NAD+点滴は、 なぜ時間が かかるのかWhy NAD+ Infusions Take Time
量と時間の目安、
NAD+点滴は、少ないほうの200mgでも1時間以上かかります。15〜60分ほどで終わるNMN点滴より長く、予定に組み込みにくいと感じる方もいらっしゃるかもしれません。
時間をかけて入れる理由を、研究で分かっていることと当院での経験からご説明します。点滴の間の過ごし方と、時間がとれない日の受け方も、あわせてご案内します。NAD+点滴で期待できることや料金は、NAD+点滴療法のページをご覧ください。
このページでお伝えすること
- 時間の目安は、200mgでおよそ1〜2時間、400mgで3〜4時間です。初めての方は、この範囲の中でも長めになります
- 時間をかけるのは、速く入れると胸やおなかの症状が出やすくなるからで、液に粘り気があるからではありません。体がNAD+を取り込んだり分解したりできる量には限りがある、というのが研究者の見方です
- 症状が出たときは、速さを落として休んでいただきます。当院では、1分から5分ほどで落ち着いています。我慢せずに、呼び出しボタンでお知らせください
この記事の目次
NAD+点滴は、 どのくらい 時間がかかるのか
NAD+点滴の時間は、200mgでおよそ1〜2時間、400mgで3〜4時間が目安です。かかる時間は、主に入れる量で決まります。どちらの量にするかは、診察でご相談のうえで決めます。
当院では、点滴の速さを初めから遅めにして、途中で上げていくことはしていません。初めての方には、さらに少しゆっくり入れています。
ご予定は、長いほうの時間に、受付や準備の15分ほどを足して見ておいていただくと安心です。初めての方は、診察の時間も加わります。
なぜ、 ゆっくり 入れるのか
NAD+点滴をゆっくり入れるのは、速く入れると、点滴中に症状が出やすくなるためです。胸の圧迫感や息苦しさ、吐き気、おなかの痛み、動悸、頭痛などが出ることがあります。
NAD+点滴は、現場の経験から、ゆっくり長く入れる方法が勧められてきました(参考文献2)。2026年に出た総説(これまでの研究をまとめた論文。参考文献3)でも、速く入れると症状が出ることがあるという経験的な報告や、ゆっくり入れる施術者が多いことが紹介されています。
当院で初めから遅めの速さにしているのも、ある程度の反応は出るものと考えているからです。それでも途中で速さを落とすことになる方が、1〜2割ほどいらっしゃいます。
研究でみられたこと
速さを変えて症状を比べた研究は、まだ報告されていません(参考文献2・3)。手がかりになるのは、入れ方の違う2件の研究です。
健康な男性8人に、750mgを6時間かけて1回入れた試験(参考文献1)では、点滴中の様子を観察した範囲で、有害事象(体に起きた好ましくない変化)はみられませんでした。点滴のあとに調べた肝機能にも、問題になる変化は出ていません。
500mgを4日続けて入れた記録(参考文献2)では、点滴の速さは、受ける方が、耐えられる範囲で自分で決めていました。6人全員が点滴中に中等度から強い症状を訴えました。点滴を終えると、症状はすぐに治まりました。症状のために速さを落としたので、かかった時間は平均97分になりました。
人数も量も入れ方も、記録のしかたも違うので、この2件をそのまま比べることはできませんが、ゆっくり入れる方法が勧められてきた理由を考える材料にはなります。
体の中で 起きていること
点滴中の症状のしくみとして挙げられているのは、NAD+が分解される途中でできるアデノシンと、細胞の外で増えたNAD+そのものの働きです。
体が受け止められる 量には、 限りがある
NAD+は、ふだんはほとんどが細胞の中にあります。血液でいえば、血漿(液体の部分)に含まれるNAD+は、単核球(白血球の一種)の細胞の中と比べて、500分の1ほどの濃さしかありません(参考文献2)。NAD+はそのままでは細胞の膜を通り抜けられないため、細胞の表面で分解されてから入るか、細胞の取り込み口から入るとされています(参考文献1)。
6時間かけた試験(参考文献1)の数字をもとにすると、体が取り込みも分解もしなければ、血液中のNAD+には30分ごとに、点滴前の量の300倍ほどが上乗せされていく計算になります。ところが実際には、点滴を始めて2時間たつまで、血液中のNAD+もその分解物も、はっきりとは増えませんでした。
当院では、初めの2時間は、入ったNAD+が速やかに細胞に取り込まれたり分解されたりするため、血液中の濃さはほとんど上がらず、その働きが手いっぱいになってくることで、6時間の点滴の終わりには点滴前の4〜5倍ほどに上がったと考えています。この試験の研究者たちも、2時間を過ぎてから取り込みや分解が手いっぱいになったとみています(参考文献1)。決まった速さで入れた場合だけを調べたものですが、速く入れれば、それだけ早く、その限りに達するはずです。
分解の途中で、 アデノシンができる 道筋がある
細胞の外のNAD+は、細胞の表面にある酵素(CD38など)で分解されます(参考文献3・4)。その途中でAMPという物質ができ、AMPはさらにアデノシンに変わることがあります。
アデノシンは、体のあちこちにある受容体(物質を受け取るセンサー)に働く物質です(参考文献3)。点滴で入れた研究(参考文献7)では、胸の痛みや息苦しさ、頭痛、顔のほてりがよくみられ、脈も速くなりました。胸の痛みは、心臓の痛みを伝える神経にアデノシンが働いて起きると考えられています。健康な人でも、心電図に血の巡りの悪さを示す変化が出ないまま、胸の痛みが出ます(参考文献5・8)。
脈が速くなり、呼吸の量が増えることは、健康な人を対象にした研究(参考文献9)でもみられています。この変化は、下の血圧が少し下がったことへの体の反応だけでは説明しきれず、アデノシンが感覚の神経を刺激して、体を活動的にする交感神経の働きを高めているため、と著者らは考えています。
2026年の総説(参考文献3)は、NAD+の分解でできるアデノシンが、点滴中の症状の一部にかかわっているかもしれないとしています。アデノシンで出る症状の多くは、NAD+点滴の途中で出る症状と重なります。
また、アデノシンの点滴は、止めると症状がすぐに引きます。アデノシンそのものが、血液の中で10秒もたたずに半分に減るためです(参考文献6・7)。当院で、速さを落とすと数分のうちに落ち着くことが多いのも、アデノシンがかかわるという見方と食い違いません。
NMN点滴が 短い時間で 終わる理由
NMNは、体の中でNAD+を作るための材料です。NAD+は、このNMNにAMPがつながった形をしていて、細胞の外で分かれると、AMPの側からアデノシンができます(参考文献1・3)。NMNや、同じく材料になるNR(ニコチンアミドリボシド)には、このAMPの部分がありません。
先ほどの500mgの記録(参考文献2)では、同じ量のNRの点滴も行われていて、NRは平均37分、NAD+は平均97分で終わりました。NRで出た症状は、しびれ感などの軽いものが中心です。比べられているのはNRで、NMNの点滴ではありません。それでも当院では、NMN点滴が15〜60分ほどで終わるのにNAD+点滴に時間がかかるのは、このAMPの部分の違いもかかわっているからだと考えています。
時間はかかっても、NAD+点滴のほうがNMN点滴より高い効果を期待できると思います。迷われたときは、診察でご相談ください。
NAD+そのものも、 体への合図になる
細胞の実験(参考文献10)では、顆粒球(白血球の一種)が細胞の外のNAD+をP2Y11という受容体で受け取り、呼ばれた場所へ向かうなど、働きが活発になりました。腸では、NAD+が神経から出て、筋肉の動きを抑える合図になっていることが、マウスなどで確かめられています(参考文献11)。
500mgの点滴の記録をまとめた研究者たちは、細胞の外のNAD+が本来の濃さを大きく超えると、炎症を起こしやすい方向に働き、それが症状にかかわるとみています(参考文献2)。
NAD+を点滴したときに、人の体でアデノシンがどのくらいできているのか、点滴中の症状のどれが、どのしくみで起きているのかは、まだ確かめられていません(参考文献3)。
点滴の間の 過ごし方
リクライニングチェアで、楽な姿勢のまま休んでいてください。点滴の間は、飴とお水をお出ししています。スマホを見たり、本を読んだりして過ごせます。時間はかかりますが、そのぶん、ゆっくり体を休めるひとときにもなると思います。
速さは、 スタッフに お任せください
時間がかかるので、ご自身で点滴の速さを上げてしまう方も、中にはいらっしゃいます。速くすると症状が出やすくなるため、ご自身では速さを変えないでください。
時間があまりとれない日は、量や受け方を前もってご相談ください。
具合が変わったら、 我慢せずにお知らせください
初めての方には、点滴中に症状が出てきたら、慌てず我慢せずに、すぐ呼び出しボタンで担当のスタッフを呼んでいただくようお伝えしています。少しでも気になった段階で教えていただければ、速さを調整して対応できます。
症状が出たときは、速さを落とし、楽な姿勢で休んでいただきます。お水もお出しします。当院では、早ければ1分ほど、長くても5分ほどで落ち着いています。速さを落としても治まりにくいときは、点滴をいったん止めて、医師が診察します。
時間がとれない日の 受け方
皮下注射の「NAD+ショット」があります。点滴の時間がとれない方や、まずは試してみたい方が選んでいます。注射そのものは数分で終わり、受付からお帰りまでは15〜20分ほど見ておいてください。
注射のときには、チクッとした痛みと、しみるような感じを覚えることがありますが、すぐに落ち着きます。
量(100mg)も入り方も点滴とは違うので、どちらが合うかは診察でご相談ください。料金はNAD+点滴療法のページでご案内しています。
ご予約・お問い合わせ
よくある質問
時間と速さ
速くしてもらうことはできますか?
おすすめしていません。速いと、点滴の途中で症状が出やすくなるためです。
短い時間で受けたい日は、量を200mgにするか、皮下注射のNAD+ショットを選ぶこともできます。
2回目からは、時間は短くなりますか?
初回は少しゆっくり入れているので、2回目からは短く終わることもあります。
量ごとの目安は変わりません。その日の体調を見ながら進めるので、前回より長くかかる日もあります。
5-ALAと一緒に受けると、どのくらいかかりますか?
先に5-ALAを30分ほどかけて入れ、続けてNAD+を入れます。NAD+が200mgなら、合わせて1時間半から2時間半ほどです。
詳しくは、5-ALA点滴のページをご覧ください。
液に粘り気があるから、ゆっくり入れるのですか?
いいえ。NAD+点滴の液は粘度が低く、水のようにさらさらしています。
ゆっくり入れる理由は、液ではなく、体の側にあります。考えられているしくみは、「体の中で起きていること」の章でご説明しています。
NAD+ショット(皮下注射)は、どのくらいで終わりますか?
針を刺して薬を入れる時間は、数分です。受付からお帰りまでは、長くても15〜20分ほどです。
点滴の間と、そのあと
点滴中に胸が苦しくなったら、危ないのですか?
多くは一時的なもので、当院では、速さを落として休んでいただくと、数分のうちに落ち着いています。研究でも、点滴が終わってすぐに症状が消えたことが報告されています(参考文献2)。胸の圧迫感や息苦しさのほか、吐き気、おなかの痛みやゆるさ、動悸、頭痛、のどの違和感が出ることもあります。
気になったら、遠慮なく呼び出しボタンを押してください。速さを落としても落ち着かないときは点滴を止め、医師が診てから、その後の進め方を決めます。
点滴中の症状は、アレルギーなのですか?
多くは、アレルギーとは起こり方が違うと考えられます。速く入れたときに出やすく、当院では、速さを落とすと数分で治まっているためです。論文の著者らも、点滴で細胞の外のNAD+がふだんよりずっと多くなることが、症状のもとになると考えています(参考文献2)。
じんましんやかゆみなど、いつもと違う症状が出たときは、速さにかかわらず、すぐに呼び出しボタンでお知らせください。
途中で眠ってしまってもいいですか?
はい。点滴の間もスタッフが様子を見ていますので、眠くなったら、そのままお休みください。
点滴をしながら、仕事はできますか?
スマホでのメールの確認や調べものはできます。パソコンを置ける台はご用意していないので、パソコンを広げての作業には向いていません。
点滴の途中で、お手洗いには行けますか?
はい。点滴台を押しながら、点滴をつけたまま行っていただけます。
点滴のあと、車の運転やお風呂、運動はできますか?
車の運転は、ふだんどおりで問題ありません。お風呂は、針を刺したところがあるので、少なくとも1時間はあけてから入ってください。
運動は、軽いものならしていただけます。激しい運動は、当日は避けておくと無難です。お酒も、できれば控えてください。運動もお酒も、体調を見て決めてください。
参考文献
このページの説明は、海外の論文をもとにしています。タイトルをタップすると、どんな研究なのか、このページのどの説明の根拠なのかをご覧いただけます。
1人にNAD+を6時間点滴する間の、血液と尿に含まれるNAD+関連物質の変化:予備的な試験
要約:
本研究は、健康な男性(30〜55歳)を、NAD+を点滴する群(8人)と生理食塩水を点滴する群(3人)に分け、NAD+ 750mgを6時間かけて1回点滴したときの、血液と尿のNAD+とその分解物の変化を調べた予備的な試験です。安全性は、肝機能の検査と、有害事象の臨床的な観察で確かめています。
6時間の点滴の間、有害事象はみられませんでした。著者らの計算では、入れたNAD+が取り込まれも分解されもしなければ、血液中のNAD+は30分ごとに少なくとも18μMずつ増えるはずでしたが、点滴を始めて2時間までは、血液中のNAD+も分解物も点滴前と統計的な差がありませんでした(点滴前の血液中のNAD+は、図から読むと55nmol/Lほど)。著者らは、入れたNAD+が速やかに組織に取り込まれるか分解されていたとみて、その働きが2時間を過ぎてから手いっぱいになり、6時間ではNAD+と分解物が血液中に増えたと考えています。NAD+は電気を帯びているため、そのままでは細胞の膜を通り抜けられず、細胞に入るには通り道が要ることにも触れています。分解物の動きは、CD38などのNAD+を分解する酵素の働きと合っていて、NAD+がNMNとAMPに分かれる道筋もあると述べています。参加者は12時間の絶食のあとで点滴を受けており、本人の自覚症状の記録は論文にありません。著者の1人はNAD+の点滴を行う施設の医療責任者で、点滴もその施設で行われています。
本ページでは、6時間かけた点滴で、点滴中に有害事象がみられなかったこと、体に入ったNAD+が速やかに取り込まれたり分解されたりし、その働きが2時間を過ぎてから手いっぱいになったと考えられていること、6時間の点滴の終わりに血液中のNAD+が点滴前の4〜5倍ほどになったこと、NAD+がそのままでは細胞の膜を通り抜けられず、NMNとAMPに分かれる道筋もあることの根拠として参照しています。なお、本文の「点滴前の量の300倍ほど」は、著者らが示した18μMを、図から読んだ点滴前の値で割った、本ページでの計算です。「4〜5倍ほど」は、論文の本文の「398%の増加」と、図の平均値(約4.4倍。図から読んだ値)をあわせた書き方です。
2NAD+とニコチンアミドリボシド(NR)の点滴の比較:実際の施設での受けやすさを振り返った予備的な研究
要約:
本研究は、米国の民間の施設で、NAD+またはNR(体の中でNAD+のもとになる物質)の点滴を受けた方の記録を振り返った研究です。NAD+の群は6人、NRの群は8人で、どちらも500mgを生理食塩水500mLに溶かし、4日続けて点滴しています。点滴の速さは、受ける方が耐えられる範囲で自分で決めていました。
NAD+の群では6人全員が、点滴中に中等度から強い症状(おなかの痛み、下痢、吐き気、嘔吐、脈の速まり、のどの痛み、胸の圧迫感など)を訴え、症状は点滴を終えるとすぐに治まりました。症状のために速さを落とし、点滴にかかった時間は4日の平均で97分(NRは37分)でした。NRの群で出たのは、一部の方の舌やあご、腕のしびれ感や、軽い差し込むような痛みなど、主に軽いものでした。著者らは、細胞の外のNAD+はふだん0.1〜0.5μMとごくわずかで、血漿では末梢血単核球(白血球の一種)の細胞の中の500分の1ほどしかないという、ほかの研究の結果を紹介しています。そのうえで、細胞の外のNAD+が本来の濃さを大きく超え、炎症を起こす方向に働くことが、症状にかかわっているらしいと考えています。ゆっくり長く入れる方法は経験から勧められてきたものの、正式な研究はないとも述べています。記録を振り返った少人数の研究で、著者らを雇っている民間の施設が計画・実施したものです。
本ページでは、速さを本人が決めたNAD+の点滴で症状が出て、終えるとすぐに治まったこと、同じ量のNRの点滴は短い時間で終わり症状も軽かったこと、ゆっくり入れる方法が経験から勧められてきたこと、細胞の外のNAD+がふだんはごくわずかであること(著者らによる紹介)、症状のしくみについての著者らの考え方の根拠として参照しています。
3ウェルネスと橋渡し医療における、NAD+とその前駆体の点滴についての総説
要約:
本論文は、NAD+やそのもとになる物質(NMN・NRなど)を点滴で入れる方法について、体の中での行き先、人での研究、受けるときの注意点をまとめた総説です。
点滴で入ったNAD+は、細胞の外でCD38などの酵素によって分解されることがあり、NAD+がNMNとAMPに分かれる道筋もあって、AMPからはCD73という酵素でアデノシンができるとしています。ただし、それぞれの酵素の働きの強さや、人の体でこうした反応がどこまで起きているかは、まだ分かっていないと断っています。アデノシンがA1・A2A・A2B・A3という受容体に働くことが、点滴中の感覚の一部にかかわるかもしれないとしたうえで、この点は十分に調べられていないと述べています。現場では、速い点滴で不快感やほてり、吐き気が出ることがあるという経験的な報告があり、多くの施術者が2〜4時間かけるゆっくりした速さを好むことも紹介しています。人での根拠はまだ予備的な段階だと結論づけています。
本ページでは、速い点滴と症状についての現場の報告、ゆっくりした速さが選ばれていること、NAD+がNMNとAMPに分かれ、AMPからアデノシンができる道筋と、アデノシンが受容体に働いて症状にかかわるかもしれないという考え方、それが人ではまだ確かめられていないことの根拠として参照しています。
4CD39によらないCD38・CD203a・CD73の経路が、人のTリンパ球でアデノシンを生み出す
要約:
本研究は、人のTリンパ球(免疫の細胞)の実験系を使って、細胞の外にあるNAD+からアデノシンができる経路を調べたものです。
細胞の表面にある酵素が、CD38、CD203a、CD73の順に働いて、NAD+からアデノシンが作られることを示しました。これまで知られていたCD39を通る経路とは別の道筋です。
本ページでは、NAD+が分解される途中でアデノシンができることがある、という説明の根拠として参照しています。
5胸の痛みの症状があり、血管に狭いところのない方は、アデノシンによる胸の痛みが出やすい
要約:
本研究は、アデノシンを静脈に一気に注射し、量を段階的に増やしながら、胸の痛みが出るかどうかを調べた試験です。胸の痛みの症状がある方(血管に狭いところがない方8人、ある方9人)と、健康な方16人を比べています。
胸の痛みの症状がある方は、心電図に虚血の変化がなくても全員に胸の痛みが出て、健康な方でも16人中14人が胸の痛みを訴えました。胸の痛みの症状があって血管に狭いところがない方では、より少ない量で痛みが出ていました。
本ページでは、アデノシンが、健康な人でも胸の痛みを起こすことがある物質であることの根拠として参照しています。
6アデノシンを点滴して行う検査の安全性:多施設の登録データの結果
要約:
本研究は、21の施設で、アデノシンを点滴した9,256人について、点滴中と直後の副作用を集めて調べたものです。
副作用は81.1%の方にみられましたが、軽く、耐えられる程度のものでした。重い副作用は比較的まれで、点滴を止めると引きました。論文は、アデノシンが血液の中で10秒もたたずに半分に減るため、量を調整しやすく、副作用もすぐに引くと説明しています。
本ページでは、アデノシンが血液の中で速やかに減り、止めると症状がすぐに引くことの根拠として参照しています。
7アデノシンを点滴して行う検査での、受けやすさと安全性(607人)
要約:
本研究は、アデノシンを点滴した607人(平均63歳)について、点滴中の脈や血圧の変化と副作用を調べたものです。健康な方を対象にした研究ではありません。
アデノシンの点滴で、脈は1分あたり平均74.5回から91.8回に増え、収縮期の血圧は平均137.8mmHgから120.7mmHgに下がりました。副作用は多く、顔のほてりが35%、胸の痛みが34%、頭痛が21%、息苦しさが19%の方にみられました。多くの副作用は点滴を止めると速やかに治まり、重いものは1.6%、点滴を中止したのは1%でした。
本ページでは、アデノシンを点滴すると、胸の痛みや息苦しさ、頭痛、顔のほてりがよくみられ、脈が速くなること、止めると速やかに治まることの根拠として参照しています。
8胸の痛みが起きるしくみと、アデノシンのかかわり(総説)
要約:
本論文は、心臓で起きる胸の痛みに、アデノシンがどうかかわるかについての研究をまとめた総説です。
アデノシンは、心臓の痛みを伝える神経の末端や、心臓の中の神経の働きを変えることがあり、その働きはA1という受容体を通すと考えられています。健康な方や、心臓の病気で胸の痛みがある方にアデノシンを静脈に一気に注射すると、心電図に虚血の変化がなくても、心臓が原因の胸の痛みと似た痛みが出ることを紹介しています。アデノシンの働きを妨げる薬(テオフィリン)を前もって使うと、この痛みは抑えられます。
本ページでは、アデノシンによる胸の痛みが、神経への働きで起きると考えられていること、健康な人でも心電図に虚血の変化がないまま出ることの根拠として参照しています。
9アデノシンは、人の交感神経の働きを高める
要約:
本研究は、健康な方にアデノシンを点滴し、脈・血圧・呼吸と、足の神経から直接記録した交感神経の働きを調べたものです。
アデノシンの点滴で、脈は1分あたり平均32回増え、収縮期の血圧は10mmHg上がり、1分あたりの呼吸の量は7L増えました。交感神経の働きは量に応じて高まり、拡張期の血圧の下がり方が同じになる量の別の薬(ニトロプルシド)より、高まり方が大きいものでした。著者らは、血圧の反射だけでは説明しきれないとして、アデノシンが感覚の神経(動脈の化学受容体を含む)を刺激して、交感神経の働きを高めていると考えています。
本ページでは、健康な人でアデノシンの点滴により脈が速くなり、呼吸の量が増えたこと、著者らがその背景に、感覚の神経を通した交感神経の高まりをみていることの根拠として参照しています。
10細胞の外のNAD+は、人の顆粒球のP2Y11受容体に働く
要約:
本研究は、人の顆粒球(白血球の一種)と、受容体を組み込んだ培養細胞を使って、細胞の外のNAD+が、どの受容体を通して細胞を動かすのかを調べた実験です。
論文は、顆粒球がマイクロモル程度のNAD+で活性化すること(活性酸素や一酸化窒素を作る、ほかの場所へ向かって動くなど)を、それまでに分かっていた知見として紹介しています。この研究では、顆粒球で、細胞の外のNAD+による細胞の中のカルシウムの増加と、ほかの場所へ向かって動く働きが、P2Y11を妨げる薬や受容体を減らす操作で抑えられました。P2Y11を組み込んだ培養細胞でも、マイクロモル程度のNAD+でカルシウムが増えました。著者らは、NAD+がP2Y11受容体に働く物質だと結論づけています。
本ページでは、細胞の外のNAD+が、それ自体で白血球の受容体に働く合図になることの根拠として参照しています。
11NAD+は、内臓の筋肉の動きを抑える神経の合図として働く
要約:
本研究は、マウスなどの腸の筋肉と、受容体を組み込んだ培養細胞を使って、腸の筋肉の動きを抑える神経が出す物質が何かを調べたものです。
腸の筋肉の標本で神経を刺激すると、神経からNAD+が放出され、標本の周りの液に出た量はATPの30倍以上でした。外から加えたNAD+は、腸の動きを抑える神経の合図と同じ働きを示し、その働きはP2Y1という受容体を通していました。腸の筋肉にあるCD38が、放出されたNAD+を片づける役を担うと考えられています。
本ページでは、NAD+が腸の筋肉の動きの調節にかかわる合図の物質であることの根拠として参照しています。
費用と、 主なリスク・ 副作用
NAD+点滴とNAD+ショットは、自由診療(保険適用外)です。料金は、NAD+点滴が200mg 69,300円、400mg 110,000円、NAD+ショット(皮下注射)が100mg 59,500円です(いずれも税込)。料金の詳しいご案内は、NAD+点滴療法のページにあります。
主なリスク・副作用は、点滴中に一時的に起こることのある胸の圧迫感や息苦しさ、吐き気・嘔吐、おなかの痛み・下痢、動悸、頭痛、のどの違和感と、針を刺したところの痛み・内出血・腫れ、点滴のあとの一時的なだるさです。症状が出るかどうかや、どのくらいで落ち着くかは、その日の体調や体質によって一人ひとり違います。
受ける前に確かめていただきたいことは、NAD+点滴療法のページの注意事項にまとめています。
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監修者情報(医師紹介)

監修医師:佐藤 雅樹
ソララクリニック 院長
専門分野:美容皮膚科
2000年 順天堂大学医学部卒。順天堂大学医学部形成外科入局。 大学医学部付属病院等を経て、都内美容皮膚科クリニックにてレーザー治療の研鑽を積む。2011年3月 ソララクリニック開院 院長就任。2022年 医療法人 松柴会 理事長就任。日本美容皮膚科学会 日本形成外科学会 日本抗加齢医学会 日本レーザー医学会 点滴療法研究会 日本医療毛髪再生研究会他所属。
様々な医療レーザー機器に精通し、2011年3月にルビーフラクショナル搭載機器を導入し、15年以上この治療を続けている。各種エネルギーベースの医療機器を併用する複合治療に積極的に取り組む。
※当院の治療はすべて自由診療(保険適用外)です。標準的な費用は各ページの料金表または料金表ページをご覧ください。治療に伴うリスク・副作用は診察時にもご説明します。
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