育毛 エクソソーム 療法Exosome Therapy for Hair |仙台
弱った毛包に、
薄毛の治療を調べていると、ここ数年、エクソソームという言葉を見かけるようになりました。聞き慣れない言葉ですし、説明を読んでも何をするものなのか、つかみにくいかもしれません。
エクソソームは、細胞から細胞へ指示を運ぶ、ごく小さなカプセルです。髪を伸ばすか休むかを決めているのも、毛包の中で交わされている指示です。毛包に届く指示にはたらきかけようというのが、育毛エクソソーム療法の考え方になります。
このページでは、何が報告されているのか、当院が何を使っているのか、受けるとどうなるのかを、順にご説明します。
このページの要点
- 育毛エクソソーム療法は、AGA(男性型脱毛症)や女性の薄毛に対して、幹細胞から取り出したエクソソームを頭皮に届ける治療です。注射針を刺しません(5章)
- はたらいているのはカプセルではなく、中に入っているマイクロRNAやタンパク質です。中身が毛包の細胞に指示を伝えます(1章)
- 2025年のレビュー論文は、脱毛症の臨床研究11件すべてで、毛髪の指標のいずれかに改善が見られたと報告しています(3章・参考文献1)
- 当院が使っているのはM2Pエクソソームです。組織の修復に加えて、炎症によるダメージに目を向けた製剤です(4章)
- 料金は1バイアル77,000円(税込)、別途カートリッジ33,000円(8章)。HARG+(ハーグプラス)療法との使い分けは、頭皮の状態を診てご提案します(6章・7章)
この記事の目次
1. AGA・薄毛の治療で「エクソソーム」が使われるようになった理由
エクソソームは、幹細胞をはじめとした細胞から分泌される、直径30〜200ナノメートルほどの微小なカプセルです。内部にはマイクロRNAやメッセンジャーRNA、タンパク質といった情報伝達物質が入っていて、他の細胞へ情報を伝えます。治療で届けたいのは、カプセルの中身です。

エクソソームは、細胞から出て別の細胞へ中身を渡す小胞です。金=タンパク質、青=マイクロRNAなどの情報伝達物質が入っていて、はたらいているのはカプセルではなく中身です。
髪をつくる指示は、細胞どうしのやりとりで決まります
髪は毛包という器官でつくられます。毛包の中では、毛包幹細胞と毛乳頭細胞が絶えず信号をやりとりしていて、いま伸ばすのか、休むのかは、やりとりの結果で決まります。横浜国立大学のグループは、信号の伝達を担っているのがエクソソームだと整理しています(参考文献5)。
加齢やAGA(男性型脱毛症)では、やりとりが伸ばすほうへ傾きにくくなります。エクソソームを頭皮に届けて、信号を送る側から毛包を動かし直そうとする治療です。
Wnt/β-カテニンという経路
毛包が休止期から成長期へ入るときにはたらくのが、Wnt/β-カテニンと呼ばれる経路です。エクソソームを毛乳頭細胞に加えた実験では、経路が活性化し、細胞の増殖が進むことが繰り返し報告されています(参考文献2・参考文献5)。
髪の悩みは、飲み薬と塗り薬だけで語られてきた時期が長く続きました。細胞に働きかける方法は、比較的最近になって加わりました。
2. 指示を受け取った毛包で、何が起きるか
1章で、エクソソームが運んでいるのはマイクロRNAやタンパク質だと書きました。受け取った側の毛包では、成長因子というタンパク質の一群がはたらいています。よく調べられているのが、IGF-1(インスリン様成長因子1)です。
毛乳頭細胞が出すIGF-1が、毛包にはたらきます
IGF-1は、毛包の底にある毛乳頭細胞から分泌されます。毛包の細胞の増殖を促し、休んでいる毛包を成長期へ向かわせるはたらきが知られています。PI3K/Akt、MAPK/ERKと呼ばれる経路を通じたはたらきです。細胞が死ぬのを抑えて成長期を長く保ち、VEGFの発現を高めて毛包周りの血流を支えることも報告されています(参考文献6)。

毛包の縦断面です。いちばん下にある細胞の塊が毛乳頭で、そこから金=タンパク質(成長因子など)が周りの細胞へ広がっていきます。髪を伸ばす指示は、毛包の底で作られます。青=マイクロRNA。
AGAでは、IGF-1が低下していることが多いとされています。髪が伸びにくくなる背景に、成長因子の変化もあるという見方です。
届け方の問題
成長因子を頭皮に届けたいとき、難しいのは届け方です。塗るだけでは深いところまで入らず、そのまま注入しても短時間で分解されます。同じ総説でも、リポソームゲルやエクソソームに載せて届ける方法が検討されています(参考文献6)。
ただ、エクソソームのはたらきは、成長因子を積んで運ぶことだけではありません。毛乳頭細胞にエクソソームを加えた実験では、毛乳頭細胞自身がIGF-1などの成長因子をより多く作るようになることが報告されています(参考文献8)。外から届けるのではなく、作る側にはたらきかける。細胞に指示を渡すという考え方が注目されているのは、そのためです。
髪が細くなる仕組みから知りたい方は 薄毛治療のページ へ
3. 研究で報告されていること
エクソソームは、皮膚や毛髪の領域で研究が活発に進んでいる分野です。毛髪についても、臨床の報告がまとまってきました。
2025年の系統的レビュー
2025年に発表された系統的レビューは、脱毛症を対象とした臨床研究11件を集めました。無作為化比較試験2件を含み、いずれの研究でも、毛髪の指標のいずれかに改善が見られています。
毛髪密度は1平方センチあたり9.5〜35本の増加、毛髪の太さは最大13.01マイクロメートルの増加が報告されました。重篤な有害事象の報告はありませんでした(参考文献1)。
個別の報告も、方向はそろっています。男性30名を対象とした前向き研究があります。頭皮への注入から4週と12週の時点で毛髪密度が有意に増え、副作用や合併症は認められませんでした(参考文献3)。
脂肪由来幹細胞のエクソソームを24週間用いた研究でも、総毛髪密度の有意な増加と写真評価の改善が報告されています(参考文献2)。生理食塩水を対照に置いた無作為化比較試験でも、毛数の増加に有意差が出ています(参考文献4)。
39件を統合したメタ解析
2026年には、ヒトを対象とした臨床試験39件(うち毛髪を扱ったものが13件)を統合したメタ解析も発表されました。毛髪密度は平均で23.6%の増加(95%信頼区間 18.1〜29.0)、毛髪の太さは平均18.0%の増加(同 11.1〜24.9)と報告されています(参考文献9)。
これから積み上がっていく領域です
一方で、1件あたりの人数は多くありません。追跡期間にもばらつきがあります。同じ「エクソソーム」という名前でも中身は製剤ごとに違いますから、研究どうしを並べて比べるのも簡単にはいきません。レビューの著者らも、標準化された試験がこれから必要だと書いています(参考文献1)。
AGAに絞って39件を調べた2026年の系統的レビューは、この領域の課題を症例数の少なさ、後ろ向きの研究デザイン、対照群を置かない研究、評価指標が揃っていないことだと整理しています(参考文献10)。上に挙げた4件でも、プラセボと比べた試験は参考文献4の1件だけで、それも20名の予備的な試験です。用いられたのは植物由来のエクソソーム様粒子で、当院の製剤とは別のものです。
開発企業が関与した研究も含まれます。参考文献2はエクソソーム製剤の開発企業の研究者が著者に名を連ねており、参考文献4は特定の製品を用いた研究です。どこから出た数字なのかは、知っておいていただければと思います。
上に挙げた数値は、いずれも海外で行われた研究での報告で、当院の治療成績ではありません。製剤も注入の方法も、研究ごとに異なります。ご自身にどれだけの変化があるかまでは分かりません。
それでも当院が扱っている理由
報告の方向が、そろっているからです。毛包を動かす仕組みの説明がつき、ヒトでの報告が積み上がり、重篤な有害事象が出ていない。ここまでそろっていれば、選択肢に入れておいてよいと考えています。
そのうえで、効果の出方には個人差があること、内服や他の注入治療と組み合わせたほうがよい場合もあることは、はじめにお伝えするようにしています。
4. 当院が使っているM2Pエクソソーム
当院では「M2Pエクソソーム」を使用しています。組織の修復にはたらく力だけでなく、炎症によるダメージを想定してつくられた製剤です。
エクソソームと名のつくものを、ひとくくりにはできません。どの細胞から採ったか、どう精製したかで、含まれる中身も、粒子の数も、純度も変わります。精製の度合いによって、作用の出方にも差が出ます。国際的な総説も、日常の診療に定着するための条件として、十分な規模の比較試験に加えて、製造基準とロットごとの品質管理を挙げています(参考文献7)。
M2Pエクソソームの規格
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国内の施設で最終加工
最終加工は、国内の細胞加工施設(AZACLI LAB)で行われています。
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選別された細胞から抽出
間葉系幹細胞の中から、SSEA-3陽性などの目印で選んだ細胞だけを培養しています。
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高度精製で不純物を除く
精製の度合いで作用の出方に差が出ます。不純物を除き、純度99%以上を目安にしています。
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ロットごとに粒子数を表示
1バイアルあたり約50億個。ロットごとに実測値が示されます。
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ロットごとに試験結果を表示
無菌試験・マイコプラズマ否定試験・エンドトキシン試験の結果が示されます。
頭皮へは1回1バイアルを用います。製剤の規格と品質管理の詳細は、エクソソーム点滴のページにまとめています。頭皮への注入と点滴とで、使っている製剤は同じものです。
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5. 治療の受け方
当日の流れをご説明します。
注射針を刺しません
注入にはミラジェット Forteというマイクロジェット機器を使います。レーザーの熱で瞬間的に生じる圧力で薬剤を髪より細い噴流にし、毛穴からではなく皮膚の表面そのものから送り込む仕組みです。注射針を刺さないので、麻酔が要りません。頭皮に機器を当てていくあいだ、パチパチという音とともに、はじかれるような感覚があります。
痛みの感じ方には個人差がありますが、注射で麻酔をしてから打つ手順が要りません。治療の後は、そのままお帰りいただけます。

頭皮の断面です。ミラジェット Forte は、毛穴からではなく、皮膚の表面そのものを髪より細い噴流で通します。中身は金=タンパク質、青=マイクロRNA。注射針は使いません。
当日の洗髪
当日は、ぬるま湯であれば洗っていただけます。ただ、気になる方は翌朝まで空けていただくと安心です。
通う間隔と回数
間隔は、HARG+療法と同じく3週間から1か月ごとです。回数は、何回でここまで、という目安をお示しできるだけの報告がまだありません。数回で見きわめようとせず、頭皮の写真を残しながら、続けるかどうかを一緒に判断していきます。
髪は1か月に約1cmずつしか伸びません。変化があるとしても、生え替わりの周期に沿ってゆっくり現れます。
受けられない方
18歳未満の方、妊娠中・授乳中の方は受けていただけません。悪性腫瘍で治療を受けている方、および寛解後5年に満たない方は、主治医の許可がある場合を除いて対象外です。ヒト由来の製剤を使うため、治療の後は献血ができません。
6. HARG+療法との違い
当院には、同じくエクソソームを頭皮に届けるHARG+(ハーグプラス)療法があります。調べていくうちにこの名前に行き当たった方のために、違いを整理しておきます。
製剤が違います
HARG+療法で使うのは「ASCE+HRLV」という高純化エクソソーム製剤です。ヒト脂肪幹細胞の培養上清液から、特許ろ過技術でエクソソームを取り出した製剤です。エクソソームに加えて、毛髪に向けた成長因子10種・ビタミンなど29種・マイクロRNA30種が配合されています。当院が2009年から続けている主軸の治療です。
育毛エクソソーム療法で使うM2Pエクソソームは、成長因子そのものを積んではいません。狙っているのは、炎症と修復のほうです。2章でご説明したのは、毛乳頭細胞にはたらきかけて、細胞自身に成長因子を作らせるという道筋でした。M2Pエクソソームが狙っているのはそちらで、成長因子そのものを積んで運ぶ設計とは、選び分けの基準が変わります。
受け方は同じです
どちらもミラジェット Forteで頭皮に届けます。受けていただく時間も、当日の過ごし方も、どちらの治療でもほぼ同じです。
HARG+療法について詳しくは HARG+療法のページ へ
7. 内服・外用との組み合わせ
当院の注入治療は、単独で完結する治療ではありません。HARG+療法もPDRN療法も同じです。
土台は内服・外用です
脱毛を進めるDHTのはたらきを抑える役目は、内服薬と外用剤が担います。注入治療は毛包にはたらきかけて育てる治療で、DHTそのものは止めません。内服・外用をやめると、時間をかけて元へ戻っていきます。
そのため当院では、内服・外用で守りを固めながら、注入治療を重ねていく形をご提案することが多くなります。詳しくは薄毛治療のページにまとめています。
HARG+療法と、どちらから始めるか
診察でいちばん迷われるところです。当院では、次の3点を見ています。
頭皮の状態
頭皮に炎症がくすぶっていると、育てる方向の治療を足しても乗りにくいことがあります。フケや皮脂、軽い赤みなど、頭皮の環境が気になる方には、まずM2Pエクソソームから始めることをご提案しています。
積み重ねの長さ
HARG+療法は、日本医療毛髪再生研究会の認定施設として2009年から続けてきた治療です。毛髪に向けた成長因子を配合した専用製剤を使い、国内で長く行われてきました。積み重ねの長さを重く見たい方には、HARG+療法をご提案します。
続け方
注入治療は、1回で決まる治療ではありません。何度か重ねて、頭皮の写真を並べながら判断していきます。どのくらいの間隔で、どこまで続けるかは、診察のときに一緒に決めます。
迷ったままお越しいただいて構いません
どちらから始めるかは、いま何を手当てしたいかで決まります。特別なご希望がない限り、頭皮の状態を診断したうえで適した治療を医師が選択しますので、治療名が分からなくてもご心配はいりません。
なお、フケやかゆみそのものが主なお悩みでしたら、まず頭皮のフケ・かゆみのページをご覧ください。保険適用となる疾患が隠れていることもあります。
PDRN療法との違い
PDRN療法も、頭皮の環境から整えていく治療です。PDRNは、自己の成長因子を活性化させて組織の再生を促す成分です。2〜3週間ごとのペースで重ねていく治療で、頭皮の血流から整えたい方にご提案しています。
8. 料金
育毛エクソソーム療法は1回1バイアル、77,000円(税込)です。前回の治療から2か月以内に続けてお受けいただく場合は66,000円になります。別途、ミラジェットのカートリッジ(33,000円)が必要です。
| 項目 | 料金(税込) | 備考 |
|---|---|---|
| 育毛エクソソーム療法(1バイアル) | 77,000円 | 前回から2か月以内は66,000円 |
| ミラジェット カートリッジ | 33,000円 | 多くの場合3回以上使用・消費期限1年 |
前もってご契約いただくものではありません。通っていただいた実績に応じて適用しますので、お休みになっても、次にお越しになったときに不利になることはありません。
当院の治療はすべて自由診療(保険適用外)で、保険診療は行っておりません。内服・外用を含めた薄毛治療全体の料金は、薄毛治療のページにまとめています。
ご予約・お問い合わせ
よくある質問(FAQ)
診察の中で実際にいただくご質問をまとめました。ここに載っていないことも、どうぞ遠慮なくお尋ねください。
効果と期間
エクソソームで髪は増えるのですか?
効果はいつ頃から分かりますか?
3〜6か月とお答えしています。それより早く感じる方もいますし、9か月かかることもあります。
毎日ご覧になっている分、ご自身の目ではかえって分かりにくいものです。当院では同じ条件で頭皮の写真を残しますので、迷われたときは並べて見ていただきます。
治療の選び方
HARG+療法と育毛エクソソーム療法、どちらを受ければよいですか?
頭皮の状態とご希望によります。ASCE+HRLVは毛髪に向けた成長因子やビタミンを積んだ製剤、M2Pエクソソームは炎症と修復に絞った製剤で、狙いどころが違います。
どちらもミラジェット Forteで届けますから、受け方そのものは変わりません。診察でご提案します。
点滴のエクソソームと、頭皮に注入するものは同じですか?
製剤は同じM2Pエクソソームです。届け方が違います。点滴は血管から全身へ、育毛エクソソーム療法は頭皮の表面から毛包の周りへ届けます。
髪のことを主な目的にされる場合は、頭皮への注入をご案内しています。全身の状態から整えたいというご希望であれば、エクソソーム点滴と組み合わせることもできます。
内服薬はやめてよいですか?
やめないでください。ここはよく誤解されるところです。注入治療は毛包を育てる治療で、抜けていく力そのものは弱められません。
内服が体に合わない方、副作用が心配な方には、注入治療を中心にした進め方もご提案しています。診察のときにご相談ください。
受け方と安全性
痛みはありますか?麻酔は使いますか?
パチパチとはじかれる感じはありますが、注射針が刺さる痛みとは種類が違います。麻酔をご希望になる方は、ほとんどいらっしゃいません。
頭皮全体に機器を当てていきますので、音が続くのが気になるとおっしゃる方はいます。終わった後は、そのままお出かけいただけます。
受けられない場合はありますか?
18歳未満の方、妊娠中・授乳中の方は受けていただけません。悪性腫瘍の治療中の方、および寛解後5年に満たない方は、主治医の許可がある場合を除いて対象外です。詳しい条件は5章に書いています。
ヒト由来の製剤ですので、治療の後は献血ができなくなります。持病やお薬があれば、ご予約のときにお知らせください。
保険は使えますか?
当院では保険診療を行っておりません。AGA(男性型脱毛症)やFPHL(女性型脱毛症)の治療は国内では公的医療保険の対象外とされており、どの医療機関でも自費診療になります。
なお、円形脱毛症のように保険診療の対象となる脱毛症もあります。保険での治療をご希望の場合は、保険診療に対応している医療機関の受診をお勧めしています。
参考文献
このページの説明は、私の経験だけでなく、国内外の研究をもとにしています。根拠にした文献を下にまとめました。タイトルをタップすると、どんな研究なのか、このページのどこを支えているのかをご覧いただけます。
1エクソソームと毛髪再生:脱毛症の種類と由来を横断した臨床エビデンスの系統的レビュー
要約:
2025年5月までに発表された、エクソソームを用いた脱毛症治療の臨床研究を集めた系統的レビューです。無作為化比較試験2件・後ろ向き研究3件・前向き単群研究3件・症例集積1件・症例報告2件の、計11件が組み入れられました。
改善が見られなかった研究はありませんでした。増加の幅は、毛髪密度で1平方センチあたり9.5〜35本、太さで最大13.01マイクロメートルでした。満足度は総じて高く、重篤な有害事象は認められませんでした。一方で、研究デザインの異質性・少数例・追跡期間のばらつきが限界として挙げられ、標準化された質の高い無作為化比較試験が必要だと結論しています。
3章の中心的な拠りどころです。
2脂肪由来幹細胞エクソソームによる毛髪再生(前臨床・臨床の複合研究)
要約:
脂肪由来幹細胞のエクソソームについて、細胞・組織を用いた前臨床実験と、脱毛症の方30名を24週間追跡した臨床研究を組み合わせた報告です。
前臨床では、毛乳頭細胞の増殖と、ALP・VCAN・β-カテニン・LEF-1といった毛髪成長に関わる遺伝子の発現上昇、Wnt/β-カテニン経路の活性化が確認されました。臨床では総毛髪密度の有意な増加、全体写真評価の改善、満足度の向上が報告され、重篤な有害反応は認められませんでした。
1章の機序と、3章の臨床データで引いています。著者にエクソソーム製剤の開発企業(ExoCoBio Inc.)の研究者を含みます。
3男性型脱毛症に対するエクソソーム治療の有効性:前向き研究
要約:
22歳から65歳の男性30名(ハミルトン・ノーウッド分類III〜VI)を対象に、間葉系幹細胞由来のエクソソームを頭皮に注入し、デジタル画像解析で毛髪密度を測定した前向き研究です。
治療の4週後と12週後に、毛髪密度の統計学的に有意な増加が認められました(p<0.05)。満足度も12週の時点で4週より有意に高く、副作用や合併症は観察されませんでした。
3章で、開発企業の関与がない前向き研究として引いています。
4植物由来エクソソーム配合製剤による男性型脱毛症の予備的無作為化比較試験
要約:
ノーウッド分類2〜3の男性20名を、生理食塩水のプラセボ群と製剤群に無作為に割り付け、2週おきに4回投与した予備的な無作為化比較試験です。
プラセボ群では16週の時点で毛数に有意な変化がなかったのに対し、製剤群では有意な増加が認められました(群間比較 p=0.006、効果量 Cliff’s Delta 0.73)。顕著な有害事象はありませんでした。
3章で、プラセボ対照の試験として引いています。20名の予備的試験であり、用いられたのは植物由来のエクソソーム様粒子で、当院が使用しているヒト細胞由来の製剤とは別のものです。
5毛髪の成長と再生におけるエクソソーム
要約:
横浜国立大学のグループによる総説です。エクソソームを直径30〜200ナノメートルの脂質二重膜小胞と定義し、細胞間の情報伝達を担う役割を整理しています。
毛の成長と周期が、毛包幹細胞と毛乳頭細胞のやりとりによって決まることを出発点に、由来細胞ごとにエクソソームを分類し、内包されるマイクロRNAが治療の実体であるという見方を示しています。
1章の説明の拠りどころです。
6毛髪再生におけるIGF-1:機序と治療応用の可能性
要約:
IGF-1が毛髪の再生に果たす役割をまとめた総説です。IGF-1は毛乳頭細胞から分泌され、PI3K/AktおよびMAPK/ERK経路を介して毛包の増殖と血管新生を促し、成長期への移行を助けます。アポトーシスを抑えて成長期を延長し、VEGFの発現を高めて毛包への微小循環と栄養供給を支えることも述べられています。
男性型脱毛症ではIGF-1が低下していることが多いとされ、外用での有効性・安全性が示される一方、リポソームゲルやエクソソームを運び手とする送達方法の改善と、長期的な影響の評価が今後の課題として挙げられています。
2章の拠りどころです。著者にバイオ企業(Schweitzer Biotech Company)の研究者を含みます。
7毛髪学におけるエクソソーム:文献レビュー
要約:
男性型脱毛症・円形脱毛症・化学療法後の脱毛に対するエクソソーム治療について、前臨床と臨床の報告を整理したレビューです。オックスフォードのエビデンス階層に沿って分類しています。
前臨床の生物学的裏づけは強固である一方、臨床データは予備的で不均一だと評価しています。日常診療に定着するためには、十分な規模の多施設無作為化比較試験に加えて、GMPに準拠した製造とバッチごとの品質管理という、製造・規制の枠組みの整備が必要だと述べています。
4章で、製剤を明示している理由の拠りどころとして引いています。
8毛乳頭細胞由来のエクソソームは、培養したヒト毛包の毛髪成長を促す
要約:
毛乳頭細胞から取り出したエクソソームを、毛乳頭細胞と外毛根鞘細胞に加えた実験です。どちらの細胞も増殖が進み、毛乳頭細胞ではIGF-1・KGF・HGFといった成長因子の発現が増えました。培養したヒト毛包では毛幹の伸長が増え、マウスでは休止期から成長期への移行が起き、成長期が長く保たれました。
エクソソームが成長因子を積んで運ぶのではなく、受け取った細胞の側に成長因子を作らせるという道筋を示した研究です。
2章で、細胞にはたらきかけるという考え方の拠りどころとして引いています。
9美容医療におけるエクソソーム治療:ヒト臨床試験の系統的レビューとメタ解析
要約:
ヒトを対象とした臨床試験39件を集め、統合して解析したものです。うち26件が皮膚、13件が毛髪を扱っています。毛髪密度は平均23.6%の増加(95%信頼区間 18.1〜29.0)、毛髪の太さは平均18.0%の増加(同 11.1〜24.9)でした。
無作為化比較試験についてはコクランのROB2でバイアスを評価しています。研究間のばらつきと手順が標準化されていないことが一般化の限界だと述べ、エビデンスレベルは3と位置づけられています。
3章で、報告された変化の幅を示すために引いています。
10男性型脱毛症に対するエクソソーム治療:前臨床・臨床・安全性の系統的レビュー
要約:
男性型脱毛症(AGA)に絞って、2019年から2025年までの39件を整理した系統的レビューです。作用の仕組みとして、Wnt/β-カテニン経路とSonic Hedgehog経路の活性化、TGF-β/SMAD3の抑制、抗炎症性サイトカイン、マイクロRNAによる毛乳頭細胞の若返りを挙げています。臨床では毛髪密度8〜20%の改善が報告されています。
一方で、症例数の少なさ、後ろ向きの研究デザイン、対照群を置かない研究、評価指標が揃っていないことを、この領域の限界として明記しています。製造の標準化と規制の枠組みも課題に挙げられています。
3章で、この領域がまだ積み上がる途中であることの拠りどころとして引いています。
※掲載した文献は、いずれも治療の一般的な考え方を示すものであり、お一人おひとりの結果を保証するものではありません。効果やリスクの現れ方には個人差があります。
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監修者情報(医師紹介)

監修医師:佐藤 雅樹 (さとう まさき)
ソララクリニック 院長
専門分野:美容皮膚科
2000年 順天堂大学医学部卒。順天堂大学医学部形成外科入局。 大学医学部付属病院等を経て、都内美容皮膚科クリニックにてレーザー治療の研鑽を積む。2011年3月 ソララクリニック開院 院長就任。2022年 医療法人 松柴会 理事長就任。日本美容皮膚科学会 日本形成外科学会 日本抗加齢医学会 日本レーザー医学会 点滴療法研究会 日本医療毛髪再生研究会他所属。
様々な医療レーザー機器に精通し、2011年ルビーフラクショナル搭載機器を日本初導入。各種エネルギーベースの医療機器を併用する複合治療に積極的に取り組む.
※当院の治療はすべて自由診療(保険適用外)です。標準的な費用は各ページの料金表または料金表ページをご覧ください。治療に伴うリスク・副作用は診察時にもご説明します。
最終更新日
育毛エクソソーム療法で用いるM2Pエクソソーム、および注入に用いるミラジェット Forte は、医薬品医療機器等法(薬機法)に基づく国内の承認を受けていません。薄毛治療の全体像・料金・リスク・副作用・禁忌、および未承認の医薬品・医療機器に関する情報(入手経路・国内の承認医薬品の有無・諸外国における安全性情報など)は薄毛治療(AGA)のページにまとめています。当院の治療はすべて自由診療(保険適用外)で、保険診療は行っておりません。