大人ニキビの治療

繰り返す大人ニキビの治し方・予防対策について

大人ニキビ

 

大人になってからできる「大人ニキビ」は、思春期のニキビとは原因や治療法が異なり、長引きやすい厄介な皮膚トラブルです。

特に女性に多く、あご周りなど下顔面に繰り返し現れる傾向があり、放置するとニキビ跡になりやすいことも特徴です。

当院では外用薬に頼らず、体の内側からアプローチする治療方針で、大人ニキビの根本改善を目指します。物理療法・ホルモン療法・漢方療法を組み合わせた専門的ケアで、治らない・繰り返す大人ニキビに終止符を打ちましょう。

※ニキビ治療全般については「ニキビ治療専門外来」総合ページを参照ください。

大人ニキビとは?

大人ニキビとは、一般的に20歳以上になって発症または継続するニキビ(尋常性ざ瘡)を指します。

  • 海外の医学文献では、大人ニキビ(医学的には「ポスト思春期性痤瘡 (postadolescent acne)」)を25歳以上で発症するニキビと定義する場合が多いです。一方、日本では20歳を過ぎてからできるニキビを指すこともあり、定義に若干の違いが見られます。

思春期ニキビと大人ニキビの違い

大人ニキビと思春期のニキビは、発生年齢だけでなく症状にも違いがあります。

思春期ニキビは皮脂分泌の多いTゾーン(額・鼻)や背中・胸にもできやすく、白黒のコメド(角栓)が多いです。

一方、大人ニキビはUゾーン(あご・フェイスライン)を中心にポツポツと赤い炎症性のニキビができるのが典型です。

思春期では男性ホルモン増加の影響で男性の方が発症率が高いですが、大人ニキビは女性に多いのも特徴です。

大人ニキビは治りにくく跡に残りやすい

大人ニキビは、女性ホルモンの変動やストレスなどが関与し、慢性的に続きやすい傾向があります。一般に思春期のニキビは治療に反応しやすいのに対し、大人ニキビは治療への抵抗が強く再発もしやすいため、長期的なケアが必要になるケースが少なくありません。

大人ニキビは大半が軽症~中等症ですが、炎症が長引くためニキビ跡(クレーター状の瘢痕や色素沈着)が残りやすい点にも注意が必要です。実際、成人女性の約20~30%にニキビ跡が認められたとの調査もあります。

このように「治りにくく跡に残りやすい」のが大人ニキビの厄介な点と言えるでしょう。

大人ニキビの原因

大人ニキビの原因は一つではなく、複数の要因が絡み合っています。

思春期ニキビでは主に皮脂の過剰分泌が原因でしたが、大人ニキビではホルモンバランスの乱れや生活習慣、ストレス、肌の乾燥、使用する化粧品など様々な内的・外的因子が影響します。

それぞれ詳しく見てみましょう。

ホルモンバランスの乱れ

女性ホルモン周期やホルモン異常は大人ニキビの大きな原因です。

生理前にニキビが悪化する女性は多く、ある調査では60~70%の女性に月経前悪化がみられたと報告されています。

月経前は黄体ホルモン(プロゲステロン)が優位になり、男性ホルモン(アンドロゲン)作用が相対的に強まるため皮脂分泌が増えて毛穴づまりを起こしやすくなります。また、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などホルモン異常を伴う疾患ではニキビができやすく、実際に成人女性ニキビ患者の約1.6倍の頻度でPCOSがみられたとの報告もあります。

ホルモン値異常が見られるのは

もっとも、検査で明らかな高アンドロゲン血症(男性ホルモン過剰)が確認される人は一部で、多くはホルモン値が正常範囲内で起こる「皮膚の男性ホルモン感受性の高さ」が原因と考えられます。皮脂腺レベルでの過敏反応により、わずかなホルモン変動でもニキビが悪化してしまうのです。

男性の場合も、思春期のような顕著なホルモン変動はなくとも、生活習慣やストレスによるホルモンバランスの乱れが影響することがあります。ただし一般に男性の大人ニキビは喫煙や髭剃り、整髪料など他の要因が関与することも多いとされています。

ストレス・生活習慣の影響

ストレスも大人ニキビの大敵です。

仕事や人間関係のストレスが続くと、体内でストレスホルモン(コルチゾール)が分泌され、男性ホルモンの作用を高めてしまいます。その結果、皮脂の分泌が促進され毛穴詰まりが悪化し、ニキビができやすくなります

実際、医学部女子学生を対象とした研究では、ストレスの高さとニキビの重症度には有意な相関関係があることが示されています。忙しい現代人は交感神経が優位になりがちで、睡眠不足や過労も肌の新陳代謝を乱しニキビを悪化させる要因です。

また、食生活も無視できません。

糖質中心の食事や甘いものの過剰摂取は血糖値スパイクを招き、インスリンやIGF-1(インスリン様成長因子)といったアクネ菌や皮脂腺を刺激するホルモンの分泌を増やします。そのため、高GI値・高糖質負荷の食事はニキビ悪化に繋がるとされ、近年の系統的レビューでも低GI食への改善で炎症性・非炎症性両方の病変が減少したことが報告されています。

また乳製品の摂取も一部でニキビとの関連が指摘されており、特に欧米型の食生活では注意が必要です。加えて、油っこい食事や不足しがちなビタミン・ミネラルの偏りも皮膚状態の悪化を招く可能性があります。

喫煙や飲酒も要注意です。

喫煙は肌の酸化ストレスを高めて角質の異常硬化をもたらし、ニキビのコメド(面ぽう)形成を助長します。実際、大人ニキビの患者では喫煙者に面ぽう(白ニキビ・黒ニキビ)が多い傾向が報告されています。

過度の飲酒もホルモン代謝を乱すため、適度に控えましょう。

乾燥・肌質の変化とスキンケア

乾燥した肌は大人ニキビの特徴

大人の肌は、思春期に比べて水分保持力が低下し、乾燥しやすい状態です。

インナードライ

肌が乾燥すると角質のバリア機能が乱れ、毛穴の詰まりやすい環境になります。また、乾燥を補おうとして皮脂が過剰に分泌される「インナードライ」状態に陥り、結果的にニキビが悪化する悪循環も生まれます。

乾燥がニキビを悪化させる

加齢や季節要因による乾燥だけでなく、洗顔のしすぎや刺激の強い化粧水の使用など不適切なスキンケアも乾燥を招く原因です。大人ニキビの肌は10代よりデリケートで外用治療への耐性も低いため、間違った自己流ケアで悪化させてしまうケースもあります。

例えば、「ニキビ=皮脂を落とさなきゃ」と一日に何度もゴシゴシ洗顔したり、アルコールたっぷりの化粧水で脱脂してしまうと、必要な皮脂まで奪われ肌がカラカラになります。すると肌は防御反応でさらに皮脂を分泌し、毛穴詰まりと炎症が悪化してしまうのです。

大人ニキビには保湿ケアが欠かせません。「ニキビに保湿なんて…」と思うかもしれませんが、適度な潤いを保つことで角質の柔軟性が保たれ、毛穴詰まりや皮脂過剰の抑制につながります。

化粧品・外的要因

毎日のメイクや化粧品も大人ニキビの発生・悪化要因になり得ます。

毛穴を塞いでしまうコメドジェニック(面ぽう形成誘発性)の高い成分(濃厚なオイルや合成ポリマーなど)を含むファンデーションや日焼け止めは、毛穴詰まりを助長しニキビを悪化させる可能性があります。特にカバー力の高いリキッドファンデーションやコンシーラーを厚塗りすると、メイク残りが毛穴に蓄積して炎症を招きます。

また、クレンジング不足でメイク汚れが毛穴に残ったり、逆にオイルクレンジングの洗浄力で皮脂を落としすぎたりすることも問題です。

さらにマスクの長時間着用も近年大人ニキビ患者を増やした一因です。

マスク内の蒸れや摩擦により、いわゆる「マスクネ(マスク皮膚炎)」として頬やあごのニキビが悪化するケースが多発しました。その他、合わないシャンプーやヘアケア剤が額やフェイスラインのニキビ原因になること、紫外線ダメージで毛穴周囲の角質肥厚が進むことなど、身の回りの外的要因にも気を配る必要があります。

※「マスクネ」は、[マスク(Mask)]+[アクネ菌(Acne)]の造語。MaskneまたはMascneで発音は [ mask-nee ]。


以上のように、大人ニキビは体の内側の要因(ホルモン・ストレス・生活習慣)外側の要因(乾燥・化粧品・物理刺激)の両面が関与する複雑な疾患です。そのため治療にあたっては、これら原因の一つひとつに対処する総合的なアプローチが重要となります。

一般的なニキビ治療と大人ニキビの課題

ニキビ治療というと、多くの方はまず市販の塗り薬や皮膚科で処方される外用薬(ディフェリン®やベピオ®など)を思い浮かべるでしょう。

何故「大人ニキビ」は標準治療では治らないのでしょうか?

思春期ニキビの治療では過酸化ベンゾイル(BPO)外用剤やレチノイド外用剤、抗菌作用のある塗り薬などが第一選択となり、重症例では抗生物質の内服も行われます。

これらの標準治療は「毛穴の詰まりを取る」「皮脂分泌を抑える」「アクネ菌を減らす」「炎症を鎮める」というニキビの四大原因への作用を狙ったもので、思春期ニキビには多くの場合効果を発揮します。

ホルモンや生活習慣などの根本原因が解決されない

しかし、大人ニキビの場合、従来の治療だけでは不十分なことが少なくありません。上記のような外用薬を地道に塗ってもすぐに再発したり、そもそも炎症が頑固で治療効果が出にくいケースが多いのです。

その背景には先述のようにホルモン要因や生活習慣など根本原因が解決されていないことが考えられます。

例えば塗り薬で一時的にニキビが引いても、ホルモンバランスの乱れやストレス状態が続けば次々と新しいニキビができてしまいます。また、大人の肌は敏感なため、レチノイドやBPOで赤み・乾燥など副作用が出やすく、強い薬が使えないという事情もあります。

結果として治療の継続が難しいことも少なくありません。

アクネ菌の抗生剤耐性率が上昇している

さらに問題なのは、抗生物質への耐性菌です。ニキビ治療で使われる抗生物質(エリスロマイシンやテトラサイクリン系)は長期使用によりアクネ菌の抗菌剤耐性を招きます。

実際、世界的にアクネ菌の耐性率が上昇しており、一部地域ではアクネ菌の50%以上が抗生剤耐性との報告もあります。耐性菌が増えるとニキビへの効果が低下するばかりか、耐性遺伝子が他の細菌に広がり人類全体の抗生物質が効きにくくなる懸念すらあります。

こうした背景から、近年はできるだけ抗生物質に頼らない治療や、再発しにくい維持療法の重要性が叫ばれています。


以上のように、大人ニキビは「治りにくい・繰り返す」という特徴から、思春期ニキビ以上に総合的で根本的な治療アプローチが求められます。このため当院では、外用薬だけに頼らず患者様一人ひとりの原因に合わせた多角的治療を行う方針をとっています。

当院の治療方針:外用薬に頼らないアプローチ

当院では大人ニキビに対し、外用薬(塗り薬)に過度に依存しない治療方針を掲げています。ニキビを「症状」として抑え込むだけでなく、その背景にある体質やホルモン環境の改善まで視野に入れることで、再発しにくい根本治療を目指します。

具体的には以下のような3本柱の治療を組み合わせ、総合的にアプローチします。

物理療法(光・レーザー治療など)

物理療法とはお薬以外の物理的エネルギーを利用した治療法です。

当院ではレーザーや光療法(LED),プラズマ,ケミカルピーリングなど、最新の物理的治療機器を駆使して大人ニキビを治療します。

レーザー / プラズマ

炎症を起こしたニキビにレーザーやプラズマを照射し、赤みを抑えたり皮脂腺にダメージを与えて皮脂分泌を抑制します。

例えばブルーレーザー(450nm)はアクネ菌が産生するポルフィリンに吸収され、活性酸素を発生。強力な殺菌作用を引き起こします。更に 過剰な皮脂腺の抑制、皮膚のコラーゲン・エラスチンの造成を促進させて肌の再構築を促します。

レーザー治療は保険適用外ですが、薬剤に頼らず肌質改善とニキビ治療を同時に狙えるメリットがあります。

光線療法(LEDなど)

肌に有益な特定波長の光を当てることでニキビ菌の殺菌や炎症軽減を図る治療です。

青色LED光はアクネ菌が産生するポルフィリンに作用し細菌を死滅させ、赤色LED光は皮膚の修復を促し炎症後の赤みを早く引かせる効果があります。光療法は痛みや副作用がほとんど無く安全に行えるのが利点です。

市販の家庭用デバイスもありますが、当院では医療用高出力LED機器を用いて短期間での改善を目指します。ただし光療法単独の効果はマイルドで、即効性は外用薬に劣るとの報告もあります。

エビデンス上も効果にばらつきがあるため、当院では他治療との併用療法として光療法を取り入れています。抗生物質を使えない場合にも提供できる、安全性の高い治療です。

進化型ピーリング

最新のケミカルピーリングは、グリコール酸(AHA)やサリチル酸(BHA)そしてトリクロロ酢酸(TCA)等の薬剤と、機械的アブレーションを併用したタイプが増えています。

ピーリング剤と機械的アブレーションによって、古い角質や毛穴内部の汚れが取り除かれ、肌の再構築が進みます。新たなニキビの発生を予防し、くすみやニキビ跡の色素沈着改善にも有効です。ピーリング後は肌がつるっと滑らかになるのを実感できるでしょう。

継続施術することで徐々に皮膚のターンオーバーが整い、ニキビのできにくい肌質へ導きます。

圧出+皮脂腺破壊

症状に応じて、面ぽう圧出を行うことがあります。対症療法ではありますが、適切な時期に処置することで早くきれいに治すことが可能です。

更に毛穴内部を高周波で加熱処理することで、皮脂腺の抑制をを促すこともできます。


物理療法は、いずれも薬剤耐性や全身副作用の心配がなく, 治療中の妊娠リスク等も考慮しやすい安全な治療オプションです。近年は抗生物質の耐性菌問題もあり、これら光・レーザー療法への注目が高まっています。

当院では患者様の肌状態や生活背景に合わせ、最適な物理的アプローチを提案いたします。

ホルモン療法(内服による体質改善)

ホルモン療法は、特に女性の大人ニキビに対して有効な治療アプローチです。体内のホルモンバランスを整えることで、ニキビの根本原因に働きかけます。

当院では、以下のようなホルモン療法を患者様の状態に応じて採用しています。

低用量ピル

月経周期に伴うホルモン変動でニキビが悪化する女性には、低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬(いわゆる低用量ピル)の内服をおすすめする場合があります。

低用量ピルは排卵を抑制しホルモンバランスを安定させることで、皮脂腺に作用する男性ホルモン(アンドロゲン)を間接的に抑える効果があります。特に第3世代・第4世代ピル(抗アンドロゲン作用のある黄体ホルモンを含むもの)は肌への良い効果が期待できます。

国内で使用できるピルには限りがありますが、ニキビ改善効果が認められているデソゲストレルやドロスピレノン配合ピルなどを中心に処方します。ただしピルには血栓症リスクなど注意事項もあるため、問診・検査で適応を慎重に判断します。

海外のガイドラインでは、成人女性で明らかな高アンドロゲン血症がある場合、ニキビの重症度に関わらずホルモン療法(ピル)を併用すべきとの強い推奨もあります。

抗アンドロゲン薬(スピロノラクトン)

スピロノラクトンは本来利尿薬として使われる経口薬ですが、男性ホルモン受容体を遮断する作用があり、海外では女性のニキビ治療に広く用いられています。

日本ではニキビ適応で保険承認はないものの、当院では必要に応じて自費治療としてスピロノラクトン内服(抗アンドロゲン療法)を行うことがあります。

スピロノラクトンは皮脂分泌を大幅に減少させ、特にあご周りのしつこいニキビに有効です。抗生物質など他の治療で効果不十分な場合に追加すると高い効果が得られることが報告されています。

最近の臨床試験(FASCE試験)でも、中等度の女性ニキビ患者においてスピロノラクトン6か月間投与は、従来の抗生物質治療(ドキシサイクリン3か月)より有意に高い治療成功率を示しました。6か月時点でスピロノラクトン群の治療成功率がドキシサイクリン群より約3倍高く、ニキビ病変数や患者の生活の質も明らかに改善したとの結果です。

このようにエビデンスも蓄積されつつある有望な治療ですが、日本では処方経験の少ない薬でもあるため、副作用(高カリウム血症や月経不順など)に注意しつつ当院医師が慎重に管理します。

漢方薬でホルモン調整

後述の漢方療法とも関連しますが、東洋医学の観点からホルモンバランスを整える漢方薬を併用することもあります。

例えば当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)は女性のホルモン乱れや冷え症に用いられる漢方で、月経前にニキビが悪化するタイプの患者様に有効です。

また桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)は血行を改善しホルモン代謝を整える作用が期待でき、アゴ周りのしこり状のニキビに処方することがあります。

このように漢方薬で体質からアプローチすることで、ホルモン剤が使えない方や軽症例にも対応しています。


ホルモン療法は原因療法に近いアプローチであり、特に繰り返す大人ニキビの根本改善に役立ちます。適応となる患者様には検査等もご案内し、安心して治療を受けていただける体制を整えています。

漢方療法(東洋医学による体質改善)

当院では漢方療法にも力を入れています。

漢方薬(いわゆる「漢方内服薬」)は肌表面の症状だけでなく、体の内側からニキビができにくい体質へ改善していくことを目指す治療です。西洋医学のお薬と違い、生薬由来の成分がゆるやかに作用するため副作用が少なく、長期的な体質改善に適しています。

大人ニキビは個々人の体質により様々な要因が絡んでいます。漢方医学では、ニキビの症状を「身体からのサイン」と捉え、その方の(体質)に合わせた処方を選択します。

例えば、顔のほてりや赤ら顔を伴うニキビには清熱(熱を冷ます)作用のある清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)や荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)を、皮膚が乾燥気味で赤ニキビが繰り返すタイプには湿を取り炎症を散らす作用のある十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)を、といった具合に使い分けます。

女性のニキビで冷えや生理不順を伴う場合には当帰芍薬散や桂枝茯苓丸でホルモンバランスから整えるなど、症状の根本を正す処方を心がけています。

漢方療法の利点は、全身状態を整えることで肌以外の不調も改善できる点です。実際、漢方薬を服用し数ヶ月で「便通が良くなった」「冷え性が改善した」「睡眠の質が上がった」といった嬉しいお声も頂戴しています。その延長で体調が整えば、結果的にニキビも出にくくなっていきます。

エビデンスの面でも、漢方を含む植物由来の医薬がニキビに有効であることは多数の臨床研究で示されています。

2022年の系統的レビューでは、34件の臨床試験の統合解析において漢方薬による治療は軽症~中等症のニキビ数を有意に減らし、重症度も改善することが確認されています。

一部の生薬では従来治療と同等かそれ以上の効果が報告され、副作用も重篤なものは認められませんでした。このように漢方療法は科学的にも有望な補完代替医療として注目されています。

もちろん漢方は即効性のある「特効薬」ではありませんが、じっくり服用を続けることで体質から肌質改善が期待できます。当院では医師が、患者様一人ひとりの体質・症状に合わせた漢方処方をご提案します。西洋治療との併用も可能で、副作用の少ない安全な療法としておすすめしています。


以上の物理療法・ホルモン療法・漢方療法を柱に、当院では患者様の状態に合わせたオーダーメイド治療を行っています。

必要に応じて外用薬や抗生物質など従来治療も組み合わせますが、極力それらに頼らず内面からの改善を重視するのが当院のポリシーです。

「ニキビ=塗り薬で治すもの」という従来の枠にとらわれず、医学的エビデンスに基づいた多角的アプローチで大人ニキビの完治を目指しましょう。

よくある質問 FAQ

大人ニキビに関するよくある質問をまとめました。
参考になれば幸いです。

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発生年齢と症状の出方が異なります。

思春期ニキビは10~20代前半に多く、皮脂分泌が盛んな額や鼻などのTゾーンや、胸背中にもできやすい傾向があります。白ニキビ・黒ニキビ(コメド)など非炎症のポツポツが目立ち、男性ホルモン増加の影響で10代男性に多いことも特徴です。

一方、大人ニキビは25歳以降で発生し、あごやフェイスラインなどUゾーンに赤い炎症性のニキビがポツポツと出現します。特に20~30代女性に多く、ホルモンバランスや生活習慣の乱れが関与します。また治りにくく繰り返しやすい点や、慢性炎症によってニキビ跡になりやすい点も、思春期ニキビとの大きな違いです。

要約すると、「若年期は一過性で皮脂過多型、成人期は慢性で炎症型」という違いがあります。ただし大人ニキビでも重症例では膿をもった嚢胞ができることもあり、逆に思春期でも女性に遅発的に出るケースがあるなど例外もあります。

複数の要因が複雑に絡みます。大人ニキビは一つの原因だけで起こることは少なく、以下のような内的・外的因子が組み合わさって発症します。

ホルモンバランスの乱れ

生理前の黄体期にニキビが悪化したり、ストレスで男性ホルモンが増えることが発端になります。女性では月経周期や卵巣の異常(多嚢胞性卵巣症候群など)によるアンドロゲン過剰が隠れている場合もあります。

ストレス・生活習慣

睡眠不足や過労、精神的ストレスはホルモンの乱れや免疫低下を招き、ニキビを悪化させます。実際、ストレスレベルが高い人ほどニキビが重症化しやすいとの研究結果があります。

食生活の乱れ

糖質中心の食事や甘いもの・乳製品の過剰摂取は、インスリンやIGF-1の分泌増加を介して皮脂腺を刺激し、ニキビを増やします。ビタミン・ミネラル不足や偏った食事も肌代謝の乱れにつながります。

乾燥・不適切なスキンケア

大人の肌は乾燥しやすく、過度な洗顔やアルコール入り化粧品の使用でバリア機能が低下すると、かえって皮脂の過剰分泌と毛穴づまりを招きます。

保湿不足も大きな要因です。
化粧品・外部刺激: コメドになりやすい油分の多い化粧品の使用や、マスクの長時間着用による蒸れ・摩擦、喫煙習慣などもニキビ発生リスクを高めます。

喫煙者は非喫煙者に比べ白ニキビが多いとの報告もあります。

遺伝的素因

家族も大人ニキビに悩んでいる場合、その体質を受け継いで皮脂腺が活発であったり、毛穴の角化傾向が強い場合があります。


このように様々な原因がありますが、根底にあるのは毛穴の詰まりと皮脂分泌過多です。ホルモンや生活習慣の乱れがそれらを引き起こし、アクネ菌増殖と炎症が加わってニキビが形成されます。

それぞれの原因に対策することで、大人ニキビは改善へ向かいます。

根本原因が持続する限り再発しやすいためです。

例えばホルモンバランスの乱れや慢性的なストレス、肌質傾向(オイリー肌・乾燥肌)など、ニキビを誘発する下地が成人期では長期間続いてしまうことが多いのです。

思春期ニキビは成長とともにホルモンレベルが安定すれば自然に治まるケースもあります。しかし大人ニキビは、ストレスフルな生活や不規則な生活習慣が変わらないと同じ場所に何度でも再発します。

また、20代後半以降は肌のターンオーバーが遅くなるため、一度できたニキビが治るのにも時間がかかり、その間に次のニキビができて常にどこかで炎症が続いている状態にもなりがちです。さらに、従来の治療(塗り薬や抗生剤)が効きにくいタイプの大人ニキビもいます。

こうした場合、表面的に治ったように見えても毛穴内部に耐性菌が残存し、薬をやめるとすぐぶり返すという悪循環があります。

以上の理由から、大人ニキビは「根本原因の解消」と「長期の肌ケア」が重要になります。当院では再発予防のため、原因に合わせた内面的アプローチやメンテナンス治療にも力を入れています。

お肌の外側からの薬塗布だけに依存せず、内側からもアプローチする治療です。

当院では大人ニキビの原因に合わせ、「物理療法」「ホルモン療法」「漢方療法」の3つを組み合わせています。

物理療法とは光・レーザー治療やケミカルピーリング等で、薬を使わず物理的に毛穴の炎症や詰まりを改善する方法です。

ホルモン療法は低用量ピルや抗アンドロゲン薬の内服によりホルモンバランスを整え、皮脂分泌を抑制する治療です。

漢方療法は漢方薬の内服で体質から肌環境を改善していくアプローチです。

それぞれ詳細は前述しましたが、要は大人ニキビの「原因」そのものに働きかける治療とお考えください。

塗り薬(ディフェリン®やベピオ®など)は症状を直接抑える即効性がありますが、塗っている間しか効果が続かないこともあります。その点、内側からアプローチするこれらの治療は、治療終了後もニキビができにくい状態を維持できる可能性があります。

ただしケースによっては従来の塗り薬や抗生剤も併用した方が効果的です。当院では外用薬も排除するわけではなく、必要な場合は組み合わせて治療しています。

最終的な目標は「外用薬がなくてもきれいな肌を保てる状態」にすることです。

レーザー・プラズマ・ケミカルピーリングなどを症状に合わせて行います。

詳細はニキビ治療専門外来専門ページを参照ください。

治療の痛み

痛みは治療法によりますが、通常は軽度です。レーザー照射では輪ゴムではじかれた程度の軽い痛みを感じることがありますが、必要に応じて麻酔クリームの併用や冷却で耐えられる程度に調整します。

ピーリングは、ほとんど痛みがないか少々ピリピリする程度です。

施術時間

選択する治療内容によって異なりますが、目安は以下のようになります。

  • レーザー・プラズマ:1時間程度 (表面麻酔が必要な場合は+30分)
  • ピーリング:30分~1時間程度

ダウンタイム及び副作用について。

基本プログラム,標準プログラムのダウンタイムは、一時的な赤みやほてりが出る程度で、数時間~1日で落ち着きます。一時的に肌が乾燥しやすくなるので保湿が必要です。いずれもダウンタイムは短く、施術当日又は翌日からメイクや通常の生活が可能です。

重症ニキビプログラムには、数日のダウンタイムが出るものがありますが、翌日からメイクが可能です。

ただ強い炎症がある部位に治療するとかさぶたができることがあります。自然に剥がれ落ちるまで無理にはがさないように気を付けてください。重大な副作用は稀ですが、日焼けや肌質によって色素沈着が起こるリスクはゼロではありません。

当院では事前に肌質を診断し、安全な設定で照射しますのでご安心ください。物理療法はいずれも体への負担が少なく、他の治療との相乗効果も期待できますので、安心して受けていただけます。

主に低用量ピル(エストロゲン+プロゲスチン配合薬)やスピロノラクトンという抗アンドロゲン薬を用います。

低用量ピル

低用量ピルは女性ホルモン剤で、生理周期を安定させ男性ホルモンの影響を抑える作用があります。ニキビの他に月経痛の緩和や避妊効果も得られるメリットがあります。

副作用としては吐き気・乳房の張りなどが初めの1~2ヶ月に出る場合がありますが、次第に慣れることが多いです。

重篤な副作用として血栓症のリスクがわずかにありますが、35歳以上で喫煙習慣のある方などハイリスク群を除けば頻度は非常に低いです。処方の際には必ず問診や血液検査を行い、リスクの高い方には使用しませんのでご安心ください。

抗アンドロゲン薬

スピロノラクトンは本来利尿薬ですが、女性のニキビに用いると皮脂の分泌を大幅に抑える効果があります。欧米では古くから使われていますが、日本では保険適用外のため当院では慎重に希望者にご案内しています。

副作用としては月経不順や乳房の張り、高カリウム血症(稀)などがあります。しかし、抗アンドロゲン療法として使用される薬剤量は少量のため、高カリウム血症などの副作用は稀です。また胎児への影響が懸念されるため、妊娠中および授乳中の使用は避けます。

スピロノラクトンは比較的副作用少なく長期服用も可能な薬ですが、日本人への使用データがまだ十分でないため、当院では用量を少なめから開始し注意深く経過を見ます。

これらホルモン療法を安全に行うためには医師の管理下で適切に行うことが重要です。気になる副作用は事前に詳しく説明いたしますし、すぐにご相談いただけます。

無理に続けず中止も可能ですので、不安な点は遠慮なくお尋ねください。

はい、ニキビ跡の種類に応じた治療をご用意しています。

大人ニキビは炎症が長引くため、治った後にクレーター状の凹み(萎縮性瘢痕)や茶色や赤の色素沈着が残ることが多いです。

これらニキビ跡に対して当院では、各種フラクショナルレーザーや各種サブシジョン機器を併用したニキビ跡治療を行なっています。

ニキビ跡治療では、生活スタイルやダウンタイムの許容度によって3タイプのプロ蔵組むを用意しています。

詳細は、「ニキビ跡治療」総合ページを参照ください。

ニキビ跡治療は保険適用外ですが、美容皮膚科領域の先端治療を組み合わせて総合的にアプローチします。一人ひとりの跡の状態に合わせた最適な治療計画をご提案しますので、「ニキビは治ったけど跡が気になる」という方もぜひご相談ください。

規則正しい生活と正しいスキンケアが予防の基本です。

まず、睡眠をしっかりとりましょう。夜更かしせず毎日6~8時間の睡眠を確保することでホルモンバランスが整い、肌のターンオーバーも正常化します。

次に食生活では、野菜やタンパク質中心のバランス良い食事を心がけ、糖質・脂質の過剰摂取を控えてください。特に甘いお菓子や清涼飲料、揚げ物・ジャンクフードはニキビを悪化させやすいので注意です。代わりにビタミンA・B群・C、亜鉛など肌に良い栄養素を意識的に摂りましょう。

水分も1日コップ6~8杯を目安に十分補給してください。便秘の解消やデトックスにも役立ちます。ストレスに感じていることがあれば、適度な運動や入浴、趣味の時間を持つなどリフレッシュも大切です。

スキンケア面では、洗顔と保湿を正しく行いましょう。

洗顔は朝晩の2回、刺激の少ない泡洗顔で優しく行い、擦りすぎないことが大事です。洗顔後は油分を含まないノンコメドジェニック処方の保湿剤でしっかり保湿してください。

ニキビ用の化粧水などはアルコールが強いものも多いので、ヒリヒリする場合は敏感肌用に切り替えます。

メイクはなるべく石けんで落とせるタイプやノンコメドジェニック表示のあるものを選び、帰宅後は早めにオフしましょう。寝る前のクレンジング洗顔は特に丁寧に行い、メイク残りがないようにします。ヘアケア剤や整髪料が額やフェイスラインに付着しないようにも注意してください。

その他、ニキビを悪化させないコツとして「手で触らない・潰さない」ことが挙げられます。無意識に触ると雑菌が入り炎症が悪化しますし、自分で潰すと跡が残りやすいです。気になる気持ちをぐっと堪えて、触らない習慣をつけましょう。

枕カバーやフェイスタオルは清潔に保ち、マスク生活では不織布マスクを毎日交換してください。紫外線もニキビ跡を濃くする原因になりますので、ノンコメドジェニックの日焼け止めでUVケアすることも大切です。

これらを実践することで、新しいニキビの発生をかなり予防できます。それでも出てしまう頑固なニキビは、早めに専門治療にご相談ください。

 

通常のニキビ治療としては、2~3か月程から効果が見え始めることが多いです。

しかし、当院の特徴として、重症ニキビの方の通院割合が非常に高いことが挙げられます。長年様々なクリニックで治療を受けてきたが治らず、当院での治療を選択された重度のニキビの方が多いのです。

そのため、コントロールできるまでに半年以上かかる場合も少なくありません。

大人ニキビ治療は短期勝負というより長期的な肌質改善と捉えてください。特に繰り返すニキビ体質の方は、治療開始からコントロールできるまでに時間がかかります。

適切な治療を根気強く続けることがニキビのコントロールには重要です。当院では経過に応じて治療内容をきめ細かく調整し、「肌が変わった!」と実感していただけるよう全力でサポートします。一緒に根気よく治療に取り組んでいきましょう。

監修者情報(医師紹介)

監修医師 佐藤雅樹(仙台 ソララクリニック院長)

監修医師:佐藤 雅樹 (さとう まさき)

ソララクリニック 院長

専門分野:美容皮膚科

2000年 順天堂大学医学部卒。順天堂大学医学部形成外科入局。 大学医学部付属病院等を経て、都内美容皮膚科クリニックにてレーザー治療の研鑽を積む。2011年3月 ソララクリニック開院 院長就任。2022年 医療法人 松柴会 理事長就任。日本美容皮膚科学会 日本形成外科学会 日本抗加齢医学会 日本レーザー医学会 点滴療法研究会 日本医療毛髪再生研究会他所属。 
様々な医療レーザー機器に精通し、2011年ルビーフラクショナル搭載機器を日本初導入。各種エネルギーベースの医療機器を併用する複合治療に積極的に取り組む.

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参照文献

当ページを作成する際に参考にした論文をまとめています。

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原題: Adult acne versus adolescent acne: a narrative review with a focus on epidemiology to treatment

 出典: Anais Brasileiros de Dermatologia

DOI: 10.1016/j.abd.2022.01.006

要約: 成人(25歳以上)におけるニキビと10代の思春期ニキビの違いを包括的に論じたレビュー。

成人ニキビは女性に多く顎周りに好発、炎症性病変が主体で治療抵抗性・再発しやすいこと、瘢痕残存率が高いことなど臨床的特徴の差異が示された。

また成人ではホルモンや耐性菌、ストレス等の要因が関与しうる点を解説し、思春期ニキビとは異なる治療戦略(複合療法や維持療法の重要性)が提言されている。

原題: Adult female acne: a guide to clinical practice

出典: Anais Brasileiros de Dermatologia

DOI: 10.1590/abd1806-4841.20198203

要約: 成人女性のニキビ(AFA: Adult Female Acne)に特化した総説。

疫学的に女性の成人ニキビ有病率は12~54%とされ、大半は軽症~中等症ながら慢性化・難治化することを指摘。思春期とは異なる病態として、皮脂腺のアンドロゲン受容体感受性亢進や局所でのテストステロン産生増加、月経前悪化や妊娠・プロゲスチン避妊での増悪などホルモン因子の影響が強い点を解説。

加えて慢性の心理的ストレスによるCRHやIGF-1の過剰が皮脂分泌を刺激する点、食事(高GI食品・乳製品)や喫煙、耐性C. acnes菌による免疫反応など複合要因が病態に関与するとまとめている。

治療では思春期に比べ寛解維持が難しいためホルモン療法や長期的外用維持療法の検討が推奨され、患者のQOLに配慮した包括的管理の必要性を強調している。

原題: Female Adult Acne and Androgen Excess: A Report from the Multidisciplinary Androgen Excess and PCOS Committee

出典: Journal of the Endocrine Society

DOI: 10.1210/jendso/bvac003 

要約: 成人女性のニキビと高アンドロゲン状態(特にPCOS)との関連、および最適な管理法について内分泌・皮膚科領域の専門家がまとめたコンセンサス報告。

成人女性のニキビではアンドロゲン過剰が皮脂腺の分泌亢進に主要な役割を果たすと結論づけ、PCOS患者では一般女性の1.6倍ニキビが多いことをエビデンスAとして示した。

診療上は全ての成人女性ニキビ患者で血中アンドロゲン値(遊離テストステロンやDHEA-S)を測定すべきと推奨し(エビデンスA)、高アンドロゲンが確認された場合には重症度にかかわらずホルモン療法(エストロゲン・プロゲスチン配合薬)を加えるべきと勧告している(エビデンスA)。

抗男性ホルモン療法は成人女性ニキビの重要な治療柱であり、特にPCOS合併例では内分泌治療と皮膚治療の連携が予後改善に不可欠であるとしている。

また心理社会的影響にも着目し、成人女性ニキビ患者は不安・抑うつ傾向が高くQOLが損なわれやすい(エビデンスB)ため、精神面のケアも含めた包括的管理を推奨した。

原題: Adult female acne: Clinical and therapeutic particularities (Review)

出典: Experimental and Therapeutic Medicine

DOI: 10.3892/etm.2021.11074

要約: 成人女性ニキビの最新知見をまとめたレビュー論文。

成人女性のニキビは従来思春期の一過性疾患と見なされていたが、近年増加傾向にあり最大で女性の40%以上が罹患すること、一度治まっても再発しうることなど疫学データを紹介。持続性・再発性・遅発性の3亜型に分類され、大半が軽症~中等症だが従来治療に抵抗を示す場合が多いと指摘。

病因としては遺伝素因に加え、ホルモン要因(アンドロゲン)、先天免疫の慢性刺激と、それに重なる形で生活習慣要因(慢性的ストレス・西洋型高糖質食・喫煙・化粧品)が関与する複雑な病態と解説。

治療面では思春期ニキビと異なりホルモン治療の有用性が特筆されており、抗アンドロゲン療法や低用量ピルが成人女性ニキビの治療において高い価値を持つと述べられる。加えて、従来治療で効果不十分な場合はホリスティックなアプローチが必要であり、患者ごとの要因に合わせたオーダーメイド治療の重要性が結論づけられている。

原題: Diet and acne: A systematic review

出典: JAAD International

DOI: 10.1016/j.jdin.2022.02.012

要約: 食事因子(高糖質負荷および乳製品摂取)とニキビ発症・悪化との関連についてエビデンスを総括した体系的レビュー。

計34研究の分析から、高GI(グリセミック指数)・高GL(グリセミック負荷)の食事はニキビ発症リスクと重症度を上昇させるとの一致した結論が得られた。これはランダム化比較試験の結果からも支持され、低GI食への変更で炎症性・非炎症性病変の減少が確認されている。

一方、乳製品摂取に関しては人種や食文化によって結果がまちまちで、一部の西洋型食生活集団では乳製品過多がニキビ増悪と関連する可能性が示唆された。

総じて「高糖質・高乳製品の西洋型食生活はアクネ菌やホルモン分泌を介してプロアクネジェニック(ニキビ悪化因子)に働く」と結論付け、ニキビ患者に対して低GI負荷の食事指導を行うことは有益になりうるとしている。

ただし完全な因果関係を解明するには更なるRCTの蓄積が必要とも述べられている。

原題: The Role of Herbal Medicine in the Treatment of Acne Vulgaris: A Systematic Review of Clinical Trials

出典: Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine

DOI: 10.1155/2022/2011945

要約: 植物由来の生薬・漢方療法がニキビに与える効果を分析した2022年の包括レビュー。PubMed他のデータベースから抽出された34件の臨床試験(被験者計1753名)を対象に、ハーブ療法 vs. プラセボまたは従来治療の効果を検証した。

結果、生薬治療群では炎症性・非炎症性いずれのニキビ病変も有意に減少し、重症度スコアも改善する傾向が認められた。特に一部の薬草(例:茶樹油、緑茶抽出物など)は標準治療(過酸化ベンゾイルや抗生剤)と同等あるいはそれ以上の有効性を示した試験もあったr。

一方で皮脂分泌量やQOLへの影響は統計的に有意差がなく、生薬治療のみで皮脂分泌を抑える効果は限定的と考察された。

安全性に関しては重篤な有害事象は報告されておらず、生薬療法の副作用プロファイルはおおむね良好であった。

以上より、本レビューは「ハーブ・漢方療法は軽症~中等症ニキビに対し有望な補助的治療となり得る」と結論付けている。ただしエビデンスの質にはばらつきがあり、評価方法の標準化や更なる高品質試験が必要とも指摘している。

原題: Blue-light therapy for acne vulgaris: a systematic review and meta-analysis

出典: Annals of Family Medicine

DOI: 10.1370/afm.2445

要約: 抗生物質の代替として注目される青色LED光療法の有効性を評価した2019年のメタ解析研究。

14試験(被験者698名)を解析した結果、青色光治療群は一部の試験で従来治療より有意な改善を示したものの、全体集計では炎症・非炎症病変数の減少に有意差はみられなかった。4週・8週・12週時点の比較でも対照と差はなく、専門家評価スコアの改善も3試験中2試験で有意差なしという結論であった。

患者自身の改善実感は青色光が優れる傾向もあったが、統計的有意性には乏しかった。一方、安全性については副作用は軽微で、光照射による一時的な乾燥や発赤がみられる程度であり、有害事象は対照と差がないか青色光の方が少ないと報告。

以上より著者らは「現時点のエビデンスでは青色光療法の有効性は結論できず、効果とコストを慎重に考慮すべき」と述べている。

抗生剤耐性の課題から光療法への期待はあるものの、既存研究の方法論的限界(短期間・少人数・バイアスリスク)を鑑みると、更なる大規模試験が必要と示唆されている。

原題: Efficacy of Spironolactone Compared with Doxycycline in Moderate Acne in Adult Females: Results of the FASCE Study

出典: Acta Dermato-Venereologica

DOI: 10.2340/actadv.v104.26002

要約: 抗アンドロゲン薬スピロノラクトンの有効性を、従来の経口抗生剤ドキシサイクリンと比較検証した国際共同ランダム化比較試験(2024年)。

中等症成人女性ニキビ患者133名をスピロノラクトン群(50mg/日6ヶ月間 + BPO外用併用) vs. ドキシサイクリン群(100mg/日3ヶ月間 + BPO外用、その後3ヶ月プラセボ + BPO)に割付し、治療効果を評価した。

主要評価項目である治療成功率(AFASTスコアで炎症性病変が2段階以上改善)は、開始6ヶ月時点でスピロノラクトン群が58.0%とドキシサイクリン群の41.8%を有意に上回った(p=0.007)。4ヶ月時点から既にスピロノラクトン優勢で、6ヶ月時の成功オッズ比はスピロノラクトンがドキシサイクリンの2.87倍に達した

病変数(丘疹・膿疱数)もスピロノラクトン群で一貫して有意に減少し、患者報告のQOL指標も改善度が高かった。

副作用は両群で大差なく、スピロノラクトン群では軽度の月経不順や利尿作用がみられたものの全般に忍容性は良好であったと報告。

以上より、本試験は「成人女性中等度ニキビに対しスピロノラクトン6ヶ月間の治療はドキシサイクリン3ヶ月より有効であり、維持療法にも適する」と結論付け、抗生剤長期使用の代替としてスピロノラクトン内服の有用性を示した。発表後、欧米のガイドラインでは女性ニキビ治療における第一選択肢の一つとしてスピロノラクトンを位置付ける動きが強まっている。