しみ取り 治療法の選択

2013年12月1日

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顔に気になるしみがある時には、それを取りたいと思うことがあるでしょう。
しかし、どのような方法を選択すればよいのか 判断に迷うことも多いと思います。

しみ治療には様々な選択肢があります。横断的に流れを知っておくと 迷う幅も少なくなると思います。

シミ取りは、個数で治療法を選択します。

シミの治療の際には、顔全体のシミを取りたいのか、気になるシミだけの治療をしたいのかによって、アプローチの仕方が少々異なってきます。(特殊なシミを除く。通常言われるシミ「日光性色素斑」「老人性色素斑」が対象です。)

日光性黒子 日光性色素斑 老人性色素斑 : 加齢や紫外線からの影響によって 表皮細胞の光老化に伴いメラニンを過剰に産生することでできるシミです。紫外線の影響が長い時を経て「しみ」として出てきます。一般的にシミと言われた場合のほとんどが老人性色素斑です。

1~3個のシミを取る場合には、Qスイッチレーザーを選択します。

気になるシミだけをまず治療したい!という場合には、Qスイッチレーザーでの治療を行います。照射後しばらくは、被覆材を貼る必要がありますが、治療回数も少なくて済みますので(ほとんどの場合には、1~2回程度)、日光性色素斑の改善には、欠かせない方法です。

しかし、数個のみの治療であれば、Qスイッチレーザーが良いのですが、それ以上 多数のシミの改善には少々難しいと考えています。従来は、この方法しかなかったので少しずつシミをとっていくしかなかったのですが、照射をすればすぐ取れるわけではなく 照射後しばらく濃くなる期間があったりするため(炎症後色素沈着) 多数のシミを一気に行うには、治療をする側にも勇気が必要です。また、照射後は、10日前後被覆材を貼る必要がありますので、ますますハードルは高くなります。

シミのスポット治療として、1~3個程度であれば、少ない回数で治療ができますので、Qスイッチレーザーは良い選択となると思います。

顔全体のシミを治療していく場合には、光治療(IPL,BBL)を使用する。

顔全体に散らばるシミを治療していきたい という場合には、全てをQスイッチレーザーで行うことはリスクを伴います。レーザーは万能ではなく 薄いシミには効果が限定的になります。さらにある一定割合の方には、回復過程で炎症後色素沈着が起きてくる場合があり、回復期間中一時的に 照射前よりも濃くなる時があります。治療部位すべてが揃ってしまうと 数ヶ月間憂鬱な日々を過ごさなければいけず 最終的に薄くなるにしても トラブルとなる可能性もあります。

光治療器(IPL,フォトフェイシャル,BBL)は、Qスイッチレーザーでの治療に伴うリスクから 開発された治療法です。照射後に被覆材でカバーする必要がありません。回数はかかりますが、少しずつシミを薄くしていくことができます。

さらに、最近の光治療器は、昔と違い使用できるフィルターが増えてきました。シミにピンポイントに照射することで、その部分だけ強力に反応を起こすことができ、治療の幅が広がってきています。この10年の間にも光治療はかなり進化してきました。昔受けたことがある方の中には、あまり効果を実感されなかった方もいらっしゃることでしょう。光治療器も大きく変わってきています。

しかしながら、光治療はQスイッチレーザーと比較すると その効果はマイルドです。光治療では取りきれないシミには、スポット的にレーザーでの治療を行うことになります。

シミの濃さによって治療法は変化します。

治療するシミの数によって治療法が異なってきますが、シミの色によっても治療法は少々異なってきます。濃いシミと薄いシミのどちらが取れやすいでしょうか?かなりの方が、薄いシミの方が取れやすいと思われていらっしゃるようですが、実際には逆なのです。

光は黒い方が吸収されやすい

濃いシミと薄いシミでは、薄いシミの方が早めに取れやすいと思われている方が非常に多いのです。実際には、濃いシミの方が反応が出しやすいため、濃いシミの方から治療が進んでいきます。これは、使用する光,レーザーの波長にもよると思いますが、一般的に光はより黒いものへ吸収されやすいためです。白っぽいシミよりも 黒いシミの方が光は吸収されるため、それほど強い出力でなくても 反応を起こすことができます。

それに対して 薄いシミの場合には、周囲との差が乏しくなりますから、照射に伴う反応は少なくなるため、より高出力の照射が必要となります。

薄いシミは、少しずつ行う必要があります。

薄いシミの場合には、周囲の皮膚の色調と大きく異なるわけではありませんので、濃いシミよりも高出力で治療を行う必要が出てきます。あまり高すぎればやけどのリスクも出てきますので、光治療器を用いて少しずつメラニンの排出を促していくほうが良いと思います。

一般的に 濃いシミや割とはっきり親しみの方が取りやすく 薄いしみの方が難しいのです。

特殊な”シミ”を理解する

ここまでは、いわゆるしみ「日光性色素斑,老人性色素斑」の治療法を書いてみました。シミの個数や色合いによって治療法が少しずつ変化していくことを理解していただければ幸いです。しかしながら、ほかの種類のシミが同時にある場合があります。その代表的なものが、「肝斑」「後天性真皮メラノサイトーシス」です。

肝斑

今では、ドラッグストアなどで薬が売られるようになったり、CMなどでもよく見られるようになったため、有名になった感もある「肝斑」。明らかな老人性色素斑でも 肝斑ではないかと心配されて来られる方もいらっしゃるぐらいです。肝斑は 30~40代にかけて 主に両頬にもやっとした 輪郭が不明瞭な薄目のシミとして出てきます。ホルモンとの関係も示唆され、ピルの使用や 妊娠を契機に出てくることもあります。また、日々のスキンケアの影響も強く 肝斑の出現部位がスキンケアの際に擦られやすい部位と一致するため、摩擦による慢性炎症に伴う色素沈着ではないか という意見もあります。。

肝斑には通常のレーザー,光治療を行うわけにはいきません。通常の照射では悪化させてしまう場合があるためです。そこで、メラニンの排出を促進させるように 特殊な照射方法(レーザートーニング,パルス幅を伸ばした光照射等)、さらにトラネキサム酸等の内服薬を並行して行ないます。この際 内服薬が非常に重要な役目を担います。内服を前提に治療を進めていくことで、肝斑は改善されていきますが、怠ると場合によって悪化してしまうこともあるため、しっかりと服用を守るように心がける必要があります。

シミには種類があり、肝斑以外のしみも同時に存在している場合がほとんどです。その場合には治療する順番が非常に重要です。まず肝斑の治療を進めていきます。 ある程度コントロールができた段階から、重なっている他のシミを治療していきます。このようにしなければ 肝斑が悪化する可能性があります。すぐにシミを取り除くことができないため、少々歯がゆい気もするかもしれません。肝斑と重なっている場合には、少々根気が必要となります。

もちろん 肝斑と重なっていないシミは 通常どおり治療を進めていくことができます。

後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)

後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)は、遅発性大田母斑とも呼ばれるアザの一種です。主に両頬に1~3mm程の斑点が数箇所まとまって両頬に出現することが多いです。深い部位にあるため輪郭が多少ぼやけていて、ほかのシミよりも青や茶色など暗めの色をしています。。メラニンを作る細胞「メラノサイト」が 本来はいないはずの皮膚の奥「真皮層」でメラニンを作ってしまう状態です。皮膚の奥でメラニンを作っていますので、光治療器は残念ながら大きな効果を得ることは困難です。皮膚深くまで到達して治療するためには、Qスイッチレーザーを使用するしかありません。

ADMは完全に治療することができることもわかっています。そのためQスイッチレーザーで治療する価値が十分あります。深い部位にあるためレーザー治療を何度もしなければいけませんが、取り除くことが可能です。

しかしながら、両頬に出ることが多いことから 肝斑と混同されることも多く、また、重なって出ていることも珍しくありません。

肝斑と重なって出ている場合には、少々問題です。肝斑にはQスイッチレーザーを使用すると悪化します。それに対してADMはQスイッチレーザーでなければ治療できません。この場合肝斑の治療を優先して行い、コントロールを行った上でADMの治療へと移っていく必要があります。どのような場合でも肝斑が存在する場合にはそのコントロールを優先する必要があるのです。

また、ADMの治療それ自身にも 乗り越えなければいけない壁があります。通常Qスイッチレーザーによる治療を3~6ヶ月毎に行っていきますが、治療期間が場合により長期になることや、その度に2週間ほどガーゼなどで保護しなければいけないことです。この点があるために社会生活に支障が出てしまうため、治療を躊躇してしまう方も多いのです。

この点を改善させた フラクショナルQスイッチルビーレーザーも登場しました。 ダウンタイム1日 当日からメイク可能 回復が早いため毎月の治療ができるようになり、結果として治療期間の短縮につながるなど 社会生活への負担を軽減することで、治療へ敷居をだいぶ下げてきたことが大きな利点です。従来よりも治療を進めていきやすくなりました。

まとめ

シミの治療は、個数,濃さ、種類によってアプローチの仕方は異なります。もちろん生活スタイルによっても 選択する治療法は異なってくることでしょう。さらには、通常のQスイッチレーザーの治療では、ガーゼなどの被覆材を貼る必要が出てきますから、これを許容できるかどうかも 大きな選択肢となります。

当院では、肌画像診断装置VISIAを用いて顔のシミを丹念に分析した上で シミの治療計画を立てていきます。定期的な検証を行い治療効果を判定していくことで、より効果的な美肌治療を提供していくことができると考えています。

当院のシミ治療に対する方針を 大まかにまとめてみました。参考となれば幸いです。