真皮メラノサイトーシス(ADM)を考える

公開:2011年7月25日

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になるシミを治療していきたい。

しみの治療では、通常のシミの多くは、光治療で改善させていくことが可能です。
そうなのですが、光治療では難しいものがあります。

それが、真皮メラノサイトーシス(ADM)です。
遅発性大田母斑とも呼ばれるものです。

皮膚真皮層深くで、メラニンを作る細胞がいてしまい、メラニンを作ってしまうために、通常の光治療では取ることができないのです。
深い層にあるものは、青黒く見えるので、ADMだけの場合にはわかりやすそうなものですが、厄介なことに、肝斑との判別がつきづらいことが多いため、治療法の選択に問題が出てきます。

皮メラノサイトーシス(ADM)には、Qスイッチレーザーが第一選択です。これ以外では取れないと言わざるをえません。
その上、真皮層深くにあるもののために、1回の照射で取れるわけではなく、数回の照射が必要となります。
さらには、ある一定確率で、色素沈着が出る可能性があります。

「肝斑との判別がつきづらい」ことは、なぜ問題となるのかと言うと、肝斑にQスイッチレーザーを照射すると濃くなってしまうことが多く、一般的に禁忌とされています。

そこで、肝斑と混在しているような状態では、まず肝斑等の治療を先行して行い、皮膚表層にあるメラニンの排出を促進させていく前処理を行ったうえで、Qスイッチレーザーによる治療を行っていきます。日光性色素斑や肝斑の治療を行っていくと、残ってくるのがADMですから、ムダにQスイッチレーザーの照射範囲を広げないで済みます。 一過性の色素沈着とはいえあまり多いと困りますので、回り道に見えて良い方法であると考えています。

当院では、2種類3波長のQスイッチレーザーを用意しています。

通常Qスイッチレーザーの治療では、7日~10日程度、被覆材保護が必要です。
しかしながら、フラクショナルQスイッチルビーレーザーの導入によって 、被覆材を使用しないで治療を行える様になりそうです。海外では、被覆材なしでの治療が行われているとの報告がされています。当院では現在試験運用中ですが、現在でも、被覆の必要な時間が大幅に短縮している点も十分確認できていますので、近々提案できるようになると考えています。