後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)の治療も,幾分楽になりました。

公開:2012年5月25日

更新:2012年7月4日

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後天性真皮メラノサイトーシス Acquired dermal melanocytosis (ADM)を御存知ですか?
と聞かれても困ると思いますが、しみ(アザ)の一種です。

後天性真皮メラノサイトーシスは、両頬に斑状で比較的暗い色のアザです。

後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)の治療法。

後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)は、斑状で 暗めの茶色~暗めの青に見えるシミに見えますが、痣の一種です。主に 両頬にできますが、こめかみあたりや、小鼻の上などにもできることがあります。

通常のシミは、皮膚の表層にあるものばかりなのですが、 ADMは、真皮層と呼ばれる皮膚の奥で、メラニンを作る細胞がメラニンを作ってしまいます。原因が、皮膚の奥にあるため、治療法は、専らQスイッチレーザーを使用する必要があります。

Qスイッチレーザーを使用したとしても、1回のみの照射で取れることは先ず無く、複数回の照射が必要となります。
通常の照射では、レーザーを照射後被覆をして、皮膚の回復を促す必要がありますが、被覆材を貼り続けなければいけません。

肝斑との鑑別が問題となることも

更に、左図を見て気づかれた方も多いと思いますが、肝斑と同居していることも多く、肝斑と鑑別が必要なこともありえます。肝斑の治療では、Qスイッチレーザーでの通常出力での照射は、より症状を悪化させる可能性があるため、禁忌とされています。対してADMは、皮膚の奥の病巣を治療するために、Qスイッチレーザーを主体にしなければ話が始まりません。

これだけですと、手も足も出なそうですが、実際には、肝斑の治療を優先して行い、ある程度コントロールが出来てきた段階で、Qスイッチレーザーの治療を行うことで、双方の治療になっていきます。典型的なADMは、実際のところは、鑑別も問題ないものですから、余り大きな問題にならないことがほとんどだと思います。

一番の問題は、被覆をしなければいけないこと。

何よりも、一番の問題となることは、ADM(後天性真皮メラノサイトシス)の治療で、Qスイッチレーザーを照射した後、テープなり,ガーゼ保護なり、被覆材の使用をしなければいけないので、治療を躊躇される方も多かったのです。さらに言えば、Qスイッチレーザーによるしみ治療では、炎症後色素沈着の発生が、一定割合で起きることも、治療に二の足を踏む原因となり、光治療に しみ治療の主体が移行した大きな理由と言えます。

フラクショナルQスイッチルビーレーザーは、ADMの治療に最適です。

ADMの治療では、Qスイッチレーザーの照射が何度も必要となりますが、上記の理由で、治療が進まないこともありましたが、2011年に導入したフラクショナルQスイッチルビーレーザーは、Qスイッチレーザーに初めて「分割照射」を取り入れたことで、皮膚へのダメージ軽減から、懸案だった、被覆材を使用しなくても、炎症後色素沈着の可能性をかなりのところまで、抑えこむことが可能となりました。

ADMの治療では、現在 フラクショナルQスイッチルビーレーザーを主に使用しています。確かにフラクショナル=分割照射となるわけなので、治療回数は増加することになりますが、被覆材を貼ることに躊躇するよりは、安全性を増した上で、照射後早期にメイクが出来てしまうので、生活に与える負荷の軽減は計り知れないものと言えます。