エクソソーム点滴の安全性と、国の規制の動きExosome IV Therapy: Safety and Regulation

国と学会が求めていることと、当院が確かめていること

エクソソームを使う医療は、国内外で研究が進んでいる分野です。国も、法律での扱いの見直しを進めています。

このページでは、国と学会が何を求めているのか、当院がエクソソーム点滴の製剤について何を確かめ、点滴のときにどう備えているのかを、国の資料と論文をもとにまとめました。

このページでお伝えすること

  • 国は、エクソソームを使う医療の研究開発を後押ししながら、提供の実態をつかむ仕組みづくりを進めています。2026年10月8日の作業部会では、そのためにエクソソームなどを再生医療等安全性確保法の対象にする案が示されました
  • 問題にされているのは、エクソソームそのものではなく、中身や品質が確かめられていない製剤が使われることです。国は2024年7月に、行う医師の責任で、安全面に特に気をつけるよう求めています
  • 当院は、製造元と製造場所、ドナー、検査の結果が分かる製剤を使い、問診と、点滴中から点滴後までの観察で備えています

当院が確かめていることを読む

受けられない方と献血を読む

デメリットと副作用を読む

国はいま、エクソソームをどう扱っているのか

いまのところ、エクソソームを使う医療は、再生医療等安全性確保法の対象になっていません。2026年10月8日、厚生労働省の作業部会で、エクソソームを含む細胞外小胞(細胞が外に出す小さな袋)をこの法律の対象にする案が示されました(参考文献1)。研究開発を進めることと、提供の実態を国がつかむことの両方をねらった見直しです。改正の時期は、まだ示されていません。

これまでの経過

時期 主な動き
2021年11月 国の作業部会のとりまとめ。エクソソームなどは「細胞断片」と整理され、法律の対象にしないとされる
2023年10月 日本再生医療学会が、細胞外小胞を法律の対象にするよう提言
2024年4月 日本再生医療学会が「細胞外小胞等の臨床応用に関するガイダンス(第1版)」を公表
2024年6月 改正法が公布。附則に、施行後2年をめどに細胞の分泌物などを使う医療への適用を検討すると定める
2024年7月 厚生労働省が、医療機関あてと都道府県あての連絡を出す
2025年5月 改正法が施行
2026年7月 作業部会が再開し、エクソソームの扱いが検討の項目に入る
2026年10月8日 作業部会で、細胞外小胞を法律の対象にする案が示される

表の出典は参考文献1〜5・8・9です。

法律の対象になっていない理由

再生医療等安全性確保法は、細胞を加工して使う医療を対象にした法律です。2021年の国の作業部会のとりまとめでは、エクソソームなどは細胞そのものではなく「細胞断片」にあたるものと整理されました(参考文献2)。投与するものとしてはっきり定義するのが難しいことや、海外の規制の状況も考え合わせて、このときは法律の対象にしないとされました。

法律の対象外なので、ほかの再生医療のように委員会の審査を受ける仕組みはありません。日本再生医療学会のガイダンス(参考文献3)は、製剤の品質とリスクを理解し、安全を確保することを、行う医師に求めています。

2024年7月、国が出した連絡

2024年7月31日、厚生労働省は、エクソソームを使う医療について、医療機関あてと都道府県あての2通の連絡を出しました。

再生医療を行う医療機関あての連絡(参考文献4)は、幹細胞の培養上清液やエクソソームを使う医療について、有効性と安全性が示されて承認を受けた医薬品は、海外を含めてまだないことを伝えています。そのうえで、行う場合は医師の責任のもとで特に安全性に留意する必要があるとし、品質やリスクの管理には日本再生医療学会のガイダンスも参考にするよう求めています。

都道府県あての連絡(参考文献5)は、「試薬」として売られているエクソソームについてのものです。治療に使うことを目的としない試薬のうち、医薬品と誤解させるものや、医薬品のような効き目をうたったり、ほのめかしたりするものを、無承認・無許可の医薬品として指導し、取り締まるよう求めています。

どちらも、エクソソームを使う医療そのものを禁じたものではありません。海外では、米国の食品医薬品局(FDA)の注意喚起(参考文献6)にも、承認したエクソソーム製品はないと書かれています。

2026年10月8日に示された案

作業部会の資料(参考文献1)によると、エクソソームを使う医療の研究開発は、国内外で着実に進んでいます。その一方で、安全性や科学的な妥当性が十分に評価されないまま提供されるおそれがあり、製造の管理も含めて、投与の全体像を国はまだつかめていません。

資料が問題にしているのは、中身や品質が確かめられていない製剤が使われることで、エクソソームそのものではありません。示された方向は、提供の実態、健康被害が起きているかどうか、製造と品質の管理の体制を国が制度として把握できるようにし、あわせて研究開発を進めるための枠組みをつくってはどうか、という提案です。

今後の対応の案は、エクソソームを含む細胞外小胞を再生医療等安全性確保法の対象にすべき、というものです。人工的に作る細胞外小胞の扱いは、科学的な知見が集まった段階で改めて検討する、とされています。

作業部会の資料には、国の研究班(代表は日本再生医療学会の岡田潔氏)の報告も載っています(参考文献1)。報告によると、きちんと精製すれば、副作用などの好ましくない出来事(有害事象)のリスクは下げられる可能性があります。問題は、クリニックで実際に何が投与されているかが分かっていないことです。そのため、法律の枠組みに入れて、実態とリスクを調べられるようにすべきだと提案しています。

国際誌に掲載された京都大学などの研究者の論文(参考文献7)も、有害事象が国に報告される仕組みが必要で、研究の妨げにならない規制が望ましいと述べています。

これからの流れ

2024年に改正された再生医療等安全性確保法の附則には、施行後2年をめどに、細胞の分泌物などを使う医療への法律の適用を検討し、必要な措置を講じる、と定められています(参考文献8)。改正法は2025年5月31日に施行されたので、検討の目安は2027年5月ごろです。

法律がいつ変わるかは、まだ決まっていません。手続きや、受ける方への影響が決まったら、このページでお知らせします。

国と学会は、何に気をつけるよう求めているのか

国と学会がまず求めているのは、何を投与しているのかを、行う側がはっきりさせることです。エクソソームの製剤は、元になる細胞や育て方、精製の方法によって中身が変わります。そのため学会のガイダンス(参考文献3)は、製剤について確かめるべき項目を具体的に挙げています。

デメリットや危険性としてよく挙げられる、製剤ごとの違い、アレルギー反応、ドナーと製造のことも、当院の備えとあわせて、この章でご説明します。製造元で確かめられていることは、3章にまとめています。

製剤によって、中身や作り方が違う

エクソソームは、細胞外小胞の一種で、膜に包まれた小さな袋です。中にはマイクロRNAやたんぱく質など、細胞どうしで情報を伝える物質が入っていて、それを受け取った細胞に働きかけます。

国際的な学会の専門家たちは、間葉系幹細胞から作る小型の細胞外小胞を治療に使うなら、どの細胞から作ったか、膜に包まれた小胞であるか、小胞が壊れずに保たれているかを、数値で示すべきだと提案しています(参考文献10)。日本再生医療学会も、品質は原料と製造工程の管理で確保するという考え方を示しています(参考文献11)。

製造の段階で調べる項目には、血液を固める反応のきっかけになる分子(組織因子)もあります。間葉系幹細胞から取り出した小胞は、この分子を表面に持っていて、その働きの強さは元になる細胞の種類によって違います。試験管の中で血液の成分と混ぜた研究(参考文献12)では、固まる反応が早く始まる一方で、平均すると、小胞を加えない場合に比べて、血の塊が大きくなったり固くなったりしたわけではありませんでした。

静脈に入れる製剤では、作る段階でこうした点に目を配ることが大切とされています(参考文献12)。当院の製剤で製造元がどんな確認をしているかは、エクソソーム点滴のページの「製品規格と、安全性への取り組み」でご紹介しています。

培養上清液をそのまま「エクソソーム」として投与する例

幹細胞を育てた液(培養上清液)には、エクソソームのほか、さまざまな成分が含まれています。国の資料(参考文献1)によると、この培養上清液をそのまま「エクソソーム治療」として投与している例も指摘されていて、その実態を調べることも大切です。

学会のガイダンスは、細胞外小胞としての形と大きさを持つ粒子があること、目印になる分子があることを示すよう求めています(参考文献3)。研究班(参考文献1)も、細胞外小胞と培養上清液の両方が、安全に提供されて広まっていくことを望んでいます。

アレルギー反応への備え

点滴で薬を入れる治療では、まれに、じんましんや息苦しさなどのアレルギー反応が起こることがあります。急に強く出るもの(アナフィラキシー)にすぐ対応できるよう、当院では点滴中から点滴後まで様子を見て、対応する薬を準備しています。

ドナーの条件と無菌での製造

エクソソームの製剤は、ヒトの幹細胞を育てて作ります。そのため、どんな方の細胞を使うか、無菌の状態で作れているかが大切です。当院で使う製剤の、ドナーの条件と検査結果は、3章の表のとおりです。

学会のガイダンス(参考文献3)によると、作る途中でウイルスなどを不活化したり取り除いたりするのは難しいので、原料の段階から一貫して、無菌の操作と、ほかの成分が混じらないための対策が必要です。国の研究班(参考文献1)も、感染の原因になるものを不活化・除去する工程を含まない加工物は、法律の対象にするのが妥当だと述べています。

ヒトの細胞に由来する製剤なので、治療の後は献血をお控えいただいています(4章)。

臨床研究で分かっていること

公表された臨床研究25件をまとめた報告(参考文献13)では、細胞外小胞の投与はおおむね問題なく行われていました。ただ、副作用の報告が不十分な研究が多く、著者ら自身も、安全性について結論を出すにはまだ早いと書いています。国が健康被害の発生状況を把握する仕組みを検討しているのは、こうした情報を集めるためでもあります。

当院が製剤について確かめていること

当院のエクソソーム点滴では、国内の細胞加工施設で最終加工された製剤(M2Pエクソソーム™)を使っています。受ける方が、何が使われているのかを知ったうえで決められるようにしたいと思い、学会のガイダンスが挙げている項目のうち、製造元が公開している内容と、当院で行っていることを並べました。

製造元で確かめられていること

製造元と製造場所 東京都港区の細胞加工施設「AZACLI LAB」で最終加工(セルソース株式会社の技術供与)
元になる細胞 脂肪由来の幹細胞のうち、5,000個に1個の割合の「エリート幹細胞」を選んで培養
ドナー 若い健康な日本人に限定(主な感染症に未感染、細胞提供の同意あり)
小胞であることの確認 表面のたんぱく質(CD9・CD63)と、粒子の大きさと数に基準を設け、満たしたものだけを製品化
不純物 エクソソーム以外の不純物を取り除いている
無菌などの検査 無菌検査をクリア。マイコプラズマとエンドトキシンは陰性、または検出できる下限より少ない
製品の管理 ロットごとに番号を付けて管理

いずれも製造元が公開している内容です。純度や粒子の数など、製剤の規格はエクソソーム点滴のページでご紹介しています。

当院で行っていること

院内での扱い 院内で調剤し、品質を管理
点滴のとき 念のため、孔の大きさが0.2μmのフィルターが付いた輸液セットで点滴
点滴の前と後 問診で受けられるかを医師が判断。点滴中から点滴後まで様子を見て、アナフィラキシーに対応する薬を準備

点滴のフィルター

表にあるフィルターは、液の中の細かな異物などを取り除くためのもので、孔の大きさは0.2μm(200nm)です。製剤は製造元で検査されていますが、点滴では念のため、このフィルターを通すことにしています。

エクソソームのような小型の細胞外小胞は、直径がおよそ50〜200nmとされ(参考文献10)、多くはこの孔を通り抜けられる大きさです。

起こりうる副作用

当院では、これまで重い副作用は起きていません。起こりうる副作用は、針を刺したところの赤み・内出血・軽い痛み(通常は数日以内におさまります)と、ごくまれなアレルギー反応(アナフィラキシーなど)です。重い副作用が起こる可能性はゼロではないので、点滴の前に医師が体調を確かめ、ご説明しています。

受けられない方と、治療後の献血

次に当てはまる方には、エクソソーム点滴を行っていません。

  • 18歳未満の方
  • 妊娠中・授乳中の方
  • がんの治療中の方、がんの治療を終えて寛解から5年たっていない方(いずれも、主治医の許可がある場合を除きます)

18歳未満の方は成長期の体への安全性が確かめられていないため、妊娠中・授乳中の方は母体や赤ちゃんへの影響が分かっていないためです。

このほか、持病のある方については、問診でお話をうかがい、受けられるかどうかを医師が判断します。

がんの治療中の方に、おすすめしていない理由

がんの治療中の方から、エクソソーム点滴を受けたいというご相談をいただくことがあります。ただ、間葉系幹細胞由来のエクソソームががん細胞にどう働くかは、がんを進める方向と抑える方向の両方の報告があり、まだ議論が続いています(参考文献14)。十分な評価が得られるまでは、おすすめできないと考えています。そのため当院では、主治医の許可がある場合を除いて行っていません。寛解から5年たっていない方も、再発のおそれがある時期なので同じ扱いです。

治療後の献血

エクソソーム点滴を受けた後は、献血をお控えいただいています。

日本赤十字社(参考文献15)は、2026年10月1日から、プラセンタ注射を受けた方は最後の注射から3か月たてば献血できるように、基準を変えました。これに対して、美容関連で使われるヒト幹細胞培養上清液などは、この変更の対象外です。使った後の献血は、これまでどおりご遠慮いただくとされていて、期間は示されていません。

エクソソームは、幹細胞を育てた液から取り出したものです。そのため、培養上清液と同じように扱うのが妥当だと考えています。献血を考えている方は、献血会場の問診で、エクソソーム点滴を受けたことと、その時期をお伝えください。プラセンタ注射の扱いは、プラセンタ注射と献血のページでご説明しています。

よくある質問

国の扱いについて

エクソソーム点滴は、国に認められた治療ですか?

国内外で承認されたエクソソームの製剤は、まだありません。当院のエクソソーム点滴は、承認を受けていない製剤を、医師の責任のもとで使う自由診療です。

再生医療等安全性確保法の対象にもなっておらず、2026年10月8日に、対象にする案が国の作業部会で示された段階です。

「厚生労働省が、エクソソームは効果がないと言っている」と聞きました。本当ですか?

2024年7月の厚生労働省の連絡は、効果と安全性が確かめられて承認された医薬品が、海外を含めてまだない、という現状を伝えたものです。効果があるかないかを判定したものではありません。

連絡が求めているのは、行う医師が責任をもち、安全性に特に気を配ることです。

法律が変わったら、エクソソーム点滴は受けられなくなりますか?

いまの時点で、受けられなくなると決まったわけではありません。2026年10月8日に示されたのは、法律の対象にするという案で、どのような手続きが必要になるかは、まだ決まっていません。

改正法の附則では、施行から2年(2027年5月ごろ)をめどに検討するとされています。決まりしだい、このページでお知らせします。

「エクソソームで亡くなった人がいる」と聞きました。本当ですか?

2023年に、エクソソームの投与の後に亡くなった方がいる、といううわさが広まりました。国際誌に掲載された論文は、そのうわさが事実かどうかを、誰も確かめられなかったと報告しています。

こうした状況をなくすため、国は、健康被害が起きているかどうかを制度として把握する仕組みを検討しています(2026年10月8日の案)。

受ける前に

エクソソーム点滴のデメリットや危険性は、どんなことですか?

国内外で承認された製剤はまだなく、効果と安全性も研究の途中です。自由診療なので費用がかかり、治療の後は献血も控えていただくことになります。体に起こりうることとしては、針を刺したところの赤みや内出血、軽い痛み、ごくまれにアレルギー反応があります。

当院では、出どころと検査結果のはっきりした製剤を使い、問診で体調を確かめてから点滴し、点滴の間も終わった後も様子を見ています。

がんの治療中でも受けられますか?

主治医の許可がある場合を除いて、行っていません。がんの寛解から5年たっていない方も同じです。

エクソソームががん細胞にどう働くかは、研究で両方向の報告があり、まだ結論が出ていないためです。

妊娠中・授乳中でも受けられますか?

受けられません。お母さんと赤ちゃんの体への影響が、まだ分かっていないためです。

治療の後、献血はできますか?一生できないのですか?

治療の後は、献血を控えていただくようお願いしています。日本赤十字社は、美容関連のヒト幹細胞培養上清液などを使った方には献血をご遠慮いただいていて、いつまでという期間は示していません。いつから献血できるかは、いまのところ分かりません。

献血に行くときは、会場の問診で、受けた治療とその時期をお伝えください。

当院の点滴について

どんな副作用がありますか?

起こりうるのは、針を刺したところの赤みや内出血、軽い痛みで、たいてい数日でおさまります。ごくまれに、アナフィラキシーなどのアレルギー反応が出ることがあります。これまで当院で、重い副作用が起きたことはありません。

アナフィラキシーが起きたときにすぐ対応できるよう、薬を用意し、点滴の後もしばらく様子を見ています。

点滴のときのフィルターは何のためですか?

念のため、液の中の細かな異物などを取り除くためです。

フィルターの孔は0.2μm(200nm)です。エクソソームの多くはこれより小さいので、そのまま通り抜けます。

製剤がどこで作られたものか、確かめられますか?

はい。最終加工をしているのは、東京都港区にある細胞加工施設「AZACLI LAB」です(セルソース株式会社の技術供与)。

ドナーの条件や検査の項目は、当院が確かめていることにまとめています。

参考文献

このページの説明は、厚生労働省と日本再生医療学会の資料、米国FDAと日本赤十字社の公表内容、国内外の論文をもとにしています。タイトルをタップすると、どんな資料なのか、このページのどこを支えているのかをご覧いただけます。

1厚生労働省「エクソソームを含む細胞外小胞及び細胞培養上清液の法令上の取扱いについて」(第8回 再生医療等安全性確保法の見直しに係るワーキンググループ 資料2)

出典: 厚生労働省 第8回 再生医療等安全性確保法の見直しに係るワーキンググループ(2026年10月8日)

URL: https://www.mhlw.go.jp/content/11201250/001756985.pdf

要約:

2026年10月8日の作業部会で示された資料です。2026年7月1日の第7回で、エクソソームを含む細胞外小胞と細胞培養上清の法令上の扱いが検討事項の最初に挙げられたこと、2021年のとりまとめと改正法の附則、厚生労働科学研究の研究班(研究代表者:日本再生医療学会の岡田潔氏)の報告をまとめたうえで、現状と課題、対応の方向性、今後の対応(案)を示しています。

現状と課題として、研究開発が着実に進む一方で、安全性や科学的妥当性が十分に評価されないまま提供されるリスクがあること、投与の全体像を把握できていないこと、培養上清液をそのまま「エクソソーム治療」として投与する事例が指摘されていることを挙げています。今後の対応(案)は、エクソソームを含む細胞外小胞を再生医療等安全性確保法の対象とすべきとし、人工合成される細胞外小胞は科学的知見が集積した段階で改めて検討すべきとしています。研究班の報告は、細胞外小胞と培養上清を法の対象とすべきこと、感染因子の不活化・除去工程を含まない加工物を対象とするのが妥当であること、適切に精製すれば有害事象のリスクを低下させ得る一方、クリニックで何が投与されているか実態を把握できていないこと、細胞外小胞と培養上清の安全な提供と普及の促進が望まれることを挙げています。

本ページでは、2026年10月8日の案の内容、研究班の見解、作業部会の再開の時期、培養上清液をそのままエクソソームとして投与する例の指摘の根拠として参照しています。

2厚生労働省「再生医療等安全性確保法の見直しに係るワーキンググループとりまとめ」

出典: 厚生労働省(2021年11月17日)

URL: https://www.mhlw.go.jp/content/000855615.pdf

要約:

2021年に、再生医療等安全性確保法の施行後の見直しについて、作業部会がまとめた文書です。新しい医療技術への対応として、エクソソーム等は細胞断片として整理されるものであり、ヒトへの投与物として明確に定義することが難しいことや、諸外国の規制の状況も考え合わせ、現時点では再生医療等安全性確保法の対象とはしない、今後の医療技術の進展を踏まえて必要に応じて検討する、としています。

本ページでは、エクソソームを使う医療が法律の対象になっていない理由の根拠として参照しています。

3日本再生医療学会「細胞外小胞等の臨床応用に関するガイダンス(第1版)」

出典: 一般社団法人日本再生医療学会(協力:日本細胞外小胞学会)(2024年4月30日)

URL: https://www.jsrm.jp/cms/uploads/2024/05/news14993-2.pdf

要約:

細胞外小胞(EV)を臨床で使うときに、品質とリスクをどう管理するかをまとめた学会の指針です。医師の指示で調製して自院で使う医療は再生医療等安全性確保法の対象外で、委員会の審査を受けることがないため、医師は品質やリスクを自ら十分に理解したうえで、患者の安全確保に努めなければならないとしています。

具体的には、動物由来成分を含まない(ゼノフリーの)培地を使うべきこと、EVとしての形と大きさを持つ粒子があることと、EVの目印になる分子があることを示すこと、作る途中での高度な精製や、ウイルスの不活化・除去が難しいことから、原料・材料の段階から一貫して無菌操作と混入防止策をとること、有害事象が起きたときに原因を調べられるよう、同じロットの調製物や調製・投与の記録を保管することが重要であることなどを挙げています。

本ページでは、法律の対象外で医師に安全確保が求められていること、製剤について確かめるべき項目、無菌での製造の根拠として参照しています。

4厚生労働省 事務連絡「幹細胞培養上清液及びエクソソーム等を用いる医療について(周知)」

出典: 厚生労働省医政局研究開発政策課 事務連絡(2024年7月31日、再生医療等提供機関の管理者あて)

URL: https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/001282062.pdf

要約:

幹細胞の培養上清液や、それに含まれる可能性のある細胞外小胞などの細胞の分泌物(エクソソーム等)を用いる医療について、現時点で、諸外国を含め有効性・安全性が示され、薬事承認を得て製造販売されている医薬品はないことを周知した連絡です。そのため、行う場合は、実施する医師・歯科医師の責任のもと、特に安全性に留意する必要があるとしています。

あわせて、日本再生医療学会の「細胞外小胞等の臨床応用に関するガイダンス(第1版)」を参照し、品質やリスクの管理などに努めるよう求めています。

本ページでは、2024年7月の連絡の内容と、よくある質問「厚生労働省が効果はないと言っている?」、ページの最後の「未承認医薬品・医療機器について」の根拠として参照しています。

5厚生労働省 事務連絡「エクソソーム試薬に係る監視指導について」

出典: 厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課 事務連絡(2024年7月31日、都道府県・保健所設置市・特別区の衛生主管部(局)あて)。港区のウェブサイトに掲載された写し

URL: https://www.city.minato.tokyo.jp/documents/150316/060731jimurenraku.pdf

要約:

「試薬」として販売されるエクソソーム等は、疾病の治療などに用いることを目的としていないものの、医薬品と誤認させるものや、医薬品的な効能効果を標ぼう・暗示するものについては、無承認無許可医薬品として販売業者などへの指導と取締りを徹底するよう、都道府県などに求めた連絡です。

現時点で、エクソソーム試薬を含め、エクソソーム等と称する製品に、医薬品医療機器等法にもとづく承認を受けた医薬品は存在しないことに留意するよう記されています。

本ページでは、2024年7月に都道府県に向けて出された連絡の内容の根拠として参照しています。

6米国FDA「幹細胞とエクソソームを含む再生医療製品についての消費者への注意喚起」

原題: Consumer Alert on Regenerative Medicine Products Including Stem Cells and Exosomes

出典: 米国食品医薬品局(FDA)(2020年7月22日。2024年4月9日時点の内容)

URL: https://www.fda.gov/vaccines-blood-biologics/consumers-biologics/consumer-alert-regenerative-medicine-products-including-stem-cells-and-exosomes

要約:

FDAが一般の消費者に向けて、幹細胞やエクソソームを含むとうたう再生医療製品について注意を呼びかけた文書です。現在、FDAが承認したエクソソーム製品はないとしています。

本ページでは、海外(米国)でも承認されたエクソソーム製品がないことの根拠として参照しています。

7エクソソームを用いた医療に、明確で簡潔な規制が急いで求められること(日本の状況についての意見論文)

原題: The urgent need for clear and concise regulations on exosome-based interventions

出典: Stem Cell Reports. 19(11):1517-1519 (2024)

DOI: 10.1016/j.stemcr.2024.09.008

要約:

本論文は、京都大学iPS細胞研究所などの研究者が、日本でエクソソームを用いた医療が置かれている状況について意見を述べたものです。日本では、細胞外小胞は細胞として扱われないため再生医療等安全性確保法の対象外で、保険外の診療では科学的根拠の乏しい医療を制限する規制がほとんどないこと、2023年の調査で669の医療機関がこうした治療を提供していたことを紹介しています。

2023年には、エクソソームの投与の後に亡くなった方がいるといううわさが広まりましたが、うわさの医療機関は否定し、厚生労働省の担当者も情報の出どころは分からないとしていました。著者らは、死亡という重い有害事象がうわさなのか事実なのかさえ誰も確かめられない状況を問題とし、有害事象が規制当局に報告される仕組みを含む規制が急いで必要であり、その規制はエクソソームを用いた臨床研究の発展を妨げるものであってはならないと述べています。

本ページでは、日本の現状についての専門家の見解と、よくある質問「エクソソームで亡くなった人がいる?」の根拠として参照しています。

8再生医療等安全性確保法の改正(令和6年法律第51号)の附則第2条と施行日

出典: 厚生労働省「再生医療等について:関係法令、その他関係通知等」(附則第2条の条文は、参考文献1の資料にも抜粋あり)

URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000150542_00016.html

要約:

2024年6月14日に公布された「再生医療等の安全性の確保等に関する法律及び臨床研究法の一部を改正する法律」の附則第2条は、政府が、施行後2年をめどに、細胞の分泌物などを用いる先端的な医療技術について、研究開発や医療の提供、諸外国の規制の状況などを勘案して、法律の適用のあり方などを検討し、その結果にもとづいて必要な措置を講ずる、と定めています。厚生労働省のページには、2025年5月31日から改正法が施行されたことが記されています。

本ページでは、これからの流れ(2027年5月ごろが検討の目安であること)の根拠として参照しています。

9日本再生医療学会「再生医療等のリスク分類・法の適用除外範囲の見直しに関する提言」

出典: 一般社団法人日本再生医療学会(2023年10月27日)

URL: 日本再生医療学会のウェブサイト(PDF)

要約:

日本再生医療学会が、再生医療等安全性確保法の見直しに向けて出した提言です。エクソソームを含む細胞外小胞(広い意味では培養上清も含む)を見直しの対象とし、同法の対象とすることを提言しています。細胞外小胞は、同法の細胞加工物の範疇として扱うことが可能と考えられるとし、安全性を十分に確かめるとともに、国が実施状況を把握してモニタリングできるようにすることを求めています。

本ページでは、これまでの経過の表(2023年10月)の根拠として参照しています。

10治療に使う間葉系幹細胞由来の小型細胞外小胞を、どう定義するか

原題: Defining mesenchymal stromal cell (MSC)-derived small extracellular vesicles for therapeutic applications

出典: J Extracell Vesicles. 8(1):1609206 (2019)

DOI: 10.1080/20013078.2019.1609206

要約:

本論文は、国際細胞外小胞学会(ISEV)などの専門家が、治療に使う間葉系幹細胞(MSC)由来の小型細胞外小胞(MSC-sEV)をどう定義するかについて示した提案です。ここでいう「小型」は、直径がおよそ50〜200nmの集団を指すとしています。

MSC-sEVは、由来となる細胞、脂質の膜でできた小胞であること、小胞が物理的・生化学的に壊れずに保たれている程度を、数値で示せる指標で定義すべきだとしています。また、0.22μmのフィルターを通る細胞外小胞は、おおむね直径200nmより小さいと述べています。

本ページでは、製剤の中身を確かめる項目と、点滴のフィルターとエクソソームの大きさの説明の根拠として参照しています。

11日本で細胞外小胞を調製し、臨床に使うときの基本的な考え方(日本再生医療学会の立場)

原題: Basic points to consider regarding the preparation of extracellular vesicles and their clinical applications in Japan

出典: Regen Ther. 21:19-24 (2022)

DOI: 10.1016/j.reth.2022.05.003

要約:

本論文は、日本再生医療学会の立場から、細胞外小胞(EV)を調製して臨床に使うときの基本的な考え方をまとめたものです。学会として、医師の裁量だけにもとづく治療への懸念と、確かな科学的根拠にもとづく治療を積極的に進めることの両方を表明しています。

EVは性質が複雑で、規格や特性の評価だけでは品質をとらえにくいため、最終製品の品質は、原料と製造工程を管理することで確保することが重要だとしています。また、EVを医師の裁量で使う個別の医療は再生医療等安全性確保法の対象外で、安全性と有効性の科学的根拠が十分に評価されないまま治療が行われることへの懸念を述べています。

本ページでは、日本再生医療学会の考え方と、品質を原料と製造工程の管理で確保するという説明の根拠として参照しています。

12間葉系幹細胞由来の細胞外小胞の凝固促進作用(細胞の種類・培養条件による違い)

原題: The effects of cell type and culture condition on the procoagulant activity of human mesenchymal stromal cell-derived extracellular vesicles

出典: J Trauma Acute Care Surg. 87(1S Suppl 1):S74-S82 (2019)

DOI: 10.1097/TA.0000000000002225

要約:

本研究は、ヒトの脂肪由来・骨髄由来の間葉系間質細胞(MSC)から得た細胞外小胞(EV)について、血液を固める方向の働き(凝固促進作用)を試験管内で調べたものです。単層培養と、細胞を立体的な塊にして育てる培養の、2通りの条件で比べています。

どのEVも表面に組織因子とホスファチジルセリンを持ち、凝固を促す働きを示しましたが、平均すると、EVを含まない対照より大きい血栓や強い血栓ができたわけではありませんでした。働きの強さは細胞の由来によって異なり、脂肪由来のEVの方が強い傾向でした。著者らは、静脈内に投与する場合の安全性を考えるうえで、EVの由来を踏まえることが重要だと述べています。

本ページでは、製剤を作る段階で調べる項目のうち、組織因子についての説明の根拠として参照しています(試験管内の研究の結果です)。

13細胞由来の細胞外小胞を使った臨床研究の系統的レビュー

原題: A systematic review of published clinical studies using cell-derived extracellular vesicles: A focus on efficacy in COVID-19 and wound healing

出典: Curr Res Transl Med. 74(1):103557 (2026)(Epub 2025 Nov 24)

DOI: 10.1016/j.retram.2025.103557

要約:

本研究は、細胞由来の細胞外小胞を使って公表された臨床研究を、2024年9月19日までの文献から集めた系統的レビューです。25件の臨床研究が対象となり、小胞の由来は間葉系幹細胞が最も多く(20件)、間葉系幹細胞由来の小胞を受けた方は494名でした。

小胞の投与はおおむね問題なく行われていましたが、重い有害事象がはっきり報告されていたのは1件だけで、有害事象の報告が不十分な研究が多かったことから、安全性についての結論はまだ予備的なものだとしています。研究ごとの設計や小胞の作り方のばらつきが大きく、対照を置いた研究がさらに必要だとも述べています。

本ページでは、臨床研究で分かっている安全性の状況の根拠として参照しています(効果についての結果は、本ページでは扱っていません)。

14間葉系幹細胞由来のエクソソームが、がん細胞に与える両方向の影響(総説)

原題: Dual impacts of mesenchymal stem cell-derived exosomes on cancer cells: unravelling complex interactions

出典: J Cell Commun Signal. 17(4):1229-1247 (2023)

DOI: 10.1007/s12079-023-00794-3

要約:

本論文は、間葉系幹細胞(MSC)由来のエクソソームが、がん細胞にどのような影響を与えるかについての研究をまとめた総説です。MSC由来のエクソソームは、中身のたんぱく質や遺伝物質を周りのがん細胞に渡すことで、周囲の環境や受け取る細胞の性質によって、腫瘍の形成、血管新生、転移を進めることも、抑えることもあると報告されています。

そのため、がん細胞とMSC由来エクソソームの関係はまだ議論が続いており、エクソソームががん細胞にどう影響するかははっきりしていない、としています。

本ページでは、がんの治療中の方などにエクソソーム点滴を行っていない理由の根拠として参照しています。

15日本赤十字社「よくあるご質問(献血について)」

出典: 日本赤十字社(2026年10月20日に確認)

URL: https://www.jrc.or.jp/donation/qa/

要約:

「プラセンタ注射を受けた場合、献血は可能ですか。」への回答で、2026年10月1日から、プラセンタ注射剤の使用歴による献血制限を見直し、最終使用日から3か月が過ぎれば献血できるようになったことを説明しています。そのうえで、美容関連で使用されるヒト幹細胞培養上清液等や胎盤由来コラーゲン製剤は対象外で、使用後の献血はこれまでと同様にご遠慮いただくとしています。期間は示されていません。

本ページでは、治療の後の献血の扱いの根拠として参照しています。

費用と、主なリスク・副作用

エクソソーム点滴は自由診療(保険適用外)です。料金は1バイアル39,600円、2バイアル77,000円で、点滴の場合はフィルター代1,100円が加わります(いずれも税込)。

主なリスク・副作用は、針を刺したところの赤み・内出血・軽い痛み、ごくまれなアレルギー反応(アナフィラキシーなど)です。ヒトの細胞から作る製剤のため、治療の後は献血をお控えいただいています。18歳未満の方、妊娠中・授乳中の方、がんの治療中の方と、寛解から5年たっていない方(いずれも主治医の許可がある場合を除く)には行っていません。

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監修者情報(医師紹介)

監修医師 佐藤雅樹(仙台 ソララクリニック院長)

監修医師:佐藤(さとう) 雅樹(まさき)

ソララクリニック 院長

専門分野:美容皮膚科

2000年 順天堂大学医学部卒。順天堂大学医学部形成外科入局。 大学医学部付属病院等を経て、都内美容皮膚科クリニックにてレーザー治療の研鑽を積む。2011年3月 ソララクリニック開院 院長就任。2022年 医療法人 松柴会 理事長就任。日本美容皮膚科学会 日本形成外科学会 日本抗加齢医学会 日本レーザー医学会 点滴療法研究会 日本医療毛髪再生研究会他所属。 
様々な医療レーザー機器に精通し、2011年3月にルビーフラクショナル搭載機器を導入し、15年以上この治療を続けている。各種エネルギーベースの医療機器を併用する複合治療に積極的に取り組む。

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 初めて受診される皆様へ

※当院の治療はすべて自由診療(保険適用外)です。標準的な費用は各ページの料金表または料金表ページをご覧ください。治療に伴うリスク・副作用は診察時にもご説明します。

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