フラクショナルレーザーの種類
公開:2014年4月27日
投稿者:院長 佐藤
フラクショナルレーザーを知っていますか?・・・と聞かれても困ると思いますが、レーザー治療を身近にした立役者です。
フラクショナルレーザーは、レーザーの種類というよりも 照射方法の違いを指します。
通常の照射方法ではなく 「フラクショナル」化することで、様々な効果を得ることを目的としています。
主な効能は
- リスクの大幅な軽減
- 回復期間の短縮
ですが、フラクショナル化されたことで
- 安全に
- より強力な治療も可能
という側面もあります。
フラクショナルレーザーの説明。
従来 「面」で照射していたところを 点状に「分割」し照射します。 未治療の部分が残ることで、皮膚の修復が急速に行われます。
回復期間が大幅に短縮され 様々な副作用の割合を軽減できるようになりました。
その反面 リスクが軽減される分 治療回数も増えます。 コンベンショナルな機器と比較すれば 1回あたりの効果は低くなりますが、従来機機では 副作用が必発となるような治療法でも 比較安全に行うことができる と言うことが大きなメリットになります。
レーザーで皮膚表層を薄く削り 肌を新しくする治療が 欧米ではよく行われたりしますが、我々アジア人の場合には、色素沈着のリスクが高く おいそれと行うことができません。しかし フラクショナルレーザーは 1回で削るレーザー治療を複数回に分けて行うことで、リスクを軽減し ダウンタイムを極端に短くしました。
レーザー治療の敷居が低くなり、比較的気軽に受けられているように思います。
「肌の入れ替え」を 比較的気軽にできるようになりました。
当院にあるフラクショナル機器(レーザー,RF,その他)
フラクショナルレーザーには 現在数多くの種類があります。 それなりに歴史がありますが、フラクショナル機器の概念は新しいものです。それぞれの機器が登場した年によって古い(新しい)から 性能が悪い(良い) と語っても 意味がありません。(フラクショナルレーザーの最初期に登場した機器「フラクセル」でさえも ほぼ同じスペックの廉価版が登場しています。それだけ 基礎構成がしっかりしているということなのです。)
アファームマルチプレックス
肌質改善 にきびの治療に特に使用している フラクショナルレーザーです。照射部位に凝固層を作ることで、皮膚の入れ替えを行う 第一世代フラクショナルレーザーの一種です。アファームマルチプレックスは 更に 2種類のレーザーを連続照射することで、皮膚深層の加熱を引き起こし コラーゲンのリモデリングを促します。近年 この種のレーザー機器の長所が再認識されてきています。
肌質改善には調度良い効果であり、大変重宝しています。バランスに秀でている機種と言えます。
プロフラクショナルXC
第二世代フラクショナルレーザーと呼ばれる機器の一種です。第一世代との違いは 第一世代は凝固させているのに対し 照射部位を気化(蒸散)させて取り除くことができることです。「皮膚の入れ替え」という点では より効率的になったということもできるかもしれません。第二世代には3種類(CO2 YSGG Er-YAG)レーザーの種類があります。プロフラクショナルXC は この3種類のレーザーの特性をエミュレートすることが出来ます。
エンディメッドFSR
レーザーではなく 高周波を使用したフラクショナル機器です。第2世代フラクショナルに近い性質がありますが、高周波の特性を活かし 皮膚深層の加熱を強力に行うことが出来ます。コラーゲンのリモデリングを促し 皮膚全層の入れ替えを促進させます。
プロフラクショナルXCと併用し、傷痕 ニキビ痕の改善に 使用することが多い機器です。
新型ダーマローラー A-MTS
マイクロスパイクで 肌に微細な傷をつけ 皮膚が持つ再生力を利用して肌再生を促す機器です。物理的な刺激を利用して 治療効果を得るものです。他の治療器と比較しても ダウンタイムが短く 汎用性も高いため、様々な用途に使用することが出来ます。熱影響が無いために ダウンタイムが短く 日常生活への影響を最小限度に留めたい方には、良い選択肢となっています。
肌の入れ替えだけではなく シミの治療に応用
フラクショナルレーザーは、照射方法を見直すことで それまで困難であった治療を可能とする技術です。この技術は肌の入れ替え…肌質改善 傷痕の治療など 幅広く応用されています。そして 最近は「シミ」の治療に応用される所まで来ました。シミの治療には Qスイッチレーザーが大変強力な効果を発揮しますが、その反面 色素沈着のリスクや 回復までのダウンタイムを覚悟しなければいけませんでした。しかしフラクショナルはその点を改善してくれています。
フラクショナルQスイッチルビーレーザー
フラクショナルレーザーは、「肌の入れ替え」だけでなく シミの治療にも応用されます。Qスイッチレーザーは、シミの治療の代表格です。通常の「いわゆるシミ」に対して治療効果が高いのですが、照射後被覆材を貼る必要が有るため、現在光フェイシャルを始めとする光治療器が主流となってしまいました。
Qスイッチレーザーをフラクショナル化することで、ダウンタイムの短縮と 色素沈着のリスクを大幅に軽減させることが出来ました。光治療器とQスイッチレーザーの中間的存在です。
まとめ
フラクショナルレーザーには 色々と種類があります。
- 第1世代(フラクセル等)
- 第2世代(CO2 YSGG Er-YAG)
- フラクショナルRF
- フラクショナルQスイッチレーザー
- その他 マイクロニードル(A-MTS)等
特に間違えやすい点として 第一世代と第二世代フラクショナルレーザーは、現時点で 「どちらが優れている」 というものではありません。肌質改善・美肌治療として考えれば 第一世代の機器のほうが良い場合が多く それに対して 傷痕などの改善には 肌の置換率が高い第二世代が優れていると言えるかもしれません。
それぞれ求められる効果と適応が異なります。ハサミと包丁を比べても意味がありません。目的…用途に合わせて適切に選択し 良い治療を提供できればと思います。
また、全国に先駆けて導入した フラクショナルQスイッチルビーレーザーは、Qスイッチレーザーでありながら、被覆材を必要とせず 色素沈着も殆ど起きたことがなく ADMの治療が出来てしまいます。 治療する側も される側も これほど楽なものはないかもしれない…なんて思っている 今日此の頃です。