の多い唇でも安全に効果を発揮できます。実際、ルビーレーザーは従来からシミ・ソバカス治療のゴールドスタンダードとされ、多くのクリニックで採用されています。
治療方法
患部の状態により麻酔クリームで唇の感覚を鈍くした後、直径数ミリのレーザー光スポットをシミに直接照射します。
照射時はパチンとはじかれるような感覚や軽い熱感がありますが、クーリング(冷却)や必要に応じた表面麻酔で痛みは耐えられる程度に抑えられます。
照射時間自体は数分程度と短時間で終了します。
効果と経過
照射直後、シミ部分が灰白色に変化(レーザー照射によるメラニンの熱変性)し、その後軽い腫れが生じることがあります。治療部位は数日以内に薄いかさぶたとなり、約1週間ほどで自然に剥がれ落ちます。
かさぶたが取れるとその下の皮膚はピンク色になっていますが、時間とともになじんでいきます。唇は皮膚の中でも治癒力が高い部位で血流も豊富なため、顔の皮膚よりもレーザー後の回復が早くダウンタイム(治療後に日常生活に支障が出る期間)が短い傾向があります。
当院では、念のため照射直後のみ可能な範囲で被覆材を貼ります。早期に剥がれてしまいますが、その後は患部に軟膏を塗って保湿保護していただきます。顔のシミ治療のようにテープで覆い続ける必要は基本的にありません。
施術当日から入浴や洗顔は可能ですが、ひりつきを軽減する目的で、冷却を推奨しています。唇なのでメイクで隠す必要もなく過ごせます。
かさぶたが取れるまでの間はリップメイク(口紅)は控えていただき、ワセリンなどで保湿を続けてください。
治療回数
点状のシミは、一度のレーザー照射でかなりはっきりとした効果が得られることが多い印象です。薄いものなら1回でほぼ消失し、濃いシミや数が多い場合でも、1〜3回程の照射で目立たなくなるケースがほとんどです。
実際、8人の患者を対象にした海外の研究では、5人が1回の治療でシミが消失し、残り3人も2回目でクリアになったとの報告があります。照射後の色素沈着(炎症後色素沈着, PIH)が起こるリスクも唇では比較的低く、適切にケアすれば再発もしにくいことが知られています。
当院でも必要以上の強い出力は避け、安全に配慮しながらもできるだけ一度で効果を実感できる照射を心がけています。
安全性:
ルビーレーザーは選択的にメラニンのみをターゲットにするため、周囲の粘膜や血管へのダメージが少なく副作用が軽度です。稀に照射部位に小さな水ぶくれ(軽度の火傷様変化)を生じることがありますが、保湿と軟膏処置で数日〜1週間で改善します。
瘢痕(あと)が残ることは適切な出力であればほとんどありません。また、唇は色素沈着しにくい部位でもあり、炎症後の色素沈着が起きても一時的で数ヶ月以内に落ち着く例がほとんどです。
万一強い炎症が出た場合は、早急に対応いたしますのでご安心ください。
びまん型の治療:ルビーフラクショナルレーザー照射
びまん型の唇のシミに対しては、Qスイッチルビーフラクショナルレーザーによる治療を行います。ルビーフラクショナルレーザーとは、先述のルビーレーザーに特殊なフラクショナル機能を搭載し、面ではなくドット状にレーザーを照射する技術です。
7.1×7.1mm四方の範囲に,微細なレーザー光スポットをマトリックス状に196個照射します。その間に未照射の正常組織を残し肌へのダメージを間引く仕組みです。
これにより、一度に広範囲を治療しつつもレーザー後のダウンタイムを最小限に抑えることが可能になりました。
治療方法と特徴:
ルビーフラクショナルでは従来のスポット照射のように強力に色素を破壊するのではなく、低〜中出力のレーザーを唇全体にマイルドに行き渡らせるイメージです。
照射部位は無数の微小な点状の反応が起こりますが、点と点の間に正常組織が残っているため、一つ一つの点は小さなかさぶたになるものの、全体としては目立たない状態で治癒します。
施術後は軟膏や保護テープは不要で、唇表面に薄い乾燥感が出る程度です。ダウンタイムはきわめて短く、翌日から普段どおりにマスク無しで過ごせますしメイクも可能です。他人から治療したと気づかれにくいのもメリットの一つです。
効果の出方:
フラクショナル照射直後は唇全体がやや白っぽく霜焼け状になることがありますが、すぐに落ち着きます。点々とした非常に小さな薄いかさぶた・皮むけが出ることがありますが、ほとんど自覚しない程度でリップクリームを塗れば気になりません。
数日でそれらは剥がれ、新しい皮膚が表面に現れます。一度の施術で劇的にシミが消えるわけではありませんが、施術のたびに「なんとなく唇のトーンが明るくなった」と感じるような少しずつの改善が積み重なります。
ルビーフラクショナルの利点
従来型のスポット治療では広範囲を一度に照射すると強い腫れや長いダウンタイムを伴い現実的ではありませんでした。特に唇全体に及ぶシミを一度にスポット照射で治療すると、術後に唇全体が痂皮だらけになり日常生活に支障を来す恐れがあります。
フラクショナル治療は、その点ダメージを分散させて治療するため、術後のケアが格段に楽になりました。絆創膏で唇を覆う必要もなく翌日から人と会える状態です。
また一度に唇の広範囲を照射できるため、唇全体のムラ改善だけでなく口紅のノリが良くなるなど質感の向上も期待できます(皮膚の新陳代謝が促されるため)。
さらに、毎回シミが薄くなっていく経過が周囲に気づかれにくい点も、仕事柄ダウンタイムを取りにくい方には大きなメリットです。
留意点:
フラクショナル治療は一度で取りきる方法ではないため、根気よく複数回通院いただく必要があります。初回施術後は「少し明るくなったかな?」程度ですが、回数を重ねるごとに着実にトーンアップしていきます。
その分即効性という点ではスポット治療に劣りますが、リスクを抑え安心して少しずつ治せる方法といえます。また、濃く大きなシミには不向きで、そういった場合は前述のスポット照射を併用・優先することになります(ルビーフラクショナルは薄い色素斑やそばかす状の細かなシミ向きです)。
当院では患者様の希望やライフスタイルに合わせ、スポット照射とフラクショナル照射を組み合わせるオーダーメイド治療も提案可能です。一人で悩まずご相談ください。
ルビーレーザーが唇のシミに最適な理由
唇のシミ(口唇メラノーシス)治療には様々なレーザーが利用されていますが、その中でもルビーレーザーは唇の色素に対して非常に理想的な特性を持っています。
以下にその理由をまとめます。
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メラニンへの高い選択吸収性
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ルビーレーザー(694nm)は、皮膚の色素であるメラニンへの吸収率がレーザーの中でもトップクラスに高い波長です。メラニンにエネルギーが集中して吸収されることで、シミの原因となるメラニン顆粒のみを効率よく破壊できます。
一方で、この波長は水やコラーゲンへの吸収は少なく、エネルギーが無駄なくターゲットに届きます。
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ヘモグロビンへの吸収が少ない
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唇は血管が豊富な組織ですが、694nmの光は血液中のヘモグロビンにはほとんど吸収されません。そのため血管へのダメージや出血のリスクが低く、唇の赤みを損なう心配もありません。
例えば532nm(KTPレーザー)などはヘモグロビン吸収も強いため唇に照射すると腫れや出血が起きやすいですが、ルビーレーザーはその点安全性が高いと言えます。
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唇の特性にマッチ
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唇の赤い部分(口唇紅)は、皮膚の中でも角質が薄くメラノサイトの密度も少ない部位です。通常はあまりメラニンを含まないため、後天的に沈着した余分なメラニンだけがレーザーの標的となります。
加えて唇は顔の他の皮膚より治癒が早く色素沈着もしにくい傾向があり、ルビーレーザーでメラニンを除去した後の発赤や色抜けも一過性で終わる場合がほとんどです。
これは唇治療の大きな利点で、患者様の負担軽減にもつながっています。
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実績とエビデンス
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ルビーレーザーによる口唇メラノーシス治療は1990年代から世界中で報告があり、その有効性と安全性が確認されています。
例えばAshinoffらの報告(1992年)では唇のシミ患者3例にルビーレーザーを照射し1〜2回で劇的にクリアになったとされています。Guptaら(1999年)の研究でも8例中全員が2回以内の治療で寡色素または消失し、副作用や再発は認められなかったと結論づけています。
当院でもこれらの知見を踏まえ、ルビーレーザーを唇のシミ治療に積極的に取り入れてきました。
以上のように、ルビーレーザーは「メラニンに効いて血管に優しい」という点で唇のシミ取りに非常に適しています。他のレーザー(Qスイッチヤグレーザー1064nmや532nm、アレキサンドライト755nmなど)でも治療は可能ですが、それぞれ長所短所があります。
当院では患者様一人ひとりのシミの状態に合わせて最適な波長・照射法を選択しますが、ルビーレーザーは特に唇治療の第一選択肢として位置付けています。
外用薬・内服薬による治療について
唇のシミに対する外用薬(塗り薬)や内服薬についても気になる方が多いと思いますので解説します。
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外用薬(塗り薬):
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一般的なシミ治療で使われるハイドロキノン軟膏やトレチノイン(レチノール酸)クリームなどは、皮膚の漂白・ターンオーバー促進を図るものです。しかし唇のシミに対して外用剤の効果は限定的であり、十分なエビデンスがありません。
唇の皮膚は顔の皮膚と構造が異なり角質が薄く、強い薬剤を使うとかえって炎症を起こして悪化(炎症後色素沈着)するリスクもあります。また唇は常に飲食や会話で動く部位のため、クリームが留まりにくく効果を発揮しづらい面もあります。
当院では、市販の美白リップやハイドロキノン配合クリームでのセルフケアについてご相談を受けることがありますが、残念ながら唇のメラニン沈着を明らかに改善できたという報告はなく、積極的にはおすすめしておりません。実際、「効果が不十分で最終的にレーザー治療を選択した」という患者様も多くいらっしゃいます。
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内服薬(飲み薬):
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肝斑(かんぱん)などの治療で用いられるトラネキサム酸(抗プラスミン薬)やビタミンC・Lシステインの内服は、全身的に作用して肌の漂白を助けることがあります。しかし、口唇メラノーシスは局所的な色素沈着であり、肝斑のようなホルモン・血管要因の強い広範な色素疾患とは異なるため、内服療法の有効性は明確ではありません。
実際、唇の色素沈着に対する内服薬の効果を検証した大規模研究は見当たらず、現時点では標準的治療とは位置付けられていません。むしろ前述のように原因の多くは慢性刺激によるメラニン沈着ですので、物理的にそのメラニンを除去できるレーザー治療の方が直接的・即効的です。
以上より、当院では外用薬や内服薬による積極的治療は行っておりません。ただし、レーザー治療後の色素沈着予防目的でトラネキサム酸内服などを併用するケースはあります。
患者様の皮膚状態やご希望に応じてアフターケアを検討いたしますが、基本的にはレーザー治療が第一選択である点をご理解ください。
治療費 口唇メラノーシス
唇のシミ(口唇メラノーシス)の治療は、そのタイプ「点状型」「びまん型」によって異なります。実際に診察した際に治療法について改めて説明をさせていただきます。
治療法 | 回数 | 治療費 |
---|---|---|
(点状型) ルビースポット照射 上下口唇 できる限り |
1回 | 66,000 |
(びまん型) ルビーフラクショナル 上下口唇 |
1回 | 33,000 |
表面麻酔(希望時) | 1回 | 2,200 |
よくある質問 FAQ
唇のシミ(口唇メラノーシス)に関するよくある質問をまとめました。
ご参考になれば幸いです。
唇のシミは放っておくと自然に消えますか?
残念ながら自然に消えることは稀です。
口唇メラノーシスは一度沈着したメラニンがそのまま残るケースが多く、加齢や刺激の蓄積でむしろ増える傾向があります。実際、「何年も薄くならない」と来院される方がほとんどです。
塗り薬も効果が乏しいため、自然に任せるよりレーザーで除去するのが現実的です。
唇のシミが今後増えたり濃くなったりすることはありますか?
はい、ありえます。
原因となる紫外線や摩擦、乾燥などの刺激が続くと新たなシミが発生したり、既存のシミが濃くなる可能性があります。ただし放置して大きく広がり続けるようなものではなく、ゆっくりと数が増える程度です。
気になる場合は早めにケア(保湿やUVカット)をし、必要ならレーザーで除去すると良いでしょう。
唇のシミが皮膚がん(悪性黒色腫)になる可能性はありますか?
通常の口唇メラノーシスが皮膚がんに変化することは非常に稀です。口唇メラノーシス自体は良性の色素斑であり、がんとは無関係です。
ただし、ごく稀に唇に悪性黒色腫ができることもあるため、「シミだと思っていたら実は悪性腫瘍だった」という事がゼロとは言い切れません。
急に大きくなってきた、色がまだらで盛り上がりや出血があるなど不審な変化があれば自己判断せず皮膚科を受診してください。ダーモスコピーなどを用いて良悪性の鑑別を行います。
唇のシミとほくろ(黒子)の違いは何ですか?
見た目が似ていますが、原因と構造が異なります。
シミ(メラノーシス)は、メラニン色素の沈着による平坦な茶~黒褐色斑。
ほくろは、メラニンを作る細胞(メラノサイト)が変化した「母斑細胞」が集まってできます。隆起を伴うこともある黒い点~丸です。
唇の場合、専門家でもパッと見で区別が難しいことがあります。一般には、生まれつきあるものや盛り上がっているものはほくろの可能性が高く、後天的にできた平らな茶色斑はメラノーシスの可能性が高いです。
とはいえ素人判断は難しいため、皮膚科医が診ればほぼ鑑別できます。必要に応じてダーモスコピー検査や組織検査を行うこともありますが、ほとんどの場合は診察だけで見分け可能ですのでご安心ください。
レーザー治療は痛いですか?怖いのですが…。
個人差はありますが、痛みはごく軽度で多くの方が我慢できる程度です。
照射の瞬間は、輪ゴムではじかれたようなパチッとした刺激がありますが、冷却を行うことで痛みを軽減します。
唇は敏感な場所ですが、照射範囲が小さいため非常に短時間で照射が終わります。
施術中に耐えられないほどの痛みを訴える方はほとんどいません。
どうしても不安な場合は表面麻酔(塗る麻酔)を併用することも可能ですので、遠慮なくご相談ください。
ダウンタイム(治療後の腫れやかさぶた)はどれくらいありますか?
点状型のスポット照射では、照射部位に小さなかさぶたが約1週間程度残ります。
かさぶたが取れるまでは処方された外用剤で保湿しつつ経過を見ます。
唇の場合、顔のシミ治療と違いテープ保護は不要で、見た目もリップを塗っていない状態に見える程度です。腫れは個人差ありますが当日中〜翌日には落ち着きます。
びまん型のフラクショナル照射では、ほとんどダウンタイムはありません。
ごく微細な皮むけが数日ある程度で、メイクやマスクで十分隠せます。翌日から普通に会話・食事していただけます。
いずれの治療も約1〜2週間で落ち着くと思います。
何回くらい通院(施術)が必要になりますか?
点状型の場合、1回のレーザーで取りきれることも多く、1〜3回の施術で完了するケースがほとんどです。複数個所ある場合も同日に一度で照射できます。
びまん型の場合は徐々に薄くするアプローチのため、5~6回程度の照射を要します。完璧を目指す場合や、重度の場合には更に必要となります。
文献報告では、びまん型(広範な唇のくすみ)は平均4.2回の照射で満足いく改善が得られたとありますが、私共の治療経験ではもう少し回数が必要な印象です。
治療したシミは再発しますか?また新しくシミができたりしませんか?
一度レーザーで除去できたシミが同じ場所に再発する可能性は低いです。メラニンの原因自体を取り除いているので、適切な術後ケアをすれば長期的に効果が持続します。
ただし、唇は今後も紫外線や摩擦などの刺激を受け続けますから、将来的に新たなシミができる可能性はあります。これは、加齢とともに肌にまたシミ・ソバカスが増えるのと同様に逃れられない事です。
仮に新しいシミが出てきても、その都度治療は可能です。
再発を防ぐために、日頃のリップケア(UVカットリップクリームの使用や保湿)を続けることも重要です。
薬で治せませんか?ハイドロキノン軟膏や飲み薬で薄くならないのでしょうか?
塗り薬や飲み薬での劇的な改善は期待しにくいです。唇の色素沈着は外用剤の効果が不十分である場合が多く、むしろ時間がかかってしまいます。
ハイドロキノンなどは唇では刺激が強く炎症を起こす恐れもあります。同様にトラネキサム酸などの飲み薬も、口唇メラノーシス自体への有効性は証明されていません。
当院では確実性が高く短期間で効果が期待できるレーザー治療を第一選択としています。
どうしても外用療法をご希望の場合は処方も可能ですが、リスクとベネフィットを十分説明した上で限定的に実施しています。
どんな人はレーザー治療を受けられないですか?
ほとんどの方は安全に受けられますが、いくつか治療を控えるケースがあります。
まず唇にヘルペスなどの感染がある場合は、ウイルスが広がる恐れがあるため治癒してから施術します(既往がある方は事前にお知らせください)。
また悪性の疑いが完全に拭えない病変がある場合は、安易にレーザーを当てず、まず生検など精査を優先します。
妊娠中・授乳中の方への美容目的のレーザー照射は、胎児・乳児への影響こそ明らかではないものの念のため控えています。
その他、重度の光過敏症のある方、自己免疫疾患で治療部位の治癒が遅延する恐れがある方なども、主治医と相談の上で適応を判断します。
一般的な健康状態の方であれば問題なく受けていただけますのでご安心ください。
再発予防のために普段どんなケアをすれば良いですか?
唇の保護と保湿が基本です。
具体的には、紫外線をカットするSPF20~30程のリップクリームやリップ下地を日常的に使用し、紫外線から唇を守りましょう。(日常的にはSPF20~30程度で十分です。レジャーに出かける際には、SPF50以上と使い分けると良いです。PAは++++)
またリップクリームの塗りすぎや合わない化粧品の使用は避けることも大切です(アレルギーや刺激で炎症を起こすと色素沈着に繋がります)。
こまめな保湿で唇の乾燥を防ぎ、皮をむいたり舐めたりする癖はできるだけ控えてください。
喫煙されている方は禁煙・節煙することで唇のくすみ改善が期待できます。
レーザー治療後も定期的に経過をチェックし、怪しいシミが出てきたら早めに対応することで常に綺麗な唇をキープできます。当院でもアフターケアのアドバイスを行っていますのでお気軽にご相談ください。
男性でも唇のシミ治療はできますか?
もちろん可能です。
口唇メラノーシスは男性にも発生しうる症状で、実際当院にも男性患者様が受診されています(頻度は女性より低いですが)。
治療内容や効果は男女で変わりません。
男性の場合、リップメイクで隠すことが難しい分「治療して良かった」という声を多くいただきます。性別に関係なく対応いたしますので、気兼ねなくご来院ください。
院長からのコメント
当院では唇のシミ(口唇メラノーシス)治療に特に力を入れています。なぜなら、このお悩みを抱える患者様が非常に多いにもかかわらず、治療できることがまだ広く知られていないのが現状だからです。
唇にできるシミは日本人を含むアジア人に比較的多く見られる症状です。さらに、唇のシミは他の部位のシミに比べても隠しにくく目立ちやすいため、コンプレックスになりやすい傾向があります。
唇という顔の印象を左右する大切な部分だけに、例え数ミリの小さなシミでもご本人にとってはとても気になるものですよね。
もし唇のシミでお悩みでしたら、どうか一人で抱え込まずに当院にご相談ください。私たちは患者様一人ひとりのお気持ちに寄り添い、最適な治療法をご提案いたします。
勇気がいるかもしれませんが、その一歩を踏み出そうとするあなたの勇気を私たちが全力でサポートいたします。まずはお気軽にご連絡ください。
スタッフ一同、心よりお待ちしております。
監修者情報(医師紹介)
監修医師:佐藤 雅樹 (さとう まさき)
ソララクリニック 院長
専門分野:美容皮膚科
2000年 順天堂大学医学部卒。順天堂大学医学部形成外科入局。 大学医学部付属病院等を経て、都内美容皮膚科クリニックにてレーザー治療の研鑽を積む。2011年3月 ソララクリニック開院 院長就任。2022年 医療法人 松柴会 理事長就任。日本美容皮膚科学会 日本形成外科学会 日本抗加齢医学会 日本レーザー医学会 点滴療法研究会 日本医療毛髪再生研究会他所属。
様々な医療レーザー機器に精通し、2011年ルビーフラクショナル搭載機器を日本初導入。各種エネルギーベースの医療機器を併用する複合治療に積極的に取り組む.
最終更新日
参考文献
本稿を作成するにあたり参考にした文献をまとめました。
口唇メラノーシス(Labial Melanosis)(仮称)について
原題: Labial Melanosis (tentative name)
出展: 日本皮膚科学会雑誌 107巻9号: 1085-1094 (1997).
DOI: 10.14924/dermatol.107.1085.
要約: 唇に生じる後天性の色素沈着106例を臨床・病理検討した報告。20代女性に好発し下口唇に多い。
【点状】の黒褐色斑と【びまん性】の淡褐色〜黒褐色変色の2型に分類。約80%に唇炎やリップ製品の長期使用歴、約50%にアトピー性皮膚炎の合併を認めた。
病理では表皮基底層のメラニン増加と真皮メラノファージ増加を両型に共通して確認。唇への慢性刺激による炎症後色素沈着と考察し、本症を口唇メラノーシスと命名。
口唇メラノーシスのダーモスコピー
原題ː Dermoscopic findings in labial melanotic macule
出展: 臨床皮膚科 77巻5号: 157-160 (2023).
DOI: 10.11477/mf.1412206992.
要約: 良性の口唇メラノーシスの特徴を皮膚科医向けに解説した総説。
下口唇に好発し、単発〜数個の色素斑を呈することが多い。アトピー性皮膚炎など慢性炎症に伴う症例が多いが、Peutz-Jeghers症候群やLaugier-Hunziker症候群といった疾患による多発例も稀に経験される。
鑑別すべき最重要疾患は悪性黒色腫だが、唇固有のダーモスコピー所見(網状・線状・小斑点パターンなど)が存在し鑑別に苦慮する場合があると指摘。口唇メラノーシスは良性である一方、悪性との鑑別診断が重要であることを示した。
口唇粘膜のメラノーシスに対する通常型パルスルビーレーザーによる治療の成功
原題: Successful treatment of mucosal melanosis of the lip with normal pulsed ruby laser
出展: J Dermatol 23(4): 263-266 (1996).
DOI: 10.1111/j.1346-8138.1996.tb04010.x.
要約: 日本人患者6例の口唇メラノーシスに対し、Qスイッチでない通常型パルスルビーレーザー(波長694nm, パルス幅1-2msec)を照射した症例報告。
6例全てで病変が完全消失し、3ヶ月後の経過観察でも再発なし。
副作用も特記されず、安全に施行可能と結論。
※メラニン選択性の高いルビーレーザーは口唇の良性メラノーシス治療に有効であることを示した初期の報告。
唇の色素斑(口唇メラノーシス)に対するQスイッチルビーレーザー治療
原題: Q-switched ruby laser treatment of labial lentigos
出展: J Am Acad Dermatol 27(5 Pt2): 809-811 (1992).
DOI: 10.1016/0190-9622(92)70253-C.
要約: アメリカ人患者3例の唇の色素班(良性の黒子様病変)に対し、Qスイッチルビーレーザー(694nm, 10J/cm²)を照射した報告。1〜2回の治療で劇的に色素がクリアになり、経過観察期間中再発なし。副作用も特に記載なく、美容的に良好な結果を得たと結論。
唇の限局性のシミに対するレーザー治療の有効性を示した初期例として引用される。
口唇メラノーシス斑におけるQスイッチルビーレーザー治療
原題: Q-switched ruby laser in the treatment of labial melanotic macules
出展: Lasers Surg Med 25(3): 219-222 (1999).
DOI: 10.1002/(SICI)1096-9101(1999)25:3<219::AID-LSM5>3.0.CO;2-K.
要約: 唇のメラノーシス(茶色斑)患者8例を対象にQスイッチルビーレーザー治療した研究。5例は1回の照射で病変消失、残り3例も2回で消失。24ヶ月最大のフォローアップでも再発は認められず、副作用報告もなし。治療後の美容的満足度も極めて高く、唇の色素斑治療にルビーレーザーが高い有効性と持続効果を持つことを示した。
532nm QスイッチNd:YAGレーザーの唇メラノーシス治療効果
原題: Efficacy of 532-nm Q-switched Nd:YAG Laser in the Treatment of Lip Melanosis
出展: J Cutan Aesthet Surg 14(2): 203-207 (2021).
要約: 患者20例を対象に、波長532nmのQスイッチNd:YAGレーザー(KTPレーザー)で唇の色素沈着を治療した前向き研究。
治療後75%以上の色素消退(Excellent)が35%、50-75%消退(Good)が35%、25-50%(Moderate)が10%、軽度改善が10%と、大半の患者で有意な色調改善を確認。平均2.5回の照射で効果が得られ、経過3ヶ月で再発は10%の患者に見られた。
瘢痕など重篤な副作用はなく、一部に軽度の隣接部位の脱色素や一過性の浮腫を認めたのみ。外用治療の効果が不十分な中でレーザー治療が有用であると結論づけている。
1064nm QスイッチNd:YAGレーザーによるスモーカーズリップの美容的改善
原題: Aesthetic correction of smoker’s lip using 1064 nm Q-switched Nd:YAG laser
出展: J Cutan Aesthet Surg 10(2): 118-119 (2017).
DOI: 10.4103/JCAS.JCAS_103_15.
要約: 長年の喫煙で黒ずんだ唇(いわゆるスモーカーズリップ)の女性に対し、1064nm QスイッチYAGレーザーを用いて色素改善を図った症例報告。
1回の照射で唇のくすみが大幅に改善し、患者は満足した。レーザー後の炎症や副反応もなく安全に施行できたとしている。この報告は、喫煙によるびまん性の唇の色素沈着にもレーザーが有効であることを示す一例。
Peutz-Jeghers症候群中国人症例における口唇色素斑に対するQスイッチアレキサンドライトレーザー治療
原題: Q-switched alexandrite laser treatment of oral labial lentigines in Chinese subjects with Peutz–Jeghers syndrome
出展: Dermatol Surg 35(7): 1084-1088 (2009).
DOI: 10.1111/j.1524-4725.2009.01192.x.
要約: 消化管ポリポーシスを伴う遺伝疾患Peutz-Jeghers症候群患者14例の口唇色素斑に対し、755nm Qスイッチアレキサンドライトレーザーを1回照射した研究。1回の治療で全例で色素斑がほぼ消失し、その後の経過観察でも再発なし。副作用として一過性の灰白色の色抜け斑、紅斑、浮腫、点状出血が見られたが、恒常的な合併症はなかった。特殊な症候群例ではあるが、口唇の多数の色素斑に対するレーザー治療の有効性と安全性を示した。
Peutz-Jeghers症候群に伴う顔面・口唇の黒子に対するQスイッチアレキサンドライトレーザー治療
原題: Q-switched alexandrite laser treatment of facial and labial lentigines associated with Peutz–Jeghers syndrome
出展: Photodermatol Photoimmunol Photomed 28(4): 196-199 (2012).
DOI: 10.1111/j.1600-0781.2012.00672.x
要約: Peutz-Jeghers症候群患者43例の顔面および口唇の黒子様色素斑に対し、755nm Qスイッチアレキサンドライトレーザーを平均3回照射した研究。
最終的に患者の55.8%で“excellent”な著明改善、44.2%で“good”な改善効果を確認。合併症は特に見られず安全に施術可能だった。
遺伝性の口唇・顔面の多数黒子に対してもレーザー治療が有効であることを裏付けるデータ。
周波数二倍化QスイッチNd:YAGレーザーによる黒い唇の効果的治療
原題: An effective treatment of dark lip by frequency-doubled Q-switched Nd:YAG laser
出展: Aesthetic Plast Surg 25(2): 114-117 (2001).
PMID: 11231240. DOI: 10.1007/s002660010130
要約: 70例の唇の黒ずみ(dark lips)を対象に、532nmのQスイッチNd:YAGレーザー(KTPレーザー)を用いて治療した報告。先天的な色素沈着では平均2.5回、後天的なものは2.2回、不明原因では1.8回の照射で色素が完全に除去できた。副作用はほとんどなく、1例で照射後に口唇ヘルペスの再活性化、1例で再発を認めたのみだった。治療前に患者の多くが4〜6%ハイドロキノンを使用していたが十分な効果は得られず、レーザー治療に移行している。唇の黒ずみ治療においてレーザーが外用剤より有効であることを示す大規模研究として位置付けられる。