プラセンタ注射と献血Placenta Injections and Blood Donation

最後の注射から3か月たてば、献血できるようになりました

2026年10月1日に、日本赤十字社の献血の基準が変わりました。

これまでは、プラセンタ注射を一度でも受けると、期間を定めずに献血できない決まりになっていました。新しい基準では、最後の注射から3か月過ぎれば献血できます。

このページでお伝えすること

  • 献血できないのは、最後の注射から3か月間だけになりました(対象はラエンネックとメルスモン)
  • 3か月という期間は、特定生物由来製品に対する「投与後3か月延期」の決まりにならったものです
  • 献血会場では、最後に注射を受けた日を伝えてください。ほかの基準もあるので、最終的には健診医が判断します
  • 最後の注射日は、注射を受けた医療機関で確かめられます(記録を20年以上残す決まりがあります)

3か月の数え方を読む

最後の注射日の確かめ方を読む

プラセンタ注射を受けた後、献血はいつからできますか?

2026年10月1日からの日本赤十字社の基準では、最後に注射を受けた日から3か月たてば献血できます(参考文献1)。ただし、ほかにも条件があるので、実際に献血できるかどうかは、当日の問診で健診医が判断します。

2026年10月1日から変わったこと

この日には、英国を含む欧州などの滞在歴による献血制限もなくなりました(参考文献1)。プラセンタ注射の制限と同じく、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)への対策として続いてきたものです。

9月30日まで 10月1日から
プラセンタ注射 期間を定めずに献血できない 最後の注射から3か月間だけ献血できない
欧州などの滞在歴 滞在した国と期間によっては、献血できない vCJD対策の滞在歴による制限はなくなった

ほかの感染症対策や健康状態にもとづく基準は、これまでどおりです(参考文献1)。海外から帰国して4週間以内は献血できない、という制限も変わっていません。

対象になる注射

国内で承認されているプラセンタ注射は、ラエンネック(日本生物製剤)とメルスモン(メルスモン製薬)の2種類で、どちらも対象です(参考文献1・2)。当院で使っているのはラエンネックです。

皮下や筋肉への注射だけでなく、点滴に混ぜて受けた場合も同じです。

デメリットとして挙げられてきた献血制限

プラセンタ注射について調べると、デメリットとして「一度受けると、その後は献血できない」と書かれていることがよくありました。2006年から20年近く続いたこの制限は2026年9月で終わり、献血を控えるのは、注射の後の3か月だけになりました。

献血を続けてきた方にとっては、大きな変化だと思います。

なぜ「3か月」なのですか?

プラセンタ注射が、法律上の「特定生物由来製品」にあたるためです。

日本赤十字社は、特定生物由来製品を使った方の献血を「投与後3か月延期」として扱っています。プラセンタ注射も、これにならうことになりました(参考文献2・3)。

vCJDへの対策として続いてきた無期限の制限は、今回撤廃されました(参考文献2・3)。

残ったのが、特定生物由来製品としての3か月です。

特定生物由来製品とは

ヒトやほかの生物に由来する原料で作られた医薬品などのうち、国が指定したものです(参考文献7)。販売された後も、健康被害が出たり広がったりしないよう対策をとる必要がある、というのが指定の理由です。

ラエンネックの添付文書を見ると、規制区分に「特定生物由来製品」とあります(参考文献6)。ヒトの胎盤が原料なので、感染症がうつるリスクをゼロとは言い切れないからです。

原料は、提供者一人ひとりの問診と感染症の検査を経た、国内の正常な出産による胎盤です(参考文献6)。製造の途中でも、ウイルスへの対策として121℃・20分の高圧蒸気滅菌が行われています。

見直しのもとになった研究

2026年1月の厚生労働省の審議会で、厚生労働科学研究班が、献血によるvCJDの感染リスクを日本独自の数理モデルで推計した結果を示しました(参考文献4)。推計の対象は、vCJDのリスクが高かった1980〜1996年に、英国に1か月以上滞在した日本人の献血です。

リスクをいちばん大きく見積もっても、英国滞在歴による制限をなくしたからといって、国内のvCJDの患者が増えることはない、という結論が出ています(参考文献1・4)。

研究班が推計したのは英国滞在歴によるリスクで、プラセンタ注射そのもののリスクではありません。ただ、プラセンタ注射の制限は、欧州などの滞在歴による制限と同じ考え方で設けられていました(参考文献4)。そのため、今回あわせて撤廃されました。

これまで献血が制限されてきた理由

vCJDが輸血でうつる可能性に備えるためです(参考文献1)。2005年に国内で初めてvCJDの患者が確認されると、対策はさらに厳しくなりました(参考文献2・4)。

2006年8月の国の審議会では、プラセンタ注射も取り上げられました(参考文献4)。感染の報告はないものの、胎盤というヒトの臓器から作られる以上、輸血や臓器移植と同じく理論上のリスクは否定できないとして、問診で確かめる項目に加えることになりました。

こうして2006年10月から、プラセンタ注射を受けたことのある方は、献血ができなくなりました(参考文献2)。

いまのラエンネックの添付文書にも、国内外でこの製剤によってvCJDなどがうつったという報告はない、と書かれています(参考文献6)。それでも、ヒトの胎盤を原料にしている以上、理論上のリスクを完全には排除できないとして、注射の際には十分に説明するよう求めています。

vCJDとは

BSE(牛海綿状脳症)に由来する異常なプリオンが人にうつって起きると考えられている、脳の病気です。うつる経路は、BSEにかかった牛に由来する食品を食べることのほか、潜伏期間にある感染者の血液の輸血などとされています(参考文献1・2)。

抑うつや不安などの症状から始まり、神経の症状が進んでいく難病です。

英国で報告された、輸血による例

2004年、英国で、のちにvCJDを発症した15人の献血者から輸血を受けた48人を追跡した結果が報告されました(参考文献8)。そのうち1人が、輸血の6.5年後にvCJDを発症していました。輸血でうつった可能性を示した報告です。

同じ年には、輸血の5年後に別の病気で亡くなった方の脾臓から、発症前の段階の異常なプリオンが見つかっています(参考文献9)。

その後の英国の追跡調査では、のちにvCJDを発症した献血者から輸血を受けた67人のうち、3人が発症し、1人に発症前の感染が確認されています(参考文献10)。先の2例も、この中に含まれます。

日本での経過

国内で初めての患者(2005年)は、英国に24日間ほど、フランスに3日間ほど滞在したことのある方でした(参考文献1・4・11)。それ以降、国内で新たな患者は報告されていません(参考文献1)。

厚生労働省の資料(参考文献2・4)によると、英国でも、輸血によるvCJDの感染は2006年を最後に確認されていません。

今回の見直しは、こうした国内外の状況もふまえたものです(参考文献2)。

制限が始まってから見直されるまでの流れを、日本赤十字社の発表(参考文献1)をもとに表にしました。

時期 主な動き
1999年 1980〜1996年に英国に6か月以上滞在した方の献血制限が始まる
2005年 国内で初めてvCJDの患者が確認され、英国滞在歴の基準を「1日以上」に厳しくする
2006年 プラセンタ注射を受けたことのある方は、期間を定めずに献血できなくなる
2010年 英国滞在歴の基準を「1か月以上」にゆるめる
2022年以降 米国やオーストラリアなどで、欧州滞在歴による献血制限の撤廃が進む
2026年1月 厚生労働省の審議会で、制限を撤廃する方針が示される
2026年10月 新しい基準の運用が始まる

3か月の数え方と、献血会場で伝えること

3か月は、最後にプラセンタ注射を受けた日から数えます(参考文献1)。たとえば最後の注射が4月10日なら、献血できるようになるのは7月10日ごろです。

発表には日数の細かな数え方までは書かれていないため、3か月ちょうどの前後に献血を考えているときは、献血会場で最後の注射日を伝えて確かめてください。

献血の予定を立てるときは、数日の余裕をみておくと安心だと思います。

プラセンタ注射を続けている間は、注射の間隔が3か月より短いかぎり、献血はできません。献血したい日が決まっているなら、その日から3か月さかのぼった日までに、最後の注射を済ませておいてください。

献血会場での問診

日本赤十字社が献血する方に配っている2026年10月版の案内(参考文献5)にも、「3ヵ月以内にヒト由来プラセンタ注射薬を使用した方」は職員に申し出るように、と書かれています。

システムの改修が終わるまでは、献血の際の質問が以前の聞き方のまま残っていることがあり、その間は健診医が問診で確かめます(参考文献3)。プラセンタ注射を使ったことがあるか聞かれたら、「はい」と答えて、最後に注射を受けた日をお伝えください。

最後の注射日は、どう確かめればよいですか?

まずは、予約の履歴や領収書、手帳やカレンダーの記録を見てください。いくつかの医療機関で受けたときは、いちばん新しい注射の日から数えます。

プラセンタ注射は特定生物由来製品なので、医療機関には、注射の日や製造番号、受けた方の氏名などを記録し、少なくとも20年間保存する決まりがあります(参考文献6)。ご自身の記録で分からないときは、注射を受けた医療機関に問い合わせるのがいちばん確実だと思います。

当院でも、注射のたびに、注射の日と製造番号を記録しています。最後に注射を受けた日が分からないときは、お電話か受付でお尋ねください。ご本人であることを確かめたうえで、お答えします。

当院でプラセンタ注射を受ける方へ

当院で初めてラエンネックを受ける方には、最後の注射から3か月間は献血ができないことも、注射の前にご説明しています。

これまで、献血を続けたくてプラセンタ注射を見送ってきた方もいらっしゃると思います。これからは、献血の前の3か月は注射を休むようにすれば、どちらも続けられます。献血の予定がある方は、注射の計画をご相談ください。

注射の内容や料金、副作用については、プラセンタ注射のページにまとめています。

よくある質問

献血の基準について

一度でもプラセンタ注射を受けたら、一生献血できないのですか?

いいえ。その決まりは、2026年9月で終わりました。

何年も前に数回受けただけという方も、最後の注射から3か月以上たっていて、ほかの基準を満たしていれば、献血できます。

プラセンタのサプリメントやドリンク、化粧品を使っていても、献血できますか?

制限の対象として挙げられているのは、プラセンタの注射剤です(参考文献1・2)。飲むタイプのサプリメントやドリンク、化粧品は、2006年からの制限にも、今回の基準にも出てきません。

ふだん飲んでいるものが気になるときは、献血の問診でお尋ねください。

海外で受けたプラセンタ注射や、ラエンネック・メルスモン以外の製剤の場合は?

今回の発表で対象になっているのは、国内で承認された2製剤です。それ以外の製剤を使った場合にどうなるかは、発表には書かれていません。

献血会場で、製剤の名前と最後に受けた時期を伝えて、健診医に判断してもらってください。

3か月たつ前に献血してしまったときは、どうすればよいですか?

献血をした血液センターに連絡して、プラセンタ注射を受けていたことと、最後に受けた日を伝えてください。

連絡先の電話番号は、献血の後に渡される「今一度、ご確認をお願いします!」という用紙にも書かれています。献血の後に心配なことが出てきたときはすぐに連絡するよう、日本赤十字社も案内しています(参考文献5)。

当院での注射について

献血をしたいので、プラセンタ注射をしばらく休むことはできますか?

できます。献血をしたい日から逆算して、3か月以上前の注射を最後にしていただきます。献血の後にいつ再開するかも含めて、ご相談ください。

エクソソームやHARG+の治療を受けた場合も、3か月たてば献血できますか?

いいえ。今回、3か月たてば献血できるようになったのは、国内で承認されたプラセンタ注射剤だけで、これらの治療は含まれていません。

当院のエクソソーム点滴やHARG+(ハーグプラス)療法は、ヒトの細胞に由来する別の製剤を使う治療です。それぞれのページでご案内しているとおり、治療の後は献血をお控えください。

参考文献

このページの説明は、日本赤十字社と厚生労働省の発表、製剤の添付文書、国内外の研究をもとにしています。タイトルをタップすると、どんな資料なのか、このページのどこを支えているのかをご覧いただけます。

2026年10月からの基準について

1日本赤十字社「英国を含む欧州などの滞在歴に基づく献血制限の撤廃およびヒト胎盤エキス(プラセンタ)注射剤使用歴に関する献血基準を変更します」

出典: 日本赤十字社 プレスリリース(2026年9月14日)

URL: https://www.jrc.or.jp/press/2026/0914_055752.html

要約:

2026年10月1日からの新しい献血基準についての発表です。国内承認のプラセンタ注射剤(ラエンネック・メルスモン)について、「使用歴がある方は、期間を定めず基本的に献血をご遠慮いただいています」としていた扱いを、「最終使用日から3か月間は献血をご遠慮いただき、3か月経過後は献血可能」に改めました。欧州などの滞在歴にもとづく献血制限は撤廃しています。

帰国(入国)日から4週間以内の献血制限など、ほかの基準は引き続き適用され、最終的な献血の可否は当日の問診と健診医の判断によるとしています。

これまでの制限は、BSEの流行と、輸血によるvCJDの伝播の可能性を踏まえた予防的措置だったと説明し、1999年からの主な経緯、国内初のvCJD症例(英国に24日間程度、フランスに3日間程度の滞在歴)、2005年の1例以降は国内で新たな患者が報告されていないことにも触れています。

本ページでは、基準の変更の内容、対象の製剤、ほかの基準の扱い、制限の理由と経緯、vCJDの説明の根拠として参照しています。

2厚生労働省「欧州等滞在歴及びヒト胎盤エキス(プラセンタ)注射剤使用歴に係る献血制限の見直しについてのQ&A(令和8年10月)」

出典: 厚生労働省(令和8年10月)

URL: https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_70274.html

要約:

献血制限の見直しについての厚生労働省のQ&Aです。プラセンタ注射剤の使用歴による献血制限は、「投与後3か月延期」とする日本赤十字社の特定生物由来製品に対する献血制限の取り扱いに準ずるとしています。

これまでの制限は、2006年10月10日から、使用歴のあるすべての方を対象に、期間を定めずに行われていたこと、国内ではメルスモン(メルスモン製薬)とラエンネック(日本生物製剤)の2製剤が製造販売されていることも記載しています。

制限は、国内初のvCJD症例を受けて対策を強めた際に、プラセンタ注射剤の使用歴が加えられて始まったと説明しています。見直しは、2026年1月14日の審議会で、厚生労働科学研究の感染リスクの評価結果、国内外のvCJDの発生状況、諸外国の献血制限の状況などを踏まえて決めたとしています。英国でも、輸血によるvCJDの感染は2006年を最後に確認されていないとしています。

本ページでは、3か月の根拠、対象の製剤、制限の始まりと理由、vCJDの説明の根拠として参照しています。

3厚生労働省 医薬局血液対策課長通知「変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)感染状況を踏まえた献血制限に係る関係通知の廃止の実施について」

出典: 令和8年9月15日 医薬血発0915第1号・第2号(別添:日本赤十字社 血液事業本部の報告 令和8年9月9日 血採第69号)

URL: https://www.mhlw.go.jp/content/001754827.pdf

要約:

日本赤十字社からの報告を受けて、見直しを2026年10月1日の献血受付分から実施することを、都道府県と日本赤十字社に通知した文書です。

日本赤十字社の報告には、プラセンタ注射剤の使用歴のある方の献血制限を解除し、「特定生物由来製品であることから、3カ月は献血をしない」とする内容が記されています。

あわせて、問診を管理するシステムから該当する質問項目を削除する作業は、改修の準備が整い次第行う予定で、当面は健診医による問診の確認で対応するとしています。

本ページでは、3か月という期間が特定生物由来製品であることから来ている点と、献血会場での問診の進め方の根拠として参照しています。

4薬事審議会 血液事業部会 安全技術調査会 資料「変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)に係る献血制限の見直しについて」ほか

出典: 厚生労働省 令和7年度第2回 安全技術調査会 資料1-1・参考資料1-3(vCJD献血制限見直し経緯)

URL: https://www.mhlw.go.jp/content/11127000/001631883.pdf(資料1-1)、https://www.mhlw.go.jp/content/11127000/001630407.pdf(参考資料1-3)

要約:

見直しを審議した会議の資料です。日本のvCJDに係る献血制限は英国の長期滞在者から始まり、2005年2月の国内初のvCJD症例を受けて、英国滞在期間の短縮やプラセンタ注射剤の使用歴の追加などで強化されたと説明しています。

経緯をまとめた参考資料によると、2006年8月23日の安全技術調査会は、プラセンタ注射剤によるvCJDの伝播について、感染事例の報告はないものの、輸血や臓器移植と同様にヒト由来の臓器から製造されており、理論的なリスクが否定できないとして、問診を強化することにしました。

厚生労働科学研究班(代表 大隈和 関西医科大学教授)は、米国FDAとオーストラリアTGAの手法を踏まえた日本独自の数理モデルで、1980〜1996年に英国に1か月以上滞在した日本人の献血を起点とするvCJDの感染リスクを推計しました。最大リスクを想定した条件を含む複数のシナリオで、英国滞在歴による制限を撤廃してもvCJDの患者が増えることはないと結論しています。

そのうえで、欧州などの滞在歴による制限を撤廃し、同様の考え方で設けられていたプラセンタ注射剤の使用歴による制限もあわせて撤廃する案を示しています。英国でも、輸血によるvCJDの感染は2006年を最後に確認されていないこと、2022年に米国とオーストラリアが欧州滞在歴による献血制限を撤廃したことにも触れています。

本ページでは、制限が始まった理由、見直しのもとになった研究の内容、プラセンタ注射の制限が撤廃された理由の根拠として参照しています。

5日本赤十字社「お願い!」(献血される方への案内)

出典: 日本赤十字社(2026年10月版)

URL: https://www.jrc.or.jp/donation/pdf/onegai_20261001.pdf

要約:

献血される方に向けた日本赤十字社の案内です。「次に該当する方は職員にお申し出ください」として、「3ヵ月以内にヒト由来プラセンタ注射薬を使用した方」を挙げています。

献血の後に「今一度、ご確認をお願いします!」という用紙を渡し、その記載に思い当たる内容があった場合は、必ず献血当日中に用紙の電話番号へ電話するよう求めています。献血の後に心配なことがあるときは、すぐに血液センターへ連絡するよう案内しています。

本ページでは、献血会場で伝えることと、献血の後で気づいたときの連絡の根拠として参照しています。

製剤と法律の区分について

6ラエンネック 添付文書

出典: 日本生物製剤(2026年1月改訂 第2版)。医薬品医療機器総合機構の医療用医薬品情報

URL: https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/530274_3259601A1024_1_14

要約:

当院で使用しているプラセンタ注射剤の添付文書です。規制区分に特定生物由来製品と記載されています。効能・効果は「慢性肝疾患における肝機能の改善」、用法・用量は通常、1日1回2mLを皮下または筋肉内に注射するとされています。

国内外で、この製剤の投与によりvCJDなどが伝播したとの報告はないとしたうえで、理論的なvCJDなどの伝播のリスクを完全には排除できないため、投与の際には患者への説明を十分に行うよう求めています。原料は、提供者一人ひとりの問診と感染症の検査を経た国内の満期正常分娩の胎盤で、製造工程で行う121℃・20分の高圧蒸気滅菌は、各種ウイルスへの不活化効果が確認されているとしています。

特定生物由来製品として、使用した場合は製品名、製造番号、使用年月日、使用した患者の氏名と住所などを記録し、少なくとも20年間保存するよう定めています。副作用として、ショック(頻度不明)、注射部位の痛み・しこり、発疹・発熱・かゆみなどの過敏症、肝機能障害、女性型乳房、頭痛が挙げられています。

本ページでは、特定生物由来製品であること、vCJDの伝播の報告、原料と製造工程、使用の記録の保存、副作用の根拠として参照しています。

7医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律 第2条

出典: e-Gov法令検索

URL: https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000145

要約:

医薬品などの規制の基本となる法律です。第2条で、人その他の生物(植物を除く)に由来するものを原料や材料として作られる医薬品などのうち、保健衛生上特別の注意を要するものとして国が指定したものを「生物由来製品」としています。

そのうち、販売などの後も、その製品による保健衛生上の危害の発生や拡大を防ぐための措置が必要なものとして指定したものを「特定生物由来製品」と定めています。

本ページでは、特定生物由来製品とは何かの説明の根拠として参照しています。

vCJDと輸血について

8輸血による変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の伝播の可能性

原題: Possible transmission of variant Creutzfeldt-Jakob disease by blood transfusion

著者: Llewelyn CA, Hewitt PE, Knight RSG, ほか

出典: Lancet. 363(9407):417-421 (2004)

DOI: 10.1016/S0140-6736(04)15486-X

要約:

のちにvCJDを発症した15人の献血者から、血液成分の輸血を受けた48人を英国で追跡した研究です。そのうち1人が、献血者の発症の3.5年前に採られた赤血球の輸血を受け、その6.5年後にvCJDを発症していました。

著者らは、輸血でうつった可能性があるとみています。過去に食事からBSEにさらされた可能性も残るとしつつ、患者の年齢がvCJDの多くの例より高いこと、輸血でうつったのでなければこうした例が見られる確率は1万5千〜3万分の1程度であることを挙げています。

本ページでは、輸血でvCJDがうつる可能性が示された経緯の根拠として参照しています。

9PRNPコドン129がヘテロ接合の方に見つかった、輸血後の発症前のvCJD

原題: Preclinical vCJD after blood transfusion in a PRNP codon 129 heterozygous patient

著者: Peden AH, Head MW, Ritchie DL, Bell JE, Ironside JW

出典: Lancet. 364(9433):527-529 (2004)

DOI: 10.1016/S0140-6736(04)16811-6

要約:

のちにvCJDを発症した献血者から輸血を受け、その5年後に神経以外の病気で亡くなった方の報告です。脾臓と頸部のリンパ節に異常なプリオンたんぱくが見つかりましたが、脳には見つかりませんでした。

この方のプリオンたんぱくの遺伝子(PRNP)は、コドン129がヘテロ接合でした。vCJDにかかりうる体質が、メチオニンのホモ接合の型に限られないことを示唆する報告です。

本ページでは、輸血で発症前の段階の感染が確認された例の根拠として参照しています。

10クロイツフェルト・ヤコブ病と輸血:英国の輸血医学疫学調査の最新結果

原題: Creutzfeldt-Jakob disease and blood transfusion: updated results of the UK Transfusion Medicine Epidemiology Review Study

著者: Urwin PJM, Mackenzie JM, Llewelyn CA, Will RG, Hewitt PE

出典: Vox Sang. 110(4):310-316 (2016)

DOI: 10.1111/vox.12371

要約:

英国で続けられている、CJDと輸血の関係についての調査の、2015年5月31日までの結果です。177人のvCJDの患者のうち、献血歴をたどれた24人の中で18人の血液が輸血に使われていました。その血液を受けた67人のうち3人がvCJDを発症し、1人は亡くなった後の検査で脾臓に異常なプリオンたんぱくが確認されています(いずれも報告済みの例)。

2007年より後は、輸血による新たなvCJDの例は見つかっておらず、孤発性のCJDが輸血でうつったことを示す所見もなかったとしています。

本ページでは、英国で輸血を受けた方の中で確認された例の数の根拠として参照しています。

11周期性の脳波を示した、日本で初めての変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の症例

原題: The first Japanese case of variant Creutzfeldt-Jakob disease showing periodic electroencephalogram

著者: Yamada M, ほか

出典: Lancet. 367(9513):874 (2006)

DOI: 10.1016/S0140-6736(06)68344-X

要約:

日本で初めて確認されたvCJDの症例についての報告です(抄録のない短い報告のため、表題などから内容を確認しています)。

本ページでは、日本で初めてvCJDの患者が確認されたことの根拠として参照しています。

当ページでご紹介しているプラセンタ注射は、自由診療(保険適用外)です。料金は1アンプル(2mL)2,200円から6アンプル7,700円まで、点滴への追加は1アンプル1,100円です(いずれも税込)。

主なリスク・副作用は、注射した部分の痛みやしこり、発疹・発熱・かゆみなどの過敏症、肝機能の数値の悪化、頭痛、男性の胸のふくらみ(女性型乳房)です。重い副作用として、ショックが報告されています。ヒトの胎盤から作られた製剤のため、感染症がうつるリスクを完全には排除できません。また、最後の注射から3か月間は、献血ができません。

メルスモンは更年期障害と乳汁分泌不全、ラエンネックは慢性肝疾患における肝機能の改善で、保険診療の対象になる場合があります。当院では保険診療を行っておりませんので、保険での治療をご希望の場合は、保険診療に対応している医療機関の受診をお勧めしています。

適応外使用に関する注意事項

  • 適応外使用であること:当院で使用しているラエンネックは、「慢性肝疾患における肝機能の改善」を効能・効果として国内で承認された医薬品です。美容や疲れ、更年期の症状などを目的とした当院での使用は、承認された効能・効果と異なる使い方(適応外使用)です。点滴に混ぜて使う場合は、承認された用法(皮下または筋肉内への注射)とも異なります。
  • 入手経路:国内の医薬品卸売業者から購入した、国内で正規に流通している製剤を使用しています。
  • 国内の承認医薬品等の有無:美容や疲れを効能・効果とするプラセンタ製剤は、国内では承認されていません。更年期障害については、同じヒト胎盤エキスの注射剤であるメルスモンが承認されています。
  • 諸外国における安全性等に係る情報:美容や疲れなどを目的とした使用は、主要な欧米の国でも承認されておらず、重大なリスクが明らかになっていない可能性があります。
  • 救済制度について:適応外の使用による健康被害は、原則として、医薬品副作用被害救済制度・生物由来製品感染等被害救済制度の対象になりません。

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監修者情報(医師紹介)

監修医師 佐藤雅樹(仙台 ソララクリニック院長)

監修医師:佐藤(さとう) 雅樹(まさき)

ソララクリニック 院長

専門分野:美容皮膚科

2000年 順天堂大学医学部卒。順天堂大学医学部形成外科入局。 大学医学部付属病院等を経て、都内美容皮膚科クリニックにてレーザー治療の研鑽を積む。2011年3月 ソララクリニック開院 院長就任。2022年 医療法人 松柴会 理事長就任。日本美容皮膚科学会 日本形成外科学会 日本抗加齢医学会 日本レーザー医学会 点滴療法研究会 日本医療毛髪再生研究会他所属。 
様々な医療レーザー機器に精通し、2011年3月にルビーフラクショナル搭載機器を導入し、15年以上この治療を続けている。各種エネルギーベースの医療機器を併用する複合治療に積極的に取り組む。

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※当院の治療はすべて自由診療(保険適用外)です。標準的な費用は各ページの料金表または料金表ページをご覧ください。治療に伴うリスク・副作用は診察時にもご説明します。

最終更新日

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