内側からのニキビ治療

体内の状態を整えてニキビができにくい体質へ

ニキビに悩むのはとても辛いことです。

痛みや見た目だけでなく、心の負担になることもあります。私たち美容皮膚科のスタッフも、患者さまのそのお気持ちに寄り添いたいと考えています。

ニキビ治療というと外用薬やスキンケアに目が行きがちですが、実は体の内側からアプローチするケアも非常に大切です。

お肌の調子は生活習慣や体調と深く関わっており内側から整えることでニキビの改善につながることがあります。

ここでは、内側から行うニキビ治療として当院でご提案している方法をご紹介します。
外側のケアと合わせて取り入れることで、ニキビ改善への相乗効果が期待できます。

内側からのニキビ治療

レーザー・ピーリングなどの「外側からのニキビ治療」と、「内側からのニキビ治療」は、相互に依存した関係があります。
「内側からのニキビ治療」は、体質改善・ホルモンからの影響軽減を行ない、ニキビの抑制を促します。

にきびの抑制を促している間に 「外側からの治療」で、にきびができづらい肌ニキビが出来ても早く治る肌 の獲得を目指していきます。

生活習慣の改善でニキビ対策

 

毎日の生活習慣は、お肌の調子に大きな影響を与えます。

まずは、食事・睡眠・ストレスといった基本の生活習慣を見直してみましょう。

食事

バランスの良い食生活を心がけましょう。

脂質や糖分の多い食事ばかりではなく、野菜や果物、良質なたんぱく質を十分に摂ることが大切です。ビタミンや食物繊維が豊富な食材はお肌の代謝を助け、皮脂の過剰分泌を抑えるのに役立ちます。

ファストフードやスナック菓子の摂りすぎにも注意しましょう。ニキビと食生活には深い関係があります。

更に詳しく

高GI食品(糖質の多い食品)や過剰な乳製品摂取はインスリンやIGF-1の増加を介して皮脂分泌を促し、ニキビ悪化に関与し得ます。【※最新の系統的レビューで高GI食はニキビ悪化要因と確認】

また野菜や低GI中心の食事への改善で症状軽減が報告されています。具体的には甘い菓子類や清涼飲料、白米・パン等の過剰摂取を控え、食物繊維やビタミン豊富な食品を摂る指導を行います。乳製品についても一部で関連指摘があります。

睡眠

質の良い睡眠は肌の修復時間を確保し、ホルモンバランスを整えるために欠かせません。

睡眠不足が続くと肌のターンオーバー(生まれ変わり)の乱れやホルモンの分泌異常を招き、ニキビができやすくなってしまいます。

毎日できるだけ規則正しい睡眠リズムを維持し、7~8時間の睡眠を目標にしましょう。

就寝前のスマホやパソコン使用を控えるなど、安眠の工夫も有効です。

ストレス

ストレスもお肌に大敵です。

過度なストレスはホルモンバランスを崩し、皮脂の分泌が活発になる原因となります。

リラックスする時間を意識的に作り、適度な運動や趣味の時間でストレスを発散しましょう。

自分なりのリフレッシュ方法を見つけることが大切です。心のゆとりは肌のゆとりにもつながります。


これら生活習慣の改善は即効性こそありませんが、ニキビの根本ケアとしてとても重要です。

日々の積み重ねで体質が整えば、新しいニキビができにくい肌質へと近づいていきます。

栄養補給(ビタミン・ミネラル)の重要性

偏った食生活や忙しさからくる栄養不足は、ニキビの悪化要因になり得ます。

肌の健康を保つには様々なビタミンやミネラルが必要で、不足すると皮脂コントロールや肌の生まれ変わりのリズムが乱れることがあります。

ニキビ対策に特に意識したい栄養素には、以下のようなものがあります。

ビタミンA

肌の新陳代謝(ターンオーバー)を促し、毛穴の詰まりを防ぐ働きがあります。緑黄色野菜やレバー、卵黄などに多く含まれています。

ビタミンB群

皮膚や粘膜の健康維持を助け、皮脂の分泌を抑える効果が期待できます。特にビタミンB2・B6はニキビ対策で重要と言われ、レバーや魚、卵、大豆製品などに含まれます。ストレス軽減にも役立つ栄養素です。

ビタミンC・E

抗酸化作用によって炎症を抑え、肌の修復を助けます。ビタミンCは柑橘類やイチゴ、緑黄色野菜に、ビタミンEはナッツ類やアボカドなどに含まれます。

亜鉛

肌のターンオーバーを助け、炎症を抑えるミネラルです。不足すると傷の治りが悪くなったり皮脂分泌が増えたりするため、意識して摂りたい栄養素です。牡蠣、赤身の肉、ナッツ類などに含まれます。


これらの栄養素をバランス良く摂取することで、肌の調子を内側からサポートできます。

「食事だけでは必要な栄養を摂りきれない…」という場合には、マルチビタミン剤などのサプリメントの活用も一つの方法です。

ただしサプリメントはあくまで補助ですので、基本は食事から摂ることを心がけましょう。

腸内環境を整えて便秘を解消

お腹の調子とお肌の状態は、一見無関係なようでいて密接につながっています。

腸内環境の乱れはお肌の乱れ。特に便秘が続くと老廃物や余分なホルモンが体内に滞留し、ニキビや肌荒れを引き起こしやすくなると言われています。

お腹の中からきれいにすることも、ニキビ改善には大切なポイントです。

食物繊維をしっかり摂る

野菜や果物、海藻、全粒穀物など食物繊維が豊富な食品は、腸の動きを活発にし便通を促します。毎日の食事で意識的に取り入れましょう。

発酵食品を活用

ヨーグルトや味噌、ぬか漬け、キムチなどの発酵食品には乳酸菌など腸内の善玉菌を増やす働きがあります。腸内フローラ(腸内細菌叢)のバランス改善に役立てましょう。

十分な水分補給

水分が不足すると便が硬くなり、便秘を悪化させます。1日コップ6~8杯程度の水分を目安に、こまめに水やお茶を飲むよう心がけてください。

適度な運動

軽い体操や散歩などで体を動かすと腸の動きも促進されます。お腹まわりのマッサージも便通改善に効果的です。


頑固な便秘がある場合には、市販の便秘薬に頼る前に生活習慣や食事内容を見直してみましょう。

腸内環境を整えることで栄養の吸収も良くなり、肌細胞に必要なビタミン・ミネラルがしっかり届くようになります。

お腹の中からキレイにする」意識が、美肌への近道となります。

漢方によるニキビ治療

ニキビ治療というと西洋の薬を思い浮かべる方が多いですが、症状や体質に応じて漢方薬を取り入れる方法もあります。

ニキビに効果のある漢方薬

 

漢方は身体全体のバランスを整えることで肌トラブルを改善に導くアプローチです。副作用が少なく体質から見直したい方に適しています。

ニキビに用いられる代表的な漢方薬として荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)があります。

荊芥連翹湯は、赤く炎症を起こしたニキビや膿をもったニキビに効果が期待できる処方です。肌の炎症を鎮め、熱を冷ます作用があるため、繰り返す吹き出物に用いられることが多いです。

このほか、体質やニキビのタイプによって十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)や当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)などが処方されることもあります。漢方治療は一人ひとりの体質に合わせて選ぶため、医師と相談しながら適切なものを用いていきます(▶リンク予定)。

「体の内側からニキビを治したいけれど、西洋薬はちょっと抵抗がある…」という方に、漢方はやさしい選択肢の一つです。自然由来の生薬パワーで体調を整え、肌質改善を目指しましょう。

プラセンタ注射で体質改善

ニキビに効果のあるプラセンタ

 

プラセンタ注射は、ヒトの胎盤から抽出したエキスを用いる美容と健康の治療法です。

胎盤には豊富な栄養素や成長因子が含まれており、それらを直接体内に取り入れることで様々な効果が期待できます。ニキビに悩む方にも、プラセンタ注射による体質改善は有効なサポートとなり得ます。

プラセンタには抗炎症作用ホルモンバランスを調整する作用があると言われています。
そのため、赤く炎症したニキビの炎症を抑えたり、女性の生理前後に悪化するニキビを和らげたりする効果が期待できます。

また、新陳代謝を高めて肌のターンオーバーを促す働きもあり、ニキビ跡の改善や美白効果を感じる方もいらっしゃいます。

プラセンタ注射は定期的に続けることで少しずつ体質を整え、「ニキビができにくい肌」へ導いてくれます。

なお、プラセンタ注射は医療行為ですので、副作用や注意点について医師が丁寧に説明いたします。詳細については「プラセンタ注射詳細ページ」を参照ください。

 抗アンドロゲン治療(女性のホルモン治療)

特に女性のホルモンバランスに起因する「大人ニキビ」には、ホルモン治療が有効です。

男性ホルモン(アンドロゲン)の作用を抑制し皮脂分泌や炎症を改善させる効果が期待できます。思春期ニキビには通常適用しませんが、20代以降で顎周りを中心に繰り返すニキビには非常に有効です。

当院では、女性の中等度以上のニキビ患者様に検討する内服オプションの一つです。

抗アンドロゲン療法

スピロノラクトンは、皮脂腺の男性ホルモン(アンドロゲン)受容体を競合的に遮断することで皮脂分泌を減少させます。

海外では50〜100mg/日程度でニキビ治療に頻用されており、2〜3か月の継続服用で約半数以上の患者に有効との報告があります。また近年の大規模臨床試験(FASCE試験)にて、スピロノラクトン内服6か月は従来の抗生剤治療より有意に高い治療成功率を示し、QOL改善効果も優れていたことが示されました。

これらのエビデンスから、スピロノラクトンは抗生剤の代替や維持療法として成人女性ニキビに有用と考えられます。

当院でも様々なプロトコルを基づき処方を行ない、効果を見ながら増減量していきます。

尚、抗アンドロゲン療法は基本的に男性には使用できません(男性では効果が低く、副作用で女性化乳房などのリスクがあるため)。

抗アンドロゲン療法

 低用量ピルの活用

エストロゲンとプロゲスチンを含む低用量経口避妊薬(OC)は、女性ホルモンを補充することで相対的に男性ホルモンの影響力を下げ、ホルモンバランスを整える効果があります。

一部の女性ではニキビ改善に寄与しますが、ニキビに対する効果はスピロノラクトンよりマイルドとの指摘もあります(皮脂腺の受容体そのものをブロックするスピロノラクトンに比べ作用機序が間接的なため)。

生理不順の改善や避妊目的も兼ねて使用する場合は有効な選択肢ですが、喫煙者や35歳以上では血栓症リスクに注意が必要です。

当院では定期的に血液検査(Dダイマー検査)を行ない、血栓症リスクが低い方のみに処方します。

ニキビに対する抗生物質の使用について

細菌の増殖と炎症を抑えるために、テトラサイクリン系などの抗生物質を一定期間服用することがあります。

中等症以上の炎症性ニキビに対し即効性が期待できますが、耐性菌の問題や根治療法ではない点に留意が必要です。

抗生物質使用のポイント

抗生物質はあくまで炎症を沈静化する補助的な手段であり、長期の連用は避けることが原則です。

実際、国際的なガイドラインでは経口抗生剤の連続使用は3ヶ月以内にとどめるよう推奨されています。

しかし現状ではニキビ患者の一部に6ヶ月以上漫然と内服を続けるケースも報告されており、耐性菌の出現が世界的な問題となっています。

耐性菌が増えると本当に必要な時に抗生剤が効かなくなるリスクがあるため、当院では抗生剤の処方は必要最低限の期間(目安として1週間〜2ヶ月)に限り、症状改善後は速やかに減薬・中止します。

また内服期間中も他の治療を併用し、耐性リスクの低減に努めます。こうした抗菌薬使用の適正管理(Antibiotic Stewardship)を徹底することで、患者様にも安心・安全な治療を提供します。

 

まとめ:内側からのケアでニキビ改善を目指しましょう

ニキビを根本から良くしていくには、外側からのスキンケアに加えて内側からのケアが欠かせません。

生活習慣の見直しや栄養バランスの改善はすぐに結果が出るものではありませんが、着実に体質を整え、お肌の治りやすい環境を作っていきます。

漢方やプラセンタ注射、ホルモン治療など専門的なアプローチも組み合わせることで、より効果的にニキビのない肌へと近づけるでしょう。

当院では、患者さま一人ひとりのニキビの原因や生活背景に合わせて、最適な治療プランをご提案しております。「繰り返すニキビをどうにかしたい」「内側からもケアしてみたい」という方は、お気軽にご相談ください。

専門の医師とスタッフが寄り添い、あなたの肌改善を全力でサポートいたします。一緒にニキビに負けない健やかな肌を目指しましょう。

体内バランスチェックで現在の状態を知る

体内バランスチェック

「体内バランスチェック」は数分の測定で体内ミネラルのバランス、重金属・有害金属の蓄積量、抗酸化力、糖化度が分かる検査です。

体内組成バランスがどのように崩れているかは人それぞれなのに、指標が無ければ闇雲に解決策を模索することになりかねません。ご自身の身体の過不足がわかることで、肌の不調の原因を知るのに役立ちます。

ミネラルバランス 有害重金属などが肌に及ぼす影響を踏まえ 現在の状況を把握する一つの方法と言えます。

体内バランスチェック

よくある質問 FAQ

内側からのニキビ治療についてのよくある質問をまとめました。

ご参考になれば幸いです。

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ニキビの程度や原因によって異なりますが、炎症が強い中等症以上の場合や、外側からの治療だけでは効果が不十分な場合に内側からの治療を併用することが多いです。

例えば、思春期でも重症の膿疱を伴うニキビには抗生物質内服を併用しますし、繰り返す大人ニキビにはホルモン療法や漢方を組み合わせます。また「肌質を根本から改善したい」「生活習慣も見直したい」という場合も検討します。

一方で軽いニキビや部分的なニキビでは、まず外用治療・スキンケア改善のみで経過を見ることもあります。医師が診察でニキビのタイプや重症度を評価し、必要と判断した場合に提案いたします。

生活習慣の改善はニキビ治療の基本であり、大いに役立ちます。ただし即座に劇的に治るというより、長期的に新しいニキビができにくくなる体質づくりとお考えください。

睡眠不足を解消しバランスの良い食事を続けることで、肌の生まれ変わりが正常化し炎症も起きにくくなります。

実際、食生活を改めて数ヶ月後に「ニキビの出来る頻度が減った」という患者様も少なくありません。とはいえ既にできてしまったニキビ跡や重度の炎症を生活習慣だけで治すことは難しいため、皮膚科での治療と並行して生活改善するのが理想です。

根気強く生活習慣を整えることが、ニキビ体質から脱却する近道と言えます。

甘い物や脂肪分の多い食品を控えることは、ニキビ悪化予防に一定の効果があります。

特にチョコレート、ケーキ、清涼飲料など高糖質の食べ物は血糖値の急上昇を招き、結果として男性ホルモンやインスリン様成長因子(IGF-1)が増えて皮脂分泌を促進します。

乳製品(牛乳やチーズなど)も一部研究で大量摂取がニキビと関連すると報告されています。ただし適量であれば必ずしも問題になりません。

個人差も大きいため、食べて明らかに肌が悪化する場合は控える、といった自己観察が大切です。完全に禁止にするとストレスになる場合は、頻度や量を減らす工夫から始めましょう。

チョコレートそのものが直接の原因というより、糖質・脂質全般の過剰摂取が問題ですので、栄養バランスの取れた食事を心がけることが根本対策になります。

軽症〜中等症のニキビであれば、漢方のみの内服で改善するケースもあります。実際に荊芥連翹湯などを数ヶ月服用して新規のニキビ発生が減ったという報告もあります。

ただし症状が強い場合や、皮脂づまりが酷い状態では漢方単独では不十分なことが多いです。漢方は即効性より体質全般の改善による緩やかな効果のため、炎症を早く鎮めたい時は抗生物質や外用薬を併用します。

当院では「漢方だけで様子を見たい」というご希望があれば対応可能ですが、経過を見て必要に応じ他の治療も追加しましょうとご提案する場合があります。

漢方はあくまで治療の選択肢の一つであり、西洋医学的治療とうまく組み合わせることで最大の効果を発揮します。

ビタミンB2・B6、ビタミンC、亜鉛などニキビ肌によいとされる栄養素を補うことは、治療をサポートする上で有効です。

ただしサプリメントは薬とは異なり、過不足を整える「縁の下の力持ち」的な役割とお考えください。

例えばビタミンB群は皮脂の代謝を助け、欠乏している人には有用ですが、十分足りている人が追加で摂っても劇的な効果は出ません。亜鉛も不足している人には有効(炎症を抑える)ですが、過剰摂取は副作用を招くので注意が必要です。

ビタミンCは抗酸化作用で肌荒れを防ぐメリットがありますが、食品からの摂取が基本で、サプリでの大量摂取に即ニキビ治癒効果があるわけではありません。

まとめると、不足している栄養素を補う目的でサプリを活用するのは◎ですが、サプリだけでニキビを治そうとするのは△です。当院でも必要な方には医療用サプリをご案内しています。

プラセンタ注射はヒト胎盤から抽出した成分を含み、新陳代謝の促進やホルモンバランスの調整作用が期待できます。

ニキビ肌では、炎症後の色素沈着改善や肌質の向上(キメが整う、乾燥の軽減)などの効果を感じる方がいます。

また更年期前後でホルモン変動が大きい方の肌荒れにも有用とされます。

安全性については、日本で流通している医療用プラセンタ製剤は厳格な管理のもと製造されておりウイルスチェック等もクリアしています。

重篤な副作用報告は極めて稀ですが、献血制限がかかる点はご了承いただく必要があります。その他、注射部位が一時的に赤くなる・かゆくなることがありますが通常すぐ治まります。

総じて適切な頻度と量を守れば安全性の高い治療です。当院では患者様の生活スタイルや来院頻度等より必要な量・ペースを提案します。

抗アンドロゲン療法が特に有効なのは、成人女性で顎周りやフェイスラインにニキビが集中するタイプの方です。

このようなニキビは男性ホルモンの影響が強く関与しており、生理前に悪化するケースが多いのが特徴です。まさにスピロノラクトンは男性ホルモンの働きをブロックする薬なので適しています。(ニキビが多い場合には生理周期の増悪に気付けない場合もあります。)

逆に、10代の男性を含む思春期ニキビや、額・鼻を中心に皮脂が多いタイプのニキビには適応外です。また妊娠希望のある方、妊娠中の方には使用できません(胎児への影響を避けるため)。

要約すると、「成人女性」「顎ニキビ・フェイスラインニキビ」「生理周期で悪化」このキーワードに当てはまる方に向いた治療です。診察時にホルモンバランスや症状分布を見て、医師が適応を判断いたします。

スピロノラクトンは本来高血圧や心不全の治療薬(利尿薬)ですが、ニキビ治療で用いる低容量(通常50〜100mg/日程度)では重篤な副作用は比較的少ないです。

主な副作用は月経不順(生理周期の変動)や乳房の張り、まれにめまい・倦怠感などがあります。利尿作用による頻尿も高容量ではありえますが、低容量ではほとんど問題になりません。肝機能やカリウム値の急激な変化も通常量であれば稀です。

万一体調不良が出ても、減量や休薬で改善する一過性のものがほとんどです。医師の指示通りの内服であれば過度に心配なさらなくても大丈夫ですが、不安な点は遠慮なくご相談ください。患者様の体質に合わせて無理のない範囲で処方を調整いたします。

当院では抗アンドロゲン療法“単独”での治療開始はおすすめしておりません。

スピロノラクトンで男性ホルモンの影響を抑えている間に、並行して毛穴づまり自体を改善するケアをしないと、薬を止めた後にまたニキビがぶり返す可能性があるからです。

実際、抗アンドロゲン薬で一時的に良くなっても中止後に再燃するケースが報告されています。そのため当院では内服+外用・施術の組み合わせ治療を基本方針としています。

スピロノラクトンで新しいニキビを抑制すると、一定期間肌はニキビの炎症から休むことができます。回復に必要な期間を得ることができるのです。並行して各種レーザー等で皮脂腺抑制+皮膚の再構築を行うことで、内外両面からアプローチでき再発リスクも下がります。最終的には肌質自体が改善され、内服なしでもニキビができにくい状態を目指せます

当院のニキビ治療の目的は「ニキビができづらい肌」「ニキビができても早く治る肌」の獲得です。抗アンドロゲン療法は強力ですが、単独の治療では不十分であることをご理解下さい。

長期の抗生物質内服はできるだけ避けるべきです。

理由はご懸念の通り、抗生剤を長く使うほど耐性菌(薬の効かない菌)が増えやすくなるためです。耐性菌が増殖するとニキビ治療のみならず将来の感染症治療にも悪影響を及ぼしかねません。

そのため現在の国際ガイドラインでは、ニキビ治療での抗生剤使用は最長でも3ヶ月程度に留め、その間に他の治療へ切り替えることを推奨しています。もし3ヶ月経っても十分な効果が得られない場合は、抗生剤を追加するのではなく別の治療オプションへの変更を検討することになります。

抗生物質は使い方さえ誤らなければ有効な治療手段ですが、「長く飲めば治る」というものではなく適切なタイミングで卒業する薬とお考えください。

当院ではどうしても必要な際に必要最小限度に留めて処方しますが、基本的には、抗生物質にあまり頼らない治療を主軸に行っております。

監修者情報(医師紹介)

監修医師 佐藤雅樹(仙台 ソララクリニック院長)

監修医師:佐藤 雅樹 (さとう まさき)

ソララクリニック 院長

専門分野:美容皮膚科

2000年 順天堂大学医学部卒。順天堂大学医学部形成外科入局。 大学医学部付属病院等を経て、都内美容皮膚科クリニックにてレーザー治療の研鑽を積む。2011年3月 ソララクリニック開院 院長就任。2022年 医療法人 松柴会 理事長就任。日本美容皮膚科学会 日本形成外科学会 日本抗加齢医学会 日本レーザー医学会 点滴療法研究会 日本医療毛髪再生研究会他所属。 
様々な医療レーザー機器に精通し、2011年ルビーフラクショナル搭載機器を日本初導入。各種エネルギーベースの医療機器を併用する複合治療に積極的に取り組む.

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参考文献

当ページを作成する際に参考にした文献をまとめました。

最新の海外医学文献を中心にエビデンスを示します。

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原題: Diet and acne: A systematic review.

出典: JAAD Int. 2022; 7: 95-112.

DOI: 10.1016/j.jdin.2022.02.012

出典: 食事とニキビの関連性を検討した英語論文について、過去の高品質な研究34件を分析し、高GI(グリセミック指数)の食事や糖質負荷の高い食生活はニキビの発症・悪化に有意な関連があると結論づけています。

一方、乳製品の摂取については結果がまちまちで、性別・人種や食習慣によって影響が異なる可能性が示唆されました。

総じて、「糖分の多い食品や精製炭水化物の過剰摂取はニキビの原因となり得るため控えるべき」と提言しており、食生活の見直しがニキビケアに有効であることを裏付けています。

原題: A Randomized Clinical Trial to Evaluate the Efficacy of an Oral Probiotic in Acne Vulgaris

出典: Acta Dermato-Venereologica (2024)

DOI: 10.2340/actadv.v104.33206

要約: 経口プロバイオティクス(乳酸菌サプリメント)のニキビへの効果を検証した12週間の二重盲検プラセボ対照試験。

12~30歳の尋常性ざ瘡患者74名を対象に、プロバイオティクス製剤(Lacticaseibacillus rhamnosus + スピルリナ由来成分)群とプラセボ群で比較しました。

治療終了時までに症状が改善した患者の割合はプロバイオティクス群50%・プラセボ群29.4%と有意差が認められ、特に非炎症性病変(面皰)の数はプロバイオティクス群で有意に多く減少しました(プラセボ群との差異有意)。

重症度評価においても、プロバイオティクス群42.5%・プラセボ群20.6%で改善が認められ、有意にプロバイオティクス群の有効率が高い結果でした。

副作用発生率は両群で差はなく安全性も良好です。

以上より、特定のプロバイオティクス内服はニキビ症状を有意に改善し得ることが示され、ニキビ治療の補助療法として有望と考えられます。

原題: Serum zinc levels and efficacy of zinc treatment in acne vulgaris: A systematic review and meta-analysis.

出典: Dermatol Ther. 2020; 33(6): e14252.

DOI: 10.1111/dth.14252

要約: 米国カリフォルニア大学サンディエゴ校の研究グループによる2020年のメタ分析。

ニキビ患者と健常者の血中亜鉛濃度を比較した複数研究の統合解析では、ニキビ患者では有意に亜鉛レベルが低いことが判明しました。

また亜鉛を投与した群ともプラセボ群を比較した結果、亜鉛内服により炎症性丘疹の数が有意に減少していました。

副作用発生率に有意差はなく安全性は良好でした。

以上より、本解析は「亜鉛不足はニキビ悪化因子となり得るため、補充療法は炎症性ニキビの改善に有効」と結論づけています。亜鉛は単独でも補助療法としても有用であり、特に炎症型ニキビに悩む患者への積極的な摂取が推奨されます。

原題: The association between stress and acne among female medical students in Jeddah, Saudi Arabia. 

出典: Clin Cosmet Investig Dermatol. 2017; 10: 503-506.

DOI: 10.2147/CCID.S148499

要約: サウジアラビアの女子医学生144名を対象とした横断研究。

Perceived Stress Scaleによるストレス評価とニキビの重症度(Global Acne Grading System)を比較したところ、ストレスレベルの上昇とニキビ悪化度合いに有意な正の相関関係が認められました(p<0.01)。

ストレス得点が高い学生ほどニキビの重症度も高い傾向が明らかになり、著者らは「ストレス管理はニキビ治療において無視できない重要な要素である」と結論づけています。

この研究は精神的ストレスがニキビを悪化させる一因となり得ることを定量的に示したものです。

原題: Study of psychological stress, sebum production and acne vulgaris in adolescents

出典: Acta Dermato-Venereologica (2007)

DOI: 10.2340/00015555-0231

要約: 思春期の心理的ストレスがニキビに及ぼす影響を調べた前向き研究。

シンガポールの高校生94名を対象に、試験直前(高ストレス時)と休暇中(低ストレス時)でストレス度・皮脂量・ニキビ重症度を比較しました。

結果、高ストレス時にはニキビ(特に炎症性の丘疹・膿疱)の重症度が有意に悪化しており、ストレスが高い生徒はニキビ悪化のリスクが約23%上昇することが確認されました。

一方、皮脂分泌量にはストレス有無で有意差がなく、ストレスによるニキビ悪化は皮脂分泌量以外の要因(免疫・炎症反応など)による可能性が示唆されました。

特に男性生徒でストレスとニキビ悪化の関連が顕著でした。

以上より、心理的ストレスは思春期ニキビを悪化させる一因だが、そのメカニズムは皮脂増加だけでは説明できないと考察されています。

原題: The Role of Herbal Medicine in the Treatment of Acne Vulgaris: A Systematic Review of Clinical Trials. 

出典: Evid Based Complement Alternat Med. 2022; 2022: 2011945.

DOI:10.1155/2022/2011945

要約: 補完代替医療に関する学術誌に掲載された、漢方などハーブ療法の効果を検証した2022年の系統的レビュー。

1753名を対象とする臨床試験34件のデータを集計し、漢方薬による治療は炎症性・非炎症性双方のニキビ病変数を有意に減少させ、ニキビの重症度を改善するとの結果が示されました。

いくつかのハーブは従来の標準治療(例えば抗生剤や外用薬)と同等、もしくはそれ以上の有効性を示すケースも報告されています。

また重大な副作用は認められず、安全性も良好でした。ただし、エビデンスの質は研究によってばらつきがあり、今後さらなる大規模研究で有効性を確立する必要があると結論しています。

漢方を含む植物由来の治療は、軽度〜中等度のニキビに有望な補助療法となり得ることを支持するレビューです。

原題: Efficacy of Spironolactone Compared with Doxycycline in Moderate Acne in Adult Females (FASCE Study). 

出典: Acta Derm Venereol. 2024

DOI:  10.2340/actadv.v104.26002

要約: フランスを中心に実施された多施設共同第III相試験(成人女性133名対象)。

中等症の成人女性ニキビ患者を対象に、スピロノラクトン内服群(6か月間)とドキシサイクリン内服群(3か月内服+3か月プラセボ)を比較しました。

その結果、6か月時点でスピロノラクトン群の方がドキシサイクリン群より有意に高い治療成功率を示し(p=0.007)、症状の改善度・再発予防効果で優れていました。

また4か月以降のQOL(生活の質)スコアもスピロノラクトン群で良好でした。

副作用は両群で大きな差はなく、スピロノラクトンは安全かつ有効なニキビ治療薬であることが示されています。

抗生物質長期使用への懸念が高まる中、本試験結果はスピロノラクトンが抗生剤に代わる成人女性ニキビの新たな選択肢となり得ることを裏付けています。

原題: Antibiotics and Antimicrobial Resistance in Acne: Epidemiological Trends and Clinical Practice Considerations.

出典: Yale J Biol Med. 2022; 95(2): 281-290.

PMID: 36568833

要約:  抗ニキビ目的の抗生物質使用に伴う耐性菌問題についてまとめた米国発の総説論文。

近年、ニキビ患者から耐性をもったC. acnes菌株が世界各地で報告され、特に抗生剤の長期連用が耐性出現の主因と指摘されています。

またガイドライン上は「経口抗生剤は3ヶ月以内」に限定すべきとされるにも関わらず、実臨床では64%の患者で3ヶ月超の処方が行われていたとの調査結果も示されています。

著者らは、皮膚科領域において抗生物質の適正使用(Antibiotic Stewardship)を徹底し、耐性菌の蔓延を防ぐ必要性を強調しています。

この論文は抗生剤の漫然投与を見直す科学的根拠となっており、本ページの抗生物質使用ポリシーにも反映されています。