αリポ酸と 低血糖Alpha-Lipoic Acid and Hypoglycemia
気をつけたいのは、
αリポ酸(アルファリポ酸)について調べると、「低血糖」という言葉が出てきます。点滴を検討している方も、いま受けている方も、まず次の要点に目を通しておいてください。
このページでお伝えすること
- 点滴で気をつけたいのは、空腹のまま受けたときに当日起きる一時的な低血糖です。当院でも、ほとんど食事をとらずに受けた方に、低血糖のような症状が出たことがあります
- 点滴の前には、軽く食事をとってからお越しください。点滴の際は、どなたにも飴とお水をお出ししています
- 体質で起きる低血糖(インスリン自己免疫症候群)は、ごくまれな病気です。αリポ酸以外がきっかけのものも含めて、日本全体で2年間に22例ほどと推計されています(2017〜2018年)
- インスリン自己免疫症候群になった場合も、多くはαリポ酸をやめると数週間〜数か月で治まると報告されています
- 点滴から日がたってから、冷や汗や震えを繰り返すときは、点滴をいったん中止して当院にご連絡ください
この記事の目次
αリポ酸で低血糖は起きますか?
空腹のまま点滴を受けると、その日のうちに低血糖のような症状が出ることがあります。αリポ酸の点滴で主に気をつけたいのは、この当日の低血糖です。
ほかに、体質によってごくまれに、使い始めてしばらくたってから低血糖を繰り返す病気が知られています。インスリン自己免疫症候群と呼ばれます。
2種類の低血糖の違い
起きる頻度も、時期も大きく違います。
| 点滴当日の |
インスリン |
|
|---|---|---|
| 頻度 | 空腹で受けると起こりうる(当院でも経験あり) | ごくまれ(αリポ酸以外がきっかけのものも含めて、日本全体で2年間に22例と推計) |
| 時期 | 点滴中から点滴の後 | 使い始めてしばらくたってから(報告例では1週間〜4か月) |
| きっかけ | 空腹のまま受けること | 特定の体質と、SH基という構造をもつ成分 |
| 起き方 | その日だけ | 主に食後2〜6時間ほどたってから繰り返す |
| 備え方 | 点滴の前の軽い食事。症状が出たら点滴を止めて対応する | 症状を知っておき、繰り返すときは中止して当院に連絡する |
見分けるときの目安
起きたタイミングと、繰り返すかどうかが手がかりになります。
- 当日の低血糖と考えられるとき
空腹で受けた点滴の最中や直後に起き、糖分をとると治まって、その後は繰り返さない - インスリン自己免疫症候群を疑うとき
点滴の日かどうかにかかわらず、食後2〜6時間ほどたってから、冷や汗や震えを繰り返す(参考文献8)
2回目以降の点滴の日に起きた場合や、点滴から数時間たって起きた場合は、どちらか見分けにくいため、ご自分で判断せず、当院にご連絡ください。
状況をうかがったうえで、必要なときは、糖尿病・内分泌の内科で詳しく調べていただくようお勧めします。
点滴の当日に起きる低血糖
この低血糖は、空腹のまま点滴を受けたときに起きやすいと考えられます。
当院でも、ほとんど食事をとらずにお越しになった方が、点滴の際に低血糖のような症状を起こされたことがあります。
空腹だと 起きやすいと 考えられる理由
仕組みは、はっきりとは分かっていません。考えられる理由のひとつは、αリポ酸の働きです。インスリンの効きをよくして、筋肉などが血液中の糖を取り込むのを後押しします。
2型糖尿病の方13名を対象にした研究では、αリポ酸1,000mgを点滴した7名で、インスリンが働いたときに体が取り込む糖の量が約5割増えました。生理食塩水だけを点滴した6名では、目立った変化はありませんでした(参考文献1)。
この研究は、当院で使う量(300〜600mg)より多い量を、糖尿病の方に使っています。糖尿病のない方の血糖が下がるかどうかは、調べていません。
それでも、食事をとらずに受けると、体に入ってくる糖が少ないところにαリポ酸の働きが重なるため、血糖が下がりやすくなると考えられます。
出やすい症状
低血糖では、冷や汗、手の震え、動悸、強い空腹感、ふらつきといった症状が出ます。
進むと、頭がぼんやりして考えがまとまらなくなったり、意識がもうろうとしたりすることもあります(参考文献2・3・8)。点滴中にこうした症状に気づいたら、すぐにお知らせください。
なお、空腹のときや緊張しているときは、冷や汗やふらつきなど、低血糖によく似た症状が血糖とは関係なく出ることもあります。
当院が 点滴の 前後に 行っていること
- 軽く食事をとってからお越しいただくよう、お願いしています
- 低血糖が起きることもあると、事前にお伝えしています
- 点滴の際は、どなたにも飴とお水をお出ししています
- 点滴中や点滴の後に低血糖のような症状が出たときは、すぐに点滴を止めて、糖分をとっていただくなどの対応をします。血糖値も測って、低血糖かどうかを確かめます
お仕事の合間などで、食事をとる時間がなかったときは、点滴の前に遠慮なくお申し出ください。
点滴の前にお知らせいただきたいこと
初めての方の問診票では、持病やお飲みの薬をうかがっています。次にあてはまる方は、点滴の前にあらためてお知らせください。
- 糖尿病の治療中の方(飲み薬、インスリン注射)
血糖を下げる薬とαリポ酸の働きが重なると、血糖が下がりやすくなることがあります。主治医とご相談のうえでお越しください - 甲状腺の薬を飲んでいる方
特に、バセドウ病に使うメチマゾール(商品名メルカゾール)は、SH基をもつ薬で、インスリン自己免疫症候群との関連が知られています(参考文献9)
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ごくまれに 体質で 起きる 低血糖 (インスリン 自己免疫 症候群)
インスリン自己免疫症候群は、自分のインスリンに対する抗体ができて、血糖が乱高下する病気です。1970年に日本の平田医師らが初めて報告したことから、平田病とも呼ばれます(参考文献4)。
この病気のことを知っておくと、万一のときに早く気づけます。
どのくらい起きるのか
日本は世界の中でも報告の多い国ですが、それでもまれな病気です。厚生労働省のQ&Aでは、最初の報告から40年ほどで約300例とされています(参考文献3)。
2017〜2018年に、日本の300床以上の病院を対象に行われた調査では、αリポ酸以外がきっかけのものも含めて、治療が必要だったインスリン自己免疫症候群は22例でした。
この22例を日本で起きたすべての例とみなすと、発症は2年間で人口10万人あたり0.017人と推計されます(参考文献8)。
ただし、これは日本の人口全体に対する数字で、αリポ酸を使った人のうち何人に起きるかを示すものではありません。
欧州食品安全機関は、αリポ酸をとった後にこの病気になるリスクを、今あるデータでは数字で示せないとしています。何mgまでならとっても起きないか、という線引きも、まだできていません(参考文献8)。見過ごされやすい病気だという指摘もあります(参考文献10)。
なりやすい体質(HLAの型)
発症には、HLAと呼ばれる体質の型が関わっています。日本人の場合はHLA-DRB1*04:06という型で、この型をもつ人は欧米より日本に多いことが分かっています(参考文献3・5)。
この型をもっていても、全員が発症するかどうかは分かっていません(参考文献3)。また、この型をもっているかどうかは、遺伝子検査をしなければ簡単には分からないとされています(参考文献8)。
ヨーロッパでは、αリポ酸をきっかけに、別の型(HLA-DRB1*04:03)をもつ人に起きた例もあります(参考文献6)。
日本でも、αリポ酸を含むサプリメントとの関連が考えられた例が報告されています(参考文献7)。
きっかけになる成分と仕組み
SH基(チオール基)と呼ばれる構造をもつ成分が、きっかけとして知られています。日本では長く、甲状腺の病気に使うメチマゾールがその代表でした。
2003年以降は、ダイエットやエイジングケアのサプリメントとして広まったαリポ酸がきっかけになった例が、急に増えました(参考文献9)。
αリポ酸も、体の中でSH基をもつ形(ジヒドロリポ酸)に変わります(参考文献8)。
インスリンに対する抗体ができると、食後に出たインスリンを抗体がいったん抱え込み、予測できないタイミングで放します。そのため血糖は、食後に上がったあと、遅れて低血糖まで下がります(参考文献10)。
主な症状と出始める時期
多く見られる症状は、冷や汗、震え、ふらつき、だるさ、頭がぼんやりする感じ、強い空腹感、動悸などです。低血糖は主に食後2〜6時間ほどたってから起き、空腹時に起きる例は少数です(参考文献8)。
欧州食品安全機関が検討した49例のうち、症状の記載があったのは27例で、そのうち12例は意識を失うほどの低血糖でした(参考文献8)。
症状が出始めるまでの期間は、毎日口からとっていた例で、使い始めてから1週間から4か月ほどでした(参考文献8)。普段の生活の中で起きるため、αリポ酸との関係に気づきにくいことがあります。
点滴でも起きるのか
知られている例の多くは、サプリメントや飲み薬など、口からとったαリポ酸によるものです(参考文献8)。点滴で受けた場合の起きやすさや経過は、分かっていません。
ただ、口からとったαリポ酸のうち、血液中に届くのは2〜4割ほどとされます(参考文献8)。点滴では、同じ量でもより多くが血液中に入ります。また、関わる体質も、きっかけになる成分も、口からとる場合と同じです。
そのため当院では、点滴でも同じように気をつけています。
やめた後の経過と治療
欧州食品安全機関は、検討した49例について、αリポ酸をやめてから数週間から数か月で治まったとまとめています。ただし、ステロイドなどの薬で治療を受けた例も含まれます(参考文献8)。
αリポ酸が広まる前、1992年までに日本で報告された197例の解析でも、約8割は特別な治療をしないまま治っています(参考文献4)。
低血糖が強い場合は、内科で、食事の工夫(少しずつ何回かに分けて食べるなど)や、薬による治療が行われます(参考文献8・10)。
なお、同じ成分をもう一度使って、低血糖がぶり返した例も報告されています(参考文献2・8)。
帰宅後や数週間後に、症状を繰り返すときは
ごくまれなことですが、インスリン自己免疫症候群が起きた場合は、使い始めてしばらくたってから、点滴の日に限らず、食後数時間たったときなどに低血糖を繰り返します。
次のような症状を繰り返すときは、αリポ酸の点滴をいったん中止し、当院にご連絡ください。
- 食後数時間たってから、ときに空腹時に、冷や汗や手の震え、動悸、強い空腹感が出る
- 頭がぼんやりして、考えがまとまらなくなる
- 甘いものをとると、症状が治まる
意識がはっきりしない、自分で糖分をとれないといった場合は、周りの方が迷わず救急車(119番)を呼んでください。
受診するときは
当院へのご連絡とあわせて、糖尿病・内分泌の内科で検査を受けることをお勧めします。内科では、症状が出たときの血糖値に加えて、インスリンの値や、インスリンに対する抗体などを調べて診断します(参考文献2・10)。
受診の際には、αリポ酸の点滴を受けていたこと(サプリメントを飲んでいる場合はそのことも)をお伝えください。
αリポ酸を含む健康食品についても、厚生労働省は、症状が出たときは飲むのをやめて受診し、飲んでいたことを医師に伝えるよう呼びかけています(参考文献3)。
よくある質問
αリポ酸の安全性について
アルファリポ酸は危険ですか?
空腹のまま受けると、その日のうちに一時的な低血糖が起きることがあります。軽く食事をすませてから受けていただくと、起きにくくなると考えられます。
体質によって起きるインスリン自己免疫症候群は、ごくまれな病気です。
なお、αリポ酸は牛や豚の肝臓、ほうれん草やトマト、ブロッコリーなどの食品にも含まれていますが、量は多くなく、動物由来の食品で1kgあたり1mg程度とされています(参考文献3)。
点滴で使う量(1回300〜600mg)とは大きく違うため、「食品にも入っているから安全」とは言えません。欧州食品安全機関も、食品にもともと含まれるαリポ酸と、サプリメントなどで加えたαリポ酸を分けて評価しています(参考文献8)。
低血糖のほかに、副作用はありますか?
点滴部位の痛み、発疹、吐き気が報告されています。気になる症状があれば、点滴中でもすぐにお知らせください。
インスリン自己免疫症候群になりやすい体質かどうか、検査で分かりますか?
グルタチオン点滴でも、インスリン自己免疫症候群は起きますか?
きわめてまれですが、可能性はあります。グルタチオンもSH基をもつ成分で、1992年までの日本の197例の解析では、診断の前に使われていた薬の中に、グルタチオンが含まれています(参考文献4)。
グルタチオン点滴(白玉点滴を含む)を受けている方も、点滴から日がたってから冷や汗や震えを繰り返すようなときは、当院にご連絡ください。
受け方について
糖尿病の治療中でも受けられますか?
飲み薬やインスリン注射で血糖を下げている方は、その作用にαリポ酸の働きが加わって、低血糖が起きやすくなることがあります。
糖尿病の主治医に、αリポ酸の点滴を受けたいことを伝えてからお越しください。当日の問診で、お薬について詳しくうかがいます。
ビタミンC点滴と一緒に受けても大丈夫ですか?
当院では、ビタミンC点滴とαリポ酸点滴を組み合わせることもあります(高濃度アルファリポ酸点滴)。組み合わせる場合も、点滴の前には軽く食事をとってからお越しください。
一度低血糖を起こしたら、もうαリポ酸は受けられませんか?
次の点滴を受けていただけるかどうかは、症状が出たときの状況をうかがって、医師が判断します。点滴当日の低血糖と考えられる場合は、次回から、点滴の前の食事のとり方を整えていただければ、受けていただくことは可能です。
インスリン自己免疫症候群が疑われる場合は、αリポ酸の点滴はやめていただきます。αリポ酸を再開して、低血糖がぶり返した例があるためです(参考文献2・8)。
参考文献
このページの説明は、当院での経験だけでなく、国内外の研究と公的機関の資料をもとにしています。タイトルをタップすると、どんな研究なのか、このページのどこを支えているのかをご覧いただけます。
点滴当日の低血糖について
1αリポ酸による2型糖尿病患者のブドウ糖処理の亢進
要約:
2型糖尿病の13名を対象にした研究です。αリポ酸1,000mgを点滴する群(7名)と、生理食塩水だけを点滴する群(6名)に分け、インスリンの作用による糖の取り込み(ブドウ糖処理)を、グルコースクランプ法で調べています。
αリポ酸を点滴した群では、糖の代謝クリアランスが約5割増え、生理食塩水の群では目立った変化はありませんでした。著者らは、作用の仕組みについてはさらに調べる必要があるとしています。
本ページでは、空腹のまま点滴を受けると血糖が下がりやすくなると考えられる理由の根拠として参照しています。この研究は、当院より多い量を糖尿病の方に使った小規模なもので、糖尿病のない方の当日の低血糖を直接調べてはいません。
インスリン自己免疫症候群について
2αリポ酸によるインスリン自己免疫症候群で低血糖を起こした、糖尿病のない方の症例
要約:
糖尿病のない70代の女性が、動悸・震え・発汗・空腹感を繰り返し、低血糖と診断された症例報告です。症状が出る1週間前に、腰痛のためにαリポ酸を含むビタミン剤を処方されていました。
低血糖のときの血液検査では、インスリンの値が非常に高く、インスリンに対する抗体が強陽性で、インスリン自己免疫症候群と診断されています。
食事の工夫と飲み薬のステロイドで速やかに改善しましたが、6週間後に、誤ってαリポ酸を再び使ったことで症状がぶり返し、中止すると治まりました。
本ページでは、症状の内容、内科での検査、同じ成分をもう一度使うとぶり返しうることの根拠として参照しています。
3厚生労働省「α-リポ酸に関するQ&A」
要約:
αリポ酸を含む健康食品についての厚生労働省のQ&Aです。αリポ酸は牛・豚の肝臓、心臓、腎臓や、ほうれん草、トマト、ブロッコリーなどに含まれますが、量は多くなく、動物由来食品で1kgあたり1mg程度としています。
インスリン自己免疫症候群は1970年以来約40年間で300例程度が報告され、HLA-DRB1*04:06という型をもつ人は欧米人より日本人に多いと説明しています。
この遺伝的素因をもつ方全てが発症するかどうかは、現在のところ分かっていないとしています。
症状として冷や汗や手足の震えを挙げ、そうした症状が出たら摂取をやめて受診し、αリポ酸を含む健康食品をとっていたことを医師に伝えるよう呼びかけています。
本ページでは、食品に含まれる量、病気の概要、体質、症状、症状が出たときの対応の根拠として参照しています。
4インスリン自己免疫症候群(平田病):日本における臨床像と疫学
要約:
1970年に平田らが最初の症例を報告して以来、1992年12月までに日本で報告された197例を解析した研究です。発症のピークは60代で、約82%は積極的な治療をせずに自然に軽快していました。
43%は、診断前にSH基をもつ薬(バセドウ病に使うメチマゾール、チオプロニン、肝臓の病気に使うグルタチオン)を使っており、中止すると低血糖の発作は治まりました。
メチマゾールなどを再び使って、低血糖の発作がぶり返した人も3人いました。
本ページでは、病気が日本で報告されたこと、診断の前に使われていた薬としてグルタチオンも挙がっていること、自然に治る例が多いことの根拠として参照しています。
5インスリン自己免疫症候群の発症頻度の世界的な違いとHLA-DR4の型
要約:
日本人では、HLA-DRB1*04:06という型がインスリン自己免疫症候群のかかりやすさに関わっていることを示し、その型の分布を世界的に調べた研究です。
この型をもつ人が多い集団ほど発症が多く、白人で発症がきわめて少ないのは、この型が少ないためと説明しています。
本ページでは、発症に関わる体質の根拠として参照しています。
6αリポ酸をとっていたヨーロッパの白人に起きたインスリン自己免疫症候群
要約:
αリポ酸(1日600mg)をとっていた、ヨーロッパの白人6名の報告です。とり始めてから30〜120日後に、空腹時や、食後しばらくたってからの低血糖が起きていました。
αリポ酸の中止で低血糖の発作は減り、全員が、ブドウ糖(飲む、または点滴)とステロイドの飲み薬で治療されています。
5名はHLA-DRB1*04:03、1名はHLA-DRB1*04:06という型をもっていました。
本ページでは、日本人に多い型とは別の型でも起きることの根拠として参照しています。
7健康食品に含まれるαリポ酸とインスリン自己免疫症候群の関連が考えられた1例
要約:
インスリンを使ったことのない44歳の日本人女性に起きた、インスリン自己免疫症候群の症例報告です。発症前にαリポ酸を含む健康食品を飲んでおり、HLA-DRB1*04:06という型をもっていました。
著者らは、αリポ酸が関わっている可能性を指摘しています。
本ページでは、日本でも、αリポ酸を含むサプリメントとの関連が考えられた例があることの根拠として参照しています。
8αリポ酸の摂取とインスリン自己免疫症候群のリスクに関する科学的見解(欧州食品安全機関)
要約:
欧州委員会の依頼で、欧州食品安全機関(EFSA)の専門家パネルがまとめた見解です。口からとるαリポ酸について、摂取後にインスリン自己免疫症候群を発症した49例の報告を検討しています。発症までの期間は1週間から4か月でした。
この病気の低血糖は主に食後2〜6時間で起き、空腹時に起きる例は少ないと説明しています。症状が記載されていた27例のうち12例は、意識を失うか、低血糖による昏睡に至っていました。
αリポ酸の中止から数週間〜数か月で治まったとまとめていますが、薬による治療が必要な例もあるとしています。
食品にもともと含まれるαリポ酸については、関連を示した報告は見つかりませんでした。一方、食品やサプリメントに加えたαリポ酸は、特定の遺伝的な体質をもつ人で発症のリスクを高めると考えられ、その体質は遺伝子検査をしなければ簡単には見分けられないとしています。
αリポ酸以外がきっかけのものも含めた日本での発症は、2017〜2018年の2年間で人口10万人あたり0.017人(22例)と推計されています。そのうえで、αリポ酸をとった後に発症するリスクは数字で示せず、どの量までなら起きないかも決められないと結論しています。
口からとったαリポ酸が血液中に届く割合は2〜4割ほどであることや、2015年に欧州医薬品庁の安全性委員会が、αリポ酸を含む医薬品の製品情報への追記を勧告したことにも触れています。
本ページでは、症状と起き方、発症までの期間、発症の頻度とその読み方、体質の見分けにくさ、中止後の経過、口からとった場合と点滴の違いの根拠として参照しています。
9薬剤によるインスリン自己免疫症候群
要約:
もともとメチマゾールとの関連が強かったインスリン自己免疫症候群で、2003年以降、αリポ酸による例が急に増えていることを指摘した報告です。
αリポ酸がダイエットやエイジングケアのサプリメントとして広まっていることから、注意を呼びかけるべきだとしています。
本ページでは、きっかけになる成分の移り変わりと、メチマゾールとの関連の根拠として参照しています。
10インスリン自己免疫症候群(平田病):疫学・病態・症状・診断・治療についての総説(更新版)
要約:
インスリン自己免疫症候群についての総説です。インスリンに対する抗体が食後のインスリンを抱え込み、予測できないタイミングで放すため、食後の高血糖の後に、遅れて低血糖が起きると説明しています。
SH基をもつ薬とαリポ酸がよくあるきっかけで、多くは原因になった成分の中止、食事の工夫、支持療法で改善し、低血糖が続く場合にはステロイドなどの薬が使われるとしています。見過ごされやすい病気であるとも述べています。
本ページでは、低血糖が起きる仕組み、内科での検査と治療、見過ごされやすさの根拠として参照しています。
当ページでご紹介している高濃度アルファリポ酸点滴は、自由診療(保険適用外)です。料金は1回8,800円、ダイエット点滴は1回11,000円です(いずれも税込)。点滴の量は、初回300mg、その後600mgです。
主なリスク・副作用は、点滴部位の痛み・発疹・吐き気、低血糖です。治療に伴うリスク・副作用は、診察の際にもあらためてご説明します。
低血糖の検査や、インスリン自己免疫症候群の治療は、保険診療の対象です。当院では保険診療を行っておりませんので、保険での治療をご希望の場合は、保険診療に対応している医療機関の受診をお勧めしています。
未承認医薬品等に関する注意事項
- 未承認であること:高濃度アルファリポ酸点滴に用いる医薬品は、国内では医薬品医療機器等法上の承認を受けていません。
- 入手経路:医師の責任のもとで個人輸入し、使用しています。
- 国内の承認医薬品等の有無:国内にも同じ種類の薬剤はありますが、高濃度で使用することは困難です。
- 諸外国における安全性等に係る情報:欧米ではサプリメント・医薬品として使用されています。報告されている主な副作用は、点滴部位の痛み・発疹・吐き気です。インスリン自己免疫症候群の素因がある方では、低血糖の報告があります。
欧州医薬品庁(EMA)の安全性委員会は2015年に、αリポ酸(チオクト酸)を含む医薬品の製品情報に、インスリン自己免疫症候群について記載するよう勧告しています(参考文献8)。 - 救済制度について:未承認の医薬品等による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度などの公的な救済の対象になりません。
*承認を受けていない医薬品・医療機器については、「個人輸入において注意すべき医薬品等について」のページもご確認ください。
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監修者情報(医師紹介)

監修医師:佐藤 雅樹
ソララクリニック 院長
専門分野:美容皮膚科
2000年 順天堂大学医学部卒。順天堂大学医学部形成外科入局。 大学医学部付属病院等を経て、都内美容皮膚科クリニックにてレーザー治療の研鑽を積む。2011年3月 ソララクリニック開院 院長就任。2022年 医療法人 松柴会 理事長就任。日本美容皮膚科学会 日本形成外科学会 日本抗加齢医学会 日本レーザー医学会 点滴療法研究会 日本医療毛髪再生研究会他所属。
様々な医療レーザー機器に精通し、2011年3月にルビーフラクショナル搭載機器を導入。各種エネルギーベースの医療機器を併用する複合治療に積極的に取り組む。
※当院の治療はすべて自由診療(保険適用外)です。標準的な費用は各ページの料金表または料金表ページをご覧ください。治療に伴うリスク・副作用は診察時にもご説明します。
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