[シミ取り] 光フェイシャルと レーザーの違い

公開:2014年1月20日

更新:2019年8月31日

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メールでの質問で以下のものがありました。半年以上前のモノです。上手く回答することができなかったように思い よりわかり易い回答ができないかと 3ヶ月ほど前からこの記事を書いています。

> 光フェイシャルとレーザーの違いを教えて下さい。
> 何となく分かるような感じもするのですが、そげですか?

光フェイシャルとレーザーの違いについて

光フェイシャル(IPL 光治療器)とレーザー機器一般との違いについての質問は、よくある質問の一つです。

大きく違う点は、レーザーは単一の波長の光を使用しているのに対して、光治療器は、フィルターによって制限した波長域の光を照射しているという点です。・・・と書いてみましたが、わかりづらいです。この記事は何度も書き直していますが、うまい説明ができないかとここ数ヶ月過ぎてしまいました。

LASERレーザーとは Light Amplification byStimulated Emission of Radiation(誘導放出による光の増幅) から頭文字をとった言葉です。光を増幅させて照射することで、高い出力を発生させることができます。この際 発振させる媒体によってレーザーの波長が決まり 「単一の波長で揃った光を増幅し強力にしたもの」と考えると良いのではないかと思います。(かなりザックリとした説明でスイマセン。)

これに対して光治療ではライトを発光させて広範囲の波長の光を肌に当たることで治療をします。その際に特殊なフィルターを通すことで不必要な波長の光を取り除いています。「不必要な波長の光を取り除き 必要な部分の光の束を照射するもの」といえます。

レーザーは目的に特化して高い効果を発揮します。

レーザーは、単一波長の光です。そのため、それぞれの波長によって特色があります。目的の波長の光だけを使用しますから、シミだけの治療をしたい 場合など特定の効果を出すために 高い出力で治療することができます。

しかし目的毎に機器が必要

しかし しみ取りもしたいが、毛細血管拡張の治療もしたい という場合には、しみ取り用のレーザーの他に 毛細血管拡張症用のレーザーも必要になります。更にコラーゲン増生を促進させて肌の引き締めもしたい となれば、それに合わせたレーザーも必要になります。

このように 単一波長の光を使用する レーザーは目的に特化して高い効果を基本的に発揮できるようになっていますが、目的に合わせてレーザー機器を揃えなければいけないため、多大な設備投資が必要となります。

このことから、光治療器は開発されてきたという歴史があります。

光治療(IPL)は、1台で様々な効果を発揮できる

吸収曲線

レーザーは強力な治療を行うことができる反面 目的に合わせてレーザー機器を用意しなければいけません。効果が高い反面過大なコストを必要とします。

そこで簡便に治療ができないかという点から光治療器は開発されました。フラッシュランプを発光させて 光をフィルターを通すことで、目的の波長域の光を出すという簡単な機構です。(コンタクトクーリングが重要ですが、それは置いておきます。)

右の図は、メラニンや水,ヘモグロビンへの吸収度合いを示した図です。紫外線領域を使用すれば、肌への悪影響が出ますし、波長が長くなれば水への吸収が高くなり火傷のリスクが出てきます。そこで、カットオフフィルターを通すことで、必要な領域の光のみを使用します。

不必要な領域の光をカットして照射していますから、シミに反応する光だけでなく 赤みに吸収される波長も混ざっています。近赤外線領域の光も出せていれば コラーゲン造成も促進されることでしょう。このようにシミだけでなく 赤みや肌のハリの改善等 様々な肌質改善効果を得ることができます。

しかし効果はマイルド(弱い)

しかし、シミの反応を上げようと出力を上げていくと、赤みや水への吸収する光も一緒に強くなるため、ただ単純に出力を上げていくと 火傷のリスクが非常に高くなっていきます。レーザー並みの出力を出すことは基本的に困難です。言い方を変えれば、レーザーと比べてマイルドな効果です。

このマイルドさが実際の治療には大きく受け入れられました。シミを取るにしても 肌質も一緒に良くなっていく方が満足度が高かったのです。そこで、光治療は徐々に進化してきました。最近の機器は、シミの治療に必要な範囲の光をより細かくフィルターを使用して制御したり、近赤外線領域の光を深部加熱のために使用することで、タルミや、肌のハリの改善に使用してみたり、ニキビ専用の波長帯のみを切り出して使用できるようにしてみたりと、様々な特色を出せるようにまでになっています。

用途に合わせて選択

このように理解すると良いのではと思います。(かなり乱暴な説明だと思っています・・・・。)

「レーザーよりも高性能な光治療器」と書いてあるクリニックもありますが、基本的には(機器の選択・使用法が間違わなければ)単一波長の光を増幅して出すことができるレーザーに 効果の面では最終的に敵いません。しかし、マイルドに効果が出せて様々な相乗効果が期待できる光治療器の方が、ニーズに合ったものだったということです。

最近は、光治療器も2極に分かれてきています。

ここ10年の間に様々な種類の機器が登場してきましたが、光治療器に関して考えれば、革新的なものというよりも 少しずつ機能,精度が上がってきたということができると思います。その中で大きく2つに分かれてきたように思います。

光治療器はその進歩にともなって、もはやレーザーに準じた使用方法ができる様な光治療器も出てきています。

レーザーの再評価も進んでいるように思います。

また、最近の流れとしては、光治療器中心だった流れから レーザーへ揺り戻しも起きているようです。切れの良い反応・効果はレーザーを使用したほうが効果が高い場合が多いためです。シミの治療などは最たるものでしょう。光治療のマイルドな効果だけでは、満足できなくなってきているといったほうが良いのだと思います。

とは言っても 顔のシミ全てを対象とする場合には、光治療器を使用したほうが 社会生活を送る上では影響が最小限度で済みます。状況に合わせて適切な機器の選択が重要となることでしょう。

どちらが効果的ですか?

ということになります。しかし聞きたいことはこういうことではないのでしょう。どちらが効果的ですか?ということだと思います。

あまりにも範囲が広すぎてどの部分を答えればよいかわからないのですが、例を上げたいと思います。

しみの場合(肝斑などは除いて)

比較的はっきりしたシミの場合には、Qスイッチレーザーを使用したほうが効果は高い。しかし一定割合で炎症後色素沈着が起きるので、気になる人は光治療器、もしくはフラクショナルQスイッチレーザーを使用するほうが良いと思います。高機能な光治療器の場合には,シミをかなりのレベルで取り除くことが可能です。それでもとれない部分だけレーザーを使用するようにしたら良いかと思います。

また、薄めのシミは濃いものと比べると取れづらい傾向があります。レーザーの反応もそれなりです。このような場合には 意外と光治療器を主体にしたほうが良かったりします。

シワ、タルミ等

レーザーを用いて シワ・タルミを治療する場合には、色素選択性の少なく、且つ水分に吸収される波長を選択します。1064,1320nmのNd YAGレーザーが多く使用されています。皮膚内を加熱しコラーゲン造成を促進させて、タイトニング効果を得ます。光治療器では、近赤外線領域の光を使用することが多いと思います。 加熱することが目的ですから、この点からすれば構造上光治療器のほうが受け入れられやすいのかもしれません。いずれにせよ、高周波治療器等強力なものが多数存在するため、どちらが優位というものも言いづらいところです。

まとめ

光治療器,レーザーのどちらが良いか ということに対する 答えには成りませんが、それぞれの機器の特色を上手く使用して 生活への負担を最低限にしつつ効率的に治療を進めていくことが、腕の見せどころとなるでしょう。機械としての優秀さと求められる反応・効果が 必ずしも相関しないところも 光治療器とレーザーの関係といえるのかもしれません。

未だに「そげ」はわかりません。

追記 2019年8月31日

BBL(光治療器)の使用を終了し数年が経とうとしています。
以前はレーザーと光治療器の優位な点を併用した治療を行なってきましたが、ルビーフラクショナルでの治療方法が確立されてくるにつれ 光治療器の使用頻度が減少してきました。

というジレンマがありました。

ルビーフラクショナルは 双方の利点を取り込んだ バランスの良い機器と 現在は評価しています。

このレーザーの特徴は

が得られることと 当初想定していました。
現在はこれに加えて 副次的効果が素晴らしいことがわかってきました。

現在も 新機種のトライアルを随時行っています。
しかしながら、上記の点において ルビーフラクショナルの優位性は 現在のところ 揺るぎそうにないように思います。